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「ウール」のはんあいだ差分さぶん

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毛糸けいとを[[織物おりもの|って]]毛織物けおりものをつくる。
毛糸けいとを[[織物おりもの|って]]毛織物けおりものをつくる。

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== 長所ちょうしょ短所たんしょ ==
== 長所ちょうしょ短所たんしょ ==

2024ねん6がつ17にち (月)げつ 10:45時点じてんにおける最新さいしんばん

哺乳類ほにゅうるいのトップコート(外側そとがわかた)のしたのアンダーコート(からだひょうちかやわらかい)がウールである。
られたウール

ウール (えい: wool) は、哺乳類ほにゅうるいの、あつくて、やわらかくて、波状はじょうのアンダーコート[注釈ちゅうしゃく 1]であり[1]典型てんけいてきには、ひつじのアンダーコートである[1]ケラチン繊維せんいのマトリックスから構成こうせいされる[1]。また、そのつくった製品せいひん[1](ウールの毛糸けいと毛織物けおりものなど)。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

ウールのなかでも、とく生産せいさんりょうおお代表だいひょうてきなのは羊毛ようもうひつじ原料げんりょうとしたウール)であるが、そのにも、ヤギ原料げんりょうとするモヘヤカシミヤウサギ原料げんりょうとするアンゴラアルパカ原料げんりょうとするウール("アルパカ")などもある(それらのおおくは、羊毛ようもうよりも高級こうきゅうひんとしてあつかわれている)。→#動物どうぶつ種類しゅるい

羊毛ようもうがウールの代表だいひょうであるので、ほん記事きじでは羊毛ようもう中心ちゅうしん説明せつめいするが、その、ヤギ・ウサギ・アルパカなど哺乳類ほにゅうるいのウールについてもほん記事きじ説明せつめいする。

広義こうぎには、上述じょうじゅつつむいだ毛糸けいとや、毛糸けいとった毛織物けおりものなどもウールとばれる[2]

ウールは動物どうぶつ繊維せんいのなかの代表だいひょうてき存在そんざいであり、動物どうぶつ繊維せんいのなかでもっとおお使用しようされている[2]。ウールはスーツコート服地ふくじセーターストールマフラー帽子ぼうしなど防寒ぼうかん服飾ふくしょくひん防寒ぼうかん寝具しんぐ緩衝かんしょうざいとして使つかわれる毛布もうふ、またカーペットカーテンなどのインテリアしな用途ようと羊毛ようもうフェルトなど、多様たようしな素材そざいとして使つかわれている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

ひつじはかなりむかしから飼育しいくされていた。

メソポタミア南部なんぶ南部なんぶシュメール石膏せっこうせいのトラウ(細長ほそながおけ)にレリーフでえがかれたひつじ紀元前きげんぜん3200ねんごろのもの。

アナトリア南東なんとうタウルス山脈さんみゃくで、いまから10,500ねんまえ家畜かちくされたひつじ証拠しょうこつかっており、現在げんざいのところ、これがひつじ最初さいしょ家畜かちくされた場所ばしょ推定すいていされている[3]

人類じんるいがまだひつじってそれを使つかうという方法ほうほうおもいついていなかった段階だんかいでは、ひつじ毛皮けがわ衣服いふくとしてにまとっていた。[4]

メソポタミアの初期しょき王朝おうちょう時代じだいEarly Dynastic Period)、紀元前きげんぜん2500ねん-紀元前きげんぜん2330ねんごろかれた、ウールよう土地とち販売はんばい記録きろく粘土ねんどばん楔形文字くさびがたもじかれたもの。

歴史れきし学者がくしゃは、古代こだいメソポタミア人々ひとびとひつじってそれからふくつくることができると発見はっけんした、とかんがえている[4]。これは偉大いだい発見はっけんであった。というのは、この方法ほうほうならひつじころさずにふくにいれることができ、おまけに同一どういつひつじ毎年まいとしあらたに羊毛ようもうをもたらしてくれる可能かのうせいがあるのだから[4]。メソポタミアの人々ひとびとは、最初さいしょはウールをつむいだりったりしなかった。もしかするとそういうことをかんがえもしなかったのかもれない[4]かれらは最初さいしょ、ウールをフェルトかたち使つかった[4]。そのつむいでって毛織物けおりものとして使つかうようになり、それがメソポタミアにとって重要じゅうよう産品さんぴんとなり、ひがしインド大陸たいりく西にし地中海ちちゅうかい世界せかいみなみアフリカ大陸たいりくとの貿易ぼうえきおこなわれた。[4]

古代こだいローマではウールは一番いちばん大切たいせつ繊維せんいだった。家族かぞくのためにウールをつむいでいとをつくり、それをってウールの衣類いるいつくることは古代こだいローマの女性じょせい全員ぜんいん義務ぎむであり、それをおこなうことは、美徳びとく女性じょせいらしさ象徴しょうちょうであった[5]。ローマの女性じょせいたちの墓石はかいしにはしばしば、ほこらしげに「わたしいえまもった」や「わたしはウールの仕事しごとをした」などの文言もんごんきざまれており、さらにつえ紡錘ぼうすい、ウールのかご、ウールをつむいだ毛糸けいとたまのレリーフが墓石はかいしかざっていることもよくある[5]。ローマじんは、女性じょせい美徳びとくと、ウールをつむることを、かなりつよ関連かんれんづけていたので、初代しょだいローマ皇帝こうていのアウグストゥスはかれつまむすめたいしてかれトーガつむいでることをもとめ、それをマ帝国まていこく女性じょせいたちへの手本てほんとしようとした[5][注釈ちゅうしゃく 2]

新約しんやく聖書せいしょの「ルカによる福音ふくいんしょ」の2:8-9には、ベツレヘムもないひつじたちが登場とうじょうし、「この土地とちに、ひつじいたちが、野宿のじゅく夜番よばんをしながらひつじれを見守みまもっていた。すると、あるじ使つかいがかれらのところにて、おも栄光えいこうまわりをらしたので、かれらはひどくおそれた。」とある。

ウールという言葉ことば歴史れきし

現代げんだい英語えいごではwoolとび、現代げんだいフランス語ふらんすごではlaine(レーヌ)とぶが、それらの語源ごげん言葉ことば歴史れきしについては、記事きじ末尾まつび#語源ごげんふし参照さんしょう

ウールの成分せいぶん繊維せんい構造こうぞう[編集へんしゅう]

主成分しゅせいぶんタンパク質たんぱくしつ一種いっしゅであるケラチンである。[注釈ちゅうしゃく 3]

メリノウールの繊維せんい表面ひょうめんさかなうろこ(うろこ)のような形状けいじょう鱗片りんぺんおおわれている。

生産せいさん[編集へんしゅう]

ウールの生産せいさんりょうおお国々くにぐには、2023ねん統計とうけいによると、1 中国ちゅうごく 356,216トン、2 オーストラリア 348,608トン、3 ニュージーランド 125,772トン、4 トルコ 85,916 トン、5 イギリス 70,448トン、6 モロッコ 62,083トンなどとなっている。[6]

ひつじからのりは重労働じゅうろうどうであるため、オーストラリアなどでは敬遠けいえんされがちである。羊毛ようもうようロボットの開発かいはつすすめられている[7]。(ニュージーランドでは以前いぜん国民こくみんいちにんあたり20とうひつじがいたが、近年きんねん減少げんしょう傾向けいこうである。)

なお日本にっぽんではほとんど生産せいさんされておらず、日本にっぽん消費しょうひされるウールはほぼ100%が海外かいがいからの輸入ゆにゅうである[8]

動物どうぶつ種類しゅるい[編集へんしゅう]

ウールの生産せいさん使つかわれる動物どうぶつ、およびそのウールの名称めいしょう特徴とくちょうなどを説明せつめいする。

さまざまな品質ひんしつひつじのウールのサンプル。上段じょうだん染色せんしょくしたものとしていないもののサンプル。(オーストラリア連邦れんぽう科学かがく産業さんぎょう研究けんきゅう機構きこう展示てんじひん。おそらく1950ねんころのもの)
ひつじ
なかでもメリノしゅは、羊毛ようもうなかもっと上質じょうしつ品質ひんしつおお産出さんしゅつしており、繊維せんいほそく、一般いっぱんてき羊毛ようもうよりもやわらかいのが特徴とくちょうで、チクチクしにくいので着心地きごこち[9]。メリノしゅかられる良質りょうしつなウールはメリノウールという。メリノしゅは、マ帝国まていこく人物じんぶつルチウス・コルメラが1世紀せいき前半ぜんはんイベリア半島はんとう品種ひんしゅ改良かいりょうしてしたたね原型げんけいになっており、マ帝国まていこく消滅しょうめつのイベリア、つまりスペインわれていた歴史れきしながく、17世紀せいきにはスペイン王室おうしつがメリノしゅ輸出ゆしゅつ禁止きんしさくをとりスペインが独占どくせんし、こう品質ひんしつのメリノウールでった毛織物けおりものがスペインの重要じゅうよう産物さんぶつとなった。だが18世紀せいき後半こうはんから19世紀せいき前半ぜんはんにかけてそのきん輸出ゆしゅつさくくずれてメリノしゅはスペインから流出りゅうしゅつし、いくつものくにひろまっていった。現在げんざい、メリノウールのやく80%はオーストラリアで生産せいさんされている。メリノしゅをさらにこまかく分類ぶんるいし、オーストラリアンメリノ、ニュージーランドメリノ、フレンチメリノ、USメリノなどに分類ぶんるいできる。
1796ねんみなみアフリカからオーストラリアに輸入ゆにゅうされ、1830ねんころには200まんとうえていた。交配こうはい選別せんべつかさねた結果けっか、オーストラリアの気候きこう適応てきおうし、羊毛ようもうなかでもとく繊細せんさいやわらかなとなった。あらゆる羊毛ようもうなかもっとしろく、もっとほそく、めくちぢみおおい。ただし、オーストラリアさんのウール(だけ)はいまでも麻酔ますいミュールシングおこな苦痛くつうあたえたひつじ生産せいさんしており、動物どうぶつ福祉ふくし観点かんてんから批判ひはんされており、不買ふばい運動うんどうきている。
  • ニュージーランド・メリノ
ニュージーランド・メリノは、比較的ひかくてきあめすくなく牧草ぼくそうめぐまれている南島なんとう丘陵きゅうりょう地帯ちたいひろわれており、軽量けいりょうで、ながほそあしつものがおおく、ひつじくらべて成長せいちょうおそく、出産しゅっさんりつひくい。そのウールは、繊維せんいふとさがやく17.5μみゅーほそく(しかも最近さいきんはさらにほそい「スーパーエキストラファインメリノ」を産出さんしゅつする牧場ぼくじょうもあり)、いろしろく、ちぢれ(クリンプ)がおおきく、バルキーせい(ふんわりとして、かさだかかんじ)にんでいる[9][注釈ちゅうしゃく 4]
1786ねんにフランスのルイ16せい従兄弟いとこでスペイン国王こくおうカルロス3せいからスパニッシュメリノを300とう以上いじょう購入こうにゅうしたことにはじまる。それをパリの南西なんせい50kmにあるかれ所領しょりょうのシャトー・ドゥ・ランブイエ(Château de Rambouillet)で飼育しいくしたのでMérinos de Rambouilletとばれるようになった。そのウールは、弾力だんりょくせい耐久たいきゅうせいがあり高密度こうみつど上質じょうしつで、高級こうきゅう衣料いりょうひん生地きじによく使つかわれる[10]
  • USメリノ
ざいポルトガル米国べいこく領事りょうじ富裕ふゆう商人しょうにんだったWilliam Jarvisが、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく北東ほくとうバーモントしゅう移住いじゅうし1812ねんにスペイン政府せいふとのえん使つかいスパニッシュメリノしゅ輸入ゆにゅうし、どうしゅうでウール生産せいさんがブームとなりどうしゅうのメリノしゅかずは1837ねんには100まんとうたっしたが、米国べいこく関税かんぜいほう変更へんこうになった影響えいきょう価格かかくが1835ねんポンドたり57セントから1840年代ねんだいまつのポンドたり25セントにまで下落げらくして農家のうか収益しゅうえき低下ていかくるしみ、さらに、米国べいこく西部せいぶしょしゅうとの飼育しいくコスト削減さくげん競争きょうそうにも苦戦くせんした結果けっかバーモントしゅうのメリノしゅ飼育しいく壊滅かいめつ[11]、バーモントしゅう飼育しいく農家のうか米国べいこくしゅうへと移転いてんしていった。
しし
  • アンゴラヤギ[9]
これのウールはモヘヤばれる。原産地げんさんちはトルコだが[9]現在げんざいアルゼンチンやオーストラリアで生産せいさんされている[9]。そのウールは、なめらかで、しろうつくしく、上質じょうしつ光沢こうたくかんがある。高級こうきゅう素材そざいのひとつとされ、なつ高級こうきゅう紳士しんしふくスーツ)の生地きじ定番ていばんであり、(女性じょせいの)セーターにもよく使つかわれる[9]
ウールはカシミヤばれる[9]中国ちゅうごくモンゴルイラン高原こうげんなどで生産せいさんされている[9]
ウールはキャメルばれる[9]中近東ちゅうきんとうなどで生産せいさんされている。ふたこぶラクダのからだひょうには2種類しゅるい混在こんざいしており、ふとさ15〜24μみゅーm程度ていどながさ25〜125mm程度ていど非常ひじょうほそやわらかい弾力だんりょくせいったおもに「ラクダしょく」のと、ふとさ15〜120μみゅーmでながさ125〜300mmの褐黒しょく剛毛ごうもう)がじっている。剪毛(り)はせず、毎年まいとし晩春ばんしゅんわりの時期じきちたものをひろあつめて、のぞき、やわらかいだけを使つかう。毛布もうふなどに使つかわれている。[9]
アンデス山地さんち生産せいさんされている。
これのウールはアルパカばれる。おもにアンデス山地さんち生産せいさんされている。ペルー中部ちゅうぶから南部なんぶボリビアなどに分布ぶんぷし、海抜かいばつ3せん600メートルをえる高地こうち棲息せいそく。そのウールは、やわらかいが同時どうじ特性とくせいっており、手触てざわりはなめらか、弾力だんりょく光沢こうたくつ。繊維せんいほそさは、わかあいだは23μみゅーmほどだが年齢ねんれいとともにふとくなり27〜28μみゅーmほどなり、そのいろはこげちゃ灰色はいいろあわちゃしろくろなどさまざまである。[9]
これのウールはビキュナなどとばれている。アンデス山地さんち生産せいさんされている。
エクアドルアルゼンチン生産せいさんされている。
アンゴラおもフランスほかにもチェコドイツ中国ちゅうごく日本にっぽんなどで飼育しいくされており、そのウールは手触てざわりがやわらかく、かるく、パステルカラーに発色はっしょくし、ニットのなかでもとくかるくてふわふわとした製品せいひん材料ざいりょうとして使つかうのにいている[9]

ウール製品せいひん[編集へんしゅう]

ウールの毛糸けいと[編集へんしゅう]

ウールの繊維せんいつむいで毛糸けいとつくる。

毛織物けおりもの[編集へんしゅう]

毛糸けいとって毛織物けおりものをつくる。

長所ちょうしょ短所たんしょ[編集へんしゅう]

長所ちょうしょ
  • 肌触はだざわりがやわらかい。
  • 油分ゆぶんふくみ、ばち水性すいせいがあって、れても保温ほおんせいがある。またよごれが付着ふちゃくしてもブラッシングとう除去じょきょしやすい。このため野外やがいでの着用ちゃくようてきする。
  • おおくの空気くうきふくむため断熱だんねつせいたかく、通気つうきせいがありながら防寒ぼうかんせい保温ほおんせいたかい。このためふゆふく寝具しんぐ毛布もうふ)にてきする。
  • しわになりにくい。
  • うつったにおいを放散ほうさんしやすいので、ふうにさらすことなどで脱臭だっしゅうできる。
  • 繊維せんいよりはえにくい。にさらされるとげるが、がらない。
短所たんしょ
  • あらうとちぢむ。クリーニングによってウールの油分ゆぶんうばわれることもある。
  • れたり、ぬの使つかわずにアイロンをかけるとひかったりする。
  • むしやカビのがいけやすい。
  • 通気つうきせいたか反面はんめん防風ぼうふうせいひくい。
  • 磨耗まもうよわい。
  • ひとによってはさわるとちくちくかんじる。
  • アルカリよわい。
  • 日光にっこうへんする。


品質ひんしつ保証ほしょう品質ひんしつ表示ひょうじ[編集へんしゅう]

世界せかいてき知名度ちめいどたかいものや歴史れきしながいものから説明せつめいする。

ウールマーク[編集へんしゅう]

ウールマーク

ウール製品せいひんが、たか品質ひんしつ基準きじゅんをクリアしたことをしめ品質ひんしつ保証ほしょうマークとして、ウールマークがある。1964ねん9がつ当初とうしょは20ヶ国かこくはじまったが、現在げんざいは140ヶ国かこく使用しようされ、幅広はばひろられている。日本にっぽんイタリアひとし国々くにぐにでは90%以上いじょう認知にんちがあり、繊維せんい関連かんれんしたシンボルマークとしては、世界せかいもっとられているものである。 ウールマークは「コットンUSAマーク」(国際こくさい綿花めんかひょう議会ぎかい)とともに世界せかい共通きょうつうのマークである。

運営うんえい組織そしきとその歴史れきし

このウールマークによる品質ひんしつ認証にんしょう管理かんり、またウール素材そざいかんする啓蒙けいもう活動かつどうかく企業きぎょうのウール製品せいひん販売はんばい促進そくしん支援しえん世界中せかいじゅう実施じっししている組織そしきザ・ウールマーク・カンパニーである。

ザ・ウールマーク・カンパニーの前身ぜんしんである国際こくさい羊毛ようもう事務じむきょく(IWS, International Wool Secretariat)は、1937ねんにオーストラリアの発案はつあん羊毛ようもう生産せいさんこく出資しゅっしにより、イギリス帝国ていこくロンドン設立せつりつされた。IWSはニュージーランド、みなみアフリカ共和きょうわこくウルグアイなど南半球みなみはんきゅう羊毛ようもう生産せいさんこくくわわった。

だが環境かんきょう変化へんかにより、1997ねん2がつ本部ほんぶイギリスからオーストラリアのメルボルン移転いてんしてオーストラリアン・ウール・サービセスの子会社こがいしゃとなり、1998ねん7がつ、IWSからザ・ウールマーク・カンパニーに名称めいしょう変更へんこう、その2001ねん民営みんえいされた。

2007ねん10がつ、オーストラリアン・ウール・イノベーション(AWI)がザ・ウールマーク・カンパニーの主要しゅよう資産しさん経営けいえい統合とうごう実施じっしし、シドニー本社ほんしゃ移転いてん。その、ザ・ウールマーク・カンパニーはAWIの子会社こがいしゃとして現在げんざいいたる。なおAWIは営利えいり団体だんたいであり、子会社こがいしゃであるザ・ウールマーク・カンパニーも(登記とうきじょう民間みんかん企業きぎょうであるものの)同様どうよう営利えいり上記じょうき活動かつどう実施じっししている。

こうした経緯けいいから、ウールマークはくにによって法人ほうじん登記とうきことなる。日本にっぽん支社ししゃはイギリス西にしヨークシャーに本社ほんしゃ法人ほうじんIWS Nominee Company Limited(ウールマークの商標しょうひょう登録とうろくけんしゃ)の日本にっぽん支社ししゃとして登録とうろくされている。なお日本にっぽん支社ししゃは、東京とうきょうみなと南青山みなみあおやまにある。

マークと認証にんしょう基準きじゅん

ウールマークのデザインはイタリアの著名ちょめいてきグラフィックデザイナーフランチェスコ・サロリアによるもので、毛糸けいとたまのフォルムをイメージしたものである。

ウールマークのラベルおよびさつは、AWIがさだめるきびしい品質ひんしつ基準きじゅんをクリアした製品せいひんにのみけることがゆるされる。マークをつけるための品質ひんしつ基準きじゅん以下いかのようなものである。

  • ひつじしん使つかった製品せいひんであること(再生さいせいウールには使用しようゆるされない、しん混用こんようりつについては以下いか参照さんしょう)。
  • 各種かくしゅ強度きょうど染色せんしょく堅牢けんろうとう、ウールマークがさだめた基準きじゅんをクリアしていること。
  • ウールマークライセンスをもつメーカーの製品せいひんであること(ライセンス取得しゅとくのための審査しんさ縫製ほうせい審査しんさなど)をクリアしないと、ライセンスはけられない)。

ウールマークにはしん混用こんようりつちがいによるバリエーションがほかにふた存在そんざいする。またこれらのしたには特定とくてい機能きのう品質ひんしつについての認証にんしょうしめすいくつかのサブブランドが存在そんざいする。

  • ウールマーク(しん100%)
  • ウールマークブレンド(しん50 - 99.9%)
  • ウールブレンド(しん30 - 49.9%)
  • ピュアメリノウール(サブブランド、こう品質ひんしつ羊毛ようもうとしてられるメリノしゅひつじかられる「メリノウール」を100%使用しようした製品せいひん
  • メリノ エクストラファイン(サブブランド、メリノウール100%かつ繊維せんいほそさが19.5マイクロン以下いかこう品質ひんしつウールを使用しようした製品せいひん
  • メリノ ウルトラファイン(サブブランド、メリノウール100%かつ繊維せんいほそさが17.5マイクロン以下いかちょうこう品質ひんしつウールを使用しようした製品せいひん
  • クールウール(サブブランド、涼感りょうかんと吸放湿性しっせいすぐれたはるなつけウール素材そざい使用しようした製品せいひん
  • メリノパフォーム(サブブランド、あせ放散ほうさんさせる機能きのうすぐれた素材そざい製品せいひん使用しようされる)
日本にっぽん国内こくないでのウールマーク

日本にっぽんにおける承認しょうにん(ウールマークライセンス)だいいちごう日本毛織にほんけおり(ニッケ)である。

かつて、「ウールきものマーク」も存在そんざいしたこともあった(づるかたちをしたマークである)。

繊維せんい以外いがいにもウールマーク認定にんてい商品しょうひんがあり、ウール・おしゃれ・ドライマークの中性ちゅうせい洗剤せんざい液体えきたい酸素さんそけい漂白ひょうはくざい衣類いるいよう柔軟じゅうなんざい衣類いるいよう防虫ぼうちゅうざいにも表示ひょうじされている。なかでもしろもとげんしろもとアース)の「パラゾール」、「ミセスロイド」は防虫ぼうちゅうざいとして世界せかいはつ認定にんていける快挙かいきょげた。しかし、近年きんねん洗剤せんざい漂白ひょうはくざい柔軟じゅうなんざいからは表示ひょうじがなくなっている。

かつてはかく家電かでんメーカーが洗濯せんたくじゃく水流すいりゅう機能きのうづけ)や電気でんきカーペットのカバーとう認定にんてい商品しょうひん生産せいさんしていたが、現在げんざいでは日本にっぽん国内こくないでこれらの製品せいひんることはまれである。またマーク下段げだん英字えいじロゴは、従来じゅうらいくにによってちがいがあった。日本にっぽん場合ばあいは「ALL NEW WOOL」「NEW WOOL 100%」であり、しょ外国がいこくは「PURE NEW WOOL」であったが、1998ねんのザ・ウールマーク・カンパニーへの名称めいしょう変更へんこうさいに、「WOOLMARK」へと世界せかいてき統一とういつされた。

スローガン

日本にっぽんの「国際こくさい羊毛ようもう事務じむきょく時代じだい組織そしきスローガンは「ウールで世界せかい貢献こうけんする」だった。

広報こうほうソング

国際こくさい羊毛ようもう事務じむきょく時代じだい年代ねんだい不明ふめい)に、「ウール ソング」(通称つうしょう「ウールマークのうた」、うた:ボニー・ジャックス作詞さくし中野なかの良介りょうすけ作曲さっきょく小川おがわよしあき)がソノシートでリリースされた。

日本にっぽんでのCMコピー
  • あらってもちぢまない
  • 防縮ぼうしゅくニットは、このラベルを目印めじるし
  • ウールは、愛着あいちゃくにこたえてくれます
  • ついてるかな、ウールマーク
  • おっ、ついてるな、ウールマーク
  • きている、それがウールなんだ
  • ウールって、あたらしいとおも
  • さわってごらん、ウールだよ
  • とっても、ウールなひとでした
  • 素敵すてきだね、このウール
  • ウールは、ゆっくりゆめをみる
  • はい!品質ひんしつですよ。ウールマーク
  • 信頼しんらいできるね、ウールマーク
  • きです。このウール
日本にっぽんでのCMに起用きようされたタレント

[いつ?]現在げんざいはテレビCMは放送ほうそうされていない。

組織そしきとの協業きょうぎょう

ザ・ウールマーク・カンパニーは2012ねんから日本にっぽんベストドレッサーしょう協業きょうぎょう(コ・マーケティング)を開始かいしした。2012-14ねんは「クールにウールをこなすひと」として「クールウールしょう」、2015ねんからは「ウールファッションの似合にあひと」として「ウールマークしょう」を贈呈ぞうていしている。受賞じゅしょうしゃ以下いかとおり。

  • 2012ねん市川いちかわ猿之助えんのすけ、2013ねん綾野あやのつよし、2014ねん鈴木すずき亮平りょうへい以上いじょう、クールウールしょう
  • 2015ねん吉田よしだひつじ(ウールマークしょう

ステッキマーク[編集へんしゅう]

ステッキマークは、英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃがラベルとう管理かんりおこなっている、ウール製品せいひんたか品質ひんしつ基準きじゅんをクリアしたことをしめすイギリス羊毛ようもう製品せいひん品質ひんしつ保証ほしょうマークである。英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃはイギリスのブラッドフォード本部ほんぶき、日本にっぽんにも支部しぶつ。

日本にっぽん国内こくないでの公社こうしゃ商標しょうひょう使用しようすべて、英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃ契約けいやく認定にんていることが必要ひつよう。ライセンシー各社かくしゃ公社こうしゃ商標しょうひょう使用しようは、商品しょうひん紡績ぼうせき部門ぶもんから最終さいしゅう製品せいひんのブランド(企業きぎょう)のかく段階だんかい企業きぎょうすべてライセンシー契約けいやくつことが必要ひつようで、そのうえ既定きてい基準きじゅんたした製品せいひんのみみとめられる。

英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃは、英国えいこくないられた羊毛ようもう集荷しゅうか手配てはいおこない、英国えいこくない選別せんべつじょうはこび、オークションにかけるための等級とうきゅうべつにわける。すべてのロットは国際こくさい基準きじゅんわせ、ウールの状態じょうたいいろなどの特徴とくちょう試験しけんされる。その英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃ本部ほんぶにてオークションにかけられ、世界中せかいじゅう輸出ゆしゅつされる。ひつじいのつえをあしらったシンボルマークはこう品質ひんしつのイメージを維持いじするため、公社こうしゃ基準きじゅんたす厳選げんせんされた製造せいぞう会社かいしゃ英国えいこく羊毛ようもう製品せいひんのみに交付こうふされる。[12]

ファーンマーク[編集へんしゅう]

ウールズ・オブ・ニュージーランドのシンボルマークであり、うつくしい自然しぜん環境かんきょう象徴しょうちょうでもある、植物しょくぶつの「シダ」をかたちどったニュージーランド羊毛ようもう品質ひんしつ保証ほしょうマークである。

レーヌマーク[編集へんしゅう]

フランス羊毛ようもう協会きょうかいのマークであり、フランスさん羊毛ようもう製品せいひん品質ひんしつ保証ほしょうマークである。(日本にっぽんでは)日本にっぽん優良ゆうりょうウールふとんメーカーで組織そしきされているベストウールクラブ(BWC)とフランス羊毛ようもう協会きょうかい(FWA)との合意ごういもとづく、フランス羊毛ようもう品質ひんしつ保証ほしょうマーク。

赤色あかいろ青色あおいろのロゴおよび「Laines de France」[注釈ちゅうしゃく 6]文字もじ表示ひょうじされる。 レーヌマークの「レーヌ laine」はフランス語ふらんすごで「羊毛ようもう」の意味いみ

認定にんてい基準きじゅん

羊毛ようもうふとんにレーヌマークをけるためには、フランス羊毛ようもう協会きょうかい認定にんていこう品質ひんしつ羊毛ようもう原料げんりょう使用しようすることが必要ひつようで、品質ひんしつ基準きじゅんとして、ざんあぶらりつ植物しょくぶつせい夾雑きょうざつぶつ残留ざんりゅうりつ・PH・清浄せいじょうさだめられている。[13]

ファイングレードウール[編集へんしゅう]

ファイングレードウールは、日本にっぽん組織そしきによって管理かんりされている、ウールを使用しようした寝具しんぐなどのインテリア製品せいひんたか品質ひんしつ基準きじゅんをクリアしたことをしめ品質ひんしつ保証ほしょうマークである。日本にっぽん国内こくないにおいてもっとたか基準きじゅんもちいており、最高さいこう品質ひんしつ保証ほしょうする商品しょうひんにのみ使用しようされる。日本にっぽんおよび海外かいがい原料げんりょう商社しょうしゃ製造せいぞう工場こうじょう公的こうてき試験しけん機関きかんからなるファイングレードウールクラブ品質ひんしつ管理かんりおこなう。[14]

ファイングレードウールのラベルおよびさつは、ファイングレードウールクラブがさだめるきびしい品質ひんしつ基準きじゅん合格ごうかくした製品せいひんにのみけることがゆるされる。マークをつけるための品質ひんしつ基準きじゅん以下いかのようなものである。

  • ひつじしん使つかった製品せいひんであること(再生さいせいウールやはんには使用しようゆるされない)
  • 清浄せいじょう油脂ゆしぶんとう、ファイングレードウールクラブがさだめた基準きじゅんをクリアしていること
  • ファイングレードウールクラブに所属しょぞくするメーカーの製品せいひんであること(ライセンス取得しゅとくのための審査しんさをクリアしないと、ライセンスはけられない)
特徴とくちょう
  • いやなにおいやほこりを大幅おおはば改善かいぜん
  • ヘたりにくい厳選げんせんされた原料げんりょう
  • 丁寧ていねい加工かこう不純物ふじゅんぶつ(V/M)がすくない
  • 原料げんりょうのトレーサビリティ:海外かいがいあらい工場こうじょうまでさかのぼって原料げんりょうロット管理かんり可能かのう
  • 圧縮あっしゅく弾性だんせい基準きじゅん設置せっち:わたのさをとことんめ、本物ほんもの高級こうきゅう路線ろせんへの差別さべつ徹底てってい
  • 原料げんりょう商社しょうしゃ、さらには公的こうてき試験しけん機関きかん参加さんかしてのクラブ活動かつどうによる情報じょうほう共有きょうゆう、さらなる羊毛ようもう研究けんきゅう加工かこう方法ほうほうかんする様々さまざま技術ぎじゅつてきアドバイス、クラブによる定期ていきてき品質ひんしつチェック、羊毛ようもうづくした限定げんていメンバーによるこう品質ひんしつ訴求そきゅうがたプロジェクト
  • 一般財団法人日本繊維製品品質技術センターでのきびしい検査けんさ

ファイングレードウールクラブは、「キャンペーン・フォー・ウール[15]英国えいこくチャールズ皇太子こうたいし、プリンス・オブ・ウェールズの提唱ていしょうで2010ねん英国えいこくにおいてスタートしたもの)ととも羊毛ようもう普及ふきゅう活動かつどうおこなっている。

語源ごげん[編集へんしゅう]

現代げんだい英語えいご表記ひょうきはwoolであり、その発音はつおん発音はつおん記号きごう表記ひょうきすると wʊlである。他方たほう現代げんだいフランス語ふらんすごではlaine(レーヌ)とう。

これの語源ごげんを、その大元おおもとから説明せつめいすると、もともとはインド・ヨーロッパ祖語そごしるしおう祖語そご、PIE)の wele というかたりであり、そのかたりは(サンスクリットでは urna となり)ゲルマン祖語そごでは wulno となり、英語えいごではwullとなった(他方たほうノルドでは ullとなり、中期ちゅうきオランダでは wolle となった)。 英語えいごのwull のつづりが変化へんかして現代げんだい英語えいごのwoolとなった。(他方たほう古高ふるたかドイツではwollaとなり、現代げんだいドイツではwolleとなった)[16]

しるしおう祖語そごの wele を語源ごげんとするかたりにはべつ系統けいとうがあり、古代こだいギリシアでは lenos (レノス)となり、ラテン語らてんごでは lana (ラナ)となった[16]。この系統けいとう現代げんだいフランス語ふらんすごで laine (レーヌ)となっている。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d defitnition of wool
  2. ^ a b 工業こうぎょう繊維せんい製品せいひん 岡崎信用金庫おかざきしんようきんこ、2019ねん12月15にち閲覧えつらん
  3. ^ Broad maternal geographic origin of domestic sheep in Anatolia and the Zagros
  4. ^ a b c d e f Great stories and history of wool
  5. ^ a b c Wool in Ancient Rome
  6. ^ Top10 largest wool producing countries in the world
  7. ^ 世界せかいはつ2019】ひつじるメ~じん豪州ごうしゅう世界せかいもっともきつい仕事しごとひく定着ていちゃくりつすすむロボ開発かいはつ 職人しょくにん懐疑かいぎてき朝日新聞あさひしんぶん朝刊ちょうかん2019ねん3がつ27にち国際こくさいめん)2019ねん4がつ24にち閲覧えつらん
  8. ^ 統計とうけい 羊毛ようもう生産せいさんトップ10と日本にっぽん輸入ゆにゅうさき”. 帝国ていこく書院しょいん. 2019ねん1がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2019ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  9. ^ a b c d e f g h i j k l ニッケ「いまさらけないウール素材そざい 完全かんぜんばん
  10. ^ Natural Fiber Arts, Rambuillet sheep
  11. ^ [1]
  12. ^ 英国えいこく羊毛ようもう公社こうしゃ 日本にっぽん支部しぶ-トップページ”. britishwool-j.p-kit.com. 2020ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  13. ^ BWC「レーヌマーク」
  14. ^ Fine Grade Wool Club | ファイングレードウールクラブ – 安心あんしんという品質ひんしつへ。”. 2020ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  15. ^ Campaign for Wool | Join The Campaign, Live Naturally & Choose Wool”. www.campaignforwool.org. 2020ねん8がつ27にち閲覧えつらん
  16. ^ a b [https://www.etymonline.com/word/wool Online Etymology Dictionary
  1. ^ そとからえるかためのをトップコートとい、そのしたにあるふわふわしたやわらかいをアンダーコートという。
  2. ^ なお、古代こだいローマ皇帝こうていヴェスパシアヌス有料ゆうりょう公衆こうしゅう便所べんじょ設置せっちしたことでられるが、これは羊毛ようもうから油分ゆぶん分離ぶんりするのに人間にんげん尿にょう使つかわれていたためである。
  3. ^ なお、ケラチンは硫黄いおう原子げんしふくαあるふぁ-アミノ酸あみのさんであるシステインふくむため、やすと特有とくゆう刺激しげきしゅうがする。
  4. ^ また、ニュージーランドではミュールシングが2018ねん法律ほうりつ正式せいしき廃止はいしされたので、すでに動物どうぶつ福祉ふくし観点かんてんても良質りょうしつなウールとなっている。
  5. ^ ひとこぶラクダはみじかいので、ほとんど利用りようされない。
  6. ^ 発音はつおんをカタカナ表記ひょうきすると「レーヌ・ドゥ・フランス」となる。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]