藤田ふじた尚徳なおのり

藤田ふじた（ふじた） 尚徳なおのり（ひさのり）
生誕せいたん	1880年ねん10月30日にち 日本にっぽん・東京とうきょう府ふ
死没しぼつ	(1970-07-23) 1970年ねん7月がつ23日にち（89歳さい没ぼつ） 日本にっぽん・愛知あいち県けん
所属しょぞく組織そしき	大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん
軍ぐん歴れき	1903年ねん - 1939年ねん
最終さいしゅう階級かいきゅう	海軍かいぐん大将たいしょう
除隊じょたい後ご	侍従じじゅう長ちょう 明治めいじ神宮じんぐう宮司ぐうじ

藤田ふじた 尚徳なおのり（ふじた ひさのり、1880年ねん〈明治めいじ13年ねん〉10月30日にち - 1970年ねん〈昭和しょうわ45年ねん〉7月がつ23日にち）は、日本にっぽんの海軍かいぐん軍人ぐんじん、神職しんしょく、侍従じじゅう長ちょう。軍人ぐんじんとしての最終さいしゅう階級かいきゅうは海軍かいぐん大将たいしょう。

人物じんぶつ

父ちちは旧きゅう津軽つがる藩はん士し・藤田ふじた潜せん。幼少ようしょう期きは兄あに・貞さだ固かたと共ともに、父ちちが学校がっこう長ちょうを務つとめることになる攻おさむ玉だま社しゃ幼よう翆科（現在げんざいの小学校しょうがっこう課程かてい）で学まなび、旧制きゅうせい東京とうきょう府立ふりつ一いち中なかを経へて、海軍兵学校かいぐんへいがっこうへ進すすむ。後年こうねん内閣ないかく総理そうり大臣だいじんを務つとめた米内よない光政みつまさは、海軍兵学校かいぐんへいがっこうの同期生どうきせい（29期き）である。席次せきじは115名めい中ちゅう15番ばん。

藤田ふじたは砲術ほうじゅつ学校がっこう高等こうとう科かを修了しゅうりょうした砲術ほうじゅつ専攻せんこうの士官しかんであった。海軍かいぐん省しょう軍務ぐんむ局きょく、人事じんじ局きょく勤務きんむを経へて、戦艦せんかん･霧島きりしま艦長かんちょう。1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）12月には人事じんじ局長きょくちょう就任しゅうにん。以後いご、艦かん政せい本部ほんぶ長ちょう、海軍かいぐん次官じかん、呉ご鎮守ちんじゅ府ふ司令しれい長官ちょうかん、軍事ぐんじ参議さんぎ官かんなど要職ようしょくを歴任れきにん。

1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）、海軍兵学校かいぐんへいがっこう同期どうきの高橋たかはし三吉さんきちと語かたらい、米べい内ないを現役げんえきの海軍かいぐん大将たいしょうで残のこすため、自みずから予備よび役やくを願ねがい出でて編入へんにゅうの後のち、明治めいじ神宮じんぐう宮司ぐうじを経へて、1944年ねん（昭和しょうわ19年ねん）9月がつから1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）5月がつまで昭和しょうわ天皇てんのうの侍従じじゅう長ちょうを務つとめた。終戦しゅうせん後ごの1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）9月27日にち、昭和しょうわ天皇てんのうに付つき従したがい、虎ノ門とらのもんの米国べいこく大使館たいしかんでのマッカーサーとの会見かいけんに同行どうこう。会見かいけん後ごの予定よていになかったマッカーサーの御ご見送みおくりや、帰かえりの車中しゃちゅうで天皇てんのうのご機嫌きげんが良よかったことから、その後ごの皇室こうしつの安寧あんねいを確信かくしんした。

侍従じじゅう長ちょう退任たいにん後ごは愛知あいち県けん安城あき市しに隠遁いんとんし、また天皇てんのうより鳩杖はとづえを賜たまわる。

略歴りゃくれき

• 1880年ねん - （明治めいじ13年ねん）10月がつ30日にち 東京とうきょうで生うまれる。
• 1898年ねん - （明治めいじ31年ねん）東京とうきょう府立ふりつ第だい一いち中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょう。
• 1901年ねん - （明治めいじ34年ねん）12月14日にち 海軍兵学校かいぐんへいがっこう卒業そつぎょう（29期き）。少尉しょうい候補こうほ生せい。
• 1903年ねん - （明治めいじ36年ねん）1月がつ23日にち 任にん少尉しょうい。
• 1904年ねん - （明治めいじ37年ねん）7月がつ13日にち 任にん中尉ちゅうい。
• 1905年ねん - （明治めいじ38年ねん）8月がつ5日にち 任にん大尉たいい。12月12日にち 砲術ほうじゅつ練習れんしゅう所しょ学生がくせい。
• 1908年ねん - （明治めいじ41年ねん）4月がつ20日はつか 海軍かいぐん大だい学校がっこう乙種おつしゅ学生がくせい 12月がつ3日にち 砲術ほうじゅつ学校がっこう高等こうとう科学かがく生せい。
• 1909年ねん - （明治めいじ42年ねん）5月がつ25日にち 第だい二に艦隊かんたい参謀さんぼう。
• 1910年ねん - （明治めいじ43年ねん）12月1日にち 海軍かいぐん大だい学校がっこう甲種こうしゅ学生がくせい。
• 1911年ねん - （明治めいじ44年ねん）12月1日にち 任にん少佐しょうさ。
• 1912年ねん - （明治めいじ45年ねん／大正たいしょう元年がんねん） 5月がつ22日にち 海軍かいぐん大だい学校がっこう。12月1日にち 横須賀よこすか予備よび艦隊かんたい副官ふっかん。
• 1913年ねん - （大正たいしょう2年ねん）4月がつ22日にち 軍務ぐんむ局きょく局員きょくいん。
• 1915年ねん - （大正たいしょう4年ねん）2月がつ1日にち イギリス駐在ちゅうざい。
• 1916年ねん - （大正たいしょう5年ねん）8月がつ1日にち 在ざいイギリス大使館たいしかん附ふ武官ぶかん補佐ほさ官かん。12月1日にち 任にん中佐ちゅうさ。
• 1918年ねん - （大正たいしょう7年ねん）1月がつ6日にち 第だい五ご戦隊せんたい参謀さんぼう。12月1日にち 海軍かいぐん省しょう人事じんじ局きょく局員きょくいん（一いち課か）。
• 1920年ねん - （大正たいしょう9年ねん）12月1日にち 任にん大佐たいさ。防護ぼうご巡洋艦じゅんようかん「須磨すま」艦長かんちょう。
• 1921年ねん - （大正たいしょう10年ねん）8月がつ17日にち 海軍かいぐん省しょう軍務ぐんむ局きょく第だい二に課長かちょう。
• 1922年ねん - （大正たいしょう11年ねん）6月がつ1日にち 海軍かいぐん省しょう副官ふっかん。
• 1924年ねん - （大正たいしょう13年ねん）12月1日にち 戦艦せんかん「霧島きりしま」艦長かんちょう。
• 1925年ねん - （大正たいしょう14年ねん）10月がつ20日はつか 艦かん政せい本部ほんぶ総務そうむ部長ぶちょう。 12月1日にち 任にん少将しょうしょう。
• 1926年ねん - （大正たいしょう15年ねん）12月1日にち 海軍かいぐん省しょう人事じんじ局長きょくちょう。
• 1928年ねん - （昭和しょうわ3年ねん）12月がつ10日とおか 第だい三さん戦隊せんたい司令しれい官かん。
• 1929年ねん - （昭和しょうわ4年ねん）11月30日にち 任にん中将ちゅうじょう。横須賀よこすか工廠こうしょう長ちょう。
• 1930年ねん - （昭和しょうわ5年ねん）6月がつ10日にち 艦かん政せい本部ほんぶ長ちょう。
• 1932年ねん - （昭和しょうわ7年ねん）6月がつ1日にち 海軍かいぐん次官じかん。
• 1934年ねん - （昭和しょうわ9年ねん）5月がつ10日とおか 呉ご鎮守ちんじゅ府ふ司令しれい長官ちょうかん。
• 1936年ねん - （昭和しょうわ11年ねん）4月がつ1日にち 任にん大将たいしょう。 12月1日にち - 軍事ぐんじ参議さんぎ官かん。
• 1939年ねん - （昭和しょうわ14年ねん）4月がつ5日にち 予備よび役やく編入へんにゅう。
• 1943年ねん - （昭和しょうわ18年ねん）8月がつ27日にち 明治めいじ神宮じんぐう宮司ぐうじ。
• 1944年ねん - （昭和しょうわ19年ねん）8月がつ29日にち 侍従じじゅう長ちょう拝命はいめい。
• 1946年ねん - （昭和しょうわ21年ねん）5月3日にち 侍従じじゅう長ちょう辞任じにん。
• 1970年ねん - （昭和しょうわ45年ねん）7月がつ23日にち 愛知あいち県けん安城あき市しで死去しきょ。

栄典えいてん

位階いかい

• 1903年ねん（明治めいじ36年ねん）04月がつ10日とおか - 正せい八はち位い
• 1904年ねん（明治めいじ37年ねん）08月がつ30日にち - 従したがえ七なな位い
• 1920年ねん（大正たいしょう09年ねん）12月がつ10日とおか - 従したがえ五ご位い
• 1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）01月がつ15日にち - 正せい五ご位い
• 1934年ねん（昭和しょうわ09年ねん）06月がつ01日にち - 正せい四よん位い
• 1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）04月がつ24日にち - 正せい三さん位い

勲章くんしょう

• 1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）11月7日にち - 旭日きょくじつ小しょう綬章じゅしょう・大正たいしょう三さん四よん年ねん従軍じゅうぐん記章きしょう
• 1918年ねん（大正たいしょう07年ねん）05月15日にち - 勲くん三さん等とう瑞宝章ずいほうしょう
• 1920年ねん（大正たいしょう09年ねん）11月01日にち - 旭日きょくじつ中ちゅう綬章じゅしょう
• 1928年ねん（昭和しょうわ03年ねん）07月がつ30日にち - 勲くん二に等とう瑞宝章ずいほうしょう

著作ちょさく

• 『侍従じじゅう長ちょうの回想かいそう』講談社こうだんしゃ、1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）
  • 中公ちゅうこう文庫ぶんこ、1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）5月がつ、解説かいせつ高橋たかはし紘ひろし
  • 講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）3月がつ、解説かいせつ保阪ほさか正ただし康やすし。ISBN 4062922843

評伝ひょうでん

• 外崎そとざき克久かつひさ『終戦しゅうせんの侍従じじゅう長ちょう　海軍かいぐん大将たいしょう藤田ふじた尚徳なおのり』 清水しみず弘文こうぶん堂どう、1988年ねん（昭和しょうわ63年ねん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 海軍かいぐん歴史れきし保存ほぞん会かい編へん『日本にっぽん海軍かいぐん史し 第だい9巻かん』第一法規出版だいいちほうきしゅっぱん
• 秦はた郁いく彦編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん総合そうごう事典じてん』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい
• 『海軍兵学校かいぐんへいがっこう沿革えんかく』原はら書房しょぼう「明治めいじ百ひゃく年ねん史し叢書そうしょ 第だい74巻かん」
• 半藤はんどう一利かずとし、横山よこやま恵一けいいち、秦はた郁いく彦、戸高とだか一成いっせい『歴代れきだい海軍かいぐん大将たいしょう全ぜん覧らん』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょラクレ177〉、2005年ねん。ISBN 978-4121501776。