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FlexRay

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

FlexRay(フレックスレイ)とは、FlexRay Consortiumによって開発かいはつされた、自動車じどうしゃなどの車載しゃさいネットワーク車載しゃさいLAN)の通信つうしんプロトコル(ビークルバス)の1つである。

車載しゃさい通信つうしんネットワークとしてはもっと普及ふきゅうしているController Area Network(CAN)とはことなる要求ようきゅうこたえるものとして2000ねんごろから欧州おうしゅう自動車じどうしゃメーカーを中心ちゅうしん策定さくてい作業さぎょう本格ほんかくし、2004ねんには日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーすうしゃ日本にっぽんがわからの要望ようぼうれた規格きかく策定さくていうごきをはじめた。欧州おうしゅうせい高級こうきゅう自動車じどうしゃでは最新さいしんの2.1a規格きかく沿った車載しゃさいLAN製品せいひん採用さいようはじまっている。FlexRayコンソーシアムは2009ねん廃止はいしされたが、FlexRay標準ひょうじゅん現在げんざい、ISO標準ひょうじゅん 17458-1 - 17458-5となっている[1]

CANやTime-Triggered Protocol英語えいごばん(TTP)よりも性能せいのう機能きのうおおきく上回うわまわ規格きかくとして、高速こうそく信頼しんらいせいたかくなるように設計せっけいされたため、コストがたかい。日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーではよりCANにちかあらたなバージョンである3.0(仮称かしょう)の規格きかく制定せいていうごいている[2]

名称めいしょうはFlexible Ray(柔軟じゅうなん光線こうせんてんじてFlexRayとなっているが、2009ねん現在げんざいにおいては電気でんきによる通信つうしんのみが実用じつようされている。

特徴とくちょう

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FlexRayは、最大さいだい10 Mbit/sの高速こうそくデータレートに対応たいおうし、スターがたとパーティラインがた両方りょうほうのバストポロジに対応たいおうし、フォールトトレランスのために2つの独立どくりつしたデータチャネルをつことができる(1つのチャネルが動作どうさしない場合ばあいは、帯域たいいきはばらして通信つうしんつづけることができる)。バスは、静的せいてきセグメントと動的どうてきセグメントの2つの部分ぶぶん分割ぶんかつされた時間じかん周期しゅうき動作どうさする。静的せいてきセグメントは、個々ここ通信つうしん種別しゅべつのスライスに事前じぜんてられ、CANよりも強力きょうりょくなリアルタイムせい保証ほしょう提供ていきょうする。動的どうてきセグメントは、CANのように動作どうさし、ノードがバスを使用しよう可能かのう制御せいぎょして、イベント・トリガの動作どうさ可能かのうにする[3][4]

規格きかく変遷へんせん

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ほん規格きかく仕様しようは、おも物理ぶつり形状けいじょう通信つうしんプロトコルから構成こうせいされ、以下いかのバージョンによってちがいがある。

2002ねん4がつ仕様しよう発表はっぴょう

2004ねん6がつ仕様しよう発表はっぴょう

2005ねん12月仕様しよう発表はっぴょう。2009ねん現在げんざい最新さいしんばんの「欧州おうしゅうばんFlexRay規格きかく

3.0(仮称かしょう

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順調じゅんちょうにいけば2009ねんまつ規定きてい予定よていの「日本にっぽんばんFlexRay規格きかく

CANへの不満ふまん

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たか特許とっきょりょう

CANはISOはされているがドイツのボッシュしゃ独自どくじ開発かいはつした規格きかくであり、特許とっきょ大半たいはん同社どうしゃ保有ほゆうしている。みずから「ライセンスりょうおおきな利益りえきている」とみとめるように、ライセンス条件じょうけん料金りょうきんは1しゃ独占どくせんしてめられる。

相互そうご接続せつぞくせい

ボッシュしゃ互換ごかんせい保証ほしょうするための厳密げんみつ相互そうご接続せつぞくせい試験しけん規定きていさだめなかったため、同社どうしゃとそれ以外いがいのメーカーのCAN製品せいひん同士どうしでの接続せつぞくには問題もんだいしょうじた。

リアルタイムせい

長年ながねん研究けんきゅう開発かいはつ

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FlexRayは突然とつぜんされた技術ぎじゅつ規格きかくではない。欧州おうしゅうでは1979ねんから現在げんざいのFlexRayにつながるいくつもの研究けんきゅう開発かいはつ蓄積ちくせきうえ登場とうじょうした技術ぎじゅつである。1979ねんにMARSプロジェクトとして航空機こうくうき鉄道てつどう自動車じどうしゃよう通信つうしん規格きかく研究けんきゅう開発かいはつはじめられた。その、PDCSプロジェクト、X-by-Wireプロジェクト、TTAプロジェクトなどがほぼ1989ねんから1998ねんまでのあいだすすめられ、EU委員いいんかいはこれらにすうひゃくおくえん規模きぼ研究けんきゅう助成じょせいあたえた。

これらの研究けんきゅうはやがてTTP/CとFlexRayという2つのグループにかれたが、アウディPSA・プジョーシトロエンルノーフォルクスワーゲン中心ちゅうしんとしてTTP/Cを推進すいしんしていたTTAグループからフォルクスワーゲン、PSAとルノーがFlexRay陣営じんえい移動いどうするなどしたため、"FlexRay Consortium"が欧州おうしゅうにおける車載しゃさいLANでのあらたな主流しゅりゅう規格きかく獲得かくとくした[2]

3つの規格きかく比較ひかく

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FlexRay 2.1aとFlexRay 3.0, CANとの比較ひかく以下いかしめす。

. FlexRay 2.1a FlexRay 3.0
正式せいしき規格きかくまえ仮称かしょう
CAN
トポロジー バスがた
(スターがたふくごうがた可能かのう
スターがた
(バスがたふくごうがた可能かのう
バスがた
通信つうしん速度そくど 5 Mbps,
2.5 Mbps
(10 Mbpsも可能かのう)
10 Mbps 1 Mbps
おおくが500 kbpsで使用しよう
最大さいだいノードすう 6(5 Mbps)、
22(2.5 Mbps)
スターがた:22
バスがた数個すうこ
15程度ていど
自動車じどうしゃメーカーによりことなる)
チャンネルすう 1チャンネル 2チャンネル 1チャンネル
通信つうしんタイミング タイム・トリガがた タイム・トリガがた イベント・ドリブンがた

[2]

標準ひょうじゅん団体だんたい

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FlexRayコンソーシアム

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2000ねん9がつに、ドイツのBMWダイムラー、オランダのNXPセミコンダクターズ、アメリカのフリースケール・セミコンダクタによってあらたな自動車じどうしゃよう通信つうしん規格きかく策定さくてい目指めざして、FlexRayコンソーシアム(FRC)が設立せつりつされた。2001ねん8がつにはボッシュも参加さんかした。FRCは以下いかのコアメンバーで構成こうせいされていた。

FlexRayコンソーシアムには、にのプレミアム・アソシエートおよびアソシエート・メンバーも存在そんざいした。2009ねん9がつまでに、28しゃのプレミアム・アソシエートと60しゃ以上いじょうのアソシエート・メンバーが加盟かめいしていた。2009ねんまつに、コンソーシアムは解散かいさんした。

欧州おうしゅう高級こうきゅう自動車じどうしゃメーカーを中心ちゅうしん設立せつりつされたFRCは、CANにくらべて機能きのう性能せいのう両面りょうめん上位じょうい規格きかくもとめていた。たとえばブレーキ操作そうさなどを電気でんきてきつたえる"X-by-Wire" (XBW) などを実現じつげんできる通信つうしん規格きかくである。XBWではたか信頼しんらいせい高速こうそくせいもとめられるため、通信つうしんようチャネルは2系統けいとうそなえて冗長じょうちょうせいたせ、通信つうしん速度そくども10 MbpsとCANの10ばいとされた。

FlexRayの規格きかく策定さくていにあたっては、ボッシュによるCAN特許とっきょ独占どくせんわだちまないように、特定とくていの1しゃ主導しゅどうすることをけながら慎重しんちょうすすめられ、FRC参加さんか企業きぎょうには特許とっきょライセンスりょう支払しはらわなくてむようにされた。相互そうご接続せつぞくせい適合てきごうせいテストの内容ないよう厳密げんみつさだめられた。

2002ねん4がつ最初さいしょ要求ようきゅう仕様しよう1.0を発表はっぴょうし、2004ねん6がつには2.0を、2005ねん12月には2009ねん現在げんざい最新さいしんばんとなる2.1aを発表はっぴょうした[2]

日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーも、CAN通信つうしんロバート・ボッシュしゃによる特許とっきょ独占どくせんけていた状況じょうきょうえるものとして欧州おうしゅうでのFlexRay規格きかく登場とうじょう基本きほんてきには歓迎かんげいした。とくに、XBWのようなブレーキステアリング操作そうさ電気でんきてきつたえる用途ようとにイベント・ドリブンがたのCANを使つかおうとしてもリアルタイムせいけるために不適ふてきであり、タイム・トリガがた冗長じょうちょうせいにも配慮はいりょしたFlexRayは魅力みりょくてきだった。

日本にっぽんがわから欧州おうしゅうばんFlexRay規格きかく問題もんだいてんは、こうコストになるてんであった。FlexRayを策定さくてい導入どうにゅうすすめていた欧州おうしゅう自動車じどうしゃメーカーはおも高級こうきゅうしゃつくっておりコストはそれほど障害しょうがいとならなかったが、日本にっぽんがわでは一般いっぱん大衆たいしゅうしゃ主眼しゅがんにしていたのでていコストは必須ひっすだった。また、欧州おうしゅうでのあらたな自動車じどうしゃ技術ぎじゅつ適応てきおうは、しん車種しゃしゅなどから順次じゅんじえてゆく手法しゅほうられていたが、日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーでは車内しゃないLANのような基盤きばん技術ぎじゅつぜん車種しゃしゅ統一とういつして開発かいはつ生産せいさんおこなわれていたので、一部いちぶ高級こうきゅうしゃだけに導入どうにゅうするという手法しゅほうりがたかったという事情じじょうもあった。

2004ねん9がつトヨタ自動車とよたじどうしゃ日産自動車にっさんじどうしゃ中心ちゅうしんとなって日本にっぽん自動車じどうしゃ産業さんぎょう各社かくしゃあつまり、CANを代替だいたいする用途ようととしてのFlexRayのあらたな下位かい規格きかくつくることを最初さいしょおも目的もくてきにして、"Japan Automotive Software Platform and Architecture" (JASPAR) が設立せつりつされた。

JasParに参加さんかした日本にっぽんのメーカーではこうコストになる要因よういんの1つであるスターがたトポロジの接続せつぞく形態けいたいをバスがたトポロジにすることでコストだかとなるワイヤーハーネス分岐ぶんきてんのカプラをはぶくことを検討けんとうした。欧州おうしゅうばんFlexRayでもバスがたトポロジをサポートはしていたが、バス配線はいせん高速こうそく通信つうしん実現じつげんすると不要ふよう電磁でんじ放射ほうしゃによる環境かんきょう条件じょうけんきびしい車内しゃないでは数個すうこのノードしか接続せつぞくできなくなるので不都合ふつごうだった。このため通信つうしん速度そくどを10 Mbpsから5 Mbpsと2.5 Mbpsの2しゅくわえることでバスがたによってカプラをはぶきながらノードすうも6や22十分じゅうぶん確保かくほするあらたな規格きかくもとめた。

日本にっぽん足踏あしぶ

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JasPar(日本にっぽんのメーカーを主体しゅたいとした規格きかく団体だんたい)が日本にっぽんのメーカーが希望きぼうするあらたなFlexRay規格きかくを2009ねんまつにも規格きかく制定せいていする見込みこみであるが、この制定せいてい手間取てまどっているだけでなく、基幹きかん部品ぶひんとなるマイコン内部ないぶまれるFlexRay通信つうしんようIPコアおよびトランシーバICの開発かいはつすすんでいない。ロバート・ボッシュ (企業きぎょう)フリースケール・セミコンダクタ共同きょうどうでJasParばんFlexRay対応たいおうIPコアを1種類しゅるいだけ開発かいはつすると表明ひょうめいしている。日本にっぽん半導体はんどうたいメーカーがわ積極せっきょくせいわれそうだが、JasParばんFlexRayの策定さくてい主導しゅどうしている日本にっぽん大手おおて自動車じどうしゃメーカーのいずれもがJasParばんFlexRayの実車じっしゃへの搭載とうさい躊躇ちゅうちょしていることがその原因げんいんとなっている。

トヨタ自動車とよたじどうしゃではプリウスにJasParばんFlexRayの採用さいよう検討けんとうしたようだが、見送みおくった。CANの利用りようにおいてはボッシュしゃ特許とっきょ独占どくせん問題もんだい今後こんご機能きのう拡張かくちょう性能せいのう向上こうじょう余地よちがなく代替だいたい技術ぎじゅつ移行いこうしたいが、日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーからすればFlexRayはCANにくらべるとトランシーバICで2-3ばいにコスト上昇じょうしょう見込みこまれ、ソフトウェア開発かいはつもCANより工数こうすうえ、ハーネスも同等どうとうレベルのコストを維持いじできるか疑問ぎもんとされ、総体そうたいとしてはかなりのコストだか予想よそうされるので簡単かんたんにはCANから移行いこうできない。こういった事情じじょうにわとりたまご関係かんけいにもて、実車じっしゃ採用さいようされないと電子でんし部品ぶひん価格かかくがらず、電子でんし部品ぶひん価格かかくがらないと実車じっしゃ採用さいようできないというジレンマにおちいっている。

日本にっぽんのメーカーがわではJasParばんFlexRayを策定さくていし、その実績じっせきって車載しゃさいソフトウェアの標準ひょうじゅん団体だんたいであるAUTOSARうち日本にっぽん自動車じどうしゃ産業さんぎょうかい立場たちば確立かくりつする構想こうそうであったが、日本にっぽんばんFlexRayの先行さきゆきすらもあやぶまれる状況じょうきょうになっている。AUTOSARでは自動車じどうしゃようMCU内蔵ないぞうソフトウェアをモジュール/汎用はんようすることでさい利用りよう容易よういにする規格きかく策定さくていちゅうであるが、開発かいはつ工数こうすう削減さくげん期待きたい出来でき反面はんめん、マイコン(MCU)に要求ようきゅうされる能力のうりょくたかくなるため高価こうかとなり、トータルではコストだかとなることを危惧きぐして日本にっぽんがわではモジュール反対はんたい立場たちばである[2]

詳細しょうさい

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クロック

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FlexRayシステムは、バスとプロセッサ(電子でんし制御せいぎょユニット、ECU)で構成こうせいされている。かくECUには独立どくりつしたクロックがある。クロックドリフト英語えいごばん基準きじゅんクロックから0.15%以下いかでなければならないため、システムの最速さいそくクロックと最速さいそくクロックのは0.3%以下いかである。

これは、ECU-sを送信そうしん、ECU-rを受信じゅしんとするとき、送信そうしんでの300周期しゅうきあいだ受信じゅしんがわでは299〜301周期しゅうき存在そんざいすることを意味いみする。クロックを頻繁ひんぱんさい同期どうきすることで、問題もんだい発生はっせいしないことが保証ほしょうする。クロックは静的せいてきセグメントで送信そうしんされる[5]

バスじょうのビット

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0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0

エラーがない場合ばあい平均へいきん修正しゅうせいする。 信号しんごうたんに2周期しゅうきだけ遅延ちえんされる。

0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0

8周期しゅうきなかあいだ付近ふきんのエラーは解消かいしょうされる。

0 0 0 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0

8周期しゅうき領域りょういき境界きょうかい付近ふきん誤差ごさ境界きょうかいビットに影響えいきょうあたえる可能かのうせいがある。

毎回まいかい、1つのECUだけがバスにデータをむ。送信そうしんされるかくビットは8サンプルのクロック周期しゅうきあいだバスじょう保持ほじされる。受信じゅしんは、最後さいごの5つのサンプルのバッファを保持ほじし、最後さいごの5つのサンプルから多数決たすうけつ入力にゅうりょく信号しんごう決定けっていする。

たん周期しゅうき送信そうしんエラーは、ビット境界きょうかい付近ふきん結果けっか影響えいきょうする可能かのうせいがあるが、8周期しゅうき領域りょういき中央ちゅうおうには影響えいきょうしない。

サンプルするビット

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ビットのは、8ビット領域りょういき中央ちゅうおうでサンプリングされる。エラーはいちばんはし周期しゅうき移動いどうし、ドリフトがちいさくなるように頻繁ひんぱんにクロックが同期どうきされる(ドリフトは300周期しゅうきあたり1周期しゅうきよりちいさく、送信そうしんちゅうは300周期しゅうきごとに1かい以上いじょう同期どうきする)。

フレーム

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すべての通信つうしんはフレーム形式けいしき送信そうしんされる。メッセージは、つぎのようにパックされたバイト である。

  • Transmission Start Signal (TSS) – bit 0
  • Frame Start Signal (FSS) – bit 1
  • m かいかえし:
    • Byte Start Signal 0 (BSS0) – bit 1
    • Byte Start Signal 1 (BSS1) – bit 0
    • 0th bit of i-th byte
    • 1st bit of i-th byte
    • 2nd bit of i-th byte
    • ...
    • 7th bit of i-th byte
  • Frame End Signal (FES) – bit 0
  • Transmission End Signal (TES) – bit 1

なに通信つうしんされていなければ、バスは状態じょうたい1(こう電圧でんあつ)に保持ほじされているので、すべての受信じゅしんは、電圧でんあつが0に低下ていかしたときに通信つうしん開始かいしされたことがわかる。

受信じゅしんは、BSS0 (1) またはFES (0) が受信じゅしんされたかどうかをチェックすることで、メッセージがいつ完了かんりょうしたかがわかる。

ビットあたりの8周期しゅうきはバイトとは無関係むかんけいである。かくバイトは転送てんそうに80周期しゅうきかかる。BSS0とBSS1の場合ばあいは16、そのビットの場合ばあいは64である。また、BSS0は 1 をち、BSS1は 0 をつ。

クロック同期どうき

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受信じゅしんがアイドル状態じょうたいにあるかBSS1を予期よきしていたときに、受信じゅしんした信号しんごうが1から0に変化へんかすると、クロックはさい同期どうきされる。

受信じゅしんした信号しんごうたいして同期どうきおこなわれるので、境界きょうかいビットに影響えいきょうおよぼす同期どうきちゅうちいさな送信そうしんエラーは、1周期しゅうきえて同期どうきをスキューする可能かのうせいがある。同期どうきあいだに88周期しゅうき(BSS1が最後さいごのバイトの8ビット。FESとTESが8周期しゅうきにそれぞれ11ビット)あり、クロックドリフトは300周期しゅうきたり1よりおおくないので、ドリフトはクロックをいがませる1周期しゅうきえてはならない。受信じゅしんちゅうちいさな送信そうしんエラーは、境界きょうかいビットのみに影響えいきょうする可能かのうせいがある。したがって、最悪さいあく場合ばあいでも、2つのなかあいだビットはただしいので、サンプリングされたただしい。

ここでは、同期どうきちゅうのエラー、クロックドリフトによるサイクルの喪失そうしつ伝送でんそうエラーなどのとくわる場合ばあいれいしめす。

このれい発生はっせいしたエラー

  • 同期どうきちゅうのシングルビットエラーのため、同期どうきが1周期しゅうきおくれた。
  • 受信じゅしんのクロックが送信そうしんがわのクロックよりもおそかったので、受信じゅしんは1周期しゅうきのがした(下図したずでXとマークされている)。これは、最大さいだい許容きょようクロックドリフトの限界げんかいのために、つぎ同期どうきまえふたたこることはない。
  • 送信そうしんちゅうのシングルビットエラーのため、結果けっかちかくでビットがあやまって受信じゅしんされた。

非常ひじょうおおくのエラーにもかかわらず、通信つうしんまさしく受信じゅしんされる。

みどりのセルはサンプリングされたビットである。最初さいしょのものをのぞすべてが、しめされている送信そうしんフラグメントの1→0のエッジによって同期どうきされる。

送信そうしんデータ 1 0 1 0 1
送信そうしん信号しんごう 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
バスじょう信号しんごう 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1
受信じゅしん信号しんごう 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 X 1 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1
5-maj voted 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 X 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1

開発かいはつツール

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FlexRayの開発かいはつやトラブルシューティングをおこなさいには、ハードウェア信号しんごう検査けんさ非常ひじょう重要じゅうようである。ロジックアナライザバスアナライザは、信号しんごう収集しゅうしゅう分析ぶんせき、デコード、保存ほぞんして、高速こうそく波形はけい表示ひょうじできるツールである。

FlexRayの将来しょうらい

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このプロトコルには、動作どうさ電圧でんあつレベルがひくく、エッジが非対称ひたいしょうであるなどの欠点けってんがあり、ネットワークのながさをながくするさい問題もんだいとなる。帯域たいいきはば集約しゅうやくてき安全あんぜんせいけるアプリケーションでは、EthernetをFlexRayにえることができる[6]

出典しゅってん

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  1. ^ Lorenz, Steffen (2010ねん). “The FlexRay Electrical Physical Layer Evolution” (PDF). Automotive 2010. 2015ねん2がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん2がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e 清水しみずただししげるちょ 『かえしなるか“まる車載しゃさいLAN』、日経にっけいエレクトロニクス2009ねん5がつ18にちごう
  3. ^ How FlexRay Works”. Freescale Semiconductor. 2014ねん3がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ Vaz, R. M.; Hodel, K. N.; Santos, M. M. D.; Arruda, B. A.; Netto, M. L.; Justo, J. F. (2020). “An efficient formulation for optimization of FlexRay frame scheduling”. Vehic. Commun. 24: 100234. doi:10.1016/j.vehcom.2020.100234. 
  5. ^ Introduction to FlexRay”. www.star-cooperation.com. STAR ELECTRONICS. 2016ねん12月20にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん8がつ31にち閲覧えつらん
  6. ^ Hammerschmidt, Christoph (2010ねん6がつ18にち). “Beyond FlexRay: BMW airs Ethernet plans”. EE Times. 2015ねん2がつ16にち閲覧えつらん

参考さんこう資料しりょう

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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