ボレア大だい語族ごぞく

ボレア大だい語族ごぞく仮説かせつによる言語げんごの系統けいとう樹じゅ

ボレア大だい語族ごぞく（ボレアだいごぞく、Borean languages）とは、セルゲイ・スタロスティンによって提唱ていしょうされた大だい語族ごぞくの概念がいねんである。アジア・ヨーロッパ・北方ほっぽうのアフリカの全すべての言語げんごと、アメリカ・インディアン諸語しょごのいくつかあるいは全すべてを含ふくむ。

ボレア語ご族ぞく (「ボレア」は「北方ほっぽう」という意味いみ) は、めいめいの提唱ていしょうされてきた大だい語族ごぞく (複数ふくすうの確立かくりつされた語族ごぞくを包含ほうがんしたもの) を包括ほうかつする。

大だい語族ごぞく		語族ごぞく・言語げんご
ノストラティック大だい語族ごぞく	ユーラシア大だい語族ごぞく	アルタイ諸語しょご, チュクチ・カムチャツカ語族ごぞく, エスキモー・アレウト語族ごぞく, インド・ヨーロッパ語族ごぞく, 南みなみコーカサス語族ごぞく, ニヴフ語ご, ウラル語族ごぞく, ユカギール語ご, 朝鮮ちょうせん語ご, 日にち琉語族ぞく, アイヌ語ご
	アフロ・アジア語族ごぞく, ドラヴィダ語族ごぞく, アメリンド大だい語族ごぞく
デネ・コーカサス大だい語族ごぞく	バスク語ご, ブルシャスキー語ご, ナ・デネ語族ごぞく, 北きたコーカサス語族ごぞく（北東ほくとうコーカサス語族ごぞく, 北西ほくせいコーカサス語族ごぞく）, シナ・チベット語族ごぞく, エニセイ語族ごぞく
オーストリック大だい語族ごぞく	オーストロアジア語族ごぞく, オーストロネシア語族ごぞく, ミャオ・ヤオ語族ごぞく, タイ・カダイ語族ごぞく

合計ごうけいすると世界せかい人口じんこうの90パーセント以上いじょうの人々ひとびとがこれらの語族ごぞくに含ふくまれる言語げんごを話はなしている。

ジョーゼフ・グリーンバーグは、彼かれの提唱ていしょうしたアメリンド大だい語族ごぞくがユーラシア大だい語族ごぞくにもっとも密接みっせつに関係かんけいしていると考かんがえていた。アメリンド大だい語族ごぞくがノストラティック大だい語族ごぞくに分類ぶんるいされれば、全すべてのアメリカ・インディアン諸語しょごがボレア語族ごぞくに分類ぶんるいされることになる。

ボレア語族ごぞく説せつは、他たのアフリカの大おおきな語族ごぞく (ナイル・サハラ語族ごぞく・ニジェール・コンゴ語族ごぞく・コイサン語族ごぞく) やオーストラリア・アボリジニ諸語しょご、インド・太平洋たいへいよう大だい語族ごぞくを含ふくまない。ユーラシア大陸たいりくにおいて話はなされる言語げんごであるクスンダ語ごとニハリ語ごの2言語げんごがインド・太平洋たいへいよう大だい語族ごぞくに含ふくまれるとする説せつがあり、その場合ばあいこの2言語げんごがユーラシアにおいて唯一ゆいいつボレア祖語そごから派生はせいしたものではない言語げんごということになる。

ボレア語ご族ぞくという名称めいしょうはNikita Krugly が2000年ねんにはじめて使用しようしたが、 Georgiy Starostin は、ボレア語ご族ぞくという名称めいしょうによって、アフリカの諸しょ言語げんごの親しん縁えん性せいが遠とおいという早はやまった臆測おくそくを促うながしてはならないと警告けいこくしている。

この仮説かせつの研究けんきゅうは初期しょきの段階だんかいにあり、包括ほうかつされるとする個々ここの語族ごぞくさえ歴史れきし言語げんご学者がくしゃを納得なっとくさせる確証かくしょうがないため、歴史れきし言語げんご学者がくしゃはこの説せつに非常ひじょうに懐疑かいぎ的てきであるか、判断はんだんを控ひかえている。