この項目 こうもく では、川崎病 かわさきびょう (KDもしくはMCLS)について説明 せつめい しています。
川崎病 かわさきびょう (かわさきびょう、英 えい : Kawasaki disease, KD )は、日本 にっぽん の小児科 しょうにか 医 い :川崎 かわさき 富 とみ 作 さく によって1960年代 ねんだい に発見 はっけん された[1] 、主 おも に乳幼児 にゅうようじ がかかる発熱 はつねつ 性 せい 疾患 しっかん (病気 びょうき )である。突然 とつぜん の高熱 こうねつ が数日 すうじつ 続 つづ き、目 め や唇 くちびる の充血 じゅうけつ 、身体 しんたい の発疹 はっしん 、手足 てあし の発赤 はっせき (=赤 あか くなること)、首 くび リンパ節 ぶし の腫脹 しゅちょう など様々 さまざま な症状 しょうじょう を惹 ひ き起 お こす。小児 しょうに 急性 きゅうせい 熱性 ねっせい 皮膚 ひふ 粘膜 ねんまく リンパ節 ぶし 症候群 しょうこうぐん (英 えい : MucoCutaneous Lymph-node Syndrome, MCLS )とも言 い われるが、世界 せかい 的 てき に「川崎病 かわさきびょう (KD)」と呼 よ ばれるのが一般 いっぱん 的 てき である。
病名 びょうめい は川崎 かわさき 富 とみ 作 さく によって発見 はっけん されたことに由来 ゆらい する。
神奈川 かながわ 県 けん 川崎 かわさき 市 し 、川崎医科大学 かわさきいかだいがく など上記 じょうき 以外 いがい の「川崎 かわさき 」を称 しょう する事物 じぶつ とは関係 かんけい がない。かつて川崎 かわさき 市 し 海岸 かいがん 部 ぶ の工業 こうぎょう 地帯 ちたい で大気 たいき 汚染 おせん による公害 こうがい (川崎 かわさき 公害 こうがい )が問題 もんだい 化 か し、気管支 きかんし 喘息 ぜんそく が多 おお くみられた当時 とうじ は地域 ちいき 特有 とくゆう の公害 こうがい 病 びょう と誤解 ごかい される例 れい も多 おお かった。
1961年 ねん (昭和 しょうわ 36年 ねん )、日本赤十字社 にほんせきじゅうじしゃ 中央 ちゅうおう 病院 びょういん (後 ご の日本赤十字社 にほんせきじゅうじしゃ 医療 いりょう センター )に勤務 きんむ していた川崎 かわさき 富 とみ 作 さく が、発熱 はつねつ 後 ご に手 て や足 あし の皮膚 ひふ が剥 は がれ、抗生 こうせい 物質 ぶっしつ が効 き かない子供 こども を初 はじ めて診察 しんさつ した[1] 。さらに同様 どうよう の症状 しょうじょう の患者 かんじゃ を診療 しんりょう したことをきっかけに、従来 じゅうらい の症例 しょうれい に当 あ てはまらない新 あたら しい病気 びょうき であることを確信 かくしん した。川崎 かわさき は1967年 ねん に日本語 にほんご 論文 ろんぶん [4] 、1974年 ねん に英語 えいご 論文 ろんぶん を発表 はっぴょう 。当初 とうしょ は一介 いっかい の小児科 しょうにか 医 い の報告 ほうこく ととられ受 う け入 い れられなかったが、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく で同様 どうよう の症例 しょうれい が出現 しゅつげん したことで、新 あたら しい病気 びょうき として認知 にんち されるようになった。
1978年 ねん 、世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん (WHO)の国際 こくさい 疾病 しっぺい 分類 ぶんるい に掲載 けいさい された[1] 。
初期 しょき は急性 きゅうせい 熱性 ねっせい 疾患 しっかん (急性 きゅうせい 期 き )として全身 ぜんしん の血管 けっかん 壁 かべ に炎症 えんしょう が起 お き、多 おお くは1-2週間 しゅうかん で症状 しょうじょう が治 おさ まるが、1ヶ月 かげつ 程度 ていど に長引 ながび くこともあり、炎症 えんしょう が強 つよ い時 とき は脇 わき や足 あし の付 つ け根 ね の血管 けっかん に瘤 こぶ が出来 でき る場合 ばあい もある。心臓 しんぞう の血管 けっかん での炎症 えんしょう により、冠動脈 かんどうみゃく の起 おこり 始 はじめ 部 ぶ 近 ちか くと左 ひだり 冠動脈 かんどうみゃく の左前 ひだりまえ 下 か 行 ぎょう 枝 えだ と左 ひだり 回旋 かいせん 枝 えだ の分岐 ぶんき 付近 ふきん に瘤 こぶ が出来 でき やすい。急性 きゅうせい 期 き の血管 けっかん 炎 えん による瘤 こぶ の半数 はんすう は、2年 ねん 以内 いない に退 すさ 縮 ちぢみ (リグレッション)するが、冠動脈 かんどうみゃく 瘤 こぶ などの後遺症 こういしょう を残 のこ す事 こと がある。
主要 しゅよう 症状 しょうじょう は以下 いか の6つである。
5日 にち 以上 いじょう 続 つづ く原因 げんいん 不明 ふめい の発熱 はつねつ (ただし治療 ちりょう により5日 にち 未満 みまん で解熱 げねつ した場合 ばあい も含 ふく む)
両側 りょうがわ 眼球 がんきゅう 結膜 けつまく の充血 じゅうけつ
四肢 しし の末端 まったん が赤 あか くなり堅 かた く腫 は れる(手足 てあし の硬性 こうせい 浮腫 ふしゅ 、膜 まく 様 さま 落屑)
皮膚 ひふ の不定 ふてい 型 がた 発疹 はっしん
口唇 こうしん が赤 あか く爛 ただ れる、いちご舌 した (=舌 した が真 ま っ赤 か になる)、口腔 こうくう 咽頭 いんとう 粘膜 ねんまく のびまん性 せい 発赤 はっせき (※「びまん性 せい 」とは病変 びょうへん が比較的 ひかくてき 均等 きんとう に広 ひろ がっている状態 じょうたい であることを意味 いみ する医学 いがく 用語 ようご )
有 ゆう 痛 つう 性 せい の非 ひ 化膿 かのう 性 せい 頸部 リンパ節 ぶし 腫脹 しゅちょう
以上 いじょう 6つの主要 しゅよう 症状 しょうじょう のうち5つ以上 いじょう を満 み たすものを本 ほん 症 しょう と診断 しんだん するが、5つに満 み たない非 ひ 典型 てんけい 例 れい も多 おお い。発熱 はつねつ 、発赤 はっせき 、リンパ節 ぶし 腫脹 しゅちょう などは乳幼児 にゅうようじ 期 き のウイルス 感染 かんせん 症 しょう でも極 ごく 一般 いっぱん 的 てき に認 みと める症状 しょうじょう であり、確定 かくてい 診断 しんだん には困難 こんなん を伴 ともな う。主要 しゅよう 症状 しょうじょう には含 ふく まれていないが、乾癬 かんせん 様 さま 皮 がわ 疹[5] 、麻痺 まひ 性 せい イレウス 、低 てい アルブミン血 ち 症 しょう 、BCG 接種 せっしゅ 部位 ぶい の発赤 はっせき ・痂 かさぶた 皮 がわ 形成 けいせい などは留意 りゅうい すべき所見 しょけん とされる[6] 。
欧米 おうべい に比 くら べると日本 にっぽん をはじめとするアジア の国々 くにぐに に多 おお い(日本 にっぽん や中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく 、大韓民国 だいかんみんこく など[1] )。男女 だんじょ 比 ひ は女児 じょじ よりも男児 だんじ に多 おお い傾向 けいこう がある。好 こう 発 はつ 年齢 ねんれい は4歳 さい 以下 いか で特 とく に1歳 さい 前後 ぜんこう に多 おお い。冠動脈 かんどうみゃく 径 みち 8mm 以上 いじょう (通常 つうじょう 2mm以下 いか )が約 やく 0.5%発生 はっせい し、死亡 しぼう 率 りつ は約 やく 0.05%程度 ていど 。年齢 ねんれい により症状 しょうじょう は異 こと なる。
日本 にっぽん では、1980年代 ねんだい 後半 こうはん から1990年代 ねんだい において年間 ねんかん およそ6,000人 にん が発症 はっしょう している。1999年 ねん は約 やく 7,000人 にん 、2000年 ねん には8,000人 にん と増加 ぞうか 傾向 けいこう にある。日本 にっぽん では1982年 ねん に16,000人 にん 、1986年 ねん に13,000人 にん の流行 りゅうこう があった。2000年 ねん 以降 いこう も患者 かんじゃ の発生 はっせい は続 つづ き、2004年 ねん には患者 かんじゃ 数 すう 10,000人 にん を超 こ え、2008年 ねん の患者 かんじゃ 数 すう は11,756人 にん が報告 ほうこく されている。また、2008年 ねん は、10万 まん 人 にん 当 あ たりの罹患 りかん 率 りつ (0-4歳児 さいじ )も上昇 じょうしょう 傾向 けいこう で、218.6人 にん と史上 しじょう 最高 さいこう を記録 きろく している[8] 。2018年 ねん は約 やく 1万 まん 7000人 にん 。過去 かこ 50年間 ねんかん で、患者 かんじゃ 数 すう が増 ふ える「流行 りゅうこう 」期 き が度々 たびたび 見 み られる[1] 。
川崎病 かわさきびょう の病因 びょういん は不明 ふめい で、感染 かんせん 症 しょう なのか自己 じこ 免疫 めんえき 疾患 しっかん なのかは、はっきり特定 とくてい されておらず、感染 かんせん 症 しょう 説 せつ 、スーパー抗原 こうげん 説 せつ 、自己 じこ 抗原 こうげん 説 せつ 、RNAウイルス 説 せつ など、様々 さまざま な仮説 かせつ がある。ただ発病 はつびょう は夏 なつ と冬 ふゆ に多 おお く、地域 ちいき 流行 りゅうこう 性 せい があることから、何 なん らかの感染 かんせん が引 ひ き金 がね となって起 お こる可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている。
1979年 ねん 、カンジダ [9]
1990年 ねん 、A群 ぐん 溶連菌 ようれんきん [10] 。
2005年 ねん 、仮性 かせい 結核 けっかく 菌 きん による菌 きん 血 ち 症 しょう の幼児 ようじ 患者 かんじゃ が川崎病 かわさきびょう 類似 るいじ 症状 しょうじょう を呈 てい し、播種 はしゅ 性 せい 血管 けっかん 内 ない 凝固 ぎょうこ (DIC)を合併 がっぺい した[11] 。
2009年 ねん :順天堂大学 じゅんてんどうだいがく のグループが患者 かんじゃ の体内 たいない で大量 たいりょう に増 ふ えたブドウ球菌 きゅうきん や桿菌 かんきん といった複数 ふくすう の細菌 さいきん の感染 かんせん によって引 ひ き起 お こされる可能 かのう 性 せい が高 たか いという研究 けんきゅう 結果 けっか を発表 はっぴょう し、これらの細菌 さいきん を抑 おさ える抗菌 こうきん 薬 やく (ST合 ごう 剤 ざい )を投与 とうよ することで、症状 しょうじょう が回復 かいふく した症例 しょうれい も得 え られた結果 けっか を発表 はっぴょう した[12] [13] 。
2011年 ねん :症例 しょうれい 数 すう の変動 へんどう と、中央 ちゅうおう アジア で発生 はっせい して東方 とうほう に移動 いどう し、北 きた 太平洋 たいへいよう を横断 おうだん するジェット気流 きりゅう の循環 じゅんかん の強弱 きょうじゃく が、似 に た変動 へんどう を示 しめ すことが明 あき らかとなった[14] 。
2014年 ねん :国際 こくさい 研究 けんきゅう チームによって、中国 ちゅうごく 東北 とうほく 部 ぶ からの風 かぜ が関与 かんよ しているという研究 けんきゅう 成果 せいか がまとめられた[15] [16] 。この風 ふう にはカンジダ類 るい が多 おお く含 ふく まれている事 こと が判明 はんめい している[17] [18] 。
2014年 ねん 、国際 こくさい 研究 けんきゅう チームによって、中国 ちゅうごく 北東 ほくとう 部 ぶ の穀倉 こくそう 地帯 ちたい から来 く る風 ふう に乗 の って運 はこ ばれる毒素 どくそ が、日本 にっぽん で川崎病 かわさきびょう の原因 げんいん になっている、との推定 すいてい が発表 はっぴょう された[19] 。中国 ちゅうごく で行 おこな われた農業 のうぎょう 改革 かいかく で農業 のうぎょう 生産 せいさん が高 たか まった時期 じき と川崎病 かわさきびょう の流行 りゅうこう ピークが合致 がっち していると判明 はんめい [19] 。具体 ぐたい 的 てき に言 い うと、自治医科大学 じちいかだいがく 公衆 こうしゅう 衛生 えいせい 学 がく 教室 きょうしつ の《川崎病 かわさきびょう 全国 ぜんこく 調査 ちょうさ からみた川崎病 かわさきびょう 疫学 えきがく の特徴 とくちょう とその変遷 へんせん 》にある罹患 りかん 率 りつ 推移 すいい グラフには過去 かこ 3回 かい の全国 ぜんこく 規模 きぼ の川崎病 かわさきびょう 流行 りゅうこう のピーク(1979年 ねん 、1982年 ねん 、1986年 ねん )が現 あらわ れているが(グラフは出典 しゅってん 掲載 けいさい のものを参照 さんしょう のこと)、その頃 ころ に中国 ちゅうごく の農村 のうそん で何 なに が起 お きたか調 しら べると、1979年 ねん には中国 ちゅうごく 政府 せいふ が農産物 のうさんぶつ 買付 かいつけ 価格 かかく を18年 ねん ぶりに大幅 おおはば に引 ひ き上 あ げる生産 せいさん 刺激 しげき 策 さく を取 と り、川崎病 かわさきびょう の最 もっと も大 おお きなピークの1982年 ねん の元 もと 日 ひ には「個別 こべつ 農家 のうか への請負 うけおい 制 せい 」を認 みと める中国共産党 ちゅうごくきょうさんとう 中央 ちゅうおう の文書 ぶんしょ が発表 はっぴょう され、集団 しゅうだん 営農 えいのう の人民公社 じんみんこうしゃ 制度 せいど が一気 いっき に解体 かいたい 。3番目 ばんめ のピークの1986年 ねん にかけて「農産物 のうさんぶつ と副産物 ふくさんぶつ の統一 とういつ 買付 かいつ けと割当 わりあて 買付 かいつ け制度 せいど 廃止 はいし 」など農業 のうぎょう 生産 せいさん の自由 じゆう 化 か が続々 ぞくぞく と打 う ち出 だ された[19] 。その後 ご 、川崎病 かわさきびょう はピーク状 じょう の(とがった)変動 へんどう は見 み られなくなるものの、小児 しょうに 人口 じんこう 10万 まん 人 にん 当 あ たり罹患 りかん 率 りつ は右肩 みぎかた 上 あ がりに高 たか まって過去 かこ のピークをむしろ越 こ えてしまうような悲惨 ひさん な状況 じょうきょう になったが、この時期 じき 、中国共産党 ちゅうごくきょうさんとう が2004年 ねん から2008年 ねん にかけて再 ふたた び農業 のうぎょう 刺激 しげき 策 さく を毎年 まいとし 打 う ち出 だ し、農民 のうみん 収入 しゅうにゅう 増加 ぞうか 促進 そくしん や農業 のうぎょう インフラ整備 せいび などで農村 のうそん に農業 のうぎょう 生産 せいさん を呼 よ び戻 もど していたのである[19] 。川崎病 かわさきびょう の流行 りゅうこう 推移 すいい は中国 ちゅうごく の農業 のうぎょう 生産 せいさん とリンクしている、と考 かんが えてよさそうなのである[19] 。研究 けんきゅう の筆頭 ひっとう 著者 ちょしゃ で、スペイン のバルセロナ にあるカタロニア気候 きこう 科学 かがく 研究所 けんきゅうじょ の気候 きこう 科学 かがく 者 もの 、ザビエル・ロドー(Xavier Rodo)は「これら病原 びょうげん となる粒子 りゅうし の生成 せいせい が、農薬 のうやく または化学 かがく 肥料 ひりょう によるものなのか正確 せいかく に突 つ き止 と めるため、より焦点 しょうてん を絞 しぼ った調査 ちょうさ が必要 ひつよう になるだろう」と言 い い、「(中国 ちゅうごく の)農業 のうぎょう がこの病気 びょうき に重要 じゅうよう な関係 かんけい を持 も つことは間違 まちが いない」とザビエル・ロドーは述 の べた[19] 。
2016年 ねん :理化学研究所 りかがくけんきゅうしょ のグループは、川崎病 かわさきびょう への罹患 りかん 率 りつ と関連 かんれん するいくつかの一 いち 塩基 えんき 多 た 型 がた を発見 はっけん してきた。2016年 ねん には、これらの一 いち 塩基 えんき 多 た 型 がた の中 なか でも、特 とく に日本人 にっぽんじん に高 こう 頻度 ひんど で見 み られるものが発見 はっけん されている[20] 。
以上 いじょう のような感染 かんせん や何 なん らかのきっかけにより、全身 ぜんしん の血管 けっかん 、中小 ちゅうしょう 動脈 どうみゃく への自己 じこ 免疫 めんえき が誘発 ゆうはつ される 。病理 びょうり 組織 そしき 上 じょう は血管 けっかん 壁 かべ に、好 こう 中 ちゅう 球 だま や、マクロファージ 、リンパ球 だま を認 みと める。これら炎症 えんしょう 細胞 さいぼう が血管 けっかん 壁 かべ を破壊 はかい することにより、冠動脈 かんどうみゃく の拡張 かくちょう 、四肢 しし 末 まつ 端 はし の浮腫 ふしゅ が引 ひ き起 お こされると考 かんが えられている。
新型 しんがた コロナウイルス感染 かんせん 症 しょう との関連 かんれん [ 編集 へんしゅう ]
2020年 ねん には、新型 しんがた コロナウイルス感染 かんせん 症 しょう (COVID-19) に罹患 りかん した一部 いちぶ の子供 こども が、川崎病 かわさきびょう に似 に た症状 しょうじょう を呈 てい しているとの報告 ほうこく が欧米 おうべい で相次 あいつ ぎ、東京 とうきょう 都立 とりつ 小児 しょうに 総合医療 そうごういりょう センター (東京 とうきょう 都 と 府中 ふちゅう 市 し )で3月 がつ 下旬 げじゅん 、新型 しんがた コロナウイルスに感染 かんせん し、入院 にゅういん した1歳 さい 男児 だんじ がその後 ご 、全身 ぜんしん の血管 けっかん に炎症 えんしょう が起 お きる川崎病 かわさきびょう と診断 しんだん された[21] 。
原因 げんいん がはっきりしていないため、決定的 けっていてき な予防 よぼう 法 ほう や検査 けんさ 法 ほう は確立 かくりつ されていない。
川崎病 かわさきびょう 治療 ちりょう の目的 もくてき は、急性 きゅうせい 期 き の炎症 えんしょう 反応 はんのう を可能 かのう な限 かぎ り早期 そうき に終息 しゅうそく させることで、冠動脈 かんどうみゃく 瘤 こぶ の形成 けいせい を予防 よぼう することである[22] 。初期 しょき 治療 ちりょう としては免疫 めんえき グロブリン[23] とプレドニゾロン 、アスピリン を併用 へいよう される。この併用 へいよう 療法 りょうほう により48時間 じかん 以内 いない に解熱 げねつ しない、または2週間 しゅうかん 以内 いない に再燃 さいねん が見 み られる場合 ばあい を不 ふ 応 おう 例 れい とする[24] 。
不 ふ 応 おう 例 れい には、免疫 めんえき グロブリンとシクロスポリン [25] あるいはインフリキシマブ の併用 へいよう 投与 とうよ を行 おこな うか、ステロイドパルス療法 りょうほう が有用 ゆうよう な例 れい も報告 ほうこく されている。また冠動脈 かんどうみゃく が拡張 かくちょう を来 きた していないか、心 しん エコー によりフォローする必要 ひつよう がある。冠動脈 かんどうみゃく 病変 びょうへん が好 こう 発 はっ する第 だい 10病 びょう 日 び で行 おこな い、異常 いじょう が認 みと められない場合 ばあい には発病 はつびょう 後 ご 6週 しゅう で再検 さいけん する(実際 じっさい は各 かく 施設 しせつ により心 しん エコーを行 おこな う時期 じき はまちまちと思 おも われる)。冠動脈 かんどうみゃく 病変 びょうへん が認 みと められない場合 ばあい 、その時点 じてん でアスピリンを中止 ちゅうし する。
5日 にち 以上 いじょう 持続 じぞく する発熱 はつねつ が診断 しんだん 基準 きじゅん の1つとなっているものの、他 た の診断 しんだん 項目 こうもく から明 あき らかに川崎病 かわさきびょう と医師 いし によって診断 しんだん される場合 ばあい には、発熱 はつねつ 5日 にち まで治療 ちりょう 開始 かいし を待 ま つ必要 ひつよう はない。遅 おそ くとも、発症 はっしょう 7日 にち 以内 いない に治療 ちりょう 開始 かいし することが望 のぞ ましいとされる。
血管 けっかん 造影 ぞうえい 検査 けんさ での左前 ひだりまえ 下 か 行 ぎょう 枝 えだ の動脈 どうみゃく 瘤 こぶ 。最大 さいだい 径 みち 6.5 mm
冠動脈 かんどうみゃく 障害 しょうがい がない場合 ばあい も成人 せいじん 後 ご の遠隔 えんかく 期 き での心 しん 疾患 しっかん リスクのコントロールに留意 りゅうい する必要 ひつよう がある。発症 はっしょう から1-3週間 しゅうかん 後 ご ぐらいに10-20%の頻度 ひんど で冠動脈 かんどうみゃく に動脈 どうみゃく 瘤 こぶ が認 みと められ、まれに心筋梗塞 しんきんこうそく により突然 とつぜん 死 し に至 いた ることがある。冠動脈 かんどうみゃく 瘤 こぶ の約 やく 半数 はんすう は、1-2年 ねん 程度 ていど で退 すさ 縮 ちぢみ (リグレッション)するが、残 のこ りの半数 はんすう は退 すさ 縮 ちぢみ せず残 のこ る。冠動脈 かんどうみゃく 障害 しょうがい が治 なお った場合 ばあい でも、冠動脈 かんどうみゃく の状態 じょうたい は成長 せいちょう と共 とも に変化 へんか し心臓 しんぞう 障害 しょうがい のリスクが高 たか くなる。従 したが って、定期 ていき 的 てき な検査 けんさ が必要 ひつよう になる。巨大 きょだい な瘤 こぶ を発生 はっせい した患者 かんじゃ では、15年 ねん で約 やく 70%は冠動脈 かんどうみゃく に狭窄 きょうさく や閉塞 へいそく が見 み つかるが、60%程度 ていど は無 む 症状 しょうじょう で無 む 症候 しょうこう 性 せい 心筋梗塞 しんきんこうそく と呼 よ ばれる。
免疫 めんえき グロブリン静 しずか 注 ちゅう 療法 りょうほう によって冠動脈 かんどうみゃく 瘤 こぶ の頻度 ひんど が低下 ていか していることが明 あき らかになっている一方 いっぽう 、依然 いぜん として巨大 きょだい 冠状 かんじょう 動脈 どうみゃく 瘤 こぶ の頻度 ひんど には大 おお きな変化 へんか がなく、未 いま だにより有効 ゆうこう な治療 ちりょう 法 ほう に向 む けて研究 けんきゅう が進 すす められている。
冠動脈 かんどうみゃく 障害 しょうがい (狭窄 きょうさく )により血行 けっこう が十分 じゅうぶん に確保 かくほ されない(心筋 しんきん 虚 きょ 血 ち )場合 ばあい は、血行 けっこう 再建 さいけん 術 じゅつ (英語 えいご 版 ばん ) (外科 げか 手術 しゅじゅつ )により治療 ちりょう を行 おこな う。具体 ぐたい 的 てき には、カテーテル による経 けい 皮 がわ 的 てき 冠動脈 かんどうみゃく 形成 けいせい 術 じゅつ (PTCA)と冠動脈 かんどうみゃく バイパス術 じゅつ (CABG)で、発症 はっしょう 後 ご 2年 ねん 以内 いない に行 おこな うと治療 ちりょう 効果 こうか が高 たか い。一方 いっぽう 、発症 はっしょう から10数 すう 年 ねん 経過 けいか し、血管 けっかん 壁 かべ が厚 あつ く血管 けっかん 内部 ないぶ で石灰 せっかい 化 か している場合 ばあい は、ロータブレーターにより内壁 ないへき を削 けず る。しかし、カテーテルやロータブレーターで治療 ちりょう では再 ふたた び狭窄 きょうさく が進行 しんこう することがある。根本 こんぽん 治療 ちりょう は冠動脈 かんどうみゃく バイパス手術 しゅじゅつ で、心臓 しんぞう への血行 けっこう が回復 かいふく すると運動 うんどう 制限 せいげん は無 な くなる。
心筋 しんきん 虚 きょ 血 ち がない場合 ばあい は運動 うんどう 制限 せいげん を行 おこな う必要 ひつよう はない。
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^ NEWS◎日本 にっぽん 川崎病 かわさきびょう 学会 がっかい による緊急 きんきゅう アンケート速報 そくほう 川崎病 かわさきびょう 症状 しょうじょう を伴 ともな うCOVID-19、日本 にっぽん では認 みと めず 日経 にっけい メディカル ホームページ(2020年 ねん 5月 がつ 8日 にち )2020年 ねん 6月 がつ 6日 にち 閲覧 えつらん
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