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タラノキ - Wikipedia

タラノキ

ウコギ落葉らくよう低木ていぼく

これはこのページの過去かこはんです。小石川こいしかわじんあきら (会話かいわ | 投稿とうこう記録きろく) による 2023ねん6がつ25にち (日)にち 03:18個人こじん設定せってい設定せっていならUTC時点じてんはん (出典しゅってん補強ほきょう)であり、現在げんざいはんとはおおきくことなる場合ばあいがあります。

タラノキ(楤木[3]・桵木・そう[4]学名がくめい: Aralia elata)は、ウコギ落葉らくよう低木ていぼく別名べつめいかずおおく、「タランボウ」「オニノカナボウ」など地方ちほうによって様々さまざまがある。新芽しんめ山菜さんさいとして有名ゆうめいタラたら(楤芽)で、てんぷらなどに調理ちょうりされてべられる。かおりがする。

タラノキ
タラノキ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : キクるい Asterids
: セリ Apiales
: ウコギ Araliaceae
ぞく : タラノキぞく Aralia
たね : タラノキ A. elata
学名がくめい
Aralia elata (Miq.) Seem. (1868)[1]
シノニム
和名わみょう
タラノキ(楤木)

名称めいしょう

標準ひょうじゅん和名わみょうとされているタラノキについては、名称めいしょう由来ゆらいはよくわかっていない[5]

別名べつめいかずおおく、タラ(楤、桵)[6]、ウドモドキ[7]ともよばれるが、地方ちほうによってはタランボウ[7][3]オニノカナボウ[8][7]タラッペ[7]、イギノキ[7]、トゲウドノキ[3]などの様々さまざまがある。中国ちゅうごくめいは「遼東りゃおとん楤木」[1]はるえる若芽わかめは、タラノメ(タラたら)とよばれている。

分布ぶんぷ生育せいいく環境かんきょう

日本にっぽん北海道ほっかいどう本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう沖縄おきなわのほか、朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごく千島ちしま列島れっとうサハリンひがしアジア地域ちいき分布ぶんぷする[9]

平地ひらちから標高ひょうこう1500メートル以上いじょうまでの原野げんや河岸かわぎし森林しんりん林道りんどうわきなど日当ひあたりの山野さんや自生じせいする[10][7]とくに、野原のはらややぶなどのれた場所ばしょえる[4]。いわゆるパイオニアてき樹木じゅもくであり、森林しんりん攪乱かくらんをうけると、たとえば伐採ばっさい跡地あとち素早すばや出現しゅつげんし、大小だいしょう集団しゅうだんつくって群生ぐんせいする[7]

特徴とくちょう

落葉らくよう広葉樹こうようじゅ低木ていぼくから高木たかぎで、たかさは2 - 6メートル (m) 程度ていどになり[7]みきえだにもするどいトゲがみつにある[3][11]生育せいいく環境かんきょうにもよるが1ねんで20 - 60センチメートル (cm) ほどび、5ねんで3 mにたっするものもめずらしくはない。みきはあまりぶんえだせずにまっすぐにち、単一たんいつまたは分岐ぶんきする[7]樹皮じゅひにはみきから垂直すいちょくびる大小だいしょうするどとげおおくつくことが特徴とくちょうである[9][7]はるえるえださき[3]

互生ごせいし、みきえだ先端せんたんだけにあつまってつき、なつにはかさのように四方しほうおおきくひら[10][7][3]奇数きすう2かいはねじょう複葉ふくようで、全体ぜんたいながさが50 - 100 cmにもたっするおおきなものであり[4]全体ぜんたいくさしつでつやはない。葉柄ようへいながさ15 - 30 cmで基部きぶがふくらむ。しょうながさ5 - 12 cmのたまごがたから楕円だえんがたさきとがり、うらしらみをび、えんあら鋸歯きょしがある[9][12]全体ぜんたいおおいが、次第しだいすくなくなり、みゃくじょうあらのこる。

花期かき晩夏ばんか(8 - 9がつごろ)[4]みき先端せんたんしんからながさ30 - 50 cmほどある総状そうじょう花序かじょ複数ふくすうつけ、多数たすうみち3ミリメートル (mm) 程度ていどちいさなしろはなかせる[9][10][7]花弁はなびら三角形さんかっけいで5まい雄蕊おしべは5ほんている。自家じか受粉じゅふんふせぐため、雄蕊おしべさきじゅくしてちたのち、5雌蕊めしべじゅくし、あきには黒色こくしょく直径ちょっけい 3 mmほどのちいさな球状きゅうじょう果実かじつとなり、10 - 11月ごろにじゅく[10][13][4]

分類ぶんるいじょうみきとげすくなく、うらおおくてしろくないものをメダラ (f. subinermis) といい、栽培さいばいされるものはむしろこちらのほう普通ふつうである。

品種ひんしゅ

タラノキが本格ほんかくてき栽培さいばいされるようになったのは1980ねんごろとあたらしく、系統けいとうはごくすくない[14]。メダラとしょうするとげのすくない濃緑こみどりおさむけい選抜せんばつしたものを、山梨やまなしけん農業のうぎょう試験場しけんじょう八ヶ岳やつがだけぶんじょう全国ぜんこく先駆さきがけて育成いくせい普及ふきゅうした品種ひんしゅに、「こまみどり」と「しんこま」がある[15]。そのにも、全国ぜんこく各地かくち農業のうぎょう試験場しけんじょう民間みんかん栽培さいばいしゃが、その地方ちほう優良ゆうりょうけい選抜せんばつ育成いくせいした品種ひんしゅ普及ふきゅうしている[15]

  • 野生やせいしゅ - とげがおおいが、栽培さいばいしゅくらべて格段かくだん風味ふうみかおりがよく非常ひじょう美味びみ収穫しゅうかく回復かいふくりょくよわく、個体こたいすうすくなく希少きしょうである。
  • こまみどり - 山梨やまなしけん農業のうぎょう試験場しけんじょう選抜せんばつ育成いくせいされて1977ねん昭和しょうわ52ねん)に命名めいめいされた品種ひんしゅ[15]。とげはごくすくなく、えだしたから3ぶんの1のところにとげが集中しゅうちゅうするが、作業さぎょうじょう支障ししょうがない[15]生育せいいく旺盛おうせいで、剪枝発生はっせいえだふとく、本数ほんすうおお[15]はややちいさい[16]
  • しんこま - 1979ねん昭和しょうわ54ねん)に山梨やまなしけん農業のうぎょう試験場しけんじょう発見はっけんされた突然変異とつぜんへんいしゅを、なしのうそだて1ごう系統けいとうめい選抜せんばつつづけて命名めいめいした品種ひんしゅ[15]とくおおきく、おさむ期待きたいできるが、新芽しんめ形状けいじょうわるく、緑色みどりいろがややあわ[15]品種ひんしゅにない特徴とくちょうとして、休眠きゅうみん作用さようがほとんどないてんげられ、発生はっせいはやぞろ年末ねんまつ出荷しゅっか容易よういなことから、促成そくせい専用せんようしゅ位置いちづけられる[17][15]
  • 蔵王ざおうけい - 民間みんかん個人こじんによる発見はっけん選抜せんばつによって、山形やまがた育成いくせいされた品種ひんしゅ[18]
  • 才谷さいたにけい - 高知こうちけん山間さんかん農業のうぎょう試験場しけんじょう選抜せんばつされたとげなしけい品種ひんしゅじょうちいさなとげがあるが、軍手ぐんて支障ししょう作業さぎょうでき、新芽しんめしつがよく、がわ発生はっせいおお[18]

栽培さいばい

タラたら山村さんそん地域ちいき特産とくさんぶつ育成いくせいすることを目的もくてきとして、1973ねんから山梨やまなしけん園芸えんげい作物さくもつみがはじめられ、優良ゆうりょう系統けいとう選抜せんばつ育成いくせい成功せいこうした[7]。これによって、全国ぜんこくてき栽培さいばい急速きゅうそく普及ふきゅうし、山菜さんさいブームの火付ひつやくとなった[7]東北とうほく地方ちほう積雪せきせつ地域ちいき中心ちゅうしんに、ふかし促成そくせい栽培さいばい導入どうにゅうされ、正月しょうがつまえでもタラたら出荷しゅっかされるようになった[7]。タラノキは果樹かじゅとはことなり、新芽しんめ利用りようする観点かんてんで、けした翌年よくねんはるから収穫しゅうかく可能かのうである[7]

年間ねんかんさくがたは、12月から収穫しゅうかくはじまる「ふかし促成そくせい栽培さいばい」から、3がつ下旬げじゅんから収穫しゅうかくはじまる「露地ろじ普通ふつう栽培さいばい」へ、さらに8がつ中旬ちゅうじゅんまで「若葉わかば利用りよう栽培さいばい」と長期間ちょうきかん生産せいさんすることができる[19]

露地ろじ普通ふつう栽培さいばい
一般いっぱんてきさくがたで、はたけ原野げんやたね苗木なえぎけて、クワはたけのような管理かんりおこない、2ねんはるから新芽しんめ収穫しゅうかくする方法ほうほうである。収穫しゅうかく期間きかんやく1かげつみじか[19]。ふかし促成そくせい栽培さいばい必要ひつよう生産せいさんする目的もくてきでも栽培さいばいされる[18]
ふかし促成そくせい栽培さいばい
温床おんしょうとしておがくずゆか、あるいはみずゆかをつくり、これにってきたにして、やく1かげつ萌芽ほうがしてくる若芽わかめ収穫しゅうかくする方法ほうほうである。露地ろじ普通ふつう栽培さいばい収穫しゅうかく期間きかんおぎなうため、11月初冬しょとうから露地ろじ栽培さいばいひん出回でまわるまでの期間きかん出荷しゅっかされ、東北とうほく地方ちほう積雪せきせつ地帯ちたい中心ちゅうしん全国ぜんこくてきおこなわれている[19]やまりがおこなわれてきたが、原木はらき不足ふそくやまりの労力ろうりょく減少げんしょうにより、露地ろじ栽培さいばいされた使つかわれている[18]
若芽わかめ利用りよう栽培さいばい
露地ろじ普通ふつう栽培さいばいの剪枝に、夏場なつば生育せいいく期間きかんちゅうびてくる若葉わかば一部いちぶって利用りようする方法ほうほう。2ねん以降いこうしんえだ増加ぞうかするを、2まいに1まいおきくらいにるもので、えだ1ほんあたり6 - 7まい若葉わかば収穫しゅうかくできる[19]

露地ろじ普通ふつう栽培さいばい

自然しぜん気象きしょう条件じょうけん遊休ゆうきゅう耕作こうさく利用りようする栽培さいばいであり、野菜やさいるいくらべても、きわめてすくない労力ろうりょく栽培さいばいできる[7]圃場ほじょう日当ひあたりがよい土手どて雑木林ぞうきばやし原野げんやなどの場所ばしょで、耕土こうどふかく、冠水かんすいおそれがないみずはけのよい場所ばしょえらばれる[18]能率のうりつのよい繁殖はんしょく方法ほうほうとして、一般いっぱんに「し」とよばれるたね圃場ほじょうける方法ほうほうおこなわれる[18]原野げんやなどに栽培さいばいする場合ばあいは、しでは初期しょき生育せいいく段階だんかいにおいて、雑草ざっそう生育せいいく不良ふりょうになることから、苗木なえぎける方法ほうほうがとられる[20]

たねづくりは、原種げんしゅかぶからはるげたながさ15センチメートル (cm) 以上いじょうふとさ4ミリメートル (mm) 以上いじょうのものがよく、ふとさはできるだけふといもののほうが萌芽ほうがりょくつよ[20]適期てっきは3がつ下旬げじゅん - 4がつ上旬じょうじゅんで、たね圃場ほじょうつくったうねみぞつくって、真横まよこかせてならべるか、あるいはななしをして5 - 6 cmの覆土ふくどをする[20]適期てっきえられたからの萌芽ほうがりつやく60%以上いじょうあり、5がつ中旬ちゅうじゅんから発芽はつがはじまり、ようたら雑草ざっそうけてれるのを防止ぼうしするために、除草じょそうざい雑草ざっそう抑制よくせいする[20]夏場なつば特別とくべつ作業さぎょうおこな必要ひつようはなく、乾燥かんそう防止ぼうしのためわらなどをいて管理かんりされる[21]当初とうしょから密植みっしょくすると、かぶにより生育せいいくにばらつきがたり、えだ不揃ふぞろいでれる原因げんいんになる[21]

初年しょねんしんえだが1ほんびるだけだが、翌年よくねんはる新芽しんめ収穫しゅうかく直後ちょくごに、地上ちじょうやく10 - 15 cmの位置いち剪定せんていをする[22]。2ねん以降いこうからはあたらしくびたえだを、1だけのこして剪定せんていかえしていく[22]。3 - 4ねんからは、かぶ周辺しゅうへん地上ちじょうからも新芽しんめてくる[22]

タラたら収穫しゅうかくは、はるいただき最初さいしょてくるが、おおよそその地域ちいきソメイヨシノさくら)の満開まんかい収穫しゅうかく開始かいし目安めやすになる[22]つづいて、いただきりょうわきにあるだい1がわが1週間しゅうかんほどで収穫しゅうかくとなり、さらにだい2がわびて収穫しゅうかくとなる[22]収穫しゅうかく毎日まいにちはたけをまわって、新芽しんめらないで、新芽しんめきずつけないように収穫しゅうかくハサミでるようにする[22]いただきは、新芽しんめながさが10 cmほどのしん完全かんぜんひらいていないものが品質ひんしつてきによく、ちいさすぎても収量しゅうりょうがらない[22]がわは、いただきよりもちいさくて品質ひんしつおとるが、すうおおいのでいただき同等どうとうかそれ以上いじょう収量しゅうりょうげることができる[23]

ふかし促成そくせい栽培さいばい

新芽しんめ収穫しゅうかく期間きかんみじか露地ろじ栽培さいばいから、よりなが期間きかん収穫しゅうかく目指めざして確立かくりつされた栽培さいばい方法ほうほうである[24]収穫しゅうかく期間きかんは12月下旬げじゅんから3がつ下旬げじゅんまで、2 - 3かいかえおこな[24]露地ろじ栽培さいばい養生ようじょうしておいたかぶ、または山林さんりんから採取さいしゅしてきたえだ使つかい、がわ1ごとに切断せつだんし、温床おんしょう使つかってふかしをおこない、新芽しんめさせる[24]

栽培さいばい厳寒げんかんおこなわれるため、保温ほおんのためビニルハウスないじゅうカーテンをり、地域ちいきによっては温床おんしょうはビニールトンネルがけや、補助ほじょてき電熱でんねつせん必要ひつようになる[25]温床おんしょうない仕込しこゆかは、一般いっぱんてきにおがくずゆかほうおこなわれ、みずひたゆかによる栽培さいばい方法ほうほうもある[25]。ふかし栽培さいばい使つかうタラノキのえだは、一定いっていりょうあつまるまでかわいけくちあさくつけててかけておくことで、そと気温きおんひくさも手伝てつだって休眠きゅうみん状態じょうたいのまま長期ちょうき貯蔵ちょぞうができる[25]目標もくひょうすうだけあつまったら、1ごとにえだやく10 cmにみじか切断せつだんし、おかくずゆかにぎっしりとしてふかめにみ、ゆか底部ていぶ十分じゅうぶん湿しめるぐらいに灌水する[25]。はやくから促成そくせい開始かいしする場合ばあいは、えだした休眠きゅうみん打破だは促進そくしんさせる必要ひつようがあり、植物しょくぶつ生育せいいく調整ちょうせいざい散布さんぷして萌芽ほうがうなが処置しょちおこなわれる[26]温床おんしょうはおがくずを乾燥かんそうさせないように、かわ具合ぐあいをみながら2 - 3にちごとに灌水をおこない、ハウスない湿度しつども85%以上いじょう確保かくほするように管理かんりされ、ハウスない温度おんど昼夜ちゅうや気温きおん影響えいきょうもあるが、最低さいてい気温きおん10以上いじょう最高さいこう気温きおん35以下いか維持いじするように保温ほおんつとめる必要ひつようがある[26]

新芽しんめ収穫しゅうかくもっとはやさくがたでも、しんこまで25 - 30にちこまみどりで30 - 35にち収穫しゅうかくとなる[26]新芽しんめ完全かんぜん展開てんかいするまえながさ10 cm前後ぜんこう目安めやすおこなわれ、収穫しゅうかくできそうな温床おんしょうからいて、ハサミでタラたらはな[27]

病虫害びょうちゅうがい

野生やせい植物しょくぶつであるタラノキは、作物さくもつとしてはたけ栽培さいばいした場合ばあいに、タラノキ立枯たちがれ疫病えきびょう病原びょうげんたい:Phytophthora cactorum[28])という産地さんちをつぶすほどの致命ちめいてき重要じゅうよう病害びょうがい発生はっせいすることがあり、いかに病害びょうがい回避かいひして栽培さいばいするかがおおきな課題かだいとなる[23]。タラノキ立枯たちがれ疫病えきびょう栽培さいばいされたタラノキだけにられる疫病えきびょうきん起因きいんする病気びょうきで、しんこずえがしおれてれ、かぶ根元ねもと黒褐色こっかっしょく軟化なんか腐敗ふはい症状しょうじょうとなる[23]地温ちおん15 - 27発生はっせいしやすく、こえ密植みっしょく多発たはつしやすい傾向けいこうがあり、除草じょそうによるだん発生はっせい助長じょちょうさせる[23]。また、タラノキそうかびょう病原びょうげんたい:Elsinoë araliae[29])は、ウコギ寄生きせいするきん起因きいんする病気びょうきで、梅雨つゆ前後ぜんごしてしょうはんてんしょうじて奇形きけいし、なつ高温こうおん一時いちじ停滞ていたいして、秋雨あきさめふたた発生はっせいする[24]。また、軟腐病菌びょうきんPectobacterium carotovorum)による軟腐びょう[30]報告ほうこくされている。

害虫がいちゅうとしては、はる新芽しんめえだアブラムシ寄生きせいすることがある[24]。また、暖地だんちでは8がつごろにキボシカミキリ発生はっせいする[24]

利用りよう

 
市販しはんされているタラたら
たらのめ 若芽わかめ ゆで[31]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 109 kJ (26 kcal)
4.1 g
食物しょくもつ繊維せんい 3.6 g
0.2 g
4.0 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(6%)
50 µg
(6%)
600 µg
チアミン (B1)
(6%)
0.07 mg
リボフラビン (B2)
(9%)
0.11 mg
ナイアシン (B3)
(9%)
1.3 mg
パントテンさん (B5)
(5%)
0.23 mg
ビタミンB6
(8%)
0.11 mg
葉酸ようさん (B9)
(21%)
83 µg
ビタミンC
(4%)
3 mg
ビタミンE
(13%)
2.0 mg
ビタミンK
(92%)
97 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(6%)
260 mg
カルシウム
(2%)
19 mg
マグネシウム
(8%)
28 mg
リン
(13%)
92 mg
鉄分てつぶん
(7%)
0.9 mg
亜鉛あえん
(7%)
0.7 mg
どう
(15%)
0.30 mg
成分せいぶん
水分すいぶん 90.8 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 1.1 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 2.5 g

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[32]木質もくしつおよびりんぺんのぞいたもの。ゆでたのち水冷すいれいし、しぼりしたもの。
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい

とく有名ゆうめいなのは、新芽しんめ山菜さんさいとしての「タラたら」の利用りようであるが、樹皮じゅひ民間みんかんやくとしてけん強壮きょうそうつよせい作用さようがあり、糖尿とうにょうびょうにもよいといわれる。ざいかるくてやわらかく、下駄げた杓子しゃくしなどがつくられる[13]

タラたら

タラたら(タラのめ)とは、タラノキのえださき若芽わかめのことで、おも山菜さんさいとして食用しょくようにされる[33]おもしゅんは3がつ - 4がつで、市場いちば出回でまわっているもののおおくは栽培さいばいひんである[33]山菜さんさいとしては苦味にがみ灰汁あくすくなく、あつかいやすい食材しょくざいで、てんぷらやものによく使つかわれるほか、かるでてごまえや胡桃くるみえなどのものいたぶつにされる[33]しょく100グラム (g) あたりの熱量ねつりょうやく27キロカロリー (kcal) で、栄養素えいようそタンパク質たんぱくしつおおめでコクふかあじわいがある[33][34]山村さんそん地域ちいきでは、ふるくからはる高級こうきゅう山菜さんさいとして珍重ちんちょうされ[7]ぞくに「山菜さんさい王様おうさま」としょうされる[3][35]

採取さいしゅ方法ほうほう
トゲがあるため作業さぎょうようかわ手袋てぶくろなどが必要ひつようになる[3]新芽しんめ根元ねもと容易よういにむしることができるが、かまとう道具どうぐもちいることもある。採取さいしゅする新芽しんめは、まだひらききっていないえだ先端せんたん若芽わかめいただき)だけにする[36]えださきんだあとに、ややしたから2番目ばんめや3番目ばんめふくらんでくるが、タラノキはあまりえださず、よわりやすいであるため、それよりしたのこすようにする[4][3]一定いってい時期じきぎると候補こうほもとれて発芽はつがしない。おさな一本立いっぽんだちのタラノキ(たかさがだいたいひざからこしくらい)のいただきるとそのよう全体ぜんたいれてしまう。なお、えだごとるとれてしまうため、無謀むぼう採取さいしゅつつしむように注意ちゅうい喚起かんきされている[3]
韓国かんこくタラたら農家のうかでは、収穫しゅうかくのあと適当てきとうかずだけのこしてえだる(なつにはふたたおおきくなる)。そのまま放置ほうちするとタラノキはたかさ3 - 4メートルに成長せいちょうし、収穫しゅうかく困難こんなんになる[37]
園芸えんげい業者ぎょうしゃ販売はんばいしているえだとげのない品種ひんしゅ(メダラ)や別種べっしゅのリュウキュウタラノキ(Aralia ryukyuensis) を栽培さいばい販売はんばいすることもある。
採取さいしゅ時期じき
新芽しんめ採取さいしゅ時期じきさくらの8分咲ぶざきころに同期どうきしており、さとさくらタラたら採取さいしゅ時期じきでもある。日本にっぽんでは中国ちゅうごく地方ちほう四国しこく九州きゅうしゅうが4がつごろ、関東かんとう地方ちほうなどの暖地だんちは4 - 5がつごろ、北海道ほっかいどう東北とうほく地方ちほう中部ちゅうぶ地方ちほう寒冷かんれいは5がつごろといわれる[4][3]栽培さいばいする場合ばあい韓国かんこく南部なんぶでは4がつ上旬じょうじゅん中部ちゅうぶから北部ほくぶにかけては4がつ中旬ちゅうじゅん下旬げじゅん収穫しゅうかくする。温室おんしつ栽培さいばいしたものは早春そうしゅんなつ場合ばあいによってはふゆにも収穫しゅうかく可能かのう[37]
調理ちょうり方法ほうほう
根元ねもとのかたい部分ぶぶんとして、はかま(はかま)の部分ぶぶんのぞ[3][33]せいのまま、根元ねもとそこみをれててんぷらにするのが一般いっぱんてきで、くちいっぱいにひろがる独特どくとく芳香ほうこう心地ここちよい苦味にがみとコクが特徴とくちょうてきである[38][3]てんぷら以外いがいにも、でてみずにさらし、おひたしゴマものびたしものにしたり、あぶらいたしるにしてべてもよい[3][33][34][38]せいのままであぶって、味噌みそをつけてべてもおいしくべられる[38]韓国かんこくではあさでてチェコチュジャン(コチュジャン)をつけてべるのが一般いっぱんてき。また、しょうゆけにするとにがみは減少げんしょうし、独特どくとく芳香ほうこうくなる[37]

薬用やくよう

タラノキがわとして、樹皮じゅひ楤木がわ(たらのきかわ)、がわ楤根がわ(そうこんぴ)とよんで生薬きぐすりとしてもちいられる[10]樹皮じゅひ部分ぶぶんとげろうからす(しろうあ)ともよばれるが、中国ちゅうごく薬物やくぶつめいの楤木はタラノキの仲間なかま別種べっしゅである[8]

乾燥かんそうさせたタラノキがわせんじて、1にち3かいけて服用ふくようすると、血糖けっとう降下こうかけんせいちょう糖尿とうにょうびょう腎臓じんぞうびょう効用こうようがあるといわれる[10][13]。また、をたべることでおなじような効果こうか期待きたいできるとわれている。がわも「タラがわ」(タラこんぴ)という生薬きぐすりで、糖尿とうにょうびょう症状しょうじょうたいしてもちいられる。高血圧こうけつあつ慢性まんせい胃炎いえんにはかわつきえだきざんだものでおちゃわりに飲用いんようすることもでき、常用じょうようしても支障ししょうない[10]あたためる作用さようがある薬草やくそうで、ねつがあったり、のぼせやすいひとや、にんへの服用ふくようきんじられている[8]

膵臓すいぞうβべーた細胞さいぼう障害しょうがいあたえた糖尿とうにょうびょうモデルにたいしてタラノメ抽出ちゅうしゅつぶつ投与とうよしたが改善かいぜん効果こうかみとめられなかった。一方いっぽう、ラットへのブドウ糖ぶどうとうショとう負荷ふか投与とうよさいして血糖けっとう上昇じょうしょうが7-8わり抑制よくせいされた。このことから、タラノメは糖尿とうにょうびょう治療ちりょうというよりも予防よぼう悪化あっか防止ぼうし効果こうかがあるとかんがえられるとする報告ほうこくがある[39]。なお、タラノキざい小細工こざいくよう使つかわれる[40]

ている有毒ゆうどく植物しょくぶつ

だしは有毒ゆうどくヌルデヤマウルシにもているが、これらのはトゲがないことから見分みわけられる[3]

脚注きゃくちゅう

  1. ^ a b 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Aralia elata (Miq.) Seem. タラノキ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  2. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Aralia mandshurica Maxim. タラノキ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん3がつ31にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 金田かねだ初代しょだい 2010, p. 82.
  4. ^ a b c d e f g 高橋たかはし秀男ひでお監修かんしゅう 2003, p. 134.
  5. ^ 近田ちかだ文弘ふみひろみのるのかたちで調しらべる 樹木じゅもく名前なまえだい事典じてん』くもん出版しゅっぱん、2014ねん、101ぺーじISBN 978-4-7743-2219-3 
  6. ^ デジタル大辞泉だいじせん』 - コトバンク
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 農文協のうぶんきょうへん 2004, p. 215.
  8. ^ a b c 貝津かいづこうこう 1995, p. 219.
  9. ^ a b c d 菱山ひしやま忠三郎ちゅうざぶろう 2003, p. 20.
  10. ^ a b c d e f g 馬場ばばあつし 1996, p. 72.
  11. ^ 板木はんぎ利隆としたか図解ずかいやさしい野菜やさいづくり』ひかり協会きょうかい、1996ねん10がつ、279ぺーじISBN 978-4259533946 
  12. ^ 金田かねだ初代しょだい 2010, p. 83.
  13. ^ a b c 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん 1997, p. 220.
  14. ^ 藤嶋ふじしまいさむ 1997, p. 44.
  15. ^ a b c d e f g h 農文協のうぶんきょうへん 2004, p. 217.
  16. ^ 藤嶋ふじしまいさむ 1997, p. 48.
  17. ^ 藤嶋ふじしまいさむ 1997, p. 46.
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参考さんこう文献ぶんけん

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