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日本廻国大乗妙典六十六部経聖 - Wikipedia コンテンツにスキップ

日本にっぽん廻国かいこく大乗だいじょう妙典みょうでんろくじゅうろくけいきよし

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日本にっぽん廻国かいこく大乗だいじょう妙典みょうでんろくじゅうろくけいきよし(にほんかいこくだいじょうみょうてんろくじゅうろくぶきょうひじり)とは、法華経ほけきょうを66写経しゃきょうし、日本にっぽん全国ぜんこくめぐって66の国々くにぐに壱岐いきこく対馬つしまこくのぞく)の寺社じしゃおさめけいする修行しゅぎょうしゃのこと。りゃくしてろくじゅうろく廻国かいこくきよし(ろくじゅうろくぶかいこくひじり)ともばれ、江戸えど時代じだいにはさらりゃくされてろくじゅうろく(ろくじゅうろくぶ)もしくはろく(ろくぶ)とばれた。

歴史れきし[編集へんしゅう]

その起源きげん不明ふめいであるが、66かこくすべてに設置せっちされていた国分こくぶ尼寺あまでらが「法華ほっけ滅罪めつざいてら」としょうされて法華経ほけきょうほうじていたとの関係かんけいしているとするせつがある[1]おそらくは法華経ほけきょう書写しょしゃによるさくぜん廻国かいこく苦行くぎょうによって滅罪めつざい功徳くどくるための行動こうどうであったとかんがえられている[2]すくなくても14世紀せいきにはその活動かつどう確認かくにんできる[2]

各国かっこくもうけられた霊場れいじょうおさめけい場所ばしょもうけられ、鉄塔てっとうなかけいとうれておさめけいしたり、地面じめんけいとうごとめたりした[2]

江戸えど時代じだいには犯罪はんざいおかして故郷こきょうてて諸国しょこくめぐひじりもおり、ろくじゅうろくろくという略称りゃくしょうはこうしたきよしたいしておとしめられた表現ひょうげんであるとするせつもある[1]勿論もちろん贖罪しょくざい意識いしきって諸国しょこくめぐもの純粋じゅんすい信仰しんこう目的もくてき俗世ぞくせてて諸国しょこくめぐもの存在そんざいしていた[1]。また、経典きょうてんそのものではなく、おさめけいさつおさめることが一般いっぱんてきになった[1][2]

廻国かいこく途中とちゅう地元じもとひとめられたきよし地元じもとどうあん定住ていじゅうすることもあった。そうしたひじり勧進かんじんおこなってひじりのために「廻国かいこく供養くようとう」とばれる供養くようとうてたり、途中とちゅうたおれたきよしのために「ろくはか」「ろくづか」とばれるはかてられることがあった[1][2]京都きょうと郊外こうがいとりにあった時宗じしゅう寺院じいんたからぶくてらのないひじり終焉しゅうえん場所ばしょ提供ていきょうしていたことがられている[1]

おさめけいさつおさめることでおさめけい代替だいたいとする手法しゅほうは、四国八十八箇所しこくはちじゅうはっかしょさんじゅうさんしょ観音かんのん巡礼じゅんれいがれたとする見解けんかいもある[1]

霊場れいじょう[編集へんしゅう]

66かこく霊場れいじょうについて、本来ほんらい国分こくぶ尼寺あまでらがそれに相当そうとうした可能かのうせいもあるが、実際じっさいにはその大半たいはんはや時期じき廃絶はいぜつしている。そうした背景はいけいもあってか、66かこくすべてに存在そんざいしていた一宮いちのみや霊場れいじょうにしていたとするせつがある。しかし、現実げんじつには何処どこ霊場れいじょうとみなすかは諸説しょせつあって確定かくていしたものではない。そもそも、霊場れいじょうとされている場所ばしょには寺院じいん神社じんじゃざっており、選定せんてい基準きじゅんさだかではない(これとはべつ明治めいじ神仏しんぶつ分離ぶんりれい寺院じいんであったものが神社じんじゃ改組かいそされて現存げんそんしているところもある)。例示れいじとして天野あまの信景さだかげあらわした『塩尻しおじり』には宝永ほうえい18世紀せいきはじめ)におこなわれたろくじゅうろくじゅんはいとして記載きさいされたものを下記かきしめす(あくまでも一説いっせつであることに注意ちゅうい[2][3]

  1. 下野げやこく滝尾たきおさん(滝尾たきお神社じんじゃ)
  2. 上野うえのこく一宮いちのみや(一之宮いちのみやぬきぜん神社じんじゃ)
  3. 武蔵むさしこくろくしょ明神みょうじん(大國たいこくたましい神社じんじゃ)
  4. 相模さがみこく八幡はちまん(鶴岡つるおか八幡宮はちまんぐう)
  5. 伊豆いずこくさんとう(三島みしま大社たいしゃ)
  6. 甲斐かいこくななさとしさん(円楽えんらくてら)
  7. 駿河するがこく富士ふじ(富士山ふじさん本宮ほんぐう浅間あさま大社たいしゃ)
  8. 遠江とおとうみこく国分寺こくぶんじ
  9. 三河みかわこく鳳来ほうらいてら
  10. 尾張おわりこく一宮いちのみや(真清田ますみだ神社じんじゃ)
  11. 美濃みのこく一宮いちのみや(南宮なんぐう大社たいしゃ)
  12. 近江おうみこく多賀たが(多賀たが大社たいしゃ)
  13. 伊賀いがこくえん寿ことぶきてら(延寿えんじゅいん)
  14. 伊勢いせこく朝熊あさまさん(金剛こんごうしょうてら)
  15. 志摩しまこく常安寺じょうあんじ
  16. 紀伊きいこく熊野くまの本宮もとみや(熊野くまの本宮ほんぐう大社たいしゃ)
  17. 和泉いずみこく松尾寺まつのおでら
  18. 河内かわうちこくじょう太子たいし(あきらぶくてら)
  19. 大和やまとこく長谷寺はせでら
  20. 山城やましろこく賀茂かもしゃ(賀茂かも神社じんじゃ)
  21. 丹波たんばこくあな太寺たいでら
  22. 摂津せっつこく天王寺てんのうじ(四天王寺してんのうじ)
  23. 阿波あわこくふとかめてら(ふとしりゅうてら)
  24. 土佐とさこく五台山ごだいさん(竹林たけばやしてら)
  25. 伊予いよこく一宮いちのみや(だい山祇やまずみ神社じんじゃ)
  26. 讃岐さぬきこくしろみねみや(白峰しらみねみや)
  27. 淡路あわじこく千光寺せんこうじ
  28. 播磨はりまこく書写しょしゃさん(圓教寺えんきょうじ)
  29. 美作みさくこく一宮いちのみや(中山なかやま神社じんじゃ)
  30. 備前びぜんこく吉備津きびつみや(吉備津きびつ彦神しゃ)
  31. 備中びっちゅうこく吉備津きびつみや(吉備津きびつ神社じんじゃ)
  32. 備後びんごこく浄土寺じょうどじ
  33. 安芸あきこく厳島いつくしま(厳島いつくしま神社じんじゃ)
  34. 周防すおうこく新寺にいでら(極楽寺ごくらくじ)
  35. 長門ながとこく一宮いちのみや(住吉すみよし神社じんじゃ)
  36. 筑前ちくぜんこく太宰府だざいふ天神てんじん(太宰府天満宮だざいふてんまんぐう)
  37. 筑後ちくごこくだかりょう玉垂たまだれみや(高良こうら大社たいしゃ)
  38. 肥前ひぜんこくせんぐり(せんぐり八幡宮はちまんぐう)
  39. 肥後ひごこく阿蘇あそみや(阿蘇あそ神社じんじゃ)
  40. 薩摩さつまこく新田しんでんしゃ(新田にった神社じんじゃ)
  41. 大隅おおすみこく八幡やはたしゃ(鹿児島かごしま神宮じんぐう)
  42. 日向ひなたこくほうはなだけ(薬師寺やくしじ)
  43. 豊後ぶんごこく田原たはら(しろひげ田原たはら神社じんじゃ)
  44. 豊前ぶぜんこく宇佐うさ(宇佐うさ神宮じんぐう)
  45. 石見いわみこく八幡はちまん(石見いわみ八幡宮はちまんぐう)
  46. 出雲いずもこく大社たいしゃ(出雲いずも大社たいしゃ)
  47. 伯耆ほうきこく大仙だいせんてら(大山寺たいさんじ)
  48. 隠岐おきこくたく(しょう神社じんじゃ)
  49. 因幡いなばこく一宮いちのみや(宇倍神社じんじゃ)
  50. 但馬たじまこく養父ようふ(養父やぶ神社じんじゃ)
  51. 丹後たんごこくなりしょう(成相寺せいしょうじ)
  52. 若狭わかさこく一宮いちのみや(若狭わかさ彦神しゃ)
  53. 越前えちぜんこく平泉寺ひらいずみじ(平泉寺へいせんじ白山はくさん神社じんじゃ)
  54. 加賀かがこく白山はくさん(白山はくさん咩神しゃ)
  55. 能登のとこく石動山せきどうやま(伊須いすりゅう岐比神社じんじゃ)
  56. えつ中国ちゅうごく立山たてやま(雄山おやま神社じんじゃ)
  57. 飛騨ひだこく国分寺こくぶんじ(飛騨ひだ国分寺こくぶんじ)
  58. 信濃しなのこく上諏訪かみすわ(諏訪すわ大社たいしゃ上社かみやしろ)
  59. 越後えちごこく蔵王ざおう権現ごんげん(きむみね神社じんじゃ)
  60. 佐渡さどこくしょう比叡山ひえいざん(蓮華れんげ峰寺みねでら)
  61. 出羽でわこく湯殿山ゆどのさん(湯殿山ゆどのさん神社じんじゃ)
  62. 陸奥みちのくこく塩竈しおがま(鹽竈しおがま神社じんじゃ)
  63. 常陸ひたちこく鹿島かしましゃ(鹿島かしま神宮じんぐう)
  64. 下総しもうさこく香取かとりしゃ(香取かとり神宮じんぐう)
  65. 上総かずさこく一宮いちのみや(玉前たまさき神社じんじゃ)
  66. 安房あわこく清澄寺せいちょうじ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g らいろくじゅうろく」『日本にっぽんだい事典じてん
  2. ^ a b c d e f 伊藤いとうろくじゅうろく」『国史こくしだい辞典じてん
  3. ^ 小嶋こじま博巳ひろみろくじゅうろく巡礼じゅんれい再考さいこうはちじゅうはちカ所かしょ成立せいりつともかかわらせて―」愛媛大学えひめだいがく 四国しこく遍路へんろ世界せかい巡礼じゅんれい研究けんきゅうセンター研究けんきゅう紀要きよう四国しこく遍路へんろ世界せかい巡礼じゅんれいだい4ごう(2019ねん3がつ・PDF)

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]