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佐伯さえき今こん毛け人じん

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佐伯さえき今こん毛け人じん
時代じだい 奈良なら時代じだい
生誕せいたん 養老ようろう3年ねん（719年ねん）
死没しぼつ 延のべ暦れき9年ねん10月3日にち（790年ねん11月13日にち）
改名かいめい 若子わかこ（初はつ名な）→今こん毛け人じん
別名べつめい 今こん蝦夷えぞ
官位かんい 正せい三さん位い・参議さんぎ
主君しゅくん 聖武天皇しょうむてんのう→孝こう謙けん天皇てんのう→淳仁天皇じゅんにんてんのう→称しょう徳とく天皇てんのう→光ひかり仁じん天皇てんのう→桓武かんむ天皇てんのう
氏族しぞく 佐伯さえき氏し
父母ちちはは 佐伯さえき人足ひとあし[1]
子こ 三野みの
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佐伯さえき 今こん毛け人じん（さえき の いまえみし）は、奈良なら時代じだいの公卿くぎょう。名なは今こん蝦夷えぞとも表記ひょうきする。初はつ名なは若子わかこ。官位かんいは正せい三さん位い・参議さんぎ。

経歴けいれき

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天平てんぺい14年ねん（742年ねん）聖武天皇しょうむてんのうが近江おうみ国こく甲賀こうが郡ぐん紫むらさき香かおり楽らく村むらに離宮りきゅうを造営ぞうえいすると、紫むらさき香かおり楽らく宮みや造営ぞうえい司し主しゅ典てんに任にんぜられて造営ぞうえいに携たずさわる。翌よく天平てんぴょう15年ねん（743年ねん）聖武天皇しょうむてんのうが東大寺とうだいじの建立こんりゅうを発願ほつがんし、人民じんみんを徴発ちょうはつして造営ぞうえいを始はじめると、今こん毛け人じんは領りょう催検となって造営ぞうえいの管理かんり推進すいしんと検閲けんえつを担当たんとうし、非常ひじょうに巧たくみな方法ほうほうで人民じんみんを督励とくれい・使役しえきした。今こん毛け人じんはその才能さいのうと決断けつだん力りょくにより聖武天皇しょうむてんのうの覚おぼえめでたく、特別とくべつに信任しんにんして用もちいられた[2]。聖ひじり武たけし朝ちょう末まつには大和やまと少しょう掾じょう・造みやつこ東大寺とうだいじ次官じかんを務つとめる一方いっぽう、天平てんぴょう20年ねん（748年ねん）から翌よく天平てんぴょう勝かち宝たから元年がんねん（749年ねん）にかけては従したがえ七なな位い上じょうから正せい六ろく位い上じょうへ一挙いっきょに六ろく階かいの昇進しょうしんを果はたした。また、天平てんぴょう19年ねん（747年ねん）には若子わかこから今こん毛け人じんに改名かいめいしている。

天平てんぴょう勝かち宝たから元年がんねん（749年ねん）孝こう謙けん天皇てんのうの即位そくいに前後ぜんごして従したがえ五ご位い下か・大和やまと介かいに叙任じょにんされる。引ひき続つづき東大寺とうだいじ次官じかんを務つとめながら、天平てんぴょう勝かち宝たから2年ねん（750年ねん）には三さん階かい昇進しょうしんして正せい五ご位い上じょうに叙じょせられるなど、孝こう謙けん朝あさ初頭しょとうは順調じゅんちょうに昇進しょうしんした。のち、造みやつこ東大寺とうだいじ長官ちょうかんに昇格しょうかくし、天平てんぴょう勝かち宝たから7歳さい（755年ねん）には今こん毛け人じんの宣せんによって230巻かんの経巻きょうかんを造みやつこ東大寺とうだいじ司しから興福寺こうふくじに受うけ渡わたししたが、その際さいに造みやつこ東大寺とうだいじ司しより興福寺こうふくじに充あてその勘かん経けい（経文きょうもんの校合きょうごう）を依頼いらいした牒（公文書こうぶんしょ）が「造みやつこ東大寺とうだいじ司し請経牒」として現存げんそんしている[3]。孝こう謙けん朝ちょう末まつにかけては春宮とうぐう大夫たいふ・右京大夫うきょうのだいぶを歴任れきにんし、天平てんぴょう宝たから字じ元年がんねん（757年ねん）に従したがえ四よん位い下かに叙じょせられる。

淳仁じゅんにん朝あさに入はいると、天平てんぴょう宝たから字じ3年ねん（759年ねん）摂津せっつ大夫たいふに遷る。天平てんぴょう宝たから字じ7年ねん（763年ねん）正月しょうがつに再ふたたび造づくり東大寺とうだいじ長官ちょうかんに任にんぜられる。この頃ころ、今こん毛け人じんは藤原ふじわら宿やど奈麻呂まろ・石上宅嗣いそのかみのやかつぐ・大伴家持おおとものやかもちと共ともに、専せん横よこを極きわめていた太ふとし師し・藤原仲麻呂ふじわらのなかまろの暗殺あんさつを企くわだてていたが、同年どうねんに密告みっこくにより策謀さくぼうが露見ろけんして4人にんとも捕とらえられる。ここで宿やど奈麻呂まろが単独たんどく犯行はんこうを主張しゅちょうし、八はち虐しいたげの一ひとつである大だい不敬ふけいとの罪つみにより解かい官かんの上うえ、姓せいも剥奪はくだつされた[4]。宿やど奈麻呂まろが罪つみを一人ひとりで被こうむったことで今こん毛け人じんは断罪だんざいを逃のがれるものの、翌よく天平てんぴょう宝たから字じ8年ねん（764年ねん）正月しょうがつに営城監かんとして九州きゅうしゅうに左遷させんされた。なお、同年どうねん9月がつに発生はっせいした藤原仲麻呂ふじわらのなかまろの乱らんで藤原仲麻呂ふじわらのなかまろは敗はい死しするが、九州きゅうしゅうに赴任ふにんしていたためか乱らんにおける今こん毛け人じんの動静どうせいは明あきらかでない。

翌よく天平てんぺい神護かんご元年がんねん（765年ねん）正月しょうがつにかつて藤原仲麻呂ふじわらのなかまろ派はであった大だい宰おさむ大弐だいに・佐伯さえき毛け人じんが多た褹嶋守もりに左遷させんされると、今こん毛け人じんは後任こうにんの大弐だいにとなり復権ふっけんを果はたす。また当時とうじ筑前ちくぜん国こくでは、孝こう謙けん天皇てんのうの命いのちを受うけた吉備真備きびのまきびにより天平てんぴょう勝かち宝たから8歳さい（756年ねん）から怡土城じょうの築城ちくじょうが続つづいていたが、今こん毛け人じんはこの事業じぎょうを受うけ継つぎ同年どうねん3月がつには築ちく怡土城じょう専せん知ち官かんに任にんぜられている。神護かんご景けい雲くも元年がんねん（767年ねん）左ひだり大だい弁べん兼けん造みやつこ西大寺さいだいじ長官ちょうかんとして京きょう官かんに復ふくし、称しょう徳とく朝あさ末まつの神護かんご景けい雲くも3年ねん（769年ねん）従したがえ四よん位い上じょうに昇叙しょうじょされた。神護かんご景けい雲くも4年ねん（770年ねん）称しょう徳とく天皇てんのうが崩御ほうぎょしてまもなく、道鏡どうきょうが造みやつこ下野げや国こく薬師寺やくしじ別当べっとうに左遷させんされると、道鏡どうきょうの許もとに派遣はけんされ平城京へいじょうきょうから任地にんちへ出発しゅっぱつさせている[5]。

光ひかり仁じん朝あさでも引ひき続つづき要職ようしょくの左ひだり大だい弁べんを務つとめ、宝たから亀ひさし2年ねん（771年ねん）正せい四よん位い下かに叙じょせられる。宝亀ほうき4年ねん（773年ねん）桑原くわばら王おうとともに難波なんば内親王ないしんのうの喪も事ごとを監護かんごしている[6]。

宝亀ほうき6年ねん（775年ねん）第だい16次じの遣や唐から大使たいしに任命にんめいされる。宝亀ほうき7年ねん（776年ねん）4月がつに節ふし刀がたなを与あたえられ[7]、出航しゅっこうして一旦いったん肥前ひぜん国こく松浦まつうら郡ぐん合ごう蚕かいこ田浦たのうら[8]まで到着とうちゃくする。しかし、その後ご順風じゅんぷうが吹ふかなかったため博多はかた大津おおつまで引ひき返かえすと、同年どうねん閏うるう8月がつに渡海とかいの時期じきを来夏らいかに延期えんきすることを上奏じょうそうし許ゆるされる[9]。同年どうねん11月がつに今こん毛け人じんは帰京ききょうして節ふし刀がたなを返還へんかんするが、遣や唐から副使ふくし・大伴おおとも益えき立りつや判官ほうがん・海上かいじょう三さん狩かりらは大宰府だざいふに留とまり入唐にっとうの期きを待まっていたことから、時ときの人々ひとびとは益えき立りつらの態度たいどを良いしとしたという[10]。翌よく宝亀ほうき8年ねん（777年ねん）4月がつに今こん毛け人じんは再ふたたび天皇てんのうに暇乞いとまごいを行おこない出発しゅっぱつしたが、羅ら城門じょうもんまで来くると病気びょうきになり[11]、さらに病身びょうしんを押おして輿こしに乗のって摂津せっつ国こくまで至いたるも病気びょうきが治なおらなかった。そのため、朝廷ちょうていは今こん毛け人じんを渡わたり唐とうさせることを断念だんねんし[12]、光ひかり仁じん天皇てんのうは遣や唐から副使ふくし・小野おの石いし根ねに対たいして、大使たいしを待またずに出発しゅっぱつしその職務しょくむを代行だいこうするように勅みことのりした[13]。なお、宝亀ほうき9年ねん（778年ねん）帰路きろにおいて副使ふくし・小野おの石いし根ねと唐とう使し・趙ちょう宝たから英すぐるが乗船じょうせんしていた第だい1船せんが遭難そうなんし、両りょう名なとも死亡しぼうしている[14]。今こん毛け人じんは遣唐使けんとうしでのいざこざを通つうじて左ひだり大だい弁べんを解とかれていたが、宝亀ほうき10年ねん（779年ねん）大だい宰おさむ大弐だいにに任にんぜられ官界かんかいに復帰ふっきした。

天てん応おう元年がんねん（781年ねん）桓武かんむ天皇てんのうの即位そくいに伴ともなって正せい四よん位い上じょうに叙じょせられると、天てん応おう2年ねん（782年ねん）従したがえ三さん位い・左ひだり大だい弁べんに叙任じょにんされて公卿くぎょうに列れっし、さらに延のべ暦れき3年ねん（784年ねん）参議さんぎ、延のべ暦れき4年ねん（785年ねん）正せい三さん位いと桓武かんむ朝あさに入はいると急速きゅうそくに昇進しょうしんを果はたした。またこの間あいだの延のべ暦れき3年ねん（784年ねん）に長岡京ながおかきょうへの遷都せんとが行おこなわれると、これまでの土木どぼく・建築けんちくにおける実績じっせきを買かわれて、中納言ちゅうなごん・藤原ふじわら種たね継つぎらと共ともに造みやつこ長岡ながおか宮みや使しに任にんぜられ、宮殿きゅうでんの造営ぞうえいを担当たんとうしている。延のべ暦れき5年ねん（786年ねん）大だい宰おさむ帥そちに任にんぜられて再ふたたび九州きゅうしゅうに赴任ふにんする。3年ねんに亘わたって大だい宰おさむ帥そちを務つとめた後のち、延のべ暦れき8年ねん（789年ねん）正月しょうがつに致仕ちしの上表じょうひょうを行おこなって許ゆるされ、官界かんかいを引退いんたいした。

延のべ暦れき9年ねん（790年ねん）10月がつ3日にち薨去こうきょ。享年きょうねん72。最終さいしゅう官位かんいは散ち位くらい正せい三さん位い。

逸話いつわ

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宝たから亀ひさし11年ねん（780年ねん）大だい宰おさむ大弐だいにの官職かんしょくにあった際さい、志賀島しかのしまの白水しろみず郎ろう（海人あま）男女だんじょ10人にんづつが毎年まいとしの香椎かしい廟びょう宮みや春秋しゅんじゅう祭日さいじつに風俗ふうぞく楽らくを演奏えんそうする際さいの衣装いしょうを製作せいさくした。その衣装いしょうはその後ご90年ねん以上いじょう使用しようされたが、貞さだ観かん18年ねん（876年ねん）になって大宰府だざいふよりあまりに長ながく使用しようしたことで着用ちゃくようするのに不都合ふつごうが生しょうじているとして、太政官だじょうかんに新造しんぞうを言上ごんじょうし許ゆるされている[15]。

官かん歴れき

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注記ちゅうきのないものは『続ぞく日本にっぽん紀き』による。

系譜けいふ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 『公卿くぎょう補任ほにん』
  2. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』延のべ暦れき9年ねん10月がつ3日にち条じょう
  3. ^ 「造みやつこ東大寺とうだいじ司し請経牒」『文化ぶんか遺産いさんデータベース』
  4. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき8年ねん9月がつ18日にち条じょう
  5. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき元年がんねん8月がつ21日にち条じょう
  6. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき4年ねん10月がつ14日にち条じょう
  7. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき7年ねん4月がつ15日にち条じょう
  8. ^ 現在げんざいの長崎ながさき県けん南松浦みなみまつうら郡ぐん新しん上五島かみごしま町まち相河郷あいこごう。
  9. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき7年ねん閏うるう8月がつ6日にち条じょう
  10. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき7年ねん11月15日にち条じょう
  11. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき8年ねん4月がつ17日にち条じょう
  12. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき8年ねん6月がつ1日にち条じょう
  13. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき8年ねん4月がつ22日にち条じょう
  14. ^ 『続ぞく日本にっぽん紀き』宝亀ほうき9年ねん11月13日にち
  15. ^ 『日本にっぽん三さん代だい実録じつろく』貞さだ観かん18年ねん正月しょうがつ25日にち条じょう
  16. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』9-301
  17. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』9-67
  18. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』9-515
  19. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』10-276
  20. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』3-215
  21. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』3-320
  22. ^ 『正せい倉くら院いん文書ぶんしょ』12-39
  23. ^ a b c d 『公卿くぎょう補任ほにん』
  24. ^ 角田つのだ文衞ふみえ『佐伯さえき今こん毛け人じん（人物じんぶつ叢書そうしょ）』による。

出典しゅってん

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遣や隋ずい・遣や唐から大使たいし
日にち中ちゅう関係かんけい史し 隋ずい 唐とう
遣や隋ずい使し
大使たいし
史料しりょう
遣唐使けんとうし
大使たいし
史料しりょう
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