インフィニオン・テクノロジーズ(独: Infineon Technologies AG, 以下インフィニオン)は、自動車メーカーや各種産業向けに半導体を製造する多国籍企業。パワー半導体、特にIGBTおよびパワーMOSFETにおいて世界トップクラスの市場シェアを有する[2]。ドイツ・ミュンヘン近郊のノイビーベルクに本社を置き、世界30カ国以上に現地法人を持つ。フランクフルト証券取引所上場企業(FWB: IFX)。
1999年に、ドイツの総合電機メーカーでコングロマリットであるシーメンスから分離・独立して誕生した株式会社(AG, アクティーエンゲゼルシャフト)である。シーメンスは、インフィニオンの株式の18.23パーセントを2005年に保有していたが、2009年現在では3パーセント未満である。2009年現在、全世界で約2.6万人の従業員を抱えている。2009年9月発表の過去一年間の収入は約30.3億ユーロである。
2006年5月1日に、半導体メモリ部門を新子会社キマンダ (Qimonda AG) として分割した。従業員は約1万2000人。設立後すぐにニューヨーク証券取引所に上場したが、2009年1月破産を申請した。
インフィニオンは、自動車用や産業用の他、様々な分野へ、半導体製品の設計、開発、製造、販売、およびシステムソリューションの提供を行っている。またアメリカのカリフォルニア州サンノゼ、シンガポール、東京に子会社を置き、世界展開している。2005年度の決算(9月)では、約67億6000万ユーロの売上高をあげ、従業員数は3万6400人であった。
2011年には、主に携帯電話用のモデムチップを開発販売していた無線ソリューション事業 (WLS) を、約14億米ドルで米国の半導体会社インテルに売却し同事業から撤退した。インフィニオン製のモデムチップはAppleのiPhone 4に採用されるなどの実績を持っていた。
2000年3月13日に、フランクフルト証券取引所とニューヨーク証券取引所(シンボルコードはIFX)に上場したが、2009年4月、ニューヨーク証券取引所から自主的に上場廃止し、OTCQXにおける米国預託株式の店頭取引に切り換えた[3]。フランクフルト証券取引所では、ドイツ株価指数 (DAX) 主要40銘柄の一つである。
2014年8月20日、米国インターナショナル・レクティファイアーを現金約30億米ドルで買収することで合意した[4]。この買収によりインフィニオンはパワー半導体市場のシェアにおいて、2位の東芝に2倍以上の差をつけて引き離す見通しである[5]。
2015年11月、日本のルネサスエレクトロニクスへの出資に関心を示していると報道されたが、交渉は停滞した[6]。
2016年7月14日、米国クリー (Cree) 社からパワー&RF事業部として分社化した、Wolfspeed社を8億5000万米ドルで買収すると発表[7]。
2020年4月16日、米国の同業サイプレス・セミコンダクターを買収し子会社とした[8]。
メモリーやプロセッサーなどを除いた、半導体市場全体の約3分の2の市場を狙っており、特にパワー半導体に注力している[9]。Operations PresidentのPeter Schieferによれば、前工程と後工程で差異化できる部分が多いため、パワー半導体の自社生産にこだわる。パワー半導体は口径150 - 200 mmのウエハーで作るのが一般的だが、インフィニオンは競合他社に先駆けて300 mmウエハー化を進めている。
インフィニオン (Infineon) の名称は、英語で無限などを意味する "Infinity" に 古代ギリシア語で永遠、永劫などを意味する "eon" をつけたものである。無限のアイディアで積極的な連想精神を呼び起こすことを表している。またモットーは “Never stop thinking"である。
インフィニオンの主要製品は集積回路である。
日本法人は、インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社である。親会社インフィニオン(インフィニオンテクノロジーズホールディングB.V.)の100パーセント子会社で、インフィニオン製品の販売およびその関連事業を行っている。
1980年2月、富士電機とシーメンスによって富士エレクトリックコンポーネンツ株式会社として設立された。その後シーメンスの資本比率引き上げに伴い、1996年にシーメンスコンポーネンツ株式会社に社名を変更した。1999年にシーメンスから引き継いだインフィニオンの100パーセント子会社となり、インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社に社名を変更した。東京都品川区の本社に加え、名古屋市に支店を、大阪市に営業所を持つ。2009年9月に組織変更をおこない、それまでの無線通信事業 (WLS)、車載用事業 (ATV)、産業用事業 (IM)、チップカード事業 (CCS) の4事業部を、WLSを除く3事業部に再編し、市場対応への迅速化と柔軟性の向上を図っている。
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