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農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
JAおよびJAグループ所属しょぞく団体だんたいシンボルマーク

農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい(のうぎょうきょうどうくみあい、通称つうしょう農協のうきょう〈のうきょう〉)は、日本にっぽんにおいて農業のうぎょうしゃ農民のうみんまた農業のうぎょういとな法人ほうじん)によって組織そしきされた協同きょうどう組合くみあいである。農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいほうもとづく法人ほうじんであり、事業じぎょう内容ないようなどがこの法律ほうりつによって制限せいげん規定きていされている。なお、全国ぜんこく農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい中央ちゅうおうかい組織そしきする農協のうきょうグループ(総合そうごう農協のうきょう)を、愛称あいしょうとしてJA(ジェイエー、Japan Agricultural Cooperativesのりゃく)と[1]略称りゃくしょうとして「JA○○」の呼称こしょうもちいている。

沿革えんかく

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まるじょう農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい 温州うんしゅうみかんせんはてじょう落成らくせいしき 昭和しょうわ30年代ねんだい

江戸えど時代じだい後期こうき農村のうそん指導しどうしゃ大原おおはら幽学ゆうがく下総しもうさこく香取かとりぐん長部ながべむらげん千葉ちばけんあさひ長部おさべ一帯いったいおこした「先祖せんぞかぶ組合くみあい」が、世界せかいはつ農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいとされる[2][3]一方いっぽう近代きんだいてき意味いみにおける農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい前身ぜんしんは、明治めいじ時代じだいつくられた産業さんぎょう組合くみあい帝国ていこくのうかいにさかのぼる。

産業さんぎょう組合くみあいは、ドイツ帝国ていこく産業さんぎょうおよ経済けいざい組合くみあいほうをもとに、1900ねん明治めいじ33ねん)に産業さんぎょう組合くみあいほう制定せいていされた。産業さんぎょう組合くみあいは、信用しんよう販売はんばい購買こうばい利用りようの4しゅ組合くみあいみとめられ、職業しょくぎょうによる組合くみあいいん制限せいげんはなかった。その農村のうそん恐慌きょうこうへの対応たいおうとして1932ねん昭和しょうわ7ねん)にのうやま漁村ぎょそん経済けいざい更生こうせい運動うんどうまれたが、産業さんぎょう組合くみあい産業さんぎょう組合くみあい拡充かくじゅう5ヶ年かねん計画けいかく樹立じゅりつ、「全戸ぜんこ加入かにゅう」「設置せっち町村ちょうそん解消かいしょう」「よんしゅ兼営けんえい」をかかげて、その拡充かくじゅう定着ていちゃくつとめた。これによって農村のうそんにおける産業さんぎょう組合くみあい農民のうみん組織そしきりつ大正たいしょう末期まっきの40%から1935ねんの75%に上昇じょうしょう、ほぼすべての町村ちょうそんよんしゅ兼営けんえい産業さんぎょう組合くみあい存在そんざいするようになった[4]

他方たほう戦前せんぜん農業のうぎょう団体だんたいとしてのうかいほう1899ねん)にもとづくのうかいがある。のうかいは「農業のうぎょう改良かいりょう発達はったつはかる」ことを目的もくてきとして農業のうぎょう技術ぎじゅつ指導しどうとうおこない、会員かいいん賦課ふかきん政府せいふからの補助ほじょきんによって運営うんえいされる半官半民はんかんはんみん組織そしきであった。のうかいほう1922ねん大正たいしょう11ねん)にだい改正かいせい農政のうせい補助ほじょ機関きかんとしての性格せいかくつよめた。組織そしきてきには地域ちいきない一定いってい面積めんせき所有しょゆうする農業のうぎょうしゃ強制きょうせい加入かにゅうさせ、市町村しちょうそんのうかいこおりみのりかい府県ふけんのうかい帝国ていこくのうかい段階だんかいせいをなしていた[5]

その戦時せんじ体制たいせいの1943ねん食料しょくりょう統制とうせい円滑えんかつすすめることを目的もくてき農業のうぎょう団体だんたいほう制定せいていされ、のうかい産業さんぎょう組合くみあい畜産ちくさん組合くみあい養蚕ようさんぎょう組合くみあいちゃぎょう組合くみあい統合とうごうされて農業のうぎょうかい設立せつりつされた。地方ちほう農業のうぎょうかいとして、市町村しちょうそん農業のうぎょうかい都道府県とどうふけん農業のうぎょうかいかれ、全国ぜんこく段階だんかいには産業さんぎょう組合くみあい連合れんごうかい統合とうごうした全国ぜんこく農業のうぎょう経済けいざいかいと、帝国ていこくのうかい産業さんぎょう組合くみあい中央ちゅうおうかい合体がったいした中央ちゅうおう農業のうぎょうかいかれた[6]農業のうぎょうかい存在そんざいした期間きかんは1943ねんから1947ねんまでとかぎられていたが、その農協のうきょう設立せつりつが「農業のうぎょうかい看板かんばんりかえ」であったため、戦後せんご農協のうきょう性格せいかくおおきな影響えいきょうあたえた。

戦後せんご農地のうち改革かいかく一環いっかんとして、GHQ農地のうち改革かいかくまれた戦後せんご自作農じさくのうまもるための制度せいどとして、自主じしゅてき自立じりつてき欧米おうべいがた農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい創設そうせつ日本にっぽん政府せいふ指示しじした。しかし、当時とうじ食料しょくりょう行政ぎょうせい深刻しんこく食糧難しょくりょうなんなかで、食料しょくりょう統制とうせい管理かんりする必要ひつようがあった。農林省のうりんしょう集落しゅうらく単位たんいとする農家のうか組合くみあいとう構成こうせいいんとする農協のうきょう制度せいど構想こうそうしてGHQと交渉こうしょうし、1947ねん昭和しょうわ22ねん)に農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいほう昭和しょうわ22ねん法律ほうりつだい32ごう)が公布こうふ施行しこうされた。こうしたことから、実際じっさいには農業のうぎょうかい組織そしき資産しさん職員しょくいんいで戦後せんご農協のうきょう発足ほっそくした。農業のうぎょうかい解散かいさん期限きげん昭和しょうわ23ねん8がつとされたためおおくの農協のうきょう短期間たんきかん設立せつりつされた。そのさいに「きょう」を図案ずあんした円形えんけいの「農協のうきょうマーク」が制定せいていされた(地方ちほうふる農業のうぎょう倉庫そうこなどに「農協のうきょうマーク」がのこっている場合ばあいがある)。1992ねん4がつから「農協のうきょうマーク」にわり、「JA」の名称めいしょうや「JAマーク」を使つかはじめる。

戦後せんご農協のうきょうは、欧米おうべいがた自主じしゅてき自立じりつてき協同きょうどう組合くみあい理念りねんかかげながらも、実際じっさいには食糧しょくりょう統制とうせい農業のうぎょう統制とうせいのための行政ぎょうせい下請したう組織そしきてき性格せいかくつよかった。また事業じぎょう運営うんえいにあたっても上部じょうぶ組織そしきである連合れんごうかい主体しゅたい運営うんえいがなされる傾向けいこうがある[7]。さらに、戦後せんご農協のうきょう性格せいかくを「協同きょうどう組合くみあい」、「農政のうせい下請したう機関きかん」、「圧力あつりょく団体だんたい」のふく合体がったいとみる見解けんかいもある。

2014ねん5がつ22にち規制きせい改革かいかく会議かいぎは、「全国ぜんこく農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい中央ちゅうおうかい(JA全中ぜんちゅう)が、法律ほうりつもとづいて農協のうきょう経営けいえい指導しどうなどをおこなう」いま制度せいど廃止はいしする農協のうきょう改革かいかくあん提案ていあんした。しかし、議員ぎいんからは「安易あんい組織そしきをいじれば生産せいさんしゃ不安ふあんをあおるだけ」、「あくまでみずからでおこな改革かいかく基本きほんだ」と、反発はんぱつこえ相次あいついだ。一方いっぽう一部いちぶ議員ぎいんからは「農協のうきょうにもっと経営けいえい能力のうりょくのある人材じんざい登用とうようすべき」とか「農協のうきょう販売はんばいりょく強化きょうか必要ひつようだ」という意見いけんた。そのため自民党じみんとうは、6がつ上旬じょうじゅん目標もくひょう目処めどに、生産せいさんしゃ所得しょとくやすためのあんをまとめる[8]。なお、規制きせい改革かいかく会議かいぎ農協のうきょう(JA)改革かいかくあんは、TPP交渉こうしょうをにらんでのかんがえとされている[9]竹中たけなか平蔵へいぞうは「外国がいこくじん労働ろうどうしゃれて農業のうぎょう再生さいせいしたい」という提案ていあんひろげ、実現じつげんけて意欲いよくしめしている[10]。その2019ねんまでにJA全中ぜんちゅう一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんに、都道府県とどうふけん農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい中央ちゅうおうかい農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい移行いこうした。

組織そしき

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事業じぎょうごとにつぎ全国ぜんこく組織そしきおよび都道府県とどうふけんいき組織そしき農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかいなど)がある。なお専門せんもん農協のうきょうは「専門せんもん農協のうきょう」のこう参照さんしょう

かく全国ぜんこく組織そしきは、会員かいいんである単位たんい農協のうきょうおよび連合れんごうかい出資しゅっししている協同きょうどう組合くみあい組織そしき全国ぜんこく農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい中央ちゅうおうかいおよび農林中央金庫のうりんちゅうおうきんこのぞく)であり、一般いっぱんてき株式会社かぶしきがいしゃ親会社おやがいしゃ子会社こがいしゃとは関係かんけいことなる。最近さいきんではJA全農ぜんのうかく都府県とふけん経済連けいざいれん合併がっぺいおこなわれ、全農ぜんのう本体ほんたい都府県とふけん本部ほんぶが「JA全農ぜんのう○○(○○には都府県とふけんめいはいる)」として経済けいざい事業じぎょう販売はんばい事業じぎょう購買こうばい事業じぎょう都道府県とどうふけん組織そしきとなるれいおおい。

総合そうごう専門せんもん農協のうきょう

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個別こべつ農協のうきょう単位たんい農協のうきょう)には、総合そうごう農協のうきょう信用しんよう事業じぎょうふくむ、複数ふくすう事業じぎょうおこなっている農協のうきょう)のほか、専門せんもん農協のうきょう信用しんよう事業じぎょうおこなわず(一部いちぶ信用しんよう事業じぎょうおこな組合くみあいもある)、畜産ちくさん酪農らくのう園芸えんげいといった特定とくてい生産せいさんぶつ販売はんばい購買こうばい事業じぎょうのみをおこな農協のうきょう)もある。2021年度ねんどまつにおいて、総合そうごう農協のうきょうすうは585、専門せんもん農協のうきょうすうは999となっている[11]

農地のうち集約しゅうやく高齢こうれい後継こうけいしゃ不足ふそくとうによる農家のうか戸数こすう減少げんしょうにより、農業のうぎょうしゃであるせい組合くみあいいん減少げんしょうしている。離農りのうも、農協のうきょう事業じぎょう継続けいぞくして利用りようしたいもの増加ぞうか員外いんがい利用りようしゃ対策たいさくによる加入かにゅう推進すいしん対策たいさくとうにより、農業のうぎょうしゃであるじゅん組合くみあいいん増加ぞうかしている。そのため、平成へいせい21事業じぎょう年度ねんど以降いこうじゅん組合くみあい員数いんずうせい組合くみあい員数いんずう上回うわまわ状況じょうきょうになっている[12]

平成へいせい30年度ねんど農林水産省のうりんすいさんしょう総合そうごう農協のうきょう一斉いっせい調査ちょうさ)においては、せい組合くみあい員数いんずうやく424.8まんにんたいし、じゅん組合くみあい員数いんずうやく624まんにんである[13]

新規しんき農協のうきょう設立せつりつ認可にんか

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2001ねん平成へいせい13ねん)の農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいほう改正かいせいにおいて、地区ちく重複じゅうふくする農協のうきょうは、総合そうごう農協のうきょうであるかないかにかかわらず、みとめられることとなった。この改正かいせいにおいて、行政ぎょうせいちょう設立せつりつ認可にんかをするさいには、関係かんけいする市町村しちょうそんおよ農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい中央ちゅうおうかい協議きょうぎすることが義務付ぎむづけられたものの、そのになされた申請しんせいについては、すべ認可にんかされていた。こうした状況じょうきょうまえ、「地域ちいき自主じしゅせいおよ自立じりつせいたかめるための改革かいかく推進すいしんはかるための関係かんけい法律ほうりつ整備せいびかんする法律ほうりつ」(だい3一括いっかつほう)(2013ねん6月7にち成立せいりつ、2013ねん6月14にち公布こうふ)により、当該とうがい協議きょうぎ義務付ぎむづけは廃止はいしされた。

事業じぎょう内容ないよう

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農協のうきょうは、組合くみあいいん自主じしゅてき選択せんたくにより事業じぎょう範囲はんいめており、おおくの農協のうきょうは、組合くみあいいん必要ひつようとするサービスを総合そうごうてき提供ていきょうしている。

指導しどう事業じぎょう
  • 営農えいのう指導しどう事業じぎょう
  • 生活せいかつ指導しどう事業じぎょう
経済けいざい事業じぎょう
信用しんよう事業じぎょう通称つうしょうJAバンク
共済きょうさい事業じぎょう通称つうしょうJA共済きょうさい
厚生こうせい事業じぎょう
高齢こうれいしゃ福祉ふくし事業じぎょう
利用りよう事業じぎょう

そのほか、冠婚葬祭かんこんそうさいおも葬儀そうぎ(JA葬祭そうさい))事業じぎょう観光かんこう旅行りょこう事業じぎょう農協のうきょう観光かんこう)、不動産ふどうさん仲介ちゅうかい事業じぎょう新聞しんぶん日本農業新聞にほんのうぎょうしんぶん)・出版しゅっぱん事業じぎょう市民しみん農園のうえん郵便ゆうびん窓口まどぐち業務ぎょうむ受託じゅたく簡易かんい郵便ゆうびんきょく)、のう販売はんばい整備せいび自動車じどうしゃディーラー、建築けんちく設計せっけい自動車じどうしゃ学校がっこう有線ゆうせん放送ほうそう発電はつでんなど、多岐たきわたる。

これは、組合くみあいいんたる農家のうか預貯金よちょきんをほぼいちける豊富ほうふ資金しきんと「農協のうきょう」の信用しんようりょく組合くみあいいん互選ごせんえらばれた組合くみあいちょうによる文字通もじどおり「地域ちいき発展はってんため」の事業じぎょう展開てんかい結果けっかである。また、生活協同組合せいかつきょうどうくみあいなどとちがい、信用しんよう事業じぎょう金融きんゆう事業じぎょう兼業けんぎょうすることができるなどの特権とっけんつことも理由りゆうである。

一方いっぽうで、農協のうきょう婦人ふじんかい青年せいねんとうによる生活せいかつ改善かいぜん運動うんどうは、農村のうそん食生活しょくせいかつ生活せいかつ改善かいぜんなど教育きょういくとして発展はってんしてた。まただい規模きぼかつ安定あんていてき需要じゅよう目当めあてに、かくメーカーが農協のうきょうせん売品ばいひん用意よういしていた(JAサンバートラックなど)。事業じぎょう内容ないよう多岐たきわたることで「農協のうきょう簿記ぼき」という特殊とくしゅ簿記ぼきもちいられる。業務ぎょうむをカバーする勘定かんじょう科目かもく使つかい、なおかつ購買こうばい販売はんばいとうについては、独自どくじ勘定かんじょう科目かもく名称めいしょうもちいる。

東京とうきょう御蔵島みくらじまむら御蔵島みくらじまむら農協のうきょうのように、地域ちいき農協のうきょうだが信用しんよう事業じぎょうおこなっていない組合くみあい存在そんざいする。群馬ぐんまけん上野うえのむら上野うえのむら農協のうきょう東京とうきょう東京とうきょうとうしょ農協のうきょう大分おおいたけん下郷しもごう農協のうきょうのように信用しんよう事業じぎょうだけ(上野うえのむら農協のうきょうは、くわえて共済きょうさい事業じぎょう廃止はいしうえで)譲渡じょうとし、信用しんよう事業じぎょう共済きょうさい事業じぎょう廃止はいししたところもある。

ぜんけん1農協のうきょう目指めざしての合併がっぺい促進そくしんがされているところもあり、奈良ならけん沖縄おきなわけん香川かがわけん島根しまねけん山口やまぐちけんは、すでに実現じつげんした(香川かがわけんは、信連しんれん県域けんいき農協のうきょう包括ほうかつ承継しょうけいさせていない、島根しまねけんは、JA全農ぜんのう島根しまねけん本部ほんぶ一部いちぶ事業じぎょう譲渡じょうとけたが包括ほうかつ承継しょうけいはまだ)。福井ふくいけん佐賀さがけん一部いちぶ農協のうきょう参加さんかしなかったものの、だい部分ぶぶん実現じつげんした。

農協のうきょう目的もくてき

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農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいほうによってさだめられており、農業のうぎょう生産せいさんりょく増進ぞうしん農業のうぎょうしゃ経済けいざいてき社会しゃかいてき地位ちい向上こうじょうはかるための協同きょうどう組織そしきとされている。「平成へいせい24年度ねんど食料しょくりょう農業のうぎょう農村のうそん白書はくしょ」においては、農協のうきょうは、農産物のうさんぶつ流通りゅうつう生産せいさん資材しざい供給きょうきゅうとう適切てきせつおこない、農業のうぎょう所得しょとく向上こうじょうさせていくことが最大さいだい使命しめいであるとしている[12]組合くみあいいん自主じしゅてき選択せんたくにより、事業じぎょう範囲はんいめており、おおくの組合くみあいいん必要ひつようとするサービスを総合そうごうてき提供ていきょうする。加入かにゅうしゃ大半たいはん米作べいさく農家のうかで、そのためJAはこめ中心ちゅうしん活動かつどうおこなっている[1]

  • 農協のうきょう事業じぎょう運営うんえいは、せい組合くみあいいんである農業のうぎょうしゃ意思いし決定けっていによりおこなわれている。しかし、組合くみあいいん以外いがいも、一定いってい範囲はんい事業じぎょう利用りようすることができる。組合くみあいいん以外いがい利用りよう範囲はんいは、組合くみあいいん事業じぎょうの20/100。貯金ちょきん受入うけいとうは、25/100。加工かこう農村のうそん工業こうぎょう事業じぎょう医療いりょう老人ろうじん福祉ふくしとうは、100/100である。

組合くみあいいん資格しかく

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組合くみあいいん資格しかくは、かく農協のうきょう定款ていかんにおいてさだめられ、一般いっぱんてきに、耕作こうさく面積めんせき従事じゅうじ日数にっすう要件ようけん規定きていしている。組合くみあいいんは、せい組合くみあいいんじゅん組合くみあいいんかれる。

資格しかく 権利けんりなど 備考びこう
せい組合くみあいいん 農業のうぎょうしゃ農協のうきょう地区ちくない住所じゅうしょゆうする農民のうみん農業のうぎょういとな法人ほうじん * 組合くみあいいん一人ひとり一票いっぴょう議決ぎけつけんつ。
* 役員やくいん総代そうだい選出せんしゅつされる権利けんり
* 臨時りんじ総会そうかいひら請求せいきゅうけんただし、せい組合くみあいいんの1/5以上いじょう同意どうい必要ひつよう
* 組合くみあい事業じぎょう利用りようする権利けんりとう

専業せんぎょう農家のうか兼業けんぎょう農家のうか議決ぎけつけん公平こうへいにしたことで、効率こうりつてき農業のうぎょう推進すいしんさまたげられてきたという意見いけんもある。減反げんたん参照さんしょう

じゅん組合くみあいいん 農業のうぎょうしゃくてもなれる * 出資しゅっしすれば、すべての事業じぎょう利用りよう可能かのうになる。ただし、農協のうきょう地区ちくない住所じゅうしょのある個人こじん じゅん組合くみあいいん議決ぎけつけんみとめない理由りゆうふたつ。ひとつは、農業のうぎょうしゃもの組合くみあい支配しはいされないため。もうひとつは、地域ちいき住民じゅうみんきゅう産業さんぎょう組合くみあいきゅう農業のうぎょうかいいて構成こうせいいんとなることができたもの)の事業じぎょう利用りようみとめるため。

問題もんだい提起ていき

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神門ごうど善久ぜんくは、以下いか問題もんだい指摘してきした[1]

  • せい組合くみあいいん資格しかくは、農業のうぎょうしゃかぎられている。だが、実際じっさいはすでに離農りのうしたものおお存在そんざいしており、土地とち農家のうかなどがその代表だいひょうかく
  • じゅん組合くみあいいんにおいては、転居てんきょ死亡しぼうとう本人ほんにん所在しょざい確認かくにんできない場合ばあいも、ふくまれる。
  • 組合くみあいいん資格しかくたしているかのチェックは、ほとんどおこなわれていなかった。
  • その結果けっか、2000年代ねんだいには、本来ほんらいであれば資格しかくたないはずの組合くみあいいんが、100まんにん存在そんざいする。

総合そうごう規制きせい改革かいかく会議かいぎでも、組合くみあいいん状況じょうきょう問題もんだいされ、「規制きせい改革かいかく推進すいしん3かねん計画けいかくさい改定かいてい)」(平成へいせい15ねん3がつ28にち閣議かくぎ決定けってい)において、「組合くみあいいん制度せいど実態じったい員外いんがい利用りようりつ状況じょうきょうとう考慮こうりょし、法令ほうれい違反いはんとうのある場合ばあいはこれを是正ぜせいするよう指導しどうするなど所要しょよう処置しょちこうずる」とされた。これをまえ、農林水産省のうりんすいさんしょうでは平成へいせい15ねん3がつ事務じむガイドラインを改正かいせいして、員外いんがい利用りよう規制きせい違反いはんがあれば所管しょかん行政ぎょうせいちょう都道府県とどうふけん)が是正ぜせい指導しどうするよう徹底てっていしてきた。これに沿った是正ぜせい指導しどうおこなわれることになり、指導しどうけた組合くみあい中心ちゅうしんに、積極せっきょくてき員外いんがい利用りようしゃを、じゅん組合くみあいいんとして組合くみあい加入かにゅうさせる対策たいさくこうじた。その結果けっか平成へいせい20事業じぎょう年度ねんどには、すべて解消かいしょうされる見込みこみとなった。

独占どくせん禁止きんしほうとの関係かんけい

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  • 農協のうきょうふくめた協同きょうどう組合くみあいは、一定いってい行為こういについて独占どくせん禁止きんしほう適用てきよう除外じょがいみとめられている(独占どくせん禁止きんしほうだい22じょう)。中小ちゅうしょう事業じぎょうしゃは、単独たんどくではだい企業きぎょう対抗たいこうできないが、協同きょうどう組合くみあい組織そしきすることで、有効ゆうこう競争きょうそう単位たんいとなりる。
  • しかしながら、農協のうきょう公正こうせい取引とりひき方法ほうほうをした場合ばあい[ちゅう 1]または一定いってい取引とりひき分野ぶんやにおける競争きょうそう実質じっしつてき制限せいげんすることにより不当ふとう対価たいかげることとなる場合ばあいは、独占どくせん禁止きんしほう取締とりしまりの対象たいしょうとなる(独占どくせん禁止きんしほうだい22じょう但書ただしがき)。
  • また、事業じぎょうしゃ単位たんい農協のうきょう共同きょうどうして価格かかく数量すうりょう制限せいげんとうおこなうこと(カルテル)とうも、(その)組合くみあい行為こういとはえないため、独占どくせん禁止きんしほう適用てきよう除外じょがいとはならない[14]

公正こうせい取引とりひき委員いいんかいは、農林水産省のうりんすいさんしょう連携れんけいして、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいとうのう畜産ちくさんぶつ販売はんばい事業じぎょうおよ生産せいさん資材しざい購買こうばい事業じぎょう取引とりひき実態じったいについてヒアリングをおこなうなど、実態じったい把握はあく検証けんしょう実施じっしした。その結果けっか農業のうぎょうしゃ依然いぜんとしてだい企業きぎょうして競争きょうそうまただい企業きぎょう対等たいとう取引とりひきおこな状況じょうきょうにはないこと、農業のうぎょうしゃ単位たんい組合くみあいのう畜産ちくさんぶつ販売はんばいおよ生産せいさん資材しざい購入こうにゅうについてみずからの判断はんだん取引とりひきさき選択せんたくできること、適用てきよう除外じょがい制度せいどがあるために判断はんだんできない農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいとう問題もんだい行為こうい特段とくだんみとめられなかったこととうから、平成へいせい23ねん4がつまでに、当該とうがい検証けんしょう結果けっかとしては、適用てきよう除外じょがい制度せいどただちに廃止はいしする必要ひつようはないとの結論けつろんいたった[15]

各国かっこく農協のうきょう

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なお、日本にっぽん同様どうように、アメリカEU韓国かんこくにおいても農協のうきょうたいする独占どくせん禁止きんしほう適用てきよう除外じょがいみとめられている。このため、これまで年次ねんじ改革かいかく要望ようぼうしょ日米にちべい経済けいざい調和ちょうわ対話たいわなど、日米にちべいこくあいだ経済けいざい協議きょうぎにおいて、農協のうきょうたいする独占どくせん禁止きんしほう適用てきよう除外じょがい見直みなおしがもとめられたことはい。

評価ひょうか

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神門ごうど善久ぜんくは、農協のうきょうについていくつかの指摘してきをしている[1]

組織そしきめん

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  • 農協のうきょう規模きぼ組織そしきりょくは、他国たこく農協のうきょう比較ひかくして、特異とくいなもの[1]
  • 農林水産省のうりんすいさんしょうは、最初さいしょはJAの存在そんざい本来ほんらい農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいのものではないとして否定ひていてきであったが、次第しだい農業のうぎょう政策せいさく下部かぶ組織そしきとして使つかうようになる。このため、自発じはつてき会員かいいん組織そしきとしての性格せいかくうすく、日本国にっぽんこく政府せいふ頂点ちょうてんとする上意下達じょういかたつのための組織そしき傾向けいこうがある。しかし、金融きんゆう自由じゆうなどをきっかけに、農水省のうすいしょうは、次第しだいにJAと距離きょりろうとする態度たいどてんじていった。このこと金融きんゆう自由じゆう次第しだいにJAの特権とっけんくなるなかで、不良ふりょう債権さいけん問題もんだいたときの責任せきにんらされるおそれがあるため[1]
  • JAは組織そしきりつ非常ひじょう強力きょうりょくだった。そのため、ほとんどの農家のうかはJAの会員かいいんになっており、地方ちほうにおいて強力きょうりょく票田ひょうでんとなっていて、政治せいじおおきな影響えいきょうりょくがあるとかんがえられてきた[1]。ただJAは、票田ひょうでんとしてのちからもなくなってきたため、以前いぜんほどの政治せいじりょく行使こうししづらくなるという背景はいけいもある[1]
  • はたらこう各種かくしゅ講演こうえんなど)の関係かんけいから、JAの活動かつどう支持しじ肯定こうていする研究けんきゅうしゃおお[1]

事業じぎょうめん

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  • 食料しょくりょう農業のうぎょう農村のうそん基本きほん計画けいかく」(平成へいせい22ねん3がつ閣議かくぎ決定けってい)では、農協のうきょうとう団体だんたい地域ちいき一体いったいとなった取組とりくみ推進すいしん個々ここ農業のうぎょうしゃ経営けいえい安定あんてい重要じゅうよう役割やくわりたしている。だが、一部いちぶで、事業じぎょう運営うんえい問題もんだいがあり、地域ちいき農業のうぎょうしゃ期待きたいこたえられていないケースもみられる[1]
事業じぎょうめんたいする指摘してき内容ないよう
長所ちょうしょ
  • 所得しょとくさい配分はいぶんおこない、社会しゃかいゆがみがしょうじるのをふせいだ。
  • 高度こうど成長せいちょうにJAが政治せいじ活動かつどうつうじて農家のうかへの所得しょとくさい配分はいぶん誘導ゆうどうした結果けっか農家のうか - 農家のうか所得しょとく格差かくさ是正ぜせいした(戦前せんぜん農家のうか - 農家のうか所得しょとく格差かくさやく0.3だったのにたいし、戦後せんごやく0.7とだいぶ緩和かんわされている)。このため、たとえば2000年代ねんだい中国ちゅうごくのように農家のうか所得しょとく格差かくさ社会しゃかい問題もんだいせず、社会しゃかい安定あんてい貢献こうけんした。
  • 自民党じみんとう政権せいけんに、政策せいさくのフリーハンドをあたえた。
  • 1950〜60年代ねんだいは、農業のうぎょう従事じゅうじしゃぜん労働ろうどう人口じんこうの3ぶんの1をめていた。JAが自民党じみんとう支持しじしていたことにより、自民党じみんとうだい1産業さんぎょうたいし、比較的ひかくてきフリーハンドで政策せいさく立案りつあん運営うんえいすることができた(支持しじ基盤きばん安定あんていしているため、特定とくてい産業さんぎょう優遇ゆうぐうする必要ひつようもなく、てきまわしても問題もんだいがない)。
短所たんしょ
  • JAは、体質たいしつとして法令ほうれい違反いはん非常ひじょうおこないやすいものとなっている。
  • 会員かいいんに、零細れいさい農家のうかおおい。遵守じゅんしゅ意識いしきひくいため、少々しょうしょう不祥事ふしょうじがあっても、なにでもたのめるJAをたよる。
  • 実質じっしつてき農水省のうすいしょう下部かぶ組織そしきとして活動かつどうしているため、なにかあっても救済きゅうさいがあり、行政ぎょうせい一体化いったいかしている。
  • JAの事業じぎょうには、はじめから法令ほうれい違反いはん前提ぜんていとしたものがある。 とく戦後せんごべいは、やみ流通りゅうつうこめ前提ぜんていにしなければ市場いちばまわらない代物しろものであったためである。
  • 1地域ちいき1JAという体制たいせいは、1地域ちいきにおける独占どくせん状態じょうたいまねく。そのため、遵守じゅんしゅ意識いしきがゆるむ。

関連かんれん企業きぎょう

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おもなキャラクター

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JA共済きょうさい

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ れい組合くみあいいん農協のうきょう事業じぎょう利用りよう強制きょうせいするなど。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j 日本にっぽんしょくのう神門ごうど善久ぜんくしる NTT出版しゅっぱん 2006ねん6がつ
  2. ^ 大原おおはら幽学ゆうがく記念きねんかんれい2ねん8がつ5にち水曜日すいようび”. あさひ市役所しやくしょ (2021ねん3がつ8にち). 2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  3. ^ 大原おおはら幽学ゆうがく(おおはらゆうがく)遺跡いせき 【くに指定してい史跡しせき”. あさひ市役所しやくしょ (2020ねん11月10にち). 2023ねん3がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ 農業のうぎょう団体だんたい農民のうみん運動うんどう農林のうりん統計とうけい協会きょうかい、2014ねん 
  5. ^ 帝国ていこくのうかい稿こう農民のうみん教育きょういく協会きょうかい、1972ねん 
  6. ^ 農業のうぎょうかい御茶おちゃみず書房しょぼう、1975ねん 
  7. ^ 戦後せんご政治せいじ組織そしき象徴しょうちょう』みすず書房しょぼう、1978ねん 
  8. ^ NHKニュース2014ねん5がつ21にち 自民党じみんとう 農協のうきょう改革かいかくあん反発はんぱつ相次あいつ
  9. ^ 東京とうきょう新聞しんぶん2014ねん5がつ20日はつか 朝刊ちょうかん 首相しゅしょう、JA改革かいかく指示しじ TPP視野しや 政府せいふ会議かいぎ議論ぎろん[リンク]
  10. ^ 東洋とうよう経済けいざい2013ねん12月27にち 竹中たけなか平蔵へいぞう「アベノミクスは2014ねん正念場しょうねんば構造こうぞう改革かいかくすすむのか
  11. ^ 農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいとう現在げんざいすう統計とうけい概要がいよう(れい3年度ねんど) (PDF) 農林水産省のうりんすいさんしょう 農協のうきょうについての統計とうけい
  12. ^ a b 平成へいせい24年度ねんど食料しょくりょう農業のうぎょう農村のうそん白書はくしょ』 2013ねん6がつ
  13. ^ せい組合くみあいいん6まんにんる 77農協のうきょう当期とうき損失そんしつきん 30事業じぎょう年度ねんど総合そうごう農協のうきょう調査ちょうさ 農水省のうすいしょう 農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい新聞しんぶん 2020ねん3がつ31にち
  14. ^ https://www.jftc.go.jp/dk/noukyou/nokyogl.html
  15. ^ 規制きせい制度せいど改革かいかくかんする閣議かくぎ決定けってい事項じこう実施じっしじょうきょう調査ちょうさ結果けっか」(平成へいせい23ねん9がつ公表こうひょう
  16. ^ JAみんなのよいしょくプロジェクト
  17. ^ OjO Interview読売新聞よみうりしんぶん広告こうこくきょく 2009ねん6がつ7にち

関連かんれん文献ぶんけん

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  • 窪田くぼた新之助しんのすけ農協のうきょうやみ講談社こうだんしゃ講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ2673〉、2022ねん8がつ18にちISBN 978-4-06-529254-9 電子でんしばんあり)

関連かんれん項目こうもく

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