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心筋しんきんしょう」のはんあいだ差分さぶん

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{{Infobox medical condition
'''心筋しんきんしょう'''(しんきんしょう、{{lang-en-short|cardiomyopathy}})は、しん機能きのう障害しょうがいともな心筋しんきん疾患しっかん肥大ひだいかた拡張かくちょうかた拘束こうそくがた不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう分類ぶんるい不能ふのうがた分類ぶんるいされる心臓しんぞう移植いしょくがこ病気びょうきとって非常ひじょう有効ゆうこうあることがおおことから注目ちゅうもくびるようになった疾患しっかんである。
| Name = 心筋しんきんしょう
| Image = Idiopathic cardiomyopathy, gross pathology 20G0018 lores.jpg
| Caption = 肥厚ひこう拡張かくちょうられる心臓しんぞうひだりしつ断面だんめん。さらに[[しんないまく]]したの[[線維せんいしょう]]がみとめられ、心臓しんぞう内部ないぶ白色はくしょくしている。
| Field = [[循環じゅんかんがく]]
| DiseasesDB = 2137
| ICD10 = {{ICD10|I|25.5}}, {{ICD10|I|42}}, {{ICD10|I|43}}
| ICD9 = {{ICD9|425}}
| ICDO =
| OMIM =
| MedlinePlus = 001105
| eMedicineSubj =
| eMedicineTopic =
| MeshID = D009202
| name = 心筋しんきんしょう<br />cardiomyopathy
}}'''心筋しんきんしょう'''(しんきんしょう、{{lang-en-short|cardiomyopathy}})は、しん機能きのう障害しょうがいともな[[心筋しんきん]]疾患しっかんをいう心筋しんきんしょう拡張かくちょうがた肥大ひだいがた拘束こうそくがた不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう分類ぶんるいされるがれら分類ぶんるいきな分類ぶんるい不能ふのうがた存在そんざいる。


== 歴史れきし ==
== 歴史れきし ==
心筋しんきんしょうすうおおくの名前なまえばれてきたが、最初さいしょ解剖かいぼう症例しょうれい報告ほうこくは[[1891ねん]]のクレールによるものとされる<ref>Krehl L. Beitrag zur Kenntnis der idiopathischen Herzumuskelerkrankungen. Dtsch Arch Klin Med 1891;48:414-431.</ref>。その、[[世界せかい保健ほけん機関きかん]] (WHO) と[[国際こくさい心臓しんぞう連合れんごう]] (ISFC) の合同ごうどう委員いいんかいは1980ねん心筋しんきんしょうを'''「原因げんいん不明ふめい心筋しんきん疾患しっかん」'''と定義ていぎ拡張かくちょうがた (DCM, dilated cardiomyopathy)・肥大ひだいがた (HCM, hypertrophic cardiomyopathy)・拘束こうそくがた (RCM, restrictive cardiomyopathy) に分類ぶんるいし、心筋しんきん疾患しっかんでも原因げんいんまたは全身ぜんしん疾患しっかんとの関連かんれんあきらかなものと厳密げんみつ区別くべつした<ref>Report of WHO/ISFC taskforce on the definition and classification of cardiomyopathies. Brit Heart J 1980;44:672-673. PMID 7459150</ref>(なお、この分類ぶんるいでも分類ぶんるいしきれないものあるので分類ぶんるい不能ふのう心筋しんきんしょうという項目こうもくもある)。しかし、従来じゅうらい不明ふめいとされた心筋しんきんしょう原因げんいん成因せいいん示唆しさする報告ほうこく相次あいついだため、さき合同ごうどう委員いいんかい心筋しんきんしょうを'''「しん機能きのう障害しょうがいともな心筋しんきん疾患しっかん」'''とひろ定義ていぎなお従来じゅうらいの3分類ぶんるいくわえ、催不整脈せいみゃくせいみぎしつ心筋しんきんしょう特定とくてい心筋しんきんしょう範疇はんちゅうもうけた<ref>Richardson P, et al. Report of the 1995 World Health Organization/International Society and Federation of Carrdiology task force on the definition and classification of cardiomyopathies. Circulation 1996;93:841-842. PMID 8598070</ref>。
心筋しんきんしょうすうおおくの名前なまえばれてきたが、最初さいしょ解剖かいぼう症例しょうれい報告ほうこくは[[1891ねん]]のクレールによるものとされる<ref>Krehl L. Beitrag zur Kenntnis der idiopathischen Herzumuskelerkrankungen. Dtsch Arch Klin Med 1891;48:414-431.</ref>。その、[[世界せかい保健ほけん機関きかん]] (WHO) と[[国際こくさい心臓しんぞう連合れんごう]] (ISFC) の合同ごうどう委員いいんかいは1980ねん心筋しんきんしょうを'''「原因げんいん不明ふめい心筋しんきん疾患しっかん」'''と定義ていぎ拡張かくちょうがた (DCM, dilated cardiomyopathy)・肥大ひだいがた (HCM, hypertrophic cardiomyopathy)・拘束こうそくがた (RCM, restrictive cardiomyopathy) に分類ぶんるいし、心筋しんきん疾患しっかんでも原因げんいんまたは全身ぜんしん疾患しっかんとの関連かんれんあきらかなものと厳密げんみつ区別くべつした<ref>Report of WHO/ISFC taskforce on the definition and classification of cardiomyopathies. Brit Heart J 1980;44:672-673. {{PMID|7459150}}</ref>(なお、この分類ぶんるいでも分類ぶんるいしきれないものあるので分類ぶんるい不能ふのう心筋しんきんしょうという項目こうもくもある)。しかし、従来じゅうらい不明ふめいとされた心筋しんきんしょう原因げんいん成因せいいん示唆しさする報告ほうこく相次あいついだため、さき合同ごうどう委員いいんかい心筋しんきんしょうを'''「しん機能きのう障害しょうがいともな心筋しんきん疾患しっかん」'''とひろ定義ていぎなお従来じゅうらいの3分類ぶんるいくわえ、催不整脈せいみゃくせいみぎしつ心筋しんきんしょう特定とくてい心筋しんきんしょう範疇はんちゅうもうけた<ref>Richardson P, et al. Report of the 1995 World Health Organization/International Society and Federation of Carrdiology task force on the definition and classification of cardiomyopathies. Circulation 1996;93:841-842. {{PMID|8598070}}</ref>。


== 拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM) ==
== 拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM) ==
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===症状しょうじょう所見しょけん===
===症状しょうじょう所見しょけん===
初期しょき段階だんかいでは自覚じかく症状しょうじょうがあまりなく、えき疲労ひろうかん倦怠けんたいかん動作どうさかる動悸どうきこる程度ていどであるため、発見はっけんおくれてしまうケースがある。病状びょうじょう進行しんこうすると[[浮腫ふしゅ]]・湿性しっせい[[咳嗽がいそう]]・[[頸静脈じょうみゃく]]怒張どちょうなどの身体しんたい症状しょうじょうともなじゅうあつな[[鬱血うっけつせい心不全しんふぜん]]や治療ちりょう抵抗ていこうせいの[[不整脈ふせいみゃく]]をこす。診断しんだんされてからの5ねん生存せいぞんりつは54%、10ねん生存せいぞんりつは36%とされていたが、最近さいきんでは治療ちりょう進歩しんぽにより5ねん生存せいぞんりつは76%と向上こうじょうしている<ref>[http://www.nanbyou.or.jp/entry/155 難病なんびょう情報じょうほうセンター特発とくはつせい拡張かくちょうがた鬱血うっけつがた心筋しんきんしょう公費こうひ対象たいしょう]</ref>。しかし[[突然とつぜん]]もまれではない。はげしい運動うんどう心臓しんぞうおおきな負担ふたんいることとなり、きゅう心臓しんぞう発作ほっさこす可能かのうせいがあるためけるべきとされている。
初期しょき段階だんかいでは自覚じかく症状しょうじょうがあまりなく、えき疲労ひろうかん倦怠けんたいかん動作どうさかる動悸どうきこる程度ていどであるため、発見はっけんおくれてしまうケースがある。病状びょうじょう進行しんこうすると[[浮腫ふしゅ]]・湿性しっせい[[咳嗽がいそう]]・[[頸静脈じょうみゃく]]怒張どちょうなどの身体しんたい症状しょうじょうともなじゅうあつな[[うっけつせい心不全しんふぜん|鬱血うっけつせい心不全しんふぜん]]や治療ちりょう抵抗ていこうせいの[[不整脈ふせいみゃく]]をこす。診断しんだんされてからの5ねん生存せいぞんりつは54%、10ねん生存せいぞんりつは36%とされていたが、最近さいきんでは治療ちりょう進歩しんぽにより5ねん生存せいぞんりつは76%と向上こうじょうしている<ref>[http://www.nanbyou.or.jp/entry/3985 難病なんびょう情報じょうほうセンター | 特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう指定してい難病なんびょう57)]</ref>。しかし[[突然とつぜん]]もまれではない。はげしい運動うんどう心臓しんぞうおおきな負担ふたんいることとなり、きゅう心臓しんぞう発作ほっさこす可能かのうせいがあるためけるべきとされている。


[[心電図しんでんず]]ではPなみ持続じぞく時間じかん延長えんちょうみとめられる。
[[心電図しんでんず]]ではPなみ持続じぞく時間じかん延長えんちょうみとめられる。


===原因げんいん発症はっしょうメカニズム===
===原因げんいん発症はっしょうメカニズム===
拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうは、以前いぜんからウイルス、アルコール、毒物どくぶつ免疫めんえききずがいなど遺伝いでんてき攻撃こうげきによってもたらされることがられていた。原因げんいん不明ふめいなものは“特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうばれていたが、[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつ、[[細胞さいぼう骨格こっかく]]蛋白質たんぱくしつすじ形質けいしつまくおよび[[かくまく]]蛋白質たんぱくしつ遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうおおきな原因げんいんであることが最新さいしん研究けんきゅうあきらかにされている<ref>[http://www.springer.com/medicine/cardiology/book/978-1-84996-470-8 Clinical Cardiogenetics, Baars, H.F.; van der Smagt, J.J. (Eds.) Springer, 2011.] </ref>。2013ねん時点じてんで、ほんしょう症例しょうれいのおよそ3わり遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい原因げんいんであると推定すいていされている。遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうこすメカニズムをあきらかにするため、[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつである[[ミオシン]]、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]にかんして、くみ変異へんい蛋白質たんぱくしつ分子ぶんし遺伝子いでんし改変かいへん動物どうぶつモデルをもちいた研究けんきゅう活発かっぱつおこなわれている。[[ミオシン]]変異へんいは[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]の収縮しゅうしゅく機構きこうそのものを傷害しょうがいし(i.e.,[[アクチン]]-[[ミオシン]]相互そうご作用さよう低下ていかをもたらす)、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]変異へんいは[[トロポニン|心筋しんきん収縮しゅうしゅくのカルシウムによる調節ちょうせつ機構きこう]]を傷害しょうがいする(i.e.,[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]の低下ていかをもたらす)ことがあきらかにされている<ref>Morimoto S. Sarcomeric proteins and inherited cardiomyopathies. Cardiovasc Res. 2008; 77: 659–666. PMID 18056765</ref>。一方いっぽう、[[細胞さいぼう骨格こっかく]]蛋白質たんぱくしつ細胞さいぼうまく貫通かんつう蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんいは[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]が発生はっせいするちから隣接りんせつ[[心筋しんきん]]細胞さいぼうへの伝達でんたつ傷害しょうがいし、[[かくまく]]蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんい心筋しんきん細胞さいぼうくわわるちからによる遺伝子いでんし発現はつげん機構きこう傷害しょうがいによって拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうをもたらすのでないかと推測すいそくされている<ref>Fatkin D, Graham RM. Molecular mechanisms of inherited cardiomyopathies. Physiol Rev 2002;82:945–980. PMID 12270949</ref>。遺伝いでんせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう研究けんきゅうからはっきりした重要じゅうようなことは、[[心筋しんきん]]細胞さいぼうにはたんにその収縮しゅうしゅく機能きのう内因ないいんてき低下ていかするだけでしん拡大かくだいによって代償だいしょうするメカニズムがはじめからプログラムされているということである。皮肉ひにくなことに、その代償だいしょうメカニズムがはたらくことによって致死ちしてき不整脈ふせいみゃくによる突然とつぜんのリスクがたかまり、その破綻はたんによって末期まっき心不全しんふぜんがもたらされるものと推測すいそくされる。現在げんざい治療ちりょうやくとしてもちいられる[[交感神経こうかんしんけいβべーた受容じゅようたい遮断しゃだんやく|βべーたブロッカー]]、[[ACE阻害そがいやく|アンギオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやく]]や[[アンジオテンシンII受容じゅようたい拮抗きっこうやく|アンギオテンシンII受容じゅようたいブロッカー]]は、短期たんきてきには収縮しゅうしゅく機能きのうたかめるが長期ちょうきてきには有害ゆうがいな“細胞さいぼうない[[cAMP]]とカルシウムの増加ぞうかかいする”代償だいしょう反応はんのうおさえることでその破綻はたんおくらせているようにえる。細胞さいぼうない[[cAMP]]とカルシウムの増加ぞうかによらず収縮しゅうしゅく機能きのう改善かいぜんすることができる新規しんきの[[強心きょうしんやく]]であるカルシウム感受性かんじゅせい増強ぞうきょうやくや[[ミオシン活性かっせい増強ぞうきょうやく]]などは、このような長期ちょうきてきには有害ゆうがい代償だいしょう反応はんのうプログラムの発動はつどうおさえてよりたか有効ゆうこうせいしめすことが期待きたいされる<ref>R. John Solaro. Translational medicine with a capital T, troponin T, That is. Circulation Research, 2007; 101: 114-115. PMID 17641232</ref><ref>Teerlink et al., Dose-dependent augmentation of cardiac systolic function with the selective cardiac myosin activator, omecamtiv mecarbil: a first-in-man study. Lancet, 2011; 378(9792):667-675. PMID 21856480</ref>
拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうは、以前いぜんからウイルス、アルコール、毒物どくぶつ免疫めんえきさわがいなど遺伝いでんてき攻撃こうげきによってもたらされることがられていた。原因げんいん不明ふめいなものは“特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうばれていたが、[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつ、[[細胞さいぼう骨格こっかく]]蛋白質たんぱくしつすじ形質けいしつまくおよび[[かくまく]]蛋白質たんぱくしつ遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうおおきな原因げんいんであることが最新さいしん研究けんきゅうあきらかにされている<ref name="#1">[http://www.springer.com/medicine/cardiology/book/978-1-84996-470-8 Clinical Cardiogenetics, Baars, H.F.; van der Smagt, J.J. (Eds.) Springer, 2011.] </ref>。2013ねん時点じてんで、ほんしょう症例しょうれいのおよそ3わり遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい原因げんいんであると推定すいていされている。遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうこすメカニズムをあきらかにするため、[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつである[[ミオシン]]、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]にかんして、くみ変異へんい蛋白質たんぱくしつ分子ぶんし遺伝子いでんし改変かいへん動物どうぶつモデルをもちいた研究けんきゅう活発かっぱつおこなわれている。[[ミオシン]]変異へんいは[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]の収縮しゅうしゅく機構きこうそのものを傷害しょうがいし(i.e.,[[アクチン]]-[[ミオシン]]相互そうご作用さよう低下ていかをもたらす)、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]変異へんいは[[トロポニン|心筋しんきん収縮しゅうしゅくのカルシウムによる調節ちょうせつ機構きこう]]を傷害しょうがいする(i.e.,[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]の低下ていかをもたらす)ことがあきらかにされている<ref name="#2">Morimoto S. Sarcomeric proteins and inherited cardiomyopathies. Cardiovasc Res. 2008; 77: 659–666. {{PMID|18056765}}</ref>。一方いっぽう、[[細胞さいぼう骨格こっかく]]蛋白質たんぱくしつ細胞さいぼうまく貫通かんつう蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんいは[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]が発生はっせいするちから隣接りんせつ[[心筋しんきん]]細胞さいぼうへの伝達でんたつ傷害しょうがいし、[[かくまく]]蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんい心筋しんきん細胞さいぼうくわわるちからによる遺伝子いでんし発現はつげん機構きこう傷害しょうがいによって拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうをもたらすのでないかと推測すいそくされている<ref name="#3">Fatkin D, Graham RM. Molecular mechanisms of inherited cardiomyopathies. Physiol Rev 2002;82:945–980. {{PMID|12270949}}</ref>。遺伝いでんせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう研究けんきゅうからはっきりした重要じゅうようなことは、[[心筋しんきん]]細胞さいぼうにはたんにその収縮しゅうしゅく機能きのう内因ないいんてき低下ていかするだけでしん拡大かくだいによって代償だいしょうするメカニズムがはじめからプログラムされているということである。皮肉ひにくなことに、その代償だいしょうメカニズムがはたらくことによって致死ちしてき不整脈ふせいみゃくによる突然とつぜんのリスクがたかまり、その破綻はたんによって末期まっき心不全しんふぜんがもたらされるものと推測すいそくされる。現在げんざい治療ちりょうやくとしてもちいられる[[交感神経こうかんしんけいβべーた受容じゅようたい遮断しゃだんやく|βべーたブロッカー]]、[[ACE阻害そがいやく|アンギオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやく]]や[[アンジオテンシンII受容じゅようたい拮抗きっこうやく|アンギオテンシンII受容じゅようたいブロッカー]]は、短期たんきてきには収縮しゅうしゅく機能きのうたかめるが長期ちょうきてきには有害ゆうがいな“細胞さいぼうない[[環状かんじょうアデノシンいちリンさん|cAMP]]とカルシウムの増加ぞうかかいする”代償だいしょう反応はんのうおさえることでその破綻はたんおくらせているようにえる。細胞さいぼうない[[環状かんじょうアデノシンいちリンさん|cAMP]]とカルシウムの増加ぞうかによらず収縮しゅうしゅく機能きのう改善かいぜんすることができる新規しんきの[[強心きょうしんやく]]であるカルシウム感受性かんじゅせい増強ぞうきょうやくや[[ミオシン活性かっせい増強ぞうきょうやく]]などは、このような長期ちょうきてきには有害ゆうがい代償だいしょう反応はんのうプログラムの発動はつどうおさえてよりたか有効ゆうこうせいしめすことが期待きたいされる<ref>R. John Solaro. Translational medicine with a capital T, troponin T, That is. Circulation Research, 2007; 101: 114-115. {{PMID|17641232}}</ref><ref>Teerlink et al., Dose-dependent augmentation of cardiac systolic function with the selective cardiac myosin activator, omecamtiv mecarbil: a first-in-man study. Lancet, 2011; 378(9792):667-675. {{PMID|21856480}}</ref>


===治療ちりょう===
===治療ちりょう===
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: [[1967ねん]]に世界せかいはじめてヒトからヒトへの心臓しんぞう移植いしょくおこなわれ、現在げんざいでは安定あんていした成果せいかしめしている。そのため、ほん疾患しっかん根本こんぽん治療ちりょうとされる。
: [[1967ねん]]に世界せかいはじめてヒトからヒトへの心臓しんぞう移植いしょくおこなわれ、現在げんざいでは安定あんていした成果せいかしめしている。そのため、ほん疾患しっかん根本こんぽん治療ちりょうとされる。
; 内科ないかてき療法りょうほう
; 内科ないかてき療法りょうほう
: 近年きんねん、[[アンジオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやく]]([[ACE阻害そがいやく]])、[[アンジオテンシン受容じゅようたい阻害そがいくすり]]、[[ベータ遮断しゃだんやく]]などが適用てきようされ効果こうかげている。遠隔えんかく生存せいぞんりつ比較的ひかくてきたかい。しかし、体質たいしつ症状しょうじょう進行しんこう状態じょうたいにより上記じょうきくすり期待きたいした効果こうかげない場合ばあいもある。また、これらは根治こんじ療法りょうほうではなく進行しんこうおくらせることしかできない。
: 近年きんねん、[[アンジオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやく]]([[ACE阻害そがいやく]])、[[アンジオテンシンII受容じゅようたい拮抗きっこうくすり]](ARB、AII拮抗きっこうやく、[[ベータ遮断しゃだんやく]]などが適用てきようされ効果こうかげている。遠隔えんかく生存せいぞんりつ比較的ひかくてきたかい。しかし、体質たいしつ症状しょうじょう進行しんこう状態じょうたいにより上記じょうきくすり期待きたいした効果こうかげない場合ばあいもある。また、これらは根治こんじ療法りょうほうではなく進行しんこうおくらせることしかできない。
; [[補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう]]の使用しよう
; [[補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう]]の使用しよう
: 心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじ目的もくてきとするみと、心臓しんぞう移植いしょく待機たいき目的もくてきとせず補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづけていく目的もくてきでのみの2とおりの治療ちりょうおこなわれる。心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじとしての補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞうは[[2004ねん]]に医療いりょう保険ほけん適用てきようとなった。移植いしょく目的もくてきでなく補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける選択せんたくは、おも高齢こうれいのため手術しゅじゅつえうる体力たいりょくがない患者かんじゃたいしてとられることがおおい。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける目的もくてきでの世界せかいはつ手術しゅじゅつは、[[1995ねん]]10がつに[[イギリス]]で高齢こうれいのため移植いしょく手術しゅじゅつおこなうことが困難こんなんとされた患者かんじゃほどこされた。
: 心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじ目的もくてきとするみと、心臓しんぞう移植いしょく待機たいき目的もくてきとせず補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづけていく目的もくてきでのみの2とおりの治療ちりょうおこなわれる。心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじとしての補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞうは[[2004ねん]]に医療いりょう保険ほけん適用てきようとなった。移植いしょく目的もくてきでなく補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける選択せんたくは、おも高齢こうれいのため手術しゅじゅつえうる体力たいりょくがない患者かんじゃたいしてとられることがおおい。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける目的もくてきでの世界せかいはつ手術しゅじゅつは、[[1995ねん]]10がつに[[イギリス]]で高齢こうれいのため移植いしょく手術しゅじゅつおこなうことが困難こんなんとされた患者かんじゃほどこされた。
; ひだりしつ形成けいせいじゅつ
; ひだりしつ形成けいせいじゅつ
:{{main|ひだりしつ形成けいせいじゅつ}}
:{{main|ひだりしつ形成けいせいじゅつ}}
: ひだりしつ形成けいせいじゅつは、[[きょせい心筋しんきんしょう]]や[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]などによる高度こうど[[ひだりしつ]]機能きのう不全ふぜんともな慢性まんせい[[心不全しんふぜん]]にたいする[[手術しゅじゅつ]]であり、ひだりしつ容積ようせき縮小しゅくしょうさせることによりしん機能きのう、[[|生命せいめい予後よご]]の改善かいぜんはかることを目的もくてきとする。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞうしん移植いしょくぜん段階だんかい、あるいはその非適応ひてきおう症例しょうれいたいして適応てきおう考慮こうりょされる治療ちりょうほうである<ref name="sakata">坂田さかた隆造りゅうぞう心臓しんぞう外科げか Knack & Pitfalls 冠動脈かんどうみゃく外科げか要点ようてん盲点もうてん だい2はん文光ぶんこうどう. pp266-291. ISBN 978-4-8306-2336-3.</ref>。
: ひだりしつ形成けいせいじゅつは、[[きょせい心筋しんきんしょう]]や[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]などによる高度こうど[[ひだりしつ]]機能きのう不全ふぜんともな慢性まんせい[[心不全しんふぜん]]にたいする[[手術しゅじゅつ]]であり、ひだりしつ容積ようせき縮小しゅくしょうさせることによりしん機能きのう、[[|生命せいめい予後よご]]の改善かいぜんはかることを目的もくてきとする。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞうしん移植いしょくぜん段階だんかい、あるいはその非適応ひてきおう症例しょうれいたいして適応てきおう考慮こうりょされる治療ちりょうほうである<ref name="sakata">坂田さかた隆造りゅうぞう心臓しんぞう外科げか Knack & Pitfalls 冠動脈かんどうみゃく外科げか要点ようてん盲点もうてん だい2はん文光ぶんこうどう. pp266-291. ISBN 978-4-8306-2336-3.</ref>。
; 遺伝子いでんし治療ちりょう
; 遺伝子いでんし治療ちりょう
: 現在げんざい動物どうぶつ実験じっけん段階だんかいである。ヒトへの治療ちりょうおこなわれた症例しょうれい報告ほうこくされていない。特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう先天的せんてんてき原因げんいん治癒ちゆしようというこころみである。積極せっきょくてき治療ちりょうほう心臓しんぞう移植いしょく)をおこなうことがむずかしい患者かんじゃへの応用おうよう期待きたいされている。
: 現在げんざい動物どうぶつ実験じっけん段階だんかいである。ヒトへの治療ちりょうおこなわれた症例しょうれい報告ほうこくされていない。特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう先天的せんてんてき原因げんいん治癒ちゆしようというこころみである。積極せっきょくてき治療ちりょうほう心臓しんぞう移植いしょく)をおこなうことがむずかしい患者かんじゃへの応用おうよう期待きたいされている。
; 心筋しんきんシート
; 心筋しんきんシート
: 患者かんじゃ自身じしん筋肉きんにくを5 - 10g程度ていど摘出てきしゅつし、それを培養ばいようしてシートじょうにして患部かんぶひだり心室しんしつ)にける治療ちりょうほうである。その心筋しんきんシートをもちいてよわった心臓しんぞうのポンプ機能きのう回復かいふくしようというこころみである。動物どうぶつ実験じっけんではポンプ機能きのう回復かいふくされることが確認かくにんされている。欧米おうべいではすでに実施じっしされているがじゅうあつし不整脈ふせいみゃくなどの副作用ふくさよう報告ほうこくされている。日本にっぽん国内こくないでは2007ねん5がつ大阪大おおさかだいさわ芳樹よしき教授きょうじゅによって実施じっしされた。
: 患者かんじゃ自身じしん筋肉きんにくを5 - 10g程度ていど摘出てきしゅつし、それを培養ばいようしてシートじょうにして患部かんぶひだり心室しんしつ)にける治療ちりょうほう。その心筋しんきんシートをもちいてよわった心臓しんぞうのポンプ機能きのう回復かいふくしようというこころみである。動物どうぶつ実験じっけんではポンプ機能きのう回復かいふくされることが確認かくにんされている。欧米おうべいではすでに実施じっしされ、じゅうあつし不整脈ふせいみゃくなどの副作用ふくさよう報告ほうこくされている。日本にっぽん国内こくないでは2007ねん5がつ大阪大おおさかだいがく[[さわ芳樹よしき]]教授きょうじゅによっ骨格こっかくすじ由来ゆらいすじ細胞さいぼうシートを開発かいはつ、2015ねん9がつ世界せかいはつ心不全しんふぜん治療ちりょうよう再生さいせい医療いりょう製品せいひん「ハートシート」の製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん条件じょうけん期限きげんき)取得しゅとく、2016ねん販売はんばいはじめている<ref name="amed" />。つぎに[[iPS細胞さいぼう]]由来ゆらいのヒト心筋しんきんシートが開発かいはつされ、動物どうぶつ実験じっけん実施じっしされた<ref name="amed">[https://www.amed.go.jp/pr/2016_seikasyu_01-03.html 重症じゅうしょう心不全しんふぜん治療ちりょうようすじ細胞さいぼうシートの実用じつようとiPS細胞さいぼう由来ゆらい心筋しんきんシートの開発かいはつ] [[日本にっぽん医療いりょう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう]]</ref>。重症じゅうしょう心不全しんふぜん患者かんじゃ心臓しんぞう移植いしょくするはつ臨床りんしょう研究けんきゅう(First in Human試験しけん)は2019ねんあき予定よていされていたが、延期えんきとなり<ref>{{citenews |url=https://www.sankei.com/article/20190627-ZBY5ZCV7D5M2HKS55KEW237SRM/ |title=iPS心筋しんきんシート移植いしょく ふゆ延期えんき 大阪大おおさかだい安全あんぜんせい検証けんしょう |date=2019-06-27 |accessdate=2019-10-15 |work=産経新聞さんけいしんぶん}}</ref>、2020ねん1がつきょせい心筋しんきんしょう患者かんじゃたい実施じっしされた。


===診療しんりょう===
===診療しんりょう===
76ぎょう: 91ぎょう:
閉塞へいそくせい肥大ひだいがた心筋しんきんしょうにおいては、下記かきのような所見しょけんられる。
閉塞へいそくせい肥大ひだいがた心筋しんきんしょうにおいては、下記かきのような所見しょけんられる。
; [[聴診ちょうしん]]
; [[聴診ちょうしん]]
: 胸骨きょうこつひだりえん だい3、4肋間ろっかんからしんとんが中心ちゅうしんとして、収縮しゅうしゅく せい雑音ざつおん、IVおん聴取ちょうしゅする<ref name="byoumie2"/>。
: 胸骨きょうこつひだりえん だい3、4肋間ろっかんからしんとんが中心ちゅうしんとして、収縮しゅうしゅくせい雑音ざつおん、IVおん聴取ちょうしゅする<ref name="byoumie2"/>。
; [[心電図しんでんず]]
; [[心電図しんでんず]]
: ひだりしつ肥大ひだい異常いじょうQなみ、ST-T変化へんか巨大きょだい陰性いんせいTなみ(apical HCMの特徴とくちょう)がられる<ref name="byoumie2"/>。ただし、HCMに特有とくゆう所見しょけんはなく、むしろ、自覚じかく症状しょうじょうとぼしいわりに、心電図しんでんずじょう変化へんか派手はでであることが、HCMの特徴とくちょうえる。
: ひだりしつ肥大ひだい異常いじょうQなみ、ST-T変化へんか巨大きょだい陰性いんせいTなみ(apical HCMの特徴とくちょう)がられる<ref name="byoumie2"/>。ただし、HCMに特有とくゆう所見しょけんはなく、むしろ、自覚じかく症状しょうじょうとぼしいわりに、心電図しんでんずじょう変化へんか派手はでであることが、HCMの特徴とくちょうえる。
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=== 原因げんいん発症はっしょうメカニズム (HCM) ===
=== 原因げんいん発症はっしょうメカニズム (HCM) ===
通常つうじょう遺伝いでんせいであり、ほんしょう症例しょうれいのおよそ7わりが[[つね染色せんしょくたい]][[優性ゆうせい遺伝いでん]]形式けいしきをとる遺伝子いでんし変異へんい原因げんいんである。[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]と同様どうように[[ミオシン]]、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]をはじめとする[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつの[[遺伝子いでんし]]の突然変異とつぜんへんいあきらかにされている<ref>[http://www.springer.com/medicine/cardiology/book/978-1-84996-470-8 Clinical Cardiogenetics, Baars, H.F.; van der Smagt, J.J. (Eds.) Springer, 2011.] </ref>。[[トロポニン#トロポニンの役割やくわり|カルシウムによる収縮しゅうしゅく制御せいぎょ]]にかかわる[[トロポニン]]や[[トロポミオシン]]遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいは[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]を増加ぞうかさせる。これは、これらの遺伝子いでんしにおける[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]をこす変異へんいがカルシウム感受性かんじゅせい低下ていかさせることとぎゃくであり、[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]増加ぞうかによる収縮しゅうしゅく機能きのう亢進こうしんあるいは弛緩しかん機能きのう低下ていか肥大ひだいがた心筋しんきんしょうをもたらしているとかんがえられる<ref>Fatkin D, Graham RM. Molecular mechanisms of inherited cardiomyopathies. Physiol Rev 2002;82:945–980. PMID 12270949</ref><ref>Morimoto S. Sarcomeric proteins and inherited cardiomyopathies. Cardiovasc Res. 2008; 77: 659–666. PMID 18056765</ref>。高血圧こうけつあつよわいによっても時間じかんをかけて発症はっしょうし、糖尿とうにょうびょう甲状腺こうじょうせん疾患しっかんなどのほか病気びょうき原因げんいんとなる。
通常つうじょう遺伝いでんせいであり、ほんしょう症例しょうれいのおよそ7わりが[[つね染色せんしょくたい]][[優性ゆうせい遺伝いでん]]形式けいしきをとる遺伝子いでんし変異へんい原因げんいんである。[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]と同様どうように[[ミオシン]]、[[アクチン]]、[[トロポニン]]、[[トロポミオシン]]をはじめとする[[筋肉きんにく#サルコメア(すじぶし)|サルコメア]]蛋白質たんぱくしつの[[遺伝子いでんし]]の突然変異とつぜんへんいあきらかにされている<ref name="#1"/>。[[トロポニン#役割やくわり|カルシウムによる収縮しゅうしゅく制御せいぎょ]]にかかわる[[トロポニン]]や[[トロポミオシン]]遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいは[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]を増加ぞうかさせる。これは、これらの遺伝子いでんしにおける[[心筋しんきんしょう#拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)|拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう]]をこす変異へんいがカルシウム感受性かんじゅせい低下ていかさせることとぎゃくであり、[[トロポニン|ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい]]増加ぞうかによる収縮しゅうしゅく機能きのう亢進こうしんあるいは弛緩しかん機能きのう低下ていか肥大ひだいがた心筋しんきんしょうをもたらしているとかんがえられる<ref name="#3"/><ref name="#2"/>。高血圧こうけつあつよわいによっても時間じかんをかけて発症はっしょうし、糖尿とうにょうびょう甲状腺こうじょうせん疾患しっかんなどのほか病気びょうき原因げんいんとなる。


=== 治療ちりょう (HCM) ===
=== 治療ちりょう (HCM) ===
最大さいだい問題もんだいである、突然とつぜん予防よぼうさい重点じゅうてんとなる。
最大さいだい問題もんだいである、突然とつぜん予防よぼうさい重点じゅうてんとなる。


過激かげき運動うんどうけ、また、心筋しんきん拡張かくちょうのう改善かいぜんするためと、心筋しんきん負荷ふか軽減けいげんするために、[[βべーた遮断しゃだんやく]]が使つかわれる。しかし、[[喘息ぜんそく]]を合併がっぺいしている場合ばあいのようにβべーた遮断しゃだんやくが[[禁忌きんき]]の症例しょうれいには[[カルシウム拮抗きっこうざい]]などがもちいられる。[[大動脈だいどうみゃくべん]]狭窄きょうさくや[[そうぼうべん]]逆流ぎゃくりゅう高度こうど場合ばあいには、しんしつちゅうへだた切除せつじょじゅつなどの外科げかてき手術しゅじゅつおこなう。場合ばあいによっては突然とつぜん予防よぼうのため[[がたじょほそどう]]が必要ひつようになる。
過激かげき運動うんどうけ、また、心筋しんきん拡張かくちょうのう改善かいぜんするためと、心筋しんきん負荷ふか軽減けいげんするために、[[βべーた遮断しゃだんやく]]が使つかわれる。しかし、[[喘息ぜんそく]]を合併がっぺいしている場合ばあいのようにβべーた遮断しゃだんやくが[[禁忌きんき (医学いがく)|禁忌きんき]]の症例しょうれいには[[カルシウム拮抗きっこうざい]]などがもちいられる。[[大動脈だいどうみゃくべん]]狭窄きょうさくや[[そうぼうべん]]逆流ぎゃくりゅう高度こうど場合ばあいには、しんしつちゅうへだた切除せつじょじゅつなどの外科げかてき手術しゅじゅつおこなう。場合ばあいによっては突然とつぜん予防よぼうのため[[がたじょほそどう]]が必要ひつようになる。


== 拘束こうそくがた心筋しんきんしょう (RCM) ==
== 拘束こうそくがた心筋しんきんしょう (RCM) ==
心室しんしつ収縮しゅうしゅく機能きのう正常せいじょうだがひだり心室しんしつかたく、拡張かくちょう問題もんだいがある。このてんでは肥大ひだいがた心筋しんきんしょうているが肥大ひだい拡大かくだいとうられないてんことなる。[[アクチン]]、[[ミオシン]]、[[トロポニン]]遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい発症はっしょう関与かんよしていることがわかっている<ref>[http://www.springer.com/medicine/cardiology/book/978-1-84996-470-8 Clinical Cardiogenetics, Baars, H.F.; van der Smagt, J.J. (Eds.) Springer, 2011.] </ref>。
心室しんしつ収縮しゅうしゅく機能きのう正常せいじょうだがひだり心室しんしつかたく、拡張かくちょう問題もんだいがある。このてんでは肥大ひだいがた心筋しんきんしょうているが肥大ひだい拡大かくだいとうられないてんことなる。[[アクチン]]、[[ミオシン]]、[[トロポニン]]遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい発症はっしょう関与かんよしていることがわかっている<ref name="#1"/>。


== 不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう ==
== 不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう ==
みぎ心室しんしつ心筋しんきん脱落だつらくし、脂肪しぼう組織そしきまたは線維せんい脂肪しぼう組織そしき置換ちかんする。
[[不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう]]は、遺伝いでんてき心筋しんきん変性へんせい疾患しっかんである。みぎ心室しんしつ心筋しんきん脱落だつらくし、脂肪しぼう組織そしきまたは線維せんい脂肪しぼう組織そしき心筋しんきん置換ちかんる<ref>http://www.udatsu.vs1.jp/ARVC.htm</ref><ref>Thiene G et al:New Eng J Med 1988,318:129-133</ref>。[[心室しんしつしきはく]]などを合併がっぺい突然とつぜんこすことがある。
V1~V4での[[イプシロン]](εいぷしろんなみ)や陰性いんせいTなみがみられる。


== 分類ぶんるい不能ふのうがた心筋しんきんしょう ==
== 分類ぶんるい不能ふのうがた心筋しんきんしょう ==
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*[[たこつぼ心筋しんきんしょう]]
*[[たこつぼ心筋しんきんしょう]]
**[[ストレス (生体せいたい)|ストレス]]などにより、ひだりしつこころとんが収縮しゅうしゅくしなくなり、ひだりしつが「たこつぼ」のような形態けいたいていするもの。良好りょうこうなものがおおい。[[カテコラミン]]との関与かんよ示唆しさされている。
**[[ストレス (生体せいたい)|ストレス]]などにより、ひだりしつこころとんが収縮しゅうしゅくしなくなり、ひだりしつが「たこつぼ」のような形態けいたいていするもの。良好りょうこうなものがおおい。[[カテコラミン]]との関与かんよ示唆しさされている。
*ストレス心筋しんきんしょう
**しあわせでかなしい出来事できごとでも無差別むさべつ発生はっせいするストレスによってこされる心筋しんきんしょう<ref>{{Cite web |title=Happy heart syndrome: Even positive stress can affect the heart |url=https://www.health.harvard.edu/heart-health/happy-heart-syndrome-even-positive-stress-can-affect-the-heart |website=Harvard Health |date=2022-08-01 |access-date=2022-07-21 |language=en |first=Julie |last=Corliss}}</ref>。
*'''しきみゃく誘発ゆうはつせい心筋しんきんしょう''' - あきらかな基礎きそこころ疾患しっかんがなく,長期間ちょうきかんつづしきみゃくによってひだりしつ収縮しゅうしゅく機能きのう低下ていかし,しきみゃく改善かいぜんにより収縮しゅうしゅく機能きのう改善かいぜんをきたす疾患しっかん<ref>{{Cite journal|last=大谷おおやともひとし|date=2021-01-01|title=しきみゃく誘発ゆうはつせい心筋しんきんしょう|url=https://www.pieronline.jp/content/article/0039-2359/277050/413|journal=医学いがくのあゆみ|volume=277|issue=5|pages=413–417|language=en|issn=0039-2359}}</ref>。


== 脚注きゃくちゅう ==
==出典しゅってん==
{{脚注きゃくちゅうヘルプ}}
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{{Reflist}}
{{Reflist}}


== 参考さんこう文献ぶんけん ==
== 参考さんこう文献ぶんけん ==
*河合かわい忠一ただかず 心筋しんきんしょうはなし 中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ 2003ねん ISBN 4-12-101722-6
*河合かわい忠一ただかず心筋しんきんしょうはなし中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ 2003ねん ISBN 4-12-101722-6
*日本にっぽん獣医じゅうい病理びょうり学会がっかいへん 動物どうぶつ病理びょうりがく各論かくろん ぶんえいどう出版しゅっぱん 1998ねん ISBN 4-8300-3162-X
*日本にっぽん獣医じゅうい病理びょうり学会がっかいへん動物どうぶつ病理びょうりがく各論かくろんぶんえいどう出版しゅっぱん 1998ねん ISBN 4-8300-3162-X
*日本にっぽん獣医じゅういない科学かがくアカデミーへん 獣医じゅういない科学かがくしょう動物どうぶつへん)』 ぶんえいどう出版しゅっぱん 2005ねん ISBN 4-8300-3200-6
*日本にっぽん獣医じゅういない科学かがくアカデミーへん獣医じゅういない科学かがくしょう動物どうぶつへん)』ぶんえいどう出版しゅっぱん 2005ねん ISBN 4-8300-3200-6


== 関連かんれん項目こうもく ==
== 関連かんれん項目こうもく ==
132ぎょう: 151ぎょう:
== 外部がいぶリンク ==
== 外部がいぶリンク ==
;拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM) 関連かんれん
;拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM) 関連かんれん
:*[http://emedicine.medscape.com/article/152696-overview Dilated Cardiomyopathy] - Medscape
:*[https://emedicine.medscape.com/article/152696-overview Dilated Cardiomyopathy] - Medscape
:*[http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/More/Cardiomyopathy/Dilated-Cardiomyopathy_UCM_444187_Article.jsp Dilated Cardiomyopathy] - American Heart Association
:*[https://www.heart.org/en/health-topics/cardiomyopathy/what-is-cardiomyopathy-in-adults/dilated-cardiomyopathy-dcm Dilated Cardiomyopathy] - American Heart Association
:*[http://www.nanbyou.or.jp/entry/155 特発とくはつせい拡張かくちょうがた鬱血うっけつがた心筋しんきんしょう公費こうひ対象たいしょう)] - 難病なんびょう情報じょうほうセンター
:*{{難病なんびょう情報じょうほうセンター|3985|特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう|57}}
:*[http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902257243418979 きょせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうたいするあたらしいひだりしつ縮小しゅくしょう形成けいせいじゅつ(Overlappingほう)の麻酔ますい経験けいけん] - J-GLOBAL 科学かがく技術ぎじゅつ総合そうごうリンクセンター
:*[https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902257243418979 きょせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうたいするあたらしいひだりしつ縮小しゅくしょう形成けいせいじゅつ(Overlappingほう)の麻酔ますい経験けいけん] - J-GLOBAL 科学かがく技術ぎじゅつ総合そうごうリンクセンター
;肥大ひだいがた心筋しんきんしょう (HCM) 関連かんれん
;肥大ひだいがた心筋しんきんしょう (HCM) 関連かんれん
:*[http://emedicine.medscape.com/article/152913-overview Hypertrophic Cardiomyopathy] - Medscape
:*[https://emedicine.medscape.com/article/152913-overview Hypertrophic Cardiomyopathy] - Medscape
:*[http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/More/Cardiomyopathy/Hypertrophic-Cardiomyopathy_UCM_444317_Article.jsp Hypertrophic Cardiomyopathy] - American Heart Association
:*[https://www.heart.org/en/health-topics/cardiomyopathy/what-is-cardiomyopathy-in-adults/hypertrophic-cardiomyopathy Hypertrophic Cardiomyopathy] - American Heart Association
;拘束こうそくがた心筋しんきんしょう (RCM) 関連かんれん
;拘束こうそくがた心筋しんきんしょう (RCM) 関連かんれん
:*[http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/More/Cardiomyopathy/Restrictive-Cardiomyopathy_UCM_444322_Article.jsp Restrictive Cardiomyopathy] - American Heart Association
:*[https://www.heart.org/en/health-topics/cardiomyopathy/what-is-cardiomyopathy-in-adults/restrictive-cardiomyopathy Restrictive Cardiomyopathy] - American Heart Association
;不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう関連かんれん
;不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう関連かんれん
:*[http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/More/Cardiomyopathy/Arrhythmogenic-Right-Ventricular-Dysplasia_UCM_444324_Article.jsp Arrhythmogenic Right Ventricular Dysplasia] - American Heart Association
:*[https://www.heart.org/en/health-topics/cardiomyopathy/what-is-cardiomyopathy-in-adults/arrhythmogenic-right-ventricular-dysplasia Arrhythmogenic Right Ventricular Dysplasia] - American Heart Association


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[[Category:循環じゅんかんびょう]]
[[Category:循環じゅんかんびょう]]

2024ねん5がつ22にち (水)すい 08:58時点じてんにおけるはん

心筋しんきんしょう
cardiomyopathy
肥厚ひこう拡張かくちょうられる心臓しんぞうひだりしつ断面だんめん。さらにしんないまくした線維せんいしょうみとめられ、心臓しんぞう内部ないぶ白色はくしょくしている。
概要がいよう
診療しんりょう 循環じゅんかんがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 I25.5, I42, I43
ICD-9-CM 425
DiseasesDB 2137
MedlinePlus 001105
Patient UK 心筋しんきんしょう
cardiomyopathy
MeSH D009202

心筋しんきんしょう(しんきんしょう、えい: cardiomyopathy)は、しん機能きのう障害しょうがいともな心筋しんきん疾患しっかんをいう。心筋しんきんしょう拡張かくちょうがた肥大ひだいがた拘束こうそくがた不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう分類ぶんるいされるが、これらに分類ぶんるいできない分類ぶんるい不能ふのうがた存在そんざいする。

歴史れきし

心筋しんきんしょうすうおおくの名前なまえばれてきたが、最初さいしょ解剖かいぼう症例しょうれい報告ほうこく1891ねんのクレールによるものとされる[1]。その世界せかい保健ほけん機関きかん (WHO) と国際こくさい心臓しんぞう連合れんごう (ISFC) の合同ごうどう委員いいんかいは1980ねん心筋しんきんしょう原因げんいん不明ふめい心筋しんきん疾患しっかん定義ていぎ拡張かくちょうがた (DCM, dilated cardiomyopathy)・肥大ひだいがた (HCM, hypertrophic cardiomyopathy)・拘束こうそくがた (RCM, restrictive cardiomyopathy) に分類ぶんるいし、心筋しんきん疾患しっかんでも原因げんいんまたは全身ぜんしん疾患しっかんとの関連かんれんあきらかなものと厳密げんみつ区別くべつした[2](なお、この分類ぶんるいでも分類ぶんるいしきれないものあるので分類ぶんるい不能ふのう心筋しんきんしょうという項目こうもくもある)。しかし、従来じゅうらい不明ふめいとされた心筋しんきんしょう原因げんいん成因せいいん示唆しさする報告ほうこく相次あいついだため、さき合同ごうどう委員いいんかい心筋しんきんしょうしん機能きのう障害しょうがいともな心筋しんきん疾患しっかんひろ定義ていぎなお従来じゅうらいの3分類ぶんるいくわえ、催不整脈せいみゃくせいみぎしつ心筋しんきんしょう特定とくてい心筋しんきんしょう範疇はんちゅうもうけた[3]

拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう (DCM)

しんしつとともにしばしば心房しんぼううち容積ようせき増加ぞうかともなしん拡大かくだい (cardiac enlargement) と収縮しゅうしゅく機能きのう障害しょうがい特徴とくちょうとする心筋しんきん病気びょうきであり、不整脈ふせいみゃくによる突然とつぜん心不全しんふぜんをもたらす。初期しょきにはしん拡大かくだいによってポンプ機能きのう自体じたい正常せいじょう範囲はんいたもたれており、βべーたブロッカーアンギオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやくあるいはアンギオテンシンII受容じゅようたいブロッカー利尿りにょうやくなどのくすりわせにより進行しんこうおくらせることが可能かのうである。しかし、代償だいしょう破綻はたん末期まっき重症じゅうしょう心不全しんふぜんになると有効ゆうこう治療ちりょうやくはなく心臓しんぞう移植いしょく必要ひつようとする。女性じょせいより男性だんせいのほうがじゅうあつし傾向けいこうがみられる。

日本にっぽんでは、特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう(とくはつせいかくちょうがたしんきんしょう、Idiopathic DCM)として特定とくてい疾患しっかん治療ちりょう研究けんきゅう事業じぎょう対象たいしょう疾患しっかん指定していされている。

症状しょうじょう所見しょけん

初期しょき段階だんかいでは自覚じかく症状しょうじょうがあまりなく、えき疲労ひろうかん倦怠けんたいかん動作どうさかる動悸どうきこる程度ていどであるため、発見はっけんおくれてしまうケースがある。病状びょうじょう進行しんこうすると浮腫ふしゅ湿性しっせい咳嗽がいそう静脈じょうみゃく怒張どちょうなどの身体しんたい症状しょうじょうともなじゅうあつ鬱血うっけつせい心不全しんふぜん治療ちりょう抵抗ていこうせい不整脈ふせいみゃくこす。診断しんだんされてからの5ねん生存せいぞんりつは54%、10ねん生存せいぞんりつは36%とされていたが、最近さいきんでは治療ちりょう進歩しんぽにより5ねん生存せいぞんりつは76%と向上こうじょうしている[4]。しかし突然とつぜんもまれではない。はげしい運動うんどう心臓しんぞうおおきな負担ふたんいることとなり、きゅう心臓しんぞう発作ほっさこす可能かのうせいがあるためけるべきとされている。

心電図しんでんずではPなみ持続じぞく時間じかん延長えんちょうみとめられる。

原因げんいん発症はっしょうメカニズム

拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうは、以前いぜんからウイルス、アルコール、毒物どくぶつ免疫めんえき障害しょうがいなど遺伝いでんてき攻撃こうげきによってもたらされることがられていた。原因げんいん不明ふめいなものは“特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうばれていたが、サルコメア蛋白質たんぱくしつ細胞さいぼう骨格こっかく蛋白質たんぱくしつすじ形質けいしつまくおよびかくまく蛋白質たんぱくしつ遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうおおきな原因げんいんであることが最新さいしん研究けんきゅうあきらかにされている[5]。2013ねん時点じてんで、ほんしょう症例しょうれいのおよそ3わり遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい原因げんいんであると推定すいていされている。遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうこすメカニズムをあきらかにするため、サルコメア蛋白質たんぱくしつであるミオシンアクチントロポニントロポミオシンかんして、くみ変異へんい蛋白質たんぱくしつ分子ぶんし遺伝子いでんし改変かいへん動物どうぶつモデルをもちいた研究けんきゅう活発かっぱつおこなわれている。ミオシン変異へんいサルコメア収縮しゅうしゅく機構きこうそのものを傷害しょうがいし(i.e.,アクチン-ミオシン相互そうご作用さよう低下ていかをもたらす)、アクチントロポニントロポミオシン変異へんい心筋しんきん収縮しゅうしゅくのカルシウムによる調節ちょうせつ機構きこう傷害しょうがいする(i.e.,ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい低下ていかをもたらす)ことがあきらかにされている[6]一方いっぽう細胞さいぼう骨格こっかく蛋白質たんぱくしつ細胞さいぼうまく貫通かんつう蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんいサルコメア発生はっせいするちから隣接りんせつ心筋しんきん細胞さいぼうへの伝達でんたつ傷害しょうがいし、かくまく蛋白質たんぱくしつ突然変異とつぜんへんい心筋しんきん細胞さいぼうくわわるちからによる遺伝子いでんし発現はつげん機構きこう傷害しょうがいによって拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうをもたらすのでないかと推測すいそくされている[7]遺伝いでんせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう研究けんきゅうからはっきりした重要じゅうようなことは、心筋しんきん細胞さいぼうにはたんにその収縮しゅうしゅく機能きのう内因ないいんてき低下ていかするだけでしん拡大かくだいによって代償だいしょうするメカニズムがはじめからプログラムされているということである。皮肉ひにくなことに、その代償だいしょうメカニズムがはたらくことによって致死ちしてき不整脈ふせいみゃくによる突然とつぜんのリスクがたかまり、その破綻はたんによって末期まっき心不全しんふぜんがもたらされるものと推測すいそくされる。現在げんざい治療ちりょうやくとしてもちいられるβべーたブロッカーアンギオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやくアンギオテンシンII受容じゅようたいブロッカーは、短期たんきてきには収縮しゅうしゅく機能きのうたかめるが長期ちょうきてきには有害ゆうがいな“細胞さいぼうないcAMPとカルシウムの増加ぞうかかいする”代償だいしょう反応はんのうおさえることでその破綻はたんおくらせているようにえる。細胞さいぼうないcAMPとカルシウムの増加ぞうかによらず収縮しゅうしゅく機能きのう改善かいぜんすることができる新規しんき強心きょうしんやくであるカルシウム感受性かんじゅせい増強ぞうきょうやくミオシン活性かっせい増強ぞうきょうやくなどは、このような長期ちょうきてきには有害ゆうがい代償だいしょう反応はんのうプログラムの発動はつどうおさえてよりたか有効ゆうこうせいしめすことが期待きたいされる[8][9]

治療ちりょう

心臓しんぞう移植いしょく
1967ねん世界せかいはじめてヒトからヒトへの心臓しんぞう移植いしょくおこなわれ、現在げんざいでは安定あんていした成果せいかしめしている。そのため、ほん疾患しっかん根本こんぽん治療ちりょうとされる。
内科ないかてき療法りょうほう
近年きんねんアンジオテンシン変換へんかん酵素こうそ阻害そがいやくACE阻害そがいやく)、アンジオテンシンII受容じゅようたい拮抗きっこうやく(ARB、AII拮抗きっこうやく)、ベータ遮断しゃだんやくなどが適用てきようされ効果こうかげている。遠隔えんかく生存せいぞんりつ比較的ひかくてきたかい。しかし、体質たいしつ症状しょうじょう進行しんこう状態じょうたいにより上記じょうきくすり期待きたいした効果こうかげない場合ばあいもある。また、これらは根治こんじ療法りょうほうではなく進行しんこうおくらせることしかできない。
補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使用しよう
心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじ目的もくてきとするみと、心臓しんぞう移植いしょく待機たいき目的もくてきとせず補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづけていく目的もくてきでのみの2とおりの治療ちりょうおこなわれる。心臓しんぞう移植いしょくまでの症状しょうじょう維持いじとしての補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう2004ねん医療いりょう保険ほけん適用てきようとなった。移植いしょく目的もくてきでなく補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける選択せんたくは、おも高齢こうれいのため手術しゅじゅつえうる体力たいりょくがない患者かんじゃたいしてとられることがおおい。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう使つかつづける目的もくてきでの世界せかいはつ手術しゅじゅつは、1995ねん10月にイギリス高齢こうれいのため移植いしょく手術しゅじゅつおこなうことが困難こんなんとされた患者かんじゃほどこされた。
ひだりしつ形成けいせいじゅつ
ひだりしつ形成けいせいじゅつは、きょせい心筋しんきんしょう拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうなどによる高度こうどひだりしつ機能きのう不全ふぜんともな慢性まんせい心不全しんふぜんたいする手術しゅじゅつであり、ひだりしつ容積ようせき縮小しゅくしょうさせることによりしん機能きのう生命せいめい改善かいぜんはかることを目的もくてきとする。補助ほじょ人工じんこう心臓しんぞう心臓しんぞう移植いしょくぜん段階だんかい、あるいはその非適応ひてきおう症例しょうれいたいして適応てきおう考慮こうりょされる治療ちりょうほうである[10]
遺伝子いでんし治療ちりょう
現在げんざい動物どうぶつ実験じっけん段階だんかいである。ヒトへの治療ちりょうおこなわれた症例しょうれい報告ほうこくされていない。特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう先天的せんてんてき原因げんいん治癒ちゆしようというこころみである。積極せっきょくてき治療ちりょうほう心臓しんぞう移植いしょく)をおこなうことがむずかしい患者かんじゃへの応用おうよう期待きたいされている。
心筋しんきんシート
患者かんじゃ自身じしん筋肉きんにくを5 - 10g程度ていど摘出てきしゅつし、それを培養ばいようしてシートじょうにして患部かんぶひだり心室しんしつ)にける治療ちりょうほう。その心筋しんきんシートをもちいてよわった心臓しんぞうのポンプ機能きのう回復かいふくしようというこころみである。動物どうぶつ実験じっけんではポンプ機能きのう回復かいふくされることが確認かくにんされている。欧米おうべいではすでに実施じっしされ、じゅうあつし不整脈ふせいみゃくなどの副作用ふくさよう報告ほうこくされている。日本にっぽん国内こくないでは2007ねん5がつ大阪大学おおさかだいがくさわ芳樹よしき教授きょうじゅによって骨格こっかくすじ由来ゆらいすじ細胞さいぼうシートを開発かいはつ、2015ねん9がつ世界せかいはつ心不全しんふぜん治療ちりょうよう再生さいせい医療いりょう製品せいひん「ハートシート」の製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん条件じょうけん期限きげんき)取得しゅとく、2016ねん販売はんばいはじめている[11]つぎiPS細胞さいぼう由来ゆらいのヒト心筋しんきんシートが開発かいはつされ、動物どうぶつ実験じっけん実施じっしされた[11]重症じゅうしょう心不全しんふぜん患者かんじゃ心臓しんぞう移植いしょくするはつ臨床りんしょう研究けんきゅう(First in Human試験しけん)は2019ねんあき予定よていされていたが、延期えんきとなり[12]、2020ねん1がつきょせい心筋しんきんしょう患者かんじゃたいして実施じっしされた。

診療しんりょう

肥大ひだいがた心筋しんきんしょう (HCM)

心筋しんきんしょう
概要がいよう
診療しんりょう 循環じゅんかんがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 I42.1-I42.2
ICD-9-CM 425.4
OMIM 192600
DiseasesDB 6373
MedlinePlus 000192
eMedicine med/290 ped/1102 radio/129
Patient UK 心筋しんきんしょう
MeSH D002312

500にん1人ひとり発症はっしょうするよくある病気びょうきであり、わかいアスリートなど若者わかもの突然とつぜんしん停止ていしによくある原因げんいんである。男女だんじょられない。 心筋しんきん細胞さいぼう肥大ひだいのため心室しんしつかべあつくなるが心室しんしつのサイズはしばしば正常せいじょうである。ほんしょう心筋しんきん肥大ひだいによるひだり心室しんしつ拡張かくちょう障害しょうがい主体しゅたいである。拡張かくちょう短縮たんしゅくすることにより、心室しんしつ血液けつえき充分じゅうぶんながまなくなる。その結果けっか全身ぜんしんながれる血液けつえきりょう不足ふそくしたり、心室しんしつ心房しんぼうへの逆流ぎゃくりゅうこることによりひいてははい水腫すいしゅいたって呼吸こきゅう困難こんなんていしたりする。病態びょうたい進行しんこうするとしばしば拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうさまになることがあり、拡張かくちょうしょう肥大ひだいがた心筋しんきんしょうばれる。

心房しんぼうほそどう合併がっぺいおおい。

分類ぶんるい

大動脈だいどうみゃくべん付近ふきんかべ肥厚ひこうによる閉塞へいそくせい肥大ひだいがた心筋しんきんしょう (HOCM) と、こころとんがかべ肥厚ひこうによる閉塞へいそくせい肥大ひだいがた心筋しんきんしょう (HNCM) に分類ぶんるいされる。HOCMの基本きほん病態びょうたいは、しん流出りゅうしゅつ狭窄きょうさくによる心拍しんぱくりょう低下ていかであり、一方いっぽう、HNCMの基本きほん病態びょうたいは、心室しんしつすじ肥大ひだいによるひだりしつ拡張かくちょうのう低下ていかおよび不整脈ふせいみゃくである。欧米おうべいでは前者ぜんしゃおおいが、日本にっぽんでは後者こうしゃ比較的ひかくてきおおい。また、肥大ひだいしんとんが限局げんきょくしたapical HCMばれる病態びょうたい報告ほうこくされている。はつ報告ほうこく日本にっぽんでなされており、また日本人にっぽんじんおおいとされている。

これらの研究けんきゅう結果けっか現在げんざいでは、心筋しんきん異常いじょう肥大ひだいこそがHCMの本質ほんしつであり、かく分類ぶんるいは、その肥大ひだいする部位ぶいによって、ひだりしつ流出りゅうしゅつ狭窄きょうさくきるかかにぎないと認識にんしきされるようになっている。

症状しょうじょう所見しょけん (HCM)

臨床りんしょう症状しょうじょう

各種かくしゅ検査けんさ所見しょけん

閉塞へいそくせい肥大ひだいがた心筋しんきんしょうにおいては、下記かきのような所見しょけんられる。

聴診ちょうしん
胸骨きょうこつひだりえん だい3、4肋間ろっかんからしんとんが中心ちゅうしんとして、収縮しゅうしゅくせい雑音ざつおん、IVおん聴取ちょうしゅする[13]
心電図しんでんず
ひだりしつ肥大ひだい異常いじょうQなみ、ST-T変化へんか巨大きょだい陰性いんせいTなみ(apical HCMの特徴とくちょう)がられる[13]。ただし、HCMに特有とくゆう所見しょけんはなく、むしろ、自覚じかく症状しょうじょうとぼしいわりに、心電図しんでんずじょう変化へんか派手はでであることが、HCMの特徴とくちょうえる。
頚動脈けいどうみゃく
みねせいみゃく(pulsus bisferiens:spike and domeがた)がみとめられる。大動脈だいどうみゃくべん閉鎖へいさ不全ふぜんしょうみねせいみゃくとはことなる。急激きゅうげきがりのあと、収縮しゅうしゅく中期ちゅうきから後期こうきにゆるやかな2つみね形成けいせいする。
しんエコー
非対称ひたいしょうせいしんしつちゅうへだた肥厚ひこう (ASH)
そうぼうべんまえとんが収縮しゅうしゅく前方ぜんぽう運動うんどう (SAM)
大動脈だいどうみゃくべん収縮しゅうしゅく中期ちゅうき はん閉鎖へいさ
などがられる。
心臓しんぞうカテーテル検査けんさ
ひだりしつ拡張かくちょう末期まっきあつ (LVEDP) の上昇じょうしょう特徴とくちょうてきである。
ひだりしつ流入りゅうにゅう流出りゅうしゅつ収縮しゅうしゅくあつ較差かくさ(20mmHg以上いじょう)がみとめられる。
病理びょうりがく検査けんさ
肥大ひだいした心筋しんきん細胞さいぼうられる。これらの配列はいれつにおいては、えだじょうぶんえだ渦巻うずまじょうなどの錯綜さくそう配列はいれつ特徴とくちょうてきである。錯綜さくそう配列はいれつは、肥大ひだいしたしんしつちゅうへだた中心ちゅうしん分布ぶんぷする。

原因げんいん発症はっしょうメカニズム (HCM)

通常つうじょう遺伝いでんせいであり、ほんしょう症例しょうれいのおよそ7わりつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん形式けいしきをとる遺伝子いでんし変異へんい原因げんいんである。拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう同様どうようミオシンアクチントロポニントロポミオシンをはじめとするサルコメア蛋白質たんぱくしつ遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいあきらかにされている[5]カルシウムによる収縮しゅうしゅく制御せいぎょかかわるトロポニントロポミオシン遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんいミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい増加ぞうかさせる。これは、これらの遺伝子いでんしにおける拡張かくちょうがた心筋しんきんしょうこす変異へんいがカルシウム感受性かんじゅせい低下ていかさせることとぎゃくであり、ミオフィラメントカルシウム感受性かんじゅせい増加ぞうかによる収縮しゅうしゅく機能きのう亢進こうしんあるいは弛緩しかん機能きのう低下ていか肥大ひだいがた心筋しんきんしょうをもたらしているとかんがえられる[7][6]高血圧こうけつあつよわいによっても時間じかんをかけて発症はっしょうし、糖尿とうにょうびょう甲状腺こうじょうせん疾患しっかんなどのほか病気びょうき原因げんいんとなる。

治療ちりょう (HCM)

最大さいだい問題もんだいである、突然とつぜん予防よぼうさい重点じゅうてんとなる。

過激かげき運動うんどうけ、また、心筋しんきん拡張かくちょうのう改善かいぜんするためと、心筋しんきん負荷ふか軽減けいげんするために、βべーた遮断しゃだんやく使つかわれる。しかし、喘息ぜんそく合併がっぺいしている場合ばあいのようにβべーた遮断しゃだんやく禁忌きんき症例しょうれいにはカルシウム拮抗きっこうざいなどがもちいられる。大動脈だいどうみゃくべん狭窄きょうさくそうぼうべん逆流ぎゃくりゅう高度こうど場合ばあいには、しんしつちゅうへだた切除せつじょじゅつなどの外科げかてき手術しゅじゅつおこなう。場合ばあいによっては突然とつぜん予防よぼうのためがたじょほそどう必要ひつようになる。

拘束こうそくがた心筋しんきんしょう (RCM)

心室しんしつ収縮しゅうしゅく機能きのう正常せいじょうだがひだり心室しんしつかたく、拡張かくちょう問題もんだいがある。このてんでは肥大ひだいがた心筋しんきんしょうているが肥大ひだい拡大かくだいとうられないてんことなる。アクチンミオシントロポニン遺伝子いでんし突然変異とつぜんへんい発症はっしょう関与かんよしていることがわかっている[5]

不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょう

不整脈ふせいみゃくばらせいみぎしつ心筋しんきんしょうは、遺伝いでんてき心筋しんきん変性へんせい疾患しっかんである。みぎ心室しんしつ心筋しんきん脱落だつらくし、脂肪しぼう組織そしきまたは線維せんい脂肪しぼう組織そしき心筋しんきん置換ちかんする[14][15]心室しんしつしきはくなどを合併がっぺい突然とつぜんこすことがある。 V1~V4でのイプシロン(εいぷしろんなみ)や陰性いんせいTなみがみられる。

分類ぶんるい不能ふのうがた心筋しんきんしょう

上記じょうき4がたのいずれにも分類ぶんるいされない。

  • たこつぼ心筋しんきんしょう
    • ストレスなどにより、ひだりしつこころとんが収縮しゅうしゅくしなくなり、ひだりしつが「たこつぼ」のような形態けいたいていするもの。良好りょうこうなものがおおい。カテコラミンとの関与かんよ示唆しさされている。
  • ストレス心筋しんきんしょう
    • しあわせでかなしい出来事できごとでも無差別むさべつ発生はっせいするストレスによってこされる心筋しんきんしょう[16]
  • しきみゃく誘発ゆうはつせい心筋しんきんしょう - あきらかな基礎きそこころ疾患しっかんがなく,長期間ちょうきかんつづしきみゃくによってひだりしつ収縮しゅうしゅく機能きのう低下ていかし,しきみゃく改善かいぜんにより収縮しゅうしゅく機能きのう改善かいぜんをきたす疾患しっかん[17]

出典しゅってん

  1. ^ Krehl L. Beitrag zur Kenntnis der idiopathischen Herzumuskelerkrankungen. Dtsch Arch Klin Med 1891;48:414-431.
  2. ^ Report of WHO/ISFC taskforce on the definition and classification of cardiomyopathies. Brit Heart J 1980;44:672-673. PMID 7459150
  3. ^ Richardson P, et al. Report of the 1995 World Health Organization/International Society and Federation of Carrdiology task force on the definition and classification of cardiomyopathies. Circulation 1996;93:841-842. PMID 8598070
  4. ^ 難病なんびょう情報じょうほうセンター | 特発とくはつせい拡張かくちょうがた心筋しんきんしょう指定してい難病なんびょう57)
  5. ^ a b c Clinical Cardiogenetics, Baars, H.F.; van der Smagt, J.J. (Eds.) Springer, 2011.
  6. ^ a b Morimoto S. Sarcomeric proteins and inherited cardiomyopathies. Cardiovasc Res. 2008; 77: 659–666. PMID 18056765
  7. ^ a b Fatkin D, Graham RM. Molecular mechanisms of inherited cardiomyopathies. Physiol Rev 2002;82:945–980. PMID 12270949
  8. ^ R. John Solaro. Translational medicine with a capital T, troponin T, That is. Circulation Research, 2007; 101: 114-115. PMID 17641232
  9. ^ Teerlink et al., Dose-dependent augmentation of cardiac systolic function with the selective cardiac myosin activator, omecamtiv mecarbil: a first-in-man study. Lancet, 2011; 378(9792):667-675. PMID 21856480
  10. ^ 坂田さかた隆造りゅうぞう心臓しんぞう外科げか Knack & Pitfalls 冠動脈かんどうみゃく外科げか要点ようてん盲点もうてん だい2はん文光ぶんこうどう. pp266-291. ISBN 978-4-8306-2336-3
  11. ^ a b 重症じゅうしょう心不全しんふぜん治療ちりょうようすじ細胞さいぼうシートの実用じつようとiPS細胞さいぼう由来ゆらい心筋しんきんシートの開発かいはつ 日本にっぽん医療いりょう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう
  12. ^ “iPS心筋しんきんシート移植いしょく ふゆ延期えんき 大阪大おおさかだい安全あんぜんせい検証けんしょう. 産経新聞さんけいしんぶん. (2019ねん6がつ27にち). https://www.sankei.com/article/20190627-ZBY5ZCV7D5M2HKS55KEW237SRM/ 2019ねん10がつ15にち閲覧えつらん 
  13. ^ a b c 病気びょうきがみえるVol.2 メディックメディアしゃ発行はっこう P220 ISBN 978-4896323436
  14. ^ http://www.udatsu.vs1.jp/ARVC.htm
  15. ^ Thiene G et al:New Eng J Med 1988,318:129-133
  16. ^ Corliss, Julie (2022ねん8がつ1にち). “Happy heart syndrome: Even positive stress can affect the heart” (英語えいご). Harvard Health. 2022ねん7がつ21にち閲覧えつらん
  17. ^ 大谷おおやともひとし (2021-01-01). しきみゃく誘発ゆうはつせい心筋しんきんしょう (英語えいご). 医学いがくのあゆみ 277 (5): 413–417. ISSN 0039-2359. https://www.pieronline.jp/content/article/0039-2359/277050/413. 

参考さんこう文献ぶんけん

  • 河合かわい忠一ただかず心筋しんきんしょうはなし中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ 2003ねん ISBN 4-12-101722-6
  • 日本にっぽん獣医じゅうい病理びょうり学会がっかいへん動物どうぶつ病理びょうりがく各論かくろんぶんえいどう出版しゅっぱん 1998ねん ISBN 4-8300-3162-X
  • 日本にっぽん獣医じゅういない科学かがくアカデミーへん獣医じゅういない科学かがくしょう動物どうぶつへん)』ぶんえいどう出版しゅっぱん 2005ねん ISBN 4-8300-3200-6

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外部がいぶリンク

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