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無限むげん軌道きどう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
キャタピラから転送てんそう
整地せいち運搬うんぱんしゃ無限むげん軌道きどう

無限むげん軌道きどう(むげんきどう)とは、起動きどううたてゆう動輪どうりん誘導ゆうどう)をかこむように一帯いったい接続せつぞくされたくつばん(りはん・りばん)・シュー (Shoe) のたまきであり、起動きどうでそれをうごかすことによって整地せいちでの車両しゃりょう移動いどう可能かのうにするもので、このたね車両しゃりょうそう車両しゃりょう (Tracked Vehicle) とび、たいして通常つうじょうのタイヤ車輪しゃりんそなえた車両しゃりょうそう車両しゃりょう (Wheeled Vehicle, Car etc) とぶ。

無限むげん軌道きどうには、クローラートラックベルトTrackbelt)、くつたい(りたい)、キャタピラーCaterpillar)など、複数ふくすうがある。軍事ぐんじ用語ようごでは、くつたいばれる[1]日本にっぽん法令ほうれい条文じょうぶん車両しゃりょう制限せいげんれい道路どうろ交通こうつうほう施行しこう規則きそくとう)ではキャタピラの変化へんかしたカタピラという用語ようごもちいられている(以前いぜんくつたいという用語ようごもちいられていた)。なお一般いっぱんによくもちいられる「キャタピラー」は米国べいこくキャタピラーしゃ (Caterpillar Inc.) の登録とうろく商標しょうひょうである(日本にっぽん:商標しょうひょう登録とうろく1863602ごうほか)。

概要がいよう

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無限むげん軌道きどう18世紀せいき後半こうはんから19世紀せいきにかけて発案はつあんされてきたが、実用じつようてきなものは20世紀せいき初頭しょとう重量じゅうりょうのかさむ蒸気じょうき機関きかんもちいたトラクションエンジン走行そうこうとして開発かいはつされた。さらに2世界せかい大戦たいせん戦車せんしゃなどの軍用ぐんようそう車両しゃりょう実用じつよう主流しゅりゅう発達はったつした技術ぎじゅつである。ほかにも整地せいち走破そうは能力のうりょく要求ようきゅうされる農業のうぎょう機械きかい建設けんせつ機械きかい雪上せつじょうしゃなどでもちいられている。日本語にほんごの「無限むげん軌道きどう」の言葉ことば意味いみは、軌道きどう鉄道てつどうでのレール)をうたてきつけることで、無限むげん状態じょうたいのよいレールじょうはしれる機構きこうという意味いみである。

工事こうじ現場げんば農地のうち砂漠さばくなどの整地せいちオフロード)やゆきうえなどでは、通常つうじょう車輪しゃりんでは凹凸おうとつはばまれたり重量じゅうりょう地面じめんにめりんだりして走行そうこう困難こんなんである。たいして無限むげん軌道きどうでは車輌しゃりょう重量じゅうりょうくつたい全体ぜんたいにかかるために接地せっち面積めんせきあたりの圧力あつりょく接地せっちあつ)がひくくなり、やわらかい地面じめん雪上せつじょうでもしずみにくくなる。また多少たしょう起伏きふくあななどもくつたいしにてんとおるためにスムーズに通行つうこうできる。強力きょうりょく推進すいしん制動せいどうトルクをかけてもスリップしにくく、土工どこう作業さぎょうでのつよりや、戦闘せんとう車両しゃりょうきゅう発進はっしん停止ていし斜面しゃめん登攀とうはんなどの機動きどうせいられる。

方向ほうこう転換てんかん方法ほうほうには、はんそう軌車のように前部ぜんぶ車輪しゃりんやスキーによって操舵そうだするもの、関節かんせつしき前後ぜんご車台しゃだいみじかめのくつたいそなえ、屈折くっせつさせて操舵そうだするもの(アーティキュレート・ステアリング)、そして、操舵そうだ機構きこうたないスキッドステアとばれる方式ほうしきがある。スキッドステアは車体しゃたい左右さゆうくつたい回転かいてんにより横滑よこすべりをこして進行しんこう方向ほうこうえるもので、がりたいがわくつたい完全かんぜん停止ていしさせる旋回せんかいしんじ旋回せんかいぶ。もしトランスミッション対応たいおうしていれば、左右さゆうくつたいぎゃく回転かいてんさせ、その旋回せんかいするちょうしん旋回せんかいおこなえる。むかし左右さゆうくつたい回転かいてんりょうをレバーで直接ちょくせつ操作そうさして操縦そうじゅうするものおおかったが、近年きんねん自動車じどうしゃステアリングホイールのようにまるハンドル操作そうさ操縦そうじゅう容易よういになっているものもおおい。なお、スキッドステアで方向ほうこうえるものには、「スキッドステアローダー」のようなそうしき車両しゃりょうもある。

くつたい接地せっちちょうながいほど接地せっちあつちいさくなり整地せいち走破そうは能力のうりょくすが、左右さゆうくつたい間隔かんかくたいして接地せっちちょうながすぎるとよこ方向ほうこうのグリップりょくつよすぎて方向ほうこう転換てんかん困難こんなんになるため、両者りょうしゃ比率ひりつは1.1 - 1.8程度ていどおさえられている。

難点なんてんとしてはくつたい使用しようした走行そうこう装置そうち重量じゅうりょうがかさみ、車輪しゃりん比較ひかくするとくつたいそのものを駆動くどうするために必要ひつよう原動機げんどうき負荷ふかおおきいうえに、騒音そうおん振動しんどうおおきい。構造こうぞうじょうくつたい固定こていされておらず、テンションをかけすぎると過大かだい荷重かじゅう切断せつだんのおそれもあるため多少たしょうあそびがたせてあり、高速こうそく回転かいてんすると遠心えんしんりょくくつたいがってくる。またサスペンションがあるものはその伸縮しんしゅくとく整地せいち走行そうこうくつたいゆるみやすく脱落だつらくにつながるため、高速こうそく長距離ちょうきょり走行そうこう一般いっぱんてき困難こんなんである。ゴムもちいた特殊とくしゅくつたいもちいない場合ばあい舗装ほそうでは路面ろめんいためたり、接地せっちあつ摩擦まさつ係数けいすうひくさによって滑走かっそうしてしまうおそれもある。積雪せきせつ泥濘でいねいでの走行そうこうでは、くつたいにグローサーとばれる装具そうぐけて下駄げたアイゼンのようなやす場合ばあいもあり、グローサーは予備よびくつたい同様どうよう車外しゃがいそうして携行けいこうすることもある。またくつたいいちしょでも破断はだんしてしまうと走行そうこう不能ふのうになり、交換こうかん修理しゅうり整備せいびにも多大ただい手間てまようする。とく軍用ぐんよう車輌しゃりょうでは、近年きんねん市街しがいせんたいテロ戦争せんそうにおいて戦車せんしゃなどのそう車輌しゃりょう地雷じらい即席そくせき爆発ばくはつ装置そうち(IED)によって損傷そんしょうけ、本体ほんたい無事ぶじでも行動こうどう不能ふのうになるケースがおおい。

種類しゅるい

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材質ざいしつ接合せつごう方式ほうしき構造こうぞうにより分類ぶんるいされる。走行そうこう性能せいのうにおいてはダブルブロックダブルピン構造こうぞうものもっと良好りょうこうであるが、部品ぶひん点数てんすうおおくなるため、現在げんざいだいさん世代せだい主力しゅりょく戦車せんしゃではおもにシングルブロックダブルピンがもちいられている。

材質ざいしつ

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ゴムクローラを4くみもちいた関節かんせつしきトラクター

通常つうじょう軍用ぐんよう車両しゃりょう建設けんせつ機械きかいではてつ合金ごうきんでできたピースやリンクとう部品ぶひん多数たすう連結れんけつした金属きんぞくせいくつたいもちいられる。

ゴムせいのクローラはミニショベル整地せいち運搬うんぱんしゃなどの小型こがた建設けんせつ機械きかいでは金属きんぞくせいくつたい舗装ほそう路面ろめん傷付きずつけること抑止よくしする目的もくてきもちいられ、現代げんだいトラクターコンバインひとし農業のうぎょう機械きかいスノーモービルそう車両しゃりょうベースの改造かいぞうしゃそう車両しゃりょうへのそとけのくつたいにおいてはゴムクローラが一般いっぱんてき使用しようされる。ゴムクローラはになったスチール・ワイヤをゴムでこうむって一体いったい成型せいけいしてつくられており、泥濘でいねい使用しようしてもその構造こうぞうじょうピンの摩耗まもう起因きいんするくつたいびがないが、ゴムの経年けいねん劣化れっか鋭利えいりいわなどとの接触せっしょくにより亀裂きれつ切断せつだん箇所かしょしょうじる。ゴムクローラはだい世界せかい大戦たいせんどきべいぐんハーフトラックなどで大量たいりょう生産せいさん使用しようされ実用じつようせい実証じっしょうし、近年きんねんでも材質ざいしつ改善かいぜんにより一部いちぶ軍用ぐんよう車輌しゃりょうでも使つかわれており、静寂しじませい高速こうそくせい路面ろめん保護ほごなどにすぐれている反面はんめんいちしょ破断はだんでもくつたい全体ぜんたい交換こうかんする必要ひつようがあり、交換こうかん作業さぎょううたてはず必要ひつようがある。とく戦闘せんとう車両しゃりょうでは戦場せんじょうでの応急おうきゅう修理しゅうり困難こんなんてん敬遠けいえんされ、金属きんぞくせいくつたいちかあつかいができる分割ぶんかつしきのゴムせいくつたい研究けんきゅうされているが、部分ぶぶん強度きょうどなどがハードルとなっている。一方いっぽう車両しゃりょう運用うんよう思想しそうが、野戦やせん修理しゅうりによるつぎせんよりも人命じんめい優先ゆうせん損傷そんしょう車両しゃりょう放棄ほうき許容きょようする方向ほうこうにシフトしていることをけて、他面ためん性能せいのうまさるゴムくつたい採用さいよう機運きうんられる。

接合せつごう方式ほうしき

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シングルピン
前後ぜんごのブロック(シュー)をつなぐピンが一本いっぽんだけのもの。シングルブロックならばピンのかずとブロックのかずひとしくなる
ダブルピン
前後ぜんごのブロック(シュー)をつなぐのにピンをほんもちいるもの。

構造こうぞう

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ダブルブロック
接地せっちブロック(シュー)が左右さゆうふたつのピースからなるもの。おおくの場合ばあい、それにくわえて中央ちゅうおうにセンターガイドピースをわせて使用しようされる。
シングルブロック
接地せっちブロック(シュー)がいちまいだけのもの。おおくの場合ばあいセンターガイドも接地せっちブロックと一体化いったいかされている。
ゴム一体いったいしき
材質ざいしつ参照さんしょう
蛇腹じゃばら方式ほうしき
クローラのピンを左右さゆうにもがるように接合はぎあわした方式ほうしきイギリスMk.VIIテトラークけい戦車せんしゃなど一部いちぶ車両しゃりょう使用しようされた。ステアリングがた装甲車そうこうしゃにもけるクローラとして開発かいはつされ、前輪ぜんりん左右さゆう車輪しゃりん同期どうきさせるため、くつたい自体じたい左右さゆうがるように設計せっけいされている。
しかし強度きょうどおと許容きょよう荷重かじゅうひくいため一般いっぱんしなかった。
建設けんせつ機械きかいとう
ローラーチェーンのようにげられたリンクアッセンブリに多数たすうくつばん(シュー)をける方式ほうしき。シューの形状けいじょうは、いぬいようでは地面じめんむように断面だんめんがTがた泥濘でいねい湿地しっちようでは断面だんめん三角形さんかっけい[2]。また、舗装ほそういためるのをふせぐため、くつばんいちまいいちまいゴムせいのパッドを装着そうちゃくする場合ばあいがある。

うたて

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大型おおがたてん
BT戦車せんしゃT-34T-54/55T-62などだい世界せかい大戦たいせんなかから戦後せんごしばらくのソ連それん戦車せんしゃによくられるてん。イギリスのカヴェナンタークルセーダークロムウェルなどの巡航じゅんこう戦車せんしゃ陸上りくじょう自衛隊じえいたい74しき戦車せんしゃでも採用さいようされた。てん上部じょうぶ上側うわがわくつたいささえる(LT-38のように大型おおがたてん採用さいようしなおかつ上部じょうぶ支持しじてん車輛しゃりょう存在そんざいする)。高速こうそく走行そうこう有効ゆうこうとされるが、うたて装着そうちゃくすう必然ひつぜんてきすくなくなり、うたてあいだはばおおきくなるため整地せいち走行そうこう性能せいのうなんがでる。くつたいはば延長えんちょうなどで改善かいぜん可能かのう。また、高速こうそく走行そうこう上側うわがわくつたい振動しんどう破損はそんしやすい。なお、ふる資料しりょうではこのてん輪形りんけいしきを「クリスティー方式ほうしき」とぶこともあったが、正確せいかくにはサスペンション形式けいしきすもので、うたて綸のサイズや上部じょうぶ支持しじてん有無うむ無関係むかんけいである。
小型こがたてん
戦車せんしゃ登場とうじょう初期しょきより存在そんざいしたてん方式ほうしきちいさなてん数多かずおお装着そうちゃくすることで、うたてあいだ隙間すきまちいさくでき、整地せいち走行そうこう性能せいのう向上こうじょうする。しかし、速度そくど性能せいのう限界げんかいしょうじ、高速度こうそくどもとめる車両しゃりょうにはかない。チャーチル歩兵ほへい戦車せんしゃ代表だいひょうれい
中型ちゅうがたてん
大型おおがた小型こがたいところを妥協だきょうしてとったおおきさのてん上側うわがわくつたいささえるためのちいさな上部じょうぶ支持しじてんつ。両者りょうしゃなかあいだ程度ていどもなく不可ふかもない性能せいのうで、現在げんざい主流しゅりゅう戦闘せんとうしゃ両用りょうようてん形態けいたいとしていている。
はさてん千鳥ちどりしきうたて
大型おおがたてん小型こがたてんいところをすべてもうとして開発かいはつされた。中型ちゅうがたもしくは大型おおがたてん交互こうご左右さゆうはんがさねにして配置はいちしたり、いち交互こうごにはさみかさわせるようにした形態けいたいてんである。これによりてん間隔かんかく小型こがたてんなみにし、整地せいち性能せいのう向上こうじょう期待きたいすることができるうえ、高速こうそくだか機動きどうかつ大型おおがた車体しゃたい製造せいぞう可能かのう特徴とくちょうたせようとした。しかし、破損はそんしたおくてん交換こうかんするさい手前てまえ無傷むきずてんはずさなければならないこと、くわえてトーションバー損傷そんしょうけた場合ばあい交換こうかんにはさらに煩雑はんざつさがすこと、こまかくんだてん隙間すきまどろなどがはいみやすく冬季とうきには凍結とうけつしやすくなるなど、メンテナンスじょう重大じゅうだい問題もんだいがあり、なおかつ、接地せっちあつ解消かいしょうにはそれほどの結果けっかせなかった。だい世界せかい大戦たいせん後期こうきにドイツが生産せいさんしたパンターちゅう戦車せんしゃティーガーじゅう戦車せんしゃ各種かくしゅハーフトラックではさてん、パンターIIやEシリーズで千鳥ちどりしきうたて採用さいようされたが、大戦たいせん終結しゅうけつ以後いごこの形式けいしき使つか車両しゃりょう実際じっさい製造せいぞうされたのはフランスのAMX-50のぞけばほとんど存在そんざいしない。(そのAMX-50も最終さいしゅうてき戦力せんりょく断念だんねんされている。)

動輪どうりん

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起動きどう(スプロケット・ホイール)
動力どうりょくじくつながっている車輪しゃりん歯車はぐるまじょうになっていてくつたいみあって動力どうりょく伝達でんたつする。エンジンが後部こうぶにあることにあわせて後端こうたん起動きどうであることがおおいが、ぜんはし存在そんざいする車両しゃりょうもある。
ゆう動輪どうりん(アイドラー・ホイール)
起動きどう反対はんたいがわはし位置いちし、位置いち前後ぜんごさせてくつたい具合ぐあい調整ちょうせいする。金属きんぞくくつたい使用しようとも接続せつぞくピンと周辺しゅうへん磨耗まもうによりびてくるため、調整ちょうせい必要ひつようになる。
誘導ゆうどう(フロントアイドラ)
前方ぜんぽう配置はいちされたゆう動輪どうりんことをこのようにぶことがある。

歴史れきし

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Lombard Steam Log Hauler(1901ねん特許とっきょ取得しゅとく
ホルト75がたトラクター,1914ねんごろ
Hornsbyせいトラクター

1770年代ねんだいリチャード・ロヴェル・エッジワース英語えいごばん原始げんしてき無限むげん軌道きどう設計せっけいした。1830年代ねんだいにはポーランド数学すうがくしゃ発明はつめいハーネー=ウロンスキー同様どうようのアイデアをおもいついている[3]イギリス博学はくがくしゃジョージ・ケイリーきょう無限むげん軌道きどう特許とっきょ取得しゅとくし、それを「万能ばんのう鉄道てつどう (universal railway)」とんだ[ちゅう 1]1837ねんロシア発明はつめい Dmitry Zagryazhsky は「移動いどうしき軌道きどうつき車両しゃりょう」を設計せっけいして同年どうねん特許とっきょ取得しゅとくしたが、資金しきんがないために実働じつどうするプロトタイプを製作せいさくできず1839ねん特許とっきょした。一種いっしゅ無限むげん軌道きどう使つかった蒸気じょうき機関きかんトラクター1850年代ねんだいクリミア戦争せんそう西側にしがわ勢力せいりょく使つかわれていたという報告ほうこくもある。1846ねん、イギリスの技術ぎじゅつしゃジェームス・ボイデル[ちゅう 2]無限むげん軌道きどう (endless railway wheel) の特許とっきょ取得しゅとくした。

実用じつようてき無限むげん軌道きどう車両しゃりょうであるロンバード蒸気じょうきしき木材もくざい牽引けんいんしゃ英語えいごばん発明はつめい製作せいさくしたのはアルヴィン・ロンバード英語えいごばんで、1901ねん特許とっきょ取得しゅとくした。かれ同年どうねんメインしゅうウォータービル蒸気じょうき機関きかん動力どうりょくにした木材もくざい牽引けんいんしゃ製作せいさくした。1917ねんまでに83だい製作せいさくし、その内燃ないねん機関きかんえ、1934ねんにはフェアバンクス・モースせいディーゼルエンジンを採用さいようした。そう車両しゃりょう商業しょうぎょうという意味いみではアルヴィン・ロンバードがうたがいもなく世界せかいはつである。ロンバードの蒸気じょうき機関きかんしゃは、現在げんざい実働じつどうするものがすくなくとも1だい存在そんざいする[4]。ガソリンで駆動くどうするものがオーガスタのメイン州立しゅうりつ博物館はくぶつかん展示てんじされている。

さらに、ロンバードからライセンス供与きょうよけてフェニックス・センチピード英語えいごばん製作せいさくしたものがばい以上いじょうあり、こちらはシリンダーを垂直すいちょく配置はいちしていた。1903ねんホルト・マニュファクチャリング・カンパニー英語えいごばん(以下いかホルトしゃ)の創業そうぎょうしゃであるベンジャミン・ホルト英語えいごばんはロンバードに6まんドルを支払しはらい、ロンバードの特許とっきょ使つかった車両しゃりょう製作せいさくけんた。ロンバードがカリフォルニア移住いじゅうしたのちもなんらかの合意ごういがあったとられるが、この権利けんり関係かんけいがどう決着けっちゃくしたのかはさだかではなく、それぞれの記録きろく若干じゃっかんちがいもある。

日本にっぽんでは、富山とやま出身しゅっしん高松たかまつ梅治うめじが19世紀せいきまつごろ無限むげん軌道きどう考案こうあんし、明治めいじ44ねん(1911ねん)に欧米おうべい8かこく特許とっきょ申請しんせいし、国内こくないではのう商務省しょうむしょう特許とっきょ取得しゅとくした[5][6][7][8]

おなごろ、イギリスのリンカンシャーにあった農機具のうきぐ会社かいしゃリチャード・ホーンズビー・アンド・ソン英語えいごばんしゃは、1905ねんそう車両しゃりょう特許とっきょ取得しゅとく開発かいはつおこなっていた。発明はつめいしゃ同社どうしゃデビッド・ロバーツ[9]である。その設計せっけいはそれまでのものとはちが地面じめん接地せっちしたソリや車輪しゃりん操舵そうだするわりに、くつたいをロックして操舵そうだするようになっていた。ホーンズビーのそう軌車りょうは1905ねんから1910ねんにかけて、砲兵ほうへいトラクターとすべくイギリス陸軍りくぐん試験しけんてきもちいたが、正式せいしき採用さいようされなかった。特許とっきょはホルトがった。ホーンズビーのそう車両しゃりょうくつたい操作そうさ方式ほうしき現代げんだいそう車両しゃりょう基本きほんてきおなじスキッドステアであり、その動作どうさするようイギリスぐん兵士へいし毛虫けむし (caterpillar) のようだと皮肉ひにくった。のちにホルトはなく「キャタピラー」を商標しょうひょうとした。

合併がっぺい名称めいしょう変更へんこうてホルトしゃ1925ねんキャタピラーしゃとなった。キャタピラーしゃせいそう軌車りょう建設けんせつよう車両しゃりょう陸戦りくせんよう車両しゃりょう革命かくめいこし、戦闘せんとうよう車両しゃりょうとして使つかわれるうちに無限むげん軌道きどう改良かいりょうすすんだ。だいいち世界せかい大戦たいせんとき、イギリスぐんオーストリア・ハンガリーぐんがホルトのそう車両しゃりょう重砲じゅうほう牽引けんいんよう使つかい、いくつかのくにでは戦車せんしゃ開発かいはつ活発かっぱつした。イギリスが開発かいはつした世界せかいはつ戦車せんしゃであるマーク I 戦車せんしゃはホルトのそう車両しゃりょう着想ちゃくそうてはいるが、いちから設計せっけいされていた。しかし、そのすぐのちフランスドイツ開発かいはつされた戦車せんしゃはホルトのそう車両しゃりょう改造かいぞうしたものだった。

舗装ほそうへの影響えいきょう

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マルダー歩兵ほへい戦闘せんとうしゃくつたい
踏面にくろえる部分ぶぶんがゴムパッド。

ゴムクローラでは問題もんだいとはならないが、従来じゅうらいがたてつクローラで舗装ほそうはしると、舗装ほそういためるおそれがある。また平滑へいかつ路面ろめんではクローラー踏面との摩擦まさつりょくがるため、たか速度そくどでの走行そうこうちゅうかじるといった場合ばあいにスリップするおそれもある。くわえてはしるのに必要ひつようなエネルギーがおおきく、舗装ほそう路上ろじょうではそう車両しゃりょうくらべるといちじるしく燃費ねんぴわるい。さらに公道こうどうはしるにあたってはクローラではしること自体じたい規制きせい抵触ていしょくする[ちゅう 3]、コストや仕様しようじょう理由りゆうでナンバーを取得しゅとくしていない、といった場合ばあいもあり、建設けんせつ機械きかい移動いどうするさいは、単車たんしゃトラックまたていゆかしきトレーラーかた重機じゅうきキャリアせてはこぶことになる。

戦車せんしゃをはじめとするそう軌式の装甲そうこう戦闘せんとう車両しゃりょうも、戦車せんしゃ運搬うんぱんしゃ搭載とうさいして移送いそうすることがおおい。現在げんざいは、路面ろめんいためないようかくくつばん(シュー)にゴムパッドを着脱ちゃくだつできるてつくつたい普及ふきゅうしつつある。くつばん形状けいじょうちがえば着脱ちゃくだつ可能かのうなゴムパッドの形状けいじょうことなり、日本にっぽん90しき戦車せんしゃてつくつたいではかくくつばん1個いっこずつ横長よこながのゴムパッドがけられる。路面ろめんにゴムあとくものの、接地せっちめんがゴムなので舗装ほそうをあまりいためず、騒音そうおん軽減けいげんできるため、公道こうどうなどを走行そうこうするさいはゴムパッドの装着そうちゃく必須ひっすとなっている。反面はんめん、ゴムパッドをけたままだと整地せいちとくにぬかるんだ傾斜地けいしゃちではすべりやすくなる。

また、戦車せんしゃ配備はいびされている陸上りくじょう自衛隊じえいたい一部いちぶ駐屯ちゅうとんちかくの道路どうろでは、アスファルト舗装ほそう完全かんぜん撤去てっきょし、コンクリート舗装ほそうした公道こうどう戦車せんしゃ走行そうこうするといったれいもある。

ギャラリー

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ The Mechanics' Magazine、1826ねん1がつ28にち
  2. ^ James Boydell, See en:Charles_Burrell_&_Sons#1848_to_1906:_Growth_with_steam
  3. ^ 日本にっぽんではたとえば車両しゃりょう制限せいげんれいだい8じょうなど。海外かいがいではカンボジアの道路どうろ交通こうつうほうだい8じょうの5を参照さんしょうされたい)のように、クローラで道路どうろはしることを全面ぜんめんてき禁止きんししているれいもある。

出典しゅってん

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  1. ^ れい2年度ねんど調達ちょうたつ予定よてい品目ひんもく中央ちゅうおう調達ちょうたつぶん)(武器ぶき調達ちょうたつかん)-防衛ぼうえい装備そうびちょう防衛ぼうえい装備そうびちょう), 2021ねん4がつ5にち閲覧えつらん
  2. ^ 「サイエンス・プレミアム」極限きょくげんのクルマ技術ぎじゅつ ブルドーザ『BS11デジタル』2010ねん8がつ22にち
  3. ^ Josef-Maria Hoëné de Wronski”. 2009ねん5がつ30にち閲覧えつらん
  4. ^ Lombard Steam Log Hauler
  5. ^ 高松たかまつ梅治うめじくん代表だいひょうてき人物じんぶつ事業じぎょう時事通信社じじつうしんしゃ, 1913
  6. ^ 無限むげん軌道きどう発明はつめい新聞しんぶん集成しゅうせい明治めいじ編年史へんねんし. だいじゅうよんかん林泉りんせんしゃ、1940、p519
  7. ^ デザインと継承けいしょう6 風土ふうど創造そうぞうぬし富山とやまのデザイン情報じょうほう「Offer」39ごう, 2012.3.30, p2
  8. ^ ふるさと探訪たんぼう 富山とやまけん近代きんだい (49)無限むげん軌道きどう 北日本きたにっぽん新聞しんぶん、2016ねん01がつ28にち
  9. ^ British Patent No. 16,345 (1904)