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だいさん軌条きじょう方式ほうしき

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だいさん軌条きじょうから転送てんそう
台車だいしゃけられたしゅうでんくつあか部分ぶぶん名古屋なごや 市電しでん地下鉄ちかてつ保存ほぞんかん
だいさん軌条きじょう末端まったん導入どうにゅう東京とうきょうメトロ中野なかの車両しゃりょう基地きち
近鉄きんてつけいはんなせんしん石切いしきりえきだいさん軌条きじょうせっするホームにはしがらみ設置せっちされている
電流でんりゅうながれるだいさん軌条きじょう注意ちゅうい喚起かんきする標識ひょうしきしん石切いしきりえき
案内あんない軌条きじょうしき鉄道てつどうにおけるだいさん軌条きじょう札幌さっぽろ市営しえい地下鉄ちかてつ南北線なんぼくせんきた12じょうえき
セルダーニュせんだいさん軌条きじょう電流でんりゅうながれていることに注意ちゅうい喚起かんきしている
台北たいぺいとしうん軌道きどうだいさん軌条きじょう淡水たんすいせん
だいさん軌条きじょう方式ほうしき電化でんか踏切ふみきりのあるれいベルリンSバーン、シュトラウスベルク - シュトラウスベルク・ノルトあいだ

だいさん軌条きじょう方式ほうしき(だいさんきじょうほうしき)は、電気でんき鉄道てつどうしゅうでん方式ほうしきのひとつ。

法令ほうれい[注釈ちゅうしゃく 1]うえ名称めいしょうサードレールしきである。

走行そうこうようのレールとはべつに、並行へいこうしてだいさん給電きゅうでんようレール(だいさん軌条きじょうサードレール))を敷設ふせつし、それを車両しゃりょうけたしゅうでんくつ(コレクターシュー)がこすってしゅうでんする方式ほうしきである。

特徴とくちょう

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架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきくら建設けんせつコストがひくく、架線かせんばしら架線かせんにより景観けいかんそこねないのが利点りてんである。

反面はんめん線路せんろじきひく位置いちはだか給電きゅうでんレールを敷設ふせつするため、ひとりが容易ようい路線ろせんえきでは感電かんでん危険きけんともなううえ、保線ほせん作業さぎょうにおいても短絡たんらく感電かんでん危険きけんせいたかいため、日本にっぽんでは原則げんそくとして直流ちょくりゅうもちいるものは750ボルト以下いか交流こうりゅうもちいるものは600ボルト以下いか低圧ていあつもちいること、またひと可能かのうせいひく地下鉄ちかてつどうまたは高架こうか専用せんようじき鉄道てつどうかぎむね国土こくど交通省こうつうしょうによる省令しょうれい規則きそく告示こくじさだめられている。

構造こうぞうてきには、架空かくう電車でんしゃせんくらべて硬質こうしつ柔軟じゅうなんせいとぼしい鉄製てつせいレールをもちいるため、はなれせんすりどう騒音そうおんしょうじやすく、分岐ぶんき踏切ふみきりうえでは給電きゅうでん途切とぎれる欠点けってんゆうする。

また、曲線きょくせん走行そうこうには摩擦まさつによる振動しんどう騒音そうおんおおきく、高速こうそく運転うんてんてきさないのも欠点けってんである。近鉄きんてつけいはんなせんで95 km/h運転うんてんおこなわれているほか[1]イギリスでも160 km/h運転うんてんをしている区間くかんもあるが、一般いっぱんてきに200 km/h以上いじょう高速こうそく鉄道てつどうにはかない。イギリス国内こくないユーロスター架空かくうせん方式ほうしき高速こうそくしんせんCTRL)にえられたのも、フランス国内こくないとの速度そくどおおきいうえ、英仏海峡えいふつかいきょうトンネル出口でぐちしゅうでん方式ほうしきえが発生はっせいするという不都合ふつごうがあったからである。

1990年代ねんだい前半ぜんはんには騒音そうおん低減ていげんねらうべく、日本にっぽん新幹線しんかんせんのような高速こうそく運転うんてん可能かのうとする研究けんきゅう鉄道てつどう総合そうごう技術ぎじゅつ研究所けんきゅうじょおこなわれていたが、てい電圧でんあつ高速こうそく運転うんてん不向ふむきで、こう電圧でんあつ地表ちひょうちか位置いちでの使用しよう危険きけんであるため断念だんねんされている。

だいさん軌条きじょう地上ちじょうひく位置いち設置せっちされているが、走行そうこうようレールが地表ちひょうとほぼどう電位でんいであるのにたいし、だいさん軌条きじょう地表ちひょうたいして公称こうしょう電圧でんあつひとしい電圧でんあつゆうしている。また、だいさん軌条きじょう車両しゃりょう重量じゅうりょう支持しじしないため走行そうこうようレールとおな種類しゅるいのレールを使用しようする必要ひつようはなく、走行そうこうようレールよりもほそいものや、強度きょうどおとるが電気でんき抵抗ていこうひくひく炭素たんそこうレールがもちいられている。

だいさん軌条きじょう地表ちひょうじょうひく位置いち設置せっちされるため、線路せんろ横断おうだんするかたち平面へいめん交差こうさにあまりかないのも欠点けってんである。ロンドン南郊なんこうベルリンSバーンシカゴ・L郊外こうがい地上ちじょう区間くかんなど、踏切ふみきりのある路線ろせん存在そんざいするが、だいさん軌条きじょう特性とくせいめんから大半たいはん路線ろせん立体りったいされている。なお、日本にっぽんでも東京とうきょうメトロ銀座ぎんざせん上野うえのえきから分岐ぶんきする上野うえの検車けんしゃ地上ちじょう入庫にゅうこせん一般いっぱん道路どうろとの踏切ふみきりがあるが、この踏切ふみきりから線路せんろないひとらないように、線路せんろがわにも電車でんしゃ通過つうかのみ開閉かいへいする遮断しゃだんしがらみもうけられているほか、道路どうろとの交差こうさにはだいさん軌条きじょう設置せっちしていない。

日本にっぽんでは一部いちぶ地下鉄ちかてつおよび、だいさん軌条きじょう方式ほうしき地下鉄ちかてつ直通ちょくつう運転うんてんしている路線ろせんだけにもちいられているが、欧米おうべいではロンドン近郊きんこうきゅう国鉄こくてつ路線ろせんなど、地上ちじょう路線ろせんにもひろ採用さいようされている。フランスのピレネー山脈さんみゃくには、"Train Jaune"(トラン・ジョーヌ、黄色きいろ列車れっしゃ)としょうする、フランス国鉄こくてつ(SNCF)の経営けいえいによるだいさん軌条きじょうしゅうでん小型こがた電車でんしゃ使用しようする山岳さんがくカル線かるせんセルダーニュせん存在そんざいする。

だいさん軌条きじょう方式ほうしき建設けんせつコストのめんから、しょう断面だんめんトンネル建設けんせつしようとする場合ばあい有利ゆうりで、地下鉄ちかてつなどトンネル断面だんめんちいさくしたい場合ばあい採用さいようされた。近年きんねん地上ちじょう路線ろせんとの普及ふきゅうしたことや、しょう断面だんめんのトンネルが冷房れいぼう使用しようはいねつにおいて不利ふりになったため、剛体ごうたい架線かせんなどを使用しようした架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしき採用さいようする地下鉄ちかてつおおく、日本にっぽん鉄輪てつりんしきリニアモーターカーによる地下鉄ちかてつも、すべ架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきである。

えきプラットホーム線路せんろじき道路どうろ近接きんせつする場所ばしょなど、係員かかりいん以外いがいもの線路せんろじきおそれのある箇所かしょには、感電かんでん危険きけんせい線路せんろない立入禁止たちいりきんしであるむね警告けいこく表示ひょうじするよう規定きていされている。世界せかいてき使用しよう電圧でんあつ大半たいはん路線ろせん直流ちょくりゅう900ボルト未満みまんで、1,500ボルトもしくは3,000ボルトを多用たようする架線かせんしゅうでんしきよりひくい。日本にっぽんでは直流ちょくりゅう750ボルト以下いか交流こうりゅう600ボルト以下いか規定きていされている。

だいさん軌条きじょう走行そうこうする列車れっしゃ車体しゃたい車両しゃりょう限界げんかい)よりも外側そとがわ設置せっちされるのが一般いっぱんてきで、レールはばせばめて枕木まくらぎなどの構造こうぞうぶつをコンパクトにできる狭軌きょうき走行そうこうようレールをだいさん軌条きじょうわせる利点りてんちいさい。台車だいしゃよこはばおおきいほうだいさん軌条きじょうちかく、あつまりでんしやすくなる。こうした理由りゆうから、歴史れきしてき狭軌きょうきおお採用さいようしてきた日本にっぽんでも、現在げんざいあるだいさん軌条きじょう方式ほうしき路線ろせんはすべて標準軌ひょうじゅんき採用さいようしている[2]

路面ろめん電車でんしゃでもだいさん軌条きじょうによる地表ちひょうしゅうでん方式ほうしきもちいられているれいがある。給電きゅうでんようレールはこまかい絶縁ぜつえん区間くかん分割ぶんかつされ、歩行ほこうしゃ路面ろめん交通こうつう安全あんぜんのため車両しゃりょう真下ました部分ぶぶんにのみ通電つうでんされるようになっている。19世紀せいきすえ登場とうじょうしたものの、安全あんぜんせい問題もんだいがあり、すぐに姿すがたしたが、2003ねんにフランスのボルドー再度さいど実用じつようされた。路面ろめん電車でんしゃだいさん軌条きじょうしゅうでん方式ほうしきにはこのほかに地中ちちゅうみぞ給電きゅうでんようレールを敷設ふせつする地中ちちゅうみぞ(コンデュイット)方式ほうしき存在そんざいした。

日本にっぽん最初さいしょ採用さいようれい

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1893ねん明治めいじ26ねん)に開業かいぎょうしたアプトしき時代じだい信越本線しんえつほんせん横川よこがわえき - 軽井沢かるいざわえきあいだ通称つうしょうよこけいせん」)が、だいさん軌条きじょう方式ほうしき最初さいしょれいである。電圧でんあつ直流ちょくりゅう600ボルトで、下面かめん接触せっしょく方式ほうしきであった。よこけいせん多数たすう存在そんざいするトンネル蒸気じょうき機関きかんしゃよう規格きかくつくられており、架空かくう電車でんしゃせんするためにはトンネル断面だんめんたか方向ほうこう拡張かくちょうする工事こうじ必要ひつようであった。その工事こうじ費用ひよう莫大ばくだいなものとなることが予想よそうされたため、てい予算よさん実現じつげん可能かのうだいさん軌条きじょう方式ほうしき採用さいようされたのである。

なお、横川よこがわえきおよび軽井沢かるいざわえき構内こうないは、機関きかんしゃ作業さぎょう貨車かしゃにゅうかわ作業さぎょう安全あんぜんせい考慮こうりょして架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきったため(こちらも直流ちょくりゅう600ボルト)、機関きかんしゃはいずれもしゅうでんくつパンタグラフ(初期しょきはポール)双方そうほう装備そうびしたハイブリッドしゅうでん方式ほうしきとしていた。また、機関きかんしゃがいずれもロッド駆動くどうであったこともあり、電車でんしゃとはことなり、機関きかんしゃしゅうでんくつはいずれもくるまはし装備そうびされていた。

上面うわつら接触せっしょく下面かめん接触せっしょく

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レールの上側うわがわしたがわのどちらをしゅうでんくつこするのかは、くにによってもさまざまである。

日本にっぽんでは、前項ぜんこう紹介しょうかいした信越本線しんえつほんせんよこかる以外いがいは、すべて上面うわつら接触せっしょくである。一方いっぽうドイツでは、ベルリンSバーンなどのようにしたがわ接触せっしょくしているものもある。

だいよん軌条きじょう方式ほうしき

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よん軌条きじょう方式ほうしき(Four rail system)はロンドン地下鉄ちかてつのみでられるもので、通常つうじょう位置いちだいさん軌条きじょうからしゅうでんした電力でんりょくを、走行そうこうようレールではなく、そのあいだ設置せっちしただいよん軌条きじょう(フォースレール)にかえ方式ほうしき

さんそう交流こうりゅう給電きゅうでんゴムタイヤしきモノレールでもだいよん軌条きじょうまで、どう方式ほうしき自動じどう案内あんない軌条きじょうしき旅客りょかく輸送ゆそうシステムではだい軌条きじょうまで必要ひつようになることがある。

しゅうでん方式ほうしきとの併用へいよう

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日本にっぽん最初さいしょだいさん軌条きじょう方式ほうしき採用さいようした信越本線しんえつほんせんでは前述ぜんじゅつのように架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしき併用へいようしたハイブリッドしゅうでん機関きかんしゃとしていたが、1963ねん昭和しょうわ38ねん)に架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきしんせんえられ消滅しょうめつしたため、しゅうでん方式ほうしき併用へいようして運用うんようされている路線ろせんりょう電化でんか方式ほうしきできる電気でんき機関きかんしゃ電車でんしゃ現在げんざいない。2025ねん日本にっぽん国際こくさい博覧はくらんかいわせ、近畿日本鉄道きんきにほんてつどう同社どうしゃ奈良ならせん架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしき)とけいはんなせんだいさん軌条きじょう方式ほうしき)、Osaka Metro中央ちゅうおうせんだいさん軌条きじょう方式ほうしき)を直通ちょくつうできる専用せんよう特急とっきゅう車両しゃりょう開発かいはつする構想こうそう発表はっぴょうしている[3]。また、りょう電化でんか方式ほうしき混在こんざいするアメリカのニューヨーク近郊きんこうメトロノース鉄道てつどうにおける専用せんよう車両しゃりょうについて、日本にっぽん鉄道てつどう車両しゃりょうメーカーである東急とうきゅう車輛しゃりょう製造せいぞう川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうが、イギリスのロンドン近郊きんこうにおける専用せんよう車両しゃりょうについては日立製作所ひたちせいさくしょ納入のうにゅうした実績じっせきがある。

日本にっぽん国外こくがいでは上述じょうじゅつのメトロノース鉄道てつどう以外いがいにも区間くかんがいくつかあり、イギリス国鉄こくてつクラス313電車でんしゃなど、両方りょうほうしゅうでん方式ほうしき対応たいおうした電車でんしゃ電気でんき機関きかんしゃ活躍かつやくしている。

普段ふだんディーゼル発電はつでんによって発電はつでんした電気でんきはし電気でんきしきディーゼル機関きかんしゃとして運用うんようされているが、排出はいしゅつガス規制きせいのある地下ちかターミナルえきれるさいにはエンジンをめてだいさん軌条きじょう方式ほうしき(もしくは架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしき)によってしゅうでんした電気でんきによってはし電気でんき機関きかんしゃとすることでれを可能かのうとした車両しゃりょうがある。

複数ふくすう電化でんか方式ほうしき対応たいおうした高価こうか専用せんよう車両しゃりょうもちいなくとも、直通ちょくつう運転うんてん効率こうりつてき運用うんようができるよう、おな区間くかん架空かくう電車でんしゃせん方式ほうしきだいさん軌条きじょう方式ほうしき両方りょうほう方式ほうしき電化でんかされた箇所かしょもあり、おもおおきなターミナルえき構内こうないやその周辺しゅうへんおおい。

だいさん軌条きじょう方式ほうしき採用さいようれい

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ヨーロッパ

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CIS諸国しょこく

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きたアメリカ

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みなみアメリカ

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ポリネシア

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電化でんか区間くかんとのちが

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両者りょうしゃ景観けいかんじょうおおきなちがいはないが、だいさん軌条きじょう方式ほうしき場合ばあい軌道きどうないると感電かんでんする可能かのうせい非常ひじょうたかいために、安全あんぜん対策たいさくめんでは経費けいひかる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 同線どうせんでは120 km/hまでの運転うんてん試験しけんおこなわれ、同線どうせんでの最適さいてき最高さいこう運転うんてん速度そくど検討けんとうした結果けっか、70 km/hから95 km/hに速度そくど向上こうじょうさせた。
  2. ^ 小林こばやしたく (2019ねん4がつ10日とおか). “銀座ぎんざせんの「レールはば」はなぜ新幹線しんかんせんおなじなのか”. 東洋とうよう経済けいざいONLINE. 2022ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ ゆめしゅう直通ちょくつう列車れっしゃけのしゅうでん装置そうち開発かいはつについて”. 近畿日本鉄道きんきにほんてつどう (2022ねん5がつ2にち). 2023ねん9がつ26にち閲覧えつらん
  4. ^ 中期ちゅうき経営けいえい計画けいかく東京とうきょうメトロプラン 2018」” (PDF). 東京とうきょう地下鉄ちかてつ. p. 16. 2016ねん3がつ30にち閲覧えつらん

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 鉄道てつどう事業じぎょうほう施行しこう規則きそくなど

関連かんれん項目こうもく

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