デイ・トリッパー

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「デイ・トリッパー」
ビートルズ の シングル
A面めん	恋こいを抱だきしめよう（両りょうA面めん）
リリース	1965年ねん12月3日にち 1965年ねん12月6日にち 1966年ねん1月がつ15日にち
規格きかく	7インチシングル
録音ろくおん	1965年ねん10月がつ16日にち EMIレコーディング・スタジオ
ジャンル	ポップ・ロック
時間じかん	2分ふん46秒びょう
レーベル	パーロフォン キャピトル・レコード オデオン / 東芝とうしば音楽おんがく工業こうぎょう
作詞さくし・作曲さっきょく	レノン＝マッカートニー
プロデュース	ジョージ・マーティン
ゴールドディスク
後述こうじゅつを参照さんしょう
チャート最高さいこう順位じゅんい
後述こうじゅつを参照さんしょう
ビートルズ シングル U.K. 年表ねんぴょう ヘルプ! （1965年ねん） 恋こいを抱だきしめよう / デイ・トリッパー （1965年ねん） ペイパーバック・ライター （1966年ねん） ビートルズ シングル U.S. 年表ねんぴょう イエスタデイ （1965年ねん） 恋こいを抱だきしめよう / デイ・トリッパー （1965年ねん） ひとりぼっちのあいつ （1966年ねん） ビートルズ シングル 日本にっぽん 年表ねんぴょう アクト・ナチュラリー （1965年ねん） 恋こいを抱だきしめよう b/w デイ・トリッパー （1966年ねん） ひとりぼっちのあいつ （1966年ねん） 『パスト・マスターズ Vol.2』 収録しゅうろく曲きょく デイ・トリッパー （1） 恋こいを抱だきしめよう （2）

「デイ・トリッパー」（Day Tripper）は、ビートルズの楽曲がっきょくである。1965年ねん12月に「恋こいを抱だきしめよう」との両りょうA面めんシングルとして発売はつばいされた。なお、イギリスで初はじめて両りょうA面めんシングルとして発売はつばいされた作品さくひんとなっている。レノン＝マッカートニー名義めいぎとなっているが、主おもにジョン・レノンによって書かかれた楽曲がっきょくで、アルバム『ラバー・ソウル』のセッション中ちゅうにレコーディングが行おこなわれた。イギリス、オーストラリア、カナダ、アイルランドなど多数たすうの国くにのチャートで第だい1位いを獲得かくとくした。アメリカのBillboard Hot 100では最高さいこう位い5位いを記録きろくした。

「デイ・トリッパー」は、エレクトリック・ギターのリフをベースとしたロックチューンで、シングルとして発売はつばいされてから1966年ねん8月がつ下旬げじゅんの最後さいごのコンサートまでの約やく1年間ねんかんにわたって、セットリストに組くみ込こまれていた。

イギリスにおいて『デイ・トリッパー / 恋こいを抱だきしめよう』は、1960年代ねんだいで7番目ばんめに高たかい売上うりあげ枚数まいすうを記録きろくしたシングルで、2018年ねん12月時点じてんでは54番目ばんめに売うれたシングルとなっている。

背景はいけい

「デイ・トリッパー」は、アルバム『ラバー・ソウル』のためのセッションの初期しょきに書かかれた楽曲がっきょくで、ジョン・レノンが大半たいはんの歌詞かしとメロディを書かいており、ポール・マッカートニーが一部いちぶ手伝てつだっている。1980年ねんの『プレイボーイ』誌しのインタビューで、レノンは「僕ぼくの曲きょくさ。ギターのフレーズやブレークも含ふくめて全すべて僕ぼくが書かいた」と語かたっている。マッカートニーは、1997年ねんに出版しゅっぱんされた伝記でんき『ポール・マッカートニー: メニー・イヤーズ・フロム・ナウ』の中なかで「この曲きょくは共とも作さくとして2人ふたりで仕上しあげたけど、メインはジョンに譲ゆずった」と語かたっている。

楽曲がっきょくについてレノンは、「『デイ・トリッパー』はドラッグソング」と説明せつめいしており、マッカートニーもLSDに影響えいきょうを受うけた楽曲がっきょくとしている。曲名きょくめいは、「日帰ひがえり旅行りょこう客きゃく」を意味いみする英語えいごであると同時どうじに、「ドラッグでトリップする人ひと」という意味いみも持もっている。レノンは「“デイ・トリッパー”というのは、日帰ひがえり旅行りょこう客きゃくのこと。フェリーとかで旅たびをする人間にんげんの事ことさ。つまり…週末しゅうまつのヒッピーということ。わかるかい?」と語かたり、マッカートニーも「麻薬まやくを題材だいざいにして、ジョンと“彼女かのじょはこうなんじゃないか？”みたいな曲きょくを演奏えんそうしてた。たいていジョンが持もってくるのだけど、この曲きょくは日帰ひがえり旅行りょこう者しゃ、日曜にちよう画家がか、サンデードライバーという感かんじで、雑多ざったな題材だいざいを寄よせ集あつめたお遊あそびソングだった」と語かたっている。なお、「She's a big teaser（彼女かのじょはひどく焦じらす）」というフレーズは、「She's a prick teaser」とのダブル・ミーニングとなっている。

レノンとジョージ・ハリスンは、1965年ねん春はるにそれぞれの当時とうじの夫人ふじんであったシンシア・レノンとパティ・ボイドらと共ともに、歯科しか医師いしのジョン・ライリーがコーヒーに混入こんにゅうさせたLSDを服用ふくようし、幻覚げんかく症状しょうじょうによりパニック状態じょうたいに陥おちいった。その後ごも継続けいぞく的てきに服用ふくようしていたレノンとハリスンは、リンゴ・スターを誘さそい共ともに摂取せっしゅするようになった。当時とうじマッカートニーも誘さそわれていたが、「それまでとは同おなじようにはいられない」と感かんじたことにより拒否きょひした。このため、音楽おんがく評論ひょうろん家かのイアン・マクドナルドや音楽おんがくジャーナリストのキース・キャメロンは、本ほん作さくの歌詞かしは部分ぶぶん的てきにマッカートニーに向むけられたものと推測すいそくしている。

レノンが演奏えんそうするギターリフには、モータウンやロカビリーの要素ようそが取とり入いれられている。1965年ねん後半こうはんのイギリスでは、アメリカのソウルミュージックが流行りゅうこうしており、その中なかで発売はつばいされた本ほん作さくと「ドライヴ・マイ・カー」は当時とうじのイギリスの間あいだですぐに受うけ入いれられた。1974年ねんのWNEW-FMでのインタビューで、レノンはボビー・パーカーの「ウォッチ・ユア・ステップ」のリフを引用いんようしたことを明あかしている。

レコーディングとミックス

「デイ・トリッパー」のレコーディングは、1965年ねん10月がつ16日にちにEMIレコーディング・スタジオで行おこなわれた。3テイク録音ろくおんされた後のちに、バッキング・ボーカルやパーカッションなどがオーバーダビングされて完成かんせいとなった。なお、この後のちに「恋こいをするなら」のベーシック・トラックが録音ろくおんされた。

「デイ・トリッパー」のリアル・ステレオ・ミックスは、1966年ねんにアメリカで発売はつばいされたキャピトル編集へんしゅう盤ばん『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』で初はつ収録しゅうろくとなり、イギリスで1966年ねん12月に発売はつばいされたコンピレーション・アルバム『オールディーズ』にはリミックスされて収録しゅうろくされた。その後ご、1973年ねんに発売はつばいされた『ザ・ビートルズ1962年ねん〜1966年ねん』や1988年ねん3月がつに発売はつばいされたアルバム『パスト・マスターズ Vol.2』にも収録しゅうろくされた。

これらのステレオ・ミックスには、顕著けんちょな技術ぎじゅつ的てきミスが生しょうじている。曲きょくが始はじまって1分ふん50秒びょう付近ふきんで、一瞬いっしゅん途切とぎれてしまっている。これはハリスンのギターの音おとが擦すれてしまったために、一時いちじ的てきに消去しょうきょしたために生しょうじたものである。2000年ねんに発売はつばいされたベスト・アルバム『ザ・ビートルズ1』には、この部分ぶぶんが修正しゅうせいされた音源おんげんが収録しゅうろくされている。

プロモーション・ビデオ

本ほん作さくと「恋こいを抱だきしめよう」は、初はじめてプロモーション・ビデオが制作せいさくされたビートルズのシングルとなった。これらのビデオは『Ready Steady Go!』や『トップ・オブ・ザ・ポップス』など、イギリスのテレビ番組ばんぐみに直接ちょくせつ出演しゅつえんして演奏えんそうすることを避さけることを目的もくてきとして制作せいさくされた。

ミュージック・ビデオは、1965年ねん11月23日にちにトゥイッケナム・スタジオで撮影さつえいされたもので、監督かんとくはジョセフ・マクグラスが務つとめた。同日どうじつは「恋こいは抱だきしめよう」と「デイ・トリッパー」の他ほかに、過去かこに発売はつばいされた「アイ・フィール・ファイン」、「涙なみだの乗車じょうしゃ券けん」、「ヘルプ!」のミュージック・ビデオを含ふくむ、計けい10作さくのミュージック・ビデオが撮影さつえいされた(いずれもモノクロで制作せいさくされており、演奏えんそうは当あて振ふりと口くちパク。)。そのうち「デイ・トリッパー」は3種類しゅるい制作せいさくされた。

プロモーション・ビデオは、いずれも2015年ねんに発売はつばいされた『ザ・ビートルズ 1+』に収録しゅうろくされた。

リリース

「恋こいを抱だきしめよう」と「デイ・トリッパー」のどちらかをニュー・シングルのA面めん曲きょくとするかという議論ぎろんが行おこなわれ、「恋こいを抱だきしめよう」の方ほうが商業しょうぎょう的てきだとする多数たすう派はの意見いけんに対たいして、レノンは「デイ・トリッパー」を主張しゅちょうした。11月15日にちにEMIはA面めん曲きょくを「恋こいを抱だきしめよう」にすることを発表はっぴょうしたが、レノンはビートルズのロックサウンドを尊重そんちょうするべきであるとして、「デイ・トリッパー」をA面めんにしようと異議いぎを唱となえた。この結果けっか、シングルは史上しじょう初はつとなる両りょうA面めんシングルとして発売はつばいされることとなった。

シングルは、1965年ねん12月3日にちにアルバム『ラバー・ソウル』と同時どうじ発売はつばいというかたちでパーロフォンより発売はつばいされた。全ぜん英えいシングルチャートでは12月15日にち付づけのチャートで初はつ登場とうじょう2位いを記録きろくしたのち、12月22日にち付づけのチャートから1966年ねん1月がつ19日にち付づけのチャートまでの5週しゅう連続れんぞくで1位いを獲得かくとくした。

アメリカでは1965年ねん12月6日にち、日本にっぽんでは1966年ねん1月がつ15日にちに発売はつばいされた。アメリカの『ビルボード』誌しが発表はっぴょうした1965年ねん12月18日にち付づけのBillboard Hot 100では2曲きょくともチャートインし、1966年ねん1月がつ8日にち付づけの同どうチャートでは「恋こいを抱だきしめよう」が1位い、「デイ・トリッパー」が10位いを記録きろくした。1月22日にちの同どうチャートでは、本ほん作さくが最高さいこう位い5位いを記録きろくした。

評価ひょうか

アニマルズのエリック・バードンは、『メロディ・メーカー』誌しで本ほん作さくについて肯定こうてい的てきな評価ひょうかをし、特とくにハリスンのギターを称賛しょうさんした。作家さっかでミュージシャンのジョン・クルトは、「『デイ・トリッパー』のギター・リフは、イギリスそしてアメリカの全すべての若わかいギタリストが学まなばなくてはならないポイント」としている。

2006年ねんに『モジョ』誌しが発表はっぴょうした「The 101 Greatest Beatles Songs」で74位い、2010年ねんに『ローリング・ストーン』誌しが発表はっぴょうした「100 Greatest Beatles Songs」で39位いにランクインした。

クレジット

※出典しゅってん

• ジョン・レノン - ダブルトラックのリード・ボーカル、リズムギター、リードギター（ソロ）
• ポール・マッカートニー - ダブルトラックのリード・ボーカル、ベース
• ジョージ・ハリスン - リードギター、ハーモニー・ボーカル
• リンゴ・スター - ドラム、タンバリン

チャート成績せいせき

週間しゅうかんチャート

チャート (1965年ねん - 1966年ねん)	最高さいこう位い
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)	12
オランダ (Single Top 100)	1
アイルランド (IRMA)	1
ニュージーランド (Listener)	8
ノルウェー (VG-lista)	1
スウェーデン (Kvällstoppen Chart)	1
UK Record Retailer Chart	1
US Billboard Hot 100	1
US Cash Box Top 100	1

認定にんてい

国くに/地域ちいき	認定にんてい	認定にんてい/売上うりあげ数すう
イギリス (BPI)	Silver	200,000
認定にんていのみに基もとづく売上うりあげ数すうと再生さいせい回数かいすう

カバー・バージョン

• ナンシー・シナトラ - 1966年ねんに発売はつばいされたアルバム『Boots』に収録しゅうろく。
• オーティス・レディング - 1966年ねんに発売はつばいされたアルバム『ソウル辞典じてん』に収録しゅうろく。後のちにシングル・カットされ、1967年ねん3月がつ30日にち付づけの全ぜん英えいシングルチャートで最高さいこう位い43位いを記録きろくした。
• ホセ・フェリシアーノ - 1969年ねんに発売はつばいされたライブ・アルバム『Alive Alive O!』に収録しゅうろく。レノンは、1968年ねんの『ローリング・ストーン』誌しでフェリシアーノによるカバー・バージョンを好このんでいることを明あかしている。
• アン・マレー - 1974年ねんにシングル盤ばんとして発売はつばいし、1975年ねん1月がつ25日にち付づけのBillboard Hot 100で最高さいこう位い59位いを記録きろく。
• エレクトリック・ライト・オーケストラ - 1974年ねんに発売はつばいされたライブ・アルバム『The Night the Light Went On in Long Beach』に収録しゅうろく。
• ビリー・プレストン - 1974年ねんに発売はつばいされたライブ・アルバム『ライヴ・ヨーロピアン・ツアー』に収録しゅうろく。
• ホワイトスネイク - 1978年ねんに発売はつばいされたアルバム『トラブル』に収録しゅうろく。かなり重々おもおもしくブルージーなアレンジの曲調きょくちょうで、間奏かんそうの大半たいはんで"Day Tripper"を連呼れんこしている。
• ジェームス・テイラー - 1979年ねんに発売はつばいされた『Flag』に収録しゅうろく。
• イエロー・マジック・オーケストラ - 1979年ねんに発売はつばいされたアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に収録しゅうろく。
• チープ・トリック - 1980年ねんに発売はつばいされたEP『Found All the Parts』に収録しゅうろく。ライブ・バージョン。
• イーグルス - 『ロング・ラン』及および『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』収録しゅうろくの「イン・ザ・シティ」のエンディングは、この曲きょくのギター・リフで締しめられている。
• オーシャン・カラー・シーン - 1997年ねんに発売はつばいされたアルバム『マーチング・オールレディ』（国内こくない盤ばん）に収録しゅうろく。ライブ音源おんげん。
• ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス - 1998年ねん発売はつばいされたライブ・アルバム『BBC Sessions』に収録しゅうろく。
• ピンククラウド - ライヴで演奏えんそう。Charと加部かべ正義まさよしがともにギター&ベースのダブルネックを持もち、ギターとベースのパートを細こまかく切きり替かえて演奏えんそうしていた。
• この他ほか、メイ・ウエスト、ハービー・マン、ルル、セルジオ・メンデス＆ブラジル'66、サンディ・ネルソン、モンゴ・サンタマリア、ホリーリッジ・ストリングス、イアン・ハンター、ランディ・カリフォルニア、ゲノ・ワシントン、ブッカー・T&ザ・MG'sらもカバーしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• Kruth, John (2015). This Bird Has Flown: The Enduring Beauty of Rubber Soul, Fifty Years On. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-573-6 
• Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1 
• MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3 
• Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6 
• Rodriguez, Robert (2012). Revolver: How the Beatles Reimagined Rock 'n' Roll. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-009-0 
• Sheff, David (2000). All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono. New York: St. Martin's Press. ISBN 0-312-25464-4 
• Wenner, Jann S. (2000) [1971]. Lennon Remembers (Full interview from Lennon's 1970 interview in Rolling Stone magazine). London: Verso. ISBN 1-85984-600-9. https://archive.org/details/lennonremembers00lenn_0 
• Winn, John C. (2008). Way Beyond Compare: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1962-1965. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN 978-0-3074-5239-9 

外部がいぶリンク

• Day Tripper - The Beatles