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たまご

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様々さまざまたまご
鶏卵けいらん断面だんめん
1. 卵殻らんかく
2. そと卵殻らんかくまく
3. うち卵殻らんかくまく
4. カラザ
5. そとすいさま卵白らんぱく
6. 濃厚のうこう卵白らんぱく
7. 卵黄らんおうまく
8. パンデルかく
9. はいばんかく
10. しょく卵黄らんおう黄色おうしょく卵黄らんおう
11. 淡色たんしょく卵黄らんおう黄白こうはくしょく卵黄らんおう
12. 内水うすいさま卵白らんぱく
13. カラザ
14. しつ
15. クチクラそう
さかなたまご構造こうぞう。A.卵黄らんおうまく英語えいごばん、B.たまごまく、C.卵黄らんおう、D.あぶらだま、E.かこえたまご英語えいごばん、F.はい

たまご(たまご、らん、えい: Egg/Spawn)とは、動物どうぶつたまご細胞さいぼう受精じゅせい、または受精じゅせいはい発生はっせい進行しんこうした状態じょうたい体外たいがいそと環境かんきょう)へされるめすせい生殖せいしょく細胞さいぼう付属ふぞくぶつ総称そうしょうである。玉子たまご(たまご)ともかれる場合ばあいもある。

外部がいぶ放出ほうしゅつ産卵さんらん)されるたまごは、そのおおくが周辺しゅうへん環境かんきょう内部ないぶへだてる構造こうぞうち、恒常こうじょうせいたも機能きのうつ。一般いっぱんてきからだ細胞さいぼうよりサイズがおおきいという特徴とくちょうがあり、たとえば直径ちょっけいやく100µmウニたまごや、長径ちょうけいやく11cmのダチョウ卵黄らんおうなど様々さまざまなサイズのたまご存在そんざいし、ダチョウのたまご卵黄らんおう周辺しゅうへん最大さいだいにランクされる細胞さいぼうである[ちゅう 1]たまごわり迅速じんそくすすめることをささえる栄養素えいようそとして、卵黄らんおうタンパク質たんぱくしつ脂肪しぼうミネラルビタミンたくわえられているものがおおく、生物せいぶつにとってすぐれた栄養えいようをもたらすことがおおい。

外壁がいへき

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孵化ふかどき外壁がいへきやぶ様子ようす

おおくの海産かいさん脊椎動物せきついどうぶつたまごは、たまご細胞さいぼうかたち放出ほうしゅつされ、受精じゅせいまくのみにつつまれて発生はっせいすすむ。

爬虫類はちゅうるい昆虫こんちゅうなど、陸上りくじょう産卵さんらんされるたまご表面ひょうめんまくつことで水分すいぶん蒸発じょうはつふせぐ。これにより乾燥かんそうした陸上りくじょうでの生活せいかつ可能かのうにしている。また、は虫類ちゅうるいはいまく形成けいせいし、これが陸上りくじょうでのはい発生はっせいささえる。

鳥類ちょうるい一部いちぶカタツムリたまご表面ひょうめん炭酸たんさんカルシウムから卵殻らんかく)をもち、内部ないぶ保護ほごしている。

おおくの哺乳類ほにゅうるいは、受精卵じゅせいらん母親ははおや胎内たいないまり、そこで成長せいちょうする胎生たいせいであるが、カモノハシカモノハシハリモグラは、弾力だんりょくのあるからをもったたまごむ「卵生らんせい」の哺乳類ほにゅうるいである。

形態けいたい

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カエルとそのたまご

単独たんどくまれるたまごもあるが、多数たすうをまとめて産卵さんらんする場合ばあいもある。多数たすうたまご密着みっちゃくしたかたまりとする場合ばあい、これを“たまごかたまり”(らんかい)とぶ。さらにそれをなんらかの構造こうぞうぶつおおってしまう場合ばあいもある。クモいとたまごかたまりつつんで“卵嚢らんのう”(らんのう)とするし、ゴキブリカマキリ分泌ぶんぴつぶつたまごかたまりおおう“たまごさや”(らんしょう)をつくる。カエルなかにはじょうに“あわ”(ほうすう)とあわたまごおおってたねもある。

耐久たいきゅうせい

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たまごとき植物しょくぶつ種子しゅし比較ひかくされるが、種子しゅし最初さいしょから耐久たいきゅうてき構造こうぞうつのにたいして、たまごはその発生はっせいはじめるものである。したがって外力がいりょくたいして頑丈がんじょうではないものがおおいが、なかには環境かんきょう変化へんかたいして非常ひじょうおおきな耐久たいきゅうせいれいもある。昆虫こんちゅうたまごには越冬えっとうたまごおこなうものがある。ミジンコアルテミアカブトエビなどは耐久たいきゅうたまごという特殊とくしゅたまごち、これは乾燥かんそうとう孵化ふかそと環境かんきょうてきさない場合ばあい休眠きゅうみん状態じょうたい維持いじする。そのため、これらの動物どうぶつ生息せいそくする水域すいいき干上ひあがっても、どろなかび、ふたたみずあたえられると孵化ふかする。カダヤシノソブランキウスなどのたまごには、ミジンコなどにはおよばないものの同様どうよう性質せいしつゆうし、乾燥かんそうたまごるものがある。

生態せいたいてき側面そくめん

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アカウミガメ産卵さんらん

めすおやはそのたねごとに独自どくじ方法ほうほうで、まった場所ばしょたまごむ。たまご放出ほうしゅつすることを産卵さんらんという。海産かいさん動物どうぶつには、一見いっけん作為さくいたまご放出ほうしゅつするものもおおいが、よりおおくの動物どうぶつでは、なんらかの基盤きばんじょう、あるいは腔所にたまごける。このような産卵さんらん場所ばしょ産卵さんらんにかかわる行動こうどうは、おやによる保護ほごいちめん形成けいせいしている。さらに、産卵さんらんたまごまも行動こうどうなどをしめすものもある。

めすおやいちたまご一腹いっぷく(ひとはら)という単位たんいかぞえ、このたまごかず一腹いっぷくたまごすう(クラッチサイズ)という。一般いっぱんに、一腹いっぷくたまごすうおおきいものは、個々ここたまごちいさく、ちいさいものはたまごおおきい。これはたまご生存せいぞんりつふかかかわりがあるとかんがえられ、r-K戦略せんりゃくせつとの関連かんれん論議ろんぎされた。同様どうよう問題もんだいは、めすおや産卵さんらん回数かいすうなどにかんしても議論ぎろんがある。

たまご概念がいねん歴史れきし

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たまごそのものは鳥類ちょうるい魚類ぎょるいのそれとしてふるくから認識にんしきされていたが、ほとんどのほ乳類にゅうるいたまごからまれないとかんがえられていた。サメエイにも胎生たいせいたねがあり、それらもたまごられないとかんがえられていた。一方いっぽう昆虫こんちゅうさなぎたまごかんがえられていた。したがって、すべての動物どうぶつ成長せいちょう起源きげんとしてのたまごという見方みかたはなかった。

17世紀せいきウイリアム・ハーベー胎生たいせい動物どうぶつ発生はっせいくわしく調しらべたが、たまご発見はっけんすることは出来できなかった。しかし、類推るいすいからそれらにもたまご存在そんざいすることを確信かくしんし、「すべてはたまごから」との言葉ことばのこしている。これが実際じっさい確認かくにんされるのは、1827ねんベーアによるヒトたまご細胞さいぼう発見はっけんによる。

たまごつイメージ

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たまご生命せいめい復活ふっかつ象徴しょうちょうとして、しばしばげられる。たとえばキリスト教きりすときょう祭日さいじつである復活ふっかつさいでは、鶏卵けいらんいろとりどりにった「イースター・エッグ」をつく風習ふうしゅうがある。

また、宇宙うちゅう原初げんしょ状態じょうたい表現ひょうげんするものとされ、これを宇宙うちゅうたまご英語えいごばんんだ[1]

また、たまごには、「未熟みじゅくだけれどもこれから成長せいちょう見込みこみがある」というイメージがあり、日本語にほんごでは日常にちじょうてきに「学者がくしゃたまご」とか「画家がかたまご」のように初心者しょしんしゃしのもの意味いみする場合ばあいもちいられる。この事情じじょう英語えいごでも似通にかよったところがあるが、やや侮蔑ぶべつてきな「青二才あおにさい」の意味いみつので、むしろ「ひよっこ」(ヒヨコ)と語感ごかんている。

さらにでた鶏卵けいらんからのぞいた姿すがたしろくつるつるしていることの連想れんそうから、とき官能かんのうてきニュアンスともなって「たまごのような柔肌やわはだ」などという言葉ことば比喩ひゆてき使つかわれることもある。

なまたまご非常ひじょうれやすいことから、もろもの象徴しょうちょうとしても使つかわれる。

食用しょくようたまご種類しゅるい

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鶏卵けいらんひだり)とウズラたまごみぎ)、これらは一般いっぱん食用しょくようとして使つかわれる。

たまご栄養えいよう豊富ほうふであるから、食用しょくようとなるものが多々たたある。たまご採取さいしゅ目的もくてき飼育しいくされる場合ばあいもある。鳥類ちょうるいなどはその典型てんけいで、世界せかい各地かくち鳥類ちょうるいたまご食用しょくようとしてるために様々さまざま鳥類ちょうるい飼育しいくされる。しばしばたまご食肉しょくにく双方そうほうるためにも飼育しいくされる。

その一方いっぽうで、さかなたまご魚肉ぎょにくさい副次的ふくじてき生産せいさんぶつではあるが、ぎゃく風味ふうみさかなたまご特別とくべつあつかわれ、なかにはさかなたまごそのものを目的もくてきとして採取さいしゅされる魚類ぎょるいもある。

日本にっぽんにおいては、食事しょくじ関係かんけいたんに「たまご」というと、にわとりたまごすことがおおい。

とりたまご

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魚介ぎょかいるいたまご

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爬虫類はちゅうるいたまご

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そのたまご

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たまごかんすることわざ・故事こじ成語せいご

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  • 啄木鳥けらたまごからうなずく(きつつきのたまごからうなずく)
  • 累卵るいらんあやうき(きこと累卵るいらんごとし)
  • たまごとう
  • たまごいしったよう
  • たまごからうみわた
  • たまごときよるもと
  • まるたまごりようで四角よつかど
  • たまごらずにオムレツをつくることはできない (You can't make an omelette without breaking eggs.)
  • たまごぬすものうしぬすむ (He that will steal an egg will steal an ox.)
  • コロンブスたまご
  • にわとりさきか、たまごさき (Chicken and egg question.) →英語えいごのWikipediaではChicken or the eggのページになっている。
用語ようご
  • 初産しょさんよわい英語えいご:age at first egg)‐ 最初さいしょたまごむまでのなんにちかかるか
  • スポーン (生物せいぶつがく)英語えいごばん(さかな産卵さんらんたまご)
  • クラッチ (たまご)英語えいごばん英語えいご:Clutch) - 動物どうぶつ複数ふくすうんだたまご
    • クラッチサイズ(一腹いっぷくたまごすういちたまごすう) - 鳥類ちょうるいなどがいちかい産卵さんらんたまごすう[2]
    • 鳥類ちょうるいのクラッチサイズ英語えいごばん緯度いど経度けいどぶし立地りっちなどによりたねないであってもばらつきが発生はっせいする[2]
  • 昆虫こんちゅう産卵さんらんには、1かい産卵さんらん1個いっこたまごたまごつぶ産卵さんらんいちしょにまとめて複数ふくすうたまごけるたまごかたまり産卵さんらんがある[2]

その

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  • すなせきしゅう』(13世紀せいきすえ成立せいりつ)の記述きじゅつに、たまごくえしたために仏罰ぶつばつけたれいがみられる。
  • たまご玉子たまご使つかけであるが、後者こうしゃ食用しょくよう目的もくてきとした鶏卵けいらんとくなまでないとおしたものにかぎもちいるのが普及ふきゅうしてきている[3][4][5]
  • たまごかたちたまごがたになっていることで、斜面しゃめんころがりちないという性質せいしつがある[6]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 多核たかくたいには、ねばきん変形へんけいたいのようなさらにおおきいものもある。

出典しゅってん

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  1. ^ 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんない言及げんきゅう. “宇宙うちゅうたまご(うちゅうらん)とは? 意味いみ使つかかた”. コトバンク. 2023ねん6がつ3にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c いしずえ, 足立あだち (1979ねん5がつ). “とりのクラッチサイズはなんできまるか”. 生物せいぶつ科学かがく = Biological science / 日本にっぽん生物せいぶつ科学かがくしゃ協会きょうかい へん. pp. p66–78. 2024ねん3がつ6にち閲覧えつらん
  3. ^ 玉子たまごたまごふくまれる? 〜たまご玉子たまご使つかけ~ | け、使つかけ | どれだけってる?漢字かんじまめ知識ちしき”. 日本漢字能力検定協会にほんかんじのうりょくけんていきょうかい. 2018ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  4. ^ たまご通信つうしん Vol.7 「たまご」と「玉子たまご」のちがい、っていますか?” (PDF). JA全農ぜんのうたまご (2014ねん7がつ28にち). 2018ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  5. ^ 卵焼たまごやき? 玉子たまごき? | ことば(放送ほうそう用語ようご) - 最近さいきんになる放送ほうそう用語ようご”. 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい (2007ねん7がつ1にち). 2018ねん6がつ21にち閲覧えつらん
  6. ^ 西山にしやまゆたかたまごがた数理すうり」『理系りけいへの数学すうがく』Vol.39, No.4, 13-16, 2006.[1]

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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