においてつ(II)

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においてつ(II)
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 7789-46-0 チェック
PubChem 425646
ChemSpider 74218 チェック
UNII EA3X054RBZ チェック
特性とくせい
化学かがくしき FeBr2
モル質量しつりょう 215.65 g mol-1
外観がいかん 黄色おうしょく-茶色ちゃいろ固体こたい
密度みつど 4.63 g cm-3, 固体こたい
融点ゆうてん

684 °C, 957 K, 1263 °F ((水物みずもの)
27 °C (ろくみず和物あえもの))

沸点ふってん

934 °C, 1207 K, 1713 °F

みずへの溶解ようかい 117 g / 100 ml
溶媒ようばいへの溶解ようかい テトラヒドロフランメタノールエタノール
磁化じかりつ +13,600・10-6 cm3/mol
構造こうぞう
結晶けっしょう構造こうぞう ひし面体めんていあきら, hP3, 空間くうかんぐん = P-3m1, No. 164
はい構造こうぞう はち面体めんてい
危険きけんせい
おも危険きけんせい none
Rフレーズ R20 R36/37/38
Sフレーズ S26 S36
関連かんれんする物質ぶっしつ
そのかげイオン 塩化えんかてつ(II)
そのイオン においてつ(III)
関連かんれんするcompounds VBr2
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

においてつ(II)(Iron(II) bromide)は、化学かがくしきFeBr2無機むき化合かごうぶつである。水物みずもの黄色きいろまたは茶色ちゃいろつね磁性じせい固体こたいである。なに種類しゅるいかのみず和物あえものられており、すべてがあわいろ固体こたいである。研究けんきゅうしつにおいて、てつ化合かごうぶつ一般いっぱんてき前駆ぜんくたいとしてもちいられるが、この化合かごうぶつ自体じたい用途ようとはない。 

構造こうぞう[編集へんしゅう]

おおくの金属きんぞくハロゲン化物ばけもの同様どうように、においてつ(II)は、ハロゲン化物ばけもの架橋かきょうされた孤立こりつした金属きんぞく中心ちゅうしんからなるポリマー構造こうぞうである。臭化物しゅうかぶつイオンみつそうあいだはち面体めんていじょうあなにFe(II)が位置いちするヨウカドミウムかた結晶けっしょうする[1]。ハロゲン化物ばけものイオンのかさなりかたは、塩化えんかカドミウムかた塩化えんかてつ(II)とは、若干じゃっかんことなる。

合成ごうせい構造こうぞう[編集へんしゅう]

においてつ(II)は、におい水素すいそさんてつ粉末ふんまつメタノール溶液ようえきもちいて合成ごうせいされる。メタノール溶媒ようばい和物あえもの[Fe(MeOH)6] Br2水素すいそガスを一緒いっしょ添加てんかし、メタノールふく合体がったい真空しんくうちゅう加熱かねつすることで、純粋じゅんすいにおいてつ(II)がられる[2]

においてつ(II)は、2等量とうりょうにおいテトラエチルアンモニウム反応はんのうし、[(C2H5)4N]2FeBr4あたえる[3]。また、臭化物しゅうかぶつ臭素しゅうそ反応はんのうし、いろ混合こんごう原子げんしである[FeBr3Br9]-形成けいせいする[4]

磁性じせい[編集へんしゅう]

においてつ(II)は、4.2 Kでつよメタ磁性じせいち、典型てんけいてきなメタ磁性じせい化合かごうぶつとして、ながあいだ研究けんきゅうされてきた[5][6]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Haberecht, J.; Borrmann, Ηいーた.; Kniep, R. (2001). “Refinement of the crystal structure of iron dibromide, FeBr2”. Zeitschrift fur Kristallographie - New Crystal Structures 216 (1-4). doi:10.1524/ncrs.2001.216.14.544. 
  2. ^ Winter, G. (1973). “Iron(II) Halides”. Inorganic Syntheses. Inorganic Syntheses. 14. pp. 99-104. doi:10.1002/9780470132456.ch20. ISBN 9780470132456 
  3. ^ N. S. Gill, F.. B. Taylor Inorganic Syntheses 1967, volume 9, page 136-142. doi: 10.1002/9780470132401.ch37
  4. ^ Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5
  5. ^ Wilkinson, M. K.; Cable, J. W.; Wollan, E. O.; Koehler, W. C. (15 January 1959). “Neutron Diffraction Investigations of the Magnetic Ordering in FeBr2, CoBr2, FeCl2, and CoCl2”. Physical Review 113 (2): 497-507. Bibcode1959PhRv..113..497W. doi:10.1103/PhysRev.113.497. 
  6. ^ Jacobs, I. S.; Lawrence, P. E. (10 December 1967). “Metamagnetic Phase Transitions and Hysteresis in FeCl2”. Physical Review 164 (2): 866-878. Bibcode1967PhRv..164..866J. doi:10.1103/PhysRev.164.866.