(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ping - Wikipedia コンテンツにスキップ

ping

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ping
作者さくしゃ マイク・ムース
初版しょはん 1983ねん (41ねんまえ) (1983)
プラットフォーム ほとんどのネットワークOS
種別しゅべつ コマンド
テンプレートを表示ひょうじ

ping(ピンまたはピング)はIPネットワークにおいて、ネットワークじょう特定とくていIPアドレス機器ききから応答おうとうがあるかを調しらべるためのプログラムソフトウェア[1]

到達とうたつせい」を確認かくにんするために使つかえ、さまざまな用途ようとがあり、たとえばホストシステム(ユーザがげんに「ホスト」として使用しようちゅうのシステム)がインターネットとの基本きほんてき接続せつぞく確立かくりつしているかテストするため、またホストがぞくするノード特定とくていのノードとつながっているかをテストするため、などに使つかわれている。

IPネットワークにおける基本きほんてきなツールのひとつであり、IPネットワーク機能きのう実装じっそうされているオペレーティングシステムネットワーク管理かんりソフトウェアのほとんどで、なんらかのかたち用意よういされている。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

pingは、発信はっしんもとのホストから宛先あてさきのコンピュータにメッセージを送信そうしんし、宛先あてさきがそれにたいしてかえした応答おうとうもどってるまでのラウンドトリップタイム(RTT、往復おうふく時間じかん)を測定そくていする。「ping」という名前なまえは、アクティブソナー水中すいちゅう音波おんぱパルス送信そうしんして反射はんしゃおん聴取ちょうしゅすることで水中すいちゅう物体ぶったい検出けんしゅつするもの)の用語ようご由来ゆらいしている[2]

pingはICMPの"echo request"パケット対象たいしょうホストに送信そうしんし、対象たいしょうホストから"echo reply"がかえってることで「到達とうたつせい」を確認かくにんする。プログラムは、エラー、パケットロスりつ結果けっか統計とうけいてき要約ようやく通常つうじょう最小さいしょう最大さいだい平均へいきんのラウンドトリップタイム)を報告ほうこくする。

ぎゃくに、相手あいてシステムから応答おうとうがなかった場合ばあいは、「制限せいげん時間じかんない応答おうとうがなかった」(Request timed out.)「指定していされたアドレスやネットワークは到達とうたつ可能かのうではない」(Destination host/net unreachable.)「経路けいろながすぎて到達とうたつできない」(TTL expired in transit.)など、応答おうとうがなかった理由りゆう表示ひょうじする。

用途ようと

[編集へんしゅう]

pingを使用しようしてIPネットワークにかんするさまざまな情報じょうほうることができる。たとえばホストシステムの基本きほんてきなネットワーク設定せっていがうまくできているか、ホストシステムはそもそも物理ぶつりてき回線かいせんつながっているか、DNS(ドメインネームサーバ)は正常せいじょう機能きのうしているか、自分じぶんがわのノードと相手あいてノードの経路けいろじょうなんらかの不具合ふぐあいしょうじたり負荷ふかしょうじたりしていないか、などである。

pingで宛先あてさきから応答おうとうがあったと表示ひょうじされる状態じょうたい日本にっぽんでは俗語ぞくごでは「pingがとおる」というが(あくまで俗語ぞくご。メーカーの正式せいしき説明せつめいしょなどではこの表現ひょうげん使つかわない)、「pingがとおる」ということは、「すくなくとも、双方向そうほうこうパケット送受信そうじゅしんができる」「システムから送信そうしんしたパケットは指定していIPの機器ききに(無事ぶじに)とどき、なおかつ、指定していしたIPの機器きき送信そうしんしたパケットもシステムに(無事ぶじに)とどく、という状態じょうたいにはある」ということをしめす。ドメインめいをノードめいとしてパケットを送信そうしんして(俗語ぞくごでは送信そうしんすることを「げる」ともいう)正常せいじょう応答おうとう(リプライ)された場合ばあいは、DNS障害しょうがいもない、とわかる。

pingはたとえば前日ぜんじつまでアクセス可能かのうだったウェブサイトが突然とつぜんアクセス不能ふのう困難こんなんになったさいにも、その原因げんいん状況じょうきょう調しらべるために使つかえる。ウェブサーバのドメインめいでpingを「ち」、正常せいじょう応答おうとうがあれば、IPネットワークもDNSも正常せいじょう判断はんだんされるので、よりこうレベルのレイヤーにぞくするソフトウェアつまりOSI参照さんしょうモデルでよりたかそうになうソフトウェアで問題もんだいきているのだろうと推察すいさつできる。もしpingで指定していIPアドレスから応答おうとうがあるのにそのIPアドレスのウェブサイトを閲覧えつらんできないならば、たとえばhttpレベルの通信つうしん自身じしん相手あいてファイアウォールでブロックされているかもしれないし、相手あいてのWWWサーバソフトウェアに障害しょうがいきているのかもれない、と推察すいさつできるのである。

種類しゅるい仕様しようちがい、特殊とくしゅ用途ようと

[編集へんしゅう]

pingユーティリティのコマンドラインオプションとその出力しゅつりょくは、実装じっそうによってことなる。ペイロードのサイズ、試行しこう回数かいすう、パケットを通過つうかさせるネットワークホップすう(TTL)の制限せいげん試行しこう間隔かんかくなどをオプションとして指定していできる。おおくのシステムでは、IPv6ネットワークで同様どうようのテストをするための、ICMPv6実装じっそうしたユーティリティ"ping6"を提供ていきょうしている。

一部いちぶオンラインソフト[注釈ちゅうしゃく 1]にもping機能きのうつものがある。

オンラインゲームなどにおいて、サーバーとプレイヤー(クライアント)あいだ通信つうしんタイムラグをpingとして表示ひょうじするものもある。また、短時間たんじかん切断せつだんされるような特殊とくしゅなセッションを定期ていきてきなpingによって強制きょうせいてき保持ほじするという使つかかたもある。

歴史れきし

[編集へんしゅう]

pingは、1983ねん12月に、当時とうじアメリカ陸軍りくぐん弾道だんどう研究所けんきゅうじょげん アメリカ陸軍りくぐん研究所けんきゅうじょ英語えいごばん)に勤務きんむしていたマイク・ムースが、自身じしん管理かんりするIPネットワークでのトラブルシュートよう作成さくせいした。これは、のちNTP開発かいはつしたデイヴィッド・L・ミルズの、IPネットワークの診断しんだん測定そくていにICMPエコーパケットを使用しようすることについての発言はつげん触発しょくはつされたものである[3]。ムースは、その挙動きょどう潜水せんすいかんなどで使つかわれるアクティブソナーのはっする音波おんぱ(=ping)の挙動きょどうていることから、このプログラムをpingとづけた[2][4]。このことからpingを実行じっこうすることを「pingをつ」と場合ばあいおおい。ムースはpingがなにかの略語りゃくごであることを否定ひていしているが、ミルズにより"packet internet groper"、べつひとより"packet internet gopher"[注釈ちゅうしゃく 2]というバクロニムさずかっている[5]

最初さいしょにリリースされたバージョンはパブリックドメインだったが、のちBSDライセンスしたでライセンスされるようになった。pingは4.3BSD最初さいしょからふくまれていた[6]

RFC 1122 では、どのホストもICMP echo requestを処理しょりし、echo replyを返送へんそうする必要ひつようがあると規定きていしている[7]。しかし、セキュリティじょう理由りゆうから、これはしばしば無効むこうになっている[8]

インターネットの接続せつぞくせい問題もんだいの“診断しんだん”にも有用ゆうようなpingであったが、2003ねんすえWelchiaのようなpingをネットワークにフラッドし標的ひょうてきさがすタイプのコンピュータウイルス出現しゅつげんしたり、悪意あくいったユーザが攻撃こうげき目標もくひょう調査ちょうさやネットワークに負荷ふかをかけるなどの目的もくてきでpingの悪用あくようおこなったため、一部いちぶISPでICMP Type 8(echo request)パケットがフィルタリングされるようになった。

pingの出力しゅつりょくれい

[編集へんしゅう]

下線かせん利用りようしゃ入力にゅうりょくする部分ぶぶん

以下いか出力しゅつりょくれいLinux端末たんまつからwww.google.comへ、iputilsバージョンのpingからpingをった結果けっかである。

$ ping www.google.com
PING www.l.google.com (64.233.183.103) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=1 ttl=246 time=22.2 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=2 ttl=245 time=25.3 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=3 ttl=245 time=22.7 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=4 ttl=246 time=25.6 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=5 ttl=246 time=25.3 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=6 ttl=245 time=25.4 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=7 ttl=245 time=25.4 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=8 ttl=245 time=21.8 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=9 ttl=245 time=25.7 ms
64 bytes from 64.233.183.103: icmp_seq=10 ttl=246 time=21.9 ms

--- www.l.google.com ping statistics ---
10 packets transmitted, 10 received, 0% packet loss, time 9008ms
rtt min/avg/max/mdev = 21.896/24.187/25.718/1.619 ms

出力しゅつりょくれいからわかることは、まずwww.google.comというホストめいDNSのCNAMEレコードによりwww.l.google.com誘導ゆうどうされ、64.233.183.103というIPアドレス名前なまえ解決かいけつされている。そして64.233.183.103けて10かいpingがたれており(Linuxの場合ばあいはデフォルトでは割込わりこ文字もじってめるまで、ずっとpingがたれる設定せっていとなっている)、出力しゅつりょく最後さいごにpingの結果けっかている。

結果けっかからわかることは以下いかとおりである。

  • パケットは10かい送信そうしんされ、10かいとも受信じゅしんされた。パケットロスは0%である。
  • ラウンドトリップタイムは最短さいたん21.896ミリびょう(1ミリびょう=1/1000びょう)、平均へいきん24.187ミリびょう最長さいちょう25.718ミリびょう標準ひょうじゅん偏差へんさは1.619ミリびょうである。

以下いか出力しゅつりょくれいmacOS端末たんまつからwww.google.comへ、ターミナルのコマンドpingからpingをった結果けっかである。 ただし、computernameはコンピューターめい、usernameはユーザーめいである(Macintosh HD→アプリケーション→ユーティリティ→ターミナル)。

computername:~ username$ ping www.google.com
PING www.l.google.com (66.249.89.104): 56 data bytes
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=1 ttl=238 time=30.556 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=2 ttl=238 time=30.412 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=3 ttl=238 time=31.272 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=4 ttl=238 time=30.121 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=5 ttl=238 time=30.942 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=6 ttl=238 time=32.132 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=7 ttl=238 time=30.680 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=8 ttl=238 time=32.614 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=9 ttl=238 time=29.405 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=10 ttl=238 time=41.360 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=11 ttl=238 time=32.176 ms
64 bytes from 66.249.89.104: icmp_seq=12 ttl=238 time=32.321 ms
^C
--- www.l.google.com ping statistics ---
13 packets transmitted, 12 packets received, 7% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 29.405/31.999/41.360/2.978 ms

macOSはUNIXであるため、Linuxとほぼわらない表示ひょうじである。 今回こんかいは-cオプションで回数かいすう設定せっていしていないため、割込わりこ文字もじ(このれいではControl+C)でめないかぎ永遠えいえんつづく(れいでは13かいpingを送信そうしん)。見方みかたはLinuxの出力しゅつりょくれい参考さんこう

logからかることは、

  • 13かいパケットを送信そうしんし、12かい受信じゅしんしてロスは、7%である。
  • RTT(ラウンドトリップタイム)は最短さいたん29.405ミリびょう(ms)、平均へいきん31.999ミリびょう最長さいちょう41.360ミリびょう標準ひょうじゅん偏差へんさは2.978ミリびょうである。

以下いか出力しゅつりょくれいMicrosoft Windows XP端末たんまつからwww.google.comへ、コマンドプロンプト標準ひょうじゅんのpingを使用しようしてpingをった結果けっかである(95、98、Me、2000も同様どうよう)。

C:\>ping www.google.com

Pinging www.l.google.com [64.233.183.103] with 32 bytes of data:

Reply from 64.233.183.103: bytes=32 time=25ms TTL=245
Reply from 64.233.183.103: bytes=32 time=22ms TTL=245
Reply from 64.233.183.103: bytes=32 time=25ms TTL=246
Reply from 64.233.183.103: bytes=32 time=22ms TTL=246

Ping statistics for 64.233.183.103:
    Packets: Sent = 4, Received = 4, Lost = 0 (0% loss),
Approximate round trip times in milli-seconds:
    Minimum = 22ms, Maximum = 25ms, Average = 23ms

出力しゅつりょくれいからわかることは、まずwww.google.comというホストめいがDNSのCNAMEレコードによりwww.l.google.com誘導ゆうどうされ、64.233.183.103というIPアドレスに名前なまえ解決かいけつされている。そして64.233.183.103けて4かいpingがたれており(Windowsの場合ばあいはデフォルトではpingは4かいずつたれる設定せっていとなっている)、出力しゅつりょく最後さいごにpingの結果けっかている。

結果けっかからわかることは以下いかとおりである。

  • パケットは4かい送信そうしんされ、4かいとも受信じゅしんされた。パケットロスは0%である。
  • ラウンドトリップタイムは最短さいたん22ミリびょう最長さいちょう25ミリびょう平均へいきん23ミリびょうである。

また、つぎ出力しゅつりょくれい日本にっぽんばんMicrosoft Windows 10端末たんまつからwww.google.comへ、2018ねん10がつ29にちにコマンドプロンプト標準ひょうじゅんのpingを使用しようしてpingをった結果けっかである。

C:\Users\(ユーザーめい)>ping www.google.com

www.google.com [2404:6800:400a:808::2004]に ping を送信そうしんしています 32 バイトのデータ:
2404:6800:400a:808::2004 からの応答おうとう: 時間じかん =13ms
2404:6800:400a:808::2004 からの応答おうとう: 時間じかん =14ms
2404:6800:400a:808::2004 からの応答おうとう: 時間じかん =14ms
2404:6800:400a:808::2004 からの応答おうとう: 時間じかん =14ms

2404:6800:400a:808::2004 の ping 統計とうけい:
    パケットすう: 送信そうしん = 4、受信じゅしん = 4、損失そんしつ = 0 (0% の損失そんしつ)、
ラウンド トリップの概算がいさん時間じかん (ミリびょう):
    最小さいしょう = 13ms、最大さいだい = 14ms、平均へいきん = 13ms

基本きほんてき部分ぶぶんうえれい同一どういつだが、www.google.comから名前なまえ解決かいけつされたIPアドレスが、IPv6の表示ひょうじとなっている。

現在げんざい主流しゅりゅうのipv4のPingとはちがって、ipv6の場合ばあいはInternet Control Message Protocol for IPv6 を使用しようし、IPv4で使つかわれていたICMPのエラー通知つうち詳細しょうさいはエラー表示ひょうじらん参照さんしょう)などの機能きのうくわえて、ARPに相当そうとうするアドレス解決かいけつ機能きのうもあわせつようになった。

エラー表示ひょうじ

[編集へんしゅう]

宛先あてさきのホストからの応答おうとうがない場合ばあい、ほとんどの実装じっそうではたんにタイムアウトを表示ひょうじするだけだが、一部いちぶ実装じっそうでは、タイムアウトにかんする以下いかのようなエラー通知つうち定期ていきてき出力しゅつりょくする。

  • H – ホストにアクセスできない
  • !N – ネットワークにアクセスできない
  • !P – プロトコルにアクセスできない
  • S – 送信そうしんもとルートが失敗しっぱいした
  • F – フラグメント必要ひつよう
  • U – 宛先あてさきネットワークが不明ふめい
  • !W – 宛先あてさきホストが不明ふめい
  • I – 送信そうしんもとホストが孤立こりつしている
  • A – 宛先あてさきネットワークとの通信つうしん管理かんりじょう禁止きんしされている
  • Z – 宛先あてさきホストとの通信つうしん管理かんりじょう禁止きんしされている
  • Q – このToSでは、宛先あてさきネットワークに到達とうたつできない
  • T – このToSでは、宛先あてさきホストに到達とうたつできない
  • X – 通信つうしん管理かんりじょう禁止きんしされている
  • V – ホスト優先ゆうせん順位じゅんい違反いはん
  • C – 優先ゆうせん順位じゅんいカットオフが有効ゆうこう

エラーが発生はっせいした場合ばあい宛先あてさきホストや中間なかまルータは、"host unreachable"や"TTL exceeded in transit"などのICMPエラーメッセージを返信へんしんする。このメッセージには、もとのメッセージの最初さいしょの8バイト(この場合ばあいはICMP echo requestのヘッダ)がふくまれているため、pingユーティリティは応答おうとう発信はっしんもとのクエリーと照合しょうごうできる[9]

メッセージのフォーマット

[編集へんしゅう]

ICMPパケット

[編集へんしゅう]
IPv4データグラム
  Bits 0–7 Bits 8–15 Bits 16–23 Bits 24–31
ヘッダ
(20 bytes)
バージョン/IHL サービスの種類しゅるい なが
識別子しきべつし フラグとオフセット
Time To Live (TTL) Protocol ヘッダのチェックサム
送信そうしんもとIPアドレス
宛先あてさきIPアドレス
ICMPヘッダ
(8バイト)
メッセージの種類しゅるい コード チェックサム
ヘッダデータ
ICMPペイロード
(オプション)
ペイロードデータ
IPv6データグラム
  Bits 0–3 Bits 4–7 Bits 8–11 Bits 12–15 Bits 16–23 Bits 24–31
ヘッダ
(40バイト)
バージョン トラフィッククラス フローラベル
ペイロードちょう つぎのヘッダ ホップリミット
送信そうしんもとアドレス
宛先あてさきアドレス
ICMP6ヘッダ
(8バイト)
メッセージの種類しゅるい コード チェックサム
ヘッダデータ
ICMP6ペイロード
(オプション)
ペイロードデータ

ICMPパケットの一般いっぱんてき構成こうせい:[10]

  • IPv4ヘッダ(あお): プロトコルは1(ICMP)、サービスタイプは0が設定せっていされる。
  • IPv6ヘッダ(あお): つぎのヘッダは58(ICMP6)が設定せっていされる。
  • ICMPヘッダ(あか):
    • ICMPメッセージの種類しゅるい(8ビット)
    • コード(8ビット)
    • チェックサム(16ビット)。パケットのICMP部分ぶぶん計算けいさんされる(IPヘッダは使用しようされない)。TypeフィールドではじまるICMPメッセージの1の補数ほすうの16ビットの1の補数ほすうである[11]
    • ヘッダデータ(32ビット)。echo request, replyでは、識別子しきべつし(16ビット)とシーケンス番号ばんごう(16ビット)で構成こうせいされる。
  • ICMPペイロード:様々さまざま種類しゅるい回答かいとうのペイロード。実装じっそう詳細しょうさいにより任意にんいながさにすることができる。ただし、IPヘッダとICMPヘッダをふくむパケットは、ネットワークのmaximum transmission unit(MTU)よりちいさくなければならない。MTUよりおおきくなると、フラグメントされる危険きけんせいがある。

echo request

[編集へんしゅう]

echo request(エコー要求ようきゅう)は、ICMP/ICMP6のメッセージである。

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
Type = 8(IPv4, ICMP) 128(IPv6,ICMP6) Code = 0 ヘッダチェックサム
識別子しきべつし シーケンス番号ばんごう
ペイロード

クライアントは、識別子しきべつしとシーケンス番号ばんごう使用しようして、応答おうとう要求ようきゅう一致いっちさせることができる。実際じっさいには、ほとんどのLinuxシステムはpingプロセスごとにことなる識別子しきべつし使用しようしており、シーケンス番号ばんごうはそのプロセスない増加ぞうかする番号ばんごうである。Windowsは、Windowsのバージョンによってことなる固定こてい識別子しきべつしと、起動きどうにのみリセットされるシーケンス番号ばんごう使用しようする。

echo reply(エコー応答おうとう)は、echo requestの応答おうとうとして生成せいせいされるICMPメッセージである。規定きていでは、エコー要求ようきゅう受信じゅしんした場合ばあいかならずエコー応答おうとう返信へんしんしなければならず、エコー応答おうとうにはエコー要求ようきゅうふくまれるペイロードをそのままふくまなければならない。

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
Type = 0(IPv4,ICMP) 129(IPv6,ICMP6) Code = 0 ヘッダチェックサム
識別子しきべつし シーケンス番号ばんごう
ペイロード

識別子しきべつしとシーケンス番号ばんごうは、エコー要求ようきゅう応答おうとう関連付かんれんづけるためにクライアントで使用しようされる。

ペイロード

[編集へんしゅう]

パケットのペイロードは一般いっぱんASCII文字もじめられている。以下いかに、ICMP echo requestの最後さいごの32バイトのtcpdumpユーティリティによる出力しゅつりょくれいしめす(echo requestパケットは0x0800からはじまり、ICMPヘッダののちにペイロードがある)。

16:24:47.966461 IP (tos 0x0, ttl 128, id 15103, offset 0, flags [none],
proto: ICMP (1), length: 60) 192.168.146.22 > 192.168.144.5: ICMP echo request,
id 1, seq 38, length 40
       0x0000:  4500 003c 3aff 0000 8001 5c55 c0a8 9216  E..<:.....\U....
       0x0010:  c0a8 9005 0800 4d35 0001 0026 6162 6364  ......M5...&abcd
       0x0020:  6566 6768 696a 6b6c 6d6e 6f70 7172 7374  efghijklmnopqrst
       0x0030:  7576 7761 6263 6465 6667 6869            uvwabcdefghi

ペイロードには、送信そうしん時間じかんしめすタイムスタンプやシーケンス番号ばんごう上記じょうきれいではふくまれていない)をふくむことができる。これにより、pingはかくパケットの送信そうしん時刻じこく記録きろくすることなく、ステートレス方法ほうほうでラウンドトリップタイムを計算けいさんできる。

セキュリティじょう考慮こうりょ事項じこう

[編集へんしゅう]

おおくのpingの実装じっそうには"flood"オプションが存在そんざいする。これは、こう負荷ふか条件下じょうけんかでのネットワークの応答おうとう判断はんだんするために、できるだけはやくリクエストを送信そうしんするものである。このオプションは管理かんりしゃ特権とっけんつユーザに制限せいげんされているが、標的ひょうてきもと大量たいりょうのICM echo requestがとどくようにするDoS攻撃こうげき一種いっしゅping flood使用しようされる可能かのうせいがある。

pingは、たんにホストの存在そんざいらせることによって潜在せんざいてきなターゲットとして確認かくにんされるため、セキュリティじょうのリスクとなされている。解決かいけつさくとして、おおくのシステムにおいて、 RFC 1122 においてホストはつね返信へんしんかえさなければならないという規定きてい無視むしして、返信へんしん無効むこうにする手段しゅだん提供ていきょうしている[8][12]。さらに、pingによって計算けいさんされたラウンドトリップ時間じかんは、完全かんぜんせいチェックにけていることがおおく、そのため、過酷かこく環境かんきょうでは信頼しんらいできない。攻撃こうげきしゃは、ほとんどのping実装じっそう計算けいさんされた遅延ちえん延長えんちょうまたは短縮たんしゅくする可能かのうせいがある[13]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ EditMTUとう
  2. ^ ここでのgopherはIT用語ようごでのgopherではなく、かじのgopherのことである。

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ [1]
  2. ^ a b Mike Muuss. “The Story of the PING Program”. U.S. Army Research Laboratory. 8 September 2010てんオリジナルよりアーカイブ。8 September 2010閲覧えつらん。 “I named it after the sound that a sonar makes, inspired by the whole principle of echo-location.”
  3. ^ "The Story of the PING Program", Mike Muuss
  4. ^ Salus, Peter (1994). A Quarter Century of UNIX. Addison-Wesley. ISBN 978-0-201-54777-1 
  5. ^ Mills, D.L. (1983). Internet Delay Experiments (英語えいご). IETF. p. 1. doi:10.17487/RFC0889. STD 8. RFC 889. 2015ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  6. ^ http://www.manpagez.com/man/8/ping/
  7. ^ RFC [https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc1122 1122 - Requirements for Internet Hosts -- Communication Layers]”. p. 42. 2012ねん3がつ19にち閲覧えつらん。 “Every host MUST implement an ICMP Echo server function that receives Echo Requests and sends corresponding Echo Replies.”
  8. ^ a b Windows firewall: how block ICMP (echo response)”. 2019ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ ICMP: Internet Control Message Protocol”. repo.hackerzvoice.net (January 13, 2000). December 4, 2014閲覧えつらん
  10. ^ RFC 792 - Internet Control Message Protocol”. Tools.ietf.org. 2014ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  11. ^ RFC Sourcebook's page on ICMP”. 20 December 2010閲覧えつらん
  12. ^ redhat linux /proc/sys/net/ipv4 parameters”. 2019ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  13. ^ Abdou, AbdelRahman; Matrawy, Ashraf; van Oorschot, Paul (April 2017). Accurate Manipulation of Delay-based Internet Geolocation. ACM AsiaCCS. doi:10.1145/3052973.3052993

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]