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IS-2 (ロシア語 ご :ИС-2 , ウクライナ語 ご :ЙС-2 , 英語 えいご ・ドイツ語 ご ・ポーランド語 ご :JS-2)は、ソビエト連邦 れんぽう で開発 かいはつ され、1943年 ねん 12月から生産 せいさん が開始 かいし された第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後期 こうき に赤軍 せきぐん が使用 しよう した重 じゅう 戦車 せんしゃ である。「ИС /IS /JS 」とは第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 時 じ のソ連 それん の最高 さいこう 指導 しどう 者 しゃ だったヨシフ・スターリン (И осиф С талин/I ossif S talin/J oseph S talin)のイニシャル であり、そのためスターリン重 じゅう 戦車 せんしゃ などと書 か かれることもある。
IS とJS の違 ちが いは、IS はロシア語 ご (キリル文字 もじ )のИС をラテン文字 もじ に翻 こぼし 字 じ したものであるのに対 たい し、JS はヨシフ・スターリンのイニシャルの英語 えいご やドイツ語 ご での表記 ひょうき である。近年 きんねん は日本語 にほんご 文献 ぶんけん においてもIS-2 との表記 ひょうき が多 おお いが、ソ連 それん 崩壊 ほうかい 以前 いぜん は英語 えいご やドイツ語 ご の資料 しりょう が主 おも であった事 こと や、KV (英語 えいご :KV, ドイツ語 ご :KW, ロシア語 ご :КВと表記 ひょうき される。)戦車 せんしゃ などの表記 ひょうき との兼 か ね合 あ いから英語 えいご の表記 ひょうき に従 したが ってJS-2 と書 か かれることも多 おお い。
赤軍 せきぐん はT-34 中 ちゅう 戦車 せんしゃ やKV-1 重 じゅう 戦車 せんしゃ を大量 たいりょう 生産 せいさん しドイツ軍 ぐん に対抗 たいこう したが、ドイツ軍 ぐん がティーガーI やパンター などを投入 とうにゅう するようになると、従来 じゅうらい のソ連 それん 戦車 せんしゃ を凌 しの ぐ重 じゅう 戦車 せんしゃ が求 もと められるようになった。そこで、85mm砲 ほう を搭載 とうさい するIS-1 (旧 きゅう 名称 めいしょう :IS-85)が開発 かいはつ されたが、85mm砲 ほう ではティーガーの8.8cm砲 ほう の射程 しゃてい 外 がい からその装甲 そうこう を撃 う ち抜 ぬ くのは不可能 ふかのう であるという攻撃 こうげき 力 りょく 不足 ふそく が判明 はんめい したことに加 くわ え、ほぼ同 どう 時期 じき にT-34 の新型 しんがた 砲塔 ほうとう にも85mm砲 ほう の搭載 とうさい が成功 せいこう しT-34-85として採用 さいよう されたため、生産 せいさん 開始 かいし わずか15日 にち で火力 かりょく の更 さら なる増強 ぞうきょう が決定 けってい され、新 あら たに122mm カノン砲 ほう を改造 かいぞう し搭載 とうさい するように設計 せっけい されたのがIS-2(旧 きゅう 名称 めいしょう :IS-122)である。122mm カノン砲 ほう はもともと榴弾 りゅうだん 砲 ほう のため榴弾 りゅうだん を射撃 しゃげき すると威力 いりょく が凄 すさ まじい。
コンパクトにまとめた車体 しゃたい に122mm砲 ほう を搭載 とうさい したため、車内 しゃない はかなり窮屈 きゅうくつ な上 うえ 、元来 がんらい 野砲 やほう である122mm砲 ほう は、閉鎖 へいさ 機 き を試作 しさく 時 どき の隔 へだた 螺 にし 式 しき から半 はん 自動 じどう の鎖 くさり 栓 せん 式 しき に変更 へんこう したものの、使用 しよう される弾薬 だんやく は、薬莢 やっきょう と弾頭 だんとう を2つに分 わ けた分離 ぶんり 式 しき で、弾頭 だんとう だけでも約 やく 25kgもの重量 じゅうりょう があり、装填 そうてん の際 さい には、薬莢 やっきょう と弾頭 だんとう を1つに纏 まと めた後 のち に発射 はっしゃ されるため、装填 そうてん に時間 じかん が掛 か かり、狭 せま い車内 しゃない での装填 そうてん 作業 さぎょう は極度 きょくど の疲労 ひろう を乗員 じょういん に与 あた えた。また、車内 しゃない 容積 ようせき に余裕 よゆう がないため、搭載 とうさい 弾薬 だんやく は28発 はつ に止 と まった。当初 とうしょ 、主砲 しゅほう 防 ぼう 盾 たて は85mm砲 ほう 用 よう のままで幅 はば が狭 せま かったが、耐久 たいきゅう 性 せい や照準 しょうじゅん 器 き の位置 いち など使 つか い易 やす さに問題 もんだい があったため、まもなく幅広 はばひろ の新型 しんがた に変更 へんこう された。また、砲塔 ほうとう 上 じょう のペリスコープ も、イギリス 製 せい のコピーであるMk.4に変更 へんこう された(当時 とうじ のソ連 それん 製 せい ペリスコープはガラスが劣悪 れつあく で曇 くも っていた)。初期 しょき 型 がた のIS-2については、KB(KV)戦車 せんしゃ 以来 いらい の開閉 かいへい できる操縦 そうじゅう 士 し 用 よう 直視 ちょくし 型 がた バイザーブロック(覗 のぞ き窓 まど )に攻撃 こうげき を受 う け撃破 げきは される事例 じれい が多 おお かったため、後期 こうき 型 がた (古 ふる い資料 しりょう では研究 けんきゅう 者 しゃ によって「IS-2m」、または「IS-2 1944年 ねん 型 かた 」とも呼 よ ばれる)では車体 しゃたい 前面 ぜんめん の傾斜 けいしゃ 角 かく を変更 へんこう した「直線 ちょくせん 化 か 装甲 そうこう 」型 がた にし、固定 こてい されたバイザーにすることで防御 ぼうぎょ 力 りょく を増 ま した(同 おな じく攻撃 こうげき を受 う け撃破 げきは される事例 じれい が多 おお かった傾斜 けいしゃ 角度 かくど の少 すく ない鋳造 ちゅうぞう 製 せい の車体 しゃたい 前面 ぜんめん 下部 かぶ 装甲 そうこう については、鋳造 ちゅうぞう よりも強度 きょうど の高 たか い圧延 あつえん で新規 しんき 生産 せいさん する車両 しゃりょう も見 み られたが、従来 じゅうらい の鋳造 ちゅうぞう のままの車両 しゃりょう も多 おお かった。また、いずれにしてもデザインの根本 こんぽん 的 てき な変更 へんこう は行 おこな われず、この部分 ぶぶん には補助 ほじょ 装甲 そうこう を兼 か ねた予備 よび 履 くつ 帯 たい を常設 じょうせつ 装備 そうび とする事 こと で対応 たいおう された)。それでも錬 ね 度 たび が高 たか いドイツ戦車 せんしゃ 兵 へい の中 なか には砲塔 ほうとう 防 ぼう 盾 たて の下 した 側 がわ を狙 ねら い砲撃 ほうげき し、砲塔 ほうとう リングや車体 しゃたい 上面 うわつら に跳 とべ 弾 だん させ撃破 げきは する者 もの もいたという。また、砲弾 ほうだん の集中 しゅうちゅう の衝撃 しょうげき で防弾 ぼうだん ガラス にヒビが入 はい って前方 ぜんぽう が見 み えなくなることがあり、代 か わりに操縦 そうじゅう 士 し 用 よう の2基 き のペリスコープを使 つか おうにも、左右 さゆう の監視 かんし 用 よう であり間隔 かんかく が広 ひろ いため使 つか いにくかったという(これは、IS-3 では改良 かいりょう されている)。
なお、これまで後期 こうき 型 がた の前面 ぜんめん 装甲 そうこう が「ローマ人 じん の鼻 はな 」型 がた と紹介 しょうかい されてきたが、これは、ロシア で前期 ぜんき 型 がた の前面 ぜんめん 装甲 そうこう の呼称 こしょう の1つである"ломаный нос "(ローマヌィ ノース:ジグザグの鼻 はな )を誤訳 ごやく した可能 かのう 性 せい がある。読 よ み自体 じたい にはローマという発音 はつおん が含 ふく まれているが、形容詞 けいようし "ломаный"は「屈折 くっせつ した、壊 こわ れた」を意味 いみ する形容詞 けいようし であり、ローマ は無関係 むかんけい である(「ローマの」を意味 いみ する形容詞 けいようし は"римский")。ロシアの文献 ぶんけん では後期 こうき 型 がた の前面 ぜんめん 装甲 そうこう に関 かん しては"спрямлённый"(直線 ちょくせん 化 か された)という形容詞 けいようし によって言及 げんきゅう されているのみで、「ローマ人 じん の鼻 はな 」"римский нос"と言及 げんきゅう されている例 れい はない。
また、従来 じゅうらい IS-2後期 こうき 型 がた では車体 しゃたい 正面 しょうめん で120mm、防 ぼう 盾 たて で160mmに達 たっ すると考 かんが えられていた装甲 そうこう 厚 あつ であるが、2015年 ねん にポーランド在住 ざいじゅう のゲームファンが独自 どくじ 調査 ちょうさ を行 おこな った結果 けっか 、砲塔 ほうとう 及 およ び車体 しゃたい 正面 しょうめん で100mm、防 ぼう 盾 たて で120mm弱 じゃく であると主張 しゅちょう している[1] 。
IS-2は数々 かずかず の欠点 けってん を抱 かか えていたが、122mm砲弾 ほうだん の威力 いりょく は凄 すさ まじく、榴弾 りゅうだん での陣地 じんち に対 たい する攻撃 こうげき 力 りょく はもちろん、弾頭 だんとう 重量 じゅうりょう 25kgの徹 とおる 甲 きのえ 弾 だん は、ドイツ軍 ぐん のパンターなどを十分 じゅうぶん に撃破 げきは しうる性能 せいのう を秘 ひ めていた。例 たと えば鹵獲 ろかく したパンターに対 たい する射撃 しゃげき 実験 じっけん では、クルスク戦 せん においてT-34-76やKV-1の76.2mm戦車 せんしゃ 砲 ほう や45mm対 たい 戦車 せんしゃ 砲 ほう の攻撃 こうげき に対 たい し、一発 いっぱつ の貫通 かんつう も許 ゆる さなかった車体 しゃたい 前面 ぜんめん 80mm傾斜 けいしゃ 装甲 そうこう を距離 きょり 600-700mで貫通 かんつう 、1500mでは貫通 かんつう こそしなかったものの傷 きず をつけることができた。パンターの75mm対 たい 戦車 せんしゃ 砲 ほう も距離 きょり 550-650mでIS-2の車体 しゃたい 前面 ぜんめん 装甲 そうこう を貫通 かんつう できたため、正面 しょうめん からであればIS-2はパンターとは互角 ごかく に戦 たたか えた。そのため大量 たいりょう に生産 せいさん され、対 たい 独 どく 戦 せん 末期 まっき の重要 じゅうよう な局面 きょくめん に投入 とうにゅう され活躍 かつやく した。もっとも、本 ほん 車 しゃ は独立 どくりつ 親衛 しんえい 重 じゅう 戦車 せんしゃ 連隊 れんたい に編成 へんせい されて拠点 きょてん 突破 とっぱ に用 もち いられることが多 おお く、対戦 たいせん 車 しゃ 戦闘 せんとう よりも対 たい 歩兵 ほへい 戦闘 せんとう に活躍 かつやく している。事実 じじつ 、本 ほん 車 しゃ の損害 そんがい の6割 わり は、歩兵 ほへい の携帯 けいたい 兵器 へいき であるパンツァーファウスト によるものである。
1956年 ねん 、中国 ちゅうごく で行 おこな われたナショナルデー の軍事 ぐんじ パレード
合計 ごうけい 約 やく 3500輌 りょう が生産 せいさん された本 ほん 車 しゃ は、戦後 せんご は共産 きょうさん 圏 けん の各国 かっこく へ供与 きょうよ され、エンジン の換 かわ 装 そう や、側面 そくめん の装甲 そうこう を雑 ざつ 具 ぐ 箱 ばこ を兼 か ねた二 に 重 じゅう 構造 こうぞう にしたIS-2M に改修 かいしゅう され、大戦 たいせん 中 ちゅう から引 ひ き続 つづ きチェコ とポーランド 、戦後 せんご に中国 ちゅうごく ・キューバ ・北朝鮮 きたちょうせん に送 おく られた。第 だい 一 いち 次 じ インドシナ戦争 せんそう 時 とき 、フランス軍 ぐん は中国 ちゅうごく からベトナム にIS-2が提供 ていきょう されたのではないかと警戒 けいかい し、ドイツから鹵獲 ろかく して運用 うんよう していたパンターを1両 りょう 派遣 はけん したが、実際 じっさい にはIS-2の配備 はいび は無 な かった。また、IS-3 が贈 おく られた中東 ちゅうとう にもIS-2は送 おく られていない。
IS-2の欠点 けってん を改良 かいりょう し、全 まった く異 こと なる車体 しゃたい を持 も つ発展 はってん 型 がた としてIS-3 、直接 ちょくせつ の拡大 かくだい 発展 はってん 型 がた であるIS-4 が開発 かいはつ された。
『アンジュ・ヴィエルジュ 』
テレビアニメ版 ばん 第 だい 7話 わ に「青 あお の世界 せかい の最 さい 新鋭 しんえい 兵器 へいき 」としてIS-2後期 こうき 型 がた が登場 とうじょう 。
『ガールズ&パンツァー 』
プラウダ高校 こうこう の使用 しよう 戦車 せんしゃ としてIS-2後期 こうき 型 がた が登場 とうじょう 。ノンナが搭乗 とうじょう し、準決勝 じゅんけっしょう では大洗 おおあらい のM3、ルノーB1bisを遠距離 えんきょり から撃破 げきは している。
『ガールズ&パンツァー 劇場 げきじょう 版 ばん 』
エキシビションマッチおよび大学 だいがく 選抜 せんばつ 戦 せん に登場 とうじょう 。
『ガールズ&パンツァー 最終 さいしゅう 章 あきら 』
2話 わ と3話 わ にプラウダ高校 こうこう の車両 しゃりょう として1944年 ねん 型 がた が登場 とうじょう 。
『ウクライナ混成 こんせい 旅団 りょだん 』
単行本 たんこうぼん 「幻 まぼろし の豹 ひょう The Panther in Ukraina 1950」または「独立 どくりつ 戦車 せんしゃ 隊 たい 」収録 しゅうろく 作品 さくひん 。ウクライナ混成 こんせい 旅団 りょだん らがラーゲリ から奪 うば ったV号 ごう 戦車 せんしゃ パンター を追撃 ついげき するために赤軍 せきぐん 重 じゅう 戦車 せんしゃ 大隊 だいたい に所属 しょぞく している本 ほん 車 しゃ が登場 とうじょう し、夜間 やかん にV号 ごう 戦車 せんしゃ を包囲 ほうい することに成功 せいこう する。
しかし、不意打 ふいう ちで1両 りょう がショットトラップを狙 ねら われて撃破 げきは されたうえ、夜陰 やいん に乗 じょう じてV号 ごう 戦車 せんしゃ に逃 に げられてしまう。最後 さいご の農村 のうそん での戦闘 せんとう でも8両 りょう が登場 とうじょう し、V号 ごう 戦車 せんしゃ を攻撃 こうげき するが、隊長 たいちょう 車 しゃ を除 のぞ く7両 りょう が撃破 げきは されてしまう。
『ガールズ&パンツァー プラウダ戦記 せんき 』
プラウダの車両 しゃりょう として後期 こうき 型 がた が登場 とうじょう 。先代 せんだい ・先々 さきざき 代 だい では隊長 たいちょう ・フラッグ車 しゃ として使用 しよう していた。
『War Thunder 』
ソ連 それん ツリーにIS-2・IS-2 1944年 ねん 型 がた 、プレミアム車両 しゃりょう にIS-2 (Revenge for the Hero brother)が重 おも 戦車 せんしゃ として登場 とうじょう する。また中国 ちゅうごく ツリーにもIS-2(CN)(前期 ぜんき 型 がた )・IS-2mod.1944 (後期 こうき 型 がた )、プレミアム車両 しゃりょう にIS-2 No.402 (前期 ぜんき 型 がた )が登場 とうじょう 。
『World of Tanks 』
ソ連 それん 重 じゅう 戦車 せんしゃ としてIS-1 相当 そうとう をIS-2相当 そうとう (前期 ぜんき 型 がた 車体 しゃたい )に改造 かいぞう できる。後期 こうき 型 がた 車体 しゃたい のIS-2が販売 はんばい 。また、中国 ちゅうごく 重 じゅう 戦車 せんしゃ IS-2として開発 かいはつ 可能 かのう 。
『スナイパーエリートV2 』
ソ連 それん 軍 ぐん の戦車 せんしゃ として登場 とうじょう 。ときたま、指揮 しき 官 かん がハッチから顔 かお を出 だ して指揮 しき を執 と ることがある。
『トータル・タンク・シミュレーター 』
ソビエト連邦 れんぽう の超 ちょう 重 じゅう 戦車 せんしゃ として1944年 ねん 型 がた が登場 とうじょう 。
『パンツァーフロント 』
IS-2とIS-2Mが登場 とうじょう 。架空 かくう の車両 しゃりょう としてIS-2をベースに152mm砲 ほう を搭載 とうさい した重 じゅう 戦車 せんしゃ IS-152が登場 とうじょう する(ISU-152 とは別物 べつもの )。
『虫 むし けら戦車 せんしゃ 』
砲塔 ほうとう の識別 しきべつ 塗装 とそう が再現 さいげん されている。ゲーム内 ない の解説 かいせつ では名前 なまえ の由来 ゆらい に直接 ちょくせつ スターリン の名 な を出 だ さず、ぼかして表 あらわ されている。
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