発泡はっぽうスチロール

発泡はっぽうスチロール (EPS) 製せいの梱包こんぽう材ざい

ポリスチレンの化学かがく構造こうぞう

発泡はっぽうスチロール（はっぽうスチロール、foamed styrol）は、合成ごうせい樹脂じゅし素材そざいの一種いっしゅで、気泡きほうを含ふくませたポリスチレン(PS)である。発泡はっぽうプラスチックの一種いっしゅ。なお、スチロールとはスチレンの別名べつめいである。 また、発泡はっぽうスチロールの98パーセントは空気くうきである。

別称べっしょうとしては発泡はっぽうポリスチレン (foamed polystyrene)、発泡はっぽうスチレン (foamed styrene)、ポリスチレンフォーム (polystyrene foam)、スチレンフォーム (styrene foam)、スタイロフォーム (styrofoam) がある。「スタイロフォーム」は米べいダウ・ケミカル社しゃ製せい押出おしだしポリスチレン (XPS)の商標しょうひょう名めいだが、アメリカ、カナダでは発泡はっぽうスチロール全般ぜんぱんを指さす言葉ことば（商標しょうひょうの普通ふつう名称めいしょう化か）になってしまっている。

概要がいよう

ポリスチレンを微細びさいな泡あわで発泡はっぽうさせて硬化こうかさせた素材そざいである。軽量けいりょうかつ断熱だんねつ性せいに優すぐれ、成型せいけいや切削せっさくが極きわめて容易よういなうえ、安価あんかで弾力だんりょく性せいがあり衝撃しょうげき吸収きゅうしゅう性せいにも優すぐれるので、破損はそんしやすい物品ぶっぴんの緩衝かんしょう・梱包こんぽう材ざい（→包装ほうそう・緩衝かんしょう材ざい）として用もちいられる他ほか、断熱だんねつ性せいを利用りようして保温ほおん・保冷ほれいが必要ひつような物ものの断熱だんねつに用もちいられる。

ポリスチレンは炭化たんか水素すいそなので、燃もやすと水みずと二酸化炭素にさんかたんそになる。しかし常温じょうおん・大気たいき中なかで燃焼ねんしょうさせると、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうを起おこし大量たいりょうの煤すすを発生はっせいさせやすいため注意ちゅういがいる。

種類しゅるい

製法せいほうが3種類しゅるいあり、化学かがく的てきにはほぼ同おなじだが形状けいじょうや気泡きほうの特性とくせいが違ちがうため、用途ようとも異ことなる。

• ビーズ法ほう発泡はっぽうスチロール (expanded polystyrene、EPS)
• 発泡はっぽうポリスチレンシート (polystyrene paper、PSP)
• 押出おしだし発泡はっぽうポリスチレン (extruded polystyrene、XPS)

EPSが最初さいしょに開発かいはつされたこともあって最もっとも広ひろい用途ようとで利用りようされているため、EPSを特とくに「狭義きょうぎの発泡はっぽうスチロール」という場合ばあいがあり、それ以外いがいのPSPやXPSを含ふくめ「広義こうぎの発泡はっぽうスチロール」とも表現ひょうげんする。ただしこれらは製法せいほうが異ことなるだけで、いずれも「発泡はっぽうさせたポリスチレン」である。

ただ性能せいのうを追加ついかするために加くわえられた添加てんか剤ざいにより一緒いっしょにリサイクルできない場合ばあいもあれば、見みた目めは似にているが別べつの合成ごうせい樹脂じゅしを発泡はっぽうさせた素材そざいの発泡はっぽうポリプロピレンもあるため、リサイクル上うえの区分くぶんには注意ちゅういが必要ひつようである（後述こうじゅつ）。

性質せいしつ

• 発泡はっぽうによる特性とくせい
  • 断熱だんねつ性せいが高たかい（断熱だんねつ材ざいとしての利用りよう）
  • 軽量けいりょう
  • 耐たい衝撃しょうげき性せいが高たかい（ただし、質量しつりょう比ひでの比較ひかく）
  • 加工かこうが容易ようい
  • 白色はくしょく（厳密げんみつには無色むしょく透明とうめいであるが、多孔たこう質しつという特性とくせい上光かみみつが乱反射らんはんしゃして白しろく見みえている。例たとえるなら、透明とうめいなガラスが割われると白しろく見みえるのと同様どうようである。また、顔料がんりょうを素材そざいに混まぜ込こむことで着色ちゃくしょくは可能かのう）
• ポリスチレンとしての性質せいしつ
  • 耐たい熱性ねっせいは低ひくく、約やく90℃で溶解ようかいする。
  • 非常ひじょうに燃もえやすい。難なん燃もえ剤ざいの添加てんかによりある程度ていど改良かいりょう可能かのうだが、しばしば火災かさい時じに問題もんだい
  • 耐たい水性すいせいが高たかい
  • テルペン油あぶら(テレビン油てれびんゆ)・アマニ油ゆ・エゴマ油ゆ・シソ油ゆ・ヤシ油ゆなど一部いちぶの食用しょくよう油ゆや、柑橘類かんきつるいに含ふくまれるリモネン、ベンジン・シンナーなどの有機ゆうき溶媒ようばいに溶とける。
  • アルコール飲料いんりょうと長期間ちょうきかん接せっすると味あじを変質へんしつさせることがある。
  • 有機ゆうき溶剤ようざいに接触せっしょくすると、広範囲こうはんいに溶解ようかいする。

耐たい熱性ねっせいの低ひくさは逆ぎゃくに加工かこう性せいを高たかめており、電熱でんねつ線せんに乾電池かんでんちからの電流でんりゅうを流ながして発生はっせいさせた熱ねつ（ジュール熱ねつ）を使つかって小ちいさな力ちからで切断せつだんする器具きぐもあり、様々さまざまな手芸しゅげい用よう・または短期間たんきかん展示てんじされる彫刻ちょうこく（宣伝せんでん用ようPOPなど）の材料ざいりょうとしても利用りようされる。

接着せっちゃくに関かんしては熱ねつによる接着せっちゃくもできるが、有機ゆうき溶剤ようざいを含ふくむ接着せっちゃく剤ざいでは簡単かんたんに溶とけ、また体積たいせきの大だい部分ぶぶんが気体きたいである事ことから侵食しんしょくされたようになってしまうため、有機ゆうき溶剤ようざいを利用りようした接着せっちゃく剤ざいの使用しようは向むかない。同様どうようの理由りゆうによりマジックインキなどの油性ゆせい塗料とりょうでの塗装とそうもできない。有機ゆうき溶剤ようざいを含ふくまない専せん用ようの接着せっちゃく剤ざいか、広ひろい面積めんせき同士どうしでは木工もっこう用ようなどの有機ゆうき溶剤ようざいを使つかっていない粘着ねんちゃく性せいの接着せっちゃく剤ざいが利用りようされる。

多孔たこう質しつで木材もくざいに性質せいしつがよく似にている（ただし浸透しんとう性せいはない）ので、水溶すいよう性せいの塗料とりょうも一定いっていの粘ねば度たびさえあれば比較的ひかくてき顔料がんりょうが乗のりやすいため塗装とそうに使つかえる。塗装とそうの際さいには表面ひょうめんを紙かみやすりなどで荒あらし、塗料とりょうの密着みっちゃく性せいを上あげることも行おこなわれる。1980年代ねんだい以降いこうに普及ふきゅうした水溶すいよう性せい樹脂じゅし塗料とりょうなどは馴染なじみがよい。なおシロアリの食害しょくがいを受うけやすく、木材もくざいより食たべられやすい。

完全かんぜんには光ひかりを遮さえぎれないため、遮光しゃこう性せいを要求ようきゅうする場合ばあいは着色ちゃくしょく剤ざいなどを追加ついかする必要ひつようがある。

発泡はっぽうスチロールの気泡きほうは内部ないぶに密閉みっぺいされており、グラスウールに代表だいひょうされる多孔たこう質しつ物質ぶっしつで見みられる空気くうきの粘性ねんせいによる吸音効果こうかは全まったく期待きたいできない｡

EPS

EPSの小片しょうへん。融合ゆうごうしたビーズが確認かくにんできる。

EPSの顕微鏡けんびきょう写真しゃしん

EPS製せい保冷ほれい容器ようき

最もっとも古ふるくからある発泡はっぽうスチロール素材そざいであり、また様々さまざまな用途ようとに利用りようされ、一般いっぱんでも良よく見みかけられる素材そざいである。割わると小ちいさな粒つぶが集あつまって固かたまったように見みえるが、これらはその各々おのおのが「ビーズ」と呼よばれる小ちいさなポリスチレンの粒つぶを発泡はっぽうさせたものである。

製法せいほう

ビーズ法ほう発泡はっぽうスチロール (EPS) は、ポリスチレンを、主おもにブタン・ペンタンなどの炭化たんか水素すいそガスで発泡はっぽうさせて製造せいぞうされる。具体ぐたい的てきには、直径ちょっけい1mm程度ていどの細ほそ粒状りゅうじょうポリスチレンであるポリスチレンビーズに炭化たんか水素すいそガスを吸収きゅうしゅうさせ、これに100℃以上いじょうの高温こうおん蒸気じょうきを当あてて樹脂じゅしを軟化なんかさせると共ともに圧力あつりょくを加くわえて発泡はっぽうさせる。発泡はっぽうしたビーズ同士どうしは融とおる着ちゃくし合あい、冷却れいきゃく時じに様々さまざまな形状けいじょうとなって発泡はっぽうスチロールとなる。

歴史れきし

1950年ねんにドイツで発明はつめいされ、日本にっぽんでは1959年ねんより生産せいさんが始はじまった。

加工かこう

ポリスチレンは耐たい熱ねつ温度おんどが約やく80～90℃なので、それ以上いじょう加熱かねつすると軟化なんか・融解ゆうかいする。ほとんどのEPSは、発泡はっぽう時じに金かね型がた内うちで加熱かねつ成型せいけいされ、最終さいしゅう製品せいひんか、汎用はんようの板材いたざいなどに加工かこうされる。

軟やわらかく、熱ねつで容易よういに融とけるため、汎用はんようの製品せいひんは刃物はものや電熱でんねつ線せんで切削せっさくして、任意にんいの形かたちに加工かこうされる。先端せんたんに電熱でんねつ線せんを張はった発泡はっぽうスチロール加工かこう専用せんようのカッターも市販しはんされている。

ビーズを発泡はっぽうさせただけで、成型せいけい・切削せっさくをまったくしない製品せいひんもあり、それもポリスチレンビーズと呼よぶ。

利用りよう

断熱だんねつ性せい・耐たい水性すいせいに優すぐれ軽量けいりょうなので、魚介ぎょかい類るい（後のちに一部いちぶの農産物のうさんぶつも）の輸送ゆそうにこれで製造せいぞうされた箱はこ（トロ箱ばこ）が利用りようされたほか、軽量けいりょうで衝撃しょうげき吸収きゅうしゅう性せいに優すぐれるため、精密せいみつ機械きかい等とうの梱包こんぽう材ざいとして普及ふきゅうした。日本にっぽんでは年間ねんかん20万まんトン近ちかくが生産せいさんされ、その過半数かはんすう～6割わりが容器ようきとして利用りようされ、3割わりが緩衝かんしょう材ざいとして、残のこりが建材けんざいや海うみなどに於おけるフロート（ブイや生簀いけすの浮うき）等とうに利用りようされている。

希望きぼうの形状けいじょうに一体いったい成型せいけいできるため、緩衝かんしょう素材そざいや保温ほおん・保冷ほれい箱ばこなどといった所定しょていの形状けいじょうを持もつ製品せいひんに加工かこうされる。

断熱だんねつ性せいに優すぐれ、加工かこうが容易よういで、これに加くわえて耐たい水性すいせいが高たかいのでクーラーボックスなどの構造こうぞう材ざいとしても利用りようされ、内面ないめんと外面がいめんの間あいだにこの素材そざいが用もちいられた製品せいひんがあるほか、安価あんかな物ものでは発泡はっぽうスチロールそのものを圧縮あっしゅく整形せいけいしたクーラーボックスもある。

発泡はっぽうさせたポリスチレンビーズは、安価あんかな緩衝かんしょう材ざいとして、布袋ほてい等とうに詰つめてクッションなどの家具かぐ（ビーズクッション）にしたり、精密せいみつ機器きき輸送ゆそう用ようの充填じゅうてん用よう梱包こんぽう材ざいに使つかわれる。

加工かこうがし易やすく軽量けいりょうで一定いっていの強度きょうどを持もつことから、軽量けいりょう化かを必要ひつようとする装置そうちのモノコック構造こうぞうの構造こうぞう材ざいなどにも利用りようされる。例たとえば玩具おもちゃではあるがエアロソアラのような模型もけい飛行機ひこうき（またはラジコン飛行機ひこうき）にも使用しようされることがある。

近年きんねんでは軽量けいりょう盛土もりつち素材そざいとして土木どぼくでも使用しようされており、2009年ねん8月がつの駿河湾するがわん地震じしんで発生はっせいした東名高速道路とうめいこうそくどうろの災害さいがい復旧ふっきゅうに採用さいようされた。

PSP

PSP製せい食品しょくひん（ハンバーガー）容器ようき

ポリスチレンペーパー (PSP) は、EPSのように高温こうおん蒸気じょうきで加熱かねつ・発泡はっぽうさせるのでなく、熱ねつを加くわえて融解ゆうかいさせた原料げんりょうに、発泡はっぽうを行おこなうためのガスや発泡はっぽう剤ざいを加くわえ、液体えきたいから厚あつさ数すうミリ程度ていどのシート状じょうに引ひき伸のばすと同時どうじに発泡はっぽうさせる。発泡はっぽう率りつは約やく10倍ばいである。

食品しょくひんトレーや、カップ麺めんの容器ようきに使つかわれる。食品しょくひんトレー等とうに加工かこうするには、必要ひつような大おおきさに切きり分わけ、加熱かねつしながら金かね型がたでプレスして整形せいけいする。

先述せんじゅつしたとおり、一部いちぶの食用しょくよう油ゆに溶解ようかいしやすく、また耐たい熱性ねっせいが低ひくいので、特とくに高温こうおんの油あぶらに触ふれると熱ねつによって融解ゆうかいし、気泡きほう構造こうぞうが崩くずれて侵食しんしょくされたようになる。このとき、泡あわ内ないのブタンやペンタンが外気がいきに放出ほうしゅつされるが、これらに含ふくまれる不純ふじゅん物ぶつにより、俗ぞくに「発泡はっぽうスチロール臭くさい」といわれる独特どくとくの臭気しゅうきがする。この臭気しゅうきは食欲しょくよくを減退げんたいさせるため、食品しょくひん容器ようきでは問題もんだいとなる。なおポリスチレンは一切いっさい消化しょうか・吸収きゅうしゅうされずに体外たいがいに排泄はいせつされるため、たとえ融解ゆうかいした樹脂じゅしを食たべても、健康上けんこうじょう問題もんだいないといわれる。

カップ麺めんの容器ようきは、強度きょうどや耐たい熱性ねっせいを増ますために、他たの合成ごうせい樹脂じゅし素材そざいからなるシートが表面ひょうめんに接着せっちゃくされているものが多おおい。ポリ塩化えんかビニルやポリプロピレンなどの樹脂じゅしからなる保護ほごシートを接着せっちゃくすることで、耐たい衝撃しょうげき性せいが増ます（カップ麺めんでは輸送ゆそう中ちゅうに落下らっかさせてもカップが破損はそんしない）ため、大型おおがたの容器ようきや過酷かこくな輸送ゆそうが予想よそうされる製品せいひんの容器ようきに広ひろく用もちいられている。接着せっちゃく前まえにシートに印刷いんさつすることができるので、カップ麺めんでは、店頭てんとうに並ならんだ際さいに人目ひとめを引ひくよう、さまざまな意匠いしょうが凝こらされている容器ようきも多おおい。

XPS

耐火たいか材ざいとして壁かべに埋うめ込こまれたXPS（画像がぞう上じょう半はん）

押出おしだしポリスチレン (XPS) は、主おもに建材けんざいに使つかわれる、堅かたくて難がた燃もえ性せいの発泡はっぽうスチロールである。建材けんざいであるため一般いっぱんの目めには触ふれにくいが、省しょうエネルギーなどの観点かんてんから近代きんだい化かされた住宅じゅうたくの断熱だんねつ材ざいとしては屋根やね材ざいの下したや外壁がいへきの下したなどにも良よく使つかわれている。

発泡はっぽうスチロールの易えき燃もえ性せいは建材けんざいとして致命ちめい的てきなので、難なん燃もえ剤ざいなどで難なん燃もえ性せいを向上こうじょうさせている。なおEPSも、建材けんざいに使つかわれるときは同様どうように難なん燃もえ剤ざいが添加てんかされる。

液化えきかした原料げんりょうと発泡はっぽう剤ざいと難なん燃もえ剤ざいを高温こうおん・高こう圧あつ下かでよく混まぜ、一気いっきに通常つうじょう気圧きあつ・温度おんどの環境かんきょうに吹ふき出ださせる事ことで連続れんぞく的てきに発泡はっぽう・硬化こうかさせ、これを必要ひつような大おおきさ（大体だいたい高たかさ2m・幅はば1m・厚あつさ10cmほど）の板いたに切断せつだんする。この連続れんぞく的てきに製造せいぞうする方法ほうほうのために「押おし出だしボード」とよばれる。製造せいぞう方法ほうほうから、EPSより気泡きほうが大おおきいものが多おおい。一定いっていの難なん燃もえ性せいを備そなえ、一般いっぱん的てきな発泡はっぽうスチロールと区別くべつするためか、淡あわい青あおなどで着色ちゃくしょくされることもある。

スタイロフォーム

スタイロフォーム、スチロフォーム (STYROFOAM)、スティロフォウム は、ダウケミカルによる、XPSの登録とうろく商標しょうひょうである。

XPSを指さす一般いっぱん名詞めいし、あるいははなはだしくは、発泡はっぽうスチロールの同義語どうぎごのように使つかわれることがあるが、適切てきせつではない。

環境かんきょうホルモン

発泡はっぽうスチロールの主しゅ原料げんりょうはポリスチレンだが、微量びりょう含ふくまれているスチレンダイマーとスチレントリマーが、日本にっぽんで1998年ねんに、環境庁かんきょうちょう（現げん環境省かんきょうしょう）によりSPEED'98（環境省かんきょうしょう関連かんれんページ）で内分泌ないぶんぴつ攪乱かくらん物質ぶっしつ（俗ぞくに「環境かんきょうホルモン」とも）の疑うたがいのある物質ぶっしつとして上あげられた。そのため、従来じゅうらいは最終さいしゅう処分しょぶん場じょうにて埋うめ立たて処理しょりされていた発泡はっぽうスチロールが、環境かんきょう汚染おせんの一因いちいんと疑うたがわれた。 業界ぎょうかい団体だんたいからの反発はんぱつを受うけ、環境省かんきょうしょうは2000年ねん11月にこのリストからスチレンダイマーとスチレントリマーを取とり消けした。

廃棄はいきとリサイクル

発泡はっぽうスチロールゴミの山やま

ポリスチレンの樹脂じゅし識別しきべつコード

ゴミとしては、重量じゅうりょうの割わりに嵩張かさばること等とうが処分しょぶん費用ひようの高騰こうとうに伴ともない問題もんだいとなっている。また、衝撃しょうげきを受うけた場合ばあいに細こまかい破片はへんを撒まき散ちらすために海洋かいようごみとしての害がいも大おおきい。

先進せんしん国こくではこれを受うけ、同どう素材そざいの製造せいぞう業界ぎょうかい団体だんたいや、これらを大量たいりょうに商品しょうひんを載のせて販売はんばいしていた大手おおて百貨店ひゃっかてん・スーパーマーケット等ひとしでは、資源しげんとしてのリサイクルを模索もさくし、近年きんねんでは使用しよう後ごに回収かいしゅうされた発泡はっぽうスチロールを、溶剤ようざいや高熱こうねつで再さい加工かこうし、資源しげんとして再生さいせいしたり、燃料ねんりょうとして利用りようしている。日本にっぽん国内こくないではデパートやスーパーマーケットに食品しょくひんトレイの回収かいしゅう箱ばこを置おき、消費しょうひ者しゃからこれらを集あつめる運動うんどうも盛さかんである。

溶剤ようざいではリモネン等ひとしの柑橘類かんきつるいから採取さいしゅできる物ものを用もちいた物ものが開発かいはつされ、小規模しょうきぼな施設しせつでは発泡はっぽうスチロールを溶解ようかいさせ液化えきかさせ、廃棄はいき体積たいせきを大幅おおはばに減へらすと共ともに、溶解ようかい物ぶつがボイラーなどの燃料ねんりょうとして利用りようされている。また加熱かねつによる再さい加工かこうプラントでは、ある程度ていど大だい規模きぼな設備せつびが必要ひつようだが、再ふたたびポリスチレンビーズに戻もどして別べつの発泡はっぽうスチロール製品せいひんの原料げんりょうとしたり、あまり強度きょうどや耐たい熱性ねっせいを要求ようきゅうされないプラスチック製品せいひん用ようの原料げんりょうを生産せいさんしている。

発泡はっぽうスチロール再生さいせいプラスチックで、ビデオテープカセットや文房具ぶんぼうぐ（ボールペンの軸じくなど）などが生産せいさんされている。

その一方いっぽう、従来じゅうらいは燃焼ねんしょうさせると高温こうおんでよく燃もえ過すぎるため、焼却しょうきゃく炉ろを傷いためるとして、地方自治体ちほうじちたいのゴミ処理しょり施設しせつでは厄介やっかい物ぶつ扱あつかいされていたが、近年きんねんではダイオキシン対策たいさくとして高温こうおん型がたの焼却しょうきゃく炉ろが普及ふきゅうしていること、また、RDF発電はつでん施設しせつなどの設置せっちが進すすめられており、生なまゴミの燃焼ねんしょう力りょくを高たかめるために廃はいプラスチックや廃はい発泡はっぽうスチロールを混まぜることも多おおい。

EPS、PSP、XPSは、化学かがく物質ぶっしつとしては同おなじポリスチレンなので、同おなじラインでリサイクルできる。ただし、回収かいしゅう量りょうの大だい部分ぶぶんを占しめるEPSの梱包こんぽう材ざいが高こう純度じゅんどのポリエチレンであることもあり、不純物ふじゅんぶつが混入こんにゅうすると品質ひんしつ低下ていかなどの問題もんだいが大おおきい。カップ麺めんの容器ようきなど複雑ふくざつな印刷いんさつがされたものは、素材そざいが違ちがうシートが表面ひょうめんに接着せっちゃくされているので、回収かいしゅう対象たいしょうから除外じょがいされることが多おおい。表面ひょうめんを直接ちょくせつ塗装とそうしたものも除外じょがいされることがある。また当然とうぜんながら、食品しょくひんが付着ふちゃくしたままではリサイクルできないし、また回収かいしゅうの過程かていで悪臭あくしゅうを放はなったり、害虫がいちゅうを呼よび寄よせる事ことがあるため、良よく洗あらって排出はいしゅつすべきだといえよう。

家電かでん製品せいひんでは、環境かんきょう保護ほごのために、再生さいせい紙しを使用しようしたクッション材ざいに置おき換かえられつつある。海うみの浮うわきやフロートとして使用しようされる製品せいひんは波浪はろうによって磨耗まもうしやすく、分離ぶんりした小片しょうへんが海上かいじょうを浮遊ふゆうすることが問題もんだいとなっている。

発泡はっぽうスチロールは熱ねつ可塑かそ性せいであり、熱ねつを加くわえると粘着ねんちゃく性せいを持もつのでこれを利用りようして木材もくざいの接着せっちゃく材ざいに利用りようできるという報告ほうこくがある。発泡はっぽうスチロールを接着せっちゃく剤ざいとした合板ごうはんとパーティクルボードは十分じゅうぶんな強度きょうどを持もっており、後者こうしゃは発泡はっぽうスチロールを20%以上いじょう混まぜると成型せいけい後ごも加熱かねつするだけで再さい成型せいけいが可能かのうだという。さらに廃棄はいきの際さいも600℃程度ていどの温度おんどで焼やけば、発泡はっぽうスチロールは分解ぶんかいしてしまい、炭化たんかした木材もくざいだけが得えられるという。

発泡はっぽうポリプロピレン

ポリプロピレンの樹脂じゅし識別しきべつコード

発泡はっぽうスチロールと同様どうようの製法せいほうで加工かこうしたポリプロピレンで、化学かがく構造こうぞう的てきには、ポリスチレンのフェニル基もとがメチル基もとに置おき換かわっている。

発泡はっぽうスチロールと同様どうようの用途ようとに使つかわれるが、耐たい熱性ねっせい・耐油たいゆ性せいに優すぐれる。PSPの90℃に対たいし、130℃まで耐たえることができる。

見みかけは発泡はっぽうスチロールに酷似こくじし、しばしば混同こんどうされる。ポリスチレンのリサイクルラインへ混入こんにゅうすることも多おおい。ポリスチレンの溶剤ようざいでは溶とけないので分離ぶんりは可能かのうだが、樹脂じゅし識別しきべつコードを見みて分別ふんべつ収集しゅうしゅうすることが望のぞましい。

EPP

EPP（ビーズ法ほう発泡はっぽうポリプロピレン、expanded polypropylene）は、EPSと同様どうようの製法せいほうで加工かこうしたポリプロピレンである。

EPSより弾力だんりょくがあるため、工作こうさく素材そざいとして好このまれる。発泡はっぽう率りつは15倍ばい、30倍ばい、45倍ばい、60倍ばいに規格きかく化かされている。

PPP

PPP（ポリプロピレンペーパー、polypropylene paper） は、PSPと同様どうようの製法せいほうで加工かこうしたポリプロピレンである。

コンビニ弁当べんとうは、電子でんしレンジで加熱かねつすると油分ゆぶんの温度おんどが100度どを超こえることがあるため、容器ようきには耐たい熱性ねっせいのあるPPPがよく使つかわれる。ただし、油分ゆぶんが多おおい弁当べんとうではPPPでも耐たい熱性ねっせいが不足ふそくし、ポリカーボネート製せいの容器ようきが使つかわれることがある。

PSP容器ようき同様どうよう、他たの合成ごうせい樹脂じゅし素材そざいからなるシートを表面ひょうめんに接着せっちゃくすることもある。

外部がいぶリンク

• 発泡はっぽうスチロール協会きょうかい（ＪＥＰＳＡ）
• 発泡はっぽうスチレンシート工業こうぎょう会かい（PSP業界ぎょうかい団体だんたい）
• 押出おしだし発泡はっぽうポリスチレン工業こうぎょう会かい（XPS業界ぎょうかい団体だんたい）