私わたしが愛あいしたウルトラセブン

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『私わたしが愛あいしたウルトラセブン』（わたしがあいしたウルトラセブン）は、NHKの「土曜どようドラマ」で1993年ねん2月がつ13日にちと2月がつ20日はつかに（20時じから90分ふん枠わく）で放送ほうそうされたテレビドラマ。実際じっさいに特撮とくさつ番組ばんぐみ『ウルトラセブン』に脚本きゃくほん家かとして参加さんかした市川いちかわ森一もりいちが、同どう番組ばんぐみのヒロイン・友里ゆうりアンヌを主役しゅやくとして、ドラマ構成こうせいのために導入どうにゅうしたフィクションを交まじえ、『セブン』の撮影さつえい秘話ひわと出演しゅつえん者しゃや制作せいさくスタッフの青春せいしゅん群ぐん像ぞうを描えがいた^[1]。

2011年ねん12月がつ10日とおかに亡なくなった市川いちかわへの追悼ついとう番組ばんぐみとして、2011年ねん12月31日にちと2012年ねん1月がつ7日にちにNHK BSプレミアムで再さい放送ほうそうされた。

なお、『私わたしの愛あいしたウルトラセブン』と誤記ごきしている資料しりょうも存在そんざいする^[2]^[3]^[4]。

ストーリー

以下いかはドラマにおけるストーリーであるが、市川いちかわの脚本きゃくほんは事実じじつにフィクションも織おり交まぜているため、必かならずしも事実じじつと合致がっちしない部分ぶぶんもある。

第だい1部ぶ「夢ゆめで逢あった人々ひとびと」

体育たいいく大学だいがくに在籍ざいせきして将来しょうらいは体育たいいく教師きょうしになろうとしていたひし美びゆり子こは、アルバイトとして参加さんかしていた『ウルトラセブン』の撮影さつえい現場げんばで、満田みつた監督かんとくに見初みそめられてヒロイン「友里ゆうりアンヌ隊員たいいん」役やくに起用きようされる。新作しんさく発表はっぴょうを間近まぢかにして、アンヌ役やくに決定けっていしていた女優じょゆうが脚本きゃくほん家かの一人ひとりと交通こうつう事故じこを起おこすスキャンダルが発生はっせい（脚本きゃくほん家かは死亡しぼう）、急遽きゅうきょ代役だいやくが求もとめられていたためだった。

同おなじころ、「モロボシ・ダン」役やくでようやく日ひの目めを見みようとしていた森もり次じ晃嗣こうじは、下積したづみ時代じだいをともにした新宿しんじゅくのシャンソン歌手かしゅ、直子なおこと結婚けっこんの意志いしをかためていたが、アンヌ役やく交代こうたいのごたごたで婚姻こんいん届とどけを出だしに行いく約束やくそくを、結果けっか的てきにすっぽかすことになってしまう。直子なおこは森もり次じとの年齢ねんれい差さと、その将来しょうらいを思おもって彼かれを突つき放はなし、森もり次じもそれを受うけて「モロボシ・ダン」役やくにかける決意けついを固かためる。

一方いっぽうそのころ、事故死じこしした脚本きゃくほん家かの原稿げんこうの穴あなを埋うめるべく、円谷つぶらやプロの企画きかく課か所属しょぞくの上原うえはら正三しょうさんと、新人しんじんライター石川いしかわ新一しんいち（本ほん作品さくひんの脚本きゃくほんを担当たんとうした市川いちかわ森一もりいちにあたる）との非公開ひこうかいのコンペが進行しんこうしていた。上原うえはらは一いち度ど没ぼつにした「300年間ねんかんの復讐ふくしゅう」をリライトして提出ていしゅつするが、島津しまつに侵略しんりゃくされた琉球りゅうきゅう王朝おうちょうをモチーフとしたプロットが「怨念おんねんむき出だし」と三さん国こくプロデューサー（橋本はしもと洋二ようじにあたる）に糾弾きゅうだんされる。金城きんじょう哲夫てつおは部分ぶぶん的てきな修正しゅうせいを勧すすめるが、上原うえはらは「この脚本きゃくほんは直なおせない」と拒否きょひ、結局けっきょく取とり下さげることとなる。上原うえはらの真意しんいは、同おなじ沖縄おきなわ出身しゅっしん者しゃである金城きんじょうに、このストーリーを読よんでほしいというものだった。石川いしかわの脚本きゃくほんは地球ちきゅう破壊はかいの工作こうさく員いんとして送おくりこまれた宇宙うちゅう人じんの少女しょうじょが自みずからの星ほしに裏切うらぎられて絶望ぜつぼうするという情緒じょうちょ的てきな作品さくひん（第だい37話わ「盗ぬすまれた・ウルトラアイ」）であったが、怪獣かいじゅうが出でてこないと三さん国こくプロデューサーに一蹴いっしゅうされる。

第だい2部ぶ「夢見ゆめみる力ちから」

『ウルトラセブン』の撮影さつえいも終盤しゅうばんにさしかかっていたが、金城きんじょうは沖縄おきなわ出身しゅっしんの出自しゅつじを隠かくして本土ほんどに暮くらしながら、同おなじ「異邦いほう人じん」であるウルトラセブンの物語ものがたりを書かき続つづけることに苦悩くのうを深ふかめ、最終さいしゅう話ばなし「史上しじょう最大さいだいの侵略しんりゃく」の筆ふではあまり進すすんでいなかった。

そんな時とき、ゆり子こは森もり次じのかつての恋人こいびとである直子なおこの頼たのみで、ベトナム戦争せんそうに駆かり出だされたアメリカ人じんの脱走だっそう兵へいマイケルをかくまうことになる。森もり次じと上西かみにしも巻まき込こんで、怪獣かいじゅうパンドンの着きぐるみの中なかに脱走だっそう兵へいをしのばせ、最終さいしゅう話はなしのロケ遠征えんせいを利用りようして出国しゅっこくさせる計画けいかくを立たてるが、そのためには金城きんじょうの脚本きゃくほんが仕上しあがる必要ひつようがあった。

ゆり子こから最終さいしゅう話はなしの脚本きゃくほんを急せかされた金城きんじょうは、おおまかなあらすじを語かたるとともに、自分じぶんが沖縄おきなわ人じんだと告白こくはくする。日本人にっぽんじんでも沖縄おきなわ人じんでも金城きんじょうは変かわらない、というゆり子この言葉ことばに、金城きんじょうは最終さいしゅう話はなしの脚本きゃくほんを書かき上あげると、それを置おき土産みやげに日本にっぽんを去さる。

一方いっぽう、ゆり子こたちのマイケルへの協力きょうりょくは、円谷つぶらやプロ挙あげてのものとなってしまっていた。煙幕えんまくなど特殊とくしゅ効果こうかの撮影さつえいに紛まぎれ、MPの目めをくらまし、パンドンからセブンの着きぐるみに移うつったマイケルを連つれ、ロケ現場げんばからポインターで逃走とうそうする森もり次じだったが、港みなとで警察けいさつとMPに追おい詰つめられてしまう。

森もり次じの釈放しゃくほうを待まって、最終さいしゅう話はなしの撮影さつえいは無事ぶじ再開さいかいされた。傷きずついた身体しんたいで故郷こきょうへ帰かえっていくセブンを見送みおくるラストシーンを撮とり終おえた後のち、ゆり子こは一いち度どは退学たいがくした体育たいいく大学だいがくへ戻もどることにした。

キャスト

以下いかは第だい2部ぶのみに登場とうじょう。

スタッフ

エピソード

ソガ（阿知波あちわ信介しんすけ）役やくの布川ふかわ敏和としかずは、この後のち『ウルトラマンダイナ』のコウダ・トシユキ役やくでレギュラー入いりし、他ほかにも映画えいがなどの円谷つぶらや作品さくひんに関かかわっている。また、坂井さかい哲也てつや役やくの別所べっしょ哲也てつやは『ULTRAMAN』で主人公しゅじんこう・真木まき舜しゅん一いち、佐野さの史郎しろうは『ウルトラQ dark fantasy』や『ウルトラマンマックス』のナレーターを務つとめることになる。
「ヒロインが事故じこで重傷じゅうしょうとなり交代こうたいする」という設定せっていは、市川いちかわがメインライターを務つとめた『ウルトラマンA』で類似るいじの事象じしょうが実際じっさいに発生はっせいしている（足あしの骨折こっせつによる交代こうたい。詳細しょうさいは「星ほし光子みつこ#『ウルトラマンA』の出演しゅつえんと降板こうばん」を参照さんしょう）。なお、クランクイン直前ちょくぜんの『ウルトラセブン』のヒロイン交代こうたいは事実じじつであるが（隊員たいいん服ふくも前任ぜんにん者しゃに合あわせて作つくられている）、実際じっさいに劇げき中ちゅうで描えがかれたような事故じこは起おきてはおらず、交代こうたいは前任ぜんにん者しゃのスケジュールの都合つごうによるものである。
本ほん作品さくひんで金城きんじょう哲夫てつおを演えんじた佐野さの史郎しろうは、前年ぜんねんにドラマ『ずっとあなたが好すきだった』の桂田かつらだ冬ふゆ彦役でブレイクしたこともあり、バンダイビジュアルからVHSソフトがリリースされた際さいには、宣伝せんでん活動かつどうの一環いっかんとして「あの冬ふゆ彦さんを演えんじた佐野さのが金城きんじょう役やく」という、キャスティングの異色いしょくさを必要ひつよう以上いじょうに強調きょうちょうする旨むねのキャッチコピーが付つけられていた。
本ほん作品さくひんに上原うえはら正三しょうさん役やくで出演しゅつえんした仲村なかむらトオルは、ほぼ同おなじころに民放みんぽうで放映ほうえいされたドラマ『ゴールデンボーイズ』（こちらも市川いちかわが脚本きゃくほんを執筆しっぴつ）ではこのドラマより少すこし前まえの時代じだい（脚本きゃくほん家かデビュー前まえ）の市川いちかわ森もり一役ひとやくを演えんじている。
第だい2部ぶのラストの打うち上あげのシーンで、スタッフが盆踊ぼんおどりのように踊おどりを踊おどるシーンがあるが、このシーンに使つかわれたのは、『セブン』より後のちの作品さくひんである『帰かえってきたウルトラマン』の挿入歌そうにゅうかとして作つくられた「怪獣かいじゅう音頭おんど」だった。
後のちに雑誌ざっし取材しゅざいで、森もり次じ晃嗣こうじとひし美びゆり子こによる本ほん作さくについての対談たいだんがあり、実際じっさいの当事とうじ者しゃとして観みた場合ばあい、あり得えない部分ぶぶんもあるとコメントしつつも、当時とうじの雰囲気ふんいきが良よく出でていたと、おおむね好意こうい的てきな評価ひょうかを述のべている。
上原うえはら正三しょうさんによる『ウルトラセブン』の未み映像えいぞう化か脚本きゃくほん「300年間ねんかんの復讐ふくしゅう」の一部いちぶが映像えいぞう化かされており、それに伴ともない登場とうじょうするトーク星ほし人じんと甲冑かっちゅう人間にんげんも新あらたにデザインされ、登場とうじょうしている。
第だい1・2部ぶに登場とうじょうしたピット星ほし人じんの着きぐるみは後のちに修復しゅうふくされ、『ウルトラセブン太陽たいようエネルギー作戦さくせん』に登場とうじょうしたピット星ほし人じんに流用りゅうようされた^[2]。

映像えいぞうソフト化か

LD化かやVHSビデオ化かを経へて、2002年ねん10月がつ23日にちにはDVDが2枚まい組ぐみでバップより発売はつばいされた^[6]。

シナリオ

シナリオマガジン『ドラマ』1993年ねん2月がつ号ごう（映うつ人ひと社しゃ）: 市川いちかわ森一もりいちのシナリオ「私わたしが愛あいしたウルトラセブン」と作者さくしゃコメントが掲載けいさいされているほか、切通きりとおし理作りさくの寄稿きこうエッセイ「ウルトラセブン・三さん人にんの作家さっか」もある。なお、シナリオと完成かんせい作品さくひんを対照たいしょうするとカットされた部分ぶぶんの存在そんざいがわかる。

脚注きゃくちゅう

^ UPM vol.37 2022, p. 31, 「円谷つぶらやプロ作品さくひん新しん紀行きこう『ウルころ』、『ウルトラに材ざいをとったドラマたち』」
^ ^a ^b 『テレビマガジン特別とくべつ編集へんしゅう平成へいせいウルトラビデオ全集ぜんしゅう』（講談社こうだんしゃ）P.16
^ シンポジウム - HISTORICA2010
^ 上うえ楽らく敦子あつこ - IT企画きかく
^ ^a ^b ^c 『ウルトラセブンISM』（辰巳たつみ出版しゅっぱん、2002年ねん）P.141
^ 私わたしが愛あいしたウルトラセブン - VAP（インターネットアーカイブ2012年ねん12月2日にち分ぶんキャッシュ）

参考さんこう文献ぶんけん

講談社こうだんしゃ編へん『ウルトラ特撮とくさつ PERFECT MOOK』 vol.37《ウルトラマンゼアス/ウルトラマンUSA》、講談社こうだんしゃ〈講談社こうだんしゃシリーズMOOK〉、2022年ねん1月がつ11日にち。ISBN 978-4-06-521064-2。

外部がいぶリンク

[UPM_vol.3731-1] UPM vol.37 2022, p. 31, 「円谷つぶらやプロ作品さくひん新しん紀行きこう『ウルころ』、『ウルトラに材ざいをとったドラマたち』」

[平成ウルトラセブンビデオ全集_p16-2] 『テレビマガジン特別とくべつ編集へんしゅう平成へいせいウルトラビデオ全集ぜんしゅう』（講談社こうだんしゃ）P.16

[3] シンポジウム - HISTORICA2010

[4] 上うえ楽らく敦子あつこ - IT企画きかく

[『ウルトラセブンISM』-5] 『ウルトラセブンISM』（辰巳たつみ出版しゅっぱん、2002年ねん）P.141

[6] 私わたしが愛あいしたウルトラセブン - VAP（インターネットアーカイブ2012年ねん12月2日にち分ぶんキャッシュ）

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