ストローク符号ふごう

̸
ストローク符号ふごう
ダイアクリティカルマーク
アキュート	´
ダブルアキュート	˝
グレイヴ	`
ダブルグレイヴ	̏
ブレーヴェ	˘
倒置とうちブレーヴェ	̑
ハーチェク	ˇ
セディーユ	¸
サーカムフレックス	ˆ
トレマ / ウムラウト	¨
チルダ	˜
ドット符号ふごう	˙
フック	̡
フック符号ふごう	̉
ホーン符号ふごう	̛
マクロン	¯
オゴネク	˛
リング符号ふごう	˚
ストローク符号ふごう	̸
コンマアバブ	ʻ
コンマビロー	,
無む気き記号きごう	᾿
非ひラテン文字もじ
シャクル
シャッダ	ّ‎
ハムザ	ء‎
キリル文字もじ
ティトロ	҃
ヘブライ文字もじ
ニクダー	ִ‎
ブラーフミー系けい文字もじ
アヌスヴァーラ	ं‎
ヴィラーマ	्‎
日本語にほんご
濁点だくてん	゛
半はん濁点だくてん	゜
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ストロークは、ダイアクリティカルマーク（発音はつおん区別くべつ符号ふごう）の一種いっしゅで、文字もじを横切よこぎる斜線しゃせんないし横よこ棒ぼうである。

概要がいよう

Unicode の文字もじ名称めいしょうでは、さまざまな長ながさや方向ほうこうの線せんをもつ字じがいずれも「WITH STROKE」（ストローク付つき）とされている。ただし、ストロークを除のぞいた部分ぶぶんが同おなじで、線せんの向むきや横切よこぎる位置いちによって区別くべつされるふたつの文字もじは、どちらかにストロークとは異ことなる名前なまえが付つけられる。例たとえば、ł の名称めいしょうは L WITH STROKE、ƚ は L WITH BAR となっている。また、ø の名称めいしょうは O WITH STROKE、ɵ の名称めいしょうは BARRED O である。

Đ (U+0110、đ の大文字おおもじ)、Ð (U+00D0、ðの大文字おおもじ)、Ɖ (U+0189、ɖ の大文字おおもじ) の3つは見みた目めの区別くべつがつかない。Unicode の文字もじ名称めいしょうでは最初さいしょのひとつ以外いがい「ストローク」を含ふくんでいない。JIS X 0213 には ð の大文字おおもじのみが存在そんざいする。

ストロークの用途ようとはさまざまである。歴史れきし的てきには省略しょうりゃく表記ひょうき (英語えいご版ばん記事きじ) にストロークに似にた多様たような記号きごうがつけられることがあった。￡など、通貨つうか記号きごうにもしばしばストロークがつく。数字すうじのゼロ（0）にストロークを加くわえてオーと区別くべつしやすくすることも行おこなわれる（斜線しゃせん付つきゼロ）。

よく似にた記号きごう

単独たんどくの斜線しゃせんについては「スラッシュ (記号きごう)」を参照さんしょう。

⌀ (U+2200)は直径ちょっけい、∅ (U+2205)は空そら集合しゅうごうを表あらわす記号きごうである。

ℏ (U+210F)はディラック定数ていすう(換算かんさんしたプランク定数ていすう)を表あらわす記号きごうである。

国際こくさい音声おんせい記号きごうで軟口蓋なんこうがい化かした側面そくめん音おんを表あらわす /ɫ/ についているのはチルダであって、ストロークではない。

Ø ø と国際こくさい音声おんせい記号きごうの ɸ またはギリシャ文字もじの Φふぁい φふぁい と Θしーた θしーた はしばしば混同こんどうされる。

キリル文字もじの Ѳ ѳ (U+0472, U+0473) は、Ө ө (U+04E8, U+04E9) とは異ことなる。

各かく言語げんごにおける用法ようほう

ラテン・アルファベット

デンマーク語ご、ノルウェー語ご、南部なんぶサーミ語ご: ø を用もちいる。/ø/ を表あらわす。
アイスランド語ご: ð を用もちいる。/ð/ を表あらわす。
フェロー語ご: ð, ø を用もちいる。
北部ほくぶサーミ語ご: ŧ, đ を用もちいる。それぞれ /θしーた/, /ð/ を表あらわす。
スコルト・サーミ語ご: đ, ǥ を用もちいる。それぞれ /ð/, /ɣ/ を表あらわす。
ポーランド語ご、ソルブ語ご: ł を用もちいる。/w/ を表あらわす。ポーランド語ごで ł の斜線しゃせんは、ć ń ó ś ź の上うえのアキュート・アクセントとともにクレスカ（kreska）と呼よばれる。
セルビア・クロアチア語ご: đ を用もちいる。口蓋こうがい化かした /dʑ/ を表あらわす。
マルタ語ご: ħ, għ を用もちいる。前者ぜんしゃは咽頭いんとう摩擦音まさつおん /ħ/ を、後者こうしゃは母音ぼいんの咽頭いんとう化かを表あらわす。
ベトナム語ご: đ を用もちいる。/d/ を表あらわす。
サーニッチ語ご: Ⱥ, Ȼ, ₭, Ƚ, Ⱦ, Ŧ を用もちいる。なおサーニッチ語ごでは小文字こもじは使用しようしない。

キリル・アルファベット

ө がモンゴル語ごや多おおくのチュルク語ごで使用しようされている。円えん唇くちびる中ちゅう舌した半はん狭せま母音ぼいん /ө/ を表あらわす。

セルビア・クロアチア語ごのキリル文字もじ表記ひょうきでは、ђ, ћ が使つかわれ、それぞれ /dʑ/, /tɕ/ を表あらわす。また、現在げんざいの正書法せいしょほうで採用さいようしているところはないが、古ふるいキリル文字もじには ѣ という字じがあった。キルディン・サーミ語ごにはよく似にた ҍ が口蓋こうがい化かを表あらわすのに使つかわれている。これらの文字もじについて、Unicode の文字もじ名称めいしょうでは STROKE という言葉ことばを使つかっていない。

それ以外いがいのストロークつき文字もじを使つかっている言語げんごは以下いかのものがある。

アブハズ語ご: ҟ を用もちいる。/q'/ を表あらわす。
アゼルバイジャン語ご (キリル文字もじ旧きゅう正書法せいしょほう): ғ, ҝ, ө, ҹ を用もちいて、それぞれ /ʁ/, /ɟ/, /ө/, /dʒ/ を表あらわしていた。
カザフ語ご: ғ, ұ を用もちいる。それぞれ、/ʁ/, /ʊ/ を表あらわす。
タジク語ご、バシキール語ご: ғ を用もちいる。/ʁ/ を表あらわす。
ハンティ語ご: ө, ӫ を用もちいる。
ニヴフ語ご: ӿ を用もちいる。

音声おんせい記号きごう

国際こくさい音声おんせい記号きごうでは、単独たんどくの補助ほじょ記号きごうとしてはストローク記号きごうは存在そんざいしない。ストロークを含ふくむ文字もじには、中ちゅう舌したの /ɨ/, /ʉ/, /ɵ/ のほか、ø, ð, ɟ, ħ, ʡ, ʢ, ʄ などがある。

正式せいしきな用法ようほうではないが、しばしば摩擦音まさつおんの /βべーた/, /ð/, /ɣ/ のかわりに、対応たいおうする破裂はれつ音おんの字じに横よこ棒ぼうや斜線しゃせんを加くわえて表あらわすことがある。スペイン語ごの発音はつおんを表あらわすときにしばしば見みられる。

符号ふごう位置いち

記号きごう	Unicode	JIS X 0213	文字もじ参照さんしょう	名称めいしょう
̵	`U+0335`	`-`	`̵` `̵`	COMBINING SHORT STROKE OVERLAY
̶	`U+0336`	`-`	`̶` `̶`	COMBINING LONG STROKE OVERLAY
̷	`U+0337`	`-`	`̷` `̷`	COMBINING SHORT SOLIDUS OVERLAY
̸	`U+0338`	`-`	`̸` `̸`	COMBINING LONG SOLIDUS OVERLAY

大文字おおもじ	Unicode	JIS X 0213	文字もじ参照さんしょう	小文字こもんじ	Unicode	JIS X 0213	文字もじ参照さんしょう	備考びこう
Ⱥ	`U+023A`	`-`	`Ⱥ` `Ⱥ`	ⱥ	`U+2C65`	`-`	`ⱥ` `ⱥ`	サーニッチ語ご
Ƀ	`U+0243`	`-`	`Ƀ` `Ƀ`	ƀ	`U+0180`	`-`	`ƀ` `ƀ`	ジャライ語ご、カテュ語ご
Ȼ	`U+023B`	`-`	`Ȼ` `Ȼ`	ȼ	`U+023C`	`-`	`ȼ` `ȼ`	サーニッチ語ご
Đ	`U+0110`	`-`	`Đ` `Đ`	đ	`U+0111`	`1-10-48`	`đ` `đ`	セルビア・クロアチア語ご、北部ほくぶサーミ語ご、スコルト・サーミ語ご、ベトナム語ご
Ð	`U+00D0`	`1-9-39`	`Ð` `Ð` `Ð`	ð	`U+00F0`	`1-9-70`	`ð` `ð` `ð`	アイスランド語ご、フェロー語ご、古こ英語えいご
Ɖ	`U+0189`	`-`	`Ɖ` `Ɖ`	ɖ	`U+0256`	`1-10-78`	`ɖ` `ɖ`	エウェ語ご
Ɇ	`U+0246`	`-`	`Ɇ` `Ɇ`	ɇ	`U+0247`	`-`	`ɇ` `ɇ`
Ǥ	`U+01E4`	`-`	`Ǥ` `Ǥ`	ǥ	`U+01E5`	`-`	`ǥ` `ǥ`	スコルト・サーミ語ご
Ħ	`U+0126`	`-`	`Ħ` `Ħ`	ħ	`U+0127`	`1-10-93`	`ħ` `ħ`	マルタ語ご
Ɨ	`U+0197`	`-`	`Ɨ` `Ɨ`	ɨ	`U+0268`	`1-11-12`	`ɨ` `ɨ`	国際こくさい音声おんせい記号きごう
Ɉ	`U+0248`	`-`	`Ɉ` `Ɉ`	ɉ	`U+0249`	`-`	`ɉ` `ɉ`
Ł	`U+0141`	`1-10-3`	`Ł` `Ł`	ł	`U+0142`	`1-10-14`	`ł` `ł`	ポーランド語ご、ソルブ語ご
Ƚ	`U+023D`	`-`	`Ƚ` `Ƚ`	ƚ	`U+019A`	`-`	`ƚ` `ƚ`	サーニッチ語ご
Ø	`U+00D8`	`1-9-46`	`Ø` `Ø` `Ø`	ø	`U+00F8`	`1-9-77`	`ø` `ø` `ø`	デンマーク語ご、ノルウェー語ご、フェロー語ご、南みなみサーミ語ご
Ɵ	`U+019F`	`-`	`Ɵ` `Ɵ`	ɵ	`U+0275`	`1-11-15`	`ɵ` `ɵ`	アゼルバイジャン語ご旧きゅう正書法せいしょほう（今いまはö）
Ᵽ	`U+2C63`	`-`	`Ᵽ` `Ᵽ`	ᵽ	`U+1D7D`	`-`	`ᵽ` `ᵽ`
Ɍ	`U+024C`	`-`	`Ɍ` `Ɍ`	ɍ	`U+024D`	`-`	`ɍ` `ɍ`
Ŧ	`U+0166`	`-`	`Ŧ` `Ŧ`	ŧ	`U+0167`	`-`	`ŧ` `ŧ`	北部ほくぶサーミ語ご、サーニッチ語ご
Ⱦ	`U+023E`	`-`	`Ⱦ` `Ⱦ`	ⱦ	`U+2C66`	`-`	`ⱦ` `ⱦ`	サーニッチ語ご
Ʉ	`U+0244`	`-`	`Ʉ` `Ʉ`	ʉ	`U+0289`	`1-11-13`	`ʉ` `ʉ`	国際こくさい音声おんせい記号きごう
Ɏ	`U+024E`	`-`	`Ɏ` `Ɏ`	ɏ	`U+024F`	`-`	`ɏ` `ɏ`
Ƶ	`U+01B5`	`-`	`Ƶ` `Ƶ`	ƶ	`U+01B6`	`-`	`ƶ` `ƶ`	アゼルバイジャン語ご旧きゅう正書法せいしょほう（今いまはj）