化膿 レンサ球菌
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Streptococcus pyogenes Rosenbach 1884 |
細菌 学 的 特徴
[名称
[なお「レンサ」の
病原 因子
[細胞 に局在 する病原 因子
[莢 膜 一部 の菌株 に見 られ、ヒアルロン酸 から構成 される。白血球 による貪食 を逃 れる役割 (抗 食 菌 作用 )を持 つ。- リポタイコ
酸 細胞 壁 に結合 した多 糖類 。粘膜 への付着 によって感染 部位 への定着 を容易 にする(定着 因子 )- M
タンパク質 表面 タンパク質 の一種 。角質 細胞 と接着 し、皮膚 への定着 に関与 する定着 因子 。また補 体 活性 化 因子 やフィブリノーゲンと結合 することで、抗 食 菌 作用 も持 つ。またヒト心筋 のタンパク質 (ミオシンやトロポミオシン)と共通 の抗原 性 を持 っており、宿主 への分子 擬態 に関与 するとともに、これに対 する抗体 が自己 反応 性 抗体 として作用 することで、リウマチ熱 などの自己 免疫 疾患 の発症 に関 わるといわれている。Mタンパク質 の菌株 ごとの抗原 性 の違 いが、化膿 レンサ球菌 の血清 型 別 に関与 する。- C5aペプチダーゼ
表面 のタンパク質 の一種 で、補 体 成分 のC5aを分解 して補 体 による排除 機構 から逃 れる役割 を持 つ。
分泌 される毒素 、酵素
[- ストレプトリジン(ストレプトリシン)
溶血 素 、すなわち赤血球 などの細胞 膜 を破壊 することで細胞 や組織 に対 する毒性 を示 す菌 体外 酵素 。組織 破壊 による感染 巣 の拡大 や、免疫 細胞 による排除 に対 する抵抗 性 に関与 する。ストレプトリジンOとストレプトリジンSの二 種類 があり、大 部分 の菌株 がこの両者 を産 生 する。前者 は分子 量 69,000のタンパク質 で、抗原 性 があり、GAS感染 症 の回復 期 患者 では、血 中 の抗 ストレプトリジンO抗体 価 (Anti-streptolysin O:ASLO)が上昇 するため、診断 に有用 である。後者 は分子 量 8,000のペプチドで抗原 性 はない。- ストレプトキナーゼ
- プラスミノーゲンに
結合 し、これを活性 化 する役割 を持 つタンパク質 。菌 の侵 襲 性 に関与 するといわれ、壊死 性 筋 膜 炎 との関連 が指摘 されている。 発熱 毒素 群 - スーパー
抗原 としての活性 を持 つタンパク質 群 。免疫 担当 細胞 の過剰 な亢進 を引 き起 こし、発熱 、炎症 、全身 性 ショックの原因 になる。猩紅熱 に見 られる全身 性 の発赤 (発赤 毒素 )や毒 素性 ショック症候群 などの毒 素性 疾患 の主因 であり、また壊死 性 筋 膜 炎 との関連 も指摘 されている。
病原菌 としての化膿 レンサ球菌
[急性 感染 症
[急性 扁 桃 炎 -口蓋 扁 桃 (いわゆる「扁桃腺 」)に細菌 またはウイルスが感染 することによって起 こる病気 で、発熱 や咽頭 痛 (のどの痛 み)、いびき、鼻 閉などの症状 が出現 する。細菌 としては最 も多 い起 炎 菌 が化膿 レンサ球菌 である。伝染 性 膿 痂 疹 - いわゆる「とびひ」のこと。壊死 性 筋 膜 炎 -毒 素性 ショック症候群 とともに、「劇 症 型 溶連菌 感染 症 」と呼 ばれる、最 も重症 な病 型 。四肢 の筋肉 を包 む筋 膜 に化膿 レンサ球菌 が感染 するものであるが、外科 的 に病巣 を切除 することが必要 であり、治療 が遅 れれば致命 的 となる危険 もある。- その
他 、蜂 窩織炎 (蜂巣 炎 )[1]や化膿 性 関節 炎 、骨髄 炎 、結膜炎 などさまざまな感染 症 を起 こす。
毒 素性 疾患
[毒 素性 ショック症候群 -化膿 レンサ球菌 が産 生 する毒素 に対 する免疫 反応 のために、全身 性 炎症 反応 症候群 からショック、多 臓器 不全 に至 る。壊死 性 筋 膜 炎 とともに、「劇 症 型 溶連菌 感染 症 」と呼 ばれる。猩紅熱 -主 に乳幼児 にみられる感染 症 で、化膿 レンサ球菌 の持 つ毒素 のために苺 舌 や発疹 が出現 する。
感染 症 後遺症
[- リウマチ
熱 -咽頭 感染 後 2-3週間 後 に発症 する(紅 斑 、舞踏 病 は約 6カ月 後 )、皮下 結節 、発疹 、関節 炎 、心筋 炎 、不 随意 運動 が主要 症状 。原因 としては菌 体 抗原 (M蛋白質 )と心筋 組織 の免疫 的 交差 反応 などの説 がある。 血管 性 紫斑 病 -四肢 の皮下 出血 が主 症状 で、他 には関節 痛 、腹痛 、腎 炎 などが出現 する。急性 糸 球体 腎 炎 -咽頭 炎 の1-2週間 後 、皮膚 感染 症 の2-3週間 後 に発症 (発症 率 は1-5%)。症状 は急性 腎 機能 不全 症状 (血尿 、浮腫 、高血圧 が3大 症状 )。主 に小児 に発症 し、完治 する場合 は多 いが、成人 の場合 は予 後 が悪 く、慢性 腎 炎 になることが多 い。原因 としては菌 体 抗原 と抗体 結合 物 が腎 糸 球体 基底 膜 の沈着 により炎症 反応 (III型 アレルギー)を起 こすと考 えられている。
出典
[- レンサ
球菌 感染 症 メルクマニュアル家庭 版 多田 讓治 、皮膚 細菌 学 と感染 病理 日本 皮膚 科 学会 雑誌 Vol.115 (2005) No.7 p.977-984, doi:10.14924/dermatol.115.977(認証 有 り)荒田 次郎 、皮膚 科 領域 における細菌 感染 症 の話題 (2) —化膿 レンサ球菌 感染 症 —西日本 皮膚 科 Vol.62 (2000) No.2 P.226-229, doi:10.2336/nishinihonhifu.62.226 (認証 有 り)
脚注
[- ^
冨 室 哲也 、菊池 啓 、松倉 登 、上田 晃久 、左足 の蜂巣 織 炎 から発症 した劇 症 型 A群 化膿 レンサ球菌 (人 食 いバクテリア)感染 症 の1例 中部 日本 整形 外科 災害 外科 学会 雑誌 Vol.49 (2006) No.3 P.571-572, doi:10.11359/chubu.2006.571(認証 有 り)
外部 リンク
[劇 症 型 溶血 性 レンサ球菌 感染 症 (2007年 第 38週 )国立 感染 症 研究所 感染 症 情報 センター