国鉄こくてつC50形かたち蒸気じょうき機関きかん車しゃ

国鉄こくてつC50形かたち蒸気じょうき機関きかん車しゃ
柳井やない市しで保存ほぞんされるC50 125
基本きほん情報じょうほう
運用うんよう者しゃ	鉄道てつどう省しょう → 日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう
製造せいぞう所しょ	三菱みつびし造船ぞうせん所しょ、汽車きしゃ製造せいぞう、川崎かわさき車輛しゃりょう、日本車輌製造にっぽんしゃりょうせいぞう、日立製作所ひたちせいさくしょ
製造せいぞう年ねん	1929年ねん - 1933年ねん
製造せいぞう数すう	154両りょう
主要しゅよう諸しょ元もと
軸じく配置はいち	1C
軌間きかん	1,067 mm
全長ぜんちょう	16,880 mm
全ぜん高こう	3,885 mm
機関きかん車しゃ重量じゅうりょう	53.00 t
動輪どうりん上じょう重量じゅうりょう	44.50 t
総そう重量じゅうりょう	87.90 t
動輪どうりん径みち	1,600 mm
軸じく重おも	14.90 t（第だい2動輪どうりん）
シリンダ数すう	単式たんしき2気筒きとう
シリンダ （直径ちょっけい×行程こうてい）	470 mm × 610 mm
弁べん装置そうち	ワルシャート式しき
ボイラー圧力あつりょく	14.0 kgf/cm2 (1.373 MPa; 199.1 psi)
大だい煙管きせる （直径ちょっけい×長ながさ×数かず）	127 mm×3,970 mm×18本ほん
小しょう煙管きせる （直径ちょっけい×長ながさ×数かず）	45 mm×3,970 mm×93本ほん
火ひ格子こうし面積めんせき	1.61 m2
過熱かねつ伝でん熱ねつ面積めんせき	9.5 m2
全ぜん蒸発じょうはつ伝でん熱ねつ面積めんせき	82.2 m2
煙管きせる蒸発じょうはつ伝でん熱ねつ面積めんせき	72.7 m2
火ひ室しつ蒸発じょうはつ伝でん熱ねつ面積めんせき	9.5 m2
燃料ねんりょう	石炭せきたん
燃料ねんりょう搭載とうさい量りょう	6.00 t
水みずタンク容量ようりょう	13.0 m3
制動せいどう装置そうち	自動じどう空気くうきブレーキ
出力しゅつりょく	852 PS
シリンダ引張ひっぱ力ちから	10,020 kg
粘着ねんちゃく引張ひっぱ力ちから	10,838 kg

形式けいしき図ず（前期ぜんき形かたち）

C50形かたち蒸気じょうき機関きかん車しゃ（C50がたじょうききかんしゃ）は、日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう（国鉄こくてつ）の前身ぜんしんである鉄道てつどう省しょうが製造せいぞうした旅客りょかく列車れっしゃ牽引けんいん用ようのテンダー式しき蒸気じょうき機関きかん車しゃである。シゴマル、シゴレの愛称あいしょうがある。

構造こうぞう

車軸しゃじく配置はいち2-6-0 (1C) 型がたの機関きかん車しゃで、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）から1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）の間あいだに154両りょうが製造せいぞうされた。

8620形かたちをベースに、空気くうきブレーキと給水きゅうすい加熱かねつ器きを標準ひょうじゅん装備そうびして近代きんだい化かを図はかったが、反面はんめん8620形がたで採用さいようされた島しま式しき心こころ向こうキ台きだい車しゃ（先さき輪わと第だい1動輪どうりんを一体化いったいかして、第だい1動輪どうりんに横よこ動どうを与あたえる方式ほうしき）は採用さいようされず、エコノミー式しきとなり曲線きょくせん通過つうか性能せいのうはその分ぶん低下ていかした。また、装備そうびが増ふえた分ぶん、重量じゅうりょうが増加ぞうかし、牽引けんいん力りょくは若干じゃっかん増ましたが、軸じく重じゅうが大おおきくなり、8620形かたちほどの汎用はんよう性せいは失うしなわれた。

C50 68以降いこうの2次じ形がたは、動輪どうりん軸じく重じゅうバランスの改善かいぜんのため、動輪どうりん全体ぜんたいを200mm後退こうたいさせる設計せっけい変更へんこうを行おこなっている。

製造せいぞう

本ほん形式けいしきは、三菱みつびし造船ぞうせん所しょ、汽車きしゃ製造せいぞう、川崎かわさき車輛しゃりょう、日本車輌製造にっぽんしゃりょうせいぞう、日立製作所ひたちせいさくしょの5社しゃで154両りょう (C50 1 - 154) が製造せいぞうされた。鉄道てつどう省しょう向むけだけでなく、樺太からふと庁ちょう鉄道てつどう向むけにも4両りょうが製造せいぞうされており、1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）の南みなみ樺太からふとの内地ないち化かに伴ともなって鉄道てつどう省しょう籍せきに編入へんにゅうされ、C50 155 - 158となっている。

製造せいぞう年次ねんじごとの番号ばんごうと両りょう数かずは次つぎのとおりである。

• 1929年ねん：C50 1 - 66, 68 - 96（95両りょう）
• 1930年ねん：C50 67, 97 - 142（47両りょう）
• 1931年ねん：C50 143 - 145（3両りょう）
• 1932年ねん：C50 146 - 152（7両りょう）
• 1933年ねん：C50 153, 154（2両りょう）

製造せいぞう所しょ別べつの番号ばんごうと両りょう数かずは次つぎのとおりである。

• 三菱みつびし造船ぞうせん所しょ（29両りょう）
  • C50 1 - 4（製造せいぞう番号ばんごう50 - 53）
  • C50 40 - 43（製造せいぞう番号ばんごう76 - 79）
  • C50 62 - 67（製造せいぞう番号ばんごう80, 85 - 89）
  • C50 97（製造せいぞう番号ばんごう90）
  • C50 115, 116（製造せいぞう番号ばんごう91, 92）
  • C50 129 - 131（製造せいぞう番号ばんごう93 - 95）
  • C50 140 - 144（製造せいぞう番号ばんごう96, 99 - 102）
  • C50 151 - 154（製造せいぞう番号ばんごう112, 113, 116, 117）
• 汽車きしゃ製造せいぞう（40両りょう）
  • C50 5 - 18（製造せいぞう番号ばんごう1050 - 1063）
  • C50 50 - 56（製造せいぞう番号ばんごう1079 - 1085）
  • C50 68 - 74（製造せいぞう番号ばんごう1086 - 1092）
  • C50 101 - 108（製造せいぞう番号ばんごう1118 - 1126）
  • C50 119 - 122（製造せいぞう番号ばんごう1127 - 1130）
• 川崎かわさき車輛しゃりょう（31両りょう）
  • C50 19 - 35（製造せいぞう番号ばんごう1283 - 1299）
  • C50 75 - 83（製造せいぞう番号ばんごう1333 - 1341）
  • C50 98 - 100（製造せいぞう番号ばんごう1345 - 1347）
  • C50 117, 118（製造せいぞう番号ばんごう1348, 1349）
• 日本にっぽん車輛しゃりょう製造せいぞう（24両りょう）
  • C50 36 - 39（製造せいぞう番号ばんごう223 - 227）
  • C50 61（製造せいぞう番号ばんごう233）
  • C50 90 - 96（製造せいぞう番号ばんごう234 - 240）
  • C50 113, 114（製造せいぞう番号ばんごう245, 246）
  • C50 126 - 128（製造せいぞう番号ばんごう247 - 249）
  • C50 135 - 139（製造せいぞう番号ばんごう251 - 253, 258, 259）
  • C50 149, 150（製造せいぞう番号ばんごう262, 263）
• 日立製作所ひたちせいさくしょ（30両りょう）
  • C50 44 - 49（製造せいぞう番号ばんごう332 - 337）
  • C50 57 - 60（製造せいぞう番号ばんごう353 - 356）
  • C50 84 - 89（製造せいぞう番号ばんごう357 - 362）
  • C50 109 - 112（製造せいぞう番号ばんごう386 - 389）
  • C50 123 - 125（製造せいぞう番号ばんごう400 - 402）
  • C50 132 - 134（製造せいぞう番号ばんごう408 - 410）
  • C50 145 - 148（製造せいぞう番号ばんごう442 - 445）

樺太からふと庁ちょう鉄道てつどう8650形かたち

8650形かたちは、樺太からふと庁ちょう鉄道てつどうに納入のうにゅうされた鉄道てつどう省しょうC50形がたの同形どうけい機きである。基本きほん的てきに、鉄道てつどう省しょうC50形がたの後期こうき形がたと同おなじであるが、耐寒たいかん構造こうぞうの密閉みっぺい式しき運転うんてん台だいが特徴とくちょうである。空気くうき制動せいどう機きを装備そうびしていないため、元もと空気くうき溜だめ部分ぶぶんのランボードの段差だんさがなく一直線いっちょくせんで、わずかに後半こうはん部分ぶぶんが下さがっている。

1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）に汽車きしゃ製造せいぞうで2両りょう（製造せいぞう番号ばんごう1149, 1150）および川崎かわさき車輛しゃりょうで2両りょう（製造せいぞう番号ばんごう1385, 1386）の計けい4両りょうが製造せいぞうされた。当初とうしょは8650形がた (8650 - 8653) と称しょうしたが、後のちに鉄道てつどう省しょうに準じゅんじてC50形かたち (C50 1 - 4) に改あらためられた。1943年ねんには鉄道てつどう省しょうに編入へんにゅうされ、C50 155 - 158となったが、日本にっぽんの敗戦はいせんとともにソ連それんに接収せっしゅうされ、以後いごの消息しょうそくは不明ふめいである。

運用うんよう

C50形かたち牽引けんいんの列車れっしゃに乗のり出征しゅっせいする恩師おんしを見送みおくる、京都きょうと府立ふりつ亀岡かめおか高等こうとう女学校じょがっこう（現げん・京都きょうと府立ふりつ亀岡かめおか高校こうこう）の生徒せいとたち。
1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）5月11日にち

戦前せんぜんは地方ちほうの旅客りょかく列車れっしゃや小しょう単位たんい貨物かもつ列車れっしゃなど、軽量けいりょうな列車れっしゃの牽引けんいんに使用しようされたが、牽引けんいん力りょくが比較的ひかくてきある反面はんめん、重量じゅうりょうがあるため取回とりまわしは8620形かたちより悪わるく、テンダーに設置せっちされた給水きゅうすい加熱かねつ器きも不調ふちょうで、簡略かんりゃく化かした先さき輪わの構造こうぞうからか脱線だっせんも多おおかった。そのため、C58形かたちの増ぞう備とともに戦前せんぜんの時点じてんで第だい一線いっせんを退しりぞき、入にゅう換かわ用ようとなるものが多おおかった。

1933年ねん6月がつ時点じてんにおけるC50形がたの配置はいち状じょう況きょうは、東京とうきょう鉄道てつどう局きょく28両りょう（田端たばた、大宮おおみや、小山こやま、桐生きりゅう）、名古屋なごや鉄道てつどう局きょく37両りょう（静岡しずおか、浜松はままつ、米原まいばら）、大阪おおさか鉄道てつどう局きょく25両りょう（梅小路うめこうじ、明石あかし、湊みなと町まち、糸崎いとざき）、門司もじ鉄道てつどう局きょく35両りょう（小郡おごおり、行橋ゆくはし、直方のうがた、鳥栖とす、早岐はいき、浦上うらかみ、熊本くまもと、鹿児島かごしま）、仙台せんだい鉄道てつどう局きょく11両りょう（盛岡もりおか、福島ふくしま）、札幌さっぽろ鉄道てつどう局きょく18両りょう（小樽築港おたるちっこう、岩見沢いわみざわ、札幌さっぽろ）で、四国しこくを除のぞく全国ぜんこくに散ちらばっている。

1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）には、C50 1 - 5が軍ぐんの要請ようせいにより供出きょうしゅつされ、海南かいなん島とうに送おくられることになったが、都合つごうにより台湾たいわんに降おろされ、台湾たいわん総督そうとく府ふ鉄道てつどうで使用しようされた。太平洋戦争たいへいようせんそう後のちにこれらを引ひき継ついだ台湾たいわん鉄路てつろ管理かんり局きょくではCT230型がた (CT231 - 235) となり、入にゅう換かわ用ようとして1960年代ねんだい末すえまで使用しようされた。

本土ほんどに残のこったC50形かたちは2両りょうが戦災せんさいにより廃車はいしゃされ、1947年ねん（昭和しょうわ23年ねん）には147両りょうが在籍ざいせきしていた。配置はいち区くは、苗穂なえぼ、長町ながまち、小山こやま、桐生きりゅう、平ひらめ、新鶴見しんつるみ、大宮おおみや、国府津こうづ、飯田いいだ町まち、静岡しずおか、浜松はままつ、稲沢いなざわ、梅小路うめこうじ、吹田すいた、亀山かめやま、姫路ひめじ、岡山おかやま、広島ひろしま、岩国いわくに、小郡おごおり、下関しものせき、行橋ゆくはし、鹿児島かごしまで、かなりの両りょう数かずが入にゅう換かわ用ようとなっていた。

1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）3月がつ末すえには144両りょうが残のこっていたが、中型ちゅうがたディーゼル機関きかん車しゃの実用じつよう化かに伴ともなって両りょう数かずを減へらし、1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）3月がつ末まつには140両りょう、1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）3月がつ末まつには76両りょう、1970年ねん（昭和しょうわ45年ねん）3月がつ末まつには42両りょうとなっていた。営業えいぎょう用ようとしては1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）の両毛線りょうもうせんが最後さいごで（ラッシュ時じに間合まあいで旅客りょかく運用うんようを持もつものを除のぞく）、最終さいしゅう廃車はいしゃは1974年ねん（昭和しょうわ49年ねん）8月がつのC50 36であった。民間みんかんに払下はらいさげられたものはなく、また、C12形かたちとともに梅小路うめこうじ蒸気じょうき機関きかん車しゃ館かん（現げん・京都きょうと鉄道てつどう博物館はくぶつかん）の保存ほぞん対象たいしょう形式けいしきからも外はずされた。

保存ほぞん機き

1次じ型がた（C50 1 - 67）は保存ほぞんされたものはなく、2次じ型がたに属ぞくする6両りょうが保存ほぞんされ現存げんそんする。鉄道てつどう博物館はくぶつかん等とうに保存ほぞんされたものはなく、いずれも自治体じちたいに貸与たいよされ公園こうえん・公共こうきょう施設しせつ等とうに設置せっちしての静態せいたい保存ほぞんとなっている。

また、132号機ごうきの動輪どうりん（片側かたがわ）が広島ひろしま県けん庄原しょうばら市し西城にししろ町まちにある、西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう（JR西日本にしにほん）の芸備線げいびせん備後西城びんごさいじょう駅えき前まえに、鉄道てつどう100周年しゅうねんを記念きねんしたモニュメントとして展示てんじされている。

C50形かたち保存ほぞん機き一覧いちらん

画像がぞう	番号ばんごう	所在地しょざいち	備考びこう
	C50 103	福島ふくしま県けん南みなみ相馬そうま市し原町はらまち区く牛来ごらい字じ出口でぐち194 南みなみ相馬そうま市し博物館はくぶつかん
	C50 123	栃木とちぎ県けん小山おやま市し駅東通えきひがしどおり2-25 駅東えきひがし中央ちゅうおう公園こうえん	1968年ねんまで両毛線りょうもうせんで使用しようされた後のち、1970年ねんまで駅えき構内こうないで入いれ換かわ作業さぎょうに用もちいられていた。
	C50 75	東京とうきょう都と足立あだち区く鹿浜しかはま3丁目ちょうめ26-1 北鹿浜きたしかはま公園こうえん
	C50 96	静岡しずおか県けん焼津やいづ市し栄さかえ町まち1丁目ちょうめ9 小石川こいしかわ公園こうえん
	C50 154	三重みえ県けん亀山かめやま市し関せき町まち新所しんしょ1545 観音山かんのんやま公園こうえん	C50のラストナンバー。汽笛きてきの上部じょうぶがなくナンバープレートも盗難とうなんかは不明ふめいだがレプリカに取とり換かえられている。 ラストナンバーだったこともあり梅小路うめこうじで保存ほぞんされる予定よていだったが外はずされた。保存ほぞん状態じょうたいはとても良よい。
	C50 125	山口やまぐち県けん柳井やない市し南町みなみまち1丁目ちょうめ2-2 駅南えきなん公園こうえん