(Translated by https://www.hiragana.jp/)
オシリスとイシスの伝説 - Wikipedia コンテンツにスキップ

オシリスとイシスの伝説でんせつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
イシス

オシリスとイシスの伝説でんせつ(オシリスとイシスのでんせつ)とは、オシリスイシスおよセトホルスかみめぐエジプト神話しんわうえ一連いちれんエピソードファラオ王権おうけん密接みっせつかかわり、神話しんわがく観点かんてんからは、オシリスの再生さいせい象徴しょうちょうしているとされる。紀元前きげんぜん24世紀せいきには原型げんけい成立せいりつしたとかんがえられているが、古代こだいエジプトでしんじられた物語ものがたりだい部分ぶぶんうしなわれている。現在げんざいひろられているのは紀元きげん世紀せいきにギリシャの歴史れきしプルタルコスによって紹介しょうかいされた伝説でんせつであり、ほんこうもこれにもとづく。このギリシャばん本来ほんらい信仰しんこうをどれだけ忠実ちゅうじつ反映はんえいしているか、現時点げんじてんでは検証けんしょう手段しゅだんがない。

なお、プルタルコスはエジプト神話しんわ登場とうじょうするかみ々の名前なまえをギリシャ神話しんわのそれにえたうえ記述きじゅつしているが、ほんこうではエジプト神話しんわでの名前なまえもとづいて説明せつめいする。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

オシリスとセトは兄弟きょうだいであったが、王位おういいだあにのオシリスをセトはねたんでいた。このためセトはオシリスを殺害さつがいするが、オシリスのつまイシスやホルスが協力きょうりょくしてセトをたおし、ホルスがオシリスのあといでエジプトの王位おういく。

登場とうじょうするかみ

[編集へんしゅう]
  • ホルス(オシリスとイシスの息子むすこ
  • イシス(オシリスのいもうとでありつま
  • セト(オシリスのおとうと
  • オシリス冥界めいかいおう
  • ラー

神話しんわ

[編集へんしゅう]

大地だいちかみゲブ天空てんくう女神めがみヌトあいだに4にん子供こどもまれた。長男ちょうなんオシリス、長女ちょうじょイシス、次男じなんセト、次女じじょネフティスである。よんにんは、それぞれ結婚けっこんした。

やがて太陽たいようしんラー王位おういをオシリスにゆずった。一説いっせつでセトは、王位おうい自分じぶんものにするために産道さんどうではなく母親ははおやのヌトの脇腹わきばらやぶって誕生たんじょうした。しかしオシリスのほうさきまれてしまったために王位おういられなかったとわれる。 またはじめは、兄弟きょうだいでエジプトをおさめていたがセトのつまネフティスがオシリスと不倫ふりんして次第しだい険悪けんあくになったとわれる。どの時点じてん不明ふめいだが、セトはオシリスから王位おういうばおうとかんがえるようになった。

セトの陰謀いんぼう

[編集へんしゅう]

ある、オシリスがかん留守るすにしているあいだに、セトは72めい廷臣ていしんたち暗殺あんさつはかりごとたくらむ。オシリスがかえってときかんにピッタリはいったものには、褒美ほうびとしてかんおくられるというもよおしがあった。このかんは、オシリスのからだわせてセトらがつくらせたものであったが、なにらないオシリスはピッタリしたかん気持きもちよくよこたわった。するとオシリスが抵抗ていこうするひまもないあいだぶたがかぶせられ、隙間すきまにはなまりながまれた。そしてオシリスがはいったかんは、セトたちによってナイルがわながされてしまう。

古代こだいローマのイシスぞう2世紀せいきナポリウィーン美術びじゅつ美術館びじゅつかん

オシリスのつまイシスは、しんいためオシリスをさがしにた。オシリスのはいったかんは、地中海ちちゅうかいビブロスながいた。かんは、その場所ばしょえたヒースつつみこまれ、そのまま加工かこうされ宮殿きゅうでんはしらになっていた。やがてイシスは、魔術まじゅつ駆使くしし、王子おうじ乳母うばけてビブロス宮殿きゅうでん潜入せんにゅうした。イシスは、世話せわしていた赤子あかご不死ふしにするためにほのおなかれ、自身じしんは、ツバメ変身へんしんしてオシリスのはいっているはしらまわりをまわった。ある王妃おうひ王子おうじ部屋へやたずねて、この様子ようすおどろき、イシスは、もと姿すがたもどって素性すじょう事情じじょうかして納得なっとくしてもらうと、はしら回収かいしゅうしてエジプトにかえ秘密ひみつ場所ばしょかくした。

ばらかれたオシリス

[編集へんしゅう]

だが、それをったセトは、執念しゅうねんかんさがすとオシリスの遺体いたいを14の部分ぶぶん切断せつだんしてしまう。そしてバラバラになったオシリスをエジプトちゅうにばらいた。イシスは、ふたた救出きゅうしゅつおもむき、パピルスふね遺体いたい破片はへんさがし、オクシリンコスさかなまれた男根だんこんのぞいてつなわせたからだつよ魔力まりょく復活ふっかつさせた。しかし不完全ふかんぜんからだだったためオシリスは、現世げんせいまれなかった。くオシリスは、冥界めいかいおうとしてよみがえる。

このとき様々さまざまかみ々がイシスをたすけたとされる。まずミイラづくりのかみアヌビスがオシリスの身体しんたいつなぐのを手伝てつだった。つぎセベクは、ナイルがわちたオシリスの死体したい回収かいしゅうするのを手伝てつだった。さらにトトとネフティスがオシリスのきず治療ちりょうしたとわれる。

またオシリスのばらかれた遺体いたいちた聖地せいちとされた。アビュドスあたま、ブシリスに背骨せぼね、アトリビスに心臓しんぞう、ビガとエドフには、あしちたとわれる。

ホルスとセトのたたか

[編集へんしゅう]

セトは、オシリスとイシスの息子むすこホルスもころそうとかんがえた。イシスはホルスをまもろうと魔術まじゅつ使つかうが、セトにはてきわずホルスはころされてしまう。ここでふたたびトトがホルスをたすけ、かえらせることに成功せいこうした。

成長せいちょうしたホルスは、叔父おじセトへの復讐ふくしゅう決意けついした。ホルスとセトは、はじめオシリスの正当せいとう後継こうけいしゃは、どちらなのかかみ々のまえ評定ひょうじょうひらかれた。ラーがセトのかたつため、セトは不利ふりにならなかった。そこでイシスは老婆ろうばけて、評定ひょうじょうおこなわれたなかしまへのわたもりアンティかね指輪ゆびわあたえてだまし、なかしまんだ。つぎにイシスはわか女性じょせいけてセトを計略けいりゃくにはめ、かれに「ちち財産ざいさん息子むすこぐべきで、その財産ざいさんうばもの追放ついほうする」という発言はつげんをさせた。セトは自分じぶん正当せいとうせい自分じぶん否定ひていし、かみ々の支持しじうしなった。

おこるセトはきゅうはしらかみ々にアンティをばっさせ、かかとかわいでサンダルをぴったりけなくした。アンティはかねのろうようになり、彼女かのじょぞくするまちではかねむべきものとなった。またセトは、巨大きょだいぶた姿すがたえてホルスをおそった。かみ々の面前めんぜんおこなわれたこの侮辱ぶじょくにラーはいかり、「ぶた未来永劫みらいえいごうまわしい動物どうぶつとせよ」とさけんだ。ラーは機嫌きげんそこねて裁判官さいばんかん役割やくわりほうしたが、ハトホル自分じぶんしょをラーにせてよろこばせ、かれふたた裁判官さいばんかん役割やくわりかせた。

だがセトはそれをみとめず、ホルスとともカバ変身へんしんしてかわもぐり、さきりくがったものけという勝負しょうぶおこなった。イシスはどうばり水中すいちゅうとうじてホルスを援護えんごしようとしたが、あやまってばり息子むすこけてしまい、息子むすこくるしんだのではりめいじてはずさせた。つぎはセトにはりけることに成功せいこうするが、セトが「わたしとおまえおなははからまれた兄弟きょうだいだろう」と彼女かのじょいくるめ、同情どうじょうしたイシスはばりはずした。これにおこったホルスはイシスをいかけ、そのくびを刎ねとした。トートはイシスの死体したいをラーのもとはこび、イシスのからだうえ雌牛めうしあたまいて代用だいようとした。

ラーはイシスをころしたホルスにばっくだし、またはセトがホルスの両目りょうめうばって山中さんちゅうめ、そのからはロータスはないた。しかし、ハトホルがかれ眼窩がんかめすアカシカちちあたえて復元ふくげんさせた。

そのもホルスとセトははげしいたたかいをひろげ、復活ふっかつしたイシスはふたた息子むすこまもろうとする。ホルスは左目ひだりめうしなってしまうものの(この左目ひだりめながあいだエジプト全土ぜんどたびし、様々さまざま知見ちけんたとされる)、トートがつきちからりてホルスの左目ひだりめいやした。そのかみ々の助言じょげんによってホルスとセトは一時いちじ和解わかいし、同居どうきょすることとなる。しかし、セトがホルスに危害きがいくわえたことから、たすけにはいったイシスによってセトは両手りょうてとされる(ただし、のち復元ふくげんした)。

最後さいごたたかいでセトはホルスにたいして、いしふねつくって勝負しょうぶすることをちかけた。セトはいしふねつくるが、ホルスはすぎ漆喰しっくいおおったふねつくった。そのためセトのふねみずしずみ、ホルスのふねみずしずまなかった。しかし、セトはカバに変身へんしんして水中すいちゅうからホルスをころそうとしたが、ホルスはセトにやりきつけ睾丸こうがん片足かたあしうばった。このようにして、最終さいしゅうてきにホルスが勝利しょうりし、ちちかたきちをたすことに成功せいこうする。

オシリスはトートとの相談そうだんすえ地上ちじょう王権おうけんをホルスに譲位じょういすることができた。これ以来いらい地上ちじょう統治とうちするおうファラオ)は「ホルスの化身けしん」となされるようになった。

美術びじゅつ

[編集へんしゅう]

ウィーン美術びじゅつ美術館びじゅつかん所蔵しょぞうの「ホルエムヘブおうとホルス神座かんざぞう」は、おうとホルスしん同一どういついしからいてならべたしん王国おうこくだい18王朝おうちょう時代じだい末期まっき石灰岩せっかいがんぞうであるが、ホルスしんとして神聖しんせい文字もじで「ホルス、ちちかたきもの」ときざまれている。

なお、ホルスとセトのたたかいのさい、ホルスがうしなった左目ひだりめ古代こだいエジプトでよくられるのシンボルとなり「ウジャトの」とばれる。セトを撃退げきたいしたことから魔除まよけてき意味いみったようだ。

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]
  • ピラミッド - ピラミッド上部じょうぶよん角錐かくすい頂点ちょうてんのベンベンせき)はイシス/セト、ピラミッド下部かぶよん角錐かくすいだいはオシリスに相当そうとうする。イシスはオシリスのからだであるバラバラのいしあつめてげ、ピラミッドの下部かぶ建設けんせつし、その上部じょうぶに「ピラミッドのおんな主人しゅじん」であるイシスがりてくる。イシスたるよん角錐かくすいとオシリスたるよん角錐かくすいだい接触せっしょくすると、その瞬間しゅんかんのみイシスはセトとなり、ピラミッド下部かぶ=オシリスのからだふたたびバラバラに崩壊ほうかいする。これを永遠えいえんかえす。