FAI装甲車そうこうしゃ

FAI装甲車そうこうしゃ
ポーランド、ビャウィストクの国境警備隊こっきょうけいびたい宿舎しゅくしゃに現存げんそんするFAI装甲車そうこうしゃ。標準ひょうじゅん型がたとは異ことなって、無線むせん通信つうしん用ようの鉢巻はちまきアンテナが装着そうちゃくされている。
種類しゅるい	装甲車そうこうしゃ
原はら開発かいはつ国こく	ソビエト連邦れんぽう
運用うんよう史し
配備はいび期間きかん	1933～1943年ねん
開発かいはつ史し
開発かいはつ者しゃ	イジョルスキー工場こうじょう
製造せいぞう期間きかん	1933～1935、1938～1939年ねん
製造せいぞう数すう	676（+67）
諸しょ元もと
重量じゅうりょう	2.0t
全長ぜんちょう	3.75m
全幅ぜんぷく	1.675m
全ぜん高こう	2.24m
要員よういん数すう	2名めい
装甲そうこう	3～6mm
主おも兵へい装そう	7.62mm DT機銃きじゅう ×1（弾たま：1323発はつ）
エンジン	GAZ-A 直列ちょくれつ4気筒きとう液えき冷ひやガソリン
行動こうどう距離きょり	200km
速度そくど	80km/h

FAI装甲車そうこうしゃはソビエト連邦れんぽうの軽けい装甲車そうこうしゃである。FAI（ФАИ）はフォード・A・イジョルスキーを意味いみする。

開発かいはつの背景はいけい

1920年代ねんだい後半こうはん、労農ろうのう赤軍せきぐんはBA-27などの中型ちゅうがた装甲車そうこうしゃとは別べつにD-8、D-12などの偵察ていさつ用よう軽けい型がた装甲車そうこうしゃを運用うんようしていた。しかしD-8やD-12は軍用ぐんよう装甲車そうこうしゃとしてはあまりにも鈍どん足あしかつ貧弱ひんじゃくな防御ぼうぎょ力りょく、そして非ひ旋回せんかい式しきの武装ぶそうであり、近代きんだい化かが必要ひつような事ことは明あきらかであった。

そこでソ連それん初はつの本格ほんかく的てきな近代きんだい的てき軽けい装甲車そうこうしゃとして各種かくしゅ装甲車そうこうしゃの開発かいはつを担になっていたレニングラードのイジョルスキー制作せいさく所しょが1932年ねんから開発かいはつに着手ちゃくしゅしたのがFAIである。

開発かいはつ

FAIは、アメリカのフォード・モデル・A 4輪りんトラックをゴーリキー自動車じどうしゃ工場こうじょう（GAZ）が国産こくさん化かしたGAZ-Aトラックをベースに開発かいはつが始はじまった。

当初とうしょから360°旋回せんかいの機銃きじゅう砲塔ほうとうと量産りょうさん性せいを重視じゅうししたデザインを企図きとしていた。年内ねんないに試作しさく車両しゃりょうが完成かんせい、試験しけんでも優秀ゆうしゅうな結果けっかを出だし、早はやくも量産りょうさん体制たいせいに入はいる。

性能せいのう

開発かいはつの発端ほったんとなったD-8の性能せいのうに比くらべて段違だんちがいの運動うんどう性能せいのうや量産りょうさん性せいを誇ほこった事ことで、FAIはソ連それんにおける量産りょうさん型がた装甲車そうこうしゃのモデルの一ひとつとなった。攻撃こうげき面めんでは全ぜん周旋しゅうせん回かいの武装ぶそうを有ゆうした。防御ぼうぎょ面めんでは6mm装甲そうこうを有ゆうし、リベット接合せつごうではなく電気でんき溶接ようせつで組くみ合あわせたことでシンプルなデザインを保たもった。また、2tの軽量けいりょうな車体しゃたいによって時速じそく80km/hという高たかい運動うんどう性能せいのうを誇ほこった。

ただし、欠点けってんとして無線むせん通信つうしん機器ききが搭載とうさいされていなかった。

実戦じっせん運用うんよう

FAIは、1920年代ねんだい後半こうはんから1930年代ねんだい中期ちゅうきまでに開発かいはつされた他ほかの装甲車そうこうしゃと共ともに、スペイン内戦ないせんで初陣ういじんを迎むかえる。

その後ご、ノモンハン事件じけん、ポーランド侵攻しんこう、冬ふゆ戦争せんそう、独どくソ戦せんと1930年代ねんだい後半こうはんのソ連それんの主おもだった戦争せんそう・紛争ふんそうに一いち通とおり参加さんかする。これらの戦たたかいにおいて中型ちゅうがた装甲車そうこうしゃはBA-I、BA-6、BA-10などいくつかの型式けいしきがあったのと異ことなり、軽けい型がた装甲車そうこうしゃとしてはFAIが、後続こうぞく車両しゃりょうであるBA-20出現しゅつげんまでほぼ唯一ゆいいつまとまった数かずのある型式けいしきであった。

ノモンハン事件じけんにおいてはBA-10などの新鋭しんえいの中型ちゅうがた装甲車そうこうしゃであっても日本にっぽん軍ぐんの戦車せんしゃ砲ほうはおろか、7.7mm重じゅう機関きかん銃じゅうにも耐たえることが出来できず、軽けい装甲車そうこうしゃであるFAIも同様どうようであった。

独どくソ戦せんにおいてFAIはドイツ国防こくぼう軍ぐんに鹵獲ろかくされて使用しようされた他ほか、ワルシャワ蜂起ほうきの際さいにポーランド国内こくない軍ぐんがFAIを運用うんようした記録きろくがある。

労農ろうのう赤軍せきぐんによる運用うんようは1943年ねんまでとなっている。

改良かいりょう型がた

1938年ねんからFAIは改良かいりょうが行おこなわれ、FAI-Mが開発かいはつされた。これはエンジンをGAZ-M1 直列ちょくれつ4気筒きとう液えき冷ひやガソリンに換かわ装そうしたことで出力しゅつりょくが50hp（もしくは60hp）に上昇じょうしょう、最高さいこう時速じそくが90km、行動こうどう距離きょりが315kmまで引ひき上あげられた。また武装ぶそうそのものに変化へんかはないが、機銃きじゅう砲塔ほうとうをT-28と共用きょうようにし、車くるま高だかが少すこし伸のびた（4.31m）一方いっぽうでデザインを簡略かんりゃく化かした事ことで量産りょうさん性せいを高たかめた。

しかし、この頃ころになると軽けい装甲車そうこうしゃの後続こうぞく車両しゃりょうに当あたるBA-20が開発かいはつされ、FAI-Mは67台だいの生産せいさんに留とどまっている。BA-20はFAI-Mの流ながれを汲くむ車両しゃりょうとして数すう千せん台だいの大量たいりょう生産せいさんが行おこなわれた。

その他たに鉄道てつどう型がたのFAI-ZhDが少数しょうすう生産せいさんされている。これは車輪しゃりんを鉄輪てつりんに換かわ装そうしたもので、装甲そうこう列車れっしゃの偵察ていさつ部隊ぶたいに運用うんようされた。

参考さんこう

• [1] 日本語にほんごリンク

外部がいぶリンク

• [2] ロシア語ごリンク