(Translated by https://www.hiragana.jp/)
銅貨 - Wikipedia コンテンツにスキップ

銅貨どうか

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ディオクレティアヌスのアスあお銅貨どうか
西にしマ帝国まていこく銅貨どうかアス)。

銅貨どうか(どうか Copper coin)とは、どう素材そざいとしてつくられた貨幣かへいをいう。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

どう卑金属ひきんぞくではあるがてつすずなどにしてイオン化いおんか傾向けいこうひく酸化さんかしにくいとされ、すずとの合金ごうきんである青銅せいどうふるくから装飾そうしょくひん武器ぶきなどにひろ使用しようされて、精錬せいれんほうられた身近みぢか金属きんぞくであったため、貯蔵ちょぞうせい搬性の利点りてんから鋳造ちゅうぞう貨幣かへいとして広範こうはん利用りようされた。ただし厳密げんみつ意味いみでの鋳造ちゅうぞう鋳型いがたかしたどうながんで成形せいけいする)はひがしアジアにかぎられ、オリエントやヨーロッパではプレス加工かこうによる成形せいけい主流しゅりゅうであった。

銅貨どうかデュイ、1769ねんオランダゼーラントしゅう)。

耐食性たいしょくせいすぐれるとはいえ材質ざいしつとしての価値かち貴金属ききんぞくとしての金銀きんぎんくらおおきくおとるため、本位ほんい貨幣かへい少額しょうがく決済けっさいにおける不便ふべんさを補填ほてんするための「補助ほじょ貨幣かへい」としての性質せいしつおおきかった。よって中国ちゅうごく日本にっぽんでは金銀きんぎん砂金さきんちょうぎんなど秤量ひょうりょう貨幣かへい体裁ていさいることがおおかったのにたいして、どう権威けんいせいそなえたコインとしての体裁ていさいもとめられ、鋳造ちゅうぞう品質ひんしつ信用しんよう(=価値かち)に直結ちょっけつした。どう地金じがね額面がくめんとの差額さがく貨幣かへい発行はっこうえきとして政府せいふ財政ざいせい収入しゅうにゅうとなるため、760ねん天平てんぴょうたから4)のまんねん通宝つうほう発行はっこうには差益さえきねらって鋳造ちゅうぞうされたわたしぜに市場いちば半数はんすう流通りゅうつうしたという。中世ちゅうせい日本にっぽんでは渡来とらいぜにであるそうぜにあかりぜにとく永楽えいらく通宝つうほう)などがひろ通用つうようしたが、品質ひんしつとしたわたしぜにつづ流通りゅうつうし、悪貨あっか鐚(びた)ぜにとしてせんぜに(えりぜに)の慣習かんしゅうこした。

ひがしアジアの銅銭どうせんにみられる四角しかくあなは、鋳造ちゅうぞうぼうとおしてろくろ回転かいてんさせ、かたへの溶銅の注入ちゅうにゅうこう湯口ゆぐち)やかた隙間すきまへのどうのはみし(バリ)がぜにえんのこっているのをけずとす工作こうさくもちいられる。これにより見目みめくなる反面はんめんぜにには多少たしょう重量じゅうりょうしょうじることになり、早期そうきから計数けいすう貨幣かへいりの性格せいかくであった。これにたい西洋せいよう銅貨どうかとく古代こだいのものではバリがついたままのものがおお出土しゅつどしており秤量ひょうりょう貨幣かへいりの思考しこうであったとえる。

硬貨こうかかねぎん実質じっしつてき価値かちから、額面がくめんおうじて大型おおがたおもくなっていたが、銅貨どうかにおいても同様どうようで、ヨーロッパ世界せかいでは近世きんせいはいってからも大型おおがたおも銅貨どうか流通りゅうつうしていた。イギリス車輪しゃりんぜにばれる2ペンス銅貨どうかはその代表だいひょうてきものである。

現在げんざいでは金貨きんか銀貨ぎんかは、もはや流通りゅうつうようにはられず、銅貨どうか世界せかい硬貨こうか中心ちゅうしんをなしており、ひろ利用りようされている。一因いちいんとしては、どう軍事ぐんじ用途ようと飛躍ひやくてき拡大かくだいしたため、銅貨どうかるいはその国家こっか備蓄びちく意義いぎおおきくなっている。どうやその合金ごうきん戦車せんしゃ航空機こうくうきなどの主要しゅよう素材そざいではないため使用しよう量的りょうてきにはややすくないながらも使途しと多岐たきにわたり、近世きんせいには大砲たいほうのための青銅せいどう砲金ほうきん)、近代きんだい以後いご銃砲じゅうほうだん薬莢やっきょう、20世紀せいきからは特殊とくしゅこう合金ごうきん素材そざいとして重要じゅうようとなったニッケルくわえた白銅はくどう、21世紀せいき現在げんざいますます重要じゅうようしているハイテク製品せいひん電気でんき電子でんし部品ぶひんなど、戦略せんりゃく資源しげんとしての意義いぎ上昇じょうしょうつづけている。

銅貨どうか素材そざい

[編集へんしゅう]

銅貨どうか」のかたりは、素材そざいめんからると、もっと狭義きょうぎには純銅じゅんどうどう96%以上いじょう合金ごうきんこうどう合金ごうきん)でつくられているものをいい、日本にっぽん貨幣かへいでは1873ねん明治めいじ6ねん制定せいていりゅう2ぜにりゅう1ぜにりゅう半銭きなか・1りん銅貨どうか品位ひんいどう98%、すず1%、亜鉛あえん1%)がこれにたり、純銅じゅんどうせいのものはアメリカの1793ねん1857ねん1セント銅貨どうかハーフセント銅貨どうかなどのれいがある。しかし、銅貨どうか純銅じゅんどう製造せいぞうされることはすくなく、おおくは耐久たいきゅうせいなどのめんから青銅せいどう貨として鋳造ちゅうぞうされる。一般いっぱんてきには、銅貨どうかというと、このあお銅貨どうか現行げんこう日本にっぽん硬貨こうかではじゅうえん硬貨こうかがこれにたる)を場合ばあいおおいが、ほかにもどう主体しゅたいとする合金ごうきんたとえば黄色きいろ黄銅こうどう貨やしろ白銅はくどう貨、洋銀ようぎん貨やアルミニウム青銅せいどう貨、さらにはノルディック・ゴールド貨なども広義こうぎでは銅貨どうか範疇はんちゅうはいり、世界せかいてきにはしろ銅貨どうか比較的ひかくてき高額こうがく硬貨こうかもちいられることがおおい。

低額ていがく硬貨こうかにはあお銅貨どうかもちいられる場合ばあいおおかったが、2024ねん現在げんざい世界せかい流通りゅうつうしている硬貨こうかると、日本にっぽんじゅうえん硬貨こうかのように、外見がいけんどうしょくでしかも材質ざいしつ全体ぜんたいとしてどう合金ごうきんとなっているれいすくなく、おもだったところをれば、台湾たいわんの1台湾たいわんもとどうあい金貨きんかや、デンマークの50オーレ(1デンマーク・クローネ半分はんぶんあお銅貨どうかイギリスの1ペニー・2ペンスあお銅貨どうか(1世代せだいまえ硬貨こうか)ぐらいのものである。近年きんねんでは世界せかい流通りゅうつうしている硬貨こうかると、外見がいけんどうしょくでも内部ないぶ鋼鉄こうてつてつ)というれいおおく、たとえば最新さいしんの1ペニー・2ペンス硬貨こうか該当がいとうし、また現在げんざい流通りゅうつうしているアメリカの1セントなどのどうメッキ亜鉛あえん韓国かんこくの10ウォンのようなどうメッキアルミニウムのれいもある。

高額こうがく硬貨こうかについて、偽造ぎぞう防止ぼうしなどのため日本にっぽん2代目だいめひゃくえん硬貨こうかニッケル黄銅こうどうのような特殊とくしゅ合金ごうきんもちいられる場合ばあいもある。近年きんねんどう価格かかく高騰こうとうにより、英国えいこくの2ペンス銅貨どうか1992ねん以前いぜん鋳造ちゅうぞうぶん)は金属きんぞく素材そざいとして額面がくめん以上いじょう価値かちつにいたっている。ちなみにあお銅貨どうかレベルよりもちいさな額面がくめん硬貨こうかかんしては、ステンレスメッキほどこした鋼鉄こうてつてつ)がもちいられる場合ばあいおおく、日本にっぽんいちえん硬貨こうかのようにアルミニウムもちいられる場合ばあいもある。

わったれいとして、クラッドメタルというタイプのものもえてきている。これは、アメリカの硬貨こうか代表だいひょうされるように、「表面ひょうめんしろ白銅はくどうであるが中身なかみ青銅せいどうえん部分ぶぶんるとあか茶色ちゃいろどういろられる)」などのように、2種類しゅるい金属きんぞくわせによる硬貨こうかであり、素材そざいめんでは広義こうぎ銅貨どうか範疇はんちゅうはいることがおおい。またバイメタル貨外周がいしゅう内側うちがわとでことなる2種類しゅるい金属きんぞくもちいた硬貨こうかで、これも素材そざいめんでは広義こうぎ銅貨どうか範疇はんちゅうはいることがおおい。日本にっぽんでは、3代目だいめひゃくえん硬貨こうかどう主体しゅたいとするバイカラー・クラッド貨のれいたる。とくにバイメタル貨は偽造ぎぞう防止ぼうしのために高額こうがく硬貨こうかもちいられることがおおい。

日本にっぽん

[編集へんしゅう]

日本にっぽんでも銅貨どうかぜに銅銭どうせん)とばれ、律令りつりょう国家こっかによって、和銅わどう元年がんねん708ねん)から天徳てんとく2ねん958ねん)の250年間ねんかんあいだに12種類しゅるい銅銭どうせんすめらぎあさじゅうぜに)が通貨つうかとして発行はっこうされている。そのなかでも、和同開珎わどうかいちんがよくられている。のち貨幣かへい経済けいざい11世紀せいきあたりで一時いちじ途絶とだえるが、12世紀せいき後半こうはんからそうぜになどが輸入ゆにゅうされて使用しようされるようになり、江戸えど時代じだいには寛永かんえい通宝つうほう中心ちゅうしんとして、ほかにもぶん久永ひさながたから天保てんぽう通宝つうほうばれるなが定着ていちゃくする銅貨どうか一部いちぶ真鍮しんちゅうてつせいのものもある)が国内こくない鋳造ちゅうぞう使用しようされた。日本にっぽん明治めいじ以降いこう造幣局ぞうへいきょく製造せいぞうされた銅貨どうかけい硬貨こうかには、もっと狭義きょうぎ銅貨どうかほかあお銅貨どうかしろ銅貨どうか銅貨どうか、アルミニウムあお銅貨どうか、ニッケル銅貨どうかなどがあり、現在げんざい日本にっぽん一般いっぱん流通りゅうつうしている通常つうじょう硬貨こうかでは、アルミニウム貨であるいちえん硬貨こうかのぞいてすべてが、どう主体しゅたいとする合金ごうきん利用りようされている。

金貨きんか銀貨ぎんかとの関係かんけい

[編集へんしゅう]
ネロ皇帝こうていアスあお銅貨どうか

さん貨の交換こうかん比率ひりつくに時代じだいによってことなり、古代こだいローマアウグストゥスみかど治世ちせいでは、金貨きんか:銀貨ぎんか:銅貨どうか交換こうかん比率ひりつは1:25:400とされ(→「古代こだいローマの通貨つうか」)、ひがしローマでは1:12:180、清朝せいちょうではぎん1りょうたい銅銭どうせん1000ぶん(1ぬきぶん)とされたが相場そうばにより日々ひび変動へんどうした。日本にっぽんはつ鋳造ちゅうぞう貨幣かへいといわれる和同開珎わどうかいちんでは銀貨ぎんか1まいぜに貨25まい価値かちつとされた。江戸えど時代じだいにはさん制度せいどかね1りょうぎん50もんめぜに銅銭どうせん)4かんぶんとされたがこれも相場そうばによる変動へんどうはげしかった。ローマでは金貨きんか本位ほんい貨幣かへい中国ちゅうごくでは銀本位ぎんほんいせい江戸えど時代じだい日本にっぽんだと江戸えどきむ大坂おおさか銀本位ぎんほんいせいであった。

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]