(Translated by https://www.hiragana.jp/)
B・A・R 007 - Wikipedia コンテンツにスキップ

B・A・R 007

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
B・A・R 007
2005年カナダGPでの007 ジェンソン・バトンがドライブ
カテゴリー F1
コンストラクター B・A・R
デザイナー イギリスの旗 ジェフ・ウィリス
先代せんだい B・A・R 006
主要しゅようしょもと
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(まえ プッシュロッド アクティブトーションバー ダンパー 機械きかいしきアンチロールバー ダブルウィッシュボーン
サスペンション( プッシュロッド アクティブトーションバー ダンパー 機械きかいしきアンチロールバー ダブルウィッシュボーン
全長ぜんちょう 4,675 mm
全幅ぜんぷく 1,800 mm
ぜんこう 950 mm
トレッド まえ:1,460 mm
:1,420 mm
ホイールベース 3,140 mm
エンジン ホンダ RA005E 3,000 cc 90 V10 NA ミッドシップ
トランスミッション ホンダ 7そく セミAT
重量じゅうりょう 600 kg 以上いじょう(ドライバーふくみ)
燃料ねんりょう エネオス
オイル エネオス
タイヤ ミシュラン
BBS ホイール
主要しゅよう成績せいせき
チーム ラッキーストライク B・A・R ホンダ
ドライバー 3. イギリスの旗 ジェンソン・バトン
4. 日本の旗 佐藤さとう琢磨たくま
4. イギリスの旗 アンソニー・デビットソン
出走しゅっそう時期じき 2005ねん
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
通算つうさん獲得かくとくポイント 38
初戦しょせん 2005ねんオーストラリアGP
最終さいしゅうせん 2005ねん中国ちゅうごくGP
出走しゅっそう優勝ゆうしょう表彰台ひょうしょうだいポールFラップ
160210
テンプレートを表示ひょうじ

B・A・R007は、B・A・R2005ねんのF1世界せかい選手権せんしゅけん参戦さんせんよう開発かいはつしたフォーミュラ1カー2005ねん開幕かいまくせんから、最終さいしゅうせんまで実戦じっせん投入とうにゅうされた。開発かいはつ責任せきにんしゃジェフ・ウィリス

その2005ねんから2006ねんのオフにかけて、2006ねんようV8エンジンとギヤボックステストようマシンとしてB・A・R 078が製作せいさくされ、ホンダ・RA106完全かんぜんにそろうまで使用しようされた。

構造こうぞう

[編集へんしゅう]

2004ねんシーズンにおいてチーム最高さいこうとなるコンストラクターズランキング2獲得かくとくした原動力げんどうりょくB・A・R 006かく方面ほうめんから見直みなおし、2005ねんレギュレーション対応たいおうしたマシンが「007」である。

重量じゅうりょう配分はいぶん若干じゃっかんフロントがわせ(48:52 → 48.9:51.1)、ホイールベースは3,085mmまで短縮たんしゅくした[1]

ダウンフォースを削減さくげんするレギュレーションに対応たいおうして、フロントウイングの中央ちゅうおう部分ぶぶんおおきくげられ、スプーンのようにまるまった形状けいじょうになった。サイドポンツーン後方こうほうちいさくしぼられている。

エンジンは2レースを1だいでカバーするので、2004ねんよりも耐久たいきゅう性能せいのう向上こうじょう(800km → 1,400km)がもとめられたが、ホンダは性能せいのう昨年さくねんみで耐久たいきゅうりょくを2ばいというたか目標もくひょうかかげた。

自社じしゃせいのギヤボックスは変速へんそく駆動くどうロスをらす「シームレスシフト」[2]採用さいようした[1]開幕かいまくせんオーストラリアGPからだい12せんドイツGPまではだい1世代せだいがたであるQS1が、だい13せんハンガリーGP以降いこうだい2世代せだいがたであるQS2が使用しようされた[1]。QS1は2003ねんわりから開発かいはつをはじめ、4そくから7そくがシームレスシフトとなった。信頼しんらいせいかんがえ、トルクがおおきい1そくから3そく通常つうじょうシフトとなっている[1]。QS2はすべてシームレスシフトが可能かのうとなっている[1]

2005ねんシーズン

[編集へんしゅう]

プレシーズン

[編集へんしゅう]

2005ねん1がつ13にちイギリスシルバーストン・ナショナルサーキット佐藤さとう琢磨たくまによってシェイクダウンされた[3]同月どうげつ16にちにはスペインカタロニア・サーキット報道陣ほうどうじんなどをまねいての新車しんしゃ発表はっぴょうかいおこなわれた[3]発表はっぴょうかいのちつづけてバルセロナでのテストを予定よていしていたが、路面ろめん舗装ほそう都合つごうによりバレンシア・サーキットでのテスト(同月どうげつ19 - 21にち)に変更へんこうされた[4]。その同月どうげつ25 - 28にち、2がつ1 - 4にちにかけてバレンシアでの合同ごうどうテストに参加さんかするも、ロングランちゅう幾度いくどとなく発生はっせいするエンジンブローとグリップ・ペース不足ふそくなやまされた[5]

シーズン開幕かいまく

[編集へんしゅう]

プレシーズンテストでエアロダイナミクスめんでの欠陥けっかん発覚はっかく。さらにエンジンの信頼しんらいせいにも不安ふあんかかえるという最悪さいあく状況じょうきょう開幕かいまくむかえた。開幕かいまくせんオーストラリアGPではつぎせんのエンジン交換こうかん見越みこして、最終さいしゅうラップにチェッカーをけずピットインする戦術せんじゅつてきリタイア[6][7]物議ぶつぎかもした。結局けっきょく、ノーポイントのままだい3せんまでを消化しょうかした。

ヨーロッパラウンド初戦しょせんだい4せんサンマリノGPでは、マシンに大幅おおはばなモディファイを敢行かんこう。バトン3佐藤さとう5とダブル入賞にゅうしょうし、復活ふっかつ第一歩だいいっぽおもわれたが、レース車検しゃけん最低さいてい重量じゅうりょう違反いはんうたがいをかけられた(詳細しょうさい後述こうじゅつ)。5月5にち国際こくさい控訴こうそ裁判所さいばんしょ (ICA) で裁定さいていくだされ、B・A・RをサンマリノGPリザルトから除外じょがいすることにくわえて、スペインGPモナコGPの2せん出場しゅつじょう停止ていし以降いこう6ヶ月かげつ出場しゅつじょう停止ていし(1年間ねんかん執行しっこう猶予ゆうよき)という厳罰げんばつ決定けっていした。

だい8せんカナダGPではバトンがポールポジションを獲得かくとくしたが、レースでは2だいともリタイア。だい9せんアメリカGPではミシュランタイヤ使用しようチームがレースを棄権きけんするなど、まともにたたかうこともままならなかった。

そののヨーロッパラウンドではようやくマシン改修かいしゅうこうそうし、だい10せんフランスGPでシーズンはつポイントを獲得かくとく。バトンは最終さいしゅうせんまで10せん連続れんぞく入賞にゅうしょう・2かいの3表彰台ひょうしょうだい活躍かつやくせた。しかし、佐藤さとう完走かんそうするものの、レースちゅう接触せっしょくやマシントラブルなどでポイント圏外けんがいでのフィニッシュがなんもあり、だい13せんハンガリーGPでの81かいわった。だい11せんイギリスGPではフォーメーションラップなかにステアリングのボタンを間違まちがい、エンジンストールするというハプニングもこった。

最終さいしゅうてきにコンストラクターズランキングは前年ぜんねんの2から6後退こうたいした。

重量じゅうりょう規定きてい違反いはん騒動そうどう

[編集へんしゅう]

サンマリノGP終了しゅうりょう車検しゃけんにおいて、3入賞にゅうしょうしたバトンのマシンから燃料ねんりょうったところ、くるまじゅう最低さいてい重量じゅうりょう規定きていの600kg[8]よりも5.4kgかるいことが判明はんめいした。燃料ねんりょうのメインタンクをそらにした状態じょうたいでは600kgを上回うわまわっていたが、予備よびタンク(コレクタータンク)にあまっていたガソリンまでくと規定きていたっしなかった。

このとしのホンダエンジンは予備よびのコレクタータンクに一定いっていりょうのガソリンをめておくことで、くるま変化へんか影響えいきょうされず燃料ねんりょう安定あんてい供給きょうきゅうする仕組しくみになっていた。市販しはんしゃでも使用しようされる装置そうちであり、事前じぜんマレーシアGPでFIA技術ぎじゅつ委員いいん査察ささつけたさいには問題もんだいとされなかった。B・A・Rはコレクタータンクないのガソリンは構造こうぞうじょう使つかえない燃料ねんりょう」であると説明せつめい。レースちゅうつねに600kg以上いじょうくるまじゅう走行そうこうしていたというデータを提出ていしゅつし、レーススチュワードの理解りかいて、一旦いったんはリザルトがみとめられた。

しかし、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい (FIA) はコレクタータンクの燃料ねんりょう重量じゅうりょう規定きていをクリアするための「バラスト[9]」ではないかと主張しゅちょう。レーススチュワードの判断はんだん不服ふふくとし、国際こくさい控訴こうそ裁判所さいばんしょたいして「B・A・Rの2005ねんシーズンの選手権せんしゅけんからの除外じょがい」と「罰金ばっきん100まんユーロ」をもとめて提訴ていそした。

裁定さいていでは故意こいかつ悪意あくいのある反則はんそく行為こういみとめられないと判断はんだんされたが、B・A・Rがわレギュレーション独自どくじ解釈かいしゃくしたことが問題もんだいされた。車体しゃたい最低さいてい重量じゅうりょう燃料ねんりょうぶんふくめるのかどうかは明文化めいぶんかされていなかったが、1994ねんにレースちゅうさい給油きゅうゆみとめられて以来いらい、ガソリンをすべていた状態じょうたいとするのが通例つうれいとなっており、チームがレギュレーションの確認かくにん義務ぎむおこたったことが処罰しょばつ理由りゆうとされた。

しかし、FIAの強硬きょうこう姿勢しせいには政治せいじてき思惑おもわく垣間見かいまみられた。当時とうじはF1に参戦さんせんする自動車じどうしゃメーカーがFIAと対立たいりつし、グランプリ・ワールド・チャンピオンシップ(GPWC)→グランプリ・マニュファクチャラーズ・アソシエーション(GPMA)を結成けっせいして2008ねんから独立どくりつシリーズをげると宣言せんげんしていた。ホンダはGPWCがわ接近せっきんし、GPMAへの改組かいそにメンバーりしていたため、政争せいそうスケープゴートにされたという見方みかた存在そんざいした[10]

B・A・Rは民事みんじ訴訟そしょう検討けんとうしたがこの裁定さいていれ、出場しゅつじょう停止ていしけのヨーロッパGP以降いこうは6kgのバラストを余分よぶん搭載とうさいして出走しゅっそうした。

スペック

[編集へんしゅう]

シャーシ

[編集へんしゅう]
アメリカGPでの007。バトンがドライブ。

エンジン

[編集へんしゅう]
ホンダRA005E
  • エンジンめい ホンダRA005E
  • 気筒きとうすう角度かくど Vがた10気筒きとう・90
  • 排気はいきりょう 3,000cc
  • 最高さいこう回転かいてんすう 18,500回転かいてん以上いじょう
  • 最大さいだい馬力ばりき 900馬力ばりき以上いじょう
  • ボア×ストローク 97.0mm×40.52mm[11]
  • 重量じゅうりょう 88.6kg[11]
  • スパークプラグ NGK
  • 燃料ねんりょう潤滑油じゅんかつゆ エネオス
  • イグニッション ホンダPGM-IG
  • インジェクション ホンダPGM-FI

記録きろく

[編集へんしゅう]
とし No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 ポイント ランキング
AUS
オーストラリアの旗
MAL
マラヤ連邦の旗
BHR
バーレーンの旗
SMR
サンマリノの旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
EUR
欧州連合の旗
CAN
カナダの旗
USA
アメリカ合衆国の旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
TUR
トルコの旗
ITA
イタリアの旗
BEL
ベルギーの旗
BRA
ブラジルの旗
JPN
日本の旗
CHN
中華人民共和国の旗
2005 3 イギリスの旗 バトン 11 Ret Ret DSQ EX EX 10 Ret DNS 4 5 3 5 5 8 3 7 5 8 38 6
4 日本の旗 佐藤さとう 14 WD Ret DSQ EX EX 12 Ret DNS 11 16 12 8 9 16 Ret 10 DSQ Ret
イギリスの旗 デビッドソン Ret

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d e 『モーターファン・イラストレーテッド F1のテクノロジー3』三栄書房さんえいしょぼう、2011ねん、p.78ぺーじISBN 9784779611933 
  2. ^ ホンダでの呼称こしょうはクイックシフト。
  3. ^ a b 『F1速報そくほう』2005ねん2がつ10にちごう新車しんしゃ情報じょうほうごう」ニューズ・パブリッシング、2005ねん、p.2
  4. ^ 『F1速報そくほう』2005ねん2がつ10にちごう新車しんしゃ情報じょうほうごう」ニューズ・パブリッシング、2005ねん、p.15
  5. ^ 『F1速報そくほう』2005ねん2がつ24にちごう「シーズン展望てんぼうごう」ニューズ・パブリッシング、2005ねん、p.60
  6. ^ F1世界せかい選手権せんしゅけんだい1せんオーストラリアGP - 本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう(2012ねん2がつ29にち閲覧えつらん
  7. ^ このとし導入どうにゅうされた2レース1エンジン規定きていでは、「周回しゅうかいすう半分はんぶん以上いじょうえてからリタイヤしたマシンは、10グリッド降格こうかくのペナルティーしでつぎせんエンジン変更へんこう可能かのう」というルールのみちがあった。
  8. ^ 車両しゃりょう重量じゅうりょう+ドライバーの体重たいじゅう合計ごうけいが600kg(予選よせんでは605kg)を上回うわまわらなければならない。
  9. ^ 車両しゃりょう搭載とうさいするバラストは固形こけいである必要ひつようがあり、液体えきたい冷却れいきゃくすい燃料ねんりょう)をバラストとして使用しようすることはできない。
  10. ^ 『レーシングオン 2005ねん8がつごう』 イデア、2005ねん、p.70。
  11. ^ a b c d e 『モーターファン・イラストレーテッド F1のテクノロジー3』三栄書房さんえいしょぼう、2011ねん、p.88ぺーじISBN 9784779611933 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]