内分泌ないぶんぴつ学がく

内分泌ないぶんぴつ学がく（ないぶんぴつがく、ないぶんぴがく、英語えいご: endocrinology）は、内分泌ないぶんぴつ及および内分泌ないぶんぴつ器きを研究けんきゅうする生物せいぶつ学がくの一いち分野ぶんやである。

本ほん項こうではとくに、ヒトを対象たいしょうとした、医学いがくの一いち分野ぶんやである内分泌ないぶんぴつ学がくについて述のべる。

概要がいよう

医学いがくにおける内分泌ないぶんぴつ学がくは「内分泌ないぶんぴつ機能きのう」を中心ちゅうしんとした人体じんたいの正常せいじょうおよび病態びょうたいを扱あつかう分野ぶんやとして位置いちづけられている。内分泌ないぶんぴつ学がくは生体せいたい内ない代謝たいしゃと密接みっせつに関連かんれんしていることから、学問がくもん的てきにより広ひろい概念がいねんとして「内分泌ないぶんぴつ・代謝たいしゃ」と一いち括くくりにして扱あつかわれることも多おおく、病院びょういんの診療しんりょう科かもこれに準じゅんじたものとなっていることが多おおい（「内分泌ないぶんぴつ・代謝たいしゃ科か」など）。

内分泌ないぶんぴつ学がくは内科ないか学がく領域りょういきに包含ほうがんされる部分ぶぶんが多おおいが、産婦人科さんふじんか学がくや泌尿器ひにょうき科学かがくの一いち分野ぶんやである生殖せいしょく内分泌ないぶんぴつ学がくも内分泌ないぶんぴつ学がくに含ふくまれる。また、内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんの外科げか的てき・内科ないか的てき治療ちりょうを行おこなう内分泌ないぶんぴつ外科げかも存在そんざいする。下垂かすい体たい腺腫せんしゅの場合ばあい、脳神経のうしんけい外科げかによる治療ちりょうが行おこなわれることもある。

内分泌ないぶんぴつ

分泌ぶんぴつとは、細胞さいぼうが化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつを細胞さいぼう内ないから細胞さいぼう外がいへ放出ほうしゅつすることである。内分泌ないぶんぴつとは、細胞さいぼうが放出ほうしゅつする化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつを血管けっかん内ないへ放出ほうしゅつすること。内分泌ないぶんぴつの「内うち」とは血管けっかんの事こと。肺はいや消化しょうか管かんは体外たいがいと通つうじている事ことに対たいして、血管けっかんは体内たいないで閉とじた系けいなので内うちと言いう。化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつには、ホルモン等ひとしがある。

ホルモンとは

ある内分泌ないぶんぴつ器きから分泌ぶんぴつされ、他たの器官きかんにさまざまなシグナルを送おくる物質ぶっしつである。このあたりの概念がいねんは年々ねんねん変遷へんせんしつつあるが、生物せいぶつの成長せいちょうと生命せいめいの維持いじに不可欠ふかけつな物質ぶっしつであり、ホルモンの量りょうが多おおすぎたり、少すくなすぎたりすることで様々さまざまな病気びょうきを生しょうじさせる。

ホルモンを分泌ぶんぴつする臓器ぞうき

1. 視床ししょう下部かぶ: もっとも上流じょうりゅうに位置いちするホルモン分泌ぶんぴつ臓器ぞうきである。さらに上流じょうりゅうには脳のうが存在そんざいする。視床ししょう下部かぶから分泌ぶんぴつされるホルモンはCRH（副腎ふくじん皮質ひしつ刺激しげきホルモン放出ほうしゅつホルモン）, TRH（甲状腺こうじょうせん刺激しげきホルモン放出ほうしゅつホルモン）, LH-RH（黄体おうたい形成けいせいホルモン放出ほうしゅつホルモン）, GRH（成長せいちょうホルモン放出ほうしゅつホルモン）, PIF（プロラクチン抑制よくせい因子いんし）, ADH（抗こう利尿りにょうホルモン）、ドーパミンなどである。
2. 下垂かすい体たい: 視床ししょう下部かぶの下流かりゅうに位置いちし上記じょうきのホルモンをうけて下垂かすい体たい前ぜん葉はからACTH（副腎ふくじん皮質ひしつ刺激しげきホルモン）, TSH（甲状腺こうじょうせん刺激しげきホルモン）, FSH（卵胞らんぽう刺激しげきホルモン）, LH（黄体おうたい化かホルモン）, GH（成長せいちょうホルモン）, PRL（プロラクチン）や、下垂かすい体たい後葉こうように送おくられてきたADHを血ち中ちゅうに放出ほうしゅつする。
3. 甲状腺こうじょうせん
4. 副ふく甲状腺こうじょうせん
5. 副腎ふくじん

代表だいひょう疾患しっかん

視床ししょう下部かぶ

1. 視床ししょう下部かぶ性せい肥満ひまん
   1. フレーリッヒ症候群しょうこうぐん（フレーリッヒしょうこうぐん、Fröhlich症候群しょうこうぐん）
      • 視床ししょう下部かぶの障害しょうがいによる肥満ひまんと性器せいき発育はついく不全ふぜん。
      • 病態びょうたい

        肥満ひまんは視床ししょう下部かぶにある満腹まんぷく中枢ちゅうすうの障害しょうがいによって起おこり、性器せいき発育はついく不全ふぜんは視床ししょう下部かぶから出でる生殖せいしょく腺せん刺激しげきホルモン放出ほうしゅつホルモンの分泌ぶんぴつ不全ふぜんによって黄体おうたい形成けいせいホルモンや卵胞らんぽう刺激しげきホルモンの分泌ぶんぴつが低下ていかして起おこる。

      • 症状しょうじょう
        • 症候しょうこう性せい肥満ひまん
        • 性器せいき発育はついく不全ふぜん
      • 原因げんいん

        頭蓋とうがい咽頭いんとう腫しゅなど腫瘍しゅようや、炎症えんしょう、外傷がいしょう等とうの器質きしつ性せい疾患しっかんである。

   2. プラダー・ウィリー症候群しょうこうぐん
   3. ローレンス・ムーン・ビードル症候群しょうこうぐん

下垂かすい体たい

1. 下垂かすい体たい性せい巨人きょじん症しょう・先端せんたん巨大きょだい症しょう: 成長せいちょうホルモンが異常いじょうに放出ほうしゅつされる（GH↑）事ことにより起おきる疾患しっかんで下垂かすい体たい巨大きょだい腺腫せんしゅが原因げんいん。全体ぜんたい的てきにでかいのが巨人きょじん症しょう、骨ほね端はし閉鎖へいさ後ごに骨ほねのはしっこのみ成長せいちょうしてしまったのが末端まったん肥大ひだい症しょう（アントニオ猪木いのきの様ように目めの上うえの眉まゆ弓ゆみが張はり出だしあごがしゃくれあがる）。また、ジャイアント馬場ばばも巨人きょじん症しょう患者かんじゃであった。治療ちりょうとしては外科げか的てきに腺腫せんしゅを切除せつじょする（Hardyの手術しゅじゅつなど）。
2. 低てい身長しんちょう症しょう（かつては小人こども症しょうと呼よばれていた）: 成長せいちょうホルモンの分泌ぶんぴつ不良ふりょう（GH↓）により生しょうじる疾患しっかんで低てい身長しんちょうを生しょうじる。成長せいちょう期きに生しょうじる。治療ちりょうとしてはリコンビナントGHを皮下ひか注ちゅうする。
3. 成人せいじんGH分泌ぶんぴつ不全ふぜん症しょう： 小児しょうに期きからのGH分泌ぶんぴつ不全ふぜん症しょうや、成人せいじん期きにおける器質きしつ的てき疾患しっかん・外傷がいしょうによるもの、また成人せいじん期き特発とくはつ性せいのものなどがある。易えき疲労ひろう感かん、抑そもそも鬱うつ気分きぶん、性欲せいよく低下ていか、皮膚ひふ乾燥かんそう・菲薄化か、内臓ないぞう脂肪しぼう増加ぞうか、筋力きんりょく低下ていか、骨ほね量りょう低下ていかなどが見みられる。治療ちりょうはGH補充ほじゅう療法りょうほうである。
4. クッシング病びょう: 副腎ふくじん皮質ひしつ刺激しげきホルモンが異常いじょう分泌ぶんぴつ（ACTH↑）される病気びょうき。中心ちゅうしん性せい肥満ひまん、満月まんげつ様さま顔貌かおかたち（moon face）、野牛やぎゅう肩かた（buffalo hump）、多毛たもう、糖尿とうにょう病びょう、高血圧こうけつあつなど特徴とくちょう的てき臨床りんしょう所見しょけんを呈ていし典型てんけい例れいの診断しんだんは容易ようい。下垂かすい体たい、副腎ふくじん、異こと所しょ性せいの3パターンのクッシング症候群しょうこうぐんのうち最初さいしょに脳外科のうげか医いクッシングに発見はっけんされた下垂かすい体たい病変びょうへんのみを特とくにクッシング"病びょう"と呼よぶ。
5. ACTH単独たんどく欠損けっそん症しょう: 下垂かすい体たい前ぜん葉はより分泌ぶんぴつされるホルモンの中なかで、副腎ふくじん皮質ひしつ刺激しげきホルモンだけが分泌ぶんぴつ不良ふりょう（ACTH↓）となり、二に次じ性せいの副腎ふくじん皮質ひしつ機能きのう低下ていか症しょうをきたす病気びょうき。新生児しんせいじ発症はっしょうのものと成人せいじん発症はっしょうのものがある。成人せいじん発症はっしょうのものには自己じこ免疫めんえき的てき機き序じょによると思おもわれる例れいが多おおい。副ふく腎不全じんふぜん症状しょうじょうや、電解でんかい質しつ代謝たいしゃ異常いじょう、低てい血糖けっとうなどにより発見はっけんされることが多おおい。治療ちりょうはグルココルチコイドの補充ほじゅうである。
6. 乳汁にゅうじゅう分泌ぶんぴつホルモン産さん生せい腫瘍しゅよう（プロラクチン産さん生せい腫瘍しゅよう、プロラクチノーマ、Forbes-Albright症候群しょうこうぐん、フォーブスオールブライト症候群しょうこうぐん）

   乳汁にゅうじゅう分泌ぶんぴつホルモン産さん生せい腫瘍しゅよう（にゅうじゅうぶんぴほるもんさんせいしゅよう）は、乳汁にゅうじゅう分泌ぶんぴつホルモン産さん生せい下垂かすい体たい腺腫せんしゅ。

   • 歴史れきし
     • 発見はっけん

       フォーブスとオールブライトによって報告ほうこくされた。

7. SIADH （抗こう利尿りにょうホルモン不適合ふてきごう分泌ぶんぴつ症候群しょうこうぐん）
8. 中枢ちゅうすう性せい尿にょう崩くずし症しょう
9. 自己じこ免疫めんえき性せい視床ししょう下部かぶ下垂かすい体たい炎えん：リンパ球だま性せい下垂かすい体たい前ぜん葉は炎えんやリンパ球だま性せい漏斗ろうと下垂かすい体たい後葉こうよう炎えん。

甲状腺こうじょうせん

1. 甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしん症しょう
   1. プランマー病びょう（Plummer病びょう、Plummer disease）

      プランマー病びょう（ぷらんまーびょう）は、良性りょうせいの機能きのう性せい甲状腺こうじょうせん腺腫せんしゅ。

      • 検査けんさ
        • 甲状腺こうじょうせんシンチグラフィ

          結節けっせつ部ぶに集積しゅうせき (hot nodule) を認みとめる。

        • 治療ちりょう

          良性りょうせい腫瘍しゅようなので、根治こんじ療法りょうほうとして手術しゅじゅつ療法りょうほうを行おこなう。手術しゅじゅつは、腫瘍しゅようを切除せつじょする。

   2. バセドウ病びょう (Graves'病やまい)
2. 甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていか症しょう
3. 甲状腺こうじょうせん炎えん
   1. 亜あ急性きゅうせい甲状腺こうじょうせん炎えん
   2. 無痛むつう性せい甲状腺こうじょうせん炎えん
   3. 慢性まんせい甲状腺こうじょうせん炎えん（橋本はしもと病びょう）

副ふく甲状腺こうじょうせん

1. 副ふく甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしん症しょう
   1. 原発げんぱつ性せい副ふく甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしん症しょう

      副ふく甲状腺こうじょうせんの腺腫せんしゅ、過か形成けいせい、癌がんなどによりPTHの過剰かじょう分泌ぶんぴつがおこる。

2. 副ふく甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていか症しょう

副腎ふくじん

1. 先天せんてん性せい副腎ふくじん皮質ひしつ過か形成けいせい(congenital adrenal hyperplasia;CAH)

   ステロイドホルモン合成ごうせいに関かんする酵素こうその先天的せんてんてきな欠損けっそんにより、様々さまざまなホルモンの欠乏けつぼう/過剰かじょうを来きたす。医師いし国家こっか試験しけんでは1桁けた目めが1のものは男性だんせい化かを起おこし、10桁けた目めが1のものは高血圧こうけつあつを起おこすと簡略かんりゃくして覚おぼえられることもある。

2. 副腎ふくじん皮質ひしつ機能きのう低下ていか症しょう
3. アルドステロン症しょう

   副腎ふくじん皮質ひしつからのアルドステロン分泌ぶんぴつ過剰かじょう

4. クッシング症候群しょうこうぐん

   副腎ふくじん皮質ひしつからのコルチゾール分泌ぶんぴつ過剰かじょう

5. 褐色かっしょく細胞腫さいぼうしゅ

   副腎ふくじん髄質ずいしつからのカテコラミン分泌ぶんぴつ過剰かじょう

膵臓すいぞう

1. 糖尿とうにょう病びょう
2. グルカゴン産さん生せい腫瘍しゅよう（グルカゴノーマ）

   グルカゴン産さん生せい腫瘍しゅよう（ぐるかごんさんせいしゅよう）は、グルカゴンを産さん生せいする腫瘍しゅよう。

   • 症状しょうじょう

     三さん大だい症状しょうじょうは

     • 高こう血糖けっとう
     • 口内こうない炎えん
     • 壊死えし性せい遊ゆう走はし性せい紅べに斑まだら（えしせいゆうそうせいこうはん、necrolytic migratory erythema）
3. インスリノーマ

   インスリン産さん生せい腫瘍しゅよう。低てい血糖けっとうになる。小ちいさな腫瘍しゅようであることが多おおく、局在きょくざい診断しんだんに注意ちゅうい。

4. ガストリノーマ

   ガストリン産さん生せい腫瘍しゅよう。典型てんけい的てきにはZollinger-Ellison症候群しょうこうぐんを呈ていする。MEN-1に注意ちゅういすること。

代謝たいしゃ異常いじょう症しょう

金属きんぞく代謝たいしゃ異常いじょう症しょう

生体せいたいは多おおくの金属きんぞくを利用りようしており、各かく金属きんぞくに特異とくい的てきな蛋白たんぱくを持もっている。金属きんぞく特異とくい的てき蛋白たんぱくが異常いじょうを来きたす等ひとしすると各かく金属きんぞくの代謝たいしゃ異常いじょうが起おこる。

• 金属きんぞく : 病気びょうき
• 鉄てつ : ヘモクロマトーシス
• 銅どう : 肝かんレンズ核かく変性へんせい症しょう

ポルフィリン症しょう

• 急性きゅうせい間欠かんけつ性せいポルフィリン症しょう

  急性きゅうせい間欠かんけつ性せいポルフィリン症しょう（きゅうせいかんけつせいぽるふぃりんしょう、en:acute intermittent porphyria、AIP）は、ポルフィリン症しょうの一種いっしゅ。

  • 原因げんいん

    肝臓かんぞうでポルフォビリノーゲン（以下いかPBG）からウロポルフィリノーゲン（以下いかUROgen）を合成ごうせいする酵素こうそ:ポルフォビリノーゲンデアミナーゼの先天せんてん異常いじょう。常つね染色せんしょく体たい優性ゆうせい遺伝いでん。肝きも性せいポルフィリン症しょう。

  • 症状しょうじょう
    • 急性きゅうせい発作ほっさ時じ

      赤あかワイン色しょくの尿にょうが出でる。赤あかワイン色しょくの尿にょうをブドウ酒ぶどうしゅ色しょく尿にょうと言いう。

  • 統計とうけい
    • 年齢ねんれい

      20歳さい～40歳さい代だいに多おおい。

    • 性差せいさ

      女性じょせいに多おおい

    • 発症はっしょう頻度ひんど

      ポルフィリン症しょうの中なかでは晩ばん発はつ性せい皮膚ひふポルフィリン症しょうに次ついで2番目ばんめに多おおい。

      急性きゅうせいポルフィリン症しょうの中なかでは一番いちばん多おおい。

  • 検査けんさ
    • 尿にょう特殊とくしゅ検査けんさ
      • ワトソンシュヴァルツ反応はんのう（わとそんしゅう゛ぁるつはんのう、Watson-Schwartz反応はんのう）

        非ひ発作ほっさ時じの尿にょう（ブドウ酒ぶどうしゅ色しょくではない）を呈てい色しょくして、尿にょう中ちゅうPBGを検出けんしゅつする検査けんさ。

        特異とくい度どは高たかくない。

尿にょう酸さん代謝たいしゃ異常いじょう症しょう

• 痛風つうふう
• HGPRT完全かんぜん欠損けっそん症しょう（レッシュ・ナイハン症候群しょうこうぐん）(ICD-10:E79.1)

  HGPRT完全かんぜん欠損けっそん症しょう（えいちじーぴーあーるてぃーかんぜんけっそんしょう）は、プリン体からだ代謝たいしゃ酵素こうそヒポキサンチン-グアニン-フォスフォリボシルトランスフェラーゼ（以下いかHGPRT）の完全かんぜん欠損けっそん症しょう。

  • 病態びょうたい

    プリン体たいをサルベージする酵素こうそHGPRTの欠損けっそんでプリン体たいがサルベージされずにどんどん尿にょう酸さんに代かわるため、産さん生せい過剰かじょう型がた高こう尿にょう酸さん血ち症しょうを来きたす。

  • 原因げんいん

    プリン体たい代謝たいしゃ酵素こうその一種いっしゅであるHGPRTが完全かんぜん欠損けっそんする遺伝子いでんし疾患しっかん。

• APRT欠損けっそん症しょう
• URAT1欠損けっそん症しょう（腎じん性せい低てい尿にょう酸さん血ち症しょう）は腎臓じんぞう型がた尿にょう酸さんトランスポーター欠損けっそんに伴ともない、尿にょう酸さん再さい吸収きゅうしゅうが行おこなわれず、尿にょう中ちゅうへの尿にょう酸さん排泄はいせつが増加ぞうかする。その結果けっか低てい尿にょう酸さん血ち症しょうを来きたし、尿にょう路ろ結石けっせきを合併がっぺいしやすくなる。運動うんどう後ご急性きゅうせい腎不全じんふぜんも合併がっぺいしやすい。治療ちりょうは尿にょう路ろ結石けっせきの予防よぼうとして飲水のみみずを増ふやす。運動うんどう後ご急性きゅうせい腎不全じんふぜんの予防よぼうとしてビタミンCやビタミンEを投与とうよしたり、運動うんどう前まえにアロプリノールを投与とうよすることもある。

電解でんかい質しつ代謝たいしゃ異常いじょう症しょう

• 高こうクロール血ち症しょう

  高こうクロール血ち症しょう（こうくろーるけっしょう）は、血清けっせい中なかのクロール濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

• 低ていクロール血ち症しょう

  低ていクロール血ち症しょう（こうくろーるけっしょう）は、血清けっせい中なかのクロール濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

• 高こう燐酸りんさん血ち症しょう（高こうリン酸さん血ち症しょう、高こうPi血ち症しょう、高こうリン血ち症しょう、高こうP血ち症しょう）

  高こう燐酸りんさん血ち症しょう（こうりんさんけっしょう）は、血清けっせい中なかの燐酸りんさん濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 末端まったん肥大ひだい症しょう
    • 腎不全じんふぜん

      腎臓じんぞうからの排泄はいせつ低下ていかによる。

• 低てい燐酸りんさん血ち症しょう

  低てい燐りん血ち症しょう（ていりんけっしょう）は、血清けっせい中なかの燐りん濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

• 高こうカリウム血ち症しょう（高こうK血ち症しょう）(ICD-10:E87.5)

  高こうカリウム血ち症しょう（こうかりうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのカリウム濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

  • 原因げんいん

    高こうカリウム血ち症しょうは、細胞さいぼう内ないカリウムとの平衡へいこうが血液けつえき側がわへ傾かたむいたり、腎臓じんぞうからのカリウム排泄はいせつが低下ていかする事ことによって起おこる。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 多た腺せん性せい自己じこ免疫めんえき症候群しょうこうぐんII型がた

      副腎ふくじん皮質ひしつ機能きのう低下ていか症しょうより、鉱こう質しつコルチコイドの内分泌ないぶんぴつが低下ていかして、高こうカリウム血ち症しょうになる。

• 低ていカリウム血ち症しょう（低ていK血ち症しょう）(ICD-10:E87.6)

  低ていカリウム血ち症しょう（ていかりうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのカリウム濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

  • 原因げんいん

    カリウムの摂取せっしゅ不足ふそくや、細胞さいぼう内ないカリウムとの平衡へいこうが細胞さいぼう側がわへ傾かたむいたり、腎臓じんぞうや腸管ちょうかんからのカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする事ことによって起おこる。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 原発げんぱつ性せいアルドステロン症しょう

      鉱こう質しつコルチコイドの異常いじょうな分泌ぶんぴつによって、血清けっせいナトリウム濃度のうどが上昇じょうしょうする代かわりに腎臓じんぞうからのカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする。

    • 腎じん血管けっかん性せい高だか血圧けつあつ

      腎臓じんぞうの血管けっかんに障害しょうがいが起おこって腎じん血ち流りゅうが低下ていかし、これを体からだ全体ぜんたいの血圧けつあつの低下ていかと勘違かんちがいした腎臓じんぞうが血圧けつあつを上あげるホルモン : レニンを分泌ぶんぴつして、鉱こう質しつコルチコイドが駆動くどうされて、血清けっせいナトリウム濃度のうどが上昇じょうしょうする代かわりに腎臓じんぞうからのカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする。

    • クッシング症候群しょうこうぐん

      糖とう質しつコルチコイドの鉱こう質しつコルチコイド作用さようによって、血清けっせいナトリウム濃度のうどが上昇じょうしょうする代かわりに腎臓じんぞうからのカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする。

    • バーター症候群しょうこうぐん

      腎臓じんぞうでのNa⁺-K⁺-2Cl^-共きょう輸送ゆそう体たいの機能きのう不全ふぜんによってカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする。

    • ギテルマン症候群しょうこうぐん

      腎臓じんぞうの遠とお位くらい尿にょう細管さいかんにおけるサイアザイド感受性かんじゅせいNaCl共ども輸送ゆそう体たいの遺伝子いでんし異常いじょうによる。

    • リドル症候群しょうこうぐん

      腎臓じんぞうでのアミロライド感受性かんじゅせいナトリウムチャンネルの抑制よくせい不全ふぜんによってカリウム排泄はいせつが亢進こうしんする。

    • 抗こう利尿りにょうホルモン不適合ふてきごう分泌ぶんぴつ症候群しょうこうぐん

      抗こう利尿りにょうホルモンの異常いじょうな分泌ぶんぴつによってカリウムに比くらべて相対そうたい的てきに水みずの排泄はいせつが弱よわまり、血清けっせいカリウム濃度のうどが低下ていかする。

    • 低ていカリウム四肢しし麻痺まひ

      俗名ぞくみょう：テタニン。急激きゅうげきに血液けつえき中ちゅうにカリウムが排出はいしゅつされたことにより体からだ細胞さいぼう内ないのバランスが崩くずれ、手てまたは足あしに強つよい痛いたみを起おこす（発作ほっさ）。大抵たいてい、カリウムの補充ほじゅうが出来できないと、歩行ほこう不能ふのうなどの症状しょうじょうが起おこり単独たんどく行動こうどうは激痛げきつうに感かんじる感覚かんかくにより困難こんなんとなる。

    • 下痢げり

      便びん中ちゅうにカリウムが排泄はいせつされるため、便びんの量りょうが増加ぞうかするために血清けっせいカリウムが減少げんしょうする。

• 高こうカルシウム血ち症しょう

  高こうカルシウム血ち症しょう（こうかるしうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのカルシウム濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 副ふく甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしん症しょう

      副ふく甲状腺こうじょうせんホルモンの異常いじょうな分泌ぶんぴつによって血清けっせいカルシウム濃度のうどがあがる。

    • サルコイド肉芽にくが腫しゅ症しょう

      サルコイド肉芽にくが腫しゅからビタミンDが分泌ぶんぴつされ、血清けっせいカルシウム濃度のうどがあがる。

    • 多発たはつ性せい骨髄腫こつづいしゅ

      腫瘍しゅよう細胞さいぼうによって骨ほねが溶とかされる。骨ほねが溶とける事ことを骨ほね融解ゆうかいと言いう。骨ほね融解ゆうかいによって骨ほねの成分せいぶんであったカルシウムが血ち中ちゅうに入はいる。

• 低ていカルシウム血ち症しょう

  低ていカルシウム血ち症しょう（ていかるしうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのカルシウム濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 急性きゅうせい膵炎

      膵臓すいぞうから漏もれ出だした膵液が周囲しゅういの脂肪しぼう組織そしきを溶とかす。脂肪しぼうから分解ぶんかいしてできるトリグリセリドが血ち中ちゅうのカルシウムイオンと結合けつごうしてしまう結果けっか、活性かっせい型がたカルシウム濃度のうどが低下ていかする。

    • 慢性まんせい腎不全じんふぜん

      ビタミンDの代謝たいしゃ障害しょうがいによって血清けっせいカルシウム濃度のうどが低下ていかする。

• 高こうマグネシウム血ち症しょう

  高こうマグネシウム血ち症しょう（こうまぐねしうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのマグネシウム濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

• 低ていマグネシウム血ち症しょう

  低ていマグネシウム血ち症しょう（ていまぐねしうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのマグネシウム濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

• 高こうナトリウム血ち症しょう（高こうNa血ち症しょう）(ICD-10:E87.0)

  高こうナトリウム血ち症しょう（こうなとりうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのナトリウム濃度のうどが高たかい状態じょうたい。

  • 概要がいよう

    血清けっせいナトリウム濃度のうどはナトリウムの摂取せっしゅ-排泄はいせつと、水分すいぶんのバランスによって調節ちょうせつされている。

  • 原因げんいん

    ナトリウムの摂とり過すぎか、体液たいえきに対たいするナトリウムの相対そうたい的てきな排泄はいせつの低下ていかか、ナトリウムに対たいする体液たいえきの相対そうたい的てきな低下ていかによって起おこる。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 尿にょう崩くずし症しょう : 低てい張ちょう尿にょうの過剰かじょうな排泄はいせつによってナトリウムに対たいする体液たいえきのバランスが相対そうたい的てきに低下ていかして起おこる。
    • クッシング症候群しょうこうぐん

      糖とう質しつコルチコイドのナトリウム保持ほじ作用さようによってナトリウムの排泄はいせつ低下ていかによって起おこる。

    • 原発げんぱつ性せいアルドステロン症しょう

      鉱こう質しつコルチコイドのナトリウム保持ほじ作用さようによってナトリウムの排泄はいせつ低下ていかによって起おこる。

    • バーター症候群しょうこうぐん

      ナトリウムチャンネルの異状いじょうによってナトリウムの排泄はいせつ低下ていかによって起おこる。

• 低ていナトリウム血ち症しょう（低ていNa血ち症しょう）(ICD-10:E87.1)

  低ていナトリウム血ち症しょう（ていなとりうむけっしょう）は、血清けっせい中なかのナトリウム濃度のうどが低ひくい状態じょうたい。

  • 概要がいよう

    血清けっせいナトリウム濃度のうどはナトリウムの摂取せっしゅ-排泄はいせつと水分すいぶんのバランスによって調節ちょうせつされている。

  • 原因げんいん

    ナトリウムの摂取せっしゅ不足ふそくか、体液たいえきに対たいするナトリウムの相対そうたい的てきな排泄はいせつ過剰かじょうか、ナトリウムに対たいする体液たいえきの相対そうたい的てきな増加ぞうかによって起おこる。

  • 代表だいひょう疾患しっかん
    • 抗こう利尿りにょうホルモン不適合ふてきごう分泌ぶんぴつ症候群しょうこうぐん (SIADH)

      抗こう利尿りにょうホルモンの過剰かじょうな分泌ぶんぴつによって、ナトリウムに対たいする体液たいえきの相対そうたい的てきな増加ぞうかで起おこる。

    • 汎ひろし下垂かすい体たい機能きのう低下ていか症しょう

      続発ぞくはつ性せい副腎ふくじん皮質ひしつ機能きのう不全ふぜんによって、鉱こう質しつコルチコイドのナトリウム保持ほじ作用さようが低下ていかして起おこる。

    • 甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていか症しょう

      ナトリウムに対たいする細胞さいぼう外がい液えきの相対そうたい的てきな増加ぞうかによって起おこる。

    • 慢性まんせい原発げんぱつ性せい副腎ふくじん皮質ひしつ機能きのう低下ていか症しょう

      鉱こう質しつコルチコイドのナトリウム保持ほじ作用さようが低下ていかして起おこる。

    • MRHE (mineralocorticoid-responsive hyponatremia of elderly)

      加か齢よわいによる腎じんNa保持ほじ能のうの低下ていかが契機けいきになると考かんがえられている。SIADHの診断しんだん基準きじゅんに酷似こくじするが、軽度けいどの脱水だっすいが見みられる点てんがSIADHと異ことなる。治療ちりょうは鉱こう質しつコルチコイドの補充ほじゅうである。

検査けんさ

下垂かすい体たい

• 下垂かすい体たい前ぜん葉は機能きのう検査けんさ
  • 四よん者しゃ負荷ふか試験しけん

    下垂かすい体たい前ぜん葉は機能きのうのスクリーニング検査けんさ。GRH, CRH, LHRH, TRHを同時どうじに静しずか注ちゅうし、GH, ACTH, F, LH, FSH, TSH, PRLの経時きょうじ的てき変化へんかをみる。

• 抗こう利尿りにょうホルモン分泌ぶんぴつ能のう
  • 水みず制限せいげん試験しけん

    水みず制限せいげん試験しけん（みずせいげんしけん）は、水分すいぶん補給ほきゅうを暫しばらく断たつ試験しけん。

    • 目的もくてき

      抗こう利尿りにょうホルモンの分泌ぶんぴつを抑制よくせいする事こと。

  • 高張たかはり食しょく塩水えんすい負荷ふか試験しけん

    高張たかはり食しょく塩水えんすい負荷ふか試験しけん（こうちょうしょくえんすいふかしけん）は、高たかい濃度のうどの食しょく塩水えんすいを補給ほきゅうする試験しけん。

    • 目的もくてき
      1. 抗こう利尿りにょうホルモンの分泌ぶんぴつ能のうを調しらべる事こと
      2. 鉱こう質しつコルチコイドの分泌ぶんぴつ能のうを調しらべる事こと
    • 原理げんり
      1. 目的もくてき1

         ナトリウムの負荷ふかによる体液たいえきの浸透しんとう圧あつの上昇じょうしょうを視床ししょう下部かぶにある浸透しんとう圧あつ受容じゅよう体たいが感知かんちし、抗こう利尿りにょうホルモンの分泌ぶんぴつを刺激しげきする事ことで体液たいえきを薄うすめて浸透しんとう圧あつを下さげようとするホメオスタシスを利用りようする。

      2. 目的もくてき2

         ナトリウムの負荷ふかによって血圧けつあつが上昇じょうしょうしていると勘違かんちがいした傍はた糸いと球体きゅうたい装置そうちがレニン分泌ぶんぴつを抑制よくせいする結果けっか、RAA系けいが抑制よくせいされるホメオスタシスを利用りようする。

    • 方法ほうほう

      早朝そうちょうの安静あんせい時じに床ゆかに寝ねた状態じょうたいで2時じ間あいだ掛かけて約やく2lの生理せいり食しょく塩水えんすいを点滴てんてき静しずか注ちゅうする。

    • 判定はんてい
      1. 目的もくてき1

尿にょう浸透しんとう圧あつ	判定はんてい
低下ていかしていない	心しん因いん性せい多た飲いん症しょうや糖尿とうにょう病びょうや腎不全じんふぜんなど
低下ていかしている	腎じん性せい尿にょう崩くずし症しょうか中枢ちゅうすう性せい尿にょう崩くずし症しょう

• • • 1. 目的もくてき2

血ち中ちゅう鉱こう質しつコルチコイド	判定はんてい
1/2以上いじょう	原発げんぱつ性せいアルドステロン症しょう
～1/2以下いか	本態ほんたい性せい高だか血圧けつあつ

耐たい糖とう能のう

• OGTT - HOMA-R -HOMA-βべーた
• グルカゴン負荷ふか試験しけん : グルカゴンを投与とうよして血糖けっとうと血ち中ちゅうCPR値ちを計はかる検査けんさ。
  • 目的もくてき

    インスリン分泌ぶんぴつ能のうを調しらべること。

  • 原理げんり

    グルカゴンは血糖けっとうを上あげるホルモンなのでグルカゴンによって血糖けっとうが上昇じょうしょうすると、正常せいじょうであれば血糖けっとうを下さげるインスリンが血ち中ちゅうに分泌ぶんぴつされる。またグルカゴンそのものもインスリン分泌ぶんぴつ作用さようを持もっている。

  • 方法ほうほう

    早朝そうちょう空腹くうふく時じにグルカゴン1mgを静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃして、6分ふん後ごに採血さいけつをして、得えられた血液けつえきの血糖けっとう値ちと血ち中ちゅうCPR値ちを測定そくていする。

  • 判定はんてい

血ち中ちゅうCPR値ち	インスリン分泌ぶんぴつ能のう	判定はんてい
異常いじょう高値たかね	自律じりつ的てき分泌ぶんぴつ	インスリン産さん生せい腫瘍しゅよう等ひとし
1.0ng/mL以上いじょう	余力よりょくあり	正常せいじょう又または軽度けいど耐たい糖とう能のう異常いじょう
1.0ng/mL未満みまん	余力よりょくなし	インスリン療法りょうほうが必要ひつよう

関連かんれん項目こうもく

• 内分泌ないぶんぴつ器き