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ペデスタル作戦さくせん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』

ペデスタル作戦さくせん[1]（ペデスタルさくせん、英語えいご：Operation Pedestal）は、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの地中海ちちゅうかい攻防こうぼう戦せん（英語えいご版ばん）において、1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）8月がつ中旬ちゅうじゅんに連合れんごう国軍こくぐんが地中海ちちゅうかいで実施じっしした増援ぞうえん輸送ゆそう作戦さくせん（英語えいご版ばん）。ジブラルタルからマルタ島とうへむかう連合れんごう国軍こくぐん輸送ゆそう船団せんだんと地中海ちちゅうかい艦隊かんたい（H部隊ぶたい）を、枢軸すうじく国軍こくぐんが邀撃ようげきした[2]。連合れんごう軍ぐんは大だい損害そんがいを受うけたがマルタへの補給ほきゅうに成功せいこうして作戦さくせん目標もくひょうを達成たっせいし、戦局せんきょくの転換てんかん点てんとなった[3]。イタリア側がわでは戦闘せんとうの発生はっせい時期じきから8月がつ中旬ちゅうじゅんの戦たたかい（イタリア語ご: Battaglia di mezzo agosto）と呼称こしょうするほか、マルタ島とうでは船団せんだんの中核ちゅうかくを成なした石油せきゆタンカーオハイオがサンタ・マリアの祝祭日しゅくさいじつ (8月がつ15日にち) に到着とうちゃくしたことからサンタ・マリア船団せんだん (マルタ語ご: Il-Konvoj ta' Santa Marija)と呼よばれている。

概要がいよう[編集へんしゅう]

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの地中海ちちゅうかい戦域せんいきでは[4]、マルタ島とうと北きたアフリカ戦線せんせんへの補給ほきゅうを巡めぐって連合れんごう国軍こくぐんと枢軸すうじく国軍こくぐんとの間あいだで幾度いくども海戦かいせんが繰くり広ひろげられた[5][6]。枢軸すうじく軍ぐんは基地きち航空こうくう隊たいの航空機こうくうきによる空襲くうしゅうと、Uボートによる襲撃しゅうげきで[7]、マルタを封鎖ふうさした[8]（マルタ攻囲こうい戦せん）[9]。 マルタを死守ししゅするイギリス軍ぐんは、航空こうくう母艦ぼかんによる空輸くうゆ作戦さくせん (Club Run) で戦闘せんとう機きを補充ほじゅうし[10]、制空権せいくうけんが枢軸すうじく側がわに握にぎられることを防ふせいだ[11][12]。だが燃料ねんりょう不足ふそくと物資ぶっし不足ふそくが深刻しんこくになり、イギリス海軍かいぐんは1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）6月がつに二ふたつの大だい規模きぼ輸送ゆそう作戦さくせんを実施じっしするが[13]、ヴィガラス作戦さくせんは完全かんぜんに失敗しっぱいし[14]、ハープーン作戦さくせんは限定げんてい的てきな量りょうしか補給ほきゅうできなかった[15]。そこで、8月がつに再ふたたびマルタへの大だい規模きぼ補給ほきゅう作戦さくせんを敢行かんこうした[16]。これがペデスタル作戦さくせんである[17]。作戦さくせん名めいのペデスタルは礎石そせきを意味いみする[18]。

貨物かもつ船せん13隻せきとタンカー1隻せきの合計ごうけい14隻せきからなる船団せんだんがイギリスからジブラルタルを経由けいゆして地中海ちちゅうかいを東進とうしんし、マルタへ向むかった[2]。船団せんだんには戦艦せんかんネルソン、ロドニー、空母くうぼヴィクトリアス、インドミタブル、イーグル以下いか多数たすうの艦艇かんていで構成こうせいされるH部隊ぶたいの所属しょぞく艦艇かんていが付随ふずいした。あわせて中東ちゅうとう方面ほうめんでの陽動ようどう出撃しゅつげきも計画けいかくされた。また、空母くうぼフューリアスによりスピットファイア戦闘せんとう機き部隊ぶたいを発進はっしんさせ[19]、マルタ島とうへ航空こうくう兵力へいりょくを増援ぞうえんするベローズ作戦さくせん (Operation Bellows) も同時どうじに実施じっしされた。

ジブラルタル経由けいゆの連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう計画けいかくはすぐさま枢軸すうじく国こく側がわの察知さっちするところとなり、ドイツ国防こくぼう軍ぐんとイタリア軍ぐんを中心ちゅうしんとした枢軸すうじく国こく軍ぐんとの間あいだで8月がつ11日にちより激戦げきせんが展開てんかいされた[20][21]。枢軸すうじく側がわは航空こうくう攻撃こうげき、潜水艦せんすいかん攻撃こうげき、魚雷ぎょらい艇てい攻撃こうげき、水上みずかみ艦隊かんたいの出撃しゅつげきで連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんの撃滅げきめつを試こころみる[22]。連合れんごう軍ぐん側がわの戦艦せんかんや空母くうぼを含ふくむ護衛ごえい艦かん艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかんサイフレット中将ちゅうじょう）はボン岬みさきで引ひき返かえしたので、弱体じゃくたい化かした連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだん（護衛ごえい部隊ぶたい指揮しき官かんバロー少将しょうしょう）は8月がつ12日にち以降いこうの夜戦やせんや航空こうくう戦せんで大だい損害そんがいを受うけた[23]。しかしイタリア王立おうりつ海軍かいぐんの水上すいじょう艦隊かんたいは枢軸すうじく軍ぐん空軍くうぐんの掩護えんごを受うけられないため反転はんてん退避たいひし[24]、連合れんごう軍ぐん潜水せんすい艦かんによって大だい損害そんがいを受うける[25]。さらにマルタを拠点きょてんとするスピットファイアの活躍かつやくでドイツ空軍くうぐんやイタリア王立おうりつ空軍くうぐんも連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんにとどめをさせなかった[26]。8月がつ13日にちから15日にちにかけて連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんはマルタに到着とうちゃくし、物資ぶっしと燃料ねんりょうを補給ほきゅうした[26]。

本ほん作戦さくせんの成功せいこうと連合れんごう軍ぐんの勝利しょうりにより、マルタは急速きゅうそくに立たち直なおった[27]。枢軸すうじく側がわの空挺くうてい部隊ぶたいによるマルタ攻略こうりゃく作戦さくせんも中止ちゅうしされていた[28]。北きたアフリカの枢軸すうじく国軍こくぐんに対たいする補給ほきゅう路ろは相変あいかわらず連合れんごう軍ぐんの妨害ぼうがいを受うけ続つづけ[29]、不安定ふあんていな補給ほきゅうと物資ぶっしおよび燃料ねんりょう不足ふそくは10月のエル・アラメインの戦たたかいにおけるロンメル軍団ぐんだん敗北はいぼくの一因いちいんとなる[30]。すなわちペデスタル作戦さくせんの阻止そし失敗しっぱいにより、枢軸すうじく側がわが地中海ちちゅうかい戦線せんせんと北きたアフリカ戦線せんせんで勝利しょうりする可能かのう性せいが潰ついえたと言いえる[3]。

背景はいけい[編集へんしゅう]

マルタ島とうは地中海ちちゅうかい中部ちゅうぶに浮うかぶイギリス領りょう（当時とうじ）であり、地中海ちちゅうかいの西端せいたんにジブラルタル、東ひがし端はしにアレクサンドリアおよびスエズ運河うんがを擁ようしていたイギリス海軍かいぐんにとって、地中海ちちゅうかい戦略せんりゃくの要ようともいうべき重要じゅうよう拠点きょてんであった[31]。1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）5月がつ末まつにクレタ島とうが陥落かんらくすると[32][33]、地中海ちちゅうかい戦域せんいきにおいてマルタ島とうの重要じゅうよう性せいはますます増ました[34]。

枢軸すうじく国こくにとっても、マルタは戦略せんりゃく上じょうの重大じゅうだいな脅威きょういであった[35]。マルタ島とうはイタリアと北きたアフリカとの間あいだにあり[36]、北きたアフリカ戦線せんせん（西部せいぶ砂漠さばく戦線せんせん）で戦たたかうエルヴィン・ロンメル将軍しょうぐん率ひきいるアフリカ軍団ぐんだんやイタリア王立おうりつ陸軍りくぐんへの補給ほきゅう線せんの中央ちゅうおうに位置いちしていた[6]。マルタ島とうを基地きちとする連合れんごう軍ぐんの航空機こうくうき[注釈ちゅうしゃく 1]、潜水せんすい艦かん部隊ぶたい[38][39]、小規模しょうきぼ水上すいじょう艦かん部隊ぶたいの活動かつどうにより、枢軸すうじく軍ぐんアフリカ部隊ぶたいの補給ほきゅうは深刻しんこくな影響えいきょうを受うけ始はじめていた[40][注釈ちゅうしゃく 2]。北きたアフリカの枢軸すうじく軍ぐんの補給ほきゅうは、地中海ちちゅうかいのシーレーンに全面ぜんめん的てきに依存いぞんしていたからである[44]。枢軸すうじく側がわの輸送ゆそう船団せんだんは、マルタを大おおきく迂回うかいして北きたアフリカに向むかわねばならなかった[45]。さらに大量たいりょうの物資ぶっしを揚陸ようりくできる港湾こうわんがトリポリとベンガジしかなく[46]、最前線さいぜんせんまで離はなれていたことも枢軸すうじく軍ぐんの補給ほきゅう状じょう況きょう悪化あっかに拍車はくしゃをかけた[47]。ロンメル将軍しょうぐんが砂漠さばくの狐きつねの異名いみょうをとろうと、地中海ちちゅうかいの制海権せいかいけんと安定あんてい的てきな補給ほきゅうがなければ、最終さいしゅう的てきな勝利しょうりに結むすびつかないのである[48]。

事態じたいを憂慮ゆうりょした枢軸すうじく側がわはマルタ島とうへの空襲くうしゅうを強化きょうかし[49][50]、またUボートによる作戦さくせんを実施じっしして、海上かいじょう封鎖ふうさを実施じっしした[51][注釈ちゅうしゃく 3]。 ドイツ空軍くうぐんはマルタ包囲ほういと地中海ちちゅうかいの制空権せいくうけん確保かくほのため、東部とうぶ戦線せんせんから第だい二に航空こうくう艦隊かんたい (Luftflotte 2) 隷下れいかの第だい二に航空こうくう軍団ぐんだん（司令しれい官かんブルーノ・レールツァー中将ちゅうじょう）を派遣はけんした[注釈ちゅうしゃく 4][注釈ちゅうしゃく 5]。 ドイツ軍ぐんが占領せんりょうしたクレタ島とうからも枢軸すうじく軍機ぐんきが出撃しゅつげきし、マルタの港湾こうわん施設しせつ・補給ほきゅう能力のうりょくを破壊はかいして連合れんごう軍ぐん艦艇かんてい（水上すいじょう艦隊かんたい、潜水せんすい艦隊かんたい）の居場所いばしょをなくした[58]。1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）5月がつ末まつまでにマルタ島とうは2470回かいの空襲くうしゅうを受うけ、1月がつ1日にちから7月がつ24日にちまでに24時じ間あいだ空襲くうしゅうがなかったのはわずか1日にちのみであった[59]。空襲くうしゅうによる島しまの被害ひがいは甚大じんだいであり、家屋かおく全壊ぜんかい1万まん戸こ、半壊はんかい2万まん戸このほか、1942年ねん1月がつから7月がつまでに死者ししゃ978人にん、重軽傷じゅうけいしょう者しゃ1298人にんを出だした[60]。さらに枢軸すうじく軍機ぐんきは、アレクサンドリアからマルタへ向むかう連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんを攻撃こうげきした[31]。これにより物資ぶっしの大だい部分ぶぶんを輸入ゆにゅうに頼たよっていたマルタ島とうは深刻しんこくな物資ぶっし不足ふそくに見舞みまわれる。食糧しょくりょうをはじめとする物資ぶっしはすべてが配給はいきゅう制せいとなり、残のこり少すくない物資ぶっしだけでは島しまが降伏ごうぶくせざるを得えなくなるのは時間じかんの問題もんだいと予測よそくされた[61]。連合れんごう国軍こくぐんは数次すうじにわたり補給ほきゅう船団せんだんを組織そしきするが、枢軸すうじく軍ぐんの封鎖ふうさ網もうや邀撃ようげき作戦さくせんによりアレクサンドリアからマルタを目指めざしたMG1船団せんだんは第だい二に次じシルテ湾わん海戦かいせんで撃退げきたいされ[11][62]、同おなじくアレクサンドリア発はつのヴィガラス作戦さくせんは完全かんぜんに失敗しっぱい[14][63]、ジブラルタルを出発しゅっぱつしたハープーン作戦さくせんは一部いちぶしかマルタ島とうに物資ぶっしを届とどけることはできなかった[64][65]。空襲くうしゅうと窮乏きゅうぼうに耐たえるマルタ島民とうみんの勇気ゆうきを讃たたえて、1942年ねん4月がつ15日にちにマルタ島とうへジョージ・クロス授与じゅよが発表はっぴょうされた (マルタへのジョージ・クロス授与じゅよ（英語えいご版ばん）) が、既すでに島しまではあらゆる物資ぶっしの不足ふそくが深刻しんこくな状況じょうきょうになっていた[66]。

マルタのイギリス空軍くうぐん (Royal Air Force) の戦闘せんとう機きは航空こうくう母艦ぼかんを用もちいたクラブラン (Club Run) で補給ほきゅうされており[67]、直近ちょっきんでは1942年ねん4月がつ下旬げじゅんのカレンダー作戦さくせんによりアメリカ海軍かいぐんの空母くうぼワスプ (USS Wasp, CV-7) がスピットファイア47機きを運はこんだ[11][注釈ちゅうしゃく 6]。ところが到着とうちゃく直後ちょくごに第だい二に航空こうくう軍団ぐんだんのBf 109戦闘せんとう機き (Messerschmitt Bf 109) に襲おそわれて大半たいはんが破壊はかいされ[11]、その後ごも絶たえ間まない空中くうちゅう戦せんや空襲くうしゅうで消耗しょうもうしてしまう[69]。つづいて5月がつ上旬じょうじゅんのバウリー作戦さくせんによって連合れんごう軍ぐん空母くうぼ2隻せき（ワスプ、イーグル）から発進はっしんしたスピットファイア約やく60機きが到着とうちゃくした[70][注釈ちゅうしゃく 7]。 同時どうじにアブディール級きゅう敷設ふせつ巡洋艦じゅんようかんのウェルシュマン (HMS Welshman，M84) がマルタに弾薬だんやくを届とどけ、ある程度ていどの戦力せんりょくを回復かいふくした[71]。さらにハープーン船団せんだんの部分ぶぶん的てきな補給ほきゅうにより小康しょうこうを得えたものの[72]、依然いぜんとしてマルタ島とうは物資ぶっし不足ふそくの状態じょうたいが続つづいた[73]。特とくに軍需ぐんじゅ及および生活せいかつ物資ぶっしとして必需ひつじゅ品ひんであった石油せきゆの不足ふそくは致命ちめい的てきであった。当時とうじのマルタ島とうは飲料いんりょう水すいを海水かいすい淡水たんすい化かによって得えており[注釈ちゅうしゃく 8]、淡水たんすい化か装置そうちの電力でんりょく源げんとなる石油せきゆなしでは、住民じゅうみん25万まん、守備しゅび隊たい1万まん8千せん、現地げんち兵へい8千せんの計けい27万まん6千せん人にんは餓死がし以前いぜんに干死ひじにする危険きけん性せいすらあった。マルタ島とうの全面ぜんめん降服こうふくは石油せきゆが無なくなるその日ひとみなされた。マルタ総督そうとく府ふの計算けいさんによる全面ぜんめん降伏ごうぶくのXデイは1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）8月がつ31日にちから9月がつ7日にちの間あいだであった[76]。

絶たえ間まない空襲くうしゅうと並行へいこうして[49]、枢軸すうじく国こくは空挺くうてい部隊ぶたい（降下こうか猟りょう兵へい）によるマルタ攻略こうりゃくを検討けんとうしていた[65][8]。このヘラクレス作戦さくせん（英語えいご版ばん、ドイツ語ご版ばん） (イタリア側がわ呼称こしょう“Operazione C3” ) は[77]、ロンメル将軍しょうぐんの反対はんたいと[78]、アドルフ・ヒトラー総統そうとうの躊躇ちゅうちょによって延期えんきされていた[79][80]。もし発動はつどうされれば、マルタの陥落かんらくは免まぬかれない[9]。マルタを占領せんりょうすれば、北きたアフリカへむかうイタリア軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんの安全あんぜん性せいを確保かくほできるし、ベンガジ港こうを拡張かくちょうして揚陸ようりく能力のうりょくを改善かいぜんする余裕よゆうも生うまれた筈はずである[81]。だがロンメル以下いかのアフリカ軍団ぐんだんが選択せんたくしたのは、アレクサンドリアへの大だい攻勢こうせいだった[82][注釈ちゅうしゃく 9]。 6月21日にち-22日にち[84]、アフリカ軍団ぐんだんがトブルクを攻せめ落おとす[85][注釈ちゅうしゃく 10]。さらに進撃しんげきを続つづけるアフリカ軍団ぐんだんだが、物資ぶっし不足ふそくとイギリス軍ぐんの反撃はんげきによりアレクサンドリア西方せいほうのエル・アラメインで停止ていしせざるを得えなくなった[87]。7月がつ下旬げじゅんには膠着こうちゃく状態じょうたいになった[88][注釈ちゅうしゃく 11]。

この時期じき、北極ほっきょく海かいではドイツ海軍かいぐんの巨きょ大戦たいせん艦かんティルピッツ (Tirpitz) 出撃しゅつげきに起因きいんするPQ17船団せんだんの大だい惨劇さんげきが発生はっせいする[90][91]。北極ほっきょく航路こうろを利用りようする援ソ船団せんだんは、白夜はくやの終おわりと大だい浮氷ふひょうが解とけるまで中止ちゅうしされていた[92]。太平洋たいへいよう戦線せんせんでは、6月がつ上旬じょうじゅんのミッドウェー海戦かいせんで日本にっぽん海軍かいぐんの南雲なぐも機動きどう部隊ぶたいが壊滅かいめつした[93]。 日本にっぽん海軍かいぐんはインド洋いんどように作戦さくせん重点じゅうてんを移うつそうとしたが[94]、8月がつ7日にちにはウォッチタワー作戦さくせん発動はつどうにともなうガダルカナル島とう攻防こうぼう戦せんが始はじまって[95]、日本にっぽん海軍かいぐんがインド洋いんどようで実施じっし予定よていだった通商つうしょう破壊はかい作戦さくせん（Ｂ作戦さくせん）も中止ちゅうしされていた[96][注釈ちゅうしゃく 12]。 戦力せんりょくに若干じゃっかんの余裕よゆうできたイギリス海軍かいぐんは本国ほんごく艦隊かんたいなどより戦力せんりょくを抽出ちゅうしゅつでき、ハープーン作戦さくせんやヴィガラス作戦さくせんに比くらべて強力きょうりょくな護衛ごえい艦艇かんていを揃そろえることができた[注釈ちゅうしゃく 13]。輸送ゆそう船せん6隻せきのうち2隻せきが辿たどり着ついて限定げんてい的てきな成功せいこうをおさめたハープーン作戦さくせんに鑑かんがみ[99]、ペデスタル作戦さくせんはジブラルタルを経由けいゆしてマルタを目指めざすことになり、ハープーン同様どうようにH部隊ぶたいが護衛ごえいを担当たんとうした[18]。すなわち、ペデスタル輸送ゆそう作戦さくせんの参加さんか艦艇かんていと護衛ごえい部隊ぶたいは、輸送ゆそう船せん14隻せき、戦艦せんかん2隻せき、制式せいしき空母くうぼ3隻せき（他たに輸送ゆそう任務にんむの空母くうぼ1隻せき）、巡洋艦じゅんようかん6隻せき、対空たいくう巡洋艦じゅんようかん1隻せき、駆逐くちく艦かん30隻せき以上いじょうであった[21]。

経過けいか[編集へんしゅう]

空母くうぼ「ヴィクトリアス」に続ぞく航こうする空母くうぼ「インドミタブル」と「イーグル」

地中海ちちゅうかいに入はいるまで[編集へんしゅう]

8月がつ2日にち（Xデイ1ヶ月かげつ前まえ）、連合れんごう軍ぐんの地中海ちちゅうかい兵站へいたん体制たいせいの切きり札ふだ的てき存在そんざいであった当時とうじ世界せかい最大さいだいの石油せきゆタンカーのオハイオ (SS Ohio) を含ふくむ14隻せきからなる船団せんだんWS21Sがマルタ島とうへむけイギリスを出発しゅっぱつした。Xデイ以前いぜんに到着とうちゃくしうる最後さいごの補給ほきゅう船団せんだんであり、この船団せんだんが失敗しっぱいした場合ばあいマルタ島とうが降服こうふくを余儀よぎなくされるのは自明じめいのことであった。また、7月がつ31日にちには軽けい空母くうぼアーガス (HMS Argus, I49) が駆逐くちく艦かんサーダニックスとバクストンに護衛ごえいされてクライド川がわを、空母くうぼヴィクトリアス (HMS Victorious，R38) が軽けい巡洋艦じゅんようかんシリアス (HMS Sirius，82) と駆逐くちく艦かんフォアサイト、フュリー、イントレピッド、イカルスに護衛ごえいされてスカパ・フローを出撃しゅつげきした。

8月がつ3日にち、英えい首相しゅしょうウィンストン・チャーチル卿きょうはモスクワに向むかう途中とちゅうでエジプトのカイロに立たち寄より、最前線さいぜんせんを視察しさつして人事じんじ異動いどうをおこなった[100]。同どう3日にち、ペデスタル船団せんだんに軽けい巡洋艦じゅんようかんナイジェリア (HMS Nigeria，60) 、ケニア (HMS Kenya，14) 、駆逐くちく艦かんアマゾン、ダーウェント、ゼットランド、マルコム、ヴェノマウス、ウールヴァリン、ウィッシャートが合流ごうりゅうした。同どう3日にち、スカパ・フローを戦艦せんかんネルソン (HMS Nelson, 28) 、ロドニー (HMS Rodney, 29) 、駆逐くちく艦かんアシャンティ、ターター、エスキモー、ソマリ、パスファインダー、クエンティンが出撃しゅつげきした。駆逐くちく艦かんペンは機関きかんに問題もんだいがあったため出撃しゅつげきが遅おくれ、4日にちに艦隊かんたいに加くわわった。

8月がつ5日にち、軽けい巡じゅんナイジェリアとケニアが分離ぶんりされ、同どう2隻せきは燃料ねんりょう補給ほきゅうのためジブラルタルへ向むかった。同日どうじつ、空母くうぼ2隻せき（ヴィクトリアス、アーガス）に、西にしアフリカのフリータウンから軽けい巡洋艦じゅんようかんフィービ (HMS Phoebe，43) 、駆逐くちく艦かん3隻せき（ラフォレイ、ライトニング、ルックアウト）に護衛ごえいされて出撃しゅつげきしてきた空母くうぼインドミタブル (HMS Indomitable，92) と、ジブラルタルから出撃しゅつげきしてきた空母くうぼイーグル (HMS Eagle) が合流ごうりゅうし、訓練くんれんのためのバーサーク作戦さくせん (Operation Berserk) が開始かいしされた。

マルタへの戦闘せんとう機き輸送ゆそうを行おこなう空母くうぼフューリアス (HMS Furious, 47) も4日にちにスピットファイアを載のせ、軽けい巡洋艦じゅんようかんマンチェスター (HMS Manchester，15) と、ポーランド海軍かいぐんの駆逐くちく艦かんブリスカヴィカ (Błyskawica) に護衛ごえいされて出撃しゅつげきした。8月がつ7日にちにフューリアスは空母くうぼ2隻せき（ヴィクトリアス、アーガス）と合流ごうりゅうした。

8月がつ8日にち、アーガスは搭載とうさいしていた804海軍かいぐん飛行ひこう隊たいが訓練くんれん不足ふそくであった為ために作戦さくせんへの参加さんかが見送みおくられ、イギリス本国ほんごくへ戻もどるよう指示しじを受うけた[101][102]。アーガスは駆逐くちく艦かんヴェノマウス、ウールヴァリン、アマゾン、マルコムを伴ともなって艦隊かんたいから離はなれ、ジブラルタルへ向むかった。8月がつ9日にち-10日とおか朝あさ、補給ほきゅう船団せんだんはジブラルタル海峡かいきょうを通過つうかし地中海ちちゅうかいに入はいった[22]。

連合れんごう軍ぐん大だい輸送ゆそう作戦さくせんを察知さっちした枢軸すうじく軍ぐんは、全力ぜんりょくで迎撃げいげき態勢たいせいを整ととのえた[21]。まずサルデーニャ島とうとシチリア島とうの航空機こうくうき基地きちに大だい航空こうくう部隊ぶたいと偵察ていさつ機きを集あつめた[16]。次つぎに合計ごうけい20隻せきにおよぶ潜水せんすい艦かんを敵てき輸送ゆそう船団せんだん針路しんろ上じょうに配置はいちし、チュニジアのボン岬みさき半島はんとう沖合おきあいにも高速こうそく魚雷ぎょらい艇てい部隊ぶたいを配備はいびする[103]。最後さいごにイタリア海軍かいぐんの巡洋艦じゅんようかんと駆逐くちく艦かんがシチリア海峡かいきょうで敵てき輸送ゆそう船団せんだんを阻止そしするという計画けいかくであった[103]。

地中海ちちゅうかいでの戦闘せんとう[編集へんしゅう]

8月がつ11日にち[編集へんしゅう]

撃沈げきちんされる空母くうぼイーグル。

ペデスタル船団せんだん支援しえん艦隊かんたいの指揮しきをとるのは、H部隊ぶたい指揮しき官かんのサイフレット中将ちゅうじょうであった[20]。イギリス海軍かいぐんは、枢軸すうじく国こく空軍くうぐんの空襲くうしゅうを最大さいだいの脅威きょういと認識にんしきし、枢軸すうじく軍ぐん潜水せんすい艦かんの攻撃こうげきを第だい二に、魚雷ぎょらい艇ていの攻撃こうげきを第だい三さんの脅威きょういと位置いちづけ、イタリア水上すいじょう艦隊かんたいの攻撃こうげきは第だい四よん位いであったという[20]。 ペデスタル船団せんだんは8月がつ11日にちの夜明よあけまでにタンカーのディングルデール (RFA Dingledale，A144）とブラウン・レンジャー (RFA Brown Ranger，A169) からの給油きゅうゆを完了かんりょうした。敵てきの監視かんし下かにあり、Uボートの脅威きょういがある海域かいいきでの3隻せきの巡洋艦じゅんようかんと26隻せきの駆逐くちく艦かんに対たいする給油きゅうゆは不安ふあんなものであった。失敗しっぱいは作戦さくせん全体ぜんたいに重大じゅうだいな支障ししょうをきたすおそれがあったからである。

この日ひの朝あさ早はやく、連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんはマヨルカ島とう南方なんぽうでユンカース Ju 88 (Junkers Ju 88) に触接しょくせつされた[104]。すぐに大おおきな一撃いちげきが加くわえられた[105]。サリナス岬みさきの南みなみ70海里かいり（北きたアフリカ大陸たいりくのアルジェ北方ほっぽう）でイギリス空母くうぼイーグルがドイツ潜水せんすい艦かんU73の攻撃こうげきを受うけ[106]、魚雷ぎょらい4本ほんが命中めいちゅうし、約やく8分ふんで沈没ちんぼつした[107]。連合れんごう軍ぐんの防空ぼうくう兵力へいりょくは、ヴィクトリアスの艦かん戦せん22機き（ハリケーン6機き、フルマー16機き）、インドミタブルの艦かん戦せん34機き（マートレット10機き、ハリケーン24機き）になった[108]。

11日にち夕刻ゆうこく[109]、サルデーニャ島とうを発進はっしんしたドイツ軍ぐんのJu88爆撃ばくげき機きとHe111 (Heinkel He 111) 雷撃らいげき機き、合計ごうけい30機き以上いじょうが連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんを襲撃しゅうげきしたが、対空たいくう砲火ほうかで撃退げきたいされた[108]。枢軸すうじく軍機ぐんきがペデスタル船団せんだんを攻撃こうげきしている隙すきに、マルタを発進はっしんしたボーファイター10機きとB-24爆撃ばくげき機き (Liberator) がサルデーニャの飛行場ひこうじょうを空襲くうしゅうした[110]。イタリア軍ぐんの雷撃らいげき機き5が破壊はかいされ、14機きが損傷そんしょうしたという[110]。

空襲くうしゅうを受うけるイギリス海軍かいぐんの艦隊かんたい。

一方いっぽう、空母くうぼフューリアスはベローズ作戦さくせんを成功裏せいこうりに完了かんりょうした。フューリアスからは37機きのスピットファイアがマルタへ向むけて発進はっしんする[注釈ちゅうしゃく 14]。フューリアスからマルタまでの飛行ひこう距離きょりは555海里かいりから584海里かいりであった。発進はっしんした戦闘せんとう機き部隊ぶたいは、無事ぶじマルタにたどり着ついた。作戦さくせんを終おえたフューリアスは護衛ごえいを伴ともなってジブラルタルへ戻もどっていった[注釈ちゅうしゃく 15]。

8月がつ12日にち[編集へんしゅう]

航空こうくう母艦ぼかんインドミタブルを護衛ごえいすべく対空たいくう射撃しゃげきする軽けい巡洋艦じゅんようかんカリヴディス。

イタリア海軍かいぐんは修理しゅうり中ちゅうという理由りゆうで新鋭しんえい戦艦せんかん（リットリオ、ヴィットリオ・ヴェネト）を出撃しゅつげきさせなかった[111]。高速こうそく戦艦せんかん3隻せき（アンドレア・ドーリア、カイオ・ドゥイリオ、ジュリオ・チェザーレ）も、練習れんしゅう艦かんにしたり、乗組のりくみ員いんを他た艦かんに転属てんぞくさせていたので、出撃しゅつげきさせなかった。この時期じきになるとイタリアの燃料ねんりょう事情じじょうが厳きびしくなり[112]、大型おおがた艦かんの行動こうどうに制約せいやくが生しょうじていたという[113]。

ペデスタル船団せんだん迎撃げいげきのためにイタリア本土ほんど各地かくちから出撃しゅつげきすることになったのは、アンジェロ・パロナ（英語えいご版ばん、イタリア語ご版ばん）中将ちゅうじょう（旗艦きかんゴリツィア）が率ひきいる重じゅう巡洋艦じゅんようかん3隻せき（ゴリツィア、ボルツァーノ、トリエステ）、アルベルト・ダ・ザラ（英語えいご版ばん、イタリア語ご版ばん）上級じょうきゅう少将しょうしょうが率ひきいる軽けい巡洋艦じゅんようかん3隻せき（エウジェニオ・ディ・サヴォイア、ライモンド・モンテクッコリ、ムツィオ・アッテンドーロ）および各かく戦隊せんたいと行動こうどうを共ともにする駆逐くちく艦かん部隊ぶたいであった。

夜よるが明あけるとドイツ空軍くうぐんの急降下きゅうこうか爆撃ばくげき機きが連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船団せんだんに襲おそい掛かかり、正午しょうごになると枢軸すうじく国こく空軍くうぐんの大だい規模きぼ空襲くうしゅうが実施じっしされた[108]。連合れんごう国軍こくぐんの空母くうぼ2隻せきから各種かくしゅの艦上かんじょう戦闘せんとう機き（マートレット、シーハリケーン、フルマー）が発進はっしんし、枢軸すうじく軍ぐん航空機こうくうきを迎撃げいげきした[20]。

味方みかたにより処分しょぶんされる駆逐くちく艦かんフォアサイト。

この日ひの19時じまでに枢軸すうじく国軍こくぐんによる4度どの激はげしい空襲くうしゅうがあった。この攻撃こうげきにより、商船しょうせん1隻せき（デューカリオン）が命中めいちゅう弾だんや至近しきん弾だんで損傷そんしょうし、駆逐くちく艦かんブラハム (HMS Bramham，L51) に護衛ごえいされて退避たいひ中ちゅうに、さらに雷撃らいげきを受うけて沈没ちんぼつした[114]。 イタリア軍ぐんの戦闘せんとう機きフィアット CR.42 (Fiat C.R.42 Falco) 、マッキ MC.202 フォルゴーレ (Macchi M.C.202 Folgore) 、戦闘せんとう爆撃ばくげき機きレッジアーネ Re.2001 (Reggiane Re.2001) 、攻撃こうげき機きサヴォイア・マルケッティ SM.84による特殊とくしゅ攻撃こうげきで空母くうぼヴィクトリアスの飛行ひこう甲板かんぱんが軽微けいびな被害ひがいをうけた[115]。

夕刻ゆうこくになると、枢軸すうじく軍ぐん攻撃こうげき隊たいにパンテッレリーア島とうやシチリア島とうから発進はっしんしたJu 87スツーカ（Junkers Ju 87，Stuka) が加くわわるようになった[116]。その中なかには、イタリア王立おうりつ空軍くうぐん第だい102連隊れんたい“ジュゼッペ・チェンニ”に所属しょぞくするスツーカも含ふくまれている[19]。一連いちれんの攻撃こうげきで、第だい3急降下きゅうこうか爆ばく撃げき航空こうくう団だん（英語えいご版ばん、ドイツ語ご版ばん）第だい1連隊れんたいのスツーカ 12機きは1機き喪失そうしつと引ひき換かえに英えい空母くうぼインドミタブルに直撃ちょくげき弾だん2発はつと至近しきん弾だん3発はつを浴あびせた[117]。インドミタブルは大破たいは[118]、発着はっちゃく能力のうりょくを失うしなって搭載とうさい機きをヴィクトリアスに移うつし[119]、駆逐くちく艦かん4隻せきの護衛ごえいを受うけてジブラルタルへ後退こうたいした。ほかにもサヴォイア・マルケッティ SM.84 (Savoia-Marchetti S.M.84) による雷撃らいげきで、駆逐くちく艦かんフォアサイト (HMS Foresight，H68) に魚雷ぎょらいが命中めいちゅうして大破たいはした[119]。駆逐くちく艦かんターター (HMS Tartar，F43) が到着とうちゃく、航行こうこう不能ふのうになったフォアサイトを曳航えいこうしようとしたが果はたせず、僚艦りょうかんを雷撃らいげき処分しょぶんした。 またロドニーも軽微けいびな被害ひがいを受うけた。

  • イタリア潜水艦から雷撃を受けた軽巡洋艦「ナイジェリア」
    イタリア潜水せんすい艦かんから雷撃らいげきを受うけた軽けい巡洋艦じゅんようかん「ナイジェリア」
  • イタリア潜水艦から雷撃を受けたタンカー「オハイオ」
    イタリア潜水せんすい艦かんから雷撃らいげきを受うけたタンカー「オハイオ」

日没にちぼつ後ご、主力しゅりょく護衛ごえい部隊ぶたい（ロドニー、ネルソン、ヴィクトリアス、巡洋艦じゅんようかん部隊ぶたい）はジブラルタルに引ひき返かえした[120][注釈ちゅうしゃく 16]。船団せんだんを襲おそう可能かのう性せいがあるイタリア水上すいじょう艦艇かんていに対たいする護衛ごえいの必要ひつよう性せいは理解りかいしつつも、多おおくの損傷そんしょう艦艇かんていを抱かかえ、さらに上空じょうくう援護えんごの艦上かんじょう戦闘せんとう機きが3分ぶんの1まで消耗しょうもうした状況じょうきょうで主力しゅりょく艦艇かんていを十分じゅうぶんな回避かいひ行動こうどうがとれない狭せま水面すいめんへ突入とつにゅうさせるのは無謀むぼうであるというサイフレット中将ちゅうじょうの判断はんだんであった[121]。ペデスタル船団せんだんの指揮しきは直衛なおえ護衛ごえい部隊ぶたいのハロルド・バロー少将しょうしょうが執とることになった。 弱体じゃくたい化かしたペデスタル船団せんだんに、イタリア軍ぐん潜水せんすい艦かんが襲おそいかかる[122]。イタリア潜水せんすい艦かんアクスム (Axum) が魚雷ぎょらい攻撃こうげきを敢行かんこうした。魚雷ぎょらい2本ほんが英えい軽けい巡洋艦じゅんようかんカイロに命中めいちゅうし、船団せんだんの防空ぼうくう戦闘せんとう指揮しき班はんが乗のっていた同艦どうかんが沈没ちんぼつした[123]。他ほかにも、バロー少将しょうしょうの旗艦きかんナイジェリア (HMS Nigeria, 60) と米べい油槽ゆそう艦かんオハイオに、それぞれ魚雷ぎょらい1本ほんが命中めいちゅうして損傷そんしょうする[122]。バロー少将しょうしょうは駆逐くちく艦かんアシャンティ (HMS Ashanti，F51) に将はた旗はたを移うつした[124]。 さらに、伊い潜水せんすい艦かんアラジ (Alagi) とディッジェ (Dessiè) [123]、ほかに伊い潜水せんすい艦かんブロンゾ (Bronzo) の攻撃こうげきで英えい軽けい巡洋艦じゅんようかんケニア (HMS Kenya, C14) と輸送ゆそう船せんブリスベン・スター (MV Brisbane Star) が損傷そんしょうした。潜水せんすい艦かんの攻撃こうげきと空襲くうしゅうが重かさなり、クラン・ファーガソン (Clan Ferguson) とエンパイア・ホープ (Empire Hope) が沈没ちんぼつした[122]。損傷そんしょうしたイギリス軽けい巡じゅんは数すう隻せきの駆逐くちく艦かんを伴ともなって後退こうたいした。

イタリア側がわも無傷むきずではいられず、英えい駆逐くちく艦かんイシュリアル (HMS Ithuriel，H05) とパスファインダー (HMS Pathfinder，G10) の攻撃こうげきで伊い潜水せんすい艦かんコバルト (Cobalto) が沈没ちんぼつした[114][125]。

8月がつ13日にち以降いこう[編集へんしゅう]

グランド・ハーバーに入はいるタンカー「オハイオ」

8月がつ13日にち未明みめい、ペデスタル船団せんだんはボン岬みさき半島はんとうに到達とうたつしていた[25]。 同どう13日にち、マルタ島とうに迫せまった連合れんごう国軍こくぐん補給ほきゅう船せん団だんに対たいして、シチリア島とうに拠点きょてんを構かまえるドイツ空軍くうぐんアルベルト・ケッセルリンク元帥げんすいは、イタリア水上すいじょう艦隊かんたいに掩護えんごの戦闘せんとう機きを派遣はけんしないことにした[24]。ドイツ空軍くうぐんとイタリア空軍くうぐんは、出動しゅつどうしたイタリア海軍かいぐんの能力のうりょくを軽視けいししていたので、あくまでも航空こうくう攻撃こうげきによる阻止そしに固執こしつしたのである[24]。ヒトラーの機嫌きげんを損そこねたくなかったベニート・ムッソリーニ首相しゅしょうは、枢軸すうじく軍ぐん空軍くうぐん（ドイツ空軍くうぐん、イタリア空軍くうぐん）の判断はんだんを是認ぜにんした[24]。さらにイギリス空軍くうぐんもイタリア水上すいじょう艦隊かんたいを発見はっけんし、ウェリントン爆ばく撃げき機きが触接しょくせつしながら照明しょうめい弾だん投下とうかや平文へいぶんによる偽にせの通信つうしんによってB-24の爆ばく撃げき隊たいが攻撃こうげきを画策かくさくしているように思おもわせる欺瞞ぎまん作戦さくせんを行おこなった[126][注釈ちゅうしゃく 17]。枢軸すうじく軍機ぐんき（ドイツ空軍くうぐん機き、イタリア空軍くうぐん機き）による直ちょく掩を期待きたいできないと判断はんだんしたイタリア海軍かいぐんの海軍かいぐん総そう司令しれい部ぶ（英語えいご版ばん）（Supermarina）は、巡洋艦じゅんようかん部隊ぶたいにシチリア島とうメッシーナに退避たいひするよう命めいじた[24]。しかし、退避たいひ中ちゅうに伊い重じゅう巡じゅんボルツァーノ (Bolzano) と伊い軽けい巡じゅんムツィオ・アッテンドーロ (Muzio Attendolo) は英えい潜水せんすい艦かんアンブロークン (HMS Unbroken) の攻撃こうげきにより大破たいはした[24][注釈ちゅうしゃく 18]。

一方いっぽう、チェニジア沖おきに達たっしたペデスタル船団せんだんを、枢軸すうじく国こく海軍かいぐんの魚雷ぎょらい艇ていSボート (Schnell-boot) [注釈ちゅうしゃく 19]やMAS (Motoscafo armato silurante) が待まち受うけていた[25]。この襲撃しゅうげきは大だい規模きぼで、効果こうか的てきだった[118]。魚雷ぎょらい艇ていの襲撃しゅうげきで英えい軽けい巡じゅんマンチェスターが沈没ちんぼつする[120]。輸送ゆそう船せん5隻せき（サンタ・エリザ、アルメリア・ライクス、ワイランギ、グレノーキー）が沈没ちんぼつし、ロチェスター・スキャル (MV Rochester Castle) が損傷そんしょうした[128]。

大だい爆発ばくはつを起おこし、炎上えんじょう沈没ちんぼつするワイマラマ

13日にち朝あさになると、枢軸すうじく軍ぐんのユンカース Ju 88 (Junkers Ju 88) の爆ばく撃げきでワイマラマ (SS Waimarama) が大だい爆発ばくはつを起おこして沈没ちんぼつした[129]。オハイオもイタリア空軍くうぐん第だい102連隊れんたいのスツーカ16機きに攻撃こうげきされる[130]。爆ばく撃げきと被弾ひだん機きの体当たいあたりにより深刻しんこくな損傷そんしょうを受うけ[117]、一時期いちじきは速度そくど4ノットまで落おちて船団せんだんから脱落だつらくした。ドーセット (Dorset) も被弾ひだんして落伍らくごし、夜よるになってJu-87に撃沈げきちんされた[131]。残存ざんそん補給ほきゅう船団せんだん（ポート・チャルマース、メルボルンスター、ロチェスター・キャッスル）は甚大じんだいな損害そんがいをこうむったものの、マルタ島とうから発進はっしんしたスピットファイアとボーファイターの掩護えんごを受うけながらマルタ島とうバレッタのグランド・ハーバーに到着とうちゃくした[132]。スピットファイアの行動こうどう圏内けんないでは、枢軸すうじく国こく空軍くうぐん機きも容易よういに攻撃こうげきできなかったのである[26]。入港にゅうこう時じにはマルタに駐留ちゅうりゅうしていたジョージ・バーリングがスピットファイアで祝賀しゅくが飛行ひこうを行おこなった。

特とくにマルタ島とうの生命せいめい線せんである多量たりょうの石油せきゆを搭載とうさいしたオハイオは熾烈しれつな戦闘せんとうを経験けいけんし、7発はつの直撃ちょくげき弾だんと20発はつの至近しきん弾だんを受うけ、二に度どにわたり総員そういん退去たいきょが発令はつれいされた。しかしその都度つど乗組のりくみ員いん達たちはオハイオに復帰ふっきし船せんを救すくう努力どりょくを続つづけた。そして駆逐くちく艦かん1隻せき（ペン）と護衛ごえい駆逐くちく艦かん2隻せき（レッドベリー、ブランハム）および掃海そうかい艇てい3隻せき（スピーディー、ヒービー、ヘイズ）と掃海そうかい艇ていライ (HMS Rye，J76) に曳航えいこう、護衛ごえいされ、15日にちにマルタ島とうに入港にゅうこうした[131]。オハイオは激はげしい浸水しんすいにより乾いぬい舷ふなばたを殆ほとんど失うしないこのため乗組のりくみ員いんが甲板かんぱんから素手すでのままバケツで砲身ほうしん冷却れいきゃく用ようの海水かいすいを汲くみ上あげることができたという話はなしが伝つたわっている[133]。なお、オハイオは機関きかん部ぶどころか竜骨りゅうこつまで破壊はかいされており、石油せきゆ汲くみ出だしのため貨油タンク内ないへ海水かいすいが注入ちゅうにゅうされたこともあって、作業さぎょう完了かんりょう直後ちょくごに港内こうないで着き底そこした[134][注釈ちゅうしゃく 20]。

遅おくれてマルタ港こうに入はいった輸送ゆそう船せんブリスベン・スター

輸送ゆそう船せんブリスベン・スターもドイツ空軍くうぐんの攻撃こうげきで損傷そんしょうしたため到着とうちゃくが遅おくれ、8月がつ14日にちに入港にゅうこうを果はたした。

その後ごの影響えいきょう[編集へんしゅう]

ペデスタル作戦さくせんの結果けっか、マルタ島とうに連合れんごう軍ぐん輸送ゆそう船せん4隻せきとタンカー1隻せきが到着とうちゃくした[118]。空母くうぼ1隻せき、巡洋艦じゅんようかん2隻せき、駆逐くちく艦かん1隻せき、輸送ゆそう船せん9隻せきを喪失そうしつしたが、マルタ島とうへの補給ほきゅうに成功せいこうし、島しまは降伏ごうぶくの危機ききから脱だっすることができた[3]。作戦さくせん成功せいこうの代償だいしょうとしては、十分じゅうぶん許容きょようできる損害そんがいであった[136]。サイフレット中将ちゅうじょうは報告ほうこく書しょで「（不屈ふくつの精神せいしんでマルタに向むかった）それらの船ふねと船長せんちょうと士官しかん並ならびに船員せんいんたちの行為こういと勇気ゆうきと決意けついに対たいし、最高さいこうの賞賛しょうさんが贈おくられることを希望きぼうする」との見解けんかいを述のべた[131]。

枢軸すうじく国こく空軍くうぐん（ドイツ空軍くうぐん、イタリア空軍くうぐん）とイタリア海軍かいぐんの連携れんけいの悪わるさは、イタリア水上すいじょう艦隊かんたいの行動こうどうを消極しょうきょく的てきにさせた[137]。8月13日にちにイタリア水上すいじょう艦隊かんたいがペデスタル船団せんだんに突入とつにゅうしていれば、決定的けっていてき勝利しょうりを得えたかもしれない[24]。だが味方みかた空軍くうぐんの掩護えんごを受うけられないために反転はんてんし、最後さいごの機会きかいを棒ぼうに振ふった[24]。枢軸すうじく国こくは潜水せんすい艦かん2隻せき（ダガブール、プラチナ）と39機きの航空機こうくうきを失うしなって、連合れんごう国こく軍船ぐんせん団だんのマルタ補給ほきゅう阻止そしに失敗しっぱいした。燃料ねんりょうと新あらたな戦闘せんとう機きが供給きょうきゅうされたマルタ島とうは防空ぼうくう能力のうりょくが強化きょうかされ、枢軸すうじく軍ぐんの航空こうくう攻撃こうげきによる攻略こうりゃくや屈服くっぷくは困難こんなんとなった[26]。また独どくソ戦せんの影響えいきょうで地中海ちちゅうかいへの補給ほきゅうも減少げんしょうし、枢軸すうじく側がわ空軍くうぐんの戦力せんりょくは衰おとろえてゆく[138]。さらにアメリカ陸軍りくぐんのB-17やB-24も、北きたアフリカや地中海ちちゅうかいでの作戦さくせんを開始かいしする[18]。枢軸すうじく国こく側がわの補給ほきゅう線せんが常つねに不安定ふあんていな状態じょうたいに陥おちいり、ロンメル将軍しょうぐんの作戦さくせん行動こうどうは大おおいに制約せいやくされた[29]。

イタリア軍ぐんは「イタリア海軍かいぐんの墓場はかば」と化かしつつあったトブルク輸送ゆそうを中止ちゅうしし、物資ぶっしをトリポリとベンガジに集あつめはじめた[139]。ロンメル軍団ぐんだんの補給ほきゅう状じょう況きょうは絶望ぜつぼう的てきになった[139]。最後さいごの望のぞみを託たくした9月の攻勢こうせいも撃退げきたいされ、イギリス軍ぐんが反撃はんげきに出でる[140]。枢軸すうじく側がわの補給ほきゅう不足ふそくと、充実じゅうじつした後方こうほう態勢たいせいをもつ連合れんごう国軍こくぐんとの差異さいは、10月の北きたアフリカ戦線せんせんにおける第だい二に次じエル･アラメイン会戦かいせん[141]の勝敗しょうはいを決けっする一因いちいんとなった[26]。すなわちペデスタル作戦さくせんの成功せいこうは、枢軸すうじく側がわが地中海ちちゅうかい戦線せんせんで勝利しょうりする可能かのう性せいを打うち消けしたのである[136]。

同年どうねん10月がつ以降いこうはスピットファイアの航続力こうぞくりょく延長えんちょうにより、ジブラルタルからマルタまで自力じりきで移動いどうすることができるようになった。空母くうぼを危険きけんに晒さらすクラブランも実施じっしされなくなった。11月のストーンエイジ作戦さくせんで、枢軸すうじく側がわのマルタ包囲ほうい網もうは完全かんぜんに崩壊ほうかいした。

参加さんか艦船かんせん[編集へんしゅう]

イギリス海軍かいぐん[編集へんしゅう]

輸送ゆそう本隊ほんたい

このほか中東ちゅうとう方面ほうめん（ハイファ、アレクサンドリア）からそれぞれ陽動ようどう作戦さくせんのための船団せんだんが出航しゅっこうした[142]。

イタリア海軍かいぐん[編集へんしゅう]

ペデスタル作戦さくせんを題材だいざいにした作品さくひん[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

注ちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 夜間やかん空襲くうしゅうをおこなうソードフィッシュ (Fairey Swordfish) やウェリントン (Vickers Wellington) 、昼間ひるま強襲きょうしゅうをおこなうブレンハイム (Bristol Blenheim) など[37]。
  2. ^ マルタを拠点きょてんに行動こうどうしていたK部隊ぶたい（Force K）、B部隊ぶたい（英語えいご版ばん）など[41]。1941年ねん11月9日にちにはデュースブルク船団せんだんが全滅ぜんめつし[42]、同年どうねん後半こうはんの船舶せんぱく損耗そんこう率りつは80%近ちかくにまで達たっした[43]。
  3. ^ 連合れんごう軍ぐんの輸送ゆそう船団せんだんだけでなく、主力しゅりょく艦かんも被害ひがいを受うけた[52]。ドイツ海軍かいぐんのU-81によって英えい空母くうぼアーク・ロイヤル (HMS Ark Royal，91) が[53]、U-331によって英えい戦艦せんかんバーラム (HMS Barham) が撃沈げきちんされている[54][55]。
  4. ^ 当時とうじはモスクワの戦たたかいの最中さいちゅうで、第だい二に航空こうくう軍団ぐんだんは独どくソ戦せんで消耗しょうもうしたあと再建さいけんされたばかりだった[56]。
  5. ^ 南方なんぽう軍ぐん航空こうくう部隊ぶたい司令しれい長官ちょうかん（第だい二に航空こうくう艦隊かんたい）アルベルト・ケッセルリンク空軍くうぐん元帥げんすいには、二に重じゅうの命令めいれいが与あたえられた[57]。(a)南部なんぶイタリアと北きたアフリカ間あいだの制空権せいくうけんと制海権せいかいけんを獲得かくとくし、マルタの制圧せいあつによってリビアおよびキレナイカ間あいだの安全あんぜんを確保かくほせよ。／(b)地中海ちちゅうかいにおける連合れんごう軍ぐんの交通こうつうを麻痺まひさせ、イギリスのトブルクおよびマルタ向むけの補給ほきゅうを停止ていしさせよ。
  6. ^ ワスプからスピットファイアV型がた48機きが発進はっしんし、47機きが進出しんしゅつした[68]。
  7. ^ 空母くうぼ2隻せきからスピットファイア64機きが発進はっしんし、4機きが事故じこ喪失そうしつ、1機きが空母くうぼに引返ひきかえし、59機きがマルタに進出しんしゅつした[12]。
  8. ^ マルタ島とうの年間ねんかん降水こうすい量りょうは約やく550mm程度ていどのため[74]、1881年ねん (明治めいじ14年ねん) には世界せかい初はつの商業しょうぎょう的てきな海水かいすい淡水たんすい化かが開始かいしされるなど人工じんこう的てきに生産せいさんされた真水まみずに依存いぞんしていた[75]。
  9. ^ マルタに空襲くうしゅうを敢行かんこうしていたドイツ空軍くうぐんも、ロンメル軍団ぐんだん支援しえんのため北きたアフリカに派遣はけんされている[83]。
  10. ^ トブルクの一いちヶ月かげつの物資ぶっし揚陸ようりく量りょうは20,000トンにすぎず、さらにイギリス軍ぐんの空襲くうしゅうで海上かいじょうからの補給ほきゅうは事実じじつ上じょう不可能ふかのうだった[86]。
  11. ^ 宇垣うがき纏まとい（当時とうじ、連合れんごう艦隊かんたい参謀さんぼう長ちょう）『戦せん藻も録ろく』（1942年ねん7月がつ11日にち記事きじ）[89]野村のむら武官ぶかん、阿部あべ武官ぶかん、それぞれ獨どく乙おつ及伊太利いたりあの企図きとを打電だでんし来くる。伊太利いたりあ、獨どく乙おつは勢いきおいに乗じょうじアレキサンドリヤを先さきにする事こととし、同時どうじにマルタ攻略こうりゃくを行くだりふと云うんふ。さるにても伊い国こくの重油じゅうゆ欠乏けつぼうは戦争せんそう中ちゅうに歎しき事ことなり。汽車きしゃ輸送ゆそうにて千せん五ご百ひゃく屯たむろを軍艦ぐんかんに分わけては一部いちぶ出動しゅつどう可能かのうと云うんふ。斯る事ことにては伊い海軍かいぐんの活動かつどう望のぞみ難かたし。(ドイツ事情じじょう略りゃく)　愈々いよいよ中近東ちゅうきんとうの戦せん勢ぜい有利ゆうりなるに於おいては我がも亦また西進せいしん之これに対応たいおうする所ところ無なかるべからず。伊いの切望せつぼうする西にし印度いんど洋ように対たいする敵勢てきせい減殺げんさい海上かいじょう交通こうつうを潜水せんすい艦かんならば可かなるも、水上みずかみ艦艇かんていを持もち行いくは多大ただいの冒険ぼうけんなり。矢や張はり正攻法せいこうほうの順序じゅんじょに依より錫すず蘭らん（セイロン）攻略こうりゃくが先決せんけつならずやと考かんがえふ。
  12. ^ B作戦さくせんは南西なんせい方面ほうめん艦隊かんたい隷下れいかの第だい一いち南みなみ遣や艦隊かんたい（司令しれい長官ちょうかん大だい川内かわうち傳七でんしち中将ちゅうじょう）旗艦きかん香椎かしいと、連合れんごう艦隊かんたいからの増援ぞうえん部隊ぶたいで実施じっし予定よていだった[97]。
  13. ^ キング・ジョージ5世せい級きゅう戦艦せんかんのうちキング・ジョージ5世せいは (HMS King George V) は1942年ねん5月がつ1日にちに味方みかた駆逐くちく艦かんと衝突しょうとつ事故じこを起おこし、修理しゅうり中ちゅうだった[98]。デューク・オブ・ヨーク (HMS Duke of York, 17) はティルピッツなどに備そなえており、アンソン (HMS Anson, 79) は6月がつ下旬げじゅんに竣工しゅんこうしたばかりで地中海ちちゅうかいに派遣はけんされなかった。
  14. ^ スピットファイア1機きが故障こしょうのために帰投きとうし、インドミタブルに収容しゅうようされた。
  15. ^ アルジェ沖おきで、フェーリアスを護衛ごえいしていた英えい駆逐くちく艦かんウールヴァリン (HMS Wolverine，D78) はイタリア潜水せんすい艦かんダガブール (Dagabur) を体当たいあたりで沈しずめた。このためウールヴァリンは艦かん首くびを大おおきく損傷そんしょうし、ジブラルタルで修理しゅうりした。
  16. ^ このあと航空こうくう偵察ていさつによりイタリア水上すいじょう艦隊かんたいの出撃しゅつげきが判明はんめいしたので、軽けい巡洋艦じゅんようかんカリブディス (HMS Charybdis, 88) と駆逐くちく艦かん2隻せきが再度さいど派遣はけんされた[24]。
  17. ^ 実際じっさいには、B-24部隊ぶたいは中近東ちゅうきんとうからの集結しゅうけつが間まに合あわず作戦さくせん行動こうどうはとれない状態じょうたいだった[127]。
  18. ^ 他たに英えい潜水せんすい艦かんサファリ（英語えいご版ばん） (HMS Safari) も行動こうどうしていた。
  19. ^ 連合れんごう軍ぐん側がわはドイツ側がわの魚雷ぎょらい艇ていをEボートと呼称こしょうしていた。
  20. ^ オハイオは第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ後ごに浮揚ふようされ、港外こうがいに再さい海うみ没ぼつ処分しょぶんとなった[135]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ 福田ふくだ誠まこと、光栄こうえい出版しゅっぱん部ぶ　編集へんしゅう『第だい二に次じ大戦たいせん海戦かいせん事典じてん　W.W.II SEA BATTLE FILE 1939～45』、光栄こうえい、1998年ねん、ISBN 4-87719-606-4、280ページ
  2. ^ a b 三野みの、地中海ちちゅうかいの戦たたかい 1993, pp. 161a-167ペデスタル作戦さくせん
  3. ^ a b c 三野みの、地中海ちちゅうかいの戦たたかい 1993, pp. 167a-172生いき返かえったマルタ、そしてトーチ作戦さくせん
  4. ^ スミス、Stuka 1974, pp. 154–155地中海ちちゅうかい戦線せんせん三みっつの局面きょくめん
  5. ^ 海戦かいせん、連合れんごう軍ぐん対たいヒトラー 1971, pp. 150–151.
  6. ^ a b 三野みの、地中海ちちゅうかいの戦たたかい 1993, pp. 117–120北きたアフリカの戦たたかいとマルタの重要じゅうよう性せい
  7. ^ 三野みの、地中海ちちゅうかいの戦たたかい 1993, pp. 125–129思おもわぬ敵てき ― ドイツUボート
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参考さんこう書籍しょせき[編集へんしゅう]

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  • マーチン・ファン・クレフェルト、佐藤さとう佐たすく三郎さぶろう 訳やく「第だい六ろく章しょう　ロンメルは名将めいしょうだったか」『補給ほきゅう戦せん　何なにが勝敗しょうはいを決定けっていするのか』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公ちゅうこう文庫ぶんこ〉、2006年ねん5月がつ。ISBN 4-12-204690-4。 
  • ピーター・スミス 著ちょ、野田のだ昌宏まさひろ 訳やく「9　北きたアフリカ戦線せんせんの攻防こうぼう」『ユンカース急降下きゅうこうか爆撃ばくげき機き　STUKA AT WAR　ドイツ空軍くうぐんの電撃でんげき兵器へいき』サンケイ新聞しんぶん社しゃ出版しゅっぱん局きょく〈第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんブックス59〉、1974年ねん6月がつ。 
  • 福田ふくだ誠まこと『第だい二に次じ大戦たいせん 海戦かいせん事典じてん1939～45』光栄こうえい、1998年ねん。 
  • レオンス・ペイヤール 著ちょ、長塚ながつか隆二りゅうじ 訳やく「太平洋戦争たいへいようせんそう ― 日本にっぽんの憩いこい潮しお　一いち九きゅう四よん二に年ねん三さん月がつ～一いち九きゅう四よん三さん年ねん六ろく月がつ」『潜水艦せんすいかん戦争せんそう　1939-1945』早川書房はやかわしょぼう、1973年ねん12月。 
  • ジョン・ベダー 著ちょ、山本やまもと親雄ちかお 訳やく『スピットファイア　Spitfire　英国えいこくを救すくった戦闘せんとう機き』サンケイ新聞しんぶん社しゃ出版しゅっぱん局きょく〈第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんブックス16〉、1971年ねん8月がつ。 
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  • ケネス・J・マクセイ 著ちょ、加登かと川がわ幸太郎こうたろう 訳やく『ロンメル戦車せんしゃ軍団ぐんだん　独どく英えい、砂漠さばくの対決たいけつ』株式会社かぶしきがいしゃサンケイ出版しゅっぱん〈第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん文庫ぶんこ3〉、1984年ねん12月。ISBN 4-383-02355-X。 
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外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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