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オー!ダーリン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
「オー!ダーリン」
ビートルズ の シングル
初出しょしゅつアルバム『アビイ・ロード』
B面めん ヒア・カムズ・ザ・サン
リリース
録音ろくおん
ジャンル
時間じかん
レーベル アップル・レコード
作詞さくし・作曲さっきょく レノン＝マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
チャート最高さいこう順位じゅんい
ビートルズ シングル 日本にっぽん 年表ねんぴょう
  • オー!ダーリン
  • （1970年ねん)
『アビイ・ロード』 収録しゅうろく曲きょく
マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー
（A-3） 		オー!ダーリン
（A-4） 		オクトパス・ガーデン
（A-5）
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「オー!ダーリン[注釈ちゅうしゃく 1]」（Oh! Darling）は、ビートルズの楽曲がっきょく。1969年ねんに発売はつばいされた11作さく目めのイギリス盤ばん公式こうしきオリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録しゅうろくされた。レノン＝マッカートニー名義めいぎとなっているが、ポール・マッカートニーによって書かかれた楽曲がっきょくで[8]、制作せいさく当初とうしょのタイトルは「Oh! Darling (I'll Never Do You No Harm)」だった[9]。イギリスおよびアメリカではシングル・カットされなかったが、キャピトル・レコードの地域ちいき子会社こがいしゃによって中央ちゅうおうアメリカ限定げんていでシングル盤ばん[注釈ちゅうしゃく 2]が発売はつばいされ、1970年ねんに日本にっぽんやポルトガルでシングル盤ばん[注釈ちゅうしゃく 3]が発売はつばいされた。

背景はいけい[編集へんしゅう]

1969年ねん1月がつ、ビートルズはゲット・バック・セッションを開始かいしし、アルバム『Get Back』のためのレコーディング[注釈ちゅうしゃく 4]やバンドとして最後さいごの公演こうえんとなったルーフトップ・コンサートを行おこなった[10]。セッション最初さいしょ期きにトゥイッケナム映画えいが撮影さつえい所しょで行おこなわれたリハーサルでは、自作じさく曲きょくやかつてのレパートリーが再演さいえんされた。本ほん作さくは、バンドの活動かつどう初期しょきのスタイルで書かかれた楽曲がっきょくで、ジョージ・ハリスンは「コード進行しんこうが最高さいこう。いかにも1955年ねんの曲きょくっぽい感かんじがする」と語かたっている[11]。ジョン・レノンも「ポールの凄すごいやつ」と賞賛しょうさんした[10]うえで、「これは、彼かれ（ポール）よりどっちかといえばぼくのスタイルの曲きょくだ。でも彼かれが書かいたものだし、しかたがないじゃないか。彼かれが歌うたうことになったのさ。彼かれにセンスがあったら、きっとぼくに歌うたわせたさ」と語かたっている[12][8]。

メンバーがスタジオに到着とうちゃくするまでの間あいだ、マッカートニーはスタジオのサウンドステージで、ピアノを弾ひきながら肩かた慣ならしを行おこなっていた。これが未み完成かんせいの楽曲がっきょくをふるいにかける良よい機会きかいとなり、セッション開始かいしから3日にち目めには映画えいがの監督かんとくであるマイケル・リンゼイ＝ホッグのために演奏えんそうした[10][注釈ちゅうしゃく 5]。1月7日にちのリハーサル時じのキーはBフラットで、セッションの場所ばしょをアップル・スタジオを移うつしたときにはAメジャーに変更へんこうされていた[10]。

1969年ねん1月がつ27日にちにアップル・スタジオで本ほん作さくのリハーサルが行おこなわれた。リハーサルにはビリー・プレストンがエレクトリックピアノで参加さんかしていた[13]ことから、マッカートニーはベースを演奏えんそうした[10]。音源おんげんが1996年ねんに発売はつばいされた『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録しゅうろくされた。リハーサル音源おんげんでは、マッカートニーとレノンのツイン・ボーカルとなっている[14]。なお、レノンが「I'm free at last（やっと自由じゆうだ）」と歌詞かしを変かえて歌うたっている箇所かしょがあるが、これは同どう時期じきにオノ・ヨーコの前夫ぜんふとの離婚りこんが成立せいりつしたことが関係かんけいしている[15]。

レコーディング[編集へんしゅう]

「オー!ダーリン」のレコーディングは、1969年ねん4月がつ20日はつかにEMIレコーディング・スタジオのスタジオ3で開始かいしされ、同日どうじつはプロデューサーとしてクリス・トーマスが迎むかえられた[16]。8トラック・レコーダーのトラック1にハリスンのベース、トラック2にリンゴ・スターのドラム、トラック3にプレストンのオルガン、トラック4にマッカートニーのピアノ、トラック5にレノンのギター、トラック6にマッカートニーのリード・ボーカルが録音ろくおんされた[14]。録音ろくおんされたテイクのうち、テイク7はジョー・サウスの「孤独こどくの影かげ」を大幅おおはばにテンポを上あげて演奏えんそうしたもの[14]。

テイク23の録音ろくおん後ご、ハリスンはトーマスに対たいして「音おとが外はずれてるように聞きこえないか？」と尋たずね、マッカートニーのピアノのコードに乗のせる形かたちでベースのスケールを試ためした[14]。

ボーカル用ようのバッキング・トラックとしてテイク26が採用さいようされた[14]。マッカートニーは、スタジオに一番乗いちばんのりして1日にちに1テイクのみボーカルを録音ろくおんし、納得なっとくがいくまで前まえのテイクを消けして録音ろくおんしていた。当時とうじについて、マッカートニーは「熱唱ねっしょう型がたの曲きょくだから、少すこしでも生なまぬるさを感かんじさせると全すべてが台無だいなしになってしまう。僕ぼくはハンドマイクで歌うたったり、スタンドマイクで歌うたったり、ありとあらゆる方法ほうほうを試ためした。たいていは1日にちで、全すべての歌うたい方かたを試ためしてしまう僕ぼくとしては珍めずらしいことだ」と振ふり返かえっている[14]。当時とうじのEMIのエンジニア、アラン・パーソンズによると、この曲きょくのレコーディング中ちゅうにマッカートニーが「5年ねん前まえならこんなのあっという間まに出来できたのに」と不満ふまんを漏もらしていたとのこと[17]。これについて、マッカートニーは「ステージで1週間しゅうかんずっと歌うたってきたような感かんじにしたかった」と説明せつめいしている[14]。

2019年ねんに発売はつばいされた『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』のCD2には、最後さいごの2分間ふんかんにプレストンのオルガンを加くわえたテイク4が収録しゅうろくされた[14]。

タイアップ[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは日産にっさん・サニー（B12型がた）のCMソングとして使用しようされた[18]。

クレジット[編集へんしゅう]

音楽おんがく評論ひょうろん家かのイアン・マクドナルドは、著書ちょしょ『Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties』で、以下いかのクレジットを掲載けいさいした[19]。

一方いっぽうで、2019年ねんに発売はつばいされた『アビイ・ロード (50周年しゅうねん記念きねんエディション)』に付属ふぞくのブックレットには、以下いかのクレジットで掲載けいさいされている[10]。

  • ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、ピアノ
  • ジョン・レノン - バッキング・ボーカル、ギター
  • ジョージ・ハリスン - バッキング・ボーカル、ベース
  • リンゴ・スター - ドラム

カバー・バージョン[編集へんしゅう]

ロビン・ギブによるカバー[編集へんしゅう]

「オー・ダーリング」
ロビン・ギブ の シングル
初出しょしゅつアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
B面めん シーズ・リーヴィング・ホーム（ビージーズ、ジェイ・マッキントッシュ、ジョン・ホイーラー）
リリース
規格きかく 7インチシングル
録音ろくおん
ジャンル
時間じかん
レーベル RSOレコード
作詞さくし・作曲さっきょく レノン＝マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
ロビン・ギブ シングル 年表ねんぴょう
  • オー・ダーリング
  • （1978年ねん）
ビージーズ シングル 年表ねんぴょう
  • オー・ダーリング
  • （1978年ねん）
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1978年ねんにロビン・ギブによるカバー・バージョンが、4作さく目めのソロ・シングルとして発売はつばいされ、B面めんにはビージーズ、ジェイ・マッキントッシュ、ジョン・ホイーラーによるカバー曲きょく「シーズ・リーヴィング・ホーム」が収録しゅうろくされた。いずれの楽曲がっきょくも、映画えいが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のサウンドトラックとしてカバーされた[20]。

ギブによるカバー・バージョンは、『ビルボード』誌しのHot Adult Contemporary Tracks（1978年ねん10月がつ7日にち付づけ）で最高さいこう位い22位いを記録きろくした[21]。なお、シングル盤ばんはアメリカで最もっとも売うれたギブのシングル作品さくひんとなった。

チャート成績せいせき
チャート (1978年ねん) 最高さいこう位い
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[22]
40
ノルウェー (VG-lista)[23] 40
US Billboard Hot 100[24] 15
US Hot Adult Contemporary Tracks (Billboard)[21] 22

その他たのアーティストによるカバー[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 発売はつばい当初とうしょの邦題ほうだいは、感嘆かんたん符ふのない「オー・ダーリン」で、後のちに「オゥ・ダーリン!」と改題かいだい。そして現げん題だいの「オー!ダーリン」と3回かいも変更へんこうされている。
  2. ^ B面めんには「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」が収録しゅうろくされた。
  3. ^ B面めんには「ヒア・カムズ・ザ・サン」が収録しゅうろくされた。
  4. ^ アルバム『Get Back』は未み発表はっぴょうとなり、後のちにフィル・スペクターによってリプロデュースされ、1970年ねんに『レット・イット・ビー』として発売はつばいされた。
  5. ^ 映画えいが『レット・イット・ビー』には、1月がつ6日にちにピアノでの弾ひき語がたり（ワンフレーズ）をしたときの映像えいぞうが含ふくまれている。
  6. ^ もう1曲きょくは「レット・イット・ビー」[28]。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Egan, Sean (2009). The Mammoth Book of the Beatles. Running Press. p. 200. ISBN 978-0-762-43627-9 
  2. ^ Unterberger, Richie. “Oh! Darling by The Beatles - Track Info”. AllMusic. RhythmOne. 2023年ねん7月がつ26日にち閲覧えつらん。
  3. ^ Perone, James E. The Album: A Guide to Pop Music's Most Provocative, nfluential, and Important Creations. p. 213 
  4. ^ Shepherd, John; Horn, David (8 March 2012). Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World Volume 8: Genres: North America. A&C Black. p. 470. ISBN 978-1-4411-4874-2. https://books.google.com/books?id=__DTvryrBZkC&pg=PA470 
  5. ^ Stratton, Jon (2016) [2010]. Britpop and the English Music Tradition. Oxfordshire: Taylor & Francis. p. 120. ISBN 978-1-317-17122-5 
  6. ^ Lynch, Joe (2014年ねん9月がつ26日にち). “The Beatles' Abbey Road Turns 45: Classic Track-By-Track Review”. Billboard. 2020年ねん9月がつ5日にち閲覧えつらん。
  7. ^ “ザ・ビートルズのシングル売上うりあげTOP16作品さくひん”. ORICON NEWS. オリコン. 2022年ねん11月17日にち閲覧えつらん。
  8. ^ a b Sheff 2000, p. 203.
  9. ^ Lewisohn 1988, p. 174.
  10. ^ a b c d e f Abbey Road 2019, p. 7.
  11. ^ Bernard 1993, p. 106.
  12. ^ 『ジョン・レノンPlayboyインタビュー』集英社しゅうえいしゃ、1981年ねん、168頁ぺーじ。ASIN B000J80BKM。 
  13. ^ Lewisohn 1996.
  14. ^ a b c d e f g h Abbey Road 2019, p. 8.
  15. ^ Lewisohn 1988, p. 168.
  16. ^ Abbey Road 2019, pp. 7–8.
  17. ^ Dowlding 1989, p. 282.
  18. ^ “サニー CM情報じょうほう”. 日産自動車にっさんじどうしゃ. 2021年ねん7月がつ3日にち閲覧えつらん。
  19. ^ MacDonald 2005, p. 350.
  20. ^ Stigwood, Robert (1978). The Official Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band Scrapbook. Pocket Books. p. 6. ISBN 0-671-79038-2 
  21. ^ a b “Robin Gibb Chart History（Adult Contemporary）”. Billboard. 2021年ねん11月21日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん6月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  22. ^ “charts.nz - Robin Gibb - Oh! Darling”. Top 40 Singles. 2022年ねん3月がつ27日にち閲覧えつらん。
  23. ^ "Norwegiancharts.com – Robin Gibb – Oh Darling". VG-lista. 2020年ねん9月がつ5日にち閲覧えつらん。
  24. ^ “The Hot 100 Chart”. Billboard (1978年ねん10月がつ17日にち). 2020年ねん9月がつ5日にち閲覧えつらん。
  25. ^ The Other Side of Abbey Road - George Benson | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年ねん9月がつ5日にち閲覧えつらん。
  26. ^ Jimmy McGriff - Good Things Don't Happen Every Day Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年ねん7月がつ25日にち閲覧えつらん。
  27. ^ Come Together: America Salutes the Beatles - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年ねん9月がつ5日にち閲覧えつらん。
  28. ^ a b 『music freak magazine & Es Flash Back B'z XXV Memories I』エムアールエム、2013年ねん、75頁ぺーじ。 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

UK盤ばん・US盤ばん共通きょうつう
1963年ねん
1964年ねん
1965年ねん
1966年ねん
1967年ねん
1968年ねん
1969年ねん
1970年ねん
1978年ねん
1982年ねん
1995年ねん
1996年ねん
2023年ねん
UK盤ばん
（パーロフォン /
アップル）
1962年ねん
1963年ねん
1964年ねん
1976年ねん
US盤ばん
（ヴィージェイ /
スワン /
トリー /
キャピトル /
アップル）
1963年ねん
1964年ねん
1965年ねん
1966年ねん
1970年ねん
1976年ねん
その他た
（オデオン /
パーロフォン /
アップル）
1963年ねん
1964年ねん
1965年ねん
1966年ねん
1968年ねん
1969年ねん
1970年ねん
1972年ねん
1978年ねん
1981年ねん
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