勝利しょうり

Hemp for Victory 、米国べいこく農務のうむ省しょうが制作せいさくし、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかに放映ほうえいされた1942 年ねんの短編たんぺんドキュメンタリー

勝利しょうり（しょうり）は、争あらそいごとなどに勝かつこと。対義語たいぎごは敗北はいぼく。

なお、多おおくのスポーツなどにおいて勝利しょうりでも敗北はいぼくでもない引ひき分わけが存在そんざいするが、このことを敗北はいぼくと引ひき分わけを合あわせたものとして未み勝利しょうりと呼よばれる。戦争せんそうにおいての勝敗しょうはいは、戦争せんそう・作戦さくせん目的もくてきを達成たっせいしたか否ひかによって判定はんていされる。

解説かいせつ

英語えいごVictoryはラテン語らてんごのvictoriaに由来ゆらいし、用語ようごはもともと戦争せんそうに適用てきようされ、一般いっぱん的てきな軍事ぐんじ作戦さくせんの後のちの個人こじん的てきな戦闘せんとうである決闘けっとうでの、または広義こうぎにあらゆる競争きょうそうで達成たっせいされた成功せいこうを指さしていた。戦役せんえきにおいて軍事ぐんじ作戦さくせんの成功せいこうは戦略せんりゃく的てき勝利しょうり (Strategic_victory) を意味いみし、軍事ぐんじ交戦こうせんの成功せいこうは戦術せんじゅつ的てき勝利しょうり (Tactical_victory) を意味いみする。人間にんげんの感情かんじょうの観点かんてんから言いえば、勝利しょうりには強つよい高揚こうよう感かんが伴ともない、人間にんげんの行動こうどうにおいては、戦闘せんとう前まえおよび戦闘せんとう中ちゅうの過剰かじょうなエンドルフィンの蓄積ちくせきに関連かんれんして、戦闘せんとう前まえの脅威きょういの表示ひょうじと同様どうようの動うごきやポーズを示しめすことがよくあるし、勝利しょうりのダンスと勝利しょうりの叫さけび・鬨かちどき（雄おたけび）は、物理ぶつり的てき暴力ぼうりょくが勃発ぼっぱつする前まえに行おこなわれる戦争せんそうのダンスと戦争せんそうの叫さけびに類似るいじしている。ヴィクトリアという用語ようごの起源きげんとなった古代こだいローマで報告ほうこくされた勝利しょうり時じの行動こうどうの例れいとして、69 年ねんのバタヴィアの反乱はんらんでガイウス・ユリウス・キウィリスに勝利しょうりした後のち、クィントゥス・ペティリウス・ケリアリスに仕つかえたバタヴィの傭兵ようへいたちの勝利しょうりの歌うた（タキトゥスの記録きろくによる）、また、579年ねんの戦勝せんしょう祝賀しゅくが会かいでランゴバルド人じんが歌うたったオーディンへの「忌いまわしい歌うた」などが挙あげられる。生贄いけにえ動物どうぶつはヤギで、ランゴバルド人じんは勝利しょうりの賛歌さんかを歌うたいながらその頭あたまの周まわりで輪わになって踊おどった。またローマ共和きょうわ国こくとロろーマ帝国まていこくは、凱旋がいせん式しきや戦勝せんしょう記念きねん塔とう（トラヤヌスの記念きねん柱ばしらなど) やアーチなどの記念きねん碑ひを建たてて勝利しょうりを祝いわう。トロフィーとは、もとは敵てきの武器ぶき (スポリア) や体からだの一部いちぶ (首狩くびがりの場合ばあいなど) など、敗北はいぼくした側がわから取とられた勝利しょうりの証あかしなのであった。

神話しんわでは、ギリシャのニーケーやローマのヴィクトリアのように、勝利しょうりを神格しんかく化かすることがある。勝利しょうりしたエージェントは英雄えいゆうであり、しばしば怪物かいぶつと白兵戦はくへいせんを行おこなっているように描えがかれている（ドラゴンを倒たおす聖ひじりジョージ、アヒを倒たおすインドラ、ミッドガルドの蛇へびを倒たおすトールなど）。ローマ神話しんわのソル・インウィクトゥス（「無敵むてきの太陽たいよう」"the Invincible Sun"）は、キリスト教きりすときょうにおけるキリストの形容詞けいようしとなった。タルソスのパウロは、キリストの復活ふっかつを死しと罪つみに対たいする勝利しょうりとして示しめしている (コリントの信徒しんとへの手紙てがみ一いち、15:55) 。

ラテン語らてんごからの英単語えいたんごvictory（14世紀せいき）は、古こ英語えいごのsigeに取とって代がわり、ゴート語ごのsigis（𐍃𐌹）、古高ふるたかドイツ語ごのsigu、現代げんだいドイツ語ごのSieg（SigibertやSigurdなど、ゲルマン語ごの名前なまえに頻繁ひんぱんみられる特徴とくちょう）、ケルト語ごのsegoやサンスクリット語ごのsáhas（सहस्）までと同義語どうぎごである。

古ふるくからある「Vサイン」には、手てのひらを外側そとがわに向むけたものと、手てのひらを内側うちがわに向むけたものの 2 つの形式けいしきがある。米国べいこくでは、2つの手て信号しんごうは同おなじ「勝利しょうり」を意味いみする^[1]。

宗教しゅうきょう

釈迦しゃかは、私わたしたち自身じしんの中なかに不滅ふめつが存在そんざいし、自分じぶん自身じしんを征服せいふくするために行動こうどうすることは彼かれの勝利しょうりであり、私わたしたちの勝利しょうりであると強調きょうちょうした。「千せんの戦たたかいに勝かつよりも、自分じぶん自身じしんに勝かつ方ほうが良よい。そうすれば、勝利しょうりはあなたのものになる。それは、天使てんしにも悪魔あくまにも、天国てんごくにも地獄じごくにも、あなたから奪うばうことはできない。」仏陀ぶっだの勝利しょうりは私わたしたちのものであり、それは心しんの座ざに永遠えいえんに残のこり、数すう多おおくの人生じんせいの中なかで展開てんかいされたとする。

『バガヴァッド・ギーター』第だい 2 章しょう 38 節せつでは、クリシュナがアルジュナに語かたりかけた平静へいせいさが示しめされている。「このすべて（宇宙うちゅう）に浸透しんとうしている、破壊はかいできないものであることを知しってください。誰だれも破壊はかいできないもの（アートマン）を破壊はかいすることはできません。」と述のべ、その後ごクリシュナはアルジュナに新あらたに発見はっけんした明晰めいせきさをもって行動こうどうするよう指示しじした後のち、「勝利しょうりと敗北はいぼく、利益りえきと損失そんしつ、喜よろこびと苦痛くつうを同様どうように扱あつかう。戦たたかいの準備じゅんびをしなさい。そうして戦たたかえば罪つみは負おわないだろう。」と述のべた。罪つみと美徳びとくは心しんの問題もんだいであり、身体しんたいの問題もんだいではないとした。

新約しんやく聖書せいしょでは、イエス・キリストの死しに対たいする勝利しょうりと、その勝利しょうりをクリスチャンの信者しんじゃが分わかち合あったことは、聖ひじりパウロと聖ひじりヨハネの著作ちょさく『ヨハネ文書ぶんしょ』の中なかで言及げんきゅうされている（例れい、ヨハネの手紙てがみ一いち 15:57、Ⅰヨハネ5:4）。

スポーツ

野球やきゅう

勝利しょうり投手とうしゅに記録きろくされる投手とうしゅの勝利しょうり数すう・最多さいた勝利しょうりは野球やきゅう記録きろくによると、アメリカ大だいリーグの通算つうさん最多さいた記録きろくはサイ・ヤングの511勝しょう、日本にっぽんプロ野球やきゅうの通算つうさん最多さいた記録きろくは金田かねだ正一しょういちの400勝しょう。なお、ニグロリーグのサチェル・ペイジの記録きろくは少すくなくとも511以上いじょうとされるが、記録きろくが不備ふびで正確せいかくな数字すうじはわかっていない。いずれも、投手とうしゅの起用きよう方法ほうほうなどの変化へんかにより現代げんだい野球やきゅうでは更新こうしんはきわめて困難こんなんとみられている。

「勝利しょうり投手とうしゅ」も参照さんしょう

アイスホッケー

アイスホッケーにおいて、勝利しょうりゴールテンダーに記録きろくされるGK記録きろく、決勝けっしょう点てんが決きまった時点じてんでの自軍じぐんゴールテンダーに記録きろくされる。NHLの通算つうさん最多さいた記録きろくはマーティン・ブロデューア（英語えいご版ばん）の691勝しょう。

アメリカンフットボール

アメリカンフットボールにおいて、勝利しょうりクォーターバックに記録きろくされるQB記録きろく。NFLの通算つうさん最多さいた記録きろくはトム・ブレイディの243勝しょう（2021シーズン終了しゅうりょう時点じてん）。

「NFLのクォーターバック通算つうさん勝利しょうり数すうの一覧いちらん」も参照さんしょう