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エアバスA321

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（エアバス A321から転送てんそう）

エアバスA321
Airbus A321

エアバスA321（Airbus A321）は、ヨーロッパのエアバス社しゃが開発かいはつ・製造せいぞうしているナローボディ（単たん通路つうろ）の双発そうはつジェット旅客機りょかくきである。エアバスA320の長ちょう胴どう型がたで、A320ファミリーの中なかで全長ぜんちょうが最もっとも長ながい。A321は、政府せいふの資金しきん援助えんじょに依よらずに開発かいはつされた初はつのエアバス機きであり、ドイツで最終さいしゅう組ぐみ立たたされた最初さいしょのエアバス機きでもある。

A321は大おおきく2世代せだいに分わけることができ、第だい一いち世代せだいはA321ceo、次世代じせだい型がたはA321neoと呼よばれる。A321ceoは、1989年ねんに開発かいはつが決定けっていし、1994年ねん3月がつにルフトハンザ航空こうくうとアリタリア航空こうくうによって路線ろせん就航しゅうこうを開始かいしした。航続こうぞく距離きょり延長えんちょう型がたも開発かいはつされ、北米ほくべい大陸たいりく横断おうだん路線ろせんへも就航しゅうこう可能かのうになった。2010年ねんにA320ファミリーのエンジンを一新いっしんしたA320neoファミリーの開発かいはつが決定けっていし、同どうファミリーの長ちょう胴どう型がたとしてA321neoが開発かいはつされた。A321neoは2016年ねん2月がつに初はつ飛行ひこうし、2017年ねん5月がつにヴァージン・アメリカによって路線ろせん就航しゅうこうを開始かいしした。A321neoの長距離ちょうきょり型がたとして、単たん通路つうろ機きとして世界せかい最長さいちょうの航続こうぞく距離きょり性能せいのうを持もつA321LRが開発かいはつされ、さらに航続力こうぞくりょくを強化きょうかしたA321XLRの開発かいはつも決定けっていしている。

A321の主翼しゅよくは低てい翼つばさ配置はいちの片かた持もち翼つばさで、尾翼びよくは通常つうじょう配置はいち、降着こうちゃく装置そうちは前輪ぜんりん配置はいち、左右さゆうの主翼しゅよく下かにパイロンを介かいしてターボファンエンジンを1発はつずつ装備そうびする。全長ぜんちょうは44.51メートル、全ぜん高こうは11.76メートル、全幅ぜんぷくは最大さいだい仕様しようで35.80メートルである。標準ひょうじゅんの巡航じゅんこう速度そくどはマッハ0.78。標準ひょうじゅん座席ざせき数すうはA321ceoが170から210席せき、A321neoが180から236席せきである。飛行ひこうシステムはA320ファミリーと共通きょうつう化かされており、操縦そうじゅう資格しかくもファミリー機きで共通きょうつうである。

2018年ねん7月がつ時点じてんにおいて、民間みんかん航空こうくう会社かいしゃ113社しゃで1,687機きのA321が運用うんようされている。アジア太平洋たいへいよう地域ちいき、欧州おうしゅう、および南北なんぼくアメリカで運用うんよう機き数すうの大半たいはんを占しめ、これらの地域ちいきで概おおむね500機きないし600機きずつ運用うんようされている。2019年ねん8月がつ現在げんざい、A321の機体きたい損失そんしつに至いたった事故じこおよび事件じけんは6件けんある。このうち1件けんの事故じこおよび2件けんのテロ事件じけんにより計けい377人にんが死亡しぼうしている。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

開発かいはつの背景はいけい[編集へんしゅう]

米国べいこくの航空機こうくうきメーカーに対抗たいこうするため、欧州おうしゅうの航空機こうくうきメーカーは1970年ねん12月に企業きぎょう連合れんごう「エアバス・インダストリー」（以下いか、エアバス）を設立せつりつした[5]。エアバスは、世界せかい初はつの双そう通路つうろ（ワイドボディ）双発そうはつジェット旅客機りょかくきであるA300を開発かいはつし、発展はってん型がたを開発かいはつしつつ販売はんばいを軌道きどうに乗のせた[6]。続つづいて製品せいひんラインナップの拡充かくじゅうを目指めざし、単たん通路つうろ（ナローボディ）市場いちばへの進出しんしゅつを決きめた[6]。

完全かんぜん新規しんき開発かいはつで単たん通路つうろ機き市場いちばに参入さんにゅうしたエアバスA320。

ボーイングやマクドネル・ダグラスのように既存きそんの単たん通路つうろ機きを持もっていなかったエアバスは、完全かんぜんな新規しんき設計せっけいにより単たん通路つうろ機きA320を開発かいはつし、当時とうじの最新さいしん技術ぎじゅつを積極せっきょく的てきに取とり入いれた[7]。大型おおがた機きも含ふくめたエアバス機き全体ぜんたいでの操縦そうじゅう資格しかくの共通きょうつう化かを目指めざし、操縦そうじゅう系統けいとうに全面ぜんめん的てきなフライ・バイ・ワイヤ技術ぎじゅつを採用さいようした[8]。同どう規模きぼの旅客機りょかくきの中なかで最もっとも太ふとい断面だんめんの胴体どうたいを持もち、大型おおがたの貨物かもつ室しつ扉とびらを備そなえたことで、航空こうくう貨物かもつコンテナの搭載とうさいも可能かのうとなった[9]。検討けんとうを重かさねた結果けっか、A320の標準ひょうじゅん座席ざせき数すうは2クラス編成へんせいで150席せきとなった[10]。A320は1988年ねん2月がつに型式けいしき証明しょうめいを取得しゅとくし、翌月よくげつに顧客こきゃく引ひき渡わたしが始はじまった[11]。

エアバスはA320の開発かいはつを進すすめつつ、1987年ねんには派生はせい型がたの検討けんとうに着手ちゃくしゅしていた[12]。A320を基準きじゅんとして胴体どうたい延長えんちょう型がたと短縮たんしゅく型がたが研究けんきゅうされた[12][13]。胴体どうたい延長えんちょう型がたは、座席ざせき数すうが185席せきから200席せき程度ていどと計画けいかくされた[14]。これは当時とうじのエアバスの製品せいひんラインナップにおいて、A320とワイドボディ機きA310との間あいだに位置いちづけられるものだった[15]。

まずこの長ちょう胴どう型がたの開発かいはつを進すすめることになり、1988年ねん5月がつに正式せいしきな受注じゅちゅう活動かつどうを開始かいしした[12][14]。1989年ねん6月がつに航空機こうくうきリースを手てがけるインターナショナル・リース・ファイナンス (ILFC) が16機きの発注はっちゅうを決きめ、これがA321の最初さいしょの受注じゅちゅうとなった[16]。同年どうねん9月がつ22日にちには、ルフトハンザドイツ航空こうくうが確定かくてい22機き、オプションで20機きを発注はっちゅうした[17]。これらの発注はっちゅうを受うけて11月24日にちに、長ちょう胴どう型がたをA321-100と命名めいめいして正式せいしき開発かいはつが決定けっていした[1][16]。

設計せっけいの過程かてい[編集へんしゅう]

正面しょうめんから見みたA321。胴体どうたい断面だんめんの設計せっけいはA320と共通きょうつうである。
下方かほうから見みたA321。

この当時とうじエアバスは、本格ほんかく的てきな長距離ちょうきょり路線ろせん向むけの新型しんがたワイドボディ機きとしてA340とA330の同時どうじ並行へいこう開発かいはつに着手ちゃくしゅしていた[12]。このため、A320派生はせい型がたの開発かいはつに従事じゅうじするエンジニアは最小限さいしょうげんとされた[12]。A320からの変更へんこう点てんを可能かのうな限かぎり最小さいしょうにすることとされ、主翼しゅよくの大半たいはん、尾お部ぶ、胴体どうたい断面だんめんはA320と共通きょうつう化かされた[18]。

フラップを下さげたルフトハンザ航空こうくうのA321。主翼しゅよく後ご縁えんのフラップに2本ほんの隙間すきまが見みえる。

A321の胴体どうたいは、ベース機きのA320に対たいして主翼しゅよくの前方ぜんぽうで4.27メートル（8フレーム）、後方こうほうで2.67メートル（5フレーム）の合あわせて6.94メートル（13フレーム）延長えんちょうされた[19][20]。これにより座席ざせき数すうが24％、床下ゆかした貨物かもつ室しつの容積ようせきが40%拡大かくだいした[20]。収容しゅうよう力りょくの強化きょうかに合あわせて、空調くうちょうおよび与あずか圧あつシステムが強化きょうかされた[15]。非常口ひじょうぐちの配置はいちも見直みなおされ、A320で主翼しゅよく上じょうにあったタイプIII扉とびらを無なくし、代かわりに主翼しゅよくの前方ぜんぽうと後方こうほうに大型おおがたのタイプI扉とびらが設置せっちされた[15]。

胴体どうたいが延長えんちょうされたことで、A320よりも小ちいさい迎むかい角かくでの離着陸りちゃくりくを可能かのうにする必要ひつようが生しょうじた[20][21]。加くわえて、重量じゅうりょう増加ぞうかに対応たいおうして十分じゅうぶんな揚力ようりょくを得えるために、主翼しゅよく面積めんせきを大おおきくする必要ひつようがあった[20][21]。主翼しゅよくを担当たんとうしたイギリスのBAe社しゃとフラップ（高こう揚力ようりょく装置そうち）を担当たんとうしたドイツのDASA社しゃが共同きょうどうで設計せっけい変更へんこうにあたった[20]。最小さいしょうの変更へんこうで求もとめる効果こうかを得えるために、主翼しゅよく後ご縁えんのフラップを新規しんき設計せっけいすることになり、フラップをダブル・スロッテッド・フラップ（二に重じゅう隙間すきまフラップ）に置おき換かえ、その分ぶんの翼つばさ弦つる長ちょうを延長えんちょうすることで翼つばさ面積めんせきを拡大かくだいした[20][21]。A321の空そら力りょく特性とくせいに合あわせて飛行ひこう制御せいぎょシステムも小しょう修正しゅうせいが加くわえられた[22]。

機体きたい重量じゅうりょうの増加ぞうかに伴ともない、降着こうちゃく装置そうちの支柱しちゅうが強化きょうかされたほかタイヤが大型おおがた化かされブレーキも強化きょうかされた[15][22]。A321のエンジンは、A320と同様どうようにCFMインターナショナル（以下いか、CFMI）社しゃのCFM56と、インターナショナル・エアロ・エンジンズ（以下いか、IAE）社しゃのV2500が設定せっていされた[15]。機体きたい重量じゅうりょうの増加ぞうかに対応たいおうしてエンジンの推力すいりょくが強化きょうかされた[15]。燃料ねんりょう系統けいとうは再さい設計せっけいされ、部品ぶひん点数てんすうの削減さくげんにより保守ほしゅ性せいが改善かいぜんされた[22]。

A321は、政府せいふの資金しきん援助えんじょを受うけずに開発かいはつされた最初さいしょのエアバス機きともなった[23][16]。1991年ねん6月がつにエアバスはユーロ債さいを発行はっこうし、4億おく8千せん万まんドルに上のぼる開発かいはつ資金しきんの主要しゅよう部分ぶぶんを調達ちょうたつした[23][16]。

生産せいさんと試験しけん[編集へんしゅう]

A321のパーツやコンポーネントの生産せいさんは、これまでのエアバス機き同様どうように国際こくさい分業ぶんぎょう体制たいせいにより行おこなわれた[18]。A321の生産せいさんからはイタリアのアレーニア社しゃがリスク分担ぶんたんメンバーとしてエアバスに参画さんかくし、胴体どうたいの前方ぜんぽう延長えんちょう部ぶの生産せいさんを担当たんとうした[12][20]。胴体どうたい後方こうほうの延長えんちょう部ぶについては、BAe社しゃが生産せいさんを担当たんとうした[20]。これまでのエアバス機きで主翼しゅよくを担当たんとうしてきたBAe社しゃは、A321で初はじめて胴体どうたいも分担ぶんたんすることになった[20]。BAe社しゃの生産せいさん分ぶんには日本にっぽんの川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうが下請したうけに入はいっており、A321はエアバスの生産せいさん体制たいせいに日本にっぽん企業きぎょうが参画さんかくした最初さいしょの事例じれいともなった[12][20]。

ハンブルクの最終さいしゅう組立くみたてラインで生産せいさん中ちゅうのA321。

これまで全すべてのエアバス機きの最終さいしゅう組立くみたては、フランスのトゥールーズで行おこなわれていた[24]。これに対たいしてドイツ（当時とうじは西にしドイツ）は、自国じこくでも最終さいしゅう組立くみたてを行おこなうことを要望ようぼうしてきた[24][12]。これに対たいしてエアバス・コンソーシアム内ないで政治せいじ的てきな駆かけ引ひきが繰くり広ひろげられた結果けっか、A321の最終さいしゅう組立くみたてはドイツで行おこなうことに決きまった[24][12]。ハンブルクにあるDASAの工場こうじょう敷地しきちにA321の最終さいしゅう組立くみたて施設しせつが新設しんせつされ、この施設しせつはオットー・リリエンタール・ハンガーと命名めいめいされた[25][12]。

A321の初号しょごう機きとなったのはV2500エンジン装備そうび型がたで、A320ファミリーの通算つうさん364号機ごうきであった[1]。1993年ねん3月がつ3日にち、A321初号しょごう機きの完成かんせい披露ひろう式典しきてんが執とり行おこなわれ、当時とうじのエアバス・インダストリー社長しゃちょうのジャン・ピアソンは「A321は第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後のちにドイツで組くみ立たてられた最大さいだいの民間みんかん機きであり、これはヨーロッパの団結だんけつによって実現じつげんした」という旨むねを述のべた[25]。その月つきの11日にちに初号しょごう機きは初はつ飛行ひこうに成功せいこうした[1]。続つづいて5月がつ25日にちには、CFM56エンジンを装備そうびした2号機ごうきが初はつ飛行ひこうした[1]。

1993年ねん12月17日にち、V2500装備そうび仕様しように対たいする型式けいしき証明しょうめいが、欧州おうしゅうの合同ごうどう航空こうくう当局とうきょく (Joint Aviation Authorities; JAA) から交付こうふされた[1]。翌年よくねん2月がつ15日にちには、CFM56装備そうび仕様しようについてもJAAの型式けいしき証明しょうめいが交付こうふされた[1]。

就航しゅうこう開始かいし後ご[編集へんしゅう]

ルフトハンザ航空こうくうによってA321-100は商業しょうぎょう運航うんこうを開始かいしした。

1994年ねん1月がつ27日にち、A321の初はつ引ひき渡わたしがルフトハンザ航空こうくうに対たいして行おこなわれた[26][17]。1994年ねん3月がつ21日にちにはILFCの発注はっちゅう機きの初はつ引ひき渡わたしが、リース先さきのアリタリア航空こうくうに対たいして行おこなわれた[27][16]。1994年ねん3月がつ中ちゅうに、ルフトハンザ航空こうくうとアリタリア航空こうくうによってA321の商業しょうぎょう運航うんこうが開始かいしされた[28][16]。

1994年ねんにはフランスのエールアンテールへ、その翌年よくねんにはスイス航空こうくうへの引ひき渡わたしも始はじまった[29][30]。

開発かいはつ進行しんこう中ちゅうの1993年ねん3月がつの時点じてんで、A321の受注じゅちゅう数すうは153機きだった[31]。この時点じてんでは、ルフトハンザやアリタリア、スイス航空こうくうをはじめとした欧州おうしゅうの航空こうくう会社かいしゃからの受注じゅちゅうが大半たいはんを占しめた[31]。欧州おうしゅう以外いがいからの受注じゅちゅうは、クウェート航空こうくうとアンセット・オーストラリア航空こうくうから合あわせて10数すう機きと、ILFC社しゃやGATX（英語えいご版ばん）社しゃ、ギネス・ピート・アビエーション（英語えいご版ばん）といったリース会社かいしゃからの41機きであった[31]。米国べいこくではナローボディの競合きょうごう機きであるボーイング757が浸透しんとうしており、A321は米国べいこくの航空こうくう会社かいしゃからの受注じゅちゅうを得えられていなかった[31]。

航続こうぞく距離きょり延長えんちょう型がたの開発かいはつ[編集へんしゅう]

A321-100の当初とうしょ仕様しようでは最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは82.2トンで標準ひょうじゅん航続こうぞく距離きょりが4,000ないし4,200キロメートルであったが、ほどなくして標準ひょうじゅん仕様しようの最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうが83トンに引ひき上あげられ、航続こうぞく距離きょりも4,445キロメートルとなった[1]。また、ペイロードの増加ぞうか目的もくてきで最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうを85トンに引ひき上あげるオプションも追加ついかされた[1]。そして1995年ねん4月がつには、更さらなる航続こうぞく距離きょり延長えんちょう型がたとしてA321-200の開発かいはつが決定けっていした[1]。

A321-200では燃料ねんりょう搭載とうさい量りょうを増ふやすため「追加ついか中央ちゅうおうタンク」 (ACT) を装備そうびして機体きたい構造こうぞうも強化きょうかされた[32]。ACTは貨物かもつコンテナに準拠じゅんきょした形状けいじょうを有ゆうし、床下ゆかした貨物かもつ室内しつないに搭載とうさいされる[19]。ACTの容量ようりょうは1個いっこあたり2,900リットルで、A321-200では2個こまで搭載とうさいできた[1]。ACTを2個こ搭載とうさいして最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうを93.5トンまで引ひき上あげた仕様しようの場合ばあい、航続こうぞく距離きょりは5,950キロメートルまで延のびた[1][19]。A321-200のエンジンにはCFM56とV2500の推力すいりょく増強ぞうきょう型がたが設定せっていされた[33][32]。A321-200の初号しょごう機きはV2500エンジン仕様しようで1996年ねん12月21日にちに初はつ飛行ひこうした[1]。

1997年ねん3月がつ20日はつか、V2500エンジンとCFM56エンジンの両りょう仕様しようのA321-200に対たいして型式けいしき証明しょうめいが交付こうふされた[34]。A321-200の初はつ引ひき渡わたしは1997年ねん4月がつ8日にちに行おこなわれ、イギリスのチャちゃータたー便びん航空こうくう会社かいしゃであるエアワールド（英語えいご版ばん）がILFCからのリースで導入どうにゅうした[35]。そして同月どうげつ11日にちに、エアワールドによりA321-200の商業しょうぎょう運航うんこうが開始かいしされた[35]。

A321-200の開発かいはつと並行へいこうして、双発そうはつ機きの長距離ちょうきょり運航うんこうを可能かのうにするETOPSの認証にんしょう作業さぎょうも進すすめられ、1996年ねん5月がつ29日にちにA321-100が120分ぶんのETOPS認証にんしょうを取得しゅとくしていた[36]。続つづいて1997年ねん7月がつ28日にちには、A321-200も120分ぶんのETOPS認証にんしょうを取得しゅとくした[36]。

アメリカ進出しんしゅつとその後ごの改良かいりょう[編集へんしゅう]

納入のうにゅう開始かいしから数すう年間ねんかん、A321は毎年まいとし20機き前後ぜんこうが引ひき渡わたしされ、1998年ねんには運航うんこう機き数すうが100機きを超こえ、2000年ねんには150機きを超こえた[37]。2000年ねん頃ごろのA321の主要しゅよう運航うんこう者しゃは、相変あいかわらずルフトハンザやアリタリア、エールフランス[注釈ちゅうしゃく 1]といった欧州おうしゅうの航空こうくう会社かいしゃだったが、日本にっぽんの全日本空輸ぜんにほんくうゆや台湾たいわんのトランスアジア航空こうくうなどのアジアの航空こうくう会社かいしゃによる導入どうにゅうも進すすんだ[38]。また、数かずは少すくないもののアフリカや中東ちゅうとう、中米ちゅうべいの航空こうくう会社かいしゃによる運航うんこうも見みられるようになった[38]。しかしエアバス機きの中なかでA321だけが、未いまだ北米ほくべいの航空こうくう会社かいしゃから受注じゅちゅうを得えられていなかった[39]。

このような状況じょうきょうの中なか、航続こうぞく距離きょりが延長えんちょうされたA321-200が開発かいはつされたことで、北米ほくべい大陸たいりくを横断おうだんする直行ちょっこう路線ろせんにもA321は就航しゅうこう可能かのうとなった[39]。2000年ねん1月がつ、USエアウェイズが短たん胴どう型がたのA319から発注はっちゅうを切きり替かえる形かたちでA321を導入どうにゅうすることが報道ほうどうされた[39]。2001年ねん1月がつ、同社どうしゃへの納入のうにゅうが開始かいしされA321は北米ほくべい進出しんしゅつを果はたした[40]。そして2004年ねんから2006年ねんにかけて、A321は180分ふんまでのETOPSも認可にんかされた[36]。

2000年代ねんだいに入はいると納入のうにゅう機き数すうは毎年まいとし概おおむね30機きを超こえるようになった[41]。2009年ねん7月がつ時点じてんでは、航空こうくう会社かいしゃ67社しゃで517機きが運用うんようされている[42]。運用うんよう数すうの過半数かはんすうは欧州おうしゅうの航空こうくう会社かいしゃが占しめていたが、この頃ころにはUSエアウェイズや中国ちゅうごく南方なんぽう航空こうくうが30機き以上いじょうを導入どうにゅうしており、欧州おうしゅう以外いがいでもまとまった機き数すうを運航うんこうする航空こうくう会社かいしゃが見みられるようになった[42]。

A321のシャークレット拡大かくだい写真しゃしん。ターキッシュ エアラインズ機きの例れい。

エアバスはA320ファミリーに対たいして各種かくしゅ改良かいりょうを加くわえており、2009年ねん11月15日にちには、主翼しゅよくのウイング・チップ・フェンスに代かわる新あたらしい翼つばさ端はし装置そうちの採用さいようが発表はっぴょうされた[43]。「シャークレット」と名付なづけられた新あたらしい翼つばさ端はしは、上うえに折おり曲まげたような形状けいじょうで2.4メートルの高たかさがある[44]。従来じゅうらいの鏃状のウイング・チップ・フェンスよりも燃費ねんぴ性能せいのうが向上こうじょうすることで、航続こうぞく距離きょりの延長えんちょうが可能かのうとなる改良かいりょうであった[45]。シャークレットはまずA320で実用じつよう化かされ、A321についても2012年ねん10月がつ14日にちにシャークレット装備そうび機きの初はつ飛行ひこうが行おこなわれた[43][46]。シャークレット仕様しようのA321は、2013年ねん7月がつ17日にちから順次じゅんじ型式けいしき証明しょうめいを取得しゅとくし[47]、2013年ねん9月がつ10日とおかにフィンエアーに対たいして初はつ納入のうにゅうされた[48]。

次世代じせだい型がたA321neoの開発かいはつ[編集へんしゅう]

試験しけん飛行ひこう中ちゅうのA321neoの初号しょごう機き。

単たん通路つうろ機き市場いちばの発達はったつとともに、航空こうくう会社かいしゃはさらに長距離ちょうきょり路線ろせんへ単たん通路つうろ機きを投入とうにゅうすることを望のぞむようになった[44]。A320ファミリーの改良かいりょうを続つづけつつ後継こうけい機きの研究けんきゅうを行おこなってきたエアバスは、2010年ねん12月1日にち、エンジンを一新いっしんした次世代じせだいA320neoファミリーの開発かいはつを発表はっぴょうした[49]。「neo」は「New Engine Option」の頭字かしらじ語ごと「新あたらしい」という意味いみのギリシャ語ご「neo」をかけたものである[50]。その名なの通とおり新型しんがたエンジンを装備そうびすることで、燃費ねんぴ性能せいのうや航続力こうぞくりょくを向上こうじょうさせる機体きたいである[50][51]。A320ファミリーのうち、neoに移行いこうされるのは、A321、A320、A319の3機種きしゅとされた[50]。最もっとも短たん胴どう型がたのA318は、将来しょうらい需要じゅようが見込みこめなかったことから、neoの開発かいはつは見送みおくられた[50]。まずA320neo、続つづいてA321neoが開発かいはつされることとなった[52]。neoの登場とうじょうに伴ともない、既存きそんのA320ファミリーはA320ceo（Current Engine Option; 現行げんこうエンジン選択せんたく型がたの意い）と呼よばれ区別くべつされることとなった[50]。

ターキッシュ エアラインズのA321neo。

A321neoは部品ぶひんの95%がA321ceoと共通きょうつう化かされている[44][53]。A320neoファミリーのエンジンは、CFMI社しゃのLEAP-1Aと、プラット・アンド・ホイットニー（以下いかP&W）社しゃのPW1100G-JMが選定せんていされた[54]。A321neoのエンジンには両りょうエンジンの推力すいりょく増強ぞうきょう型がたが採用さいようされた[55]。A321ceoに対たいしてエンジン推力すいりょくが強化きょうかされ、上昇じょうしょう性能せいのうも向上こうじょうした[53]。エンジンの直径ちょっけいが拡大かくだいし、バイパス比ひ[注釈ちゅうしゃく 2]が約やく2倍ばいになったことで、燃費ねんぴや騒音そうおん、排はいガスに関かんする性能せいのうが向上こうじょうした[53]。燃費ねんぴの向上こうじょうにより航続こうぞく距離きょりは500海里かいり（約やく926キロメートル）延長えんちょうされた[53]。エンジン直径ちょっけいが大おおきくなるが、エアバスはエンジン最下さいか面めんと地面じめんとの間隔かんかくは必要ひつような距離きょりが確保かくほされるとして降着こうちゃく装置そうちの脚長あしながなどは変更へんこうされていない[56]。

抗力こうりょくを減へらし燃費ねんぴ性能せいのうを向上こうじょうさせるため、neoの主翼しゅよく端はしにはシャークレットが標準ひょうじゅん装備そうびされた[53]。主翼しゅよく動どう翼つばさの空そら力りょく性能せいのうにも改善かいぜんが加くわえられた[53]。これらの改良かいりょうにより、ceoに比くらべて巡航じゅんこう高度こうどや上昇じょうしょう限度げんどが引ひき上あげられたほか、離陸りりく性能せいのうも向上こうじょうした[53][44]。また、飛行ひこう制御せいぎょシステムも改良かいりょうされている[44]。

全日本空輸ぜんにほんくうゆのA321neo。同社どうしゃは1998年ねん4月がつからA321ceoを運航うんこうしていたが2008年ねん2月がつに全ぜん機きを退役たいえきさせた。その後ご2016年ねん11月にA321ceoを再さい導入どうにゅうし、2017年ねん9月がつにA321neoを就航しゅうこうさせた。同社どうしゃのA321neoは、PW1100G-JM装備そうび型がたの納入のうにゅう初号しょごう機きでもあった[57][58]。

A321neoの初号しょごう機きはLEAP-1Aエンジン装備そうび型がたで、2016年ねん2月がつ9日にちにハンブルクで初はつ飛行ひこうに成功せいこうした[2][3]。初はつ飛行ひこうからわずか約やく1週間しゅうかん後ご、A321neo初号しょごう機きは試験しけん飛行ひこう中ちゅうに尻しりもち事故じこを起おこした[3][59]。事故じこ機きは修理しゅうりを余儀よぎなくされ、試験しけんスケジュールが遅延ちえんした[60][3]。翌月よくげつ9日にちには、PW1100G-JMエンジン装備そうびのA321neoも初はつ飛行ひこうに成功せいこうし、初号しょごう機きと合あわせて試験しけん飛行ひこうに投入とうにゅうされた[60][53]。飛行ひこう回数かいすう130回かい以上いじょう、350時間じかん以上いじょうの飛行ひこう試験しけんを経へて、2016年ねん12月15日にちに、PW1100G-JM仕様しようのA321neoが欧州おうしゅう航空こうくう安全あんぜん機関きかん (EASA) と米国べいこく連邦れんぽう航空局こうくうきょく (FAA) から型式けいしき証明しょうめいを取得しゅとくした[61]。2017年ねん3月がつ1日にちには、LEAP-1Aエンジン仕様しようについてもEASAとFAAから型式けいしき証明しょうめいが交付こうふされた[62]。

2017年ねん1月がつ末まつまでに、A321neoは1,388機きの発注はっちゅうを得えていた[62]。A321neoの初はつ引ひき渡わたしが行おこなわれたのは2017年ねん4月がつ20日はつかで、納入のうにゅう初号しょごう機きはLEAP-1A装備そうび型がたであった[63]。受領じゅりょうしたのはリース機きで導入どうにゅうしたヴァージン・アメリカで、同社どうしゃは5月31日にちにサンフランシスコ - ワシントン便びんでA321neoの商業しょうぎょう運航うんこうを開始かいしした[63][64]。PW1100G-JM装備そうび型がたについては、2017年ねん9月がつ5日にちに全日本空輸ぜんにほんくうゆに対たいして初はつ引ひき渡わたしされ、同月どうげつ12日にちに日本にっぽん国内線こくないせんで路線ろせん就航しゅうこうを開始かいしした[65][66][58]。

A321neoについてもETOPS認証にんしょう作業さぎょうが進すすめられ、各かくエンジン仕様しようについて180分ふんまでのETOPSが2017年ねん6月がつから順次じゅんじ認みとめられている[67]。

米国べいこく生産せいさんの開始かいし[編集へんしゅう]

A320neoファミリーの開発かいはつと並行へいこうして、生産せいさん体制たいせいの強化きょうかも進すすんでいた[68]。2000年代ねんだいの後半こうはん以降いこう、A320ファミリー全体ぜんたいの納入のうにゅう数すうは概おおむね増加ぞうかを続つづけ、A321も納入のうにゅうペースが加速かそくして2013年ねんには年間ねんかん納入のうにゅう数すうが100機きを超こえた[69]。エアバスは、ハンブルクの生産せいさんライン強化きょうかに加くわえて欧州おうしゅう域外いきがいにもA320ファミリーの最終さいしゅう組立くみたて工場こうじょうを建設けんせつし、2008年ねんに中国ちゅうごくの天津てんしん、2015年ねんには米国べいこく・アラバマ州しゅうモビールの工場こうじょうが稼働かどうを開始かいしした[68][70][71]。このうちのハンブルクとモビールでA321の最終さいしゅう組立くみたてが行おこなわれており、2016年ねん4月がつに米国べいこく製せい初号しょごう機きとなるA321がジェットブルーに納入のうにゅうされた[72][73]。

長距離ちょうきょり型がたA321LRの開発かいはつ[編集へんしゅう]

アルキア・イスラエル航空こうくうはA321LRの最初さいしょの受領じゅりょう者しゃとなった。コックピットの窓まどがA350 XWBのように黒くろく縁取へりとりされている。

A321は、ボーイングの単たん通路つうろ機きである757の後継こうけい機き市場いちばにも進出しんしゅつした[74]。しかし大西洋たいせいよう横断おうだんが可能かのうな757に対抗たいこうするには、A321neoでもまだ航続力こうぞくりょくが不足ふそくしていた[75]。本格ほんかく的てきに757の後継こうけい機き需要じゅようを獲得かくとくするため、かねてよりエアバスは更さらなる長距離ちょうきょり型がたの開発かいはつを検討けんとうしていた[75]。A321neoの開発かいはつ進行しんこう中ちゅうだった2015年ねん1月がつ13日にち、エアバスはA321neoの長距離ちょうきょり型がたを開発かいはつすることを発表はっぴょうした[76]。この長距離ちょうきょり型がたは「Long Range」を意味いみするA321LRと名付なづけられた[77]。最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうを97トンに引ひき上あげて床下ゆかした貨物かもつ室しつに搭載とうさい貨物かもつコンテナ数すうを減へらしACT（Additional Center Tank：追加ついかセンタータンク）を3台だい設置せっちにすることで燃料ねんりょう搭載とうさい量りょうを増ふやし、航続こうぞく距離きょりを7,408キロメートル（4,000海里かいり）に延長えんちょうするとされた[76]。この航続こうぞく距離きょりは単たん通路つうろ機きで最長さいちょうとなり、大西洋たいせいよう横断おうだん路線ろせんにも就航しゅうこう可能かのうな性能せいのうである[76]。航空機こうくうきリース会社かいしゃのエアリース・コーポレーション（英語えいご版ばん）が最初さいしょの発注はっちゅう者しゃとなった[76]。

2018年ねん1月がつ31日にち、ハンブルクにてA321LRの初はつ飛行ひこうが行おこなわれた[78]。A321LRの初号しょごう機きは、CFMI社しゃのLEAP-1Aエンジンを装備そうびしていた[78]。その後ごの飛行ひこう試験しけんでは長距離ちょうきょり飛行ひこうも行おこなわれ、2月がつにはパリからニューヨークへ初はつの大西洋たいせいよう横断おうだんを行おこなったほか、4月がつにはセイシェル共和きょうわ国こく・マヘ島とうからトゥールーズへ8,797キロメートルの無む着陸ちゃくりく飛行ひこうも行おこなわれた[79][80]。

2018年ねん10月がつ2日にち、A321LRに対たいしてEASAとFAAから型式けいしき証明しょうめいが交付こうふされた[81]。同時どうじに180分ふんまでのETOPS認証にんしょうも取得しゅとくしている[82]。同年どうねん11月がつ14日にちにアルキア・イスラエル航空こうくうに対たいしてA321LRの初はつ引ひき渡わたしが行おこなわれた[83]。A321LRはボーイング757の買かい替かえ需要じゅようを取とり込こみ始はじめている[84]。

超ちょう長距離ちょうきょり型がたA321XLRの開発かいはつ[編集へんしゅう]

2019年ねん6月がつ17日にち、パリ航空こうくうショーの場ばで更さらなる航続力こうぞくりょく強化きょうか型がたのA321XLRの開発かいはつが発表はっぴょうされた[77]。XLRは、Xtra Long Rangeの頭字かしらじ語ごで超ちょう長距離ちょうきょり型がたとも呼よばれる[77]。A321XLRは、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうが110トンに引ひき上あげられ、後方こうほう貨物かもつ室しつにA321LRより容量ようりょうの多おおいRCT（Rear Center Tank：リアセンタータンク）が固定こてい設置せっちされ、オプションで前方ぜんぽう貨物かもつ室しつにACT1台だい設置せっち可能かのう[85][77]。航続こうぞく距離きょりがA321LR比ひで15%延長えんちょうされ、4700海里かいり（約やく8,704キロメートル）に達たっする見込みこみである[77]。パリ航空こうくうショーの期間きかん中ちゅうに、アメリカン航空こうくうやカンタス航空かんたすこうくう、イベリア航空こうくうやエアリンガスを傘下さんかに持もつインターナショナル・エアラインズ・グループ、投資とうし会社かいしゃのインディゴ・パートナーズ（英語えいご版ばん）らから確定かくてい48機き、コミットメント79機きの計けい127機きを受注じゅちゅうした[86][87]。2023年ねん納入のうにゅうの計画けいかくで開発かいはつが進すすめられる[77]。

機体きたい[編集へんしゅう]

シリーズ構成こうせい[編集へんしゅう]

A321シリーズは第だい一いち世代せだいのA321ceoと、エンジンを換かわ装そうした次世代じせだい型がたのA321neoに大おおきく分わけられる。A321ceoとA321neoは、部品ぶひんの95%が共通きょうつうとされている[44][53]。A321ceoは、基本きほん型がたのA321-100と航続こうぞく距離きょり延長えんちょう型がたのA321-200の2モデルがある。A321neoでも基本きほん型がたに加くわえて長距離ちょうきょり型がたのA321LRがあるほか、さらに航続力こうぞくりょくを強化きょうかした超ちょう長距離ちょうきょり型がたのA321XLRの開発かいはつも発表はっぴょうされている。以下いか、特とくに断ことわりがないものはA321シリーズ共通きょうつうの仕様しようである。

形状けいじょう・構造こうぞう[編集へんしゅう]

ウイング・チップ・フェンス仕様しようのA321ceoを右側みぎがわ面めんから見みる。
シャークレット仕様しようのA321ceoを右側みぎがわ面めんから見みる。
右側みぎがわ面めんから見みたA321neo。A321neoはシャークレットが標準ひょうじゅん装備そうびである。
A321ceoを真後まうしろから見みた写真しゃしん。

A321は片かた持もち翼つばさの主翼しゅよくを低てい翼つばさに配置はいちした単葉たんよう機きである[88]。全長ぜんちょうは44.51メートル、全ぜん高こうは11.76メートル、全幅ぜんぷくはウイング・チップ・フェンス装備そうび型がたが34.10メートルでシャークレット装備そうび型がたが35.80メートルである[89][88]。左右さゆうの主翼しゅよく下かにパイロンを介かいして1発はつずつターボファンエンジンを備そなえる[88][22]。尾翼びよくは通常つうじょう配置はいちで、垂直すいちょく尾翼びよくと水平すいへい尾翼びよくはともに胴体どうたい尾お部ぶに直接ちょくせつ取とり付つけられている[88]。降着こうちゃく装置そうちは引ひき込こみ式しきの前輪ぜんりん式しき配置はいちで機首きしゅ部ぶに前ぜん脚あし、左右さゆうの主翼しゅよくの付つけ根ねに主しゅ脚あしがある[90]。前ぜん脚あしおよび左右さゆうの主しゅ脚あしはそれぞれ2輪りん式しきである[90]。

主翼しゅよくは基本きほん的てきにA320と共通きょうつうとしつつA321では構造こうぞうが強化きょうかされたほか、後こう縁えんのフラップがA321専用せんようの設計せっけいである[15]。主翼しゅよくはテーパーがついた後退こうたい翼つばさで、25パーセント翼つばさ弦つるでの後退こうたい角かくは25度ど、アスペクト比ひ[注釈ちゅうしゃく 3]は9.4である[92][93]。

主翼しゅよくには高こう揚力ようりょく装置そうちとして前ぜん縁えんにスラット、後こう縁えんにダブル・スロッテッド・フラップ（二に重じゅう隙間すきまフラップ）を備そなえる[94]。スラットは片かた翼つばさあたり5枚まいで、ほぼ全幅ぜんぷくにわたり配置はいちされている[92][95]。フラップはパイロンの位置いちを境さかいに内うち翼つばさと外そと翼つばさに2分割ぶんかつされており、その外側そとがわに補助ほじょ翼つばさがある[92][95]。主翼しゅよく上面うわつらには片かた翼つばさあたり5枚まいのスポイラーがある[92][95]。スポイラーはロール操縦そうじゅうにも用もちいられる[92]。

翼つばさ端はし装置そうちとして誘導ゆうどう抵抗ていこうを減へらす効果こうかのあるウィング・チップ・フェンスまたはシャークレットを備そなえる[96][92]。ウイング・チップ・フェンスは鏃状の整流せいりゅう板ばんで、シャークレットはウイングレットのように翼つばさ端はしを上うえに曲まげた形状けいじょうを有ゆうする[92][96]。開発かいはつ当初とうしょはウイング・チップ・フェンスが標準ひょうじゅん装備そうびであったが、のちにシャークレット仕様しようが開発かいはつされ、A321neoではシャークレットが標準ひょうじゅん装備そうびとなった[97][50]。また、既存きそんの機体きたいにシャークレットを後こう付つけすることも可能かのうである[98]。

胴体どうたい断面だんめんはA320と同一どういつで、幅はばは3.95メートル、高たかさが4.14メートルである[23][19][99]。胴体どうたい長ちょうは全長ぜんちょうと同おなじ44.51メートルである[88]。A320と比較ひかくすると、主翼しゅよくの前方ぜんぽうで4.27メートル、後方こうほうで2.67メートル、合あわせて6.94メートル胴体どうたいが長ながい[19][20]。

尾翼びよくもA320と共通きょうつう設計せっけいであり、水平すいへい尾翼びよくは水平すいへい安定あんてい板ばんと昇降しょうこう舵かじ、垂直すいちょく尾翼びよくは垂直すいちょく安定あんてい板ばんと方向ほうこう舵かじで構成こうせいされる[92][20]。垂直すいちょく尾翼びよくと水平すいへい尾翼びよくは複ふく合あい材料ざいりょう製せいであり、炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチック (CFRP) やガラス繊維せんい強化きょうかプラスチック (GFRP) が用もちいられている[20][100]。主翼しゅよくの動どう翼つばさや降着こうちゃく装置そうちの扉とびらなどにも複ふく合あい材料ざいりょうが使用しようされている[100]。

エンジン[編集へんしゅう]

TAPポルトガル航空こうくうのA321neo。

A321ceoのエンジンは、A320ceoと同様どうようにCFMI社しゃのCFM56と、IAE社しゃのV2500が設定せっていされている[15]。A320ceoに対たいして機体きたい重量じゅうりょうが増ふえているため、エンジンは推力すいりょく増強ぞうきょう型がたになっている[15]。エンジンはパイロンを介かいして主翼しゅよくに取とり付つけられる[101]。機体きたいへの取とり付つけ方法ほうほうもA320と同一どういつである[15]。エンジンの制御せいぎょにはFADEC (Full Authority Digital Engine Control) が使用しようされる[15]。

A321neoのエンジンは、A320neoファミリーと同様どうようでCFMI社しゃのLEAP-1Aか、P&W社しゃのPW1100G-JMの選択せんたく式しきである[33]。こちらもA321neo用ように推力すいりょく増強ぞうきょう型がたが設定せっていされている[55]。A321ceoのエンジンと比くらべてバイパス比ひが大おおきくなり大だい径みち化かされたことで、A321neoの外観がいかんは力強ちからづよくバランスが取とれているとも評ひょうされる[53]。

飛行ひこうシステム[編集へんしゅう]

運航うんこうに必要ひつような操縦そうじゅう士しは機長きちょうと副ふく操縦そうじゅう士しの2名めいである[102]。

A321-200の操縦そうじゅう席せき。

コックピットはいわゆるグラスコックピット化かされている[103]。レイアウトはA320と共通きょうつうで、左右さゆうの操縦そうじゅう席せきに各かく2枚まい、中央ちゅうおうに2枚まいの計けい6枚まいのカラーディスプレイを備そなえる[103]。ディスプレイには当初とうしょはブラウン管ぶらうんかんが用もちいられたが、技術ぎじゅつ革新かくしんにともない液晶えきしょうディスプレイに置おき換かえられた[103]。2014年ねんからはヘッドアップディスプレイ (HUD) の装備そうびが追加ついかされ、新造しんぞう機きにはオプション設定せっていされているほか、既存きそん機きへの装着そうちゃくも可能かのうである[103]。操縦そうじゅう輪わはなくサイドスティックで操縦そうじゅうを行おこなう[104][103]。

操縦そうじゅう資格しかくもA320ファミリーで共通きょうつう化かされている[105]。同時どうじにエアバスの相互そうご乗員じょういん資格しかく (Cross Crew Qualification; CCQ) の対象たいしょうでもあることから、CCQ対象たいしょうとなるエアバス機きとの間あいだであれば、短時間たんじかんの訓練くんれんで他た機種きしゅの資格しかくを取得しゅとくすることが可能かのうである[105]。A320ceoファミリーの操縦そうじゅう資格しかくを有ゆうする操縦そうじゅう士しは、コンピュータを用もちいた半日はんにちの訓練くんれんによりA320neoシリーズを操縦そうじゅうできるようになる[53]。

操縦そうじゅうシステムはフライ・バイ・ワイヤ技術ぎじゅつが全面ぜんめん的てきに用もちいられており、コックピットと操縦そうじゅう翼つばさ面めんの間あいだの通信つうしんは電気でんき信号しんごうを介かいして行おこなわれる[103]。制御せいぎょ用ようのコンピュータは複数ふくすう搭載とうさいされ、システムは冗長じょうちょう化かされている[103]。

客室きゃくしつ・貨物かもつ室しつ[編集へんしゅう]

オーストリア航空こうくうのA321の内装ないそう。
エバー航空こうくうが運航うんこうするA321のビジネスクラスの内装ないそう。
デルタ航空こうくうのA321の内装ないそう。

客室きゃくしつの全長ぜんちょうは34.44メートルである[1]。客室きゃくしつには中央ちゅうおうに1本ほんの通路つうろがあり、エコノミークラスの座席ざせき配置はいちは通路つうろを挟はさんで3-3席せきの6アブレスト、上級じょうきゅうクラスでは2-2席せきの4アブレストである[106]。座席ざせき数すうは、2クラス編成へんせいの標準ひょうじゅん仕様しようで185席せき、エコノミークラスのみであれば最大さいだい220席せきまで配置はいち可能かのうである[103]。座席ざせきの頭上ずじょうには、手荷物てにもつを収容しゅうようするオーバーヘッド・ストウェッジが備そなわる[106]。通常つうじょうの内装ないそうよりも座席ざせき幅はばを詰つめて通路つうろ幅はばを広ひろげた内装ないそう案あんも用意よういされている[106]。航空こうくう会社かいしゃの独自どくじ仕様しようも見みられる。例たとえばアメリカン航空こうくうでは、北米ほくべい大陸たいりく横断おうだん路線ろせんのA321をファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの3クラス仕様しようとしている[107]ほか、フランスの航空こうくう会社かいしゃラ・コンパニーは、全席ぜんせきビジネスクラスとしたA321を運航うんこうしている[108]。

客室きゃくしつの扉とびら配置はいちは左右さゆう対称たいしょうである[109]。乗降じょうこう用ようドアおよびサービスドアが客室きゃくしつ最さい前方ぜんぽうと最後さいご方かたに1組くみずつある[109]。A321ceoでは非常口ひじょうぐちとして、扉とびら下端かたんが床ゆか面めんまである大型おおがたのタイプI扉とびらを主翼しゅよくの前後ぜんごに備そなえる[110][111]。A321neoの非常口ひじょうぐち配置はいちには、A321ceoと同様どうようの標準ひょうじゅん仕様しようのほかに、エアバス・キャビン・フレックス (ACF) と名付なづけられた仕様しようがある[110][112][113]。ACF仕様しようでは、主翼しゅよく前方ぜんぽうの大型おおがた非常口ひじょうぐちを無なくして代かわりに主翼しゅよく上じょうに小型こがたのタイプIII扉とびらを2枚まい配置はいちする[111][110][113]。これにより、客席きゃくせき数すうを最大さいだいで240席せき設置せっちすることが可能かのうである[113]。 また、ACF仕様しようでは、客室きゃくしつ前方ぜんぽうの上級じょうきゅうクラスの座席ざせき配置はいちの柔軟じゅうなん性せいを高たかめるため、客室きゃくしつ前方ぜんぽうの非常口ひじょうぐちドアを動作どうささせないオプションも用意よういされている[114]。

床下ゆかしたの貨物かもつ室しつは主翼しゅよくを挟はさんで前後ぜんごに2区画くかくに分わかれている[115]。両りょう貨物かもつ室しつには、LD-3-46/-46W航空こうくう貨物かもつコンテナを5個こずつ搭載とうさい可能かのうである[19][15][115]がLRやXLRは貨物かもつ積載せきさい容量ようりょうを犠牲ぎせいに燃料ねんりょう搭載とうさい量りょうを増ふやすトレードオフしているため、ともに最大さいだい前方ぜんぽうで1台だい、後方こうほうで2台だい搭載とうさいコンテナが減少げんしょうする[116]。LD-3-46/-46Wコンテナは、大型おおがた機き用ようのLD-3コンテナと同おなじ幅はばで、単たん通路つうろ機き用ように高たかさを低ひくくしたものであり、そのまま大型おおがた機きへ搭載とうさいすることも可能かのうである[11]。また、後部こうぶ貨物かもつ室しつの最さい後尾こうびには、ばら積づみ貨物かもつのスペースが設もうけられている[115]。

前方ぜんぽう貨物かもつ室しつと後方こうほう貨物かもつ室しつの扉とびらは各かく1か所しょで、貨物かもつコンテナに対応たいおうした寸法すんぽうを有ゆうする[117]。この扉とびらは外そと開びらきで、開口かいこう部ぶの高たかさが1.24メートル、幅はばが1.82メートルである[110]。 最後さいご部ぶには、ばら積づみ貨物かもつ用ようの扉とびらが1か所しょある[110]。ばら積づみ貨物かもつ用よう扉とびらは内うち開ひらきで、開口かいこう部ぶの高たかさが最大さいだいで0.89メートル、幅はばが0.95メートルである[110]。これらの貨物かもつ扉とびらはいずれも右舷うげんにある[110]。

旅客りょかく転用てんよう改修かいしゅう貨物かもつ型がた（P2F型がた）[編集へんしゅう]

シンガポール大手おおてMRO企業きぎょうSTエアロスペースとエアバスがA320とA321について旅客りょかく転用てんよう改修かいしゅう貨物かもつ（passenger-to-freighter：P2F）型がたの開発かいはつで合意ごうい、P2F型かた機きの改修かいしゅう、販売はんばい、管理かんりを行おこなう企業きぎょうをドイツのエアバス、STエアロスペース共同きょうどう出資しゅっしの航空こうくう宇宙うちゅうメーカーエルベ・フルークツォイクヴェルケ（Elbe Flugzeugwerke：EFW）へ委託いたくする[118]、機体きたいは従来じゅうらいの床下ゆかした（ロアーデッキ）貨物かもつ室しつに追加ついかして、メインデッキにA320で最大さいだい10個こ、A321で最大さいだい14個この航空こうくうコンテナを積つみこめるよう前部ぜんぶ胴体どうたい左舷さげん側がわ一部いちぶを大型おおがたカーゴドアに交換こうかん、メインデッキ床下ゆかした補強ほきょう等とうの改修かいしゅうをし、最大さいだい積載せきさい可能かのう量りょうをA320が21.9t、A321で27.9t[119]にする。2020年ねん2月がつ25日にち、ヨーロッパ航空こうくう安全あんぜん庁ちょう(EASA)から追加ついか型式けいしき証明しょうめい(STC)を取得しゅとくし[120]、ボーイング757貨物かもつ機きなどの入いれ替かえ需要じゅようやCOVID-19によるeコマースなどの成長せいちょうを取とり込こむ見通みとおしを立たてて[121]カンタス・フレート（英語えいご版ばん）[122]やルフトハンザ・カーゴ[123]などが運用うんようしている。日本にっぽんではヤマトホールディングスが同どう機材きざいをリース導入どうにゅうし、2024年ねん4月がつから長距離ちょうきょりトラック運転うんてん手しゅの年間ねんかん残業ざんぎょう時間じかん規制きせいが厳きびしくなるのを機きに首都しゅと圏けんと北海道ほっかいどう、九州きゅうしゅう、沖縄おきなわ地域ちいきへの国内こくない航空こうくう貨物かもつ事業じぎょうに参入さんにゅうする。運航うんこうは日本航空にほんこうくう（JAL）と協力きょうりょくし、JALグループのうちA320シリーズを運用うんようしているジェットスタージャパンに委託いたくする予定よていであったが[124]、ボーイング737のみ運用うんようしているスプリング・ジャパンに変更へんこうされた[125]。

運用うんよう[編集へんしゅう]

タラップが接続せつぞくされたA321。
ボーディングブリッジが接続せつぞくされたA321。

2018年ねん末まつの時点じてんで、A321の受注じゅちゅう数すうは4,079機きで、納入のうにゅう済ずみが1,837機き、受注じゅちゅう残のこりが2,242機きである[126]。同どう時点じてんにおいて1,751機きが運航うんこう中ちゅうで、そのうちの1,637機きがA321ceo、114機きがA321neoである[127]。1994年ねんの納入のうにゅう開始かいし以来いらい、運航うんこう機き数すうは一貫いっかんして増加ぞうかしている[37]。特とくに2000年代ねんだい後半こうはんからは納入のうにゅう数すうが伸のびており、年間ねんかん納入のうにゅう数すうは2013年ねんには100機きを超こえ、2016年ねんには200機きを超こえた[41]。

2018年ねん7月がつ時点じてんの統計とうけいによると、民間みんかん航空こうくう会社かいしゃ113社しゃで1,687機きが運用うんようされている[128]。地域ちいき別べつで見みると、アジア・太平洋たいへいよう地域ちいきの32社しゃで600機き、欧州おうしゅうの51社しゃで524機き、南北なんぼくアメリカの18社しゃで511機き、中東ちゅうとう・アフリカ地域ちいきの12社しゃで52機きが運用うんようされている[128]。

同おなじ統計とうけいによると、最もっとも多おおくのA321を運用うんようしている航空こうくう会社かいしゃは、アメリカン航空こうくうでその数かずは219機き、次ついで中国ちゅうごく南方なんぽう航空こうくうで107機きである[128]。3位い以下いかを地域ちいき別べつにみると、アジアでは中国ちゅうごく東方とうほう航空こうくうが67機き、中国ちゅうごく国際こくさい航空こうくうが61機き、ベトナム航空こうくうが57機きである[128]。欧州おうしゅうでは、ターキッシュ エアラインズが68機き、ルフトハンザ航空こうくうが63機きを運用うんようしている[128]。北米ほくべいでは、デルタ航空こうくうとジェットブルーが各かく58機き、南米なんべいではLATAMブラジルが31機きを運用うんようしている[128]。

日本にっぽんにおけるA321旅客りょかく型がたではANAで26機き(22機きがA321neoで残のこる4機きはA321ceo)、ピーチアビエーションでA321LRを3機き、ジェットスター・ジャパンで3機きのA321LRを保有ほゆうしており、JALも2028年度ねんどから国内線こくないせん用ようボーイング767の後継こうけいとして、11機きのA321neo導入どうにゅうを決きめている[129][注釈ちゅうしゃく 4]。

航空こうくう会社かいしゃ以外いがいでの利用りよう例れいもあり、ドイツ政府せいふが要人ようじん輸送ゆそう機きとしてA321を導入どうにゅうした[130]。ルフトハンザ航空こうくうから購入こうにゅうした中古ちゅうこ機きを改造かいぞうしたもので、要人ようじん輸送ゆそう用ようの装備そうびのほか航空こうくう救急きゅうきゅう用途ようとのための医療いりょう設備せつびも備そなえる[130]。この機体きたいはドイツ空軍くうぐんが運用うんようしている[130]。

近年きんねんは貨物かもつ専用せんよう機きへの改修かいしゅうも実施じっしされており、日本にっぽんではヤマトホールディングスが3機きをリース導入どうにゅう、スプリング・ジャパンが受託じゅたく運航うんこうし、2024年ねん4月がつより首都しゅと圏けんと北海道ほっかいどう、九州きゅうしゅう、沖縄おきなわ地域ちいき間あいだの輸送ゆそうで昼間ひるまは成田空港なりたくうこうから新しん千歳空港ちとせくうこうと北九州きたきゅうしゅう空港くうこう、那覇空港なはくうこう、夜間やかんは羽田空港はねだくうこうから3地点ちてんに運航うんこうされ、塗装とそうはヤマト運輸やまとうんゆの新しんカラーリングをベースにクロネコも描えがかれる予定よてい[131][132]。

2024年ねん4月がつ現在げんざい[4]
受注じゅちゅう 納入のうにゅう 残ざん
A321ceo 1,784 1,784 –
A321neo 6,331 1,339 4,947
合計ごうけい 8,115 3,123 4,992


2024 合計ごうけい
引渡数すう A321ceo – 1,784
A321neo 91 1,339
合計ごうけい 62 3,123
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
引渡数すう A321ceo 150 184 222 183 99 38 9 22 – –
A321neo – – – 20 102 168 178 199 264 317
合計ごうけい 150 184 222 203 201 206 187 221 264 317
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
引渡数すう A321ceo 35 17 30 51 66 87 51 66 83 102
A321neo – – – – – – – – – –
合計ごうけい 35 17 30 51 66 87 51 66 83 102
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
引渡数すう A321ceo 16 22 16 22 35 33 28 49 35 33
A321neo – – – – – – – – – –
合計ごうけい 16 22 16 22 35 33 28 49 35 33

事故じこ・事件じけん[編集へんしゅう]

2019年ねん8月がつ現在げんざいの統計とうけいによると、A321の機体きたい損失そんしつに至いたった事故じこおよび事件じけんは6件けんある[133]。

A321による死亡しぼう事故じこは、2010年ねん7月がつ28日にちに発生はっせいしたエアブルー202便びん墜落ついらく事故じこの1件けんのみである[133][134]。パキスタン・カラチのジンナー国際こくさい空港くうこう発はつベナジル・ブット国際こくさい空港くうこう（旧きゅうイスラマバード国際こくさい空港くうこう）行いきのエアブルー202便びんが、悪天候あくてんこうの中なかベナジル・ブット国際こくさい空港くうこうへの着陸ちゃくりくを試こころみたところ、空港くうこう近ちかくの丘陵きゅうりょう地帯ちたいに墜落ついらくし、乗員じょういん乗客じょうきゃく152人にん全員ぜんいんが死亡しぼうした[134]。事故じこ調査ちょうさの結果けっか、悪天候あくてんこう下かで着陸ちゃくりくを強行きょうこうしようとして乗員じょういんが規定きていや手順てじゅんを逸脱いつだつして危機きき的てきな低空ていくう飛行ひこうを行おこなったことが原因げんいんと結論けつろんづけられた[134]。

事故じこ以外いがいに、A321はこれまでに2件けんのテロ事件じけんに巻まき込こまれ、計けい225人にんが死亡しぼうしている[133]。

1件けん目めは、2015年ねん10月がつ31日にちに発生はっせいしたメトロジェット9268便びん爆破ばくは事件じけんである。エジプトのシャルム・エル・シェイク国際こくさい空港くうこうからロシアのプルコヴォ空港くうこうへ向むかっていたメトロジェット9268便びんがシナイ半島しないはんとう中部ちゅうぶに墜落ついらくした[135]。乗客じょうきゃく乗員じょういん224人にん全員ぜんいんが死亡しぼうし、2019年ねん6月がつ現在げんざいにおいて、A321に関かんする航空こうくう事故じこ・事件じけんの中なかで最大さいだいの死者ししゃ数すうである[133]。当初とうしょは事故じこと事件じけんの双方そうほうの可能かのう性せいが示唆しさされたが、ロシアの調査ちょうさ当局とうきょくはテロリストが機内きないに持もち込こんだ爆発ばくはつ物ぶつが原因げんいんと結論けつろんづけた[136][137][135]。

2件けん目めは、2016年ねん2月がつ2日にちに発生はっせいしたダーロ航空こうくう159便びん爆発ばくはつ事件じけん（英語えいご版ばん）である。被害ひがいにあったのはソマリアのアデン・アッデ国際こくさい空港くうこう発はつジブチ国際こくさい空港くうこう行いきだったダーロ航空こうくう159便びんで、離陸りりくから約やく15分ふん後ごに機内きないで爆発ばくはつが発生はっせいした[138]。胴体どうたいに穴あなが空あき、乗客じょうきゃく1名めいが機外きがいに吸すい出だされて死亡しぼうした[138]。当該とうがい機きはアデン・アッデ空港くうこうに引ひき返かえして着陸ちゃくりくに成功せいこうし、残のこりの搭乗とうじょう者しゃは無事ぶじだった[138]。

直近ちょっきんの機体きたい損失そんしつ事故じこは2019年ねん8月がつ15日にちに発生はっせいした。モスクワのジュコーフスキー空港くうこうを離陸りりく直後ちょくごのウラル航空こうくう178便びんがバードストライクを起おこし、空港くうこうから1キロメートルほどのトウモロコシ畑はたけに胴体どうたい着陸ちゃくりくした[139][140]。子こども9人にんを含ふくむ23人にんがけがをしたものの死者ししゃはいなかった[140]。

主要しゅよう諸しょ元もと[編集へんしゅう]

各かくモデルの主要しゅよう諸しょ元もと
A321ceo[141] A321neo[142] A321LR[143] A321XLR[144][145]
運航うんこう乗務じょうむ員数いんずう 2名めい
標準ひょうじゅん座席ざせき数すう 170 - 210席せき 180 - 220席せき
最大さいだい座席ざせき数すう 220席せき 244席せき
全長ぜんちょう 44.51 m
全幅ぜんぷく 34.10 m（シャークレット装備そうび機きは35.80 m）
全ぜん高こう 11.76 m
胴体どうたい幅はば 3.95 m
胴体どうたい高だか 4.14 m
最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう (MTOW) 93.5 t 97.0 t 101.0 t
最大さいだい着陸ちゃくりく重量じゅうりょう (MLW) 73.5 - 77.8 t 71.5 - 79.2 t
最大さいだい無む燃料ねんりょう重量じゅうりょう (MZFW) 69.5 - 73.8 t 67.0 - 75.6 t
貨物かもつ室しつ有効ゆうこう容積ようせき 51.72 m3 59 m3
エンジン (x2) CFM CFM56またはIAE V2500 CFM LEAP-1AまたはPW1100G-JM
エンジン推力すいりょく (x2) 133–142 kN (30,000–32,000 lbf) 143–147 kN (32,000–33,000 lbf)
巡航じゅんこう速度そくど マッハ0.78
最大さいだい巡航じゅんこう速度そくど マッハ0.82
航続こうぞく距離きょり 5,950 km* 6,480 km 7,410 km 8,700 km

*：シャークレット装備そうび型がた

型式けいしき名めいと装備そうびエンジンの一覧いちらん [146]
機種きしゅ エンジン 型式けいしき証明しょうめい取得しゅとく
A321-111 CFMI CFM56-5B1
CFMI CFM56-5B1/P
CFMI CFM56-5B1/2P
CFMI CFM56-5B1/3		 1994年ねん5月がつ27日にち
A321-112 CFMI CFM56-5B2
CFMI CFM56-5B2/P
CFMI CFM56-5B2/3		 1994年ねん2月がつ15日にち
A321-131 IAE V2530-A5 1993年ねん12月17日にち
A321-211 CFMI CFM56-5B3/P
CFMI CFM56-5B3/2P
CFMI CFM56-5B3/P1
CFMI CFM56-5B3/2P1
CFMI CFM56-5B3/3
CFMI CFM56-5B3/3B1		 1997年ねん3月がつ20日はつか
A321-212 CFMI CFM56-5B1
CFMI CFM56-5B1/P
CFMI CFM56-5B1/2P
CFMI CFM56-5B1/3		 2001年ねん8月がつ31日にち
A321-213 CFMI CFM56-5B2
CFMI CFM56-5B2/P
CFMI CFM56-5B2/3		 2001年ねん8月がつ31日にち
A321-231 IAE V2533-A5 1997年ねん3月がつ20日はつか
A321-232 IAE V2530-A5 2001年ねん8月がつ31日にち
A321-251N CFMI LEAP-1A32 2017年ねん3月がつ1日にち
A321-252N CFMI LEAP-1A30 2017年ねん12月18日にち
A321-253N CFMI LEAP-1A33 2017年ねん3月がつ3日にち
A321-271N P&W PW1133G-JM
P&W PW1133GA-JM		 2017年ねん3月がつ6日にち
A321-272N P&W PW1132G-JM 2017年ねん5月がつ23日にち
A321-251NX CFMI LEAP-1A32 2018年ねん3月がつ22日にち
A321-252NX CFMI LEAP-1A30 2018年ねん3月がつ22日にち
A321-253NX CFMI LEAP-1A33 2018年ねん3月がつ22日にち
A321-271NX P&W PW1133G-JM 2018年ねん3月がつ22日にち
A321-272NX P&W PW1132G-JM 2018年ねん3月がつ22日にち

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ エールフランスは、1997年ねんにエールアンテールを吸収きゅうしゅう合併がっぺいした。
  2. ^ ターボファンエンジンでは、吸引きゅういんされた空気くうきは、コアを通とおり燃焼ねんしょう・噴出ふんしゅつされるものと、コアを通とおらず排出はいしゅつされる（バイパスされる）ものに分わけられる[147]。コアをバイパスする空気くうき流量りゅうりょうをコアを通とおる空気くうき流量りゅうりょうで割わったものがバイパス比ひであり、一般いっぱんにこの値ねが大おおきいほど推進すいしん効率こうりつが高たかくなる[147][148]。詳細しょうさいはターボファンエンジンを参照さんしょう。
  3. ^ アスペクト比ひとは翼つばさ幅はばの2乗じょうを面積めんせきで割わった値ねで翼つばさの細長ほそなが比ひを示しめす値ねである[91]。
  4. ^ 旧きゅうJASからするとA300、A350に次ついで3機き種目しゅもく、JALとしてはA300を除のぞくと2機き種目しゅもくのエアバス機きとなり、単たん通路つうろ機きでは初はつ。また、日本にっぽんの大手おおて航空こうくう2社しゃ（ANA、JAL）でエアバスの機種きしゅが揃そろうのもA321neoが初はつとなる。なお、仕様しようではANAがA321ceoと同おなじ標準ひょうじゅん仕様しようなのに対たいし、JALは最大さいだい240席せきまで増ふやせるACF仕様しようが採用さいようされる予定よてい。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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エアバス A3xx 旅客機りょかくき生産せいさんの年表ねんぴょう (1970-現在げんざい)
1970年代ねんだい 1980年代ねんだい 1990年代ねんだい 2000年代ねんだい 2010年代ねんだい 2020年代ねんだい
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A300 - A300-600
A310
A320ceo (A318 - A319 - A320 - A321)
A320neo
A330ceo
A330neo
A340
A380
A350 XWB
  = 生産せいさん終了しゅうりょう   = 生産せいさん中ちゅう   = 開発かいはつ中ちゅう

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