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外国がいこくこくあきら損壊そんかいざい

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外国がいこくこくあきら損壊そんかいざい
法律ほうりつ条文じょうぶん 刑法けいほう92じょう
保護ほご法益ほうえき 国家こっか対外たいがいてき地位ちいあらそいあり)
主体しゅたい ひと
客体かくたい 外国がいこく国旗こっきそのくにあきら
実行じっこう行為こうい 損壊そんかい除去じょきょ汚損おそん
主観しゅかん 故意こいはん目的もくてきはん
結果けっか 危険きけんはん
実行じっこう着手ちゃくしゅ -
既遂きすい時期じき -
法定ほうていけい 2ねん以下いか懲役ちょうえきまたは20まんえん以下いか罰金ばっきん
未遂みすい予備よび なし
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外国がいこくこくあきら損壊そんかいざい(がいこくこくしょうそんかいざい)とは、外国がいこくたいして侮辱ぶじょくくわえる目的もくてきで、そのくに国旗こっきそのくにあきら損壊そんかい除去じょきょ汚損おそんすることによって成立せいりつする犯罪はんざい刑法けいほう92じょう)をいう。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

外国がいこくこくあきら損壊そんかいざいは、国家こっかてき法益ほうえきたいするつみのうちの国交こっこうかんするつみ分類ぶんるいされる犯罪はんざいである。外国がいこくたいして侮辱ぶじょくくわえる目的もくてきで、そのくに国旗こっきそのくにしょう損壊そんかい除去じょきょ汚損おそんする犯罪はんざいであり、法定ほうていけいは2ねん以下いか懲役ちょうえきまたは20まんえん以下いか罰金ばっきんとなる(刑法けいほう92じょう1こう)。なお、ほんざい外国がいこく政府せいふ請求せいきゅうがなければ公訴こうそ提起ていきすることができない親告罪しんこくざいである(刑法けいほう92じょう2こう)。

客体かくたい[編集へんしゅう]

ほんざい客体かくたいは、外国がいこく国旗こっきそのくにあきらである[1]

外国がいこく[編集へんしゅう]

外国がいこく」とは、国際こくさいほうにおいて承認しょうにんされている日本にっぽん以外いがい独立どくりつこくをいう[1]日本にっぽん承認しょうにん日本にっぽんとの国交こっこうがないくに承認しょうにんこく国交こっこう回復かいふくこくなど)については、その訴訟そしょう条件じょうけんなどとの整合せいごうせい考慮こうりょしてふくまないとする学説がくせつもあるが、それらのくに国家こっかてき名誉めいよ尊重そんちょうすべきであることや、将来しょうらいてき国交こっこうむす可能かのうせいもあることなどから、「外国がいこく」にふくまれるとされる学説がくせつ通説つうせつとなっている[1][2]。ただし、国際こくさい連合れんごうなどの国際こくさい機構きこうふくまれない[2][3]

国旗こっきそのくにあきら[編集へんしゅう]

国旗こっき」とはいちこく権威けんい表徴ひょうちょうするくにしょうをいい、「そのくにあきら」とは軍旗ぐんき元首げんしゅ大使館たいしかん徽章きしょうなどのその国家こっか権威けんい象徴しょうちょうする物件ぶっけんをいう[1][2][4]

ほんざいでいう国旗こっきそのくにあきらは、私人しじん掲揚けいようしているものや、公共こうきょう場所ばしょにおいて私的してき掲揚けいようされているものをふくむとする学説がくせつもあるが、処罰しょばつあたいするものは外国がいこく国家こっか機関きかん公的こうてき掲揚けいようしているものにかぎると解釈かいしゃくされている[3][5][6]

行為こうい[編集へんしゅう]

ほんざい行為こういは、外国がいこく国旗こっきそのくにしょう損壊そんかい除去じょきょ汚損おそんである[7]

損壊そんかい[編集へんしゅう]

判例はんれいによれば「損壊そんかい」とは、「くにあきら自体じたい破壊はかいまた毀損きそんする方法ほうほうによつて、外国がいこく威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょう効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうせしめること[8]」をいう[7]具体ぐたいてきには、(外国がいこく威信いしん尊厳そんげん侵害しんがいする程度ていどに)物理ぶつりてき破壊はかいする行為こういなどが該当がいとうする[2][3]

除去じょきょ[編集へんしゅう]

判例はんれいによれば「除去じょきょ」とは、「くにあきら自体じたい損壊そんかいしょうぜしめることなく、場所ばしょてき移転いてん遮蔽しゃへいとう方法ほうほうによつて、くにしょうげん所在しょざいする場所ばしょにおいてはたしているみぎ〔=外国がいこくの〕威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょう効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうせしめること[8]」をいう[7]具体ぐたいてきには、掲揚けいようされているくにしょうろす行為こういや、まくいたなどでくにしょうえなくする行為こうい該当がいとうする[2][9]

ただし、「遮蔽しゃへい」については、損壊そんかいにあたるとみる学説がくせつ[10]類推るいすい解釈かいしゃくであり処罰しょばつゆるされないとみる学説がくせつもある[11]

汚損おそん[編集へんしゅう]

判例はんれいによれば「汚損おそん[注釈ちゅうしゃく 1]」とは、「ひといやけがれかんいだかしめるもの付着ふちゃくまたは付置ふちしてくにあきら自体じたいたいしていやけがれかんいだかしめる方法ほうほうによつて、みぎ〔=外国がいこく威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょうの〕効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうさせること[8]」をいう[12]具体ぐたいてきには、くにしょうペンキ汚物おぶつびせかける行為こういや、(どろなどでよごれた)くつくにしょうみにじる行為こうい該当がいとうする[2][9]

法定ほうていけい[編集へんしゅう]

ほんざいは、2ねん以下いか懲役ちょうえきまたは20まんえん以下いか罰金ばっきんとされる(刑法けいほう92じょう1こう)。器物きぶつ損壊そんかいざい(3ねん以下いか懲役ちょうえきまたは30まんえん以下いか罰金ばっきん)よりもかるいのは、国旗こっきそのくにしょう財産ざいさんてき価値かち器物きぶつ損壊そんかいざい想定そうていされている財物ざいぶつ価値かちよりも上限じょうげんひくいとかんがえられるためである[13]

目的もくてきはん[編集へんしゅう]

ほんざいは、外国がいこくたいして侮辱ぶじょくくわえる目的もくてき損壊そんかい除去じょきょ汚損おそんおこなわれることをようするため、この目的もくてきおこなわなければほんざい成立せいりつしない[12][13]。この目的もくてきでなくおこなわれた場合ばあいには、窃盗せっとうざい器物きぶつ損壊そんかいざいなどが成立せいりつすることとなる[12]

なお、「侮辱ぶじょくくわえる」とは、そのくにたいする侮蔑ぶべつ感情かんじょうてき価値かち判断はんだん否定ひていてき評価ひょうか表示ひょうじすることをいう[12][13]

請求せいきゅう[編集へんしゅう]

ほんざいは、外国がいこく政府せいふ請求せいきゅうがなければ公訴こうそ提起ていきすることができず、請求せいきゅう訴訟そしょう条件じょうけんとする(刑法けいほう92じょう2こう刑事けいじ訴訟そしょうほう338じょう4ごう[14][15]。これは、文化ぶんか風習ふうしゅうことなる外国がいこく価値かちかんかかわる問題もんだいを、日本にっぽん検察官けんさつかん裁量さいりょうゆだねるのが適当てきとうであるとするかんがえにもとづくものである[14]。また、「告訴こくそ」ではなく「請求せいきゅう」としているのは、告訴こくそ同等どうとう厳格げんかく方式ほうしき要求ようきゅうしないことで外国がいこく政府せいふ手続てつづきじょう負担ふたんしょうじさせないためである[9][14]

つみすう関係かんけい[編集へんしゅう]

ほんざいは、器物きぶつ損壊そんかいざい建造けんぞうぶつとう以外いがい放火ほうかざいとのつみすう関係かんけい問題もんだいとなる[11][14][15]。これには、観念かんねんてき競合きょうごうみとめる学説がくせつと、法条ほうじょう競合きょうごうみとめる学説がくせつがあるが、法益ほうえきことなるため、前者ぜんしゃ通説つうせつとされる[11][14][15]

判例はんれい[編集へんしゅう]

昭和しょうわ40ねん4がつ16にちだいさんしょう法廷ほうてい決定けってい[編集へんしゅう]

1961ねん昭和しょうわ36ねん9月30にち台湾たいわん独立どくりつ運動うんどうおこな2人ふたりが、大阪おおさか市内しないにある中華民国ちゅうかみんこくちゅう大阪おおさか総領事館そうりょうじかんていの1かい正面しょうめん出入口でいりぐち鉄扉てっぴ中央ちゅうおうに、塗料とりょうもちいて台湾たいわん共和きょうわこく国旗こっきしょうした模様もようえがいたほか、「台湾たいわん独立どくりつまんさい」「台湾たいわん台湾たいわんじんのもの」などの言葉ことば蔣介せき侮辱ぶじょくする文章ぶんしょうなどを大書たいしょし、さらにかんてい侵入しんにゅうして1かい正面しょうめん出入口でいりぐち上部じょうぶにある中華民国ちゅうかみんこくくにあきらなどをこくしたよこがくまえに「台湾たいわん共和きょうわこく大阪おおさか総領事館そうりょうじかん」と大書たいしょした看板かんばんかかげて遮蔽しゃへいした[16][17]

1962ねん昭和しょうわ37ねん6月23にちだいいちしん大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょは、住居じゅうきょ侵入しんにゅうざい刑法けいほう130じょう)、侮辱ぶじょくざい刑法けいほう231じょう)、建造けんぞうぶつとう損壊そんかいざい刑法けいほう260じょう)については懲役ちょうえきけいしたが、外国がいこくこくあきら損壊そんかいざいについては下記かきのように「損壊そんかい」にあたらないと判示はんじ無罪むざいとした[16][18]

刑法けいほうだいきゅうじゅうじょうにいわゆる損壊そんかいとはどうじょう所定しょていくにしょう物質ぶっしつてき破壊はかいする行為こういゆびしょうするとかいすべきところ、被告人ひこくにんりょうのなしたしょは、くにあきらそのものにはなん物質ぶっしつてき破壊はかいくわえることなく、たんくにしょう前面ぜんめん本件ほんけん看板かんばん垂下すいかしてくにしょう外部がいぶからえないように遮蔽しゃへいしたにやめつたのであるから、みぎ刑法けいほうだいきゅうじゅうじょう外国がいこくこくあきら損壊そんかいざい構成こうせいしないといわなければならない。 — 大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょ判決はんけつ昭和しょうわ37ねん6がつ23にち昭和しょうわ36ねん(わ)だい5748ごう昭和しょうわ36ねん(わ)だい4319ごう、『外国がいこくこくあきら損壊そんかいとう被告ひこく事件じけん』、最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ判例はんれいしゅう19かん3ごう147ぺーじ

1963ねん昭和しょうわ38ねん11月27にち控訴こうそしん大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょでは、くにしょうまえ看板かんばんかかげた行為こういについて刑法けいほう92じょうの「除去じょきょ」にあたるとしてだいいちしん判決はんけつ破棄はきし、外国がいこくこくあきら損壊そんかいざいふくめて有罪ゆうざいとした[8][19][20]

だいきゅうじょうは、わがくに外国がいこくとのあいだにおける円滑えんかつ国交こっこうするため、くにしょう表徴ひょうちょうしている当該とうがい外国がいこく威信いしん尊厳そんげんきずつける行為こうい禁止きんししようとするにあることをうかがうことができ、どうじょうにいわゆる損壊そんかいとは、くにあきら自体じたい破壊はかいまた毀損きそんする方法ほうほうによつて、外国がいこく威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょう効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうせしめることをいい、除去じょきょとは、くにあきら自体じたい損壊そんかいしょうぜしめることなく、場所ばしょてき移転いてん遮蔽しゃへいとう方法ほうほうによつて、くにしょうげん所在しょざいする場所ばしょにおいてはたしているみぎ威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょう効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうせしめることをいい、汚穢おあいとは、ひといやけがれかんいだかしめるもの付着ふちゃくまたは付置ふちしてくにあきら自体じたいたいしていやけがれかんいだかしめる方法ほうほうによつて、みぎ効用こうよう滅失めっしつまたは減少げんしょうさせることをいう、とするを相当そうとうとする。 — 大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょ判決はんけつ昭和しょうわ38ねん11月27にち昭和しょうわ37ねん(う)だい1425ごう、『建造けんぞうぶつ損壊そんかい建造けんぞう侵入しんにゅう侮辱ぶじょく外国がいこくこくあきら損壊そんかい被告ひこく事件じけん』、最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ判例はんれいしゅう19かん3ごう150ぺーじ
原審げんしんがその有罪ゆうざい部分ぶぶん認定にんていについてきょしめした証拠しょうこならびにとうしん検証けんしょう調書ちょうしょおよび証人しょうにん……(りゃく)……の尋問じんもん調書ちょうしょ総合そうごうすれば、被告人ひこくにんりょう共謀きょうぼううえ昭和しょうわさんろくねんきゅうがつさんにち午前ごぜんさんごろ中華民国ちゅうかみんこくたい侮辱ぶじょくくわえる目的もくてきもって、大阪おおさか……(りゃく)……所在しょざい同国どうこくちゅう大阪おおさか総領事館そうりょうじかんていいちかい正面しょうめん出入口でいりぐち上部じょうぶ中央ちゅうおうに、中華民国ちゅうかみんこく青天白日せいてんはくじつくにしょうこくし、その右側みぎがわに「中華ちゅうか左側ひだりがわに「だい厦」とこくしたよこがくうえ白地しろじくろく「台湾たいわん共和きょうわこく大阪おおさか総領事館そうりょうじかん」と大書たいしょしたベニヤ板べにやいたせい看板かんばんかかげて、みぎ中華民国ちゅうかみんこくくにしょうのあるよこがく外部がいぶからまった遮蔽しゃへいしたものであるとの起訴きそじょう記載きさい事実じじつ、ならびに、前記ぜんき中央ちゅうおうくにしょうのある中華ちゅうかだい厦のよこがく建物たてもの正面しょうめん長方形ちょうほうけいの凹所にんできざみつけられたもので、これにたいする遮蔽しゃへい仕方しかたみぎよこがく前面ぜんめんにこれとほぼ同形どうけいベニヤ板べにやいたせい看板かんばんを、みぎよこがく上部じょうぶちつけられていたくぎあるいは上部じょうぶにあつたコンクリートのいぼに看板かんばんりつけた針金はりがねきつけて垂下すいかせしめ、このよこがく看板かんばんが恰度かさなりうように合致がっちせしめ密接みっせつさせていたものであつて、よこがく看板かんばんによりまった遮蔽しゃへいされかえつて本件ほんけん建造けんぞうぶつ台湾たいわん共和きょうわこく大阪おおさか総領事館そうりょうじかんとなつたかのかんいだかしめること、および、この看板かんばんかかげた場所ばしょ屋内おくないからの出入でいりが遮断しゃだんされた地上ちじょうやくよんまい高所こうしょであつていちかいからは勿論もちろんかいからも容易ようい近付ちかづがたく、みぎ看板かんばんりはずしは容易よういでないばかりか、りはずさない以上いじょうは、そのまま固定こていしたもので、この遮蔽しゃへいたん一時いちじてきのものでないこととうみとめられる。かかるくにしょう遮蔽しゃへい方法ほうほうくにしょう場所ばしょてき移転いてんこそないが、みぎこくあきらがその場所ばしょにおいてはたしつつある中華民国ちゅうかみんこく威信いしん尊厳そんげん表徴ひょうちょう効用こうよう滅却めっきゃくするものというべく刑法けいほうだいきゅうじょう除去じょきょ該当がいとうするものとするを相当そうとうとする。 — 大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょ判決はんけつ昭和しょうわ38ねん11月27にち昭和しょうわ37ねん(う)だい1425ごう、『建造けんぞうぶつ損壊そんかい建造けんぞう侵入しんにゅう侮辱ぶじょく外国がいこくこくあきら損壊そんかい被告ひこく事件じけん』、最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ判例はんれいしゅう19かん3ごう150ぺーじ

1965ねん昭和しょうわ40ねん4がつ16にち最高裁判所さいこうさいばんしょだいさんしょう法廷ほうていは、裁判官さいばんかん全員ぜんいん一致いっち意見いけんによって上告じょうこく棄却ききゃくした[21][22][23]。これにより、1人ひとり懲役ちょうえき8ヶ月かげつ、もう1人ひとり懲役ちょうえき4ヶ月かげつ確定かくていした[24]

原審げんしん認定にんていした事実じじつ関係かんけいしたにおいて、被告人ひこくにんらのなした中華民国ちゅうかみんこくこくあきら遮蔽しゃへい方法ほうほうは、みぎこくあきら効用こうよう滅却めっきゃくさせるものであり、刑法けいほうきゅうじょうにいう除去じょきょあたるとしたはら判示はんじ正当せいとうである。) — 最高さいこう裁判所さいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい決定けってい昭和しょうわ40ねん4がつ16にち昭和しょうわ39ねん(あ)だい200ごう、『建造けんぞうぶつ損壊そんかい建造けんぞうぶつ侵入しんにゅう侮辱ぶじょく外国がいこくこくあきら除去じょきょ被告ひこく事件じけん』、最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ判例はんれいしゅう19かん3ごう143ぺーじ

国旗こっき損壊そんかいつみ法律ほうりつあん[編集へんしゅう]

2012ねん平成へいせい24ねん5月29にち日本にっぽんこくたいして侮辱ぶじょくくわえる目的もくてきで、日本にっぽん国旗こっき損壊そんかい除去じょきょ汚損おそんする行為こういについて、刑法けいほうだい4しょうの2を創設そうせつし、だい94じょうの2として「国旗こっき損壊そんかいつみ」の規定きてい整備せいびする「刑法けいほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつあん」(しゅうほうだい14ごう)が自由民主党じゆうみんしゅとうから提出ていしゅつされたが、閉会へいかいちゅう審査しんさとなった[25][26]

事案じあん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 1995ねん平成へいせい7ねん)の改正かいせいまえは「汚穢おあい」と表記ひょうきされていた[12]
  2. ^ この事件じけんについて日本にっぽん政府せいふは、中国ちゅうごく指導しどうしゃ誹謗ひぼうしたことや、騒音そうおん大使館たいしかん通常つうじょう業務ぎょうむ妨害ぼうがいしたことについて、中国ちゅうごくがわへの陳謝ちんしゃなどの措置そちり、再発さいはつ防止ぼうしさく検討けんとうすることとした[33]
  3. ^ ワールドカップ最終さいしゅう予選よせん日本にっぽん・イラクせんけで終了しゅうりょう日本にっぽん本戦ほんせん出場しゅつじょうできなくなった直後ちょくご、イスマイル・アルカディ臨時りんじ代理だいり大使たいしらが、大使館たいしかん付近ふきんJリーグのテーマソングをうたすうにん若者わかものさわごえいていた[37][38]
  4. ^ また2がつ15にちには、日本にっぽん抗議こうぎするロシアのグループがざいロシア日本国にっぽんこく大使館たいしかんまえ日本にっぽん国旗こっきやし、大使館たいしかん門衛もんえいしょかってなまたまごげつける抗議こうぎ活動かつどうおこなわれた[40]
  5. ^ これにたいしてロシア外務省がいむしょうさい捜査そうさ要求ようきゅうし、この問題もんだい関係かんけいした右翼うよく団体だんたい幹部かんぶ入国にゅうこく禁止きんしと、北方領土ほっぽうりょうど返還へんかん運動うんどうすすめる北方領土ほっぽうりょうど復帰ふっき期成きせい同盟どうめいのモスクワ訪問ほうもんだんれない方針ほうしんしめした[43]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 亀井かめい 2015, p. 84.
  2. ^ a b c d e f 西田にしだ 2018, p. 440.
  3. ^ a b c 前田まえだ 2020, p. 515.
  4. ^ はやし 2007, p. 476.
  5. ^ 亀井かめい 2015, p. 85.
  6. ^ 大谷おおや 2019, p. 566.
  7. ^ a b c 亀井かめい 2015, p. 87.
  8. ^ a b c d 大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょだいさん刑事けいじ判決はんけつ 昭和しょうわ38ねん11月27にち 高等こうとう裁判所さいばんしょ判例はんれいしゅう16かん8ごう708ぺーじ昭和しょうわ37ねん(う)だい1425ごう、『建造けんぞうぶつ損壊そんかい建造けんぞうぶつ侵入しんにゅう侮辱ぶじょく外国がいこくこくあきら損壊そんかい被告ひこく事件じけん』。
  9. ^ a b c 前田まえだ 2020, p. 516.
  10. ^ 平野へいや 1977, p. 293.
  11. ^ a b c はやし 2007, p. 477.
  12. ^ a b c d e 亀井かめい 2015, p. 88.
  13. ^ a b c 大谷おおや 2019, p. 567.
  14. ^ a b c d e 亀井かめい 2015, p. 89.
  15. ^ a b c 大谷おおや 2019, p. 568.
  16. ^ a b はん 1962, p. 40.
  17. ^ かんあいだ 1966, p. 26.
  18. ^ かんあいだ 1966, pp. 26–27.
  19. ^ はん 1964, p. 46.
  20. ^ かんあいだ 1966, pp. 27–28.
  21. ^ 最高裁判所さいこうさいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい判決はんけつ 昭和しょうわ40ねん4がつ16にち 最高裁判所さいこうさいばんしょ刑事けいじ判例はんれいしゅう19かん3ごう143ぺーじ昭和しょうわ39ねん(あ)だい200ごう、『建造けんぞうぶつ損壊そんかい建造けんぞうぶつ侵入しんにゅう侮辱ぶじょく外国がいこくこくあきら除去じょきょ被告ひこく事件じけん』。
  22. ^ はん 1965, pp. 56–57.
  23. ^ かんあいだ 1966, p. 28.
  24. ^ くにあきらいたずらに懲役ちょうえき確定かくてい 大阪おおさか国府こくふ総領事館そうりょうじかん事件じけん」『読売新聞よみうりしんぶん』、1965ねん4がつ20日はつか、9めん
  25. ^ しゅうほう だい180かい国会こっかい 14 刑法けいほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつあん 議案ぎあん審議しんぎ経過けいか情報じょうほう”. 衆議院しゅうぎいん. 2021ねん9がつ21にち閲覧えつらん
  26. ^ しゅうほう だい180かい国会こっかい 14 刑法けいほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつあん 議案ぎあん本文ほんぶん情報じょうほう一覧いちらん”. 衆議院しゅうぎいん. 2021ねん9がつ21にち閲覧えつらん
  27. ^ a b c d 冷戦れいせん対応たいおう苦慮くりょ “理論りろん武装ぶそう”し圧力あつりょくのがれる」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2003ねん12月24にち、8めん
  28. ^ 亀井かめい 2015, p. 86.
  29. ^ 長崎ながさき簡易かんい裁判所さいばんしょ判決はんけつ 昭和しょうわ33ねん12月3にち だい一審刑事裁判例集1かん12ごう2266ぺーじ昭和しょうわ33ねん(い)だい5963ごう、『軽犯罪法けいはんざいほう違反いはん被告ひこく事件じけん』。
  30. ^ a b 今度こんど青天白日せいてんはくじつ 横浜よこはま仮装かそう行列ぎょうれつ中共ちゅうきょうけい青年せいねんが引くだす」『毎日新聞まいにちしんぶん』、1958ねん5がつ12にち、1めん
  31. ^ a b 国府こくふ事態じたい重視じゅうし 横浜よこはま青天白日せいてんはくじつはた事件じけん」『読売新聞よみうりしんぶん』、1958ねん5がつ14にち、1めん
  32. ^ 国府こくふがわ調査ちょうさ要求ようきゅう 青天白日せいてんはくじつはた事件じけん」『読売新聞よみうりしんぶん』、1958ねん5がつ15にち、1めん
  33. ^ a b c d e 「“暴徒ぼうと中国ちゅうごくみつけ” 中国ちゅうごく大使館たいしかん抗議こうぎ 外務省がいむしょう遺憾いかん」『読売新聞よみうりしんぶん』、1973ねん6がつ28にち、2めん
  34. ^ a b c べい領事館りょうじかん乱入らんにゅう 国旗こっき領事りょうじ乱暴らんぼう 福岡ふくおか過激かげき3にん」『朝日新聞あさひしんぶん』、1974ねん11月22にち、11めん
  35. ^ べい領事館りょうじかん福岡ふくおか)に乱入らんにゅう 過激かげき星条旗せいじょうきく 3にん逮捕たいほ」『読売新聞よみうりしんぶん』、1974ねん11月22にち、1めん
  36. ^ べい領事館りょうじかん襲撃しゅうげきした二人ふたり実刑じっけい判決はんけつ 福岡ふくおか地裁ちさい」『朝日新聞あさひしんぶん』、1976ねん2がつ25にち、10めん
  37. ^ a b 「イラク大使館たいしかん国旗こっきぬすまれる W杯だぶりゅーはい最終さいしゅう予選よせん直後ちょくご」『産経新聞さんけいしんぶん』、1993ねん11月5にち
  38. ^ a b 大使館たいしかんからイラク国旗こっき盗難とうなん サッカーW杯だぶりゅーはい予選よせん直後ちょくごはらいせに?」『毎日新聞まいにちしんぶん』、1993ねん11月5にち、12めん
  39. ^ 「ロシア:国旗こっき侮辱ぶじょく日本にっぽん抗議こうぎ 処罰しょばつ要求ようきゅう」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2011ねん2がつ9にち、6めん
  40. ^ 「ロシア:北方領土ほっぽうりょうど日本にっぽん抗議こうぎ 大使館たいしかんまえまるやす」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2011ねん2がつ17にち、6めん
  41. ^ 「ロシア:国旗こっき模造もぞうひん侮辱ぶじょく事実じじつなし 日本にっぽん伝達でんたつ」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2011ねん3がつ2にち、6めん
  42. ^ 国旗こっき問題もんだい 「違反いはんみとめられない」官房かんぼう長官ちょうかん」『読売新聞よみうりしんぶん』、2011ねん3がつ3にち、12めん
  43. ^ 北方領土ほっぽうりょうど返還へんかん推進すいしん団体だんたい訪露ほうろ拒否きょひ 「国旗こっき侮辱ぶじょく立件りっけん見送みおく報復ほうふく」『毎日新聞まいにちしんぶん』、2011ねん3がつ4にち、2めん
  44. ^ 日本にっぽん右翼うよくがデモで韓国かんこく国旗こっき太極たいきょく」をぼうとく…韓国かんこく非難ひなん続出ぞくしゅつ」『ライブドアニュース』、2012ねん7がつ27にち2021ねん2がつ3にち閲覧えつらん
  45. ^ 日本にっぽん右翼うよくの「韓国かんこく国旗こっきぼうとく映像えいぞう」に非難ひなん殺到さっとう」『聯合れんごうニュース』、2012ねん9がつ19にち2021ねん2がつ3にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 建物たてものへの落書らくがきが建造けんぞうぶつ損壊そんかいざい構成こうせいする事例じれい――外国がいこくこくあきら損壊そんかいざいにいう「損壊そんかい」の意義いぎ」『判例はんれい時報じほうだい306ごう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、1962ねん9がつ1にち、39-40ぺーじ 
  • 刑法けいほうきゅうじゅうじょうにいわゆる「損壊そんかい」「除去じょきょ」および「汚穢おあい」の意義いぎ」『判例はんれい時報じほうだい372ごう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、1964ねん6がつ11にち、46-48ぺーじ 
  • 刑法けいほうきゅうじゅうじょうにいう外国がいこくこくあきら除去じょきょにあたるとされた事例じれい」『判例はんれい時報じほうだい410ごう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、1965ねん7がつ1にち、56-58ぺーじ 
  • 菅間すがま英男ひでお ちょ刑法けいほうきゅうじゅうじょうにいう外国がいこくこくあきら除去じょきょにあたるとされた事例じれい」、最高裁判所さいこうさいばんしょ調査官ちょうさかんしつ へん最高裁判所さいこうさいばんしょ判例はんれい解説かいせつ 刑事けいじへん 昭和しょうわ40年度ねんど法曹ほうそうかい、1966ねん8がつ20日はつか、26-29ぺーじ 
  • 平野ひらの龍一りゅういち刑法けいほう概説がいせつ東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、1977ねん3がつ15にちISBN 9784130320634 
  • はやし幹人みきひと刑法けいほう各論かくろん』(だい2はん東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2007ねん10がつ1にちISBN 9784130323420 
  • 亀井かめい源太郎げんたろう ちょだい92じょう外国がいこくこくあきら損壊そんかいとう)」、大塚おおつか, ひとし河上かわかみ, 和雄かずお; 中山なかやま, ぜんぼう ほか へんだいコンメンタール刑法けいほうだい6かんだい73じょうだい107じょう)(だい3はん)、あおりん書院しょいん、2015ねん12月25にち、83-90ぺーじISBN 9784417016731 
  • 西田にしだ典之のりゆき刑法けいほう各論かくろん橋爪はしづめたかしてい弘文こうぶんどう法律ほうりつがく講座こうざ双書そうしょ〉、2018ねん3がつ30にちISBN 9784335304798 
  • 大谷おおやみのる刑法けいほう講義こうぎ各論かくろん』(新版しんぱんだい5はん成文せいぶんどう、2019ねん12月20にちISBN 9784792352905 
  • 前田まえだ雅英まさひで刑法けいほう各論かくろん講義こうぎ』(だい7はん東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2020ねん1がつ31にちISBN 9784130323925 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]