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ヘブライじん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヘブライじん(ヘブライじん、ヘブライ:עברים、עבריים、ティベリアしき ʿIḇrîmʿIḇriyyîm 現代げんだいヘブライ ʿIvrimʿIvriyyim) とは、ヘブライ聖書せいしょ32せつなかで34かいしるされている用語ようご[1][2][3]ヘブルじん(ヘブルじん)[注釈ちゅうしゃく 1]やくされることもある。この用語ようご民族みんぞくめいではないとされるが[5][6][7]とくイスラエル王国おうこく時代じだい以前いぜんにおいてはまだ遊牧民ゆうぼくみんであったセムはなイスラエル民族みんぞく同義どうぎだとされる。ただし場合ばあいによっては、もっとひろ意味いみフェニキアじんあるいは青銅器せいどうき時代じだい終焉しゅうえん直前ちょくぜんにシャス(Shasu of Yhw)としてられたグループのようなほか古代こだい集団しゅうだんすこともある[8]

マ帝国まていこく時代じだいまでには、ギリシャの「ヘブライオス (Hebraios) 」が(それをヘブライ聖書せいしょが「ユダヤ国家こっかのいずれか」[9]しめすように)一般いっぱんてきユダヤじんすようになり、べつ時代じだいにはとくユダヤぞくしゅうらすユダヤじんすものになった。初期しょきキリスト教きりすときょうにおいて、ギリシャἙβραῖοςユダヤじんキリスト教徒きりすときょうとすもので、ユダヤじんキリスト教徒きりすときょうとおよびユダヤ教徒きょうととは対照たいしょうてきなものとして区別くべつされた(とく使徒しと言行げんこうろく 6:1)。Ἰουδαίαエルサレム神殿しんでん があったしゅうである。

アルメニアイタリア現代げんだいギリシャセルビアブルガリアロシアルーマニアいくつかの現代げんだい言語げんごにおいて、ユダヤじん対応たいおうする単語たんごには軽蔑けいべつてき意味合いみあいが関連かんれんしている。そのため、これらかく言語げんご使用しようされるおも単語たんごは「ヘブライじん」に対応たいおうするものである[10][11][12]。「ヘブライじん」の訳語やくごクルド でも使つかわれ、かつてはフランス語ふらんすごでも使つかわれていた。

ヘブライ復活ふっかつとヘブライじんによるイシューブ出現しゅつげんにより、この用語ようごはイスラエルで再興さいこうげている社会しゃかいのユダヤじん適用てきようされている。

語源ごげん

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「ヘブライじん(Hebrew)」というかたり明確めいかく由来ゆらい依然いぜんとして不明ふめいである[13]聖書せいしょ用語ようご「イブリー(עברי; ヘブライ発音はつおん[ʕivˈri])」は「横断おうだんする」「わたる」を意味いみするもので、一般いっぱんてき英語えいごHebrew古代こだいギリシアἙβραῖος およびラテン語らてんごHebraeusからあたえられたものとされている。 聖書せいしょ用語ようごイブリーには複数ふくすうがたとしてIvrimまたは Ibrimがある。

カナンひととシャスの指導しどうしゃ捕虜ほりょとしてえがいたラムセス3せい宮殿きゅうでんにあるタイル。 大半たいはん考古こうこ学者がくしゃはヘブライじん地元じもとのカナンじん難民なんみんなし、一部いちぶのシャスが丘陵きゅうりょう定住ていじゅうしたとかんがえている[14][15][16]

創世そうせいGenesis 10:21 は、ハムおよびヤペテあににしてノア最初さいしょ息子むすこであったセムを、エベル (聖書せいしょ)(ヘブライ:עבר)のすべての子孫しそん先祖せんぞ[17]として言及げんきゅうしており、これが類似るいじする意味いみ由来ゆらいとなる語源ごげん)の可能かのうせいがある。

イブリ(Ibri) は聖書せいしょじょう族長ぞくちょうエベルの子孫しそんで、シェラ息子むすこ、ノアのひまごにしてアブラハム祖先そせん[18]しめすもので、それゆえ場合ばあいによってはEberites英語えいごしたものだと主張しゅちょうする一部いちぶ研究けんきゅうしゃもいる[だれ?]

ハビル英語えいごばんのことをしるしている紀元前きげんぜん2千年紀せんねんき碑文ひぶん発見はっけんがあった19世紀せいき以降いこうおおくの学説がくせつがその碑文ひぶんとヘブライじんむすけている。「ヘブライじん」の名称めいしょうは、紀元前きげんぜん13世紀せいきおよび12世紀せいき古代こだいエジプト碑文ひぶんにてエジプト定住ていじゅうしたと記録きろくされているはん遊牧ゆうぼくてきなハビルの人々ひとびと関係かんけいがあると、一部いちぶ学者がくしゃ主張しゅちょうしている[19]べつ学者がくしゃたちはこれに反論はんろんし、ヘブライじんはもっとふるエジプトだい3ちゅうあいだ紀元前きげんぜん15世紀せいき)の文書ぶんしょでシャス(Shasu of Yhw)として言及げんきゅうされているとのせつしている[20]

イスラエル民族みんぞく同義語どうぎごとしての用法ようほう

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ドゥラ・エウロポスシナゴーグにある古代こだいヘブライじん描写びょうしゃ

ヘブライ聖書せいしょにおいて、「ヘブライじん」という用語ようご通常つうじょう、イスラエル民族みんぞく自身じしんのことを外国がいこくじんはなすときに使つかわれるか、または外国がいこくじんがイスラエル民族みんぞくについてはなとき使つかわれる[21]実際じっさいパーラーシャーのレフ=レハー(Lekh Lekha、「け!」または「れ!」文字通もじどおりだと「貴方あなたかんしてはきなさい」[22] )にあるトーラーは、アブラハムAvram Ha-Ivriんでおり、これは文字通もじどおり「アブラム、彼岸ひがんより(かわを)わたりしもの[22]やくされるGenesis 14:13

イスラエル民族みんぞくヤコブ子孫しそんイサク息子むすこ、アブラハムのまご定義ていぎされている。 ヤコブの祖先そせん(7世代せだいはなれた)であるエベル (聖書せいしょ)は、イスラエル民族みんぞくイシュマエルひとエドムじんモアブじんアモンじんミデヤンじんカハタンじんふくおおくの人々ひとびととお祖先そせんである。

ジューイッシュ・エンサイクロペディアによると、「ヘブライじん」と「イスラエル民族みんぞく」という用語ようご一般いっぱんてきおな人々ひとびとあらわし、のちカナンじん土地とちとイスラエルの土地とち領有りょうゆうする以前いぜんは「ヘブライじん」とばれていたとべている[23]。 Nadav Na'aman教授きょうじゅらは、イスラエル民族みんぞくすのに「ヘブライじん」という単語たんご使つかうことはまれで、使つかわれるときは「移民いみん奴隷どれいなどの例外れいがいてき不安定ふあんてい状況じょうきょうにあるイスラエルじんに」使つかわれるとべている[24][25]

ユダヤじん同義語どうぎごとしての用法ようほう

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モーセひだり)とアロンみぎ)が、ファラオわれながら、紅海こうかいわたってユダヤじんみちび様子ようす。 シリア、ドゥラ・エウロポスのシナゴーグにあるフレスコ西暦せいれき244-256ねん

ローマ時代じだいまでに、「ヘブライじん」はヘブライ使つかうユダヤじんすために使つかわれるようになった[26]ヘブライじんへの手紙てがみおそらくユダヤじんキリスト教徒きりすときょうとのためにかれたものとされる[27]

アルメニア、ギリシャ、イタリア、ルーマニア、およびおおくのスラブふくむいくつかの現代げんだい言語げんごでは「ヘブライじん」がユダヤじん標準ひょうじゅんてき民族みんぞくめいとしてのこっているが、両方りょうほう用語ようご存在そんざいするほかおおくの言語げんごにおいて現代げんだいユダヤじんを「ヘブライじん」とぶのは軽蔑けいべつてきなされている[よう出典しゅってん]。ユダヤじん文化ぶんか系譜けいふ特定とくてい左翼さよくまたはリベラル団体だんたいなかでは、「ヘブライじん」という単語たんごがユダヤじんわりとなる世俗せぞくてき用語ようごとして使用しようされている(たとえば、ベルナルド・アヴィシャイ(en)の『The Hebrew Republic』とか、左翼さよく希求ききゅうする「ヘブライじん-アラブ」共同きょうどう文化ぶんか共和きょうわこく[注釈ちゅうしゃく 2]など)。

シオニズムでの用法ようほう

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世俗せぞくてきシオニストあいだひろまった「ヘブライじん」という用語ようごは、19世紀せいき後半こうはんからはじまったものである。 この文脈ぶんみゃくにおける言葉ことばは、古典こてんてきなシオニズムにより探求たんきゅうされた、ユダヤじん強力きょうりょくで、独立どくりつした、自信じしんのある世俗せぞくてき国民こくみん集団しゅうだん(「しんユダヤじん」)へと変貌へんぼうするよう示唆しさするものだった。 「ヘブライじん」が「ユダヤじん」または「イスラエルじん」にえられたとき、いわゆるイスラエルこく創設そうせつにこの用法ようほう途絶とだえた[28]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく
  1. ^ いちれいとして、新約しんやく聖書せいしょ外典げてんに「ヘブルじん福音ふくいんしょ」とばれるものが存在そんざいする。[4]
  2. ^ いわゆるパレスチナ問題もんだい解決かいけつする手段しゅだんとして、両者りょうしゃ文化ぶんかけんひとつの共同きょうどう国家こっかになること目指めざしたもの。詳細しょうさい英語えいごばんen:One-state solution参照さんしょう
出典しゅってん
  1. ^ Genesis 1:1 (KJV)”. Blue Letter Bible. March 3, 2019閲覧えつらん
  2. ^ עִבְרִי - Hebrew - iv.ri - H5680 - Word search - ESV - STEP”. www.stepbible.org. March 3, 2019閲覧えつらん
  3. ^ Brown (1952ねん). “The NAS Old Testament Hebrew Lexicon”. Oxford University Press. September 6, 2014閲覧えつらん
  4. ^ ヘブルじん福音ふくいんしょとは」コトバンク、ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん解説かいせつより。
  5. ^ ヘブライじん」コトバンク、百科ひゃっか事典じてんマイペディアの解説かいせつより。セムけい遊牧民ゆうぼくみん集団しゅうだんで「種族しゅぞくをさすものではなく社会しゃかいそう」と想定そうていするせつ有力ゆうりょく
  6. ^ Eerdmans Dictionary of the Bible, p.567, "Hebrew, Hebrews... A non-ethnic term"
  7. ^ Collapse of the Bronze Age, p.266, quote: "Opinion has sharply swung away from the view that the Apiru were the earliest Israelites in part because Apiru was not an ethnic term nor were Apiru an ethnic group."
  8. ^ Index of /epsd”. psd.museum.upenn.edu. March 3, 2019閲覧えつらん
  9. ^ Genesis 1:1 (NKJV)”. Blue Letter Bible. March 3, 2019閲覧えつらん
  10. ^ Administrator. “Jewish Museum of Venice - homepage”. Museoebraico.it. August 17, 2012てんオリジナルよりアーカイブ。August 4, 2012閲覧えつらん
  11. ^ Jewish Ghetto of Venice”. Ghetto.it. August 4, 2012閲覧えつらん
  12. ^ translation of evreiesc in English | Romanian-English dictionary”. Translation.sensagent.com. August 4, 2012閲覧えつらん
  13. ^ "Hebrew". Encyclop?dia Britannica. Chicago. 2009.
  14. ^ Shasu or Habiru: Who Were the Early Israelites?”. The BAS Library (August 24, 2015). March 3, 2019閲覧えつらん
  15. ^ Israelites as Canaanites”. www.fsmitha.com. March 3, 2019閲覧えつらん
  16. ^ Inside, Outside: Where Did the Early Israelites Come From?”. The BAS Library (August 24, 2015). March 3, 2019閲覧えつらん
  17. ^ Bold Rain『口語こうごやく聖書せいしょ (Holy Bible, Colloquial Japanese Version)日本にっぽん聖書せいしょ協会きょうかい、2016ねん5がつ2にち、27ぺーじ
  18. ^ EBER - JewishEncyclopedia.com”. www.jewishencyclopedia.com. March 3, 2019閲覧えつらん
  19. ^ Hebrew - people”. Encyclopedia Britannica. March 3, 2019閲覧えつらん
  20. ^ Rainey, Anson (November 2008). “Shasu or Habiru. Who Were the Early Israelites?”. Biblical Archaeology Review (Biblical Archaeology Society) 34 (6 (Nov/Dec)). 
  21. ^ William David. Reyburn - Euan McG. Fry - A handbook on Genesis - New York - United Bible Societies - 1997
  22. ^ a b アブラハムの生涯しょうがいにおける『レフ・レハー』の意義いぎ」、空知太そらちぶと栄光えいこうキリスト教会きょうかい『ヘブル・ミドゥラーシュ例会れいかい No.12』2,7ぺーじ、2017ねん6がつ26にち
  23. ^ HEBREW - JewishEncyclopedia.com”. www.jewishencyclopedia.com. March 3, 2019閲覧えつらん
  24. ^ Carolyn Pressler (2009). “Wives and Daughters, Bond and Free: Views of Women in the Slave Laws of Exodus 21.2-11”. In Bernard M. Levinson; Victor H. Matthews; Tikva Frymer-Kensky. Gender and Law in the Hebrew Bible and the Ancient Near East. p. 152. ISBN 978-0567545008 
  25. ^ Carvalho, Corrine L. (2010). Encountering Ancient Voices: A Guide to Reading the Old Testament. Anselm Academic. p. 68. ISBN 978-1599820507 
  26. ^ Hebrews”. March 3, 2019閲覧えつらん
  27. ^ EPISTLE TO THE HEBREWS - Online Information article about EPISTLE TO THE HEBREWS”. encyclopedia.jrank.org. March 3, 2019閲覧えつらん
  28. ^ Shavit, Yaacov (1987). The New Hebrew Nation. Routledge. pp. xiv. ISBN 0-7146-3302-X. https://books.google.com/books?id=Ziok8FgWCpQC&lpg=PA68&dq=merlin%20kook%20hebrew&pg=PR14#v=onepage&q=%22last%20quarter%20of%22&f=false 
参考さんこう文献ぶんけん

外部がいぶリンク

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