震災しんさい復興ふっこう再さい開発かいはつ事業じぎょう

震災しんさい復興ふっこう再さい開発かいはつ事業じぎょう（しんさいふっこうさいかいはつじぎょう）とは、大だい規模きぼ地震じしんの甚大じんだいな被害ひがいにより生活せいかつ基盤きばんや都市とし機能きのうが失うしなわれた地域ちいきにおいて、都市とし機能きのうの回復かいふくのみならず被災ひさいを契機けいきとした都市とし再さい開発かいはつも含ふくめて都市とし基盤きばん整備せいびを行おこなう事業じぎょうを指さす。多おおくは被害ひがいにあった地方自治体ちほうじちたい（市町村しちょうそん）が主導しゅどうし、国くにもしくは都道府県とどうふけんの協力きょうりょくを仰あおいで数すう年ねんの事業じぎょう計画けいかくを立案りつあん後ご、被災ひさい者しゃや地域ちいき住民じゅうみんとのアセスメント等ひとしを経へて策定さくていされ実行じっこうに移うつされる。行政ぎょうせいと民意みんいとの一致いっちを見みるまでに極きわめて多様たような開発かいはつの展開てんかいを経へることが多おおい。近年きんねんでは1995年ねん1月がつ17日にちに発生はっせいした阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさい（兵庫ひょうご県けん南部なんぶ地震じしん）の被災ひさい地ちで震災しんさい復興ふっこう再さい開発かいはつ事業じぎょうが行おこなわれた。

関東大震災かんとうだいしんさい

復興ふっこう計画けいかくの始動しどうと齟齬そご

「後藤ごとう新平しんぺい#関東大震災かんとうだいしんさいと世界せかい最大さいだい規模きぼの帝都ていと復興ふっこう計画けいかく」および「関東大震災かんとうだいしんさい#復興ふっこう」も参照さんしょう

1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）9月1日にちに発生はっせいした関東大震災かんとうだいしんさい（関東かんとう地震じしん）による被害ひがいは甚大じんだいなものであり、復興ふっこう計画けいかくは政府せいふ主導しゅどうで行おこなわれた。第だい2次じ山本やまもと内閣ないかくの内務ないむ大臣だいじんに就任しゅうにんした後藤ごとう新平しんぺいは、復興ふっこう事業じぎょうについて、計画けいかく決定けっていから各省かくしょう所管しょかん事務じむ、自治体じちたいの権限けんげんすべてを集中しゅうちゅうする「帝都ていと復興ふっこう省しょう」を設立せつりつしようとしたが、各省かくしょうの強つよい反対はんたいに遭あい、東京とうきょうと横浜よこはまにおける都市とし計画けいかく、都市とし計画けいかく事業じぎょうの執行しっこうなど復興ふっこうの事務じむを掌てのひらる帝都ていと復興ふっこう院いんを設立せつりつして、いわゆる後藤ごとう系けい官僚かんりょうを結集けっしゅうさせた。その幹部かんぶは、総裁そうさい後藤ごとう新平しんぺい、副ふく総裁そうさいに北海道庁ほっかいどうちょう長官ちょうかんの宮尾みやお舜しゅん治ち（計画けいかく局きょく・土地とち整理せいり局きょく・建築けんちく局きょく担当たんとう）と東京とうきょう市政しせい調査ちょうさ会かい専務せんむ理事りじ松木まつき幹みき一郎いちろう（土木どぼく局きょく・物資ぶっし供給きょうきゅう局きょく・経理けいり局きょく担当たんとう）、技わざ監かんに大阪おおさか市しの港湾こうわん計画けいかくや都市とし計画けいかくに従事じゅうじした直木なおき倫太郎りんたろう、理事りじ・計画けいかく局長きょくちょうには、官職かんしょくを離はなれて京都きょうとにいた元もと東京とうきょう市し助役じょやく池田いけだ宏ひろし、理事りじ・土地とち整理せいり局長きょくちょうに宮尾みやお舜しゅん治ち（後のちに北海道庁ほっかいどうちょう土木どぼく部長ぶちょうの稲葉いなば健之助けんのすけ）、理事りじ・建築けんちく局長きょくちょうに東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく教授きょうじゅとの兼任けんにんで耐震たいしん構造こうぞう研究けんきゅうの佐野さの利器りき、理事りじ・土木どぼく局長きょくちょうに直木なおき倫太郎りんたろう（途中とちゅう辞職じしょく、直木なおきの後任こうにんにに鉄道てつどう技師ぎし・陸軍りくぐん工兵こうへい少尉しょういの太田おおた圓えん三さん）、理事りじ・物資ぶっし供給きょうきゅう局長きょくちょうに松木まつき幹みき一郎いちろう、経理けいり局長きょくちょう心得こころえに鉄道てつどう省しょう経理けいり局きょく会計かいけい課長かちょう十河そごう信二しんじという陣容じんようで、2人ふたりの勅みことのり任にん技師ぎしに内務省ないむしょう都市とし計画けいかく課かの山田やまだ博愛ひろよしと医学いがく博士はかせ岸きし一太かずたを起用きようした。しかし後藤ごとうは、2人ふたりの副ふく総裁そうさい人事じんじに際さいして配下はいかの後藤ごとう系けい官僚かんりょう4人にんに交渉こうしょうしており、こうした「人事じんじ上じょうの不謹慎ふきんしん」が後こうの復興ふっこう計画けいかくに支障ししょうを来きたすこととなる。

後藤ごとうは一人ひとりで東京とうきょう復興ふっこうの基本きほん方針ほうしん

1. 遷都せんとすべからず
2. 復興ふっこう費ひは30億おく円えんを要ようすべし
3. 欧米おうべい最新さいしんの都市とし計画けいかくを採用さいようして、我国わがくにに相応ふさわしい新都しんとを造営ぞうえいせざるべからず
4. 新しん都市とし計画けいかく実施じっしの為ためめには、地主じぬしに対たいし断固だんこたる態度たいどを取とらざるべからず

を練ねり上あげる。だが事業じぎょう規模きぼは当時とうじの経済けいざい状況じょうきょうをかんがみて縮小しゅくしょうされ、当初とうしょの焦土しょうど買かい上あげという後藤ごとうの「大だい風呂敷ふろしき」は実現じつげんせず、農地のうち整せい序じょにつかっていた区画くかく整理せいりが展開てんかいされることとなった。しかし土地とち区画くかく整理せいりについては、担当たんとうの宮尾みやお副ふく総裁そうさいが拙速せっそく主義しゅぎを取とって反対はんたいだったのに対たいして、松木まつき副ふく総裁そうさいとその推薦すいせんで復興ふっこう院いんに入はいった者ものたちは区画くかく整理せいり実行じっこう論ろん者しゃであった。この対立たいりつにおいて、都市とし計画けいかく官僚かんりょうの第一人者だいいちにんしゃである池田いけだ計画けいかく局長きょくちょうが宮尾みやお副ふく総裁そうさいに、佐野さの建築けんちく局長きょくちょうが松木まつき副ふく総裁そうさいに与くみすると、後藤ごとう総裁そうさいの政治せいじ力りょくでは両者りょうしゃの対立たいりつに収拾しゅうしゅうがつかなくなった。しかも区画くかく整理せいりについては後藤ごとう自身じしんが研究けんきゅう不足ふそくでよく理解りかいしておらず、閣僚かくりょうには井上いのうえ準之助じゅんのすけ大蔵おおくら大臣だいじんが説明せつめいすることもあるほどであった。さらに復興ふっこう計画けいかく審議しんぎのために設置せっちされた3つの審議しんぎ機関きかんのうち帝都ていと復興ふっこう参与さんよ会かいと帝都ていと復興ふっこう協議きょうぎ会かいは無事ぶじ通過つうかするが、帝都ていと復興ふっこう審議しんぎ会かいでは大だい反対はんたいされ、特別とくべつ委員いいん会かいでの大幅おおはば縮小しゅくしょうで決定けってい、5億おく円えん強きょうになり議会ぎかい提出ていしゅつの運はこびとなった。そして議会ぎかいでは、普通ふつう選挙せんきょ導入どうにゅう問題もんだいで後藤ごとう内務ないむ大臣だいじんと対立たいりつする最大さいだい野党やとうの立憲りっけん政友せいゆう会かいが復興ふっこう予算よさんでも反対はんたいに回まわり、予算よさんの大幅おおはば削減さくげんと復興ふっこう院いん廃止はいしを要求ようきゅうした。山本やまもと内閣ないかくでは、犬いぬ養やしなえ毅あつし逓信ていしん大臣だいじんと平沼ひらぬま騏一郎きいちろう司法しほう大臣だいじんが解散かいさん総そう選挙せんきょを主張しゅちょう、田中たなか義一ぎいち陸軍りくぐん大臣だいじんと財部たからべ彪あや海軍かいぐん大臣だいじんが解散かいさんないし総そう辞職じしょくを主張しゅちょうしたのに対たいし、所管しょかんの後藤ごとう内務ないむ大臣だいじんが政友せいゆう会かいへの屈服くっぷくを選択せんたくしたため、政友せいゆう会かい案あんを受うけ入いれて復興ふっこう計画けいかくは確定かくていされた。しかも後藤ごとうは予算よさん成立せいりつ後ごの解散かいさんを提言ていげんして山本やまもと権兵衛ごんべえ総理そうり大臣だいじんに却下きゃっかされた。さらに火災かさい保険ほけん貸付かしつけ法案ほうあん審議しんぎ未了みりょう問題もんだいで田た健治郎けんじろう農のう商務しょうむ大臣だいじんが辞任じにん（12月24日にち）した矢先やさきに虎ノ門とらのもん事件じけん（12月27日にち）が起おきて、山本やまもと内閣ないかくはこれを契機けいきに総そう辞職じしょくし、この政争せいそうの過程かていで多おおくの人ひとの支持しじを失うしなっていた後藤ごとうはその後ご、現実げんじつ政治せいじ家かとして復帰ふっきすることはなかった。

後藤ごとう新平しんぺいの強つよい影響えいきょう下かに設立せつりつされた復興ふっこう院いんは廃止はいしされ、翌よく1924年ねん2月がつ25日にち、内務省ないむしょうの外局がいきょくとして復興ふっこう局きょくが設置せっちされて、復興ふっこう院いん技わざ監かんだった後藤ごとう系けいの直木なおき倫太郎りんたろうが長官ちょうかんとなった。しかし復興ふっこう局きょくは、内務省ないむしょう、鉄道てつどう省しょう、大蔵省おおくらしょうの3省しょうの寄より合あい所帯じょたいで「伏魔殿ふくまでん」と言いわれ、疑獄ぎごく事件じけんが相次あいついだ。特とくに1925年ねん12月からは、前ぜん復興ふっこう局きょく整地せいち部長ぶちょう稲葉いなば健之助けんのすけ、鉄道てつどう省しょう経理けいり局長きょくちょう十河そごう信二しんじ（前ぜん復興ふっこう局きょく経理けいり部長ぶちょう）ら多数たすうが逮捕たいほ・起訴きそされる復興ふっこう局きょく疑獄ぎごく事件じけんが摘発てきはつされ、土木どぼく部長ぶちょう太田おおた圓えん三さんが自殺じさつした。検事けんじ局きょくによる捜査そうさの手ては、直木なおき前ぜん長官ちょうかん（1925年ねん9月16日にちに憲政けんせい会かい系けい内務ないむ官僚かんりょうの清野きよの長太郎ちょうたろうと交代こうたい）や政友せいゆう本ほん党とう幹事かんじ長ちょう小橋こはし一太かずた（清浦きようら内閣ないかく内閣ないかく書記官しょきかん長ちょう）にまで及およんだが、復興ふっこう局きょく側がわの担当たんとう者しゃだった太田おおたが自殺じさつしたために捜査そうさが進すすまず、また政治せいじ決着けっちゃくが図はかられた形跡けいせきもあり、捜査そうさは1926年ねん4月で立たち消ぎえとなった。裁判さいばんは1927年ねん6月の一いち審しん判決はんけつで稲葉いなば、十河そごうとも収賄しゅうわいで有罪ゆうざい、1929年ねん4月がつの控訴こうそ審しん判決はんけつで稲葉いなば有罪ゆうざい、十河そごう無罪むざいとなった（十河そごうも金銭きんせん授受じゅじゅの事実じじつは認みとめた）。1930年ねん3月からは、昭和しょうわ天皇てんのうの東京とうきょう市内しない視察しさつを皮切かわきりとした帝都ていと復興ふっこう祭さいが迫せまっており、復興ふっこうの問題もんだいに対たいしては「臭くさいものに蓋ぶた」のムードが立たち込こめ、復興ふっこうに関かんするできごとが天皇てんのうの名なで「偉業いぎょう」と化かしていった中なか、後藤ごとう新平しんぺいや復興ふっこう院いん・復興ふっこう局きょくの不祥事ふしょうじは語かたりにくい事件じけんとなって行いき、戦後せんご刊行かんこうされた東京とうきょう百ひゃく年ねん史し編集へんしゅう委員いいん会かい編へん『東京とうきょう百ひゃく年ねん史し　第だい四よん巻かん』（東京とうきょう都と、1972年ねん）でもまともに扱あつかわれなかった。さらにマスコミも事件じけんの隠蔽いんぺい工作こうさくに手てを貸かしていた（稲葉いなばは復興ふっこう局きょく機密きみつ費ひを使つかって新聞しんぶん記者きしゃに金銭きんせんを送おくっていた）。

こうしたスキャンダルにまみれた中なか、後藤ごとう新平しんぺいの当初とうしょの構想こうそうまでは実現じつげんしなかったが、現在げんざいの内堀うちぼり通どおりや靖国やすくに通どおり、昭和しょうわ通どおりなど都心としん・下町したまちのすべての街路がいろはこの復興ふっこう事業じぎょうによって整備せいびされたもので、この東京とうきょうの骨格こっかくは現在げんざいに至いたるまで変化へんかしていない。また、震災しんさいによる焼失しょうしつ区域くいき1100万まん坪つぼの全域ぜんいきに対たいする土地とち区画くかく整理せいり事業じぎょうを断行だんこうし、区画くかく整理せいりは最終さいしゅう的てきに全体ぜんたいを66地区ちくに分わけ、各かく整理せいり委員いいん会かいで侃々諤々かんかんがくがくの議論ぎろんを行おこないながら事業じぎょうが進すすめられた。この結果けっか、密集みっしゅう市街地しがいちの裏うら宅地たくちや畦道あぜみちのまま市街しがい化かした地域ちいきは一掃いっそうされ、いずれも幅はば4m以上いじょうの生活せいかつ道路どうろ網もうが形成けいせいされ、同時どうじに上下水道じょうげすいどうとガス等とうの基盤きばんも整備せいびされた。

震災しんさい復興ふっこう橋梁きょうりょう

そのほか、東京とうきょう市し中なかの川かわに架かかっていた橋はしも大だい部分ぶぶんが甚大じんだいな損傷そんしょうを被こうむり、このため大だい地震じしんにも持もちこたえられる恒久こうきゅう的てきな橋はしを計画けいかく的てきに架かける必要ひつようが生しょうじた。隅田川すみだがわでは、下流かりゅうから順じゅんに、相生橋あいおいばし（1998年ねんに現在げんざいの橋はしに架かけ替がえ）、永代えいたい橋きょう、清洲橋きよすばし、両国橋りょうごくばし、蔵前橋くらまえばし、厩橋うまやばし、駒形橋こまがたばし、吾妻橋あづまばし、言げん問とい橋きょうの9つが震災しんさい復興ふっこう橋梁きょうりょうとして架かけられ、震災しんさい前まえの1912年ねんに開通かいつうしていて震災しんさいで壊こわれなかった新大橋しんおおはし（1977年ねんに現在げんざいの橋はしに架かけ替がえ）を加くわえ「隅田川すみだがわ十じゅう橋きょう」と称しょうされていた。9つの橋はしのうち、両国りょうこく、厩うまや、吾妻あづまの三さん橋きょうは東京とうきょう市しが担当たんとう、残のこりの6つの橋はしは内務省ないむしょう東京とうきょう復興ふっこう局きょくに創設そうせつされた橋梁きょうりょう課かが担当たんとうした。

この分野ぶんやでは、初はつの鉄製てつせい鉄道てつどう橋きょうが1874（明治めいじ7）年ねんに生うまれて以来いらい、鉄道てつどうが技術ぎじゅつ的てきに先行せんこうしていた。また、道路どうろでは市区しく改正かいせい期きに、日本橋にほんばし、四谷よつや見附みつけ橋きょう、新大橋しんおおはし、呉服ごふく橋きょう、鍛冶たんや橋きょうなど、その地ちに合あわせた装飾そうしょくに優すぐれた橋梁きょうりょうがすでに生うみ出だされていた。明治めいじ40年代ねんだいに鉄道てつどうの設計せっけい基準きじゅんを手てがけ、帝都ていと復興ふっこう院いんには土木どぼく局長きょくちょうで招請しょうせいされた太田おおた圓えん三さんと鉄道てつどう省しょう後輩こうはいの田中たなか豊ゆたかが橋梁きょうりょう課長かちょうを務つとめて橋梁きょうりょう事業じぎょうの中心ちゅうしんとなった。

太田おおたが力ちからを注そそいだ復興ふっこう橋梁きょうりょうの、特とくに国くにが担当たんとうする隅田川すみだがわ六ろく大橋おおはし（相生橋あいおいばし、永代えいたい橋きょう、清洲橋きよすばし、駒形橋こまがたばし、言げん問とい橋きょう、蔵前橋くらまえばし）の設計せっけいにおいて美観びかんが重視じゅうしされた。設計せっけいにあたっては復興ふっこう帝都ていとにふさわしい意匠いしょうを成なすために外国がいこく事例じれいや画家がかや作家さっかなどの意見いけんを聞きくなどして、建築けんちく家か野田のだ俊彦としひこの「全すべて同一どういつ形式けいしき」意見いけんを否定ひていした。復興ふっこう局きょくで設計せっけいされた橋梁きょうりょうデザイン案あんについて、外観がいかんはもとより親おや柱ばしら、欄干らんかんなど、工学こうがくと美学びがくの調和ちょうわに努つとめて意匠いしょうを定さだめるため、太田おおたは当初とうしょ、諸しょ外国がいこくの事例じれいを収集しゅうしゅうさせるとともに、弟おとうとを頼たよって画家がかなどからのアイデアを求もとめたが　実際じっさいには役立やくだたなかった。

そこで芸術げいじゅつ家か・建築けんちく家か・造園ぞうえん家か等とうからなる工作こうさく物ぶつ意匠いしょう調査ちょうさ委員いいん会かいの設置せっちを決定けってい。建築けんちく家かの協力きょうりょくが求もとめられることとなり、当時とうじの逓信ていしん省しょう営繕えいぜん課かに勤務きんむする建築けんちく家かスタッフをスカウトして設計せっけい組織そしきを形成けいせいしていった。部長ぶちょう太田おおた圓えん三さんや課長かちょうの田中たなか豊ゆたかはまず山田やまだ守まもるを、続つづいて山田やまだの推挙すいきょで山口やまぐち文ぶん象ぞうを嘱託しょくたくとした。山田やまだは聖橋ひじりばし等ひとしを担当たんとうし、山口やまぐちは数寄屋橋すきやばし、清洲橋きよすばし、八重洲やえす橋きょうをはじめ数すう多おおくを手てがけた。検討けんとうに多おおくのスケッチを残のこして基本きほん方針ほうしんを定さだめ、田中たなかはそれを踏ふまえて多様たような形式けいしきを採用さいようし構造こうぞう美びを都市とし内ないに創出そうしゅつしていった。復興ふっこう局きょくが手てがけた橋はしの数かずは100以上いじょうといわれている。帝都ていと復興ふっこうは、数すう年ねんの間あいだに東京とうきょう市しだけでも国くに142、市し313の橋はしを建設けんせつするという、類るいのないプロジェクトになった。

帝都ていとの門もんたる第だい一いち橋梁きょうりょうの永代えいたい橋きょうはアーチ橋きょうとし、第だい二に橋梁きょうりょうの清洲橋きよすばしはライン川がわに掛かかるケルンの吊橋つりばしをモデルとした柔やわらかさを感かんじさせる案あんを採用さいようし、橋はしの博覧はくらん会かいともいえるような状況じょうきょうが生しょうじた。構造こうぞうも、タイドアーチの永代えいたい橋きょう、自じ碇いかり式しき吊橋つりばしの清洲橋きよすばし、ゲルバー桁けた橋きょうの言げん問とい橋きょうなどと多様たような構造こうぞうや、ニューマチックケーソン・綱つな矢板やいたの工法こうほう、高こう張力ちょうりょく綱つなの新しん材料ざいりょう使用しようなど新しん技術ぎじゅつを採用さいよう。厩橋うまやばしの三さん連れん下か路ろタイドアーチ、吾妻橋あづまばしの上路あげろアーチ、両国橋りょうごくばしのゲルバー桁けた橋きょうや聖ひじり橋きょうの上路あげろアーチ、お茶ちゃの水みず橋きょうのゲルバー桁けた併用へいよう綱つなラーメン橋きょうなどは、東京とうきょう市しが担当たんとうした。市内しないの運河うんが・小しょう河川かせん向むけには「復興ふっこう局きょく型がた」と呼よばれるラーメン橋台きょうだいを考案こうあんし形式けいしきの標準ひょうじゅん化かを図はかった。橋台きょうだいを流ながれ路ろに置おくことにより、土地とち区画くかく整理せいり事業じぎょうが遅おくれて接続せつぞく道路どうろが未み完成かんせいの状態じょうたいでも架橋かきょうできるようにしたもので、市民しみんの評判ひょうばんを呼よんだという。

また、復興ふっこう局きょくは「橋詰はしづめ広場ひろば」を確保かくほし、派出所はしゅつじょ、公衆こうしゅう便所べんじょ、防災ぼうさい器具きぐ置おき場ばなどを路上ろじょう工作こうさく物ぶつとして配置はいちした。歴史れきし的てきには、江戸えどの河岸かわぎしや橋詰はしづめ広場ひろば、明治めいじからの橋詰はしづめの街頭がいとう便所べんじょ、市区しく改正かいせいの小しょう公園こうえんなどを引ひき継ついだものであった。こうして隅田川すみだがわの橋梁きょうりょう群ぐんは個々ここの橋はしが多様たようなデザインを主張しゅちょうしながら、全体ぜんたいとして都市とし景観けいかんに高たかいシンボル性せいをもたらすこととなった。作家さっか永井ながい荷風かふうも随筆ずいひつ『深川ふかがわの散歩さんぽ』の中なかで、清洲橋きよすばしからの隅田川すみだがわの眺望ちょうぼうを書かき残のこしている。

• 
  言げん問とい橋きょう　竣工しゅんこう当時とうじの橋はし
• 
  吾妻橋あづまばし
• 
  駒形橋こまがたばし 竣工しゅんこう当時とうじの橋はし
• 
  厩橋うまやばし
• 
  竣工しゅんこう当時とうじの蔵前橋くらまえばし
• 
  架橋かきょう直後ちょくごの現げん両国橋りょうごくばし
• 
  竣工しゅんこう当時とうじの清洲橋きよすばし
• 
  永代えいたい橋きょう
• 
  1926年ねん完成かんせいの旧きゅう相生橋あいおいばし
• 
  数寄屋橋すきやばし

東京とうきょう府ふ内うちではほかに、国道こくどうにかかる六郷ろくごう橋きょう、千住大橋せんじゅおおはし、千住新橋せんじゅしんばし等ひとしが施工しこうされている。

震災しんさい復興ふっこう小学校しょうがっこう建設けんせつ

アメリカからの義援金ぎえんきんなど国際こくさい的てきな応援おうえんもあり、鉄筋てっきんコンクリートの小学校しょうがっこう校舎こうしゃ建設けんせつを進すすめた。校舎こうしゃのデザインは時代じだいの先端せんたんとされたドイツ表現ひょうげん主義しゅぎの影響えいきょうを受うけ、日本にっぽんの分離ぶんり派はの影響えいきょうが色濃いろこい建築けんちく物ぶつが多おおく作つくられていく。建設けんせつにあたっては、復興ふっこう院いん建築けんちく局長きょくちょうを務つとめた東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく教授きょうじゅ佐野さの利器りきが、東京とうきょう市長しちょう永田ながた秀次郎ひでじろう（当時とうじの後藤ごとう系けい官僚かんりょうの筆頭ひっとう）に請こわれて、教授きょうじゅ兼任けんにんで東京とうきょう市し建築けんちく局長きょくちょうに就任しゅうにんする。早速さっそく佐野さのは建築けんちく局きょくに古こ茂田もだ甲かぶと午うま郎ろうらを呼よび寄よせ、都市とし計画けいかく業務ぎょうむに従事じゅうじしていた石原いしはら憲治けんじ、田中たなか希一きいち、福田ふくだ重義しげよしらと設計せっけいにとりかかる。佐野さのの主導しゅどうで、将来しょうらいを担になう子供こどもに衛生えいせい思想しそうを根付ねつかせる意味いみでのトイレの水洗すいせん化か、暖房だんぼう設備せつび、理科りか教育きょういくや公民こうみん教育きょういくを重要じゅうよう視しした教室きょうしつなど、合理ごうり主義しゅぎに基もとづいた設計せっけい思想しそうが導入どうにゅうされる。教育きょういく局きょくはこうした施設しせつは贅沢ぜいたくといって作法さほう室しつの設置せっちを望のぞんだが（畳たたみ敷じきの作法さほう室しつは教師きょうしたちの一いち杯はいやる場所ばしょでもあったらしい）、佐野さのは作法さほう室しつの設置せっちを拒こばみ、教育きょういく局きょくとの間あいだで確執かくしつが生しょうじる。教育きょういく局きょくは教育きょういく関係かんけい者しゃを総動員そうどういんして反対はんたい運動うんどうを展開てんかいしたが、佐野さのは復興ふっこう前まえに計画けいかくし完成かんせいした小学校しょうがっこうの作法さほう室しつを現場げんば監督かんとくに命めいじて破壊はかいさせるなど、最後さいごまでゆずらなかった。また、設計せっけいおよび施工しこう指針ししんのハンドブックを作成さくせい、メめートル法とるほうを徹底てっていして採用さいようし、骨組ほねぐみ・ディテールを標準ひょうじゅん化か。スチールサッシュとスチーム暖房だんぼうも採用さいようしていく。鉄骨てっこつコンクリート構造こうぞうに関かんしては、アメリカから取とり寄よせた鉄骨てっこつの長ながさが予定よていより足たりず、海軍かいぐん技師ぎしの協力きょうりょくを得えて溶接ようせつしたほか、強度きょうど鑑定かんていの証明しょうめい書しょを内藤ないとう多た仲なかに依頼いらいした。

震災しんさい復興ふっこう公園こうえん

「震災しんさい復興ふっこう公園こうえん」も参照さんしょう

公立こうりつ小学校しょうがっこうと公園こうえんを併設へいせつする手法しゅほうにより、戦前せんぜん・戦後せんごを通つうじて、首都しゅと圏内けんないや各かく地方ちほう都市としで災害さいがいに対応たいおうした町まちづくりの一環いっかんとしての防災ぼうさい用ようの緑地りょくち・公園こうえんが設もうけられることとなっていった。帝都ていと復興ふっこう事業じぎょうのなかでも、防災ぼうさい都市とし確立かくりつの為ために公園こうえん確保かくほは重要じゅうような課題かだいであるとされた。井下いした清きよし率ひきいる東京とうきょう市し公園こうえん課かは中なかでも小学校しょうがっこうを地域ちいきコミュニティーの単位たんいとして扱あつかい、不燃ふねん化か・耐震たいしん化かされた鉄筋てっきんコンクリートの校舎こうしゃと避難ひなん所しょともなる小しょう公園こうえんをセットで、それぞれを防災ぼうさい都市としにおける各かく地域ちいきのシンボルとするべく、東京とうきょう市内しない52箇所かしょに設置せっちした。帝都ていと復興ふっこう局きょく建築けんちく部ぶ公園こうえん課長かちょうに就任しゅうにんした折おり下か吉延よしのぶらは東京とうきょうに三さん大公たいこう園えん（隅田すみた公園こうえん、浜町はまちょう公園こうえん、錦糸きんし公園こうえん）を設置せっち。また、山下やました公園こうえんなど横浜よこはまに国くに施行しこうの大だい公園こうえんを造成ぞうせいし、復興ふっこう街路がいろ樹じゅ、橋詰はしづめ地ち緑化りょくか等とう従来じゅうらいみなかった大だい規模きぼの都市とし公園こうえん及および関係かんけい事業じぎょうを試こころみた。

御料地ごりょうちや財閥ざいばつの寄付きふによる敷地しきちに作つくられたいくつかの小しょう公園こうえんは、都市とし防災ぼうさいや避難ひなん施設しせつ上じょうの目的もくてきは勿論もちろんのこと、西欧せいおうの公園こうえんを参考さんこうにした上うえで実際じっさいに利用りようする市民しみんの視線しせんに立たった行いき届とどいた設計せっけいがなされ、今日きょうの井下いしたらの高たかい評価ひょうかにつながっている。しかし昨今さっこん進すすめられているスプロール化かや少子しょうし化かによる学校がっこうの統廃合とうはいごうにより、このときの復興ふっこう小学校しょうがっこうはそれぞれ存廃そんぱいの問題もんだいに直面ちょくめんしている。また、52の小しょう公園こうえんは既すでにかなり以前いぜんから廃園はいえんになっているものや面積めんせき縮小しゅくしょうになっているものも多おおく、存続そんぞくしていれば良よい方ほうで、設置せっち当時とうじの面影おもかげは当初とうしょの数かずからすれば皆無かいむと言いってよい状態じょうたいになっている。ほぼ完全かんぜんな姿すがたを保たもつと思おもわれる文京ぶんきょう区くの元町もとまち公園こうえんも、区くが伊藤いとう邦衛くにえに依頼いらいして往時おうじの形式けいしきに復元ふくげんしたもので、さらに区くは体育館たいいくかんの予定よてい地ちに計画けいかくし、住民じゅうみん等とうとの裁判さいばん沙汰ざたになっている。

迅速じんそくに実務じつむが進すすめられた背景はいけいには、後藤ごとう新平しんぺいが東京とうきょう市長しちょう時代じだいに策定さくていした構想こうそう案あんなど計画けいかくの下敷したじきがあったことと都市とし計画けいかく法ほう・市街地しがいち建築けんちく物ぶつ法ほう成立せいりつと前後ぜんごして内務省ないむしょうを中心ちゅうしんに人材じんざいが育そだっていたことがある。都市とし計画けいかく法ほうの公布こうふやスタッフの養成ようせい、東京とうきょう市政しせい要綱ようこう、都市とし研究けんきゅう会かいの設立せつりつなどが結果けっかとして帝都ていと復興ふっこうの推進すいしんに作用さようしていくことともなった。復興ふっこう事業じぎょうが完成かんせいした1930年ねん（昭和しょうわ5年ねん）頃ごろには、都市としの商しょう工業こうぎょうが発展はってんして人口じんこうが増大ぞうだいし、都市とし計画けいかく法ほうに国庫こっこ補助ほじょが盛もり込こまれるようになる。

復興ふっこう事業じぎょうの完成かんせいと終了しゅうりょう

1930年ねん8月がつ、帝都ていと復興ふっこう事業じぎょうに携たずさわった者ものを表彰ひょうしょうするために制定せいていされた帝都ていと復興ふっこう記念きねん章あきら（左ひだり:表面ひょうめん、右みぎ:裏面りめん）。ただし後藤ごとう新平しんぺいは制定せいてい前まえに死去しきょしたため、その授与じゅよ対象たいしょうには入はいらなかった。

帝都ていと復興ふっこう院いんおよび復興ふっこう局きょくが推進すいしんした帝都ていと復興ふっこう事業じぎょうは1929年ねんころには完成かんせいの域いきに達たっしつつあり、同年どうねん10月がつ19日にちから11月10日にちにかけては東京とうきょう市政しせい調査ちょうさ会かいの主催しゅさいにより復興ふっこう状じょう況きょうを説明せつめいした「帝都ていと復興ふっこう展覧てんらん会かい」が落成らくせいしたての市政しせい会館かいかんにて開催かいさいされ、11万まん超ちょうの入場にゅうじょう者しゃを集あつめた。続つづく1930年ねん3月24日にちには昭和しょうわ天皇てんのうが東京とうきょう市街しがいを巡幸じゅんこうし、同月どうげつ26日にちには二重橋にじゅうばし前ぜん広場ひろばで「帝都ていと復興ふっこう祭さい」が挙行きょこうされた。復興ふっこう祭さいでは、臨席りんせきした天皇てんのうより「帝都ていと復興ふっこう完成かんせいに就つき賜たまものはりたる勅語ちょくご」が発はっせられたが、復興ふっこう事業じぎょうの計画けいかくを最初さいしょに練ねり上あげた後藤ごとう自身じしんは、1929年ねん4月がつ13日にちに遊説ゆうぜい先さきへ向むかう途中とちゅうで死去しきょしており、その完成かんせいを見みることはなかった。

「帝都ていと復興ふっこう祭さい」より6日にち後ごの4月がつ1日にちに復興ふっこう局きょくは廃止はいしされて業務ぎょうむは復興ふっこう事務じむ局きょくへ引ひき継つがれ、その2年ねん後ごの1932年ねん4月がつ1日にちに同局どうきょくも廃止はいしされたことで帝都ていと復興ふっこう事業じぎょうは名実めいじつともに終了しゅうりょうした。

横浜よこはま市しの復興ふっこう

山手やまて隧道すいどう

関東大震災かんとうだいしんさいの震源しんげんは小田原おだわらで、震源しんげん域いきの真上まうえに位置いちしていた横浜よこはまの震度しんどは7とされているが、帝都ていと復興ふっこう院いん幹部かんぶ会かいで復興ふっこう計画けいかく大だい網もうを決定けっていし、横浜よこはま市し側がわもこれに準じゅんじて漸次ぜんじ審議しんぎされる。東京とうきょうについては復興ふっこう基礎きそ案あんは閣議かくぎに付ふされていたが、横浜よこはま市しに関かんしては復興ふっこう院いんの基礎きそ案あん成立せいりつまで待まつこととなる。その間あいだに東京とうきょうでは復興ふっこう案あんが早はやくに東京とうきょう市し案あん、市政しせい調査ちょうさ会かい案あん、内務省ないむしょう都市とし計画けいかく局きょく案あん、同省どうしょう土木どぼく局きょく案あんなどが復興ふっこう院いんに提出ていしゅつされている。

この時期じきに横浜よこはま市しでは都市とし計画けいかく局長きょくちょう坂田さかた貞明さだあきが病死びょうししたため、後藤ごとう新平しんぺいの推薦すいせんを受うけて、同年どうねん9月がつ24日にちに牧まき彦七ひこしちの横浜よこはま市し都市とし計画けいかく局長きょくちょうの就任しゅうにんを決定けってい。また、原はら富太郎とみたろうを会長かいちょうとし、政財界せいざいかい関係かんけい者しゃが集あつまり「横浜よこはま市し復興ふっこう会かい」が結成けっせいされる。

震災しんさいから20日にちほどで、横浜よこはま市しは復興ふっこう試案しあんを立案りつあん、公館こうかん地帯ちたいという官庁かんちょう街がいと、公園こうえんと遊歩道ゆうほどうとを組くみ合あわせた緑地りょくちネットワーク構想こうそうをおいている。被災ひさい経験けいけんと実際じっさいの公園こうえんストックの必要ひつよう性せいから、試案しあんではとくに公園こうえん計画けいかくに力ちからを入いれている。都心としんの横浜公園よこはまこうえん付近ふきんと遊郭ゆうかく街がい跡地あとちに2つの円形えんけい公園こうえんを予定よてい、公館こうかん地帯ちたいにも大だい公園こうえんを予定よていしていた。さらにこれらの公園こうえん間あいだに広幅ひろはば員いんの連絡れんらく道路どうろが計画けいかくされているほか、公館こうかん地帯ちたいと横浜よこはま駅えきとを直線ちょくせん道路どうろで結むすんでいる。また、遊歩道ゆうほどうの計画けいかくを受うけて瓦礫がれき処分しょぶん地ちを遊歩道ゆうほどう予定よてい地ちに決定けっていする。 10月14日にちには横浜よこはま市しは、牧まきを中心ちゅうしんに、後藤ごとう敬吉よしきち、緒方おがた最さいら都市とし計画けいかく局きょくの技師ぎしと今井いまい哲あきら、木村きむら喬たかしらの都市とし計画けいかく神奈川かながわ地方ちほう委員いいん会かい技師ぎし（県けん職員しょくいん）らと協力きょうりょくして、想定そうてい人口じんこう80万まん、伊勢山いせやま地区ちくを中心ちゅうしんに都市とし基幹きかん整備せいびから11の公園こうえんと海岸かいがん沿ぞいの公園こうえん、逍遥しょうよう道路どうろを有ゆうした計画けいかく案あんが立案りつあんされる。

先さきの計画けいかく案あんが横浜よこはま市し復興ふっこう会かいで審議しんぎされるが意見いけんがまとまらず、11月13日にちに政府せいふへ提出ていしゅつされている。11月15日にちには当初とうしょ予定よていされた予算よさんを抑おさえられたことにより、市しの案あんを縮小しゅくしょうした復興ふっこう計画けいかく政府せいふ原案げんあんが発表はっぴょうされ、山下やました公園こうえん以下いか4つの公園こうえん計画けいかくが盛もり込こまれている。そのほかにも横浜よこはま市しの別べつの復興ふっこう計画けいかくが政府せいふ筋すじに2案あん提出ていしゅつされている。ひとつは土木どぼく学会がっかいからのもので11月19日にちに、もうひとつは横浜よこはま市し復興ふっこう会かいからのもので、12月26日にちに提出ていしゅつされている。

横浜よこはま市しでも橋梁きょうりょう事業じぎょうは執行しっこうされ、平沼ひらぬま橋きょう・築地つきじ橋きょうなど復興ふっこう局きょく担当たんとうが35橋きょう、横浜よこはま市しが64（市し負担ふたんの小橋こはし等ひとし除のぞく）であった。またこのとき、街路がいろ工事こうじに伴ともなって隧道すいどうが2か所しょ新設しんせつされた。国くにが執行しっこうの山手やまて隧道すいどうがそれで、東京とうきょう市しによる愛宕山あたごやまの隧道すいどうとともに今日きょうでも使つかわれている。

北きた但馬たじま地震じしん

1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）5月がつ23日にち11時じ10分ふん、当時とうじの兵庫ひょうご県けん城崎きのさき町まちの円山川まるやまがわ河口かこう付近ふきんを震源しんげんとするマグニチュード7.0の北きた但馬たじま地震じしんが発生はっせい。豊岡とよおか町まちでは2,178戸こ中ちゅう焼失しょうしつ1,000戸こ、全壊ぜんかい257戸こ、城崎きのさき町まちでは702戸こ中ちゅう焼失しょうしつ548戸こ（78.1%）という被害ひがいを出だした。

地震じしん発生はっせいから8日にち後ごの5月がつ31日にち、兵庫ひょうご県知事けんちじや城崎きのさき・豊岡とよおか町長ちょうちょうなどによる震災しんさい復興ふっこう協議きょうぎ会かいが開催かいさいされ、城崎きのさき町まちでは町長ちょうちょう西村にしむら左ひだり兵衛ひょうえが震災しんさい直後ちょくごから温泉おんせんと教育きょういくの復興ふっこうを打うち出だし、5月がつ末まつから6月がつ初はじめには「町民ちょうみん一致いっち3か年ねん以内いない復興ふっこう」「市区しく改正かいせい、町まち道どう県道けんどう、宅地たくちの大だい整理せいり」「町民ちょうみん大会たいかいを開ひらき一致いっち決議けつぎ」などの方針ほうしんを立たてている。震災しんさい後ご約やく3週間しゅうかんして町民ちょうみん大会たいかいが開催かいさいされ、委員いいんを選出せんしゅつ、数すう十じゅう回かいを重かさね「全ぜん地主じぬしが公おおやけ簿ぼ面積めんせきの1割わりを町まちに無償むしょう提供ていきょう」「共同きょうどう浴場よくじょう再建さいけんによる温泉おんせん街がい復興ふっこう」「県けんの防火ぼうか建築けんちく地区ちく案あんに反対はんたい」などが定さだまった。土地とち区画くかく整理せいり事業じぎょうによる道路どうろ・河川かせん、町まちの中心ちゅうしん部ぶの整理せいりと共同きょうどう浴場よくじょう（外そと湯ゆ、岡田おかだ信一郎しんいちろうに設計せっけいを依頼いらい）の再建さいけん、公営こうえい住宅じゅうたくの建設けんせつ、住宅じゅうたく組合くみあいへの支援しえんなどが取とり組くまれた。防災ぼうさいに強つよい都市としの復興ふっこうとして「まんだら湯ゆ」や「一いちの湯ゆ」など6棟むねの外そと湯ゆと小学校しょうがっこうが鉄筋てっきんコンクリート造づくりによって再建さいけん。その計画けいかくは復興ふっこう計画けいかくに係かかる2人ふたりの建築けんちく家か、岡田おかだ信一郎しんいちろうのデザイン力りょくと吉田よしだ享二きょうじの建築けんちく材料ざいりょう学がくが両輪りょうりんとなって推進すいしんされる。城崎きのさき温泉おんせん大だい谿川にかかる弓形きゅうけい橋きょうやうろこ状じょう護岸ごがんなどは、この地震じしんの復興ふっこう事業じぎょうによってできあがったのである。

また、豊岡とよおか町まちはすでに耕地こうち整理せいり事業じぎょうの組合くみあいまで設立せつりつし、耕地こうち整理せいりを一ひとつの柱はしらとした大豊たいほう岡おか構想こうそうによる都市とし改造かいぞうを進行しんこうさせていた。町まちは「挙きょ町まち一致いっち」と「道路どうろ計画けいかくの樹立じゅりつ」を打うち出だし、従来じゅうらい計画けいかくに県道けんどう拡幅かくふくを加くわえた計画けいかく案あんが早急そうきゅうに作成さくせいされている。従前じゅうぜんの対立たいりつを引ひき継つぎ、住民じゅうみんの反対はんたいは強硬きょうこうで支持しじは得えられなかったため縮小しゅくしょうを余儀よぎなくされたが、買収ばいしゅうによる道路どうろ整備せいびと防火ぼうか建築けんちく区域くいき指定してい、建築けんちく費ひ補助ほじょが行おこなわれ、整然せいぜんとした格子こうし状じょう道路どうろ、豊岡とよおか駅えきと小田井おだい縣けん神社じんじゃをむすんで市街地しがいち全体ぜんたいを斜ななめに横切よこぎる寿ことぶき町まち斜はす路ろ、円形えんけい公園こうえん、ロータリー広場ひろば、近代きんだい的てきな駅前通えきまえどおり、業務ぎょうむ地区ちく・工業こうぎょう地区ちくの配置はいちなど、碁盤ごばん状じょうの市街地しがいちにシンボリックな空間くうかんを創出そうしゅつさせ、当時とうじの地方ちほう都市としとしては近代きんだい的てきな都市とし形態けいたいが実現じつげんすることとなった。

鳥取とっとり地震じしん

1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）9月がつ10日にち午後ごご5時じ36分ふん、鳥取とっとり市しに鳥取とっとり地震じしんが発生はっせい。死者ししゃ数すう1,025名めい。直後ちょくごの午後ごご5時じ40分ふん頃ごろ、鳥取とっとり市内しない10数すうヵ所かしょから出火しゅっか、さらに時間じかんをおいて多おおく出火しゅっか。300戸こが消失しょうしつ。

9月22日にちに「鳥取とっとり市し臨時りんじ復興ふっこう局きょく」が設置せっちされ、都市とし計画けいかく街路がいろ拡築（駅えきと県庁けんちょう線せん、幅員ふくいん13.5m、他た2路線ろせん幅員ふくいん11m）、貯水池ちょすいち等とう防空ぼうくう防火ぼうか施設しせつと必需ひつじゅ品ひん総合そうごう配給はいきゅう所しょの設置せっち、遊郭ゆうかく・市場いちばの移転いてん、市営しえい浴場よくじょうの新設しんせつなどが計画けいかくされたが、部分ぶぶん的てきな整備せいびであった。市内しないには応急おうきゅう事業じぎょうによる123棟むね888戸このバラック住宅じゅうたくが残のこされたが、これが後こうの鳥取大とっとりだい火ひの遠因えんいんともなる。

新潟にいがた地震じしん

1964年ねんに新潟にいがた県けん沖おきで新潟にいがた地震じしんが発生はっせい。新潟にいがた市し内うちでは震度しんど5強きょうの地震じしんであった。地震じしんそのものよりも石油せきゆタンクの爆発ばくはつによる大だい規模きぼ火災かさいと津波つなみによる二に次じ災害さいがいの被害ひがいが大おおきく、また信濃川しなのがわ河口かこうの埋立うめたて地ちなど軟弱なんじゃく地盤じばんの液状えきじょう化か現象げんしょうにより建物たてものが倒壊とうかい破壊はかいし、市内しないの住宅じゅうたくのおよそ2割わりは浸水しんすいした。この地震じしんによって地盤じばんの液状えきじょう化か現象げんしょうによる被害ひがいが大おおきくクローズアップされ、建築けんちく物ぶつ基礎きその重要じゅうよう性せいが認識にんしきされた。

• 人的じんてき被害ひがい　死者ししゃ：26人にん
• 火災かさい件数けんすう　290棟むね（焼失しょうしつ家屋かおく）
• 建物たてもの被害ひがい　全壊ぜんかい：1,960棟むね　半壊はんかい；6,640棟むね　浸水しんすい：15,928棟むね

2年ねん後ごの1966年ねんに「地震じしん保険ほけんに関かんする法律ほうりつ」が制定せいていされ、国くにが再さい保険ほけんを引ひき受うけ、地震じしん災害さいがいが発生はっせいした場合ばあいに国くにも一定いってい割合わりあいの責任せきにんを分担ぶんたんし保険ほけん金きんを支払しはらう地震じしん保険ほけんが誕生たんじょうし、災害さいがい時じにおける住宅じゅうたく再建さいけんの新あらたな糸口いとぐちとなった。被害ひがいが拡大かくだいした原因げんいんについては、市街地しがいちが信濃川しなのがわ河口かこうの低湿ていしつ地ちの埋立うめたて地ちに立地りっちし、天然てんねんガス汲くみ上あげによる地盤じばん沈下ちんかが進すすんだこともあり、新潟にいがた市しの市街地しがいちの80%以上いじょうは海面かいめんより低ひくい位置いちにあったためとされる。

新潟にいがた地震じしんは1960年代ねんだいの高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きの都市としインフラが各地かくちに形成けいせいされる直前ちょくぜんに生しょうじた地震じしんであり、震災しんさいにより都市とし機能きのうが広範囲こうはんいにわたって瞬時しゅんじに壊滅かいめつすること、また被災ひさい者しゃの自助じじょ努力どりょくや自治体じちたいの行政ぎょうせい機能きのうだけでは復旧ふっきゅうが困難こんなんであることを示しめした。同時どうじに日本にっぽん全国ぜんこくに映像えいぞうとともに報道ほうどうされた最初さいしょの地震じしんとなった。一方いっぽうで半壊はんかいなど一部いちぶ補修ほしゅうで住すめる状態じょうたいにあるものの資産しさんのない人々ひとびとへの対応たいおうが仮設かせつ住宅じゅうたくの建設けんせつの人手ひとで不足ふそくにより遅おくれた。建物たてものや道路どうろ、その他たの建築けんちく物ぶつに対たいする防災ぼうさい機能きのうの強化きょうかが初はじめて図はかられる契機けいきとなった地震じしんであり、行政ぎょうせいによる都市とし再さい開発かいはつもさることながら、様々さまざまな法ほう整備せいびや地震じしん保険ほけんなどの整備せいびが進すすめられた。

地震じしん復興ふっこうに当あたっては、港湾こうわん・河川かせん等とうの後背こうはい地ちを水みずから守まもるための護岸ごがん計画けいかくを早急そうきゅうに実施じっしし、経済けいざい活動かつどうの停滞ていたいを防ふせぐため、道路どうろ、鉄道てつどうなどの復興ふっこうを並行へいこうして進すすめられるようにした。また百ひゃく万まん都市としを目指めざして発展はってんを続つづけてきた新潟にいがた市しは、地震じしん前まえから住宅じゅうたく不足ふそく現象げんしょうが現あらわれていたが、市内しないに636戸こという多数たすうの仮設かせつ住宅じゅうたくを建設けんせつした。県けんで150戸こ、市しで150戸こあわせて300戸この災害さいがい公営こうえい住宅じゅうたくが建設けんせつされた。低てい所得しょとく者しゃへの対応たいおうでは住宅金融公庫じゅうたくきんゆうこうこの大幅おおはばな災害さいがい特別とくべつ融資ゆうしによる再建さいけん、補修ほしゅうを実施じっしした。住宅金融公庫じゅうたくきんゆうこうこによる災害さいがい復興ふっこう住宅じゅうたく貸付かしつけ及および個人こじん住宅じゅうたく災害さいがい特別とくべつ貸付かしつけの申もうし込こみ受付うけつけを開始かいしするとともに、災害さいがい復興ふっこう住宅じゅうたくの建設けんせつのために貸付かしつけ限度げんど額がくを耐火たいか・簡耐火ひ、木造もくぞう分ぶんともに現行げんこうから引ひき上あげる措置そちをとった。

宮城みやぎ県けん沖おき地震じしん

1978年ねん6月12日にちに宮城みやぎ県けん沖おき地震じしんが発生はっせい。被害ひがいの発生はっせいが地盤じばん条件じょうけん等とうにより大おおきく影響えいきょうされ、特とくに都市とし部ぶのスプロール化かにより丘陵きゅうりょう地ちを造成ぞうせいした新興しんこう住宅じゅうたく地ちでの被害ひがいが大おおきく、また電気でんき・ガス・水道すいどう等とうのライフラインが大おおきな被害ひがいを受うけ、ライフラインの機能きのう障害しょうがいによる間接かんせつ的てき被害ひがいが長期ちょうき化かするなど、これまでにない「都市とし型がた地震じしん災害さいがい」としての特徴とくちょうを示しめした。また、ブロック塀へいの倒壊とうかいによる死者ししゃが多おおく、沿岸えんがん部ぶではコンビナート地域ちいきの被害ひがいが発生はっせいした。

• 人的じんてき被害ひがい　死者ししゃ：28名めい　負傷ふしょう者しゃ10,962名めい
• 火災かさい件数けんすう　12件けん
• 建物たてもの被害ひがい　全壊ぜんかい1,383棟むね　　半壊はんかい6,190棟むね　ほか屋外おくがいタンク5基き低てい部ぶ亀裂きれつ（流出りゅうしゅつ油ゆ68,200kl）

復興ふっこう事業じぎょうとして2つの移転いてん事業じぎょうを行おこなった。宅地たくち崩壊ほうかいが著いちじるしく地盤じばん調査ちょうさの結果けっか、軟弱なんじゃく地盤じばんで技術ぎじゅつ的てき対策たいさくでは対処たいしょができないとされた、仙台せんだい市し緑ヶ丘みどりがおか1丁目ちょうめ及および3丁目ちょうめの20戸こを集団しゅうだん移転いてんさせた。集団しゅうだん移転いてんには利子りし補給ほきゅう等とうが行おこなわれたが、1年ねん以内いないに住宅じゅうたくを建たてて移転いてんすることを条件じょうけんとした。住宅じゅうたく個々ここの被害ひがいは個人こじん災害さいがいではあるが、それらが立地りっちしている地盤じばんが破壊はかいされ集合しゅうごう的てき一体いったい的てきに被害ひがいを受うけたことを考慮こうりょした。これは個人こじん災害さいがいに対たいして公共こうきょうが関与かんよしたという点てんで、住宅じゅうたく災害さいがいの復旧ふっきゅうに対たいする新あたらしい対応たいおうの方向ほうこうとして評価ひょうかされた。

また、がけ地ちの近接きんせつ危険きけん戸数こすうの調査ちょうさを行おこない、松島まつしま町まちの11戸こを対象たいしょうに、がけ地ち近接きんせつ危険きけん住宅じゅうたく移転いてん事業じぎょうを実施じっしした。さらに応急おうきゅう仮設かせつ住宅じゅうたくを仙台せんだい市しで70棟むね、泉いずみ市しで5棟むね、小牛田こごた町まちで7棟むね、鳴瀬なるせ町まちで5棟むね供給きょうきゅう。仙台せんだい市しでは被害ひがいの大おおきかった地区ちくに重点的じゅうてんてきに仮設かせつ住宅じゅうたくが供給きょうきゅうされ、70棟むね中ちゅう66棟むねが長町ながまち7丁目ちょうめに建設けんせつされた。建設けんせつに際さいして当初とうしょは長町ながまち7丁目ちょうめに50戸こ、西勝山にしかつやま団地だんちに20戸こを建設けんせつする予定よていであったが、長町ながまち仮設かせつ住宅じゅうたくへの入居にゅうきょ希望きぼうが建設けんせつ戸数こすうを上回うわまわったため、西勝山にしかつやま団地だんちに建設けんせつしたもののうち16戸こを長町ながまちへ移設いせつし、被災ひさい者しゃの要望ようぼうに応おうじて被災ひさい地ちに近ちかい位置いちに仮設かせつ住宅じゅうたくを設置せっちできるよう考慮こうりょされている。

住宅じゅうたく団地だんちの災害さいがい復旧ふっきゅうに関かんし、1ha以上いじょうの団地だんちに最高さいこう限度げんど500万まん円えんの補助ほじょを行おこなう制度せいどが創設そうせつされ、仙台せんだい市しでは罹災りさい者しゃ市営しえい住宅じゅうたくを30戸こ建設けんせつ、罹災りさい者しゃを公営こうえい住宅じゅうたく、公団こうだん住宅じゅうたく、公社こうしゃ住宅じゅうたくへ優先ゆうせん入居にゅうきょさせた。また、被災ひさい直前ちょくぜんの建物たてもの価格かかくの5割わり以上いじょうの被害ひがいがあった場合ばあいを対象たいしょうに、住宅金融公庫じゅうたくきんゆうこうこの災害さいがい復興ふっこう住宅じゅうたく資金しきんの融資ゆうし制度せいどを適用てきようし、その上乗うわのせとして、貸付かしつけ総そう枠わく10億おく円えん、貸付かしつけ限度げんど額がく200万まん円えん、年利ねんり5.05%、償還しょうかん期間きかん10年ねんの「宮城みやぎ県けん災害さいがい復興ふっこう住宅じゅうたく建設けんせつ資金しきん制度せいど」が創設そうせつされた。個人こじん住宅じゅうたくの復興ふっこうに際さいし、融資ゆうし・租税そぜいその他たの減免げんめん措置そちは取とられたが、被災ひさい者しゃの負担ふたんを軽減けいげんさせるものとはならず、修復しゅうふくの不徹底ふてっていや遅おくれ等とうの問題もんだいが生しょうじた。

阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさい

1995年ねん1月がつ17日にちに阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさい（兵庫ひょうご県けん南部なんぶ地震じしん）が発生はっせい。兵庫ひょうご県けん南部なんぶを中心ちゅうしんとして甚大じんだいな災害さいがいをもたらした。さまざまな災害さいがいを経験けいけんしてきた日本にっぽんにとっても、成熟せいじゅくした都市とし機能きのうが一瞬いっしゅんにして壊滅かいめつする経験けいけんは初はじめてのことであったため、多様たような価値かち観かんを有ゆうする市民しみんが集中しゅうちゅうする中なか、合意ごういを得えるには非常ひじょうに困難こんなんを極きわめ、復興ふっこうにも非常ひじょうに長年ながねんの経過けいかを要ようした。被災ひさいした地域ちいきの地方自治体ちほうじちたいはいち早はやく復興ふっこう計画けいかくを立案りつあんしたが、当時とうじ復興ふっこう計画けいかくよりも日々ひびの生活せいかつに困窮こんきゅうする多おおくの市民しみんがいた中なかで発表はっぴょうを行おこなった自治体じちたいもあり、何なにを優先ゆうせんすべきなのかの判断はんだんを行政ぎょうせいに迫せまる結果けっかとなった。

兵庫ひょうご県けんは震災しんさいに関かかわる復興ふっこう計画けいかくを「ひょうごフェニックス計画けいかく」と名付なづけた。その計画けいかくの下もとで、震災しんさい復興ふっこう再さい開発かいはつ事業じぎょうが立案りつあんされた地域ちいきは以下いかの通とおり。

• 住宅じゅうたく地区ちく改良かいりょう事業じぎょう
  • 都賀つが地区ちく
  • 番ばん町まち地区ちく
  • 東川崎ひがしかわさき地区ちく
  • 築地つきじ地区ちく
  • 戸ノ内とのうち地区ちく
  • 芦原あしはら地区ちく
  • JR西宮にしのみや駅えき北地きたじ区く
  • 若宮わかみや地区ちく
  • 日高ひだか地区ちく
• 住宅じゅうたく市街地しがいち総合そうごう整備せいび事業じぎょう
  • 神戸こうべ市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（神戸こうべ駅えき周辺しゅうへん・兵庫ひょうご駅えき南みなみ・真ま陽ひ・六甲ろっこう・東部とうぶ新都しんと心こころ周辺しゅうへん・松本まつもと周辺しゅうへん・御ご菅すが・新長田しんながた）
  • 尼崎あまがさき市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（JR尼崎あまがさき駅えき北部ほくぶ）
  • 西宮にしのみや市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（西宮北口にしのみやきたぐち駅えき北東ほくとう）
  • 宝塚たからづか市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（中筋なかすじJR北きた）
  • 宝塚たからづか市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（仁川にがわ）
  • 芦屋あしや市し震災しんさい復興ふっこう地区ちく（芦屋あしや中央ちゅうおう）
• 密集みっしゅう住宅じゅうたく市街地しがいち整備せいび促進そくしん事業じぎょう
  • 真野まの地区ちく
  • 浜山はまやま地区ちく
  • 潮江しおえ地区ちく
  • JR西宮にしのみや駅えき北地きたじ区く
  • 森もり具ぐ地区ちく
  • 芦屋あしや西部せいぶ地区ちく
  • 富島としま地区ちく
  • 郡家こおげ地区ちく
  • 仮屋かりや地区ちく

関連かんれん項目こうもく

• 都市とし再さい開発かいはつ
• 国際こくさい復興ふっこう支援しえんプラットフォーム (IRP)