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抗 こう 血清 けっせい (こうけっせい、英 えい : antiserum )とはポリクローナル抗体 こうたい を含 ふく む血清 けっせい 。抗 こう 血清 けっせい は多 おお くの疾病 しっぺい の受動 じゅどう 免疫 めんえき を伝達 でんたつ するために使用 しよう される。
過去 かこ のヒト の生存 せいぞん 者 しゃ からの受動 じゅどう 抗体 こうたい の導入 どうにゅう はエボラ出血熱 えぼらしゅっけつねつ に対 たい する唯一 ゆいいつ 有効 ゆうこう な治療 ちりょう 法 ほう である。
ポリクローナル抗体 こうたい とはヒトや動物 どうぶつ に抗原 こうげん を投与 とうよ して得 え られる抗体 こうたい 分子 ぶんし 群 ぐん の総称 そうしょう である。また、モノクローナル抗体 こうたい を複数 ふくすう 組 く み合 あ わせた薬剤 やくざい もポリクローナル抗体 こうたい と呼 よ ばれる。
ウサギ やヤギ に対 たい して免疫 めんえき して作 つく ることが多 おお い。作 つく られた抗体 こうたい はウェスタンブロッティング や免疫 めんえき 染色 せんしょく などで、抗原 こうげん の検出 けんしゅつ に用 もち いられる。主 おも に血清 けっせい として回収 かいしゅう されるため、抗 こう 血清 けっせい とほぼ同義 どうぎ である。モノクローナル抗体 こうたい と対比 たいひ される概念 がいねん で、複数 ふくすう の抗体 こうたい 産 さん 生 せい 細胞 さいぼう に由来 ゆらい する抗体 こうたい 群 ぐん を表 あらわ す言葉 ことば として、モノクローナル抗体 こうたい の発明 はつめい の後 のち に広 ひろ まった。抗原 こうげん は一般 いっぱん に複数 ふくすう のエピトープ を含 ふく むため、病原 びょうげん 体 たい の感染 かんせん などにより自然 しぜん の状態 じょうたい で生体 せいたい に誘導 ゆうどう される抗体 こうたい は、すべてポリクローナル抗体 こうたい である。複数 ふくすう の部位 ぶい を認識 にんしき するため、免疫 めんえき 沈降 ちんこう 法 ほう においてはモノクローナル抗体 こうたい よりも適 てき しているが、非特異 ひとくい 的 てき 吸着 きゅうちゃく も起 お こりやすい。
動物 どうぶつ (馬 うま など)に、毒素 どくそ を無毒 むどく 化 か ・弱毒 じゃくどく 化 か した上 うえ で注射 ちゅうしゃ し、毒素 どくそ に対 たい する抗体 こうたい を作 つく らせる。血清 けっせい 療法 りょうほう は、この抗体 こうたい を含 ふく む血清 けっせい を、病気 びょうき の治療 ちりょう や予防 よぼう に用 もち いる方法 ほうほう である。例 たと えば、ニホンマムシ やハブ の毒素 どくそ に対 たい する抗体 こうたい を、馬 うま に作 つく らせる。マムシ等 とう による咬傷 こうしょう の際 さい 、この血清 けっせい を患者 かんじゃ に投与 とうよ して治療 ちりょう する。ただし、馬 うま 血清 けっせい はヒトにとって異物 いぶつ であるので、投与 とうよ の際 さい にはアナフィラキシー・ショック と遅延 ちえん 型 がた アレルギー に対 たい する十分 じゅうぶん な注意 ちゅうい が必要 ひつよう である。
1925年 ねん アラスカ でジフテリア が猛威 もうい を振 ふ るったとき、犬 いぬ ぞりで血清 けっせい を届 とど けた話 はなし は有名 ゆうめい (バルト 参照 さんしょう )。
血清 けっせい 療法 りょうほう は、1890年 ねん 12月4日 にち に北里 きたさと 柴 しば 三郎 さぶろう とエミール・ベーリング が連名 れんめい で論文 ろんぶん 「動物 どうぶつ におけるジフテリアと破傷風 はしょうふう の血清 けっせい 療法 りょうほう について」において、血清 けっせい 療法 りょうほう の発見 はっけん を発表 はっぴょう したことにより始 はじ まる[1] 。北里 きたさと 柴 しば 三郎 さぶろう は破傷風 はしょうふう を、エミール・ベーリングはジフテリア を研究 けんきゅう し、特 とく にジフテリアの場合 ばあい はエミール・ルーのジフテリア 毒素 どくそ の発見 はっけん もあって血清 けっせい 療法 りょうほう の進展 しんてん にとって画期的 かっきてき なものとなり、後 ご の第 だい 1回 かい ノーベル生理学 せいりがく ・医学 いがく 賞 しょう 受賞 じゅしょう に繋 つな がった[2] 。ただし、ベーリングのジフテリア血清 けっせい 療法 りょうほう は、北里 きたさと の破傷風 はしょうふう 血清 けっせい 療法 りょうほう を基 もと にしたものであり、ベーリング本人 ほんにん も北 きた 里 さと あっての受賞 じゅしょう であることを認 みと めている[3] 。
こうして生 う み出 だ された血清 けっせい 療法 りょうほう だが、運用 うんよう されていく上 うえ で効果 こうか が確実 かくじつ ではないことと副作用 ふくさよう の存在 そんざい が課題 かだい となった。血清 けっせい 療法 りょうほう の問題 もんだい 点 てん は血清 けっせい 中 ちゅう に抗体 こうたい 以外 いがい の物質 ぶっしつ が多 おお く存在 そんざい し、副作用 ふくさよう や効力 こうりょく を弱 よわ める因子 いんし となっていたことだった。そのため、血清 けっせい 中 ちゅう から抗体 こうたい のみを抽出 ちゅうしゅつ する方法 ほうほう が研究 けんきゅう され、純度 じゅんど の高 たか い免疫 めんえき グロブリン製剤 せいざい が生 う み出 だ されるに至 いた り、多 おお くの問題 もんだい 点 てん が改善 かいぜん された。しかし、それでも医療 いりょう 現場 げんば からはより純度 じゅんど の高 たか い抗体 こうたい が求 もと められ、1953年 ねん に東北大学 とうほくだいがく で開発 かいはつ されたハイブリドーマ技術 ぎじゅつ によって、1970年代 ねんだい にモノクローナル抗体 こうたい が発明 はつめい される。モノクローナル抗体 こうたい は動物 どうぶつ 由来 ゆらい の血清 けっせい を使用 しよう しない点 てん で特色 とくしょく があり、血清 けっせい によらずして抗体 こうたい を生産 せいさん する手法 しゅほう は1990年代 ねんだい から実用 じつよう 化 か されていく[4] 。一方 いっぽう ではヒト化 か 抗体 こうたい の研究 けんきゅう も進 すす められており、特 とく にエボラ出血熱 えぼらしゅっけつねつ では生存 せいぞん したヒトから取 と り出 だ した抗体 こうたい が使用 しよう された。
^ E., Behring; S., Kitasato (1890). “Ueber das Zustandekommen der Diphtherie-Immunitat und der TetanusImmunitat bei Thieren.”. Dtsch. Med. Wschr. 16 : 1113-1114.
^ Linton, Derek S., Emil von Behring: Infectious Disease, Immunology, Serum Therapy (Philadelphia: American Philosophical Society, 2005).
^ http://www.saiki.tv/~miro45/kitazato.index.html
^ 抗体 こうたい 物語 ものがたり