太陽 たいよう の熱 ねつ 放射 ほうしゃ は、生命 せいめい 活動 かつどう のエネルギー源 げん である。
物理 ぶつり 学 がく の熱 ねつ 力学 りきがく において、熱 ねつ (ねつ、英 えい : heat )は、高温 こうおん の物体 ぶったい から低温 ていおん の物体 ぶったい へと移動 いどう するエネルギー である[ 1] [ 2] [ 3] [ 4] 。
熱 ねつ とは、ある系 けい のエネルギー の変化 へんか から力学 りきがく 的 てき な仕事 しごと を差 さ し引 ひ いたものと定義 ていぎ される[ 5] 。
熱 ねつ はエネルギー の移動 いどう 形態 けいたい の一 ひと つである。スコットランドの物理 ぶつり 学者 がくしゃ ジェームズ・クラーク・マクスウェル は1871年 ねん 、「熱 ねつ 」の現代 げんだい 的 てき 定義 ていぎ を初 はじ めて発表 はっぴょう した。マックスウェルの熱 ねつ の定義 ていぎ は4つの規定 きてい で概説 がいせつ される。1つ目 め は熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 二 に 法則 ほうそく によるもので、「(熱 ねつ とは)ある物体 ぶったい から別 べつ の物体 ぶったい へ伝達 でんたつ される何 なに か」だという規定 きてい である。2つ目 め は熱 ねつ を数学 すうがく 的 てき に扱 あつか うための「測定 そくてい 値 ち 」の規定 きてい である。3つ目 め は、熱 ねつ が力学 りきがく 的 てき 仕事 しごと のような物質 ぶっしつ 的 てき でない何 なに かに変換 へんかん されることもあるため、「(熱 ねつ を)物質 ぶっしつ として扱 あつか うことが出来 でき ない」という規定 きてい である。最後 さいご は、「(熱 ねつ は)エネルギー の1つの形態 けいたい である」という規定 きてい である。
物体 ぶったい 間 あいだ で仕事 しごと を通 つう じて移動 いどう する以外 いがい のエネルギーの移動 いどう 形態 けいたい を熱 ねつ という。「熱 ねつ 」という形態 けいたい を通 とお して移動 いどう したエネルギーの量 りょう を「熱量 ねつりょう 」という。
熱 ねつ は物体 ぶったい 内 ない に蓄 たくわ えられるものではない。仕事 しごと と同様 どうよう 、それはある物体 ぶったい から別 べつ の物体 ぶったい への「エネルギーの移動 いどう 」としてのみ存在 そんざい する。熱 ねつ の形 かたち で系 けい にエネルギーを加 くわ えると系 けい を構成 こうせい する原子 げんし や分子 ぶんし の運動 うんどう エネルギーや位置 いち エネルギーの形 かたち をとる[ 6] 。
熱 ねつ は必 かなら ず高温 こうおん の物体 ぶったい から低温 ていおん の物体 ぶったい へと移動 いどう する。低温 ていおん の物体 ぶったい から高温 こうおん の物体 ぶったい へと自発 じはつ 的 てき に熱 ねつ が移動 いどう することはない(熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 二 に 法則 ほうそく と密接 みっせつ な関係 かんけい がある事項 じこう である)。熱 ねつ が移動 いどう した際 さい に外部 がいぶ に熱 ねつ が流出 りゅうしゅつ しなかったならば、高温 こうおん の物体 ぶったい が放出 ほうしゅつ した熱量 ねつりょう と、低温 ていおん の物体 ぶったい が接触 せっしょく した物体 ぶったい から得 え た熱量 ねつりょう は等 ひと しい。また、同 おな じ温度 おんど ならばみかけ上 うえ 熱 ねつ の移動 いどう はなく、この状態 じょうたい を熱 ねつ 平衡 へいこう 状態 じょうたい という。
熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 一 いち 法則 ほうそく によれば、孤立 こりつ 系 けい のエネルギーは保存 ほぞん される。従 したが って系 けい の持 も つエネルギーを変化 へんか させるにはその系 けい から外界 がいかい に、あるいは外界 がいかい からその系 けい にエネルギーを伝達 でんたつ しなければならない。ある系 けい にエネルギーを伝達 でんたつ する方法 ほうほう は、熱 ねつ と仕事 しごと しかない。ある物体 ぶったい に仕事 しごと を行 おこな うということは定義 ていぎ 上 じょう [ 5] 、その系 けい にエネルギーを伝達 でんたつ することに他 た ならず、それによってその物体 ぶったい の外部 がいぶ パラメータ(例 たと えば、体積 たいせき 、磁化 じか 、重力 じゅうりょく 場 じょう における重心 じゅうしん の位置 いち など)が変化 へんか する。熱 ねつ はそれら以外 いがい の手段 しゅだん による物体 ぶったい へのエネルギー伝達 でんたつ である。
熱 ねつ 平衡 へいこう に近 ちか い複数 ふくすう の物体 ぶったい の場合 ばあい 、温度 おんど という概念 がいねん が定義 ていぎ できるなら、熱 ねつ 伝達 でんたつ は物体 ぶったい 間 あいだ の温度 おんど 差 さ に関連 かんれん する。それは複数 ふくすう の物体 ぶったい が相互 そうご に熱 ねつ 平衡 へいこう 状態 じょうたい に近 ちか づく不可 ふか 逆 ぎゃく 過程 かてい である。
物質 ぶっしつ (注目 ちゅうもく する熱 ねつ 力学 りきがく 系 けい )へ熱 ねつ や仕事 しごと として加 くわ えられる(または引 ひ き去 さ られる)エネルギーは、微視的 びしてき にはその物質 ぶっしつ を構成 こうせい する分子 ぶんし や原子 げんし の運動 うんどう エネルギー や位置 いち エネルギー の変化 へんか と見 み なせる。統計 とうけい 力学 りきがく において内部 ないぶ エネルギー は、その物質 ぶっしつ が取 と り得 え る微視的 びしてき 状態 じょうたい から定義 ていぎ される統計 とうけい 集団 しゅうだん を用 もち いて、(その統計 とうけい 集団 しゅうだん における)エネルギーの期待 きたい 値 ち として与 あた えられる。特 とく に理想 りそう 気体 きたい の場合 ばあい 、気体 きたい 分子 ぶんし 間 あいだ の相互 そうご 作用 さよう は無視 むし でき、内部 ないぶ エネルギーは気体 きたい 分子 ぶんし の運動 うんどう エネルギーの期待 きたい 値 ち と直接 ちょくせつ 結 むす び付 つ けられる。例 たと えば理想 りそう 気体 きたい へ熱 ねつ を加 くわ えると、それは気体 きたい 分子 ぶんし が持 も つ運動 うんどう エネルギーの平均 へいきん を増加 ぞうか させることになる。
熱量 ねつりょう の国際 こくさい 単位 たんい 系 けい における計量 けいりょう 単位 たんい は ジュール (J)である。ジュールはSI組立 くみたて 単位 たんい の一 ひと つであり、SI基本 きほん 単位 たんい であるキログラム (kg)・メートル (m)・秒 びょう (s)を用 もち いて J = kg⋅m2 ⋅s−2 と表 あらわ せる。あるいは力 ちから の単位 たんい であるニュートン (N)を用 もち いて J = N⋅m と表 あらわ すこともできる。
また国際 こくさい 単位 たんい 系 けい には含 ふく まれないが、伝統 でんとう 的 てき な熱量 ねつりょう の単位 たんい として、カロリー (cal)や英 えい 熱量 ねつりょう (Btu)がある。これらの単位 たんい は、歴史 れきし 的 てき には単位 たんい 質量 しつりょう の水 みず の温度 おんど を基準 きじゅん となる温度 おんど から(採用 さいよう している温度 おんど 単位 たんい で)1度 ど 上昇 じょうしょう するために必要 ひつよう な熱量 ねつりょう として定義 ていぎ されていたが、現在 げんざい は様々 さまざま な方法 ほうほう で再 さい 定義 ていぎ されている。そのため、SI単位 たんい 換算 かんさん で値 ね が異 こと なる定義 ていぎ が複数 ふくすう 存在 そんざい する。
熱 ねつ と力学 りきがく 的 てき な仕事 しごと はともにエネルギー の移動 いどう の一 いち 形態 けいたい であり、いずれもエネルギーの単位 たんい であるジュールを用 もち いて表 あらわ せることが知 し られている。歴史 れきし 的 てき には熱 ねつ と仕事 しごと は別個 べっこ の量 りょう と認識 にんしき されており、熱 ねつ の仕事 しごと 当 とう 量 りょう の測定 そくてい などを通 つう じて熱量 ねつりょう と仕事 しごと の等価 とうか 性 せい が確 たし かめられている。
国際 こくさい 単位 たんい 系 けい におけるエネルギーの単位 たんい 時間 じかん 当 あ たりの移動 いどう 量 りょう の単位 たんい はワット (W) である。ワットはジュール毎秒 まいびょう (J/s)に等 ひと しい。
日本 にっぽん の計量 けいりょう 法 ほう における熱量 ねつりょう の単位 たんい [ 編集 へんしゅう ]
日本 にっぽん の計量 けいりょう 法 ほう において、熱量 ねつりょう の計量 けいりょう 単位 たんい は、ジュール又 また はワット秒 びょう 、ワット時 じ と定 さだ められている[ 7] 。なお、仕事 しごと の計量 けいりょう 単位 たんい も電力 でんりょく 量 りょう の計量 けいりょう 単位 たんい もジュール又 るまた はワット秒 びょう 、ワット時 じ である。
1999年 ねん 10月 がつ 以降 いこう 、計量 けいりょう 単位 たんい としてのカロリーの使用 しよう は特殊 とくしゅ の計量 けいりょう である「人 ひと 若 も しくは動物 どうぶつ が摂取 せっしゅ する物 もの の熱量 ねつりょう 又 また は人 ひと 若 も しくは動物 どうぶつ が代謝 たいしゃ により消費 しょうひ する熱量 ねつりょう の計量 けいりょう 」にのみ用 もち いることができる[ 8] 。そして2002年 ねん 4月 がつ 以降 いこう 、中学校 ちゅうがっこう 学習 がくしゅう 指導 しどう 要領 ようりょう において、熱量 ねつりょう の計量 けいりょう 単位 たんい は、ジュールを用 もち いることとされた[ 9] 。カロリーの使用 しよう 制限 せいげん の経緯 けいい および栄養 えいよう 学 がく における使用 しよう については「カロリー 」の項 こう を参照 さんしょう 。
熱 ねつ 伝達 でんたつ で移 うつ されるエネルギー総量 そうりょう (amount of heat [ 10] )は一般 いっぱん に Q で表 あらわ され、一般 いっぱん に熱量 ねつりょう と呼 よ ばれる。その正負 せいふ は、ある物質 ぶっしつ (熱 ねつ 力学 りきがく 系 けい )が外界 がいかい に熱 ねつ を放出 ほうしゅつ する場合 ばあい を負 まけ (Q < 0 )、ある物質 ぶっしつ が外界 がいかい から熱 ねつ を吸収 きゅうしゅう する場合 ばあい を正 せい (Q > 0 )とするように定義 ていぎ される。
単位 たんい 時間 じかん 当 あ たりの熱 ねつ 流 りゅう (heat transfer rate ) は熱量 ねつりょう の時間 じかん 微分 びぶん として表 あらわ される。
Q
˙
=
d
Q
d
t
{\displaystyle {\dot {Q}}={\frac {dQ}{dt}}}
熱 ねつ 流 りゅう 束 たば (heat flux ) は単位 たんい 面積 めんせき の断面 だんめん を通過 つうか する単位 たんい 時間 じかん 当 あ たりの熱 ねつ 流 りゅう と定義 ていぎ され、q と表記 ひょうき される。
熱 ねつ に関連 かんれん する内部 ないぶ エネルギー という用語 ようご は、物体 ぶったい の温度 おんど を上 あ げることで増加 ぞうか するエネルギーにほぼ相当 そうとう する。
熱 ねつ
Q
{\displaystyle Q}
は系 けい の内部 ないぶ エネルギー
U
{\displaystyle U}
とその系 けい がなす仕事 しごと
W
{\displaystyle W}
とに関係 かんけい し、熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 一 いち 法則 ほうそく によれば次 つぎ のようになる。
Δ でるた
U
=
Q
−
W
{\displaystyle \Delta U=Q-W\ }
すなわち、系 けい の内部 ないぶ エネルギーは仕事 しごと によっても熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 系 けい の境界 きょうかい を越 こ えた熱 ねつ 流 りゅう によっても変化 へんか する。より詳細 しょうさい に言 い えば、内部 ないぶ エネルギー とは系 けい 内 ない の微視的 びしてき 形態 けいたい のエネルギーの総和 そうわ である。それは分子 ぶんし の構造 こうぞう や分子 ぶんし の活動 かつどう 度 ど と関連 かんれん し、分子 ぶんし 群 ぐん の運動 うんどう エネルギーと位置 いち エネルギーの総和 そうわ と見 み なすことができる。それは次 つぎ のような種類 しゅるい のエネルギーで構成 こうせい される[ 11] 。
乱雑 らんざつ な分子 ぶんし の並進 へいしん 運動 うんどう のエネルギーと分子 ぶんし 内 ない の回転 かいてん ・振動 しんどう 運動 うんどう のエネルギー、分子 ぶんし 間 あいだ の相互 そうご 作用 さよう によるエネルギーや原子核 げんしかく エネルギーなどの和 わ を、物質 ぶっしつ の内部 ないぶ エネルギー と呼 よ ぶ。
定圧 ていあつ の理想 りそう 気体 きたい に対 たい して熱 ねつ の形 かたち でエネルギーが流入 りゅうにゅう すると、内部 ないぶ エネルギーが増大 ぞうだい し、体積 たいせき が制限 せいげん されていなければ体積 たいせき の変化 へんか (系 けい の境界 きょうかい に対 たい する仕事 しごと )が起 お きる。第 だい 一 いち 法則 ほうそく に立 た ち返 かえ り、系 けい がなす仕事 しごと
W
{\displaystyle W}
を「境界 きょうかい (boundary) に対 たい する仕事 しごと
W
b
o
u
n
d
a
r
y
{\displaystyle W_{\mathrm {boundary} }}
」と「その他 た (other) の仕事 しごと
W
o
t
h
e
r
{\displaystyle W_{\mathrm {other} }}
」に分 わ けると、次 つぎ のようになる。
Δ でるた
U
+
W
b
o
u
n
d
a
r
y
=
Q
−
W
o
t
h
e
r
{\displaystyle \Delta U+W_{\mathrm {boundary} }=Q-W_{\mathrm {other} }\ }
Δ でるた
U
+
W
b
o
u
n
d
a
r
y
{\displaystyle \Delta U+W_{\mathrm {boundary} }}
はエンタルピー
H
{\displaystyle H}
であり、熱 ねつ 力学 りきがく ポテンシャル の1つである。エンタルピー
H
{\displaystyle H}
と内部 ないぶ エネルギー
U
{\displaystyle U}
は共 とも に状態 じょうたい 関数 かんすう である。熱 ねつ 機関 きかん のような循環 じゅんかん 過程 かてい では、1サイクルが完了 かんりょう すると状態 じょうたい 関数 かんすう が初期 しょき 値 ち に戻 もど る。一方 いっぽう
Q
{\displaystyle Q}
も
W
{\displaystyle W}
も系 けい の属性 ぞくせい でないとき、循環 じゅんかん のステップ上 じょう で総和 そうわ が0になるとは限 かぎ らない。熱 ねつ の無限 むげん 小 しょう の表現 ひょうげん
δ でるた
Q
{\displaystyle \delta Q}
は、仕事 しごと に関 かん する過程 かてい の不完全 ふかんぜん 微分 びぶん を形成 けいせい する。しかし、体積 たいせき が変化 へんか しない過程 かてい などでは
δ でるた
Q
{\displaystyle \delta Q}
が完全 かんぜん 微分 びぶん を形成 けいせい する。同様 どうよう に(熱 ねつ の移動 いどう がない)断熱 だんねつ 過程 かてい では、仕事 しごと の式 しき は完全 かんぜん 微分 びぶん を形成 けいせい するが、熱 ねつ の移動 いどう を伴 ともな う過程 かてい では不完全 ふかんぜん 微分 びぶん となる。
ある物体 ぶったい (系 けい )の温度 おんど 変化 へんか とそれに要 よう するエネルギーの比 ひ を熱容量 ねつようりょう と呼 よ ぶ。また、単位 たんい 質量 しつりょう 、単位 たんい 物質 ぶっしつ 量 りょう 、または単位 たんい 体積 たいせき あたりの熱容量 ねつようりょう を比 ひ 熱容量 ねつようりょう と呼 よ ぶ。
定 てい 積 せき 熱容量 ねつようりょう と定圧 ていあつ 熱容量 ねつようりょう [ 編集 へんしゅう ]
ピストン内 ない の気体 きたい のような単純 たんじゅん な圧縮 あっしゅく 可能 かのう な系 けい では、エンタルピーと内部 ないぶ エネルギーの変化 へんか はそれぞれ定圧 ていあつ 熱容量 ねつようりょう と定 てい 積 せき 熱容量 ねつようりょう とに関連付 かんれんづ けることができる。体積 たいせき を一定 いってい に保 たも つ(定 てい 積 せき )条件 じょうけん の下 した では、初期 しょき 温度 おんど T 0 から最終 さいしゅう 的 てき な温度 おんど Tf に変化 へんか させるのに要 よう する熱 ねつ
Q
{\displaystyle Q}
は次 つぎ の式 しき で表 あらわ される。
Q
=
∫
T
0
T
f
C
v
d
T
=
Δ でるた
U
{\displaystyle Q=\int _{T_{0}}^{T_{f}}C_{v}\,dT=\Delta U\,\!}
一方 いっぽう 、圧力 あつりょく を一定 いってい に保 たも つ(定圧 ていあつ )条件 じょうけん の下 した では、熱 ねつ は次 つぎ の式 しき で表 あらわ される。
Q
=
∫
T
0
T
f
C
p
d
T
=
Δ でるた
H
=
Δ でるた
U
+
∫
V
0
V
f
P
d
V
{\displaystyle Q=\int _{T_{0}}^{T_{f}}C_{p}\,dT=\Delta H\ =\Delta U+\int _{V_{0}}^{V_{f}}P\,dV\,\!}
定圧 ていあつ 過程 かてい において系 けい の体積 たいせき 変化 へんか を無視 むし できる場合 ばあい 、外界 がいかい へ仕事 しごと がなされず、内部 ないぶ エネルギーとエンタルピーの変化 へんか は一致 いっち する。このとき、
C
p
{\displaystyle C_{p}}
と
C
v
{\displaystyle C_{v}}
は等 ひと しくなる。
比 ひ 熱容量 ねつようりょう とは、単位 たんい 質量 しつりょう 当 あ たりの熱容量 ねつようりょう である。熱容量 ねつようりょう は注目 ちゅうもく している系 けい 全体 ぜんたい のエネルギーと温度 おんど の関係 かんけい を示 しめ したものだが、比 ひ 熱容量 ねつようりょう は系 けい を構成 こうせい する物質 ぶっしつ やその結晶 けっしょう 構造 こうぞう の性質 せいしつ を示 しめ す。
十分 じゅうぶん 低温 ていおん な液体 えきたい では、量子 りょうし 効果 こうか が重要 じゅうよう になる。例 たと えばヘリウム4 のようなボース粒子 りゅうし の挙動 きょどう がある。その場合 ばあい 、ボース=アインシュタイン凝縮 ぎょうしゅく 点 てん を境 さかい として比 ひ 熱容量 ねつようりょう は不連続 ふれんぞく に変化 へんか する。
固体 こたい の振 ふ る舞 ま いは、古典 こてん 的 てき にはデュロン=プティの法則 ほうそく によって説明 せつめい されるが、これは比較的 ひかくてき 高温 こうおん の領域 りょういき でのみ成 な り立 た つ。低温 ていおん の固体 こたい の振 ふ る舞 ま いはデバイ模型 もけい によって説明 せつめい できる。金属 きんぞく のように伝導 でんどう 電子 でんし の寄与 きよ がない場合 ばあい 、比熱 ひねつ への寄与 きよ は格子 こうし 振動 しんどう によるものが主 おも となる。デバイ模型 もけい において、デバイ温度 おんど より十分 じゅうぶん 低温 ていおん の領域 りょういき では比熱 ひねつ 容量 ようりょう は温度 おんど の3乗 じょう に比例 ひれい する。
一方 いっぽう 、金属 きんぞく 中 ちゅう の伝導 でんどう 電子 でんし の挙動 きょどう を考慮 こうりょ する場合 ばあい 、第 だい 二 に 項 こう としてフェルミ分布 ぶんぷ 関数 かんすう などを必要 ひつよう とする。
単位 たんい 物質 ぶっしつ 量 りょう 当 あ たりの熱容量 ねつようりょう をモル熱容量 ねつようりょう と呼 よ ぶ。モル熱容量 ねつようりょう と比 ひ 熱容量 ねつようりょう は、体積 たいせき や分子 ぶんし 数 すう といった示 しめせ 量 りょう 変数 へんすう ではなく系 けい の内部 ないぶ 自由 じゆう 度 ど に依存 いぞん している。一方 いっぽう 、熱容量 ねつようりょう は系 けい の分子 ぶんし 数 すう に依存 いぞん する示 しめせ 量 りょう 変数 へんすう である。
熱容量 ねつようりょう は質量 しつりょう
m
{\displaystyle m}
と比 ひ 熱容量 ねつようりょう
c
s
{\displaystyle c_{s}}
の積 せき で表 あらわ される。
C
p
=
m
c
s
{\displaystyle C_{p}=mc_{s}}
あるいは、モル 数 かず とモル熱容量 ねつようりょう
c
n
{\displaystyle c_{n}\,\!}
から次 つぎ のようにも表 あらわ される。
C
p
=
n
c
n
{\displaystyle C_{p}=nc_{n}}
1856年 ねん 、ドイツの物理 ぶつり 学者 がくしゃ ルドルフ・クラウジウス が熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 二 に 法則 ほうそく を定義 ていぎ し、そこで熱 ねつ Q と温度 おんど T から次 つぎ のような値 ね を考 かんが えた[ 12] [ 13] 。
Q
T
{\displaystyle {}{\frac {Q}{T}}}
そして1865年 ねん 、この比 ひ をエントロピー と名付 なづ け、S と表記 ひょうき するようにした。
Δ でるた
S
=
Q
T
{\displaystyle \Delta S={\frac {Q}{T}}}
従 したが って、熱 ねつ の不完全 ふかんぜん 微分 びぶん δ でるた Q は TdS という完全 かんぜん 微分 びぶん で定義 ていぎ されることになる。
δ でるた
Q
=
T
d
S
{\displaystyle \delta Q=TdS\,}
い換 いか えれば、エントロピー関数 かんすう S は熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき 系 けい の境界 きょうかい を通 とお る熱 ねつ 流 りゅう の定量 ていりょう 化 か と測定 そくてい を容易 ようい にする。
赤熱 しゃくねつ した鉄 てつ が周囲 しゅうい に伝 つて 熱 ねつ している(主 おも に温度 おんど 放射 ほうしゃ )
一般 いっぱん に伝 つて 熱 ねつ を扱 あつか う工学 こうがく 分野 ぶんや として機械 きかい 工学 こうがく と化学 かがく 工学 こうがく がある。「熱 ねつ 」の定義 ていぎ にはエネルギーの移動 いどう が含 ふく まれているが、「伝 つて 熱 ねつ 」という用語 ようご は工学 こうがく などの場面 ばめん で古 ふる くから使 つか われてきた。伝 つて 熱 ねつ は様々 さまざま な機器 きき や過程 かてい の設計 せっけい ・運用 うんよう にとって重要 じゅうよう な要素 ようそ である。
伝 つて 熱 ねつ は、[熱 ねつ 伝導 でんどう ]の機構 きこう でなされる。対流 たいりゅう や放射 ほうしゃ は熱 ねつ の移動 いどう 形態 けいたい ではなく、エネルギー移動 いどう 形態 けいたい であり、その機構 きこう について挙動 きょどう を説明 せつめい する別個 べっこ の物理 ぶつり 法則 ほうそく が発見 はっけん されているが、実際 じっさい のシステムではこれらが複 ふく 合 あい 的 てき に作用 さよう することがある。システムの伝 つて 熱 ねつ を近似 きんじ 的 てき に推定 すいてい するための様々 さまざま な数学 すうがく 的 てき 方法 ほうほう が開発 かいはつ されてきた。
仕事 しごと は熱 ねつ に容易 ようい に変換 へんかん することができるが、熱 ねつ を仕事 しごと に変換 へんかん するのは容易 ようい ではない。熱 ねつ を仕事 しごと に変換 へんかん する装置 そうち は熱 ねつ 機関 きかん と呼 よ ばれている。また熱 ねつ 機関 きかん による熱 ねつ から仕事 しごと への変換 へんかん 効率 こうりつ のことを熱 ねつ 効率 こうりつ といい、通常 つうじょう
η いーた
{\displaystyle \eta }
(イータ :ギリシア文字 もじ )で表 あらわ される。熱 ねつ 機関 きかん に与 あた えられた熱 ねつ を
Q
{\displaystyle Q}
、得 え られた仕事 しごと を
W
{\displaystyle W}
とすれば、
η いーた
=
W
/
Q
{\displaystyle \eta =W/Q}
となる。熱 ねつ 機関 きかん においては、いかなる装置 そうち でも高温 こうおん の熱源 ねつげん から低温 ていおん の熱源 ねつげん への熱 ねつ の流出 りゅうしゅつ を完全 かんぜん に防 ふせ ぐことはできないため、
η いーた
=
1
{\displaystyle \eta =1}
となる(すなわち、与 あた えた熱 ねつ を完全 かんぜん に仕事 しごと に変換 へんかん できる)熱 ねつ 機関 きかん は存在 そんざい しえない(熱 ねつ 力学 りきがく 第 だい 二 に 法則 ほうそく )。このことは永久 えいきゅう 機関 きかん の存在 そんざい の不可能 ふかのう 性 せい とも関連 かんれん がある。
過去 かこ 、熱 ねつ に関 かん してはその源 みなもと として熱 ねつ 素 もと なるものの存在 そんざい が信 しん じられていた(カロリック説 せつ )。熱 ねつ 素 もと 説 せつ は熱量 ねつりょう 保存 ほぞん 則 そく が根底 こんてい にあったことを忘 わす れてはならない。熱 ねつ 素 もと 説 せつ は後 のち にランフォード伯 はく らによって否定 ひてい された。ランフォード伯 はく が、大砲 たいほう の製作 せいさく 現場 げんば の金属 きんぞく の削 けず り取 と りにおいて際限 さいげん なく熱 ねつ が発生 はっせい することに矛盾 むじゅん を見出 みだし だした、という逸話 いつわ はよく知 し られている。熱 ねつ 素 もと 説 せつ が正 ただ しければ、熱量 ねつりょう は保存 ほぞん するので摩擦 まさつ による熱 ねつ の発生 はっせい はいつか停止 ていし するはずだからである。
熱量 ねつりょう 計 けい は物質 ぶっしつ の化学 かがく 反応 はんのう や状態 じょうたい 変化 へんか に伴 ともな う熱容量 ねつようりょう の測定 そくてい に用 もち いられる。温度 おんど 計 けい と断熱 だんねつ 容器 ようき で構成 こうせい される。外部 がいぶ から熱 ねつ が入 はい ったり出 で て行 い かないように断熱 だんねつ 容器 ようき になっている。
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BIPM 著 しる 、産業 さんぎょう 技術 ぎじゅつ 総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ 計量 けいりょう 標準 ひょうじゅん 総合 そうごう センター 訳 やく 『国際 こくさい 単位 たんい 系 けい (SI)第 だい 9版 はん (2019)日本語 にほんご 版 ばん 』産業 さんぎょう 技術 ぎじゅつ 総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ 計量 けいりょう 標準 ひょうじゅん 総合 そうごう センター、2020年 ねん 3月 がつ 。https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_日本語 にほんご 版 ばん _r.pdf 。 p.133 右 みぎ 下 か の欄外 らんがい 注記 ちゅうき :現代 げんだい の「熱量 ねつりょう 」の英語 えいご 表記 ひょうき は quantity of heat でなく amount of heat である。なぜなら、計量 けいりょう 学 がく において単語 たんご quantity に別 べつ の意味 いみ が有 あ るからである。
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^ Published in Poggendoff’s Annalen, Dec. 1854, vol. xciii. p. 481; translated in the Journal de Mathematiques, vol. xx. Paris, 1855, and in the Philosophical Magazine, August 1856, s. 4. vol. xii, p. 81
^ Clausius, R. (1865). The Mechanical Theory of Heat] –with its Applications to the Steam Engine and to Physical Properties of Bodies. London: John van Voorst, 1 Paternoster Row. MDCCCLXVII.