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YPVS

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
YPVS搭載とうさいエンジンのカットモデル
1986ねんしきヤマハ・TZ250。このとししきはつ採用さいようされたデルタボックスフレームとともに、YPVS採用さいよう車体しゃたい明示めいじされていた。

Y.P.V.S. (Yamaha Power Valve System) は、ヤマハ発動機やまははつどうき開発かいはつしたオートバイよう2ストロークエンジン装備そうびされる排気はいきデバイス略称りゃくしょうであり、正式せいしき名称めいしょうは「ヤマハパワーバルブシステム」である[1]

採用さいようされている製品せいひんにはVの上端じょうたん左右さゆうばした屋根やね前部ぜんぶのYPと後部こうぶのSをおおっているデザインのロゴが表示ひょうじされている(写真しゃしん車両しゃりょう参照さんしょう)。

概要がいよう

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YPVSは1974ねんに2ストロークエンジンのはいガス対策たいさくとして研究けんきゅうしていたなかからまれた技術ぎじゅつである[2]。1978ねんヤマハのワークスレーサーYZR500モトクロッサーYZM250英語えいごばんYZM125英語えいごばんの3車種しゃしゅ採用さいよう[3]市販しはん車両しゃりょうでは1980ねんTZ500(市販しはんレーサー)にてはじめて採用さいようされ[4]、その100cc以下いか原動機げんどうきづけ自転車じてんしゃのぞくヤマハの2ストロークエンジンしゃおおくにトルク・インダクションYEISとも採用さいようされた。YPVSは本来ほんらいエンジン出力しゅつりょく向上こうじょうおおきな効果こうかのある技術ぎじゅつだが、1980ねん市販しはんおりにはYICS、YEIS、キャリブマチック(高地こうち補正ほせいづけキャブレター)ととも次代じだい環境かんきょう対策たいさく技術ぎじゅつとして宣伝せんでんされていた[4]

2ストロークエンジンは基本きほんてき特性とくせいのひとつとして、排気はいきタイミングがはやいとこう回転かいてんいきでの出力しゅつりょく特性とくせいたいしてがあるのにたいし、てい回転かいてんいきでの出力しゅつりょく不利ふりになり、排気はいきタイミングがおそいとそのぎゃくになる。その相反あいはんする関係かんけいを、排気はいきタイミングを可変かへんさせることにより両立りょうりつすることをおこなうためのデバイスである。基本きほんてき構造こうぞうとしては、排気はいきポートにそなえられたがた可変かへんバルブをガバナーもしくはモーターにより回転かいてんさせることによりエンジン回転かいてんすうおうじた最適さいてきなポートタイミングを維持いじするというシステムとなる。てい回転かいてんではバルブを排気はいきタイミングをおくらせ、こう回転かいてんにはバルブをひら排気はいきタイミングをはやめる。これにより、てい回転かいてんでもあつかいやすく、こう回転かいてんにはパワーのる2ストロークエンジンが実現じつげんされる。

燃焼ねんしょうガスの経路けいろ可動かどう部品ぶひんがある構造こうぞうであり、カーボンの付着ふちゃくなどによる動作どうさ不良ふりょう予防よぼうするため、電気でんきしきYPVSにおいてはまい始動しどう(メインスイッチON)にがたバルブの全開ぜんかい動作どうさおよびぜん動作どうさ自動的じどうてきおこなうクリーニング機能きのうゆうしている。

がた発展形はってんけいのスライドがた(スライドバルブ方式ほうしき)に大別たいべつされるが、スライドがたはおもに競技きょうぎよう車両しゃりょう採用さいようされ、市販しはんしゃにはもっぱらがた採用さいようされている。市販しはんしゃでスライドがた採用さいようするのは1993ねんモデルから1994ねんモデルまでのTZR250RSPと、1995ねんモデルから1999ねんモデルまでのTZR250SPRの、2車種しゃしゅのみとなる。

4ストロークへの応用おうよう

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YPVSは基本きほんてきに2ストロークエンジンのため技術ぎじゅつであるが、1990年代ねんだいには環境かんきょう対策たいさく一環いっかんとして4ストロークエンジンへの応用おうようはかられた記録きろくのこる。

ヤマハは2ストロークでは排気はいきポートがわ配置はいちされていたがた回転かいてんバルブを、4バルブの4ストロークエンジンの吸気きゅうきバルブ直前ちょくぜん吸気きゅうきポートない設置せっちし、吸気きゅうきポートのした半分はんぶんさえぎることでポート形状けいじょう可変かへんさせることにより、シリンダー内部ないぶつよいタンブル(たてうず)を発生はっせいさせること指向しこうしたシステムを1990年代ねんだい初頭しょとう開発かいはつし、1992ねん2がつ米国べいこく特許とっきょ取得しゅとく[5]。このシステムはヤマハが1981ねんT-VISがけた[6]吸気きゅうきポート切替きりかえ機構きこう内包ないほうしていることが特色とくしょくで、1994ねんにはたん気筒きとうバイクへの展開てんかい見越みこしたとみられる2バルブ・半球はんきゅうがた燃焼ねんしょうしつがたのシステム[7]、1995ねんには自動車じどうしゃでも使つかわれていた5バルブエンジンけのシステムも米国べいこく特許とっきょ取得しゅとくされた[8]。この時点じてんまでは正式せいしき名称めいしょうあきらかになっていなかったが、同年どうねんSAEインターナショナル会報かいほうにて、一連いちれんのシステムの正式せいしき名称めいしょうYTIS(ヤマハ・タンブル誘導ゆうどう制御せいぎょシステム、Yamaha Tumble Induction Control System)であること発表はっぴょうされた[9]

YTISは1998ねんにはEGRわされたシステム[10]、2005ねんには当時とうじ東南とうなんアジア諸国しょこく人気にんきあつめていたアンダーボーンがたフレームスクーターへの搭載とうさい志向しこうしたシステムの米国べいこく特許とっきょ取得しゅとくされたが[11]、そのもYTISを搭載とうさいした車種しゃしゅ発売はつばい確認かくにんされないまま2010ねん特許とっきょ失効しっこうし、現在げんざいいたっている。

採用さいよう車種しゃしゅ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ヤマハ発動機やまははつどうき株式会社かぶしきがいしゃ・バイク用語ようご辞典じてん「YPVS(ヤマハパワーバルブシステムのりゃく)」
  2. ^ YPVS(ヤマハパワーバルブシステム) - ヤマハ発動機やまははつどうき、2011ねん11月16にち
  3. ^ 技術ぎじゅつ革新かくしんとスポーツ振興しんこうをめざして - ヤマハニュース No.177 1978ねん3がつごう
  4. ^ a b しょうエネルギーエンジンシステム開発かいはつ - ヤマハニュース No.206 1980ねん8がつごう
  5. ^ US 5359972  "Tumble control valve for intake port"
  6. ^ EP 0054964  "Multi-intake valve type internal combustion engine"
  7. ^ US 5564383  "Tumble valve arrangement for engine"
  8. ^ US 5794587  "Tumble valve for multi-valve engine"
  9. ^ 井坂いさか義治よしはる檜垣ひがき祥之よしゆき「Development of Yamaha Tumble Induction Control System(YTIS)」、SAEインターナショナル『SAE Technical Papers』1995ねん、8ぺーじ
  10. ^ US 6131554  "Engine having combustion control system"
  11. ^ US 7055502  "Single cylinder engine and vehicle provided with the same"

関連かんれん項目こうもく

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