(Translated by https://www.hiragana.jp/)
三鷹事件 - Wikipedia
Wikipedia

三鷹みたか事件じけん

1949年ねんに日本にっぽんの東京とうきょう都と三鷹みたか町まち、武蔵野むさしの市しで発生はっせいした列車れっしゃ暴走ぼうそう事件じけん
曖昧さ回避 この項目こうもくでは、1949年ねんの無人むじん列車れっしゃ暴走ぼうそう事件じけんについて説明せつめいしています。その他たの用法ようほうについては「三鷹みたか事件じけん (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。

三鷹みたか事件じけん（みたかじけん）は、1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）7月がつ15日にちに、東京とうきょう都と北多摩きたたま郡ぐん三鷹みたか町まち（現在げんざいの三鷹みたか市し）と武蔵野むさしの市しにまたがる日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう中央ちゅうおう本線ほんせん三鷹みたか駅えき構内こうないで起おきた無人むじん列車れっしゃ暴走ぼうそう事件じけん。詳細しょうさいは不明ふめいで、同どう時期じきに起おきた下山げざん事件じけん、松川まつかわ事件じけんと並ならぶ国鉄こくてつ三さん大だいミステリー事件じけんの一ひとつとされている。

三鷹みたか事件じけん
7月がつ16日にちの現場げんばの様子ようす
場所ばしょ 日本の旗 日本にっぽん・東京とうきょう都と北多摩きたたま郡ぐん三鷹みたか町まち（現在げんざいの三鷹みたか市し）
日付ひづけ 1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）7月がつ15日にち
死亡しぼう者しゃ 6人にん
負傷ふしょう者しゃ 20人にん
テンプレートを表示ひょうじ

事件じけん概要がいよう 編集へんしゅう

 
現場げんばを三鷹みたか駅えきホームから見みる人々ひとびと(1949年ねん7月がつ15日にち)

事件じけんの発生はっせいとその背景はいけい 編集へんしゅう

連合れんごう国軍こくぐん占領せんりょう期きの1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）7月がつ15日にち21時じ23分ふん（当時とうじは夏時間なつじかんのため現在げんざいの20時じ23分ふん）、国鉄こくてつ三鷹みたか電車でんしゃ区く（現げん・JR東日本ひがしにっぽん三鷹みたか車両しゃりょうセンター）から無人むじんの63系けい電車でんしゃ4両りょうを含ふくむ7両りょう編成へんせいの電車でんしゃが暴走ぼうそうし、三鷹みたか駅えきの下くだり1番線ばんせんに進入しんにゅうした後のち、60km/h程ほどのスピードで車止くるまどめに激突げきとつし、そのまま車止くるまどめを突つき破やぶって脱線だっせん転覆てんぷくした。

これにより、脱線だっせん転覆てんぷくしながら突つっ込こんだ線路せんろ脇わきの商店しょうてん街がいなどで、男性だんせい6名めい（45歳さい、21歳さい、54歳さい、58歳さい、19歳さい、40歳さい）が車両しゃりょうの下敷したじきとなり即死そくし、負傷ふしょう者しゃも20名めい出でる大だい惨事さんじとなった。

当時とうじ、中国ちゅうごくでは国共こっきょう内戦ないせんにより中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの勝利しょうりが濃厚のうこうとされ、日本にっぽんの国政こくせいでも日本にっぽん共産党きょうさんとうが議席ぎせきを伸のばしていた。共産きょうさん党員とういんやその支持しじ者しゃが多おおかった国鉄こくてつは、共産きょうさん主義しゅぎ化かを警戒けいかいするGHQによってレッドパージの対象たいしょうとなり、複数ふくすうの共産きょうさん党員とういんの国鉄こくてつ職員しょくいんが逮捕たいほされた[1]。

「国鉄こくてつ三さん大だいミステリー事件じけん#背景はいけい」および「逆ぎゃくコース」も参照さんしょう

捜査そうさ・裁判さいばん 編集へんしゅう

捜査そうさ当局とうきょくは、共産きょうさん革命かくめいを狙ねらう政治せいじ的てきな共同きょうどう謀議ぼうぎによる犯行はんこうだとして、国鉄こくてつ労働ろうどう組合くみあい（国労こくろう）の組合くみあい員いんの日本にっぽん共産きょうさん党員とういん10人にんと非ひ共産きょうさん党員とういんであった元もと運転うんてん士しの竹内たけうち景けい助すけ[注釈ちゅうしゃく 1]を逮捕たいほした。そのうち、共産きょうさん党員とういん1人にんについてはアリバイが成立せいりつしたため、不ふ起訴きそとして釈放しゃくほうされたが、残のこりの共産きょうさん党員とういん9人にんと竹内たけうちが起訴きそされ、さらに2人ふたりが偽証罪ぎしょうざいで起訴きそされた[2]公判こうはんで竹内たけうちは、幾度いくども発言はつげんを求もとめ、早口はやくちで自みずからの主張しゅちょうを述のべた上うえで泣なき叫さけびながら単独たんどく犯行はんこうであったことを主張しゅちょうした[3]。

1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ（鈴木すずき忠ただし五ご裁判さいばん長ちょう）は、非ひ共産きょうさん党員とういんの竹内たけうちの単独たんどく犯行はんこうとして往来おうらい危険きけん電車でんしゃ転覆てんぷく致死ちし罪ざい（刑法けいほう127条じょう、125条じょう1項こう、126条じょう3項こう、同どう条じょう1項こう）により無期むき懲役ちょうえきの判決はんけつを下くだす一方いっぽう、共同きょうどう謀議ぼうぎの存在そんざいを「空中くうちゅう楼閣ろうかく」と否定ひていし他たを無罪むざいとした[注釈ちゅうしゃく 2]。一いち審しん判決はんけつで竹内たけうちが死刑しけいではなく無期むき懲役ちょうえきとされたのは、解雇かいこされたことへの反発はんぱつがあったこと、計画けいかく性せいがなかったこと、人命じんめいを奪うばうという結果けっかを想定そうていしていなかったことで情状じょうじょう酌量しゃくりょうが認みとめられることを挙あげられた。竹内たけうちが犯行はんこう時間じかんとされた時間じかん帯たいに同僚どうりょうと風呂ふろに入はいっていたというアリバイ証言しょうげんにおいて、検察けんさつ側がわは同僚どうりょうの証言しょうげんは竹内たけうちが主張しゅちょうする時間じかんより遅おそかったとしてアリバイを崩くずす姿勢しせいを見みせていたが、弁護べんご側がわはなぜか同僚どうりょうの証言しょうげんを関連かんれん性せいなしという理由りゆうで証人しょうにん要求ようきゅうを拒否きょひするなど、不可思議ふかしぎな行動こうどうを取とっている。

一いち審しんで6人にんを死亡しぼうさせたと認定にんていされた竹内たけうちへの無期むき懲役ちょうえき判決はんけつに対たいしては、読売新聞よみうりしんぶん、毎日新聞まいにちしんぶん、産経新聞さんけいしんぶんなどのマスコミは被害ひがい者しゃや遺族いぞくの意見いけんなどを紹介しょうかいして批判ひはんした（唯一ゆいいつ、朝日新聞あさひしんぶんは竹内たけうちへの無期むき懲役ちょうえき判決はんけつに肯定こうてい的てき見解けんかいを示しめしていた）。これに対たいし検察けんさつは、全員ぜんいんの有罪ゆうざいを求もとめて控訴こうそ・上告じょうこくしたが、竹内たけうち以外いがいについては無罪むざいが確定かくていした。1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ（谷中たになか董ただし裁判さいばん長ちょう）は、竹内たけうちの控訴こうそ審しんで竹内たけうちについてのみ検察けんさつ側がわ控訴こうそを受うけ入いれ、書面しょめん審理しんりだけで一いち審しんの無期むき懲役ちょうえき判決はんけつを破棄はきし、より重おもい死刑しけい判決はんけつをい渡いわたした。

 
最高裁さいこうさいへ詰つめかける支援しえん者しゃたち

弁護人べんごにんは無罪むざいの主張しゅちょうとは別べつに、被告人ひこくにんの顔かおも見みぬまま死刑しけいに変更へんこうすることの非道ひどうも訴うったえて最高裁判所さいこうさいばんしょに上告じょうこくしたが[5]、最高裁さいこうさいでは口頭こうとう弁論べんろんが開ひらかれないまま、1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）6月22日にちに死刑しけい判決はんけつが確定かくていした。ところが、これが8対たい7の1票ひょう差さであったため物議ぶつぎを醸かもした[1][注釈ちゅうしゃく 3]。以後いごの最高裁さいこうさいの死刑しけい上告じょうこく審理しんりでは口頭こうとう弁論べんろんを開ひらくことが慣例かんれいとなった。

竹内たけうちは無実むじつを訴うったえ続つづけ[6][7][8]、死刑しけい判決はんけつ後ご[9][10]も文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう誌しに[11][12]陰謀いんぼう説せつを訴うったえるなど投稿とうこうをする[13]。東京とうきょう拘置こうち所しょ内うちで脳腫瘍のうしゅように伴ともなう激はげしい頭痛ずつうを訴うったえていたが、拘置こうち所しょ側がわは拘禁こうきん症状しょうじょうであるとしてこれを無視むしし、適切てきせつな治療ちりょう等ひとしを行おこなわれないまま[14]、1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）1月がつ18日にちに収監しゅうかん先さきの東京とうきょう拘置こうち所しょで[15]脳腫瘍のうしゅようのため獄死ごくしした。45歳さい没ぼつ[16][17]。竹内たけうちの死後しご、国くには遺族いぞくに国家こっか賠償ばいしょう請求せいきゅうに基もとづき慰謝いしゃ料りょうを支払しはらっている[18]。再審さいしん請求せいきゅうについては、異議いぎ申立もうしたてが棄却ききゃくされたことに対たいする特別とくべつ抗告こうこくが1968年ねんに棄却ききゃくされた[19]。

竹内たけうちの供述きょうじゅつは無実むじつ、単独たんどく犯はん、複数ふくすう犯はんなど様々さまざまな変遷へんせんを重かさね[1]、最高裁さいこうさいまで7回かい変更へんこうとなった。

事件じけんについては、以下いかのように非常ひじょうに多おおくの疑問ぎもん点てんがあり、それらに関連かんれんする証拠しょうこについて検証けんしょう・整理せいりした書籍しょせきが出だされている。

  • 事故じこの当該とうがい車両しゃりょうに取とり付つけられていたMC1A形かたちマスター・コントローラーは錠じょうを解除かいじょしないと操作そうさできず、その錠じょうを針金はりがねで開ひらけ錠じょう出来できるのかという問題もんだい
  • MC1A形かたちのデッドマン装置そうち（マスコンから手てを放はなすと、ハンドルがニュートラルの状態じょうたいに戻もどるデッドマン装置そうちがあった）を、片手かたてだけで紙かみ紐ひもによって固定こていして機能きのうを殺ころしたとされているが、それが可能かのうなのかという問題もんだい
    • 速度そくど固定こていのために使つかわれていた紙かみ紐ひもはコイル巻まきになっていたが、竹内たけうちに結むすべるのかという問題もんだい
  • 事件じけん発生はっせい当時とうじ、停電ていでん中ちゅうの暗闇くらやみの中なかで事件じけん現場げんば近ちかくを歩あるく竹内たけうちを目撃もくげきしたとする後輩こうはいの証言しょうげんの信憑しんぴょう性せい
  • 前述ぜんじゅつの犯行はんこう時間じかんとされた時間じかん帯たいに元もと同僚どうりょうと風呂ふろに入はいっていたアリバイ
  • 竹内たけうち自身じしんは人員じんいん整理せいりを受うけ入いれて退職たいしょく金きんを受うけ取とることを決きめ、労働ろうどう運動うんどうから降おりて消防署しょうぼうしょの面接めんせつを受うけていたこと

2011年ねん（平成へいせい23年ねん）11月がつ10日とおか、竹内たけうちの長男ちょうなんが2回かい目めの再審さいしん請求せいきゅうを申もうし立たてた[20]が、2019年ねん（令れい和わ元年がんねん）7月がつ31日にちに東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ（後藤ごとう真理子まりこ裁判さいばん長ちょう）は再審さいしん開始かいしを認みとめない決定けっていをした[21]。弁護べんご団だんはこの決定けっていを不服ふふくとして同どう高裁こうさいに異議いぎを申もうし立たてたが、2022年ねん3月がつ1日にち、同どう高裁こうさいに棄却ききゃくされ、最高裁さいこうさいに特別とくべつ抗告こうこくした[22]。2024年ねん4月がつ17日にちに最高裁さいこうさいで特別とくべつ抗告こうこくが棄却ききゃくされ再審さいしん開始かいしを認みとめない決定けっていが確定かくていした[23]。

事故じこ車両しゃりょう 編集へんしゅう

事故じこ車両しゃりょうのうち、先頭せんとう車しゃのモハ63019は証拠しょうこ物件ぶっけんとして東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうから保全ほぜん命令めいれいが出だされた。長年ながねんにわたり車くるま籍せきを保持ほじしたまま三さん鷹たか電車でんしゃ区くに鉄骨てっこつのみの車体しゃたいが保管ほかんされていたが、保全ほぜん命令めいれいが解除かいじょされたため1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）12月に除籍じょせき（廃車はいしゃ）となり、解体かいたい処分しょぶんされた。2両りょう目めのモハ63057は廃車はいしゃとなったが、西武鉄道せいぶてつどうに譲渡ゆずりわたされ、401系けいとして再生さいせいされた。他たの車両しゃりょうは復旧ふっきゅうされた。

その他た 編集へんしゅう

謀はかりごと略説りゃくせつに関かかわるもの 編集へんしゅう

「1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）7月がつ15日にちに三鷹みたか駅えきで大だい事件じけんが起おきる」という噂うわさが警察けいさつ関係かんけいで語かたられていたとの指摘してきが存在そんざいする。事故じこによって大破たいはした三鷹みたか駅前えきまえの交番こうばんには4人にんの警察官けいさつかんが勤務きんむしていたが、事件じけん時じは交番こうばんを留守るすにしていたため4人にん全員ぜんいんが無事ぶじであったことなどが傍証ぼうしょうとしてあげられている[24]。

その他た、いくつかの不可解ふかかいな動うごき、特とくに共産きょうさん党員とういんの犯行はんこうであるかのように印象いんしょうづける以下いかのような証言しょうげんもなされた。

  • 中野なかの電車でんしゃ区くで「今夜こんや、三鷹みたか駅えきで共産党きょうさんとうが大だい事故じこを起おこす」という噂うわさが流ながれていたとの証言しょうげん[25]
  • 事故じこ直後ちょくごに三鷹みたか駅前えきまえの広報こうほう放送ほうそうで「この事故じこは、共産きょうさん党員とういんが関係かんけいしているとみられます。（以下いか略りゃく）」との放送ほうそうが流ながれたという証言しょうげん[25]
  • 事故じこ発生はっせい直後ちょくごにヤクザ風ふうの男おとこ20 - 30人にんの一団いちだんが、駅前えきまえ広場ひろばに駆かけ出でてきて現状げんじょう保存ほぞんのため手際てぎわよく縄なわを張はり、「これは共産党きょうさんとうの仕業しわざだ」と吹聴ふいちょうしたという証言しょうげん[26]
  • 米べい軍ぐんMPのジープが素早すばやくやって来きて、事故じこ現場げんば周辺しゅうへんの人々ひとびとを「ゲッタウエイ」（Get away）と追おい出だしたという証言しょうげん[26]

1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）に東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょの裁判さいばん長ちょうとして判決はんけつを下くだした鈴木すずき忠ただし五ごは、後年こうねんの回想かいそうで本ほん事件じけんについて「事件じけんそのものは非常ひじょうに単純たんじゅんなんです」「あの当時とうじ米べい軍ぐんに司法しほう関係かんけいの二に世せいがいて、それが共産党きょうさんとうをやっつけることに使命しめいを感かんじ、それの意向いこうが八王子はちおうじの検察官けんさつかんの間あいだにあったと思おもうんです」「警察けいさつの方ほうは、むしろ共産党きょうさんとうだとは思おもっていなかったのではないか、というフシもありますね」と語かたっている。その上うえで「竹内たけうちの目的もくてきは、全部ぜんぶの電車でんしゃを車庫しゃこから出でられないようにすることで、電車でんしゃを暴走ぼうそうさせることではなかった」「どういうはずみか、ポイントが止とめてあるのに、そこを突つっ切きって電車でんしゃが動うごきだし、大だい事故じこになったわけです。だから、竹内たけうちも全然ぜんぜん予期よきしていなかったことが起おこったわけです。」とし、竹内たけうちの妻つまが「大変たいへんな事故じこで死人しにんが出でているらしいから一緒いっしょに見みにいこう」と言いって帰宅きたくしていた竹内たけうちを無理むりに引ひっ張ぱり出だすも、「途中とちゅうで誰だれかに死者ししゃが何人なんにんも出でたということを聞きいて、もう竹内たけうちは女房にょうぼうに、『お前まえ、行いくなら勝手かってに行いけ。オレはそんなの見みるのはいやだから帰かえる』といって帰かえってしまっている。その心理しんり状態じょうたいです」など、数々かずかずの秘話ひわを明あかしている[27]。

日本にっぽん共産党きょうさんとうとの関係かんけいによる竹内たけうち犯行はんこう説せつに関かかわるもの 編集へんしゅう

竹内たけうちは、再審さいしん請求せいきゅう補充ほじゅう書しょ[28]で「弁護士べんごしから、罪つみを認みとめても大たいした刑けいにならない、必かならず近ちかいうちに人民じんみん政府せいふが樹立じゅりつされる、ひとりで罪つみを認みとめて他たの共産きょうさん党員とういんを助たすければ、あなたは英雄えいゆうになると説得せっとくされた」と主張しゅちょうしている。また、竹内たけうちと面会めんかいした加賀かが乙彦おとひこは、竹内たけうちが「おれは弱よわい人間にんげんなんですね。弱よわいから人ひとをすぐ信用しんようしてしまう。党とうだって労組ろうそだって、大勢おおぜいでお前まえを全面ぜんめん的てきに信用しんようするといわれれば、すっかり嬉うれしくなって信用しんようしてしまった。（略りゃく）けっきょく、党とうによって死刑しけいにされたようなもんです。」と語かたっていたと述のべている[1]。

兵へい本もと達吉たつきちによると、主任しゅにん弁護士べんごしとして本ほん事件じけんに関かかわった林はやし百ひゃく郎ろうは後年こうねん、竹内たけうちはクロ（有罪ゆうざい）であるとし、「もう一度いちど、『三鷹みたか事件じけん』のことを考かんがえてみた。竹内たけうちがシロだと考かんがえると証拠しょうこと証拠しょうこの間あいだに次々つぎつぎと矛盾むじゅんが起おこる。しかし、クロだと考かんがえるとつじつまが合あうのだ」と述のべていたという[29]。

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

発行はっこう順じゅん

  • 小松こまつ良郎よしろう『三鷹みたか事件じけん』三さん一いち書房しょぼう、1967年ねん。 
  • 松村まつむら高夫たかお『どこまで解明かいめいされたか』三鷹みたか事件じけん再審さいしんを支援しえんする会かい。 
  • 堀川ほりかわ惠子けいこ『教誨きょうかい師し』講談社こうだんしゃ、2014年ねん、54-67, 183-187頁ぺーじ。ISBN 4062187418。 

関連かんれん資料しりょう 編集へんしゅう

著作ちょさく者しゃ順じゅん

  • 片島かたしま紀男のりお『三鷹みたか事件じけん 1949年ねん夏なつに何なにが起おきたのか』日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい、1999年ねん、ISBN 4140804408[30]。のち新風しんぷう社しゃ〈新風しんぷう舎しゃ文庫ぶんこ〉、2005年ねん。
  • 亀井かめい勝一郎かついちろう他た『竹内たけうち景けい助すけの助命じょめい嘆願たんがんについて』、1958年ねん。
  • 高見澤たかみざわ昭治しょうじ『無実むじつの死刑しけい囚しゅう　三鷹みたか事件じけん竹内たけうち景けい助すけ』日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、2009年ねん。ISBN 9784535517202
  • 高見澤たかみざわ昭治しょうじ、大石おおいし進すすむ、五十嵐いがらし二に葉よう (2010年ねん)「検証けんしょう 冤罪えんざいはこうしてつくられた(上うえ)『無実むじつの死刑しけい囚しゅう--三鷹みたか事件じけん 竹内たけうち景けい助すけ』をめぐって」、『法ほうと民主みんしゅ主義しゅぎ』第だい446号ごう、55-69頁ぺーじ。
  • 高見澤たかみざわ昭治しょうじ、大石おおいし進すすむ、五十嵐いがらし二に葉よう (2010-04)「検証けんしょう 冤罪えんざいはこうしてつくられた(下した)『無実むじつの死刑しけい囚しゅう--三鷹みたか事件じけん 竹内たけうち景けい助すけ』をめぐって」、『法ほうと民主みんしゅ主義しゅぎ』第だい447号ごう、66-80頁ぺーじ。
  • 竹内たけうち景けい助すけ『春はるを待まついのち ：まさ子こにおくる手紙てがみ』、平井ひらい潔きよし (編へん)、青春せいしゅん出版しゅっぱん社しゃ〈青春せいしゅん新書しんしょ〉、1956年ねん。
  • 『下山げざん・三鷹みたか事件じけんの眞相しんそう』、日本にっぽん共産党きょうさんとう教育きょういく宣傳せんでん部ぶ (編集へんしゅう)、中央ちゅうおう書籍しょせき(発売はつばい)、1949.8
  • 『「三鷹みたか事件じけん」裁判さいばん関係かんけい資料集しりょうしゅう　DVD-ROM版ばん』、不ふ二に出版しゅっぱん。
  • 梁田やなだ政まさし方かた『三鷹みたか事件じけんの真実しんじつにせまる : 1949.7.15』、光陽こうよう出版しゅっぱん社しゃ、2012年ねん。
  • 横谷よこたに武男たけお、田代たしろ勇いさむ「三鷹みたか事件じけん」『法ほうにふれた人ひと』谷川たにがわ健一けんいち、鶴見つるみ俊輔しゅんすけ、村上むらかみ一郎いちろう (責任せきにん編集へんしゅう)、第だい10巻かん、学芸がくげい書林しょりん〈ドキュメント日本人にっぽんじん〉、1969年ねん1月がつ。

脚註きゃくちゅう 編集へんしゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ 事件じけん直前ちょくぜんに国鉄こくてつを解雇かいこされていた竹内たけうちは食料しょくりょう品ひんの販売はんばいで生計せいけいを立たてていた。
  2. ^ 『法律ほうりつ時報じほう』1950年ねん10月がつ号ごう別冊べっさつ附録ふろくに判決はんけつ文ぶん他たがまとめてある。「三鷹みたか事件じけん判決はんけつ全文ぜんぶん」に続つづき、「理由りゆう」（2-130頁ぺーじ）に「第だい一いち 被告人ひこくにん竹内たけうち景けい助すけに関かんする部分ぶぶん」（2-29頁ぺーじ）、「第だい二に 被告人ひこくにん飯田いいだ七なな三さん、同どう清水しみず豊ゆたか、同どう外山とやま勝しょう将はた、同どう横谷よこたに武男たけお、同どう田代たしろ勇いさむ、同どう宮原みやはら直行なおゆき、同どう伊藤いとう正信まさのぶ、同どう喜屋武きやん由ゆかり放ひ、同どう先崎まっさき邦くに彥に関かんする部分ぶぶん（29-130頁ぺーじ）を掲載けいさい[4]。
  3. ^ 判事はんじのうち田中たなか耕こう太郎たろう、齋藤さいとう悠ゆう輔、岩松いわまつ三郎さぶろう、入江いりえ俊郎としお、霜山しもやま精一せいいち、井上いのうえ登のぼる、河村かわむら又また介かい、本村もとむら善太郎ぜんたろうの8人にんが上告じょうこく棄却ききゃく（死刑しけい確定かくてい）、真野まの毅あつし、栗山くりやま茂しげる、小谷おたに勝重かつしげ、藤田ふじた八郎はちろう、谷村たにむら唯ゆい一郎いちろう、島しま保たもつ、小林こばやし俊三しゅんぞうの7人にんが破棄はき差さし戻もどし（死刑しけい判決はんけつの審理しんりやり直なおし）をそれぞれ主張しゅちょうした。

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ a b c d 堀川ほりかわ惠子けいこ『教誨きょうかい師し』講談社こうだんしゃ、2014年ねん、54-67, 183-187頁ぺーじ。ISBN 4062187418。 
  2. ^ 竹内たけうち景けい助すけ、橫谷よこたに武男たけお、田代たしろ勇いさむ、宮原みやはら直行なおゆき、淸水しみず豐ゆたか、外山とやま勝かつ將すすむ「独占どくせん発表はっぴょう　三鷹みたか事件じけん六ろく被告ひこくの手記しゅき」『世界せかい評論ひょうろん』第だい5巻かん第だい1号ごう、1950年ねん1月がつ、94-117頁ぺーじ、doi:10.11501/3556894。 
  3. ^ 「また単独たんどくを主張しゅちょう」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』昭和しょうわ25年ねん7月がつ1日にち4面めん
  4. ^ 「別冊べっさつ附録ふろく;10月がつ号ごう」『法律ほうりつ時報じほう』第だい22巻かん10 (245)、日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、東京とうきょう、1950年ねん10月がつ1日にち。 
  5. ^ 三鷹みたか被告ひこく団だん一同いちどう対策たいさく委員いいん会かい「判決はんけつに対たいして訴うったえる」『部落ぶらく』第だい67号ごう、部落ぶらく問題もんだい研究所けんきゅうじょ、京都きょうと、1955年ねん8月がつ、19-20頁ぺーじ、doi:10.11501/2800417。 
  6. ^ 竹内たけうち景けい助すけ、佐多さた稻子いなこ「往復おうふく書簡しょかん 無実むじつの眞実しんじつのために日本にっぽんの動向どうこうを支配しはいするもの」『新しん日本にっぽん文学ぶんがく』第だい8巻かん第だい2号ごう、新しん日本にっぽん文学ぶんがく会かい、1953年ねん2月がつ、72-74頁ぺーじ、doi:10.11501/6078886。 
  7. ^ 竹内たけうち景けい助すけ「〝わたしは無罪むざいだ〟」『新あたらしい世界せかい』第だい68号ごう、日本にっぽん共産党きょうさんとう出版しゅっぱん局きょく事業じぎょう部ぶ、1953年ねん6月がつ、82-86 (0043.jp2)、doi:10.11501/3542949。 
  8. ^ 竹内たけうち景けい助すけ「人間にんげんの真実しんじつを守もりつて」『部落ぶらく』第だい67号ごう、部落ぶらく問題もんだい研究所けんきゅうじょ、京都きょうと、1955年ねん8月がつ、16-19 (0010.jp2)、doi:10.11501/2800417。 
  9. ^ 竹内たけうち景けい助すけ、緑みどりの会かい編集へんしゅう部ぶ (編へん)「これが日本にっぽんの裁判さいばんか」『人生じんせい手帖てちょう』第だい5巻かん第だい11号ごう、文理ぶんり書院しょいん、東京とうきょう、1956年ねん11月、34-39頁ぺーじ、doi:10.11501/1775583。 
  10. ^ 佐々木ささき守雄もりお「「私わたしは絶対ぜったいやっておりません」--三鷹みたか事件じけんの竹内たけうち景けい助すけ氏しと会あって」『労働ろうどう法律ほうりつ旬報じゅんぽう』、旬報じゅんぽう社しゃ、1956年ねん12月、16-19 (0009.jp2)、doi:10.11501/2819483。 
  11. ^ 竹内たけうち景けい助すけ「おいしいものから食たべなさい」『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』第だい35巻かん2 (205)、1957年ねん2月がつ、212-224頁ぺーじ、doi:10.11501/3198099。 
  12. ^ 『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』。 
  13. ^ 竹内たけうち景けい助すけ「三鷹みたか事件じけんと私わたし」『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』第だい49巻かん第だい12号ごう、1971年ねん9月がつ、88頁ぺーじ、doi:10.11501/3198301。 
  14. ^ 秋元あきもと寿恵ひさえ夫おっと「竹内たけうち景けい助すけ氏しの独房どくぼうにおける健康けんこうと環境かんきょう衛生えいせいの鑑定かんてい書しょ」『医学いがく評論ひょうろん』第だい32号ごう、新しん日本にっぽん医師いし協会きょうかい、東京とうきょう、1967年ねん8月がつ、37-42頁ぺーじ、doi:10.11501/3383907。 
  15. ^ 『朝日新聞あさひしんぶん』1967年ねん1月がつ18日にち東京とうきょう夕刊ゆうかん第だい3版はん第だい一いち社会しゃかい面めん9頁ぺーじ「三鷹みたか事件じけんの竹内たけうちが死亡しぼう」（朝日新聞あさひしんぶん東京とうきょう本社ほんしゃ）
  16. ^ 「死刑しけい囚しゅう･竹内たけうち景けい助じょ遺族いぞくの痛憤つうふん--三鷹みたか事件じけんただ一人ひとりの有罪ゆうざい者しゃが突然とつぜん獄死ごくしするまで」『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』第だい9巻かん5 (404)、1967年ねん2月がつ、26-29頁ぺーじ。 
  17. ^ 竹内たけうちまさ子こ「本誌ほんし独占どくせん〝三さん鷹たか事件じけん〟竹内たけうち景けい助じょ未亡人みぼうじんの手記しゅき」『新しん評ひょう』、新しん評ひょう社しゃ、東京とうきょう、1967年ねん4月がつ、46-56 (0025.jp2)、doi:10.11501/1808054。 
  18. ^ 松村まつむら高夫たかお, p. 49.
  19. ^ 「昭和しょうわ四よん三さん年ねん（し）三さん四よん　再審さいしん請求せいきゅう事件じけんについてした異議いぎ申立もうしたて棄却ききゃくの決定けっていに対たいする特別とくべつ抗告こうこく|申立もうしたて人じん（弁護人べんごにん）小沢おざわ茂しげる外がい一いち九きゅう名めい |再審さいしん請求せいきゅう人じん（竹内たけうち景けい助すけ）一いち一いち・二に九きゅう 二に 棄却ききゃく 東京とうきょう高だか」『最高裁判所さいこうさいばんしょ裁判さいばん集しゅう』 刑事けいじ 169(昭和しょうわ43年ねん10月がつ-昭和しょうわ43年ねん12月がつ）、573 (0295.jp2)頁ぺーじ。doi:10.11501/1349097。 
  20. ^ “三鷹みたか事件じけん、４４年ねんぶりに再審さいしん請求せいきゅう　元もと死刑しけい囚しゅう長男ちょうなんが東京とうきょう高裁こうさいに申もうし立たて”. MSN産経さんけいニュース. (2011年ねん11月11日にち). オリジナルの2011年ねん11月12日にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111112000505/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111111/trl11111100120000-n1.htm 2013年ねん11月9日にち閲覧えつらん。 
  21. ^ 「東京とうきょう高裁こうさい、「三鷹みたか事件じけん」再審さいしん認みとめず　昭和しょうわ２４年ねんの旧きゅう国鉄こくてつ列車れっしゃ暴走ぼうそう」『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、2019年ねん7月がつ31日にち。2020年ねん9月がつ20日はつか閲覧えつらん。オリジナルの2020年ねん9月がつ20日はつか時点じてんにおけるアーカイブ。
  22. ^ “「三鷹みたか事件じけん」異議いぎ申もうし立たて棄却ききゃく　再審さいしん認みとめず、弁護べんご団だんが特別とくべつ抗告こうこく―東京とうきょう高裁こうさい”. JIJI.COM. 2022年ねん3月がつ11日にち閲覧えつらん。
  23. ^ 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい (2024年ねん4月がつ17日にち). “「三鷹みたか事件じけん」 竹内たけうち景けい助じょ元もと死刑しけい囚しゅうの再審さいしん 最高裁さいこうさいも認みとめない決定けってい | NHK”. NHKニュース. 2024年ねん4月がつ17日にち閲覧えつらん。
  24. ^ 小松こまつ良郎よしろう 1967, p. 10.
  25. ^ a b 松村まつむら高夫たかお, p. 14.
  26. ^ a b 松村まつむら高夫たかお, p. 15.
  27. ^ 野村のむら二郎じろう『法曹ほうそうあの頃ころ（下した）』（日にち評ひょう選書せんしょ、1981年ねん）pp.170-172
  28. ^ 福田ふくだ玲れい三さん『労働ろうどう研究けんきゅう』第だい358号ごう、労働ろうどう運動うんどう研究所けんきゅうじょ、1999年ねん8月がつ、47頁ぺーじ、doi:10.11501/1817140。 
  29. ^ 兵へい本もと達吉たつきち『日本にっぽん共産党きょうさんとうの戦後せんご秘史ひし』新潮社しんちょうしゃ、2008年ねん、96-97頁ぺーじ。ISBN 978-4-10-136291-5。OCLC 269438831。 
  30. ^ 志こころざし保田やすだ行こう「本ほんの紹介しょうかい| 片島かたしま紀男のりお著ちょ｢三さん鷹たか事件じけん｣」『労働ろうどう研究けんきゅう』第だい358号ごう、労働ろうどう運動うんどう研究所けんきゅうじょ、1999年ねん8月がつ、47 (0025.jp2)、doi:10.11501/1817140。 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

 
ウィキメディア・コモンズには、三鷹みたか事件じけんに関連かんれんするカテゴリがあります。
 

この項目こうもくは、犯罪はんざい・事件じけん（犯罪はんざい者しゃ・犯罪はんざい組織そしきなどを含ふくむ）に関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（プロジェクト:事件じけん・事故じこ）。

 

この項目こうもくは、鉄道てつどうに関連かんれんした書かきかけの項目こうもくです。この項目こうもくを加筆かひつ・訂正ていせいなどしてくださる協力きょうりょく者しゃを求もとめています（P:鉄道てつどう/PJ鉄道てつどう）。

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=三鷹みたか事件じけん&oldid=100046076」から取得しゅとく