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自然災害 - Wikipedia

自然しぜん災害さいがい

暴風ぼうふう豪雨ごうう豪雪ごうせつ洪水こうずい高潮こうちょう地震じしん津波つなみ噴火ふんかその異常いじょう自然しぜん現象げんしょうによりしょうずる被害ひがい
天災てんさいから転送てんそう

自然しぜん災害さいがい(しぜんさいがい、えい: natural disaster)とは、危機ききてき自然しぜん現象げんしょう(natural hazard, たとえば火山かざん噴火ふんか地震じしんすべりなど)によって、ひといのち人間にんげん社会しゃかいてき活動かつどう被害ひがいしょうじる現象げんしょうう。

スマトラ島すまとらとうおき地震じしん(2004ねん)の津波つなみ破壊はかいされたスマトラ島すまとらとう西部せいぶまち

日本にっぽん法令ほうれいじょうでは自然しぜん災害さいがいは「暴風ぼうふう豪雨ごうう豪雪ごうせつ洪水こうずい高潮こうちょう地震じしん津波つなみ噴火ふんかその異常いじょう自然しぜん現象げんしょうによりしょうずる被害ひがい」と定義ていぎされている(被災ひさいしゃ生活せいかつ再建さいけん支援しえんほう2じょう1ごう)。

たんなる自然しぜん現象げんしょうが、人的じんてき被害ひがいともな自然しぜん災害さいがい発展はってんしたり、災害さいがい拡大かくだいしたりするには、現地げんち社会しゃかい条件じょうけんおおきな影響えいきょうおよぼす[1]

ディザスターとハザード

編集へんしゅう
 
ハリケーン・カトリーナ衛星えいせい写真しゃしん

自然しぜん災害さいがいがなぜこるかについては、つぎ公式こうしき帰結きけつしている。

Disasters occur when hazards meet vulnerability.[2]
災害さいがいは、危機きき脆弱ぜいじゃくせい出会であうことでこる

社会しゃかい脆弱ぜいじゃくせい災害さいがいたいするよわさ)は、防災ぼうさい計画けいかくかったり、適切てきせつ危機きき管理かんりがなされなかったりすることでさらにおおきくなり、人的じんてき被害ひがい経済けいざいてき被害ひがい環境かんきょうたいする被害ひがいおおきくする。最終さいしゅうてき被害ひがいおおきさは、被害ひがいしゃ支援しえん災害さいがい拡大かくだいおさえるための人員じんいんかずや、災害さいがいからの回復かいふくりょくおおきさに依存いぞんする [3]

disaster」(「災害さいがい」)と 「hazard」(「危機きき」、「現象げんしょう」)は意味いみことなる。ユネスコ地球ちきゅう科学かがくプログラム [1] では、「ナチュラル・ハザード」(Natural Hazard、自然しぜん現象げんしょう)と「ナチュラル・ディザスター」(Natural Disaster, 自然しぜん災害さいがい)をつぎのように定義ていぎしている[4]

ナチュラル・ハザード」とは、大気たいき地質ちしつがくみず文学ぶんがくてき原因げんいんで、太陽系たいようけい規模きぼ地球ちきゅう規模きぼ地域ちいき規模きぼ国家こっか規模きぼあるいは地方ちほう規模きぼ範囲はんいを、急速きゅうそくまたは緩慢かんまんおそ事象じしょうによりこされる、自然しぜん発生はっせいする物理ぶつりてき現象げんしょうである。地震じしん火山かざん噴火ふんかすべり、津波つなみ洪水こうずいかんばつがふくまれる。
ナチュラル・ディザスター」(自然しぜん災害さいがい)とは、ナチュラル・ハザードの結果けっかまたは影響えいきょうである。社会しゃかい持続じぞく可能かのうせい崩壊ほうかいと、経済けいざいてき社会しゃかいてき発展はってん混乱こんらん意味いみする。

もし天変地異てんぺんちいなどの「自然しぜん現象げんしょう」(ナチュラル・ハザード)がこったとしても、その場所ばしょ脆弱ぜいじゃくせいければ(たとえば災害さいがいたいするそなえが万全ばんぜんだった、あるいはそもそも異変いへんこった一帯いったいにだれもんでいない場合ばあい)、「自然しぜん災害さいがい」(ナチュラル・ディザスター)がこることはない。もしその環境かんきょう人間にんげん活動かつどう社会しゃかいければ、自然しぜん現象げんしょうたんなる現象げんしょうであり、だれ被害ひがいける可能かのうせいはないため「危機きき」にも「災害さいがい」にもならない。このため、「自然しぜん災害さいがい」の「自然しぜん」(natural)という部分ぶぶんたいする異議いぎ一部いちぶにある[5]

自然しぜん災害さいがいは、人為じんいてき原因げんいんによる災害さいがい(「人災じんさい」)にたいして、天災てんさいともばれる。しかし実際じっさいに「天災てんさい」とばれているものは、社会しゃかい脆弱ぜいじゃくせいなど人為じんいてき原因げんいんにより人的じんてき被害ひがい拡大かくだいされている側面そくめんおおきいため、「天災てんさい」というかた適切てきせつなものではない。地震じしん自然しぜん現象げんしょうだが、もろ建物たてものくずれたり救援きゅうえんとどかなかったりすることによって地震じしん災害さいがい拡大かくだいする。自然しぜん現象げんしょうである大雨おおあめは、森林しんりん乱伐らんばつなどによって土砂どしゃ災害さいがい危険きけんせい拡大かくだいさせたり、低地ていちへの居住きょじゅうなどによって浸水しんすいによる被害ひがい拡大かくだいさせたりする。大雨おおあめとはぎゃく自然しぜん現象げんしょうであるかんばつは、社会しゃかい不平等ふびょうどう政府せいふ失策しっさくにより、都市とし軍隊ぐんたいには食物しょくもつ確保かくほされる一方いっぽう農村のうそんまずしい人々ひとびと食物しょくもつとどかなくなることで、飢饉ききんという災害さいがいへと拡大かくだいする。かんばつのため食糧しょくりょう不足ふそくにさらされる人達ひとたち食物しょくもつ雇用こよう供給きょうきゅうする政策せいさくが、民主みんしゅ主義しゅぎのインセンティブによって実行じっこううつされきちんと機能きのうする場合ばあい飢饉ききんという災害さいがい発生はっせいしないが、まずしい人々ひとびとこえ必要ひつよう権威けんい主義しゅぎてき体制たいせい政府せいふ状態じょうたいでは、かんばつは容易ようい飢饉ききんへと拡大かくだいする[6]

自然しぜん現象げんしょう

編集へんしゅう

「ナチュラル・ハザード」(自然しぜん現象げんしょうによる危機きき)は、人間にんげん社会しゃかい環境かんきょうたいして否定ひていてき影響えいきょう現象げんしょうこる脅威きょういす。ナチュラル・ハザードのおおくは連続れんぞくてきこる。たとえば、地震じしん津波つなみこし、かんばつは飢餓きが疾病しっぺいこす。

1995ねん1がつ17にちこった「兵庫ひょうごけん南部なんぶ地震じしん」は「ナチュラル・ハザード」(自然しぜん現象げんしょう)であるが、その結果けっかこされ、すうねんにわたりだい規模きぼ人的じんてき被害ひがい経済けいざいてき被害ひがいなどがつづいた「阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい」は「ナチュラル・ディザスター」(自然しぜん災害さいがい)である。

また「ナチュラル・ハザード」という言葉ことば将来しょうらいきる可能かのうせいのある脅威きょういたとえば発生はっせい予想よそうされる地震じしんや、大雨おおあめった場合ばあい洪水こうずい)を場合ばあい使つかわれるが、「ナチュラル・ディザスター」(自然しぜん災害さいがい)は過去かここった、あるいは現時点げんじてんこっている社会しゃかいてき出来事できごと関連付かんれんづけて使つかわれる。

自然しぜん災害さいがいれい

編集へんしゅう
 
ハワイいえおそ溶岩ようがんりゅう

火山かざん噴火ふんかは、それに付随ふずいしてさまざまな自然しぜん災害さいがいこす。噴火ふんかそのものによる空振からぶりのほか、火山灰かざんばい火山かざんだん軽石かるいしスコリアなどの火山かざん砕屑ぶつ周辺しゅうへんもって農作物のうさくもつ建物たてもの被害ひがいあたえ、大気たいき汚染おせんする。また大気たいきちゅう火山灰かざんばい飛行機ひこうき運行うんこう困難こんなんにするなど交通こうつう経済けいざい重大じゅうだい損害そんがいをもたらす。2010ねんアイスランドエイヤフィヤトラヨークトルこった噴火ふんか場合ばあいヨーロッパ大陸たいりくひろ範囲はんいにおいて飛行ひこう禁止きんしされ、すうじゅうまんにんあし影響えいきょうた(2010ねんのエイヤフィヤトラヨークトルの噴火ふんかによる交通こうつう麻痺まひ[7]非常ひじょうだい規模きぼな、いわゆる破局はきょく噴火ふんか場合ばあい火山灰かざんばい大気圏たいきけんひろがって太陽光たいようあきらさえぎり、日傘ひがさ効果こうかによる火山かざんふゆばれる低温ていおんすうねんにわたってもたらすこともある。れいとしては、いまから7まんねんまえから7まん5せんねんまえきたとかんがえられているインドネシア・トバ火山かざん噴火ふんか気温きおん平均へいきん5げ、人類じんるい一時いちじ絶滅ぜつめつ寸前すんぜんにまでんだとする理論りろん存在そんざいする[8]

溶岩ようがんりゅう流速りゅうそくおそひと直接ちょくせつまれることはそれほどおおくないが、周囲しゅうい土地とちんだ場合ばあいそのまま固化こかして岩石がんせきとなるため、農地のうち住宅じゅうたくまれた場合ばあい使用しよう不能ふのうとなる[9]火山かざんガスは高温こうおんじょう二酸化炭素にさんかたんそ二酸化にさんか硫黄いおう硫化りゅうか水素すいそなどの有毒ゆうどく気体きたいおおふくまれ、また酸素さんそすくないため、有毒ゆうどく成分せいぶん吸入きゅうにゅうさんかけによって人間にんげん死亡しぼうすることもめずらしくない。火砕流かさいりゅう高温こうおんうえ非常ひじょう速度そくどはやく、発生はっせいした場合ばあい多数たすう人々ひとびと死亡しぼうすることがおおい。もったはいあめなどと一緒いっしょ一気いっきながれる火山かざんどろりゅう同様どうよう直接的ちょくせつてき被害ひがいおおきく、火砕流かさいりゅうならんで非常ひじょう危険きけんである[10]

こうした直接ちょくせつ噴出ふんしゅつぶつのほか、噴火ふんかによってやまたい崩壊ほうかいこった場合ばあい多数たすう人命じんめいうしなわれることがおおい。さらにやまたい崩壊ほうかいうみちかくでこった場合ばあいには大量たいりょう土砂どしゃがそのまま津波つなみこし、対岸たいがんにも巨大きょだい被害ひがいあたえる。このやまたい崩壊ほうかいによる津波つなみとしては、1792ねん雲仙岳うんぜんだけ噴火ふんかによって眉山びざんやまたい崩壊ほうかいこし、対岸たいがん肥後ひごだい津波つなみおそった島原しまばら大変たいへん肥後ひご迷惑めいわくなどがられている[11]

地震じしんによる災害さいがい震災しんさいばれる。まず地震じしんそのもののれによって巨大きょだい被害ひがいをもたらすほか、地形ちけいそのものが隆起りゅうき沈降ちんこうしたり、地割じわこしたり、あるいは地盤じばん沈下ちんか液状えきじょう現象げんしょうなどをこして建造けんぞうぶつなどを破損はそんする[12]地震じしん発生はっせいにはこの衝撃しょうげきともな火災かさいもしばしば発生はっせいする。しかしなによりも、地震じしん付随ふずいする災害さいがいとしてもっとおおきなものは津波つなみである。地震じしんともな津波つなみだい被害ひがいをもたらすことがおおく、2011ねんきた東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいにおいては死亡しぼうしゃやく9わり以上いじょう津波つなみによる死者ししゃであったとされる[13]津波つなみ建造けんぞうぶつ人命じんめい直接ちょくせつ被害ひがいほか津波つなみった土地とち塩害えんがいをもたらす[14]

土砂どしゃ災害さいがい

編集へんしゅう

土砂どしゃ災害さいがいおおくは地震じしん大雨おおあめなどによってこされ、すべりがけくずなどの斜面しゃめん崩壊ほうかい土石流どせきりゅうなどがふくまれる[15]斜面しゃめん崩壊ほうかい崩壊ほうかい部分ぶぶんふかさによって深層しんそう崩壊ほうかい表層ひょうそう崩壊ほうかいにさらにけられる。だい規模きぼ土砂どしゃ災害さいがい場合ばあいやまそのものがやまたい崩壊ほうかいこすことや、大量たいりょう土砂どしゃによってかわどう閉塞へいそく天然てんねんダム形成けいせいすることもある[16]

そのほかの地質ちしつ災害さいがいとしては、地下水ちかすいくらい低下ていかによって地盤じばん沈降ちんこう浸水しんすいなどをこす地盤じばん沈下ちんかや、石灰岩せっかいがんしつ地層ちそうちゅう侵食しんしょく進行しんこう突然とつぜん地表ちひょう陥没かんぼつするシンクホール(ドリーネ)、土壌どじょう地盤じばんなどの侵食しんしょくふかみずうみそこから二酸化炭素にさんかたんそ大量たいりょう噴出ふんしゅつすることで広範囲こうはんいにわたる窒息ちっそくこす湖水こすい爆発ばくはつなどがある[17]

気象きしょう

編集へんしゅう
 
竜巻たつまき破壊はかいされたいえ樹木じゅもく、2010ねんアメリカ・ミシシッピしゅう

風水害ふうすいがい

編集へんしゅう

ふう降雨こううによる災害さいがい同時どうじ発生はっせいすることもおおく、風水害ふうすいがい総称そうしょうされる。

水害すいがい原因げんいんとしておおきなものには熱帯ねったいてい気圧きあつがある。熱帯ねったいてい気圧きあつはその発生はっせいする地域ちいきによって台風たいふうハリケーンサイクロン名称めいしょうことなるが、強風きょうふう豪雨ごううによって居住きょじゅう地域ちいき被害ひがいをもたらすことは共通きょうつうしている。台風たいふうだけではなく、たん大量たいりょう降雨こううだけでも災害さいがい発生はっせいする。非常ひじょう多量たりょうあめ一部いちぶ地域ちいき集中しゅうちゅうして場合ばあい集中しゅうちゅう豪雨ごううばれる[18]集中しゅうちゅう豪雨ごううなかでも予測よそく不可能ふかのう場所ばしょ突発とっぱつてき積乱雲せきらんうん発生はっせい豪雨ごううとなるものをゲリラ豪雨ごううぶこともあるが、正式せいしき気象きしょう用語ようごではない[19]豪雨ごううなどによって陸地りくち水没すいぼつすることを洪水こうずいび、河川かせんから増水ぞうすいしたみず堤防ていぼう氾濫はんらんするそとすい氾濫はんらんと、堤防ていぼう内部ないぶみず河川かせん排水はいすいできずに内部ないぶであふれる内水うすい氾濫はんらんの2種類しゅるい存在そんざいする。こうした内水うすい氾濫はんらんは、コンクリートなどで地面じめんかためられ降雨こうう下水道げすいどうなどで処理しょりせざるをない都市としにおいて発生はっせいすることもおおく、これを都市としがた水害すいがいという[20]通常つうじょう洪水こうずい増水ぞうすい減水げんすいともにある程度ていど時間じかんがかかるが、地面じめん雨水あまみず吸収きゅうしゅうするよりはるかにはや大量たいりょう降雨こううがあった場合ばあい山崩やまくずれで発生はっせいした自然しぜんダムが崩壊ほうかいした場合ばあいなどに、突然とつぜん大量たいりょうみずせてすべてをなが場合ばあいがある。これを鉄砲水てっぽうみずび、氾濫はんらん範囲はんいせまみずくのもはやいが、まえれなくせることがおおいためおおきな被害ひがいをもたらす。鉄砲水てっぽうみず被害ひがいとくおおいのはいち大量たいりょう降雨こううのあることがおお砂漠さばく地帯ちたいである[21]

風害ふうがい原因げんいんとしては上記じょうきてい気圧きあつ台風たいふうなどの強風きょうふうのほか、ダウンバースト竜巻たつまきなどの突風とっぷうによるものもおおい。なかでも竜巻たつまき持続じぞく時間じかんこそせいぜい1あいだ程度ていどみじか被害ひがい範囲はんいせまいが、時速じそくは50km程度ていどはやうえ風速ふうそく時速じそく400kmにもたっするため、進路しんろじょうにある地域ちいき甚大じんだい被害ひがいあたえる[22]竜巻たつまき発生はっせいとくおおいのはきたアメリカ大陸あめりかたいりくであるが、それ以外いがい世界せかい各地かくちでも発生はっせいしている。こうしたてい気圧きあつうみにも影響えいきょうおよぼし、気圧きあつ低下ていかによる海面かいめんげによって高潮こうちょうこす。海水かいすいめんたかくなる高潮こうちょうことなり、高波たかなみはそのとおなみたかくなることで、てい気圧きあつによる強風きょうふうによって発生はっせいする[23]高潮こうちょう高波たかなみふく振動しんどう堤防ていぼう港湾こうわん破壊はかい侵食しんしょく浸水しんすいふね座礁ざしょうこす[24]。また、海水かいすいかぜけることによる、農作物のうさくもつ植物しょくぶつへの塩害えんがい発生はっせいする[14]砂漠さばく強風きょうふう砂塵さじんともなった砂嵐すなあらし発生はっせいさせ、黄砂こうさなどのように遠方えんぽうにまですな降下こうかさせる[25]

 
雪崩なだれ

ゆきによる災害さいがい雪害せつがい総称そうしょうされ、吹雪ふぶきブリザード)・地吹雪じふぶきによる視程してい障害しょうがいホワイトアウト)や積雪せきせつによる交通こうつう支障ししょう、落雪、ゆきおもみによる建造けんぞうぶつ物品ぶっぴん損壊そんかい雪崩なだれなどがふくまれる[26]多量たりょう降雪こうせつ積雪せきせつ豪雪ごうせつばれ、交通こうつう途絶とぜつなどによる多額たがく被害ひがい発生はっせいする。また、冷却れいきゃく状態じょうたいにある雨水あまみず地面じめん樹木じゅもくなどに衝突しょうとつするとその衝撃しょうげきによって雨氷うひょう形成けいせいされるが、これも交通こうつう電力でんりょくもうおおきな被害ひがいおよぼす。ふゆからはるにかけて、農作物のうさくもつ凍結とうけつしたりしもりたりすることをこお霜害そうがいぶ。くだ建物たてもの破損はそん農産物のうさんぶつへの被害ひがいをもたらすほか、おおきな雹が人体じんたい直撃ちょくげきした場合ばあいぬこともめずらしくない[27]かみなり落雷らくらいによる直接ちょくせつ構造こうぞうぶつ破損はそん火災かさいのほか、おも送電そうでん施設しせつへの電撃でんげき誘導ゆうどうかみなりによる電気でんきてき被害ひがいをもたらす[28]

気温きおん降水こうすい例年れいねんくらいちじるしく異常いじょうしめすことも災害さいがいの1つである。異常いじょう高温こうおんねつ猛暑もうしょばれ、夏季かき中心ちゅうしん発生はっせいし、熱中ねっちゅうしょうなどをこす。冬季とうき異常いじょう高温こうおん暖冬だんとうばれ、スキーじょうなど降雪こうせつ必要ひつよう産業さんぎょうおおきな被害ひがいあたえる。異常いじょう低温ていおん冬季とうきこった場合ばあい厳冬げんとうとなり、てい体温たいおんしょう発生はっせいしやすくなるほか、上記じょうき雪害せつがい発生はっせいしやすくなる。夏季かき異常いじょう低温ていおん冷夏れいかばれ、冷害れいがいこしておも農作物のうさくもつ生育せいいく不良ふりょうをもたらす[29]降水こうすい異常いじょうおお場合ばあい上記じょうきのように洪水こうずいこすが、異常いじょう少雨しょうう場合ばあいかんばつとなり、水不足みずぶそくによる生活せいかつ産業さんぎょうへの被害ひがい生態せいたいけいへの影響えいきょうをもたらす。冷害れいがいかんばつは農作物のうさくもつ収量しゅうりょう激減げきげんさせ、歴史れきしじょうしばしば飢饉ききんがねとなってきた[29]

異常いじょう乾燥かんそう落雷らくらいによってやま火事かじ発生はっせいすると、生態せいたいけい人命じんめい産業さんぎょうおおきな被害ひがいあたえる。やま火事かじ湿潤しつじゅん日本にっぽんでも平成へいせい26ねん平成へいせい30ねんの5ねん平均へいきん年間ねんかんやく1300けんほど発生はっせいしており[30]世界中せかいじゅう発生はっせいしているが、なかでもカリフォルニアやオーストラリアといった乾燥かんそうはげしい地域ちいきではおお発生はっせいする。やま火事かじ長期ちょうきすることもあり、2019ねん9がつ発生はっせいしたオーストラリア森林しんりん火災かさいは2020ねん2がつきた豪雨ごううによってめられるまで、半年はんとしにわたってつづけた[31]

生物せいぶつ

編集へんしゅう
 
トリインフルエンザウイルス(A H5N1)

生物せいぶつ災害さいがいとしては、生物せいぶつ異常いじょう発生はっせいによるさまざまな被害ひがいげられる。なかでもトノサマバッタサバクトビバッタといった一部いちぶバッタるいあい変異へんいこしだい発生はっせいするとすうせんおくひきえるような大群たいぐんとなり、ときにはすうせんkm以上いじょう距離きょり移動いどうしてその地域ちいき草本そうほんせいのものすべてをくしてしまう[32]。これはいなごがいばれ、農業のうぎょう経済けいざい巨大きょだい被害ひがいあたえる。

また疫病えきびょう発生はっせいによる被害ひがい生物せいぶつ起因きいんする自然しぜん災害さいがいめられる。ペスト麻疹ましん(はしか)、結核けっかくなどは歴史れきしてきにも幾度いくどとなく流行りゅうこうこしてきた。またスペインかぜ新型しんがたコロナウイルスなどもウイルスによる疫病えきびょう流行りゅうこうである。厳密げんみつには現時点げんじてんではウイルスは生物せいぶつではなく「細胞さいぼうせい生物せいぶつ」あるいは「生物せいぶつがくてき存在そんざい」とみなされているが、ミミウイルスなどの細菌さいきんとの類似るいじせいのあるウイルスや、レトロウイルスとトランスポゾンの類似るいじせい指摘してきもあり、ウイルスと生物せいぶつのボーダーは非常ひじょう曖昧あいまいであり、またウイルスそのものは人為じんいてき分類ぶんるいである可能かのうせいたかい。また発症はっしょうによる社会しゃかいへの影響えいきょうふくめ、生物せいぶつによる自然しぜん災害さいがいとみなされる。

地球ちきゅう温暖おんだんともない、日本にっぽん近海きんかいにおける海水温かいすいおん上昇じょうしょう気候きこう変動へんどうなどをて、媒介ばいかいとするウイルスや原虫げんちゅうによる疾患しっかん危惧きぐされている。

天文てんもん現象げんしょう

編集へんしゅう
 
隕石いんせき衝撃波しょうげきはかべ屋根やね一部いちぶ破壊はかいされた亜鉛あえん工場こうじょう2013ねん、ロシア・チェリャビンスクしゅう
 
太陽たいようフレアによる磁気嵐じきあらし地球ちきゅうおそ想像そうぞう電子でんし機器ききやコンピュータシステムが障害しょうがいこし社会しゃかい損害そんがいあたえることが懸念けねんされる。

天文てんもん現象げんしょうによる自然しぜん災害さいがいとしては、しょう天体てんたい落下らっか衝突しょうとつがまずげられる。きょだい隕石いんせき衝突しょうとつすると、しょう天体てんたい大気たいきちゅう通過つうか分解ぶんかい衝撃波しょうげきは発生はっせいし、落下らっかには巨大きょだい隕石いんせきあなクレーターができる。この衝撃しょうげきによって大量たいりょうちりげやそれによる太陽光たいようこう遮断しゃだん気候きこう急変きゅうへんき、いわゆる隕石いんせきふゆがもたらされるほかうみちた場合ばあいには津波つなみ発生はっせいする。れいとしては、6600まんねんまえはく亜紀あきには巨大きょだい隕石いんせき衝突しょうとつによって寒冷かんれいき、恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつきたとのせつ有力ゆうりょくである[33]。このほか、太陽たいようめんでの爆発ばくはつ太陽たいようフレア)の強力きょうりょくなものはコロナ質量しつりょう放出ほうしゅつ(CME)や太陽たいようあらしこし、これにより放出ほうしゅつされる電磁波でんじは粒子りゅうしせん太陽たいようエネルギー粒子りゅうしせんによって宇宙うちゅう滞在たいざいしゃへの影響えいきょう懸念けねんされるほか通信つうしん障害しょうがいデリンジャー現象げんしょう)や磁気嵐じきあらし発生はっせいする[34]

災害さいがい事象じしょう

編集へんしゅう

おおくの災害さいがい発生はっせいする事象じしょうとして、インフラストラクチャーライフライン寸断すんだん故障こしょうげられる。物理ぶつりてき破壊はかいされることにより寸断すんだんされるほか制御せいぎょ系統けいとう不具合ふぐあい停電ていでんによる停止ていしなどがこる。また、災害さいがいには供給きょうきゅう確保かくほ重要じゅうよう用途ようと優先ゆうせん理由りゆうとして、意図いとてき制限せいげんおこなわれることがある。

防災ぼうさい予測よそく警報けいほう

編集へんしゅう

自然しぜん災害さいがい予防よぼうし、またきてしまった災害さいがい応急おうきゅうてき対策たいさくるために、さまざまな防災ぼうさい対策たいさくおこなわれている。たとえば洪水こうずい対策たいさくとしては、上流じょうりゅうダム河川かせん堤防ていぼうによって増水ぞうすいしたみずかわ道内どうないふうめ、すみやかにうみへとながることが基本きほんてき方針ほうしんとなる[35]土砂どしゃ災害さいがい予防よぼうとしては、危険きけんせいたか地域ちいき開発かいはつをあらかじめきんじておくことや、砂防さぼう堰堤えんてい建設けんせつなどがげられる[36]

重大じゅうだい自然しぜん災害さいがい発生はっせい予測よそくされる場合ばあい、いくつかのくにでは政府せいふ警報けいほう発表はっぴょう警戒けいかいうながす。日本にっぽんではこの業務ぎょうむ気象庁きしょうちょう担当たんとうしており、警戒けいかい水準すいじゅんによって注意報ちゅういほう警報けいほう特別とくべつ警報けいほうの3段階だんかい存在そんざいする。かつては注意報ちゅういほう警報けいほうのみであったが、2013ねん8がつ30にちからとく重大じゅうだい災害さいがい発生はっせい予測よそくされる場合ばあいには特別とくべつ警報けいほう発表はっぴょうされることとなった。また、霜害そうがい注意ちゅういびかけるしも注意報ちゅういほうのように、注意報ちゅういほうのみで警報けいほう存在そんざいしないものもある[37]。また、地震じしん予測よそく原則げんそくとして不可能ふかのうであるが、地震じしん発生はっせいのPなみ初期しょき微動びどう)とSなみ主要しゅようどう)の到達とうたつ速度そくど、それに各地かくち地震じしんけいからはっせられる電波でんぱのタイムラグを利用りようして日本にっぽんでは緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうのシステムが整備せいびされ、主要しゅようどう到達とうたつするよりわずかに(すうびょうからすうじゅうびょう[38]はや人々ひとびと警報けいほうはっすることができるようになった[39]

このほか自然しぜん災害さいがいによって予測よそくされる被害ひがいとその範囲はんい地図ちずしたハザードマップも、地震じしん洪水こうずい土砂崩どしゃくずれなどの各種かくしゅ災害さいがい対応たいおうしたものが作成さくせいされている[40]

自然しぜん災害さいがいによる被害ひがい

編集へんしゅう

ドイツのミュンヘンさい保険ほけんしゃ年次ねんじ報告ほうこくによれば、2010ねん自然しぜん災害さいがいによる死者ししゃやく29まん5せんにん(うちハイチだい地震じしんによる死者ししゃは22まんにん)、経済けいざいてき損失そんしつがくは1,300おくドルとの推計すいけいおこなっている。これは1980ねん以降いこう5-6番目ばんめわる数字すうじであるという[41]

1900ねんから2006ねんまでの統計とうけいでは、死者ししゃ1000にん以上いじょう巨大きょだい自然しぜん災害さいがい地震じしんが127けん気象きしょう災害さいがいが82けん火山かざん災害さいがいが15けんすべりが14けん雪害せつがいが2けん風害ふうがい3けんとなっている[42]自然しぜん災害さいがいによる死者ししゃすう様々さまざま防災ぼうさい対策たいさく施行しこうによって減少げんしょう傾向けいこうにある一方いっぽうで、人口じんこう増加ぞうか移動いどうによって居住きょじゅう適地てきちへの居住きょじゅうしゃ増加ぞうかし、被災ひさいしゃすうのそのものの増加ぞうかまねいている[43]

自然しぜん災害さいがいきた場合ばあい先進せんしんこくにおいては事前じぜん防災ぼうさい対策たいさくによって被害ひがいすくなくみ、その復旧ふっきゅう過程かてい災害さいがい発覚はっかくしたあらたな問題もんだいてん対応たいおうするかたちあらたな防災ぼうさい対策たいさくおこなわれるといったうごきがきるために自然しぜん災害さいがいへの対応たいおうりょく上昇じょうしょうつづ被害ひがい減少げんしょうする傾向けいこうがあるのにたいし、発展はってん途上とじょうこく災害さいがいきた場合ばあい防災ぼうさい対策たいさく不十分ふじゅうぶんなため被害ひがい拡大かくだいし、被害ひがいおおきさと復旧ふっきゅうおくれによってあらたな防災ぼうさい対策たいさく不十分ふじゅうぶんなものとなり、そしてあらたに災害さいがいきて被害ひがいがさらに拡大かくだいするといったまけうごきがきる傾向けいこうがある[44]。こうしたことから、自然しぜん災害さいがい死者ししゃすう発展はってん途上とじょうこくほう圧倒的あっとうてきおお[45]

自然しぜん災害さいがい国際こくさい社会しゃかい

編集へんしゅう

ある国家こっか巨大きょだい自然しぜん災害さいがいきた場合ばあい被災ひさいこく以外いがい国々くにぐにからはさまざまな援助えんじょ支援しえんおくられる。こうした支援しえん各国かっこく政府せいふからだけではなく、個人こじん企業きぎょう各種かくしゅ団体だんたいなどからの寄付きふチャリティーさかんにおこなわれる。国際こくさいてき災害さいがい支援しえんは20世紀せいき以前いぜんから存在そんざいしていたが、20世紀せいき後半こうはん以降いこうグローバル進展しんてん国際こくさい関係かんけい緊密きんみつするなかで、支援しえんはより広範囲こうはんいからだい規模きぼおこなわれるようになってきた[46]

自然しぜん災害さいがい支援しえんかんして、ジュネーブ条約じょうやくによる国際こくさい赤十字せきじゅうじあか新月しんげつあい運動うんどうがあり、さらに障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくだい11じょうは、「締結ていけつこく国際こくさい人道じんどうほう国際こくさい人権じんけんほうふくめた国際こくさいほう義務ぎむしたがい、武力ぶりょく紛争ふんそう人道じんどうてき緊急きんきゅう事態じたいならびに自然しぜん災害さいがい発生はっせいさいふくめた災害さいがい障害しょうがいしゃ救出きゅうしゅつ保護ほごのためにあらゆる必要ひつよう措置そちこうじる」ことをさだめている。さらに1991ねん12月の国際こくさい連合れんごう総会そうかい決議けつぎによって、自然しぜん災害さいがい紛争ふんそうなどの人道じんどう危機ききへの対処たいしょ調整ちょうせいおこな国連こくれん機関きかんとして国際こくさい連合れんごう人道じんどう問題もんだい調整ちょうせい事務所じむしょ(OCHA)が設置せっちされた[47]

自然しぜん災害さいがい社会しゃかい

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文明ぶんめい成立せいりつ当初とうしょから、自然しぜん災害さいがい社会しゃかいおおきな打撃だげきあたえるものであり、さまざまな影響えいきょうおよぼしてきた。メソポタミア文明ぶんめいにおいてはティグリスがわユーフラテスがわ洪水こうずいがしばしばおおきな被害ひがいをもたらしたが、これは予測よそくがつかずきゅう発生はっせいするものであり、だい洪水こうずい神話しんわすこととなった[48]。こうした洪水こうずい神話しんわ世界せかい各地かくちひろ分布ぶんぷしている。日本にっぽんにおいては、災害さいがい発生はっせいしたさい改元かいげんおこなうことがかんばつと疫病えきびょうによる923ねん延喜えんぎから延長えんちょうへの改元かいげん皮切かわきりにひろおこなわれるようになり[49]明治めいじ政府せいふ一世一元いっせいいちげんせいさだめて天皇てんのういちだいにつきいち元号げんごうとするまでつづいた。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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