紅海こうかい

紅海こうかい（こうかい、ヘブライ語ご: יַם סוּף‎, アラビア語ご: البحر الأحمر‎, 英語えいご: Red Sea, フランス語ふらんすご: Mer Rouge）は、アフリカ東北とうほく部ぶと、アラビア半島はんとうに挟はさまれた湾わんである^[1]。

長ながさ2250 km、幅はば最大さいだい355 km、面積めんせき438,000 km²、平均へいきん水深すいしん491 m、最深さいしん部ぶ2,211 m。海水かいすいは強つよい蒸発じょうはつ作用さよう（少すくない降雨こうう）、流入りゅうにゅう河川かせん無なし、インド洋いんどようとの限かぎられた循環じゅんかんなどにより塩分えんぶん濃度のうどは3.6 - 3.8%と高たかい。北部ほくぶにはシナイ半島しないはんとうがあり、チラン海峡かいきょうを通つうじてアカバ湾わんとつながっている。また、北西ほくせい部ぶにはスエズ湾わんがあり、スエズ湾わんはスエズ運河うんがを経へて地中海ちちゅうかいとつながっているほか、南部なんぶはバブ・エル・マンデブ海峡かいきょうを経へてアデン湾わんとつながっている。同どう海峡かいきょうは国際こくさい海峡かいきょうである^[2]。

域内いきないには大おおきな島嶼とうしょは無なく、沿岸えんがん部ぶに小しょう島嶼とうしょが数多かずおおくある。エリトリアのダフラク諸島しょとう、サウジアラビアのファラサン諸島しょとう、イエメンのカマラン島とうなどがある^[2]。

地学ちがく的てきには大だい地溝ちこう帯たいの一部いちぶである紅海こうかい地溝ちこう帯たい (Red Sea Rift) をなしており、火山かざん活動かつどうも見みられる。2011年ねん12月から2012年ねん1月がつにかけ、イエメン沖おきのズバイル諸島しょとうで海底かいてい火山かざんの活動かつどうによって新あたらしい島しまが生うまれた^[3]。

範囲はんい

国際こくさい水路すいろ機関きかんは紅海こうかいの境界きょうかいを以下いかのように定さだめている。^[4]

北きた：スエズ湾わんとアカバ湾わんの南側みなみがわ境界きょうかい。すなわちムハンマド岬みさき (27°43'N) からシャドワン島とう南端なんたん (34°02'E) を結むすび、それから西にしへ緯線いせん (27°27'N) に沿そって伸のびる線せん、およびRàs al FasmaからRequin島とう (27°57′N 34°36′E) を結むすび、チラン島とうを通とおってその南西なんせい端はしから緯線いせん (27°54'N) に沿そってシナイ半島しないはんとうに至いたる線せん。
南みなみ：Husn Murad (12°40′N 43°30′E) とRas Siyyan (12°29′N 43°20′E) を結むすぶ線せん。

海水かいすい

目立めだった河川かせんが流ながれ込こんでいないこともあり海水かいすいの透明とうめい度どが高たかく、200種しゅものサンゴが生息せいそくするなど固有こゆう種しゅも多おおいことからダイバーにとって憧あこがれの対象たいしょうである。とりわけ、エジプトがその経済けいざい的てき恩恵おんけいを享受きょうじゅしている。

海水かいすいの表面ひょうめん温度おんどは夏なつには34 °Cに達たっするが、サンゴの白しろ化かが見みられないのは熱ねつを吸収きゅうしゅうする藻類そうるいによると考かんがえられる。海水かいすいの蒸発じょうはつが激はげしいため、塩分えんぶん濃度のうどは40パーミルと世界せかい平均へいきん35パーミルより高たかい。

目立めだった海流かいりゅうは存在そんざいしない。スエズ湾わん付近ふきんでは北西ほくせいの風かぜが卓越たくえつするが、紅海こうかい南部なんぶでは季き節ぶしにより変かわる。

名前なまえ

紅海こうかいの海水かいすいは赤しゃっくはない。紅海こうかいはギリシャ語ごのエリュトゥラー海うみの直訳ちょくやくで、赤あかいという謂いわれには諸説しょせつある。一説いっせつには、昔むかし方角ほうがくを色分いろわけして考かんがえた（例たとえば北きたの黒海こっかい）ため、南みなみを表あらわす赤あかとなった。ヘロドトスも赤あかい海うみと南みなみの海うみを交互こうごに使つかった。また、エジプトの砂漠さばくを赤あかい大地だいちと言いったことがあり、その大地だいちの海うみという意味いみ、などである。

形成けいせい

紅海こうかいは地球ちきゅうの裂さけ目め、地溝ちこう帯たいに海水かいすいが溜たまった場所ばしょである。アフリカプレートとアラビアプレートが始はじめ新しん世よに裂さけ始はじめ、現在げんざいも拡大かくだいしている。マントルからのマグマ上昇じょうしょうによって海底かいてい火山かざんがいくつも島しまを形成けいせいし、その1つは2007年ねんに激はげしく噴火ふんかした。