(Translated by https://www.hiragana.jp/)
炭酸鉄(II) - Wikipedia コンテンツにスキップ

炭酸たんさんてつ(II)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
炭酸たんさんてつ(II)
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 563-71-3
E番号ばんごう E505 (pH調整ちょうせいざい固化こか防止ぼうしざい)
特性とくせい
化学かがくしき FeCO3
モル質量しつりょう 115.854 g/mol
外観がいかん 無色むしょく結晶けっしょう
密度みつど 3.96 g/cm3[1]
融点ゆうてん

200℃分解ぶんかい

みずへの溶解ようかい 7.2×10-2 g/100 cm3溶液ようえき (18 ℃)[2]
構造こうぞう
結晶けっしょう構造こうぞう さんぽうあきらけい
ねつ化学かがく
標準ひょうじゅん生成せいせいねつ ΔでるたfHo −740.57 kJ mol−1[3]
標準ひょうじゅんモルエントロピー So 92.9 J mol−1K−1
標準ひょうじゅん定圧ていあつモル比熱ひねつ, Cpo 82.13 J mol−1K−1
危険きけんせい
引火いんかてん 不燃ふねんせい
関連かんれんする物質ぶっしつ
関連かんれん物質ぶっしつ 炭酸たんさんマグネシウム;炭酸たんさんコバルト(II);炭酸たんさんニッケル(II);炭酸たんさん亜鉛あえん
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

炭酸たんさんてつ(II)(たんさんてつ)は、てつ炭酸たんさんしおで、化学かがくしきFeCO3あらわされる。ひし鉄鉱てっこう主成分しゅせいぶんてつ炭酸たんさんしおには炭酸たんさんてつ(III)がある。密度みつどは3.8-4.0g/cm3

生成せいせい

[編集へんしゅう]

硫酸りゅうさんてつ(II)などてつ(II)しお水溶液すいようえき酸素さんそ遮断しゃだんして炭酸たんさんナトリウムあるいは炭酸たんさん水素すいそナトリウム水溶液すいようえきくわえると灰白色かいはくしょく沈殿ちんでん生成せいせいする。一方いっぽうで、てつ(III)しお水溶液すいようえき炭酸たんさんしお水溶液すいようえきくわえても、加水かすい分解ぶんかいによりみず酸化さんかてつ(III)水酸化すいさんかてつ(III)とも表現ひょうげんされる)の沈殿ちんでんしょうじるのみで炭酸たんさんてつ(III)の沈殿ちんでんられない[4]

てつ(II)しお濃厚のうこう水溶液すいようえき酸素さんそ遮断しゃだんして炭酸たんさんカリウム水溶液すいようえき過剰かじょうくわえると、錯体さくたいである無色むしょくのジカルボナトてつ(II)さんカリウム K2[Fe(CO3)2] を生成せいせいする。このジカルボナトてつ(II)さんカリウムは水溶液すいようえきちゅう分解ぶんかいして炭酸たんさんてつ(II)を沈殿ちんでんする[1]

性質せいしつ

[編集へんしゅう]

乾燥かんそう空気くうきちゅうでは安定あんていであるが、湿しめった空気くうきちゅうでは酸化さんかされて褐色かっしょくあるいはくろあじびる。炭酸たんさん水素すいそナトリウム水溶液すいようえき錯体さくたい生成せいせいしてけ、まれ塩酸えんさんまれ硫酸りゅうさんには二酸化炭素にさんかたんそ発生はっせいして溶解ようかいてつ(II)しおしょうじる。

加熱かねつによって200℃あたりから分解ぶんかいはじまり、490℃で二酸化炭素にさんかたんそ解離かいりあつが1気圧きあつたっし、同時どうじ分解ぶんかい生成せいせいぶつである二酸化炭素にさんかたんそ酸化さんかてつ(II)はんおう進行しんこうしてよん酸化さんかさんてつ生成せいせいする[1]

溶解ようかいせきは 3.5×10−11 程度ていどである[2]

20℃において1気圧きあつ二酸化炭素にさんかたんそ飽和ほうわしたみずには炭酸たんさん水素すいそてつ(II) Fe(HCO3)2しょうじて、1リットルあたやく1g溶解ようかいし、この炭酸たんさん水素すいそてつ(II)は天然てんねん鉱泉こうせんなかにも存在そんざいする。炭酸たんさん水素すいそてつ(II)は固体こたい結晶けっしょうとしてはたんはなされていない[1]

さんぽうあきらけい方解石ほうかいせきかた構造こうぞうをとり、その格子こうし定数ていすうはa = 5.82Åαあるふぁ = 47°46′である[1]

水田すいでん土壌どじょうちゅうにおける生成せいせい

[編集へんしゅう]

たたえすい状態じょうたいにおかれた水田すいでん土壌どじょうちゅうにはしばしば炭酸たんさんてつ(II)の結核けっかく形成けいせいされ、0.5-1.5cm程度ていどおおきさの灰白色かいはくしょくはて粒状りゅうじょうのものが見出みいだされる。これは空気くうきれると酸化さんかされて青黒あおぐろ-黒褐色こっかっしょく変化へんかする[5]

炭酸たんさんてつ(III)

[編集へんしゅう]

炭酸たんさんてつには、炭酸たんさんてつ(II)だけではなく、さん炭酸たんさんてつ(III)もあるとされる。炭酸たんさんてつ(III)は、てつ(III)しお水溶液すいようえき炭酸たんさんアンモニウム水溶液すいようえき反応はんのうさせたときにしょうじる赤色あかいろ沈殿ちんでんだとされるが、それが、炭酸たんさんてつ(III)であるかはたしかではない。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d e 化学かがくだい辞典じてん共立きょうりつ出版しゅっぱん、1993ねん
  2. ^ a b 日本にっぽん学会がっかいへん化学かがく便覧びんらん 基礎きそへん 改訂かいてい4はん丸善まるぜん、1993ねん
  3. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  4. ^ F.A. コットン, G. ウィルキンソンちょ, 中原なかはら まさるげんやく 『コットン・ウィルキンソン無機むき化学かがく培風館ばいふうかん、1987ねん
  5. ^ 岩佐いわさやすし(1959), CiNii 岩佐いわさやすし(1959): 水田すいでん土壌どじょうちゅう灰白色かいはくしょく炭酸たんさんてつ結核けっかくについて, ペドロジスト, 3(2), 53-58.

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]