ドイツ語 ご : Protein 、英語 えいご : protein 、フランス語 ふらんすご : protéine [prɔtein] 、スペイン語 ご : proteína はギリシア語 ご で「第 だい 一 いち の」を意味 いみ する prōteîos から採 と られた。1838年 ねん にオランダ の化学 かがく 者 しゃ ヨハンネス・ムルデル が、スウェーデン の化学 かがく 者 しゃ イェンス・ベルセリウス から助言 じょげん を受 う け、窒素 ちっそ を非常 ひじょう に多 おお く含 ふく む生物 せいぶつ の基本 きほん 要素 ようそ と考 かんが えてこの名称 めいしょう をつけた[ 4] 。
「蛋白質 たんぱくしつ 」の「蛋」とは卵 たまご のことを指 さ し、卵白 らんぱく (蛋白 たんぱく )がタンパク質 たんぱくしつ を主成分 しゅせいぶん とすることによる。これは Protein がドイツ語 ご でまた Eiweiß (卵白 らんぱく )とも訳 やく され、これが日本語 にほんご に直訳 ちょくやく されたと考 かんが えられる[ 4] 。
「蛋」という漢字 かんじ は、例 たと えば皮 かわ 蛋 のように中国 ちゅうごく ではよく使 つか われる字 じ であるが、日本 にっぽん ではあまり普及 ふきゅう していない。そのため栄養 えいよう 学者 がくしゃ の川島 かわしま 四郎 しろう が「蛋白質 たんぱくしつ 」では分 わ かりにくいとして「卵白 らんぱく 質 しつ 」という語 かたり を使用 しよう したが、一般 いっぱん 的 てき に利用 りよう されるにはいたらなかった。
現在 げんざい では、栄養 えいよう 学 がく 分野 ぶんや では平仮名 ひらがな の「たんぱく質 しつ 」、生物 せいぶつ 学 がく では片仮名 かたかな の「タンパク質 たんぱくしつ 」が使 つか われる傾向 けいこう にある[ 5] 。
タンパク質 たんぱくしつ は以下 いか のような階層 かいそう 構造 こうぞう をもつ。
また、アミノ酸 あみのさん のみで構成 こうせい された種類 しゅるい は単純 たんじゅん タンパク質 たんぱくしつ と言 い い、構成 こうせい 成分 せいぶん にアミノ酸 あみのさん 以外 いがい のものが含 ふく まれる場合 ばあい は複 ふく 合 あい タンパク質 たんぱくしつ と呼 よ ばれる[ 1] 。
食物 しょくもつ として摂取 せっしゅ したタンパク質 たんぱくしつ は消化 しょうか の過程 かてい でアミノ酸 あみのさん にまで分解 ぶんかい され吸収 きゅうしゅう され、体内 たいない で再 ふたた びタンパク質 たんぱくしつ へ構成 こうせい される。このタンパク質 たんぱくしつ を作 つく る基本 きほん 物質 ぶっしつ であるアミノ酸 あみのさん は、炭素 たんそ 元素 げんそ を中心 ちゅうしん に水溶液 すいようえき 中 ちゅう でプラスに荷電 かでん するアミノ基 もと とマイナスに荷電 かでん するカルボキシ基 もと を持 も ち、残 のこ り2箇所 かしょ に水素 すいそ と側 がわ 鎖 くさり と呼 よ ばれる分子 ぶんし 構造 こうぞう を持 も つ[ 2] 。タンパク質 たんぱくしつ をつくるアミノ酸 あみのさん は20種類 しゅるい あるが、これらの差 さ は側 がわ 鎖 くさり の形状 けいじょう の違 ちが いで分 わ けられる[ 2] 。
タンパク質 たんぱくしつ はアミノ酸 あみのさん のポリマー である。その基本 きほん 的 てき な構造 こうぞう は2つのアミノ酸 あみのさん の一方 いっぽう のカルボキシ基 もと (−COOH) と他方 たほう のアミノ基 もと (−NH2 ) が水分 すいぶん 子 こ を1つ放出 ほうしゅつ する脱水 だっすい 縮 ちぢみ 合 あい (ペプチド結合 けつごう )を起 お こして酸 さん アミド結合 けつごう (−CO−NH−) を形成 けいせい することでできる鎖 くさり 状 じょう である[ 2] 。また、システイン 残 ざん 基 もと がしばしばジスルフィド結合 けつごう (S−S) の架橋 かきょう 構造 こうぞう をつくることもある。このポリマーの末端 まったん の結合 けつごう していない部分 ぶぶん は、アミノ基 もと 側 がわ をN末端 まったん 、カルボキシ基 もと 側 がわ をC末端 まったん とよぶ[ 6] 。この時 とき 、一 いち 列 れつ のアミノ酸 あみのさん の脇 わき には側 がわ 鎖 くさり が並 なら ぶ事 こと になり、この配列 はいれつ の数 かず や順序 じゅんじょ を指 さ してタンパク質 たんぱくしつ の一 いち 次 じ 構造 こうぞう とよぶ[ 2] 。
アミノ酸 あみのさん の配列 はいれつ は、遺伝子 いでんし の本体 ほんたい である物質 ぶっしつ ・DNA の塩基 えんき 配列 はいれつ により決定 けってい される[ 6] (3個 こ のヌクレオチド により、1つのアミノ酸 あみのさん が指定 してい される)。ペプチド結合 けつごう してタンパク質 たんぱくしつ の構成 こうせい 成分 せいぶん となった単位 たんい アミノ酸 あみのさん 部分 ぶぶん (−NH−CH(−R)−CO−) をアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと と呼 よ ぶ。それぞれの残 ざん 基 もと は、側 がわ 鎖 くさり 置換 ちかん 基 もと R の違 ちが いによって異 こと なる性質 せいしつ をもつ。
鎖 くさり 状 じょう のポリペプチドは、それだけではタンパク質 たんぱくしつ の機能 きのう を持 も たない。一 いち 次 じ 構造 こうぞう で並 なら んだ側 がわ 鎖 くさり が相互 そうご 作用 さよう で結 むす びつき、ポリペプチドには決 き まった2種類 しゅるい の方法 ほうほう で結 むす びついた箇所 かしょ が生 しょう じる。1つはα あるふぁ ヘリックス (螺旋 らせん 構造 こうぞう )と呼 よ ばれ、あるアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと の酸素 さんそ と、4つ離 はな れた残 ざん 基 もと の水素 すいそ の結 むす びつきを基礎 きそ に、同 おな じ事 ごと が順次 じゅんじ 起 お こってポリペプチドにらせん構造 こうぞう をつくる[ 7] 。もう1つのβ べーた シート とは、ポリペプチドの一部 いちぶ が折 お り畳 たた まれ、それぞれの水素 すいそ と酸素 さんそ 残 ざん 基 もと が結合 けつごう してつくるシート 状 じょう の構造 こうぞう である[ 7] 。これらは二 に 次 じ 構造 こうぞう と呼 よ ばれる[ 8] 。水素 すいそ 結合 けつごう やファンデルワールス力 りょく などによるこの畳 たた み込 こ みはフォールディング (folding) とも呼 よ ばれる[ 9] 。結合 けつごう エネルギーが比較的 ひかくてき 低 ひく いため、簡単 かんたん な処理 しょり によって構造 こうぞう を変性 へんせい させやすい[ 8] 。
リゾチーム のリボンモデル。α あるふぁ ヘリックスが赤 あか 、β べーた シートは黄色 おうしょく で表 あらわ される。
タンパク質 たんぱくしつ はα あるふぁ ヘリックスやβ べーた シートといった二 に 次 じ 構造 こうぞう の特定 とくてい の組 く み合 あ わせが局部 きょくぶ 的 てき に集合 しゅうごう し形成 けいせい されたα あるふぁ ヘアピンやβ べーた ヘアピンなどの超 ちょう 二 に 次 じ 構造 こうぞう と呼 よ ばれる単位 たんい ができて核 かく に纏 まと まったドメイン をとり、タンパク質 たんぱくしつ 全体 ぜんたい としての三 さん 次 じ 構造 こうぞう をとる[ 10] 。これは立体 りったい 的 てき に見 み てまとまった領域 りょういき である。三 さん 次 じ 構造 こうぞう は側 がわ 鎖 くさり 間 あいだ の相互 そうご 作用 さよう によって安定 あんてい する。特殊 とくしゅ な塩基 えんき 間 あいだ の水素 すいそ 結合 けつごう やシステイン残 ざん 基 もと 間 あいだ のジスルフィド結合 けつごう 、静 しずか 電 でん 引力 いんりょく などが安定 あんてい 化 か に寄与 きよ するが、特 とく に疎水 そすい 結合 けつごう が大 おお きく影響 えいきょう する。そのため有機 ゆうき 溶媒 ようばい や界面 かいめん 活性 かっせい 剤 ざい などで疎水 そすい 結合 けつごう を切 き ると三 さん 次 じ 構造 こうぞう が壊 こわ れ、タンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい が起 お こりやすい[ 10] 。三 さん 次 じ 構造 こうぞう の立体 りったい を図案 ずあん 化 か し描 えが かれたものは「リボンモデル」と言 い う[ 7] 。
ヘモグロビン のリボンモデル。2種 しゅ 2個 こ ずつのグロビン サブユニットが計 けい 4つ集 あつ まり、四 よん 次 じ 構造 こうぞう を作 つく っている。
タンパク質 たんぱくしつ の中 なか には複数 ふくすう (場合 ばあい によっては複数 ふくすう 種 しゅ )のポリペプチド鎖 くさり が非 ひ 共有 きょうゆう 結合 けつごう でまとまって複 ふく 合体 がったい (会合 かいごう 体 たい )を形成 けいせい しているものがあり、このような関係 かんけい を四 よん 次 じ 構造 こうぞう と呼 よ ぶ[ 11] 。各 かく ポリペプチド鎖 くさり はモノマーまたはサブユニットと呼 よ ばれ、複 ふく 合体 がったい はオリゴマー と言 い う[ 11] 。各 かく サブユニットには疎水 そすい 結合 けつごう や水素 すいそ 結合 けつごう またはイオン結合 けつごう が広 ひろ い領域 りょういき に多数 たすう 存在 そんざい し相補 そうほ 的 てき に働 はたら くために方向 ほうこう 性 せい があるため、サブユニットは全体 ぜんたい で特定 とくてい の空間 くうかん 配置 はいち (コンホメーション )を取 と る[ 11] 。例 たと えば、ヒトの赤血球 せっけっきゅう に含 ふく まれ酸素 さんそ を運 はこ ぶヘモグロビン は、α あるふぁ ・β べーた 2種類 しゅるい のグロビン というサブユニットがそれぞれ2つずつ結 むす びつく四 よん 次 じ 構造 こうぞう を持 も ったタンパク質 たんぱくしつ の一種 いっしゅ である[ 7] 。
一 いち 次 じ 構造 こうぞう と高次 こうじ 構造 こうぞう の関係 かんけい
編集 へんしゅう
タンパク質 たんぱくしつ の立体 りったい 構造 こうぞう は、そのアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ (一 いち 次 じ 構造 こうぞう )により決定 けってい されていると考 かんが えられている(Anfinsenのドグマ)。また、二 に 次 じ 以上 いじょう の高次 こうじ 構造 こうぞう は、いずれも一 いち 次 じ 構造 こうぞう で決定 けってい されるアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ を反映 はんえい している。例 たと えば Glu 、Ala 、Leu が連続 れんぞく するとα あるふぁ ヘリックス構造 こうぞう をとりやすい。Ile 、Val 、Met はβ べーた シート構造 こうぞう をとりやすい。また各 かく 構造 こうぞう の継 つ ぎ目 め の鋭角 えいかく なターンの部分 ぶぶん には Gly 、Pro 、Asn が置 お かれる、などの例 れい がある。さらに、疎水 そすい 性 せい アミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと 同士 どうし は引 ひ き合 あ い(疎水 そすい 結合 けつごう )、Cys 同士 どうし はジスルフィド結合 けつごう を形成 けいせい して高次 こうじ 構造 こうぞう を安定 あんてい 化 か させる。
生体 せいたい のタンパク質 たんぱくしつ を構成 こうせい するアミノ酸 あみのさん は20種類 しゅるい あるが[ 1] 、それが3つ連結 れんけつ したペプチド だけでも約 やく 203 =8000通 とお りの組 く み合 あ わせがあり得 え る。タンパク質 たんぱくしつ については、その種類 しゅるい は数 すう 千 せん 万 まん 種 しゅ と言 い われる。生物 せいぶつ の遺伝子 いでんし (ゲノム )から作 つく られるタンパク質 たんぱくしつ ひとそろいのセットは、プロテオーム と呼 よ ばれるが、ヒトゲノム の塩基 えんき 配列 はいれつ 解読 かいどく が終 お わった今 いま 、プロテオームの解析 かいせき (プロテオミクス )が盛 さか んに進 すす められている。
タンパク質 たんぱくしつ の機能 きのう は上記 じょうき の三 さん 次 じ 構造 こうぞう ・四 よん 次 じ 構造 こうぞう (立体 りったい 構造 こうぞう )によって決定 けってい される。これは、同 おな じアミノ酸 あみのさん の配列 はいれつ からなるタンパク質 たんぱくしつ でも、立体 りったい 構造 こうぞう (畳 たた まれ方 かた )によって機能 きのう が変 か わるということである。たとえばBSE の原因 げんいん となるプリオン は、正常 せいじょう なプリオンとは立体 りったい 構造 こうぞう が違 ちが うだけである。なお、多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ では、熱 ねつ や圧力 あつりょく を加 くわ えたり、溶液 ようえき の pH 値 ね を変 か える、変性 へんせい 剤 ざい を加 くわ えるなどの操作 そうさ により二 に 次 じ 以上 いじょう の高次 こうじ 構造 こうぞう が変化 へんか し、その機能 きのう (活性 かっせい )を失 うしな う。これをタンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい という。変性 へんせい したタンパク質 たんぱくしつ においては、疎水 そすい 結合 けつごう 、水素 すいそ 結合 けつごう 、イオン結合 けつごう の多 おお くが破壊 はかい され、全体 ぜんたい にランダムな構造 こうぞう が増加 ぞうか したペプチド鎖 くさり の緩 ゆる んだ状態 じょうたい になることが知 し られている。タンパク質 たんぱくしつ の変性 へんせい は、かつて不 ふ 可逆 かぎゃく な過程 かてい であると考 かんが えられてきたが、現在 げんざい では多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ において、変性 へんせい は可逆 かぎゃく 的 てき な過程 かてい である事 こと が確認 かくにん されている。なお、変性 へんせい したタンパク質 たんぱくしつ を元 もと の高次 こうじ 構造 こうぞう に戻 もど す操作 そうさ をタンパク質 たんぱくしつ の再生 さいせい という。タンパク質 たんぱくしつ の再生 さいせい は、原理 げんり としては、畳 たた み込 こ まれたペプチド鎖 くさり を一旦 いったん 完全 かんぜん にほどき、数時間 すうじかん かけてゆっくりと畳 たた み込 こ むよう条件 じょうけん を細 こま かく調整 ちょうせい ・変化 へんか させることで行 おこな われている。
特定 とくてい のアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ に対 たい して、存在 そんざい しうる安定 あんてい な高次 こうじ 構造 こうぞう が複数 ふくすう 存在 そんざい するにもかかわらず、生体 せいたい 内 ない では特定 とくてい の遺伝子 いでんし から特定 とくてい の機能 きのう を持 も つ高次 こうじ 構造 こうぞう をとったタンパク質 たんぱくしつ が合成 ごうせい できるかは、必 かなら ずしも明 あき らかではない。クリスチャン・アンフィンセン の実験 じっけん などで判明 はんめい した多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ が変性 へんせい した後 のち にもその高次 こうじ 構造 こうぞう の再生 さいせい が可能 かのう なことから、一 いち 次 じ 構造 こうぞう それ自体 じたい が、高次 こうじ 構造 こうぞう のかなりの部分 ぶぶん を決 き めていることは疑 うたが いがなく、これは「アンフィンセンのドグマ 」と呼 よ ばれる[ 9] 。しかし、先 さき のタンパク質 たんぱくしつ の再生 さいせい は数時間 すうじかん かかる操作 そうさ (実際 じっさい には、二 に 次 じ 構造 こうぞう の畳 たた み込 こ みはかなり迅速 じんそく に起 お こっていて、三 さん 次 じ 構造 こうぞう の確定 かくてい に時間 じかん がかかるらしい)であるのに対 たい し、生体 せいたい 内 ない でのタンパク質 たんぱくしつ の合成 ごうせい は数 すう 十 じゅう 秒 びょう から一 いち 分 ふん で完了 かんりょう する。さらに、発見 はっけん された「アンフィンセンのドグマ」に反 はん する事例 じれい からも、タンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし を高速 こうそく に畳 たた み込 こ み、正 ただ しい高次 こうじ 構造 こうぞう へと導 みちび く因子 いんし の存在 そんざい が考 かんが えられている[ 9] (例 れい :タンパク質 たんぱくしつ ジスルフィドイソメラーゼ 、プロリンシストランスイソメラーゼ、分子 ぶんし シャペロン )。また、生体 せいたい 内 ない では間違 まちが った立体 りったい 構造 こうぞう をしているタンパク質 たんぱくしつ はそのタンパク質 たんぱくしつ のLys のアミノ基 もと にポリユビキチン が共有 きょうゆう 結合 けつごう で結合 けつごう した後 のち に、プロテアソーム によって分解 ぶんかい される。
タンパク質 たんぱくしつ は周囲 しゅうい の環境 かんきょう の変化 へんか によりその高次 こうじ 構造 こうぞう を変化 へんか させ、その機能 きのう を変 か えることができる。タンパク質 たんぱくしつ である酵素 こうそ は、その触媒 しょくばい する反応 はんのう の速度 そくど を条件 じょうけん に応 おう じて変化 へんか させることができる。
上記 じょうき のようなタンパク質 たんぱくしつ の高次 こうじ 構造 こうぞう は、X線 せん 結晶 けっしょう 構造 こうぞう 解析 かいせき 、NMR (核 かく 磁気 じき 共鳴 きょうめい )、電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう などによって測定 そくてい されている。また、タンパク質 たんぱくしつ 構造 こうぞう 予測 よそく による理論 りろん 的 てき 推定 すいてい なども行 おこな われている。タンパク質 たんぱくしつ の立体 りったい 構造 こうぞう と機能 きのう は密接 みっせつ な関係 かんけい を持 も つことから、それぞれのタンパク質 たんぱくしつ の立体 りったい 構造 こうぞう の解明 かいめい は、その機能 きのう を解明 かいめい するために重要 じゅうよう である。いずれ、ほしい機能 きのう にあわせてタンパク質 たんぱくしつ の立体 りったい 構造 こうぞう を設計 せっけい し、合成 ごうせい できるようになるだろうと考 かんが えられている。
これまでの研究 けんきゅう により構造 こうぞう が解明 かいめい されたタンパク質 たんぱくしつ については、蛋白質 たんぱくしつ 構造 こうぞう データバンク[ 12] によりデータの管理 かんり が行 おこな われており、研究 けんきゅう 者 しゃ のみならず一般 いっぱん の人 ひと でもそのデータを自由 じゆう に利用 りよう 、閲覧 えつらん できる。
タンパク質 たんぱくしつ は、それぞれのアミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ に固有 こゆう の立体 りったい 構造 こうぞう を自発 じはつ 的 てき に形成 けいせい する。このことから、タンパク質 たんぱくしつ の天然 てんねん 状態 じょうたい は熱 ねつ 力学 りきがく 的 てき な最 さい 安定 あんてい 状態 じょうたい (最 もっと も自由 じゆう エネルギーが低 ひく い状態 じょうたい )であると考 かんが えられている(アンフィンセンのドグマ )。
タンパク質 たんぱくしつ の立体 りったい 構造 こうぞう 安定 あんてい 性 せい は天然 てんねん 状態 じょうたい と変性 へんせい 状態 じょうたい の自由 じゆう エネルギー の差 さ
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
(変性 へんせい 自由 じゆう エネルギー)で決 き まる。なお、温度 おんど 依存 いぞん 性 せい を議論 ぎろん する場合 ばあい には、安定 あんてい 性 せい の指標 しひょう として
e
x
p
(
−
Δ でるた
G
d
/
k
T
)
{\displaystyle exp(-\Delta G_{\rm {d}}/kT)}
が用 もち いられることもある。通常 つうじょう 、タンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい は、温度 おんど 、圧力 あつりょく 、溶媒 ようばい 条件 じょうけん 等 とう に依存 いぞん する。従 したが って、それらの条件 じょうけん をある程度 ていど 変化 へんか させると、タンパク質 たんぱくしつ は変性 へんせい する。
タンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい を決 き める要因 よういん として、ファン・デル・ワールス相互 そうご 作用 さよう 、疎水 そすい 性 せい 相互 そうご 作用 さよう 、水素 すいそ 結合 けつごう 、イオン結合 けつごう 、鎖 くさり エントロピー 、ジスルフィド結合 けつごう などがある。これらの寄与 きよ の大 おお きさは、温度 おんど 等 とう により変 か わる。
多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ は、室温 しつおん 近傍 きんぼう で数 すう 十 じゅう kJ/mol 程度 ていど の
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
をとる。この非常 ひじょう に小 ちい さな
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
は変性 へんせい 状態 じょうたい に対 たい して天然 てんねん 状態 じょうたい が絶妙 ぜつみょう なバランスで安定 あんてい であることを示 しめ しており、この性質 せいしつ は限界 げんかい 安定 あんてい 性 せい (marginal stability) と呼 よ ばれている。
温度 おんど が変化 へんか すると、変性 へんせい エンタルピー
Δ でるた
H
d
{\displaystyle \Delta H_{\rm {d}}}
や変性 へんせい エントロピー
Δ でるた
S
d
{\displaystyle \Delta S_{\rm {d}}}
は急激 きゅうげき に変化 へんか するが、それらの変化 へんか の大 だい 部分 ぶぶん は相殺 そうさい して
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
に寄与 きよ しない(エンタルピー ・エントロピー 相殺 そうさい )。変性 へんせい 熱容量 ねつようりょう 変化 へんか
Δ でるた
C
p
,
d
{\displaystyle \Delta C_{p,{\rm {d}}}}
は正 せい の値 ね を持 も ち、タンパク質 たんぱくしつ 内部 ないぶ のアミノ酸 あみのさん 残 ざん 基 もと (疎水 そすい 性 せい アミノ酸 あみのさん が多 おお い)の水 みず 和 わ に伴 ともな う水 みず 和水 わすい の熱容量 ねつようりょう 変化 へんか によるものであると考 かんが えられている。
タンパク質 たんぱくしつ はその変性 へんせい の途中 とちゅう で、二 に 次 じ 構造 こうぞう はあまり変化 へんか しないのに三 さん 次 じ 構造 こうぞう が壊 こわ れた状態 じょうたい を取 と ることがある。これをモルテン・グロビュール状態 じょうたい (molten globule state) とよぶ[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 。この状態 じょうたい は高塩 たかしお 濃度 のうど 下 か かつ低 てい pHの条件 じょうけん で安定 あんてい に存在 そんざい することがあり、タンパク質 たんぱくしつ の折 お り畳 たた みの初期 しょき 過程 かてい を反映 はんえい したものであると考 かんが えられている。
タンパク質 たんぱくしつ は高温 こうおん になると変性 へんせい する。これは熱 ねつ 変性 へんせい と呼 よ ばれる。加熱 かねつ するとタンパク質 たんぱくしつ の一 いち 次 じ 構造 こうぞう が変化 へんか することはほとんど無 な いが、二 に 次 じ 以上 いじょう の高次 こうじ 構造 こうぞう は崩 くず れやすい。約 やく 60℃以上 いじょう になると、周囲 しゅうい に軽 かる く結 むす びつき水 すい 和 わ 状態 じょうたい をつくる水分 すいぶん 子 こ が振動 しんどう し高次 こうじ 結合 けつごう 部分 ぶぶん が解 と け、細長 ほそなが い状態 じょうたい になる。さらに内部 ないぶ に封 ふう じられた疎水 そすい 部分 ぶぶん が露出 ろしゅつ し、他 た のポリペプチドの露出 ろしゅつ 部分 ぶぶん と引 ひ き合 あ い、全体 ぜんたい に詰 つ まった状態 じょうたい になる。通常 つうじょう は透明 とうめい で液状 えきじょう の卵白 らんぱく が、加熱 かねつ されると白 しろ い固形 こけい に変化 へんか するのはこの原理 げんり からである[ 7] 。
また、低温 ていおん でも変性 へんせい を起 お こすが、通常 つうじょう のタンパク質 たんぱくしつ が低温 ていおん 変性 へんせい を起 お こす温度 おんど は0 ℃以下 いか である。タンパク質 たんぱくしつ の安定 あんてい 性 せい は変性 へんせい 自由 じゆう エネルギー
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
で決 き まる。変性 へんせい 熱容量 ねつようりょう は室温 しつおん 付近 ふきん でほぼ一 いち 定値 ていち であるため、
Δ でるた
G
d
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}}
の温度 おんど 依存 いぞん 性 せい は上 うえ に凸 とつ の曲線 きょくせん になる。この曲線 きょくせん と
Δ でるた
G
d
=
0
{\displaystyle \Delta G_{\rm {d}}=0}
の交点 こうてん が低温 ていおん 変性 へんせい と熱 ねつ 変性 へんせい の温度 おんど である。
タンパク質 たんぱくしつ はpH の変化 へんか によっても変性 へんせい する。pHが極端 きょくたん に変化 へんか すると、タンパク質 たんぱくしつ の表面 ひょうめん や内部 ないぶ の荷電 かでん 性 せい 極性 きょくせい 基 もと (Glu 、Asp 、Lys 、Arg 、His )の荷電 かでん 状態 じょうたい が変化 へんか する。これによってクーロン相互 そうご 作用 さよう によるストレスがかかり、タンパク質 たんぱくしつ が変性 へんせい する。
タンパク質 たんぱくしつ は圧力 あつりょく 変化 へんか によって変性 へんせい することが知 し られている。通常 つうじょう のタンパク質 たんぱくしつ は常 つね 圧 あつ (0.1 MPa ) 近傍 きんぼう でもっとも安定 あんてい であり、数 すう 100 MPa程度 ていど で変性 へんせい する。キモトリプシン は例外 れいがい 的 てき であり、100 MPa程度 ていど でもっとも安定 あんてい である。そのため、温度 おんど によっては変性 へんせい 状態 じょうたい にあるものが加圧 かあつ によって巻 ま き戻 もど ることがある。圧力 あつりょく 変性 へんせい は天然 てんねん 状態 じょうたい よりも変性 へんせい 状態 じょうたい の体積 たいせき が小 ちい さいために起 お こるものであり、ルシャトリエの原理 げんり で説明 せつめい できる。
尿素 にょうそ やグアニジン 塩酸 えんさん は水素 すいそ 結合 けつごう によるタンパク質 たんぱくしつ の構造 こうぞう 安定 あんてい 性 せい を、結合 けつごう 間 あいだ に割 わ り込 こ むことで低下 ていか させる作用 さよう を持 も つため、その溶液 ようえき 中 ちゅう でタンパク質 たんぱくしつ は変性 へんせい する。このようにタンパク質 たんぱくしつ を変性 へんせい させる作用 さよう をもつ物質 ぶっしつ は変性 へんせい 剤 ざい と呼 よ ばれる。また通常 つうじょう は変性 へんせい 剤 ざい とは呼 よ ばれないが、界面 かいめん 活性 かっせい 剤 ざい もタンパク質 たんぱくしつ を変性 へんせい させる作用 さよう がある。
タンパク質 たんぱくしつ は生物 せいぶつ に固有 こゆう の物質 ぶっしつ である。その合成 ごうせい は生 い きた細胞 さいぼう の中 なか で行 おこな われ、合成 ごうせい されたものは生物 せいぶつ の構造 こうぞう そのものとなり、あるいは酵素 こうそ などとして生命 せいめい 現象 げんしょう の発現 はつげん に利用 りよう される。また、類似 るいじ のタンパク質 たんぱくしつ であっても、生物 せいぶつ の種 たね が異 こと なれば一 いち 次 じ 構造 こうぞう が異 こと なることは普通 ふつう である。タンパク質 たんぱくしつ はアミノ酸 あみのさん が多数 たすう 結合 けつごう した高分子 こうぶんし 化合 かごう 物 ぶつ であるが、人工 じんこう 的 てき な高分子 こうぶんし のように単純 たんじゅん な繰 く り返 かえ しではなく、順番 じゅんばん がきっちりと決定 けってい されている。これは、そのアミノ酸 あみのさん の種 たね と順番 じゅんばん がDNA に暗号 あんごう で記述 きじゅつ されていることによる。遺伝子 いでんし 暗号 あんごう は往々 おうおう にしてその形質 けいしつ に関係 かんけい するタンパク質 たんぱくしつ の設計 せっけい 図 ず であると考 かんが えられる(一 いち 遺伝子 いでんし 一 いち 酵素 こうそ 説 せつ )。エンゲルス は「生命 せいめい はタンパク質 たんぱくしつ の存在 そんざい 様式 ようしき である 」と言 い ったが、故 ゆえ のないことではない。
タンパク質 たんぱくしつ の生体 せいたい における機能 きのう は多種 たしゅ 多様 たよう であり、たとえば次 つぎ のようなものがある[ 13] 。
酵素 こうそ タンパク質 たんぱくしつ
代謝 たいしゃ などの化学 かがく 反応 はんのう を起 お こさせる触媒 しょくばい である酵素 こうそ [ 14] 。細胞 さいぼう 内 ない で情報 じょうほう を伝達 でんたつ する多 おお くの役目 やくめ も担 にな う[ 15] 。
構造 こうぞう タンパク質 たんぱくしつ
生体 せいたい 構造 こうぞう を形成 けいせい するタンパク質 たんぱくしつ :コラーゲン 、ケラチン など
輸送 ゆそう タンパク質 たんぱくしつ
何 なに かを運 はこ ぶ機能 きのう を持 も つ種類 しゅるい で、酸素 さんそ を運 はこ ぶ赤血球 せっけっきゅう 中 ちゅう のヘモグロビンや血液 けつえき 中 ちゅう に存在 そんざい し脂質 ししつ を運 はこ ぶアルブミン 、コレステロール を運 はこ ぶアポリポタンパク質 しつ などが当 あ たる[ 15] 。
貯蔵 ちょぞう タンパク質 たんぱくしつ
栄養 えいよう の貯蔵 ちょぞう に関与 かんよ するタンパク質 たんぱくしつ であり、卵白 らんぱく 中 ちゅう のオボアルブミン や細胞 さいぼう 中 ちゅう で鉄 てつ イオンを貯蔵 ちょぞう するフェリチン やヘモシデリン などである[ 15] 。
収縮 しゅうしゅく タンパク質 たんぱくしつ
運動 うんどう に関与 かんよ するタンパク質 たんぱくしつ 。筋肉 きんにく を構成 こうせい する筋 すじ 原 げん 繊維 せんい のアクチン 、ミオシン など。細長 ほそなが いフィラメントを構成 こうせい し、互 たが いが滑 すべ りあう事 こと で筋肉 きんにく の収縮 しゅうしゅく や弛緩 しかん を起 お こす[ 13] 。
防御 ぼうぎょ タンパク質 たんぱくしつ
免疫 めんえき 機能 きのう に関与 かんよ する種類 しゅるい であり、抗体 こうたい とも言 い われる。B細胞 さいぼう によって作 つく られるグロブリン がこれに当 あ たる[ 15] 。
調節 ちょうせつ タンパク質 たんぱくしつ
DNAのエンハンサーと結合 けつごう して遺伝 いでん 発現 はつげん を調整 ちょうせい するタンパク質 たんぱくしつ や、細胞 さいぼう 内 ない でカルシウム を使 つか って他 た のたんぱく質 しつ の働 はたら きを調整 ちょうせい するカルモジュリン などが当 あ たる[ 15] 。
その他 た 、よく知 し られたタンパク質 たんぱくしつ に下村 しもむら 脩 おさむ が発見 はっけん した蛍光 けいこう に関 かか わる提灯 ちょうちん 形状 けいじょう のタンパク質 たんぱくしつ であるGFP [ 9] やRFP などがある。特定 とくてい 波長 はちょう 域 いき の励起 れいき 光 こう を受 う けると蛍光 けいこう を発 はっ する。一部 いちぶ の生物 せいぶつ (オワンクラゲ , スナギンチャク など)にみられる。
これらのタンパク質 たんぱくしつ が機能 きのう を発揮 はっき する上 じょう で最 もっと も重要 じゅうよう な過程 かてい に、特異 とくい 的 てき な会合 かいごう (結合 けつごう )がある。酵素 こうそ および抗体 こうたい はその基質 きしつ および抗原 こうげん を特異 とくい 的 てき に結合 けつごう することにより機能 きのう を発揮 はっき する。また構造 こうぞう 形成 けいせい 、運動 うんどう や情報 じょうほう のやりとりもタンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし 同士 どうし の特異 とくい 的 てき 会合 かいごう なしには考 かんが えられない。この特異 とくい 的 てき 会合 かいごう は、基本 きほん 的 てき には二 に 次 じ 〜四 よん 次 じ 構造 こうぞう の形成 けいせい と同様 どうよう の原理 げんり に基 もと づき、対象 たいしょう 分子 ぶんし との間 あいだ に複数 ふくすう の疎水 そすい 結合 けつごう 、水素 すいそ 結合 けつごう 、イオン結合 けつごう が作 つく られ安定 あんてい 化 か することで実現 じつげん される。
この節 ふし では、人 ひと の栄養 えいよう におけるタンパク質 たんぱくしつ の役割 やくわり 、健康 けんこう への効果 こうか 、注意 ちゅうい 点 てん などを解説 かいせつ する。[ 注釈 ちゅうしゃく 2]
タンパク質 たんぱくしつ を多 おお く含 ふく む食品 しょくひん (100g中 なか )[ 16]
品名 ひんめい
たんぱく質 しつ (g)
和牛 わぎゅう
-
リブロース生 せい (焼 や き)
9.7 (14.6)
ばら生 せい
12.8
もも生 せい (焼 や き)
20.2 (27.7)
輸入 ゆにゅう 牛肉 ぎゅうにく
-
リブロース生 せい (焼 や き)
20.1 (25)
ばら生 せい (焼 や き)
12.8 (15.9)
もも生 せい (焼 や き)
20 (28)
ビーフジャーキー
54.8
乳 ちち 類 るい
-
牛乳 ぎゅうにゅう
3.3
脱脂粉乳 だっしふんにゅう
34
プロセスチーズ
22.7
パルメザンチーズ
44
豚 ぶた
-
ロース生 せい (焼 や き)
19.3 (26.7)
ばら生 せい (焼 や き)
14.4 (19.6)
もも生 せい (焼 や き)
21.5 (30.2)
鶏 にわとり
-
むね生 せい (焼 や き)
21.3 (34.7)
もも生 せい (焼 や き)
16.6 (26.3)
ささ身 み (焼 や き)
23.0 (27.3)
卵 たまご
-
鶏卵 けいらん (ゆで)
12.3 (12.9)
卵黄 らんおう (ゆで)
16.5 (16.7)
卵白 らんぱく (ゆで)
10.5 (11.3)
乾燥 かんそう 全 ぜん 卵 たまご
49.1
魚類 ぎょるい
-
うるめいわし生 せい
21.3
うるめいわし煮干 にぼし し
64.5
クロマグロ赤身 あかみ 生 せい
26.4
さば生 せい (焼 や き)
20.6 (25.2)
まあじ生 せい (焼 や き)
19.7 (25.9)
そうだがつお生 せい
25.7
かつお節 ぶし
77.1
穀類 こくるい
-
だいず乾燥 かんそう (ゆで)
33.8 (14.8)
とうもろこし玄 げん 穀 こく
8.6
海藻 かいそう
-
あおのり 素干 すぼ し
29.4
あまのり 焼海苔 やきのり
41.4
昆虫 こんちゅう
-
いなご佃煮 つくだに
26.3
コオロギ[ 17]
-
コオロギ生 せい
20
コオロギパウダー
50 - 70
ヒトの体 からだ は15 - 20 % がタンパク質 たんぱくしつ であり[ 18] 、成人 せいじん の日本人 にっぽんじん のタンパク質 たんぱくしつ の推定 すいてい 平均 へいきん 必要 ひつよう 量 りょう (g/kg 体重 たいじゅう /日 にち )は、0. 72(g/kg 体重 たいじゅう /日 にち )であるとされている。これは、窒素 ちっそ 出納 すいとう 実験 じっけん により測定 そくてい された良質 りょうしつ たんぱく質 しつ の窒素 ちっそ 平衡 へいこう 維持 いじ 量 りょう をもとに、それを日常 にちじょう 食 しょく 混合 こんごう たんぱく質 しつ の消化 しょうか 率 りつ で補正 ほせい して推定 すいてい 平均 へいきん 必要 ひつよう 量 りょう を算定 さんてい している。
タンパク質 たんぱくしつ の推定 すいてい 平均 へいきん 必要 ひつよう 量 りょう (g/kg 体重 たいじゅう /日 にち )=0. 65(窒素 ちっそ 平衡 へいこう 維持 いじ 量 りょう )(g/kg 体重 たいじゅう /日 にち )÷ 0. 90(消化 しょうか 率 りつ )=0. 72(g/kg 体重 たいじゅう /日 にち )[ 19]
例 たと えば体重 たいじゅう 70kgの成人 せいじん の日本人 にっぽんじん ならタンパク質 たんぱくしつ の必要 ひつよう 量 りょう は、50g/日 にち となる。
2003年 ねん 、世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん (WHO) と国連 こくれん 食糧 しょくりょう 農業 のうぎょう 機関 きかん (FAO) は「食事 しょくじ 、栄養 えいよう と生活 せいかつ 習慣 しゅうかん 病 びょう の予防 よぼう [ 20] 」(Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases ) を報告 ほうこく している。
栄養 えいよう 摂取 せっしゅ 目標 もくひょう の範囲 はんい (抄 しょう )[ 20] (5.1.3 表 ひょう 6)
食物 しょくもつ 要素 ようそ
目標 もくひょう (総 そう エネルギーに対 たい する% )
たんぱく質 しつ
10-15 %
一 いち 日 にち のエネルギー必要 ひつよう 量 りょう は、男性 だんせい では2660 kcal、女性 じょせい では1995 kcal であり、タンパク質 たんぱくしつ のエネルギー量 りょう は4 kcal/gであり、仮 かり に15 %の値 ね を当 あ てはめると、以下 いか のとおりとなる。
男性 だんせい では、2660 kcal/日 にち x 0.15 / 4 kcal/g =100 g/日 にち
女性 じょせい では、1995 kcal/日 にち x 0.15 / 4 kcal/g =75 g/日 にち
ハーバード大学 だいがく の研究 けんきゅう によると、食事 しょくじ で十分 じゅうぶん なタンパク質 たんぱくしつ を摂取 せっしゅ することが、認知 にんち 機能 きのう を守 まも るために重要 じゅうよう である可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている。炭水化物 たんすいかぶつ を食 た べることに比 くら べて、タンパク質 たんぱくしつ を食 た べることは、人生 じんせい の後半 こうはん に認知 にんち 機能 きのう の低下 ていか を発症 はっしょう する可能 かのう 性 せい を低 ひく くすることと関連 かんれん している。炭水化物 たんすいかぶつ ではなく動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に由来 ゆらい するカロリーが5 % 増 ふ えるごとに、認知 にんち 症 しょう の発症 はっしょう リスクは11 %低 ひく くなった。また、炭水化物 たんすいかぶつ ではなく植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に由来 ゆらい するカロリーが5 %増 ふ えるごとに、認知 にんち 症 しょう の発症 はっしょう リスクは26 %低 ひく くなった[ 21] 。
2019年 ねん の日本人 にっぽんじん を対象 たいしょう とした大 だい 規模 きぼ コホート研究 けんきゅう において、植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ からの摂取 せっしゅ エネルギー量 りょう が多 おお い人 ひと ほど、全 ぜん 死亡 しぼう 率 りつ 、心 こころ 血管 けっかん 疾患 しっかん (CVD) 死亡 しぼう 、心 こころ 疾患 しっかん 死亡 しぼう 、脳 のう 血管 けっかん 疾患 しっかん 死亡 しぼう のリスクが低 ひく くなる傾向 けいこう がみられた。総 そう 摂取 せっしゅ エネルギー量 りょう の3 % 相当 そうとう の動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ を植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に置 お き換 か えた場合 ばあい 、動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ をすべて植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に置 お き換 か えた場合 ばあい より全 ぜん 死亡 しぼう リスク、癌 がん リスク、心 こころ 血管 けっかん 疾患 しっかん (CVD) 死亡 しぼう リスクが有意 ゆうい に低下 ていか した[ 22] [ 23] 。
2020年 ねん 7月 がつ 22日 にち にハーバード大学 だいがく とテヘラン大学 だいがく が発表 はっぴょう した研究 けんきゅう によると、より多 おお くの植物 しょくぶつ ベースのタンパク質 たんぱくしつ を食 た べることは寿命 じゅみょう を延 の ばすことができる。カロリー摂取 せっしゅ 量 りょう の3 %を動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ (肉 にく 、鶏肉 とりにく 、魚 さかな 、または乳製品 にゅうせいひん )から植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ (英語 えいご 版 ばん ) に置 お き換 か えることは、あらゆる原因 げんいん による死亡 しぼう の10 %減少 げんしょう に対応 たいおう した。特 とく に、卵 たまご と赤身 あかみ の肉 にく を植物 しょくぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に置 お き換 か えると、死亡 しぼう リスクが男性 だんせい で24 %、女性 じょせい で21 %も減少 げんしょう したという[ 24] [ 25] 。
2019年 ねん の日本人 にっぽんじん を対象 たいしょう とした大 だい 規模 きぼ コホート研究 けんきゅう において、総 そう 死亡 しぼう 率 りつ または原因 げんいん 別 べつ 死亡 しぼう 率 りつ の調査 ちょうさ を行 おこな った結果 けっか 、動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ の摂取 せっしゅ による、総 そう 死亡 しぼう 率 りつ または原因 げんいん 別 べつ 死亡 しぼう 率 りつ との明確 めいかく な関連 かんれん はみられないとの研究 けんきゅう 結果 けっか が報告 ほうこく されている[ 22] [ 23] 。また、赤身 あかみ 肉 にく を多 おお く食 た べる女性 じょせい の脳 のう 血管 けっかん 疾患 しっかん 死亡 しぼう リスクは低下 ていか が見 み られる。しかし、摂取 せっしゅ 基準 きじゅん 以上 いじょう に大量 たいりょう の赤 あか 肉 にく を食 た べる男性 だんせい は心 しん 疾患 しっかん 死亡 しぼう リスクの上昇 じょうしょう がみられるとの研究 けんきゅう 結果 けっか が出 で ている。白 しろ 肉 にく である鶏肉 とりにく はがんの死亡 しぼう リスク低下 ていか がみられるが、メカニズムは解明 かいめい されていない[ 26] [ 27] 。それでも、ほんの少 すこ し、食事 しょくじ を炭水化物 たんすいかぶつ から動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ に変 か えることは、脳 のう の健康 けんこう に有効 ゆうこう であり、少 すく なくとも砂糖 さとう や白米 はくまい などの精製 せいせい された穀物 こくもつ よりも動物 どうぶつ 性 せい タンパク質 たんぱくしつ の方 ほう が脳 のう や体 からだ の健康 けんこう に良 よ いということになる[ 21] [ 28] 。
タンパク質 たんぱくしつ の摂取 せっしゅ 量 りょう を増 ふ やすことは、筋肉 きんにく 量 りょう の増加 ぞうか や健康 けんこう 増進 ぞうしん のためにハーバード大学 だいがく 医学部 いがくぶ でも推奨 すいしょう されている。これにより、高齢 こうれい 者 しゃ は筋肉 きんにく 量 りょう を維持 いじ することができ、日常 にちじょう 生活 せいかつ の質 しつ を向上 こうじょう させ、転倒 てんとう などを防 ふせ ぐことができるのである[ 29] [ 30] 。
世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん の2007年 ねん の報告 ほうこく では、タンパク質 たんぱくしつ の過剰 かじょう な摂取 せっしゅ は腎臓 じんぞう 疾患 しっかん [ 31] や糖尿 とうにょう 病 びょう 性 せい 腎 じん 症 しょう を悪化 あっか させるとされている[ 32] 。とはいえ、ハーバード大学 だいがく 医学部 いがくぶ によれば、タンパク質 たんぱくしつ の摂取 せっしゅ 量 りょう はカロリーの25 %に達 たっ しても、健康 けんこう に有益 ゆうえき で過剰 かじょう ではないとされており、一般 いっぱん 的 てき な食事 しょくじ ではタンパク質 たんぱくしつ の過剰 かじょう 摂取 せっしゅ はほとんどあり得 え ないとされている[ 33] 。
炭水化物 たんすいかぶつ とタンパク質 たんぱくしつ の摂取 せっしゅ 量 りょう によって10段階 だんかい に分 わ けて分析 ぶんせき し、炭水化物 たんすいかぶつ の摂取 せっしゅ 量 りょう が1段階 だんかい 減 へ り、タンパク質 たんぱくしつ の摂取 せっしゅ 量 りょう が1段階 だんかい 増 ふ えるごとに、心筋梗塞 しんきんこうそく や脳卒中 のうそっちゅう の発症 はっしょう のリスクが4 %ずつ増 ふ え、低 てい 炭水化物 たんすいかぶつ ・高 こう タンパク質 たんぱくしつ のグループでは、そうでないグループに比 くら べて発症 はっしょう リスクが最大 さいだい 1.6倍 ばい 高 たか まったとの報告 ほうこく がある[ 34] 。
2002年 ねん のWHOの報告 ほうこく 書 しょ では、カルシウムの摂取 せっしゅ 量 りょう が多 おお い国 くに に骨折 こっせつ が多 おお いという「カルシウム・パラドックス 」の理由 りゆう として、タンパク質 たんぱくしつ によるカルシウム必要 ひつよう 量 りょう を増大 ぞうだい させる酸性 さんせい の負荷 ふか の影響 えいきょう があるのではないか、と推論 すいろん されている[ 35] 。
ハーバード大学 だいがく で、栄養 えいよう 学 がく を教 おし えているウォルター・ウィレット 教授 きょうじゅ は、タンパク質 たんぱくしつ を摂取 せっしゅ しすぎれば酸 さん を中和 ちゅうわ するために骨 ほね が使 つか われるので骨 ほね が弱 よわ くなる可能 かのう 性 せい がある、として注意 ちゅうい を促 うなが している[ 36] 。
65歳 さい 以上 いじょう の男性 だんせい に2g/kg体重 たいじゅう /日 にち 以上 いじょう のタンパク質 たんぱくしつ を摂取 せっしゅ させると、血 ち 中 ちゅう 尿素 にょうそ 窒素 ちっそ が10.7mmol/L以上 いじょう に上昇 じょうしょう し、高 こう 窒素 ちっそ 血 ち 症 しょう が発症 はっしょう することが報告 ほうこく されていること等 とう により、成人 せいじん においては年齢 ねんれい にかかわらず、タンパク質 たんぱくしつ 摂取 せっしゅ は2.0g/kg体重 たいじゅう /日 にち 未満 みまん に留 と めるのが適当 てきとう とされている[ 19] 。70kgの体重 たいじゅう のヒトならばタンパク質 たんぱくしつ 140g/日 にち に相当 そうとう し、摂取 せっしゅ 基準 きじゅん の1.5-2倍 ばい に相当 そうとう する。
タンパク質 たんぱくしつ の栄養素 えいようそ としての価値 かち は、それに含 ふく まれる必須 ひっす アミノ酸 あみのさん の構成 こうせい 比率 ひりつ によって優劣 ゆうれつ がある。これを評価 ひょうか する基準 きじゅん としては、動物 どうぶつ 実験 じっけん によって求 もと める生物 せいぶつ 価 か とタンパク質 たんぱくしつ 正味 しょうみ 利用 りよう 率 りつ 、化学 かがく 的 てき に、タンパク質 たんぱくしつ を構成 こうせい するアミノ酸 あみのさん の比率 ひりつ から算出 さんしゅつ するプロテインスコア 、ケミカルスコア 、アミノ酸 あみのさん スコア がある。
化学 かがく 的 てき に算定 さんてい する後 のち 三 さん 者 しゃ の方法 ほうほう は、算定 さんてい 方法 ほうほう に細 こま かな違 ちが いがあるが、最終 さいしゅう 的 てき には必須 ひっす アミノ酸 あみのさん 各々 おのおの について標 しるべ 品 ひん における含量と標準 ひょうじゅん とされる一覧 いちらん とを比較 ひかく し、その中 なか で最 もっと も不足 ふそく しているアミノ酸 あみのさん (これを第 だい 一 いち 制限 せいげん アミノ酸 あみのさん という)について、標準 ひょうじゅん との比率 ひりつ を百分率 ひゃくぶんりつ で示 しめ すもの。この際 さい 、数値 すうち のみだけでなく、必 かなら ず第 だい 一 いち 制限 せいげん アミノ酸 あみのさん の種類 しゅるい を付記 ふき することになっている。
生物 せいぶつ 価 か (BV) とは、吸収 きゅうしゅう されたタンパク質 たんぱくしつ の窒素 ちっそ 量 りょう に対 たい して,体 からだ に保持 ほじ された窒素 ちっそ 量 りょう の比 ひ を百分率 ひゃくぶんりつ で示 しめ した値 ね のこと。内因 ないいん 性 せい の糞尿 ふんにょう への排泄 はいせつ 量 りょう を補正 ほせい する。
生物 せいぶつ 価 か (BV) = 体内 たいない 保留 ほりゅう 窒素 ちっそ 量 りょう /吸収 きゅうしゅう 窒素 ちっそ 量 りょう ×100 (% )
という式 しき で表 あらわ される。
正味 しょうみ タンパク質 たんぱくしつ 利用 りよう 率 りつ (NPU)
編集 へんしゅう
正味 しょうみ タンパク質 たんぱくしつ 利用 りよう 率 りつ (NPU) とは、摂取 せっしゅ したタンパク質 たんぱくしつ (窒素 ちっそ )のどれだけの割合 わりあい が体内 たいない でタンパク質 たんぱくしつ (窒素 ちっそ )として保持 ほじ されたかを示 しめ した値 ね のこと。
正味 しょうみ タンパク質 たんぱくしつ 利用 りよう 率 りつ (NPU) = 体内 たいない 保留 ほりゅう 窒素 ちっそ /摂取 せっしゅ 窒素 ちっそ ×100 = 生物 せいぶつ 価 か ×消化 しょうか 吸収 きゅうしゅう 率 りつ (% )
という式 しき で表 あらわ される。
イエローストーン国立 こくりつ 公園 こうえん では、熱 ねつ 水 すい の中 なか で生育 せいいく する細菌 さいきん が発見 はっけん されている。このような高温 こうおん 環境 かんきょう で生 い きられる生物 せいぶつ のタンパク質 たんぱくしつ にはどのような特徴 とくちょう があるか、全貌 ぜんぼう は解明 かいめい されておらず、外見 がいけん 上 じょう も他 た のタンパク質 たんぱくしつ と差 さ は認 みと められない。分析 ぶんせき の結果 けっか 、熱 ねつ に弱 よわ いアミノ酸 あみのさん (アスパラギン・システイン・メチオニンなど)の含有 がんゆう 量 りょう が比較的 ひかくてき 少 すく なく、逆 ぎゃく にプロリンが多 おお く含 ふく まれていることが判明 はんめい した[ 37] 。
逆 ぎゃく に低温 ていおん で機能 きのう を失 うしな わないタンパク質 たんぱくしつ は不 ふ 凍 こお タンパク質 たんぱくしつ と呼 よ ばれ、魚類 ぎょるい から発見 はっけん され1969年 ねん に単 たん 離 はなれ に成功 せいこう した。このタンパク質 たんぱくしつ が低温 ていおん で活動 かつどう できるメカニズムは、氷 こおり 晶 あきら 核 かく が形成 けいせい されにくい構造 こうぞう を持 も つためと考 かんが えられる[ 37] 。
タンパク質 たんぱくしつ には、アミノ酸 あみのさん 配列 はいれつ のヌクレオチドだけで構成 こうせい される単純 たんじゅん タンパク質 たんぱくしつ と、その外側 そとがわ にアミノ酸 あみのさん 以外 いがい の装飾 そうしょく をもつ複 ふく 合 あい タンパク質 たんぱくしつ がある。複 ふく 合 あい タンパク質 たんぱくしつ が纏 まと う装飾 そうしょく には、主 おも に糖 とう とリン酸 さん がある[ 38] 。
タンパク質 たんぱくしつ が付随 ふずい させる糖 とう は単 たん 糖 とう からなる糖 とう 鎖 くさり であり、アミノ酸 あみのさん アスパラギンの残 ざん 基 もと に、N-アセチルグルコサミン とマンノース が繋 つな がったコア構造 こうぞう という土台 どだい の先 さき に、分岐 ぶんき も含 ふく め多様 たよう な構造 こうぞう をつくる。ただし、このようにタンパク質 たんぱくしつ に接続 せつぞく する単 たん 糖 とう の種類 しゅるい は9種 しゅ [ 39] しか見 み つかっていない。例 たと えば赤血球 せっけっきゅう の細胞 さいぼう 膜 まく をつくるタンパク質 たんぱくしつ に繋 つな がる糖 とう 鎖 くさり の種類 しゅるい が、ABO式 しき 血液 けつえき 型 がた を決定 けってい づけている[ 38] 。この糖 とう 鎖 くさり は、その種類 しゅるい ごとに異 こと なるレクチン という他 た のタンパク質 たんぱくしつ があり、この組 く み合 あ わせで情報 じょうほう 交換 こうかん を行 おこな う役割 やくわり を担 にな っている[ 38] 。
アミノ酸 あみのさん のトレオニンやチロシンなどが持 も つ水酸基 すいさんき 残 ざん 基 もと と結 むす びつくリン酸 さん は、アデノシン三 さん リン酸 さん (ATP) から供給 きょうきゅう され、リン酸 さん を放出 ほうしゅつ したATPはアデノシン二 に リン酸 さん になる。リン酸化 さんか はタンパク質 たんぱくしつ の働 はたら きを活性 かっせい 化 か したり、逆 ぎゃく に抑制 よくせい する働 はたら きを持 も つ。ひとつのタンパク質 たんぱくしつ の活性 かっせい 化 か は次 つぎ のタンパク質 たんぱくしつ のリン酸化 さんか を促 うなが し、これが連続 れんぞく することで多岐 たき にわたる情報 じょうほう 伝達 でんたつ が行 おこな われる。この様子 ようす は「リン酸化 さんか カスケード」と呼 よ ばれる[ 38] 。
タンパク質 たんぱくしつ の生体 せいたい 内 ない 分解 ぶんかい
編集 へんしゅう
生体 せいたい 内部 ないぶ のタンパク質 たんぱくしつ は必要 ひつよう な時 とき に作 つく られ、使 つか われ続 つづ けるうちに充分 じゅうぶん な機能 きのう を発揮 はっき できなくなる。分子 ぶんし シャペロン などによる修復 しゅうふく を受 う けるが、やがてタンパク質 たんぱくしつ も寿命 じゅみょう を迎 むか える。その期間 きかん は種類 しゅるい によって異 こと なり、数ヶ月 すうかげつ のものから数 すう 十 じゅう 秒 びょう しか持 も たないものもあり、それぞれ生体 せいたい 内部 ないぶ で分解 ぶんかい される[ 40] 。
その判断 はんだん が下 くだ されるメカニズムは明 あき らかになっていないが、タンパク質 たんぱくしつ の寿命 じゅみょう が近 ちか づくとリジン残 ざん 基 もと にユビキチン という非常 ひじょう に小 ちい さなタンパク質 たんぱくしつ が付着 ふちゃく する。1つだけでは特 とく に変化 へんか は起 お こらないが、次々 つぎつぎ に結合 けつごう して4個 こ 以上 いじょう のユビキチン鎖 くさり 状 じょう になると、タンパク質 たんぱくしつ はプロテアソーム と呼 よ ばれる筒 つつ 状 じょう 構造 こうぞう 体 たい の中 なか に導 みちび かれ、この中 なか でペプチドにまで分解 ぶんかい される。この一連 いちれん の反応 はんのう はユビキチン・プロテアソームシステム と呼 よ ばれる[ 40] 。
もうひとつの主要 しゅよう なタンパク質 たんぱくしつ 分解 ぶんかい 機構 きこう としてオートファジー があり、一 いち 度 ど に多 おお くのタンパク質 たんぱくしつ が分解 ぶんかい されるため、飢餓 きが 状態 じょうたい において重要 じゅうよう 度 ど の低 ひく いタンパク質 たんぱくしつ を分解 ぶんかい してアミノ酸 あみのさん を補充 ほじゅう する場合 ばあい などに機能 きのう する。
^ 東京大学 とうきょうだいがく の和田 わだ 昭 あきら 允 まこと 教授 きょうじゅ の命名 めいめい による。
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