狭隘きょうあい道路どうろ

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狭隘きょうあいから転送てんそう

狭隘きょうあい道路どうろ(きょうあいどうろ)とは、法律ほうりつじょう定義ていぎはないが、行政ぎょうせい都道府県とどうふけん市町村しちょうそん)が使用しようする場合ばあいは、おも幅員ふくいん4m未満みまん2こう道路どうろす。国土こくど交通省こうつうしょう補助ほじょ事業じぎょうきょうあい道路どうろ整備せいびとう促進そくしん事業じぎょう)では、建築けんちく基準きじゅんほうだい42じょうだい2こうだい3こう指定していけた道路どうろ2こう道路どうろ3こう道路どうろ)、指定してい通路つうろなどをきょうあい道路どうろとしている。自治体じちたいによってはほそ街路がいろともぶ。

狭隘きょうあい道路どうろでは、自治体じちたい支援しえん拡幅かくふくおこなわれたり、狭隘きょうあい道路どうろそのものをけるようにバイパス建設けんせつすることもある。

バス路線ろせんのうち、対面たいめん交通こうつうむずかしい区間くかんなどを狭隘きょうあい路線ろせんぶことがあり、江戸えど時代じだいからある道路どうろが、明治めいじ時代じだいにそのまま国道こくどう県道けんどう指定していされ、そのバス路線ろせん開通かいつうしバスが大型おおがたされ狭隘きょうあい路線ろせんとなる。

消防しょうぼう救急きゅうきゅう活動かつどうへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

狭隘きょうあい道路どうろ場合ばあい火災かさい発生はっせいや、救急きゅうきゅう活動かつどう緊急きんきゅう車両しゃりょう進入しんにゅうできず消火しょうか活動かつどうへのおくれによる延焼えんしょう拡大かくだいや、傷病しょうびょうしゃ搬送はんそう時間じかんようする。

全国ぜんこく消防しょうぼうでは、狭隘きょうあい道路どうろでの救急きゅうきゅう要請ようせいさとしした場合ばあい救急きゅうきゅうしゃだけでなく消防車しょうぼうしゃ同時どうじ出場しゅつじょうさせる「PA連携れんけい[1]対応たいおうすることになっている。搬送はんそう狭隘きょうあいのために、救急きゅうきゅうたいのみでの活動かつどう困難こんなん場合ばあい消防しょうぼうたい1たい同時どうじ出場しゅつじょうさせ、活動かつどう支援しえんおこな[2]

また、へいなどの倒壊とうかいによる災害さいがい避難ひなん障害しょうがいや、火災かさい延焼えんしょう拡大かくだい可能かのうせいもある。狭隘きょうあい道路どうろ拡幅かくふくは、喫緊きっきん課題かだいであるとしている[3]

きょうあい道路どうろ拡幅かくふく整備せいび事業じぎょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは平成へいせいだいからきょうあい道路どうろ解消かいしょうにむけて全国ぜんこく各地かくちおこなわれている。たとえば横浜よこはまでは1997ねん平成へいせい9ねん)に「横浜よこはまきょうあい道路どうろ整備せいび促進そくしんかんする条例じょうれい」を制定せいてい[4]どう条例じょうれい整備せいび促進そくしん路線ろせんさだめ、路線ろせんせっした敷地しきち対象たいしょうとしている。以降いこう全国ぜんこくかく都市とし条例じょうれいさだめられて、こうした条例じょうれいによりきょうあい道路どうろ拡幅かくふく整備せいび事業じぎょうすすめている。

国土こくど交通省こうつうしょうにおいては、2009年度ねんどに「きょうあい道路どうろ整備せいびとう促進そくしん事業じぎょう」を創設そうせつする。2010年度ねんど以降いこう社会しゃかい資本しほん整備せいび総合そうごう交付こうふきん基幹きかん事業じぎょうとして地方ちほう公共こうきょう団体だんたいおこな道路どうろ情報じょうほう整備せいび拡幅かくふく整備せいびたいする支援しえんおこなうこととなった。さらに2019年度ねんど予算よさんにおいて、事業じぎょう期間きかんきょうあい道路どうろ情報じょうほう整備せいびについては2022年度ねんどまつまで、拡幅かくふく整備せいびについては2024ねんまつまで延長えんちょうされた。これをまえて地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおける事業じぎょう活用かつようじょうきょう把握はあくしていちそう取組とりくみ推進すいしんすることを目的もくてきとして、国土こくど交通省こうつうしょう公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん住宅じゅうたく総合そうごうセンターの協力きょうりょく実態じったい調査ちょうさ実施じっししてさらに「きょうあい道路どうろ解消かいしょうのための拡幅かくふく整備せいび事業じぎょうにおける優良ゆうりょう事例じれい調査ちょうさ」で取組とりくみ事例じれいをとりまとめている[5]

きょうあい道路どうろ拡幅かくふく整備せいび事業じぎょう対象たいしょうは、かく自治体じちたい地域ちいき相違そういがあるので詳細しょうさいについては当該とうがい自治体じちたいとう窓口まどぐちわせが必要ひつようであるが[ちゅう 1]、おおむね当該とうがい条例じょうれいさだめられた路線ろせん建築けんちく基準きじゅんほうだい42じょうだい2こう規定きていにより特定とくてい行政ぎょうせいちょう指定していした道路どうろ建築けんちく基準きじゅんほうだい42じょうだい1こうだい5ごう規定きていにより特定とくてい行政ぎょうせいちょうから、その位置いち指定していけた道路どうろなどが該当がいとうする。そのかく自治体じちたいとう条件じょうけんによる。建築けんちく新築しんちくなどの開発かいはつとうがなくても、公道こうどうで2こう道路どうろのうち境界きょうかい確定かくていしており、その境界きょうかい現況げんきょう一致いっちしている道路どうろであれば、きょうあい道路どうろ拡幅かくふく整備せいび事業じぎょう対象たいしょうとすることが可能かのうであることがおおい。東京とうきょうであれば、東京とうきょう建築けんちく安全あんぜん条例じょうれいだい2じょう規定きていにより、道路どうろすみもうける必要ひつようがあるため、すみ敷地しきち部分ぶぶん該当がいとうする敷地しきちは、事業じぎょう対象たいしょうになる。

一般いっぱんには2こう道路どうろ条例じょうれいにより指定していされているみちせっする土地とち現況げんきょう幅員ふくいん指定してい幅員ふくいんたない位置いち指定してい道路どうろめんして建築けんちく行為こうい新築しんちく改築かいちくとう)をおこなうときは、建築けんちく確認かくにん申請しんせいひとし手続てつづきおこなさい申請しんせいまえに「きょうあい協議きょうぎ」が必要ひつようとなる。

きょうあい道路どうろ拡幅かくふくさい整備せいび協議きょうぎ後退こうたい用地ようちとう無償むしょう貸与たいよなどで用意よういする申請しんせい書類しょるいはおおむねつぎのとおり。

(1) 協議きょうぎ申請しんせいしょ - ただしふく, それぞれ1
(2) 委任いにんじょう代理人だいりにん手続てつづきを委任いにんする場合ばあい:1
(3) 申請しんせい案内あんない(ベースの図面ずめん指定していされる場合ばあいもある):ただしふくかく添付てんぷ
(4) 配置はいち現況げんきょうとう協議きょうぎ範囲はんいかる図面ずめんただしふくかく添付てんぷ
(5) 協議きょうぎ承諾しょうだくしょ:1申請しんせいしゃ土地とち所有しょゆうしゃことなる場合ばあい申請しんせいしゃ共有きょうゆう名義めいぎ所有しょゆうしゃにいる場合ばあい添付てんぷ必要ひつよう

売買ばいばいにより登記とうきちゅう場合ばあいは、売買ばいばい契約けいやくしょうつとうを、すで宅地たくち造成ぞうせいとう規制きせいほう検査けんさずみしょう交付こうふけている場合ばあいは、許可きょか図面ずめん造成ぞうせい計画けいかく平面へいめんようかべ配置はいち)を添付てんぷ必要ひつようもある。

通常つうじょう申請しんせいしょ委任いにんじょう添付てんぷ文書ぶんしょなどの雛形ひながたは、申請しんせい自治体じちたい開設かいせつするウェブサイト取得しゅとく可能かのう。また配置はいち現況げんきょうとう図面ずめん記載きさいれいしめ必要ひつよう事項じこう詳細しょうさい解説かいせつなども取得しゅとく可能かのうである。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ わせさきかく自治体じちたいでそれぞれである。たとえば(1)きょうあい協議きょうぎの「事前じぜん相談そうだん」にかんすることは、建築けんちく指導しどう関係かんけい部署ぶしょ(2)きょうあい協議きょうぎの「整備せいび」にかんすることは、道路どうろ管理かんり関係かんけい部署ぶしょということもある。

出典しゅってん[編集へんしゅう]