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封神演義 : 鄭倫捉將取汜水 - Chinese Text Project
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《鄭てい倫りん捉將取と汜水》

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1 鄭てい倫りん捉將... :
詩し曰：
萬刃車凶勢莫當，風狂ふうきょう火ひ聚助強きょう梁はり。旗はた旛若焰皆逢劫，將士しょうし遭殃盡つき帶たい傷きず。白晝はくちゅう已やめ難がた遮さえぎ半はん壁かべ，黃昏たそがれ安やす可か護まもる三鄉みさと。誰だれ知ち督とく運うん能のう催命，二子逢之刻下亡。

2 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說せつ韓かん榮さかえ坐すわ在ざい後こう廳ちょう，分ふん付づけ將士しょうし，亂らん紛紛ふんぷん的てき搬運物件ぶっけん，早はや驚おどろき動どう長子ちょうし韓かん昇のぼる、次子じし韓かん變へん。二人見父親如此舉動，忙せわし問とい左右さゆう曰：「這是何なん說せつ？」左右さゆう將はた韓かん榮さかえ前ぜん事こと說せつ了りょう一いち遍へん。二人ふたり忙せわし至いたり後ご堂どう，來見くるみ韓かん榮さかえ曰：「父親ちちおや何故なぜ欲よく搬運家か私わたし？棄此關せき隘，意欲いよく何なん為ため？」韓かん榮さかえ曰：「你二に人にん年ねん幼よう，不ふ知世ともよ務つとむ，快かい收拾しゅうしゅう離はなれ此關隘，以避兵燹へいせん，不ふ得とく有ゆう誤あやま。」韓かん昇のぼる聽得此語，不覺ふかく失しつ聲ごえ笑わらい曰：「父親ちちおや之の言げん差さ矣！此言切きり不可ふか聞于外人がいじん，空そら把わ父親ちちおや一いち世せい英名えいめい污了。父親ちちおや受國家こっか高だか爵厚祿ろく，衣ころも紫むらさき腰こし金きん，封ふう妻つま蔭かげ子こ，無む一事いちじ不ふ是ぜ恩おん德とく。今こん主上しゅじょう以此關せき托たく重じゅう于父親ちちおや，父親ちちおや不ふ思おもえ報國ほうこく酬むくい恩おん，捐軀盡つき節ぶし，反はん效こう兒じ女子じょし之の計けい，貪むさぼ生なま畏かしこ死し，遺のこ譏そし後世こうせい，此豈大丈夫だいじょうぶ舉止，有ゆう負ふ朝廷ちょうてい倚任大臣だいじん之の意い。古こ云うん：『在ざい社稷しゃしょく者しゃ死し社稷しゃしょく，在ざい封ふう疆者死し封ふうじ疆。」父親ちちおや豈あに可か輕けい議ぎ棄去。孩兒がいじ弟おとうと兄けい二に人にん，曾蒙家訓かくん，幼よう習弓馬ば，遇ぐう異人いじん，頗習有ゆう異い術じゅつ，未み曾演熟じゅく；連日れんじつ正ただし自じ操みさお演えんじ，今日きょう方かた完かん，意欲いよく進しん兵へい，不意ふい父親ちちおや有ゆう棄關之の舉。孩兒がいじ願ねがい效こう一死いっし盡忠じんちゅう于國。」韓かん榮さかえ聽罷，點頭てんとう歎曰：「『忠義ちゅうぎ』二に字じ，我わが豈あに不知ふち；但ただし主上しゅじょう昏瞶，荒淫こういん不ふ道みち，天命てんめい有ゆう歸き，若わか守もり此關，又また恐おそれ累るい生せい民みん塗炭とたん，不ふ若わか棄職歸山きさん，救すくい此一方いっぽう民みん耳みみ。況きょう姜きょう子こ牙きば門下もんか又また多た異こと士し，余あまり化か、余よ元もと俱罹不測ふそく，又また何なに況きょう其下者しゃ乎！此雖是ぜ你兄弟きょうだい二に人にん忠ただし肝かん義ぎ膽きも，我わが豈あに不ふ喜き，只ただ恐おそれ畫が虎とら不ふ成なり，終おわり無む補ほ于實用じつよう，徒死とし無益むえき耳みみ。」韓かん昇のぼる曰：「說せつ那な裏うら的てき話はなし來らい！食しょく人じん之の祿ろく，當分とうぶん人じん之の憂う。若わか都と是ぜ自じ為ため之の計けい，則のり朝廷ちょうてい養やしなえ士し何なん用よう。不肖ふしょう孩兒がいじ願ねがい捐軀報國ほうこく，萬死ばんし不ふ辭じ。父親ちちおや請坐，俟我兄弟きょうだい取と一物來與父親過目。」韓かん榮さかえ聽罷，心中しんちゅうの也自暗くら喜き：「吾われ門もん也出此忠義之よしゆき後ご。」韓かん昇のぼる到いた書房しょぼう中ちゅう取出とりで一物いちもつ，乃是紙し做的風車かざぐるま兒じ：當とう中有ちゅうう一轉いってん盤ばん，一隻手執定中間一竿，周圍しゅうい推轉，如飛轉てん盤ばん；上じょう有ゆう四よん首しゅ旛，旛上有ゆう符ふ有印ゆういん，又また有ゆう「地ち、水みず、火ひ、風ふう」四よん字じ，名めい為ため「萬まん刃は軍ぐん」。韓かん榮さかえ看み罷やめ，問もん曰：「此是孩兒がいじ玩耍之の物もの，有ゆう何なん用よう處しょ？」韓かん昇のぼる曰：「父親ちちおや不知ふち其中妙みょう用よう，父親ちちおや如不信しんじ，且下教場きょうじょう中ちゅう，把わ這紙車しゃ兒じ試驗しけん試驗しけん與あずか老ろう爺じい看み。」韓かん榮さかえ見み二子之言甚是鑿鑿有理，隨ずい命いのち下か教場きょうじょう來らい。韓かん昇のぼる兄弟きょうだい二に人にん上馬かみうま，各かく披髮仗劍，口中くちじゅう念念ねんねん有ゆう詞し，只見ただみ雲霧くもぎり陡生，陰かげ風ふう颯颯さっさつ，火ひ焰沖天ちゅうてん，半はん空中くうちゅう有ゆう百ひゃく萬まん刀かたな刃ば飛來ひらい，把わ韓かん榮さかえ唬得魂たましい不ふ附ふ體たい。韓かん昇のぼり收おさむ了りょう此車。韓かん榮さかえ曰：「我わが兒こ，你是何人なんにん傳でん你的？」韓かん昇のぼる曰：「那な年ねん父親ちちおや朝あさ覲之時じ，俺おれ弟おとうと兄けい閑居かんきょ無事ぶじ，在府ざいふ前ぜん玩耍。來らい了りょう一いち個こ陀頭，叫さけべ做法戒，在ざい我が府ふ前まえ化か齋とき。俺おれ弟おとうと兄けい就與了りょう他た一齋いっさい，他た就叫我わが們拜他た為ため師し。我わが們那時じ見み他た體貌たいぼう異常いじょう，就拜他た為ため師し。他た說せつ道どう：『異い日にち姜きょう尚しょう必有兵へい來らい，我わが秘ひ授你此法寶たから，可か破やぶ周しゅう兵へい，可か保ほ此關。」今日きょう正せい應おう我が師し之の言げん，定じょう然しか一いち陣じん成功せいこう，姜きょう尚しょう可か擒とりこ也

3 鄭てい倫りん捉將... :
。」韓かん榮さかえ大喜だいぎ，隨ずい令れい韓かん昇のぼり收おさむ了りょう此寶，仍問曰：「我わが兒こ還かえ可用かよう人馬じんば，你此車しゃ約やく有ゆう多少たしょう？」韓かん昇のぼる曰：「此車有ゆう三さん千せん輛，那な怕姜尚雄ひさお師し六ろく十じゅう萬まん耶！一陣管教他片甲不存！」韓かん榮さかえ忙せわし點てん三さん千精銳之兵與韓昇兄弟二人，在ざい教場きょうじょう操みさお演えんじ三さん千せん萬まん刃は車しゃ。正せい是ぜ：
余よ元げん相しょう阻方纔了，又また是ぜ三軍さんぐん屠ほふ戮災。

4 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說せつ韓かん昇のぼる用よう三さん千せん人にん馬ば，俱穿皂服，披髮赤あか腳，左手ひだりて執と車くるま，右手みぎて仗刀，任意にんい誅軍殺ころせ卒そつ。操みさお練ねり有ゆう二に七なな日にち期き，軍ぐん士し精せい熟じゅく。那な日び，韓かん榮さかえ父子ふし統すべ精兵せいびょう出で關せき搦戰。

5 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說子せつこ牙きば只ただ因いん破やぶ了りょう余よ元げん，打點だてん設計せっけい取と關せき，只ただ聽得關せき內砲響ひびき。少時しょうじ探さがせ馬ば報むくい入にゅう中ちゅう軍ぐん，稟曰：「汜水關せき總そう兵へい韓かん榮さかえ領りょう兵へい出で關せき，請元帥げんすい答こたえ話ばなし。」子こ牙きば忙せわし傳令でんれい與あずか眾門人じん、將士しょうし：「統みつる大隊だいたい出で營。」子こ牙きば會かい過か韓かん榮さかえ一いち次じ，那な裏うら知道ともみち有ゆう這場虧累，去さ堤防ていぼう他た。子こ牙きば問とい曰：「韓かん將軍しょうぐん，你時勢ぜい不知ふち，天命てんめい不順ふじゅん，何なに以為將しょう？速そく速そく倒たおせ戈ほこ，免めん致後悔こうかい。」韓かん榮さかえ笑わらい曰：「姜きょう子こ牙きば，倚著兵へい強きょう將はた勇いさむ，不知ふち你等死し在ざい咫尺しせき之の間あいだ，尚なお敢耀武揚ぶよう威い，數すう白しろ道どう黑くろ也！」子こ牙きば大だい怒いか：「誰だれ與あずか我わが把わ韓かん榮さかえ拿下？」旁つくり有ゆう魏ぎ賁，縱たて馬うま搖ゆら鎗，沖おき殺ころせ過か來らい。韓かん榮さかえ腦のう後ご有ゆう兩りょう員いん小將こしょう，乃韓昇のぼり、韓かん變へん，二人ふたり搶出陣じん來らい，截住了りょう魏ぎ賁。魏ぎ賁大呼たいこ曰：「來者らいしゃ二に將しょう何人なんにん？」韓かん昇のぼる曰：「吾われ乃韓總そう兵へい長子ちょうし韓かん昇のぼる，吾われ弟おとうと韓かん變へん是也これや。你等恃強，欺君罔上，罪惡ざいあく滔天とうてん，今日きょう乃爾等とう絕命ぜつめい之の地ち矣！」魏ぎ賁大怒いか，縱たて馬うま搖ゆら鎗，飛來ひらい直ちょく取と。韓かん昇のぼる、韓かん變へん兩りょう騎き赴面交還，未み及數すう合ごう，韓かん昇のぼる撥ばち轉てん馬ば往後就走。魏ぎ賁不知ふち是ぜ計けい，往下趕來。韓かん昇のぼる回かい頭あたま見み魏ぎ賁趕來らい，把わ頂上ちょうじょう冠かんむり除じょ了りょう，把わ鎗一擺，三さん千せん萬まん刃は車しゃ殺ころせ將はた出來でき，勢いきおい如風火ひ，如何いか抵當ていとう。只見ただみ萬刃車捲來，風ふう火ひ齊ひとし至いたり。怎見得とく好こう萬まん刃は車しゃ，有ゆう讚たたえ為ため證しょう：
雲くも迷世界かい，霧きり罩乾坤けんこん。颯颯さっさつ陰かげ風ふう沙すな石せき滾たぎ，騰あが騰あが煙けむり焰蟒龍りゅう奔。風ふう乘じょう火勢かせい，黑くろ氣き平ひら吞。風ふう乘じょう火勢かせい，戈ほこ矛ほこ萬まん道みち怯おびえ人魂ひとだま；黑くろ氣き平ひら吞，目め不ふ難なん觀かん前後ぜんご士し。魏ぎ賁中刃ば，幾いく乎墜下か馬鞍まぐら鞽；武吉たけよし著ちょ刀がたな，險けん些斬了りょう三さん寸すん氣き。滑すべり喇喇風聲ふうせい捲めく起おこり無情むじょう石せき，黑くろ暗暗あんあん刀痕とうこん剁壞將はた和わ兵へい。人ひと撞人，哀あい聲ごえ慘むご戚；馬ば跴馬，鬼哭きこく神しん驚おどろき。諸しょ將士しょうし慌忙亂みだれ走はし；眾門人じん借か遁而行ぎょう。忙せわし壞了先行せんこう元帥げんすい；攪亂かくらん了りょう武たけ王おう行こう營。那な裏うら是ぜ青天白日せいてんはくじつ，恍とぼけ如是にょぜ黑くろ夜よる黃昏たそがれ。子こ牙きば今日きょう兵へい遭厄，地ち覆くつがえ天てん翻こぼし怎太平たいへい。

6 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說子せつこ牙きば被ひ萬刃車一陣只殺得屍山血海，沖おき過大かだい陣じん來らい，勢いきおい不可ふか當とう。韓かん榮さかえ低頭ていとう一いち想そう，計上けいじょう心しん來らい，忙せわし傳令でんれい：「鳴な金きむ收おさむ軍ぐん！」韓かん昇のぼる、韓かん變へん聽得金きん聲ごえ，收おさむ回かい萬まん刃は車しゃ。子こ牙きば方かた得とく收おさむ住人じゅうにん馬ば，計けい傷きず士卒しそつ七なな八はち千せん有餘ゆうよ。子こ牙きば陞帳，眾將官かん俱在帳ちょう內，彼此ひし俱言：「此一いち陣じん利害りがい，風ふう火ひ齊ひとし至いたり，勢いきおい不可ふか當とう。」子こ牙きば曰：「不知ふち此刃是ぜ何なん名目めいもく？」眾將曰：「一派いっぱ利刃りじん，漫空塞ふさが地ち而來，風ふう火ひ助じょ威い，勢いきおい不可ふか敵てき；非ひ若わか軍ぐん士し可か以力敵てき也。」子こ牙きば心しん下か十分じゅうぶん不ふ樂らく，納おさめ悶もだえ軍ぐん中ちゅう。不ふ表ひょう。且說韓かん榮さかえ父子ふし進しん關せき，韓かん昇のぼる曰：「今日きょう正ただし宜むべ破やぶ周しゅう，擒とりこ拿姜尚なお，父親ちちおや為ため何なに鳴な金きむ收おさむ軍ぐん？」韓かん榮さかえ曰：「今日きょう是ぜ青天白日せいてんはくじつ，雖有雲霧うんむ風ふう火ひ，姜きょう尚しょう門人もんじん俱是道術どうじゅつ之の士し，自じ有ゆう準備じゅんび，保護ほご自身じしん，如何いか得え一いち般盡絕ぜっ？我わが有ゆう一いち絕後ぜつご計けい，使つかい他た不ふ得とく整備せいび，黑くろ夜よる裏うら仗此道術どうじゅつ，使つかい他た片かた甲かぶと不ふ存そん，豈あに不ふ更さら妙みょう！」二に人にん欠かけ身み曰：「父親ちちおや之の計けい，神かみ鬼おに莫測！」正せい是ぜ：
安心あんしん要よう劫こう周しゅう營寨，只ただ恐おそれ高だか人中ひとなか道どう來らい。

7 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說せつ韓かん榮さかえ打點だてん夜よる劫こう周しゅう營，收拾しゅうしゅう停とま當とう，只ただ等とう黑くろ夜よる出で關せき。不ふ表ひょう。只見ただみ子こ牙きば在ざい營納悶もだえ，想そう：「利刃りじん風ふう火ひ，果はて是ぜ何なん物ぶつ，來らい得とく甚惡，勢いきおい如山倒たおせ，莫可遮さえぎ攔？此畢竟是截教中ちゅう之の惡あく物ぶつ！」當日とうじつ已やめ晚ばん，子こ牙きば因いん今日きょう不ふ曾打點てん，致令眾將著ちょ傷きず，心しん下か憂ゆう煩はん，不ふ曾防備ぼうび今夜こんや劫こう寨。也是合あい該如此。眾將因いん早さ間あいだ失しつ利り，俱去安やす歇。且說韓かん榮さかえ父子ふし將はた至いたり初更しょこう，暗暗あんあん出で關せき，將はた那な三さん千萬刃車雄兵殺至轅門。周しゅう營中雖有鹿角かづの，其如這萬まん刃は車しゃ，有風ゆうふう火ひ助じょ威い，刃は如驟雨う，砲聲ほうせい響ひびき亮あきら，齊ひとし沖おき至いたる轅ながえ門もん，誰だれ敢抵當ていとう，真ま是ぜ勢ぜい如破竹ちく。怎見得え，正せい是ぜ：
四下裏大砲亂響，萬まん刃は車しゃ刀劍とうけん如梭。三軍踴躍縱征鼉，馬うま跴人身じんしん逕過。風ふう起おこり處しょ遮さえぎ天てん迷地，火ひ來らい時じ煙けむり飛ひ焰裏。軍ぐん吶喊とっかん，天てん翻こぼし地ち覆くつがえ；將はた用法ようほう，虎とら下か崖がけ坡。著ちょ刀がたな軍ぐん連聲れんじょう叫さけべ苦く；傷きず鎗將鎧よろい甲かぶと難なん馱。打だ著ちょ的てき焦こげ頭あたま爛ただれ額がく；絕ぜっ了りょう命いのち身み臥が沙すな窩。姜きょう子こ牙きば有ゆう法難ほうなん使し；金きん木き二吒也自難摹。李り靖やすし難なん使つかい金きん塔とう；雷かみなり震ふるえ子こ止とめ保ほ皇すめらぎ哥。南宮なんぐう适抱頭あたま而走；武たけ成しげる王おう不ふ顧兵戈へいか。四賢八俊俱無用，馬うま死人しにん亡ほろび遍あまね地ち拖。正せい是ぜ：遍あまね地ち草くさ梢こずえ含碧血ち，滿田みつた低てい陷おちい壘るい行ぎょう屍かばね。

8 鄭てい倫りん捉將... :
且說韓かん昇のぼる、韓かん變へん兄弟きょうだい二に人にん，夜よる劫こう子こ牙きば行ぎょう營，喊聲かんせい連れん天てん，沖おき進すすむ轅ながえ門もん。子こ牙きば在中ざいちゅう軍ぐん忽ゆるがせ聽得劫こう營，急きゅう自じ上うえ騎き。左右さゆう門人もんじん俱來中ちゅう軍ぐん護衛ごえい。只見ただみ黑雲くろくも密みつ布ぬの，風ふう火ひ交加，刀かたな刃は齊ひとし下もと，如山崩やまくずれ地ち裂きれ之の勢いきおい，燈とう燭しょく難なん支ささえ。三さん千火車兵沖進轅門，如潮奔浪滾たぎ，如何いか抵當ていとう。況きょう且黑夜よる，彼此ひし不能ふのう相しょう顧，只ただ殺ころせ得え血ち流りゅう成なり渠みぞ，屍骸しがい遍へん野の，那な分別ふんべつ人じん自己じこ。武たけ王おう上うえ了りょう逍遙しょうよう馬ば，毛もう公こう遂とげ、周しゅう公こう旦だん保ほ駕が前まえ行ぎょう。韓かん榮さかえ在ざい陣じん後ご擂す鼓こ，催動三軍さんぐん，只ただ殺ころせ得え周しゅう兵へい七なな零れい八はち落，君きみ不能ふのう顧臣，父ちち不能ふのう顧子。只見ただみ韓かん昇のぼる、韓かん變へん趁勢趕子牙きば，幸さいわい得子とくこ牙きば執と著しる杏からもも黃旗きはた，遮さえぎ護まもる了りょう前面ぜんめん一いち段だん；軍ぐん士し將領しょうりょう一いち擁よう奔走ほんそう。韓かん昇のぼる、韓かん變へん二人催著萬刃車往前緊趕，把わ子こ牙きば趕得上天じょうてん無む路みち。直ちょく殺到さっとう天明てんめい，韓かん昇のぼる、韓かん變へん大だい叫さけべ曰：「今日きょう不ふ捉姜尚なお，誓ちかい不ふ回かい兵へい！」望もち前越まえごし趕，分ふん付づけ三さん千せん兵卒へいそつ曰：「不入ふにゅう虎穴こけつ，焉得虎とら子こ！」子こ牙きば見み韓かん昇のぼる趕至無休むきゅう，看み看み至いたり金きん雞嶺下か，只見ただみ前面ぜんめん兩りょう杆大紅べに旗はた展てん，子し牙きば見み是ぜ催糧官かん鄭てい倫りん來らい至いたり，其心少しょう安やす。且說鄭てい倫りん坐すわ騎き出で山口やまぐち，正せい迎むかえ子こ牙きば，忙せわし問とい曰：「元帥げんすい為ため何なん失しつ利とし？」子こ牙きば曰：「後ご有ゆう追おい兵へい，用よう的てき是ぜ萬まん刃は車しゃ，又また是ぜ風ふう火ひ助じょ威い，勢いきおい不可ふか當とう。此是左ひだり道どう異い術じゅつ，你仔細しさい且避其銳。」鄭てい倫りん把わ坐すわ下しも金かね睛獸一いち磕，往前迎むかえ來らい。只見ただみ韓かん昇のぼる兄弟きょうだい在ざい前ぜん緊趕，三さん千せん兵へい隨ずい後ご，少しょう離はなれ半はん射しゃ之の地ち。鄭てい倫りん與あずか韓かん昇のぼる、韓かん變へん撞頭滿まん懷ふところ，鄭てい倫りん大喝だいかつ曰：「好こう匹夫ひっぷ！怎敢追おい我わが元帥げんすい！」韓かん昇のぼる曰：「你來也替不ふ得とく他た！」把わ鎗搖動どう來らい刺とげ。鄭てい倫りん手中しゅちゅう杵きね赴面交還，鄭てい倫りん知ち他た萬まん刃は車しゃ利害りがい，只見ただみ後ご面めん一片風火兵刃擁來，鄭てい倫りん知ち其所以ゆえん，只ただ一いち合ごう，忙せわし運動うんどう鼻はな子こ內兩道どう白光はっこう，一聲いっせい響ひびき，對たい著ちょ韓かん昇のぼる兄弟きょうだい二に人にん哼了一聲いっせい，韓かん昇のぼる、韓かん變へん兄弟きょうだい二人坐不住鞍鞽，翻こぼし下馬げば來らい，被ひ烏鴉うがらす兵へい生せい擒とりこ活かつ捉，上うえ了りょう繩なわ索さく。兄弟きょうだい兩個りゃんこ方かた睜開眼かいがん時じ，見み已やめ被ひ擒とりこ捉，「呀」的てき一聲いっせい歎曰：「天てん亡ほろび我わが也！」後ご面めん三さん千せん兵へい架か車しゃ前進ぜんしん，見み主將しゅしょう被ひ擒とりこ，其法巳み解かい，風ふう火ひ兵刃へいじん，化か為ため烏有うゆう，眾兵撒回身み，就跑奔回來らい，正せい遇ぐう韓かん榮さかえ任意にんい趕殺周しゅう兵へい，看み見み三さん千せん兵へい奔回，風ふう火ひ兵刃へいじん全ぜん無む，不ふ見み二に子し回かい來らい，忙せわし問とい曰：「二に位い小しょう將軍しょうぐん安在あんざい？」眾兵曰：「二位將軍趕姜子牙至一山邊，只見ただみ一いち將はた出來でき，與あずか二に位い將軍しょうぐん交戰こうせん，未み及一いち合ごう，不知ふち怎麼跌下馬げば來らい，被ひ他た捉去。我わが等とう在ざい後ご，不ふ一いち時じ，風ふう火ひ兵刃へいじん全ぜん無む，止とめ有ゆう此車而已，只ただ得とく敗はい回かい，幸こう遇ぐう老ろう將軍しょうぐん，望もち乞定奪だつ。」韓かん榮さかえ聽得二に子し被ひ擒とりこ，心中しんちゅうの惶惶，不ふ敢戀戰せん，只ただ得とく收おさむ兵へい進しん關せき。不ふ表ひょう。

9 鄭てい倫りん捉將... :
且說鄭てい倫りん擒とりこ了りょう二に將しょう，來見くるみ子こ牙きば。子こ牙きば大喜だいぎ，押在糧かて車しゃ上じょう，同どう子こ牙きば回かい軍ぐん；于路遇ぐう著ちょ武ぶ王おう、毛もう公こう遂とげ等とう，眾門人じん諸しょ將しょう齊ひとし集しゅう，大抵たいてい是ぜ夤夜交兵，便びん是ぜ有ゆう道術どうじゅつ的てき也只顧得自己じこ，故こ此大折おり一いち陣じん。子こ牙きば問とい安やす，武たけ王おう曰：「孤こ幾いく乎諕殺ころせ！幸こう得とく毛もう公こう遂とげ保ほ孤こ，方ぽう得とく免めん難なん。」子こ牙きば曰：「皆みな是ぜ尚之なおゆき罪ざい也。」彼此ひし安やす慰，治ち酒しゅ壓あつ驚おどろき，一宿いちやどり不ふ表ひょう。次つぎ日び，整頓せいとん雄ゆう師し，便びん至いたり汜水關下せきした扎營，放ひ砲ほう吶喊とっかん，聲こえ振ふ天地てんち，韓かん榮さかえ聽得砲聲ほうせい響ひびき，著ちょ人じん打だ探さがせ；來報らいほう曰：「啟けい總そう兵へい：周しゅう兵へい復ふく至いたり關下せきした安やす營。」韓かん榮さかえ大だい驚おどろき：「周しゅう兵へい復ふく至いたり，吾子あご休きゅう矣！」親おや自じ上城かみしろ，差さ官かん打だ聽。且說子こ牙きば陞帳坐すわ下した，眾將參さん謁畢，子し牙きば傳令でんれい，擺五ご方ぽう隊伍たいご，吾われ親おや自じ取と關かん。」眾將官かん切きり齒は深ふか恨韓昇のぼり、韓かん變へん。子こ牙きば至いたり關下せきした叫さけべ曰：「請韓總そう兵へい答こたえ話ばなし！」韓かん榮さかえ在ざい城しろ樓ろう上じょう現身うつせみ，大だい叫さけべ曰：「姜きょう子こ牙きば，你是敗軍はいぐん之の將はた，焉敢復ふく來らい至いたり此？」子こ牙きば大だい笑わらい曰：「吾われ雖誤中ちゅう你的奸計かんけい，此關我わが畢竟ひっきょう要よう取と你的。你知那な得とく勝しょう將軍しょうぐん今いま已やめ被かむ我わが擒とりこ下か。」命いのち兩邊りょうへん左右さゆう：「押過韓かん昇のぼる、韓かん變へん來らい！」左右さゆう將しょう二に人にん押過來らい，在ざい馬頭めず前まえ。韓かん榮さかえ見み二子篷頭跣足，繩なわ博はく二に臂ひじ，押在軍ぐん前まえ，不覺ふかく心痛しんつう，忙せわし大だい叫さけべ曰：「姜きょう元帥げんすい，二子ふたご無知むち，冒おかせ犯はん虎とら威い，罪つみ在ざい不ふ赦，望もち元帥げんすい大開おおひらき惻隱そくいん，憐而赦之，吾われ願ねがい獻けんじ汜水關せき以報之の耳みみ。」韓かん昇のぼる大呼たいこ曰：「父親ちちおや不可ふか獻けんじ關せき！你乃紂王之の股肱ここう，食しょく君くん之の重じゅう祿ろく，豈あに可か惜子之の命めいじ，而失臣しん節也せつや！只ただ宜むべ謹守關せき隘，俟天子てんし救すくい兵へい到いた日ひ，協力きょうりょく同心どうしん，共きょう擒とりこ姜きょう尚しょう匹夫ひっぷ，那な時じ碎屍萬まん段だん，為ため子こ報ほう仇かたき，未み為ため晚ばん也。我わが二人ふたり萬まん死し無む恨！」子こ牙きば聽得大だい怒いか，令れい左右さゆう：「斬き之これ！」只見ただみ南宮なんぐう适奉令れい，手て起おこり刀がたな落，連れん斬き二に將しょう於關下か。韓かん榮さかえ見み子こ受誅，心こころ如刀割わり，大だい叫さけべ一聲いっせい，往城下か自じ墜而死し。可憐かれん父子ふし三さん人にん，捐軀盡つき節ぶし，千古せんこ罕及。後人こうじん有ゆう詩し讚たたえ之これ：
汜水滔滔とうとう日夜にちや流りゅう，韓かん榮さかえ志こころざし與國よこく同どう休きゅう。父ちち存そん臣節しんせつ孤こ猿ざる泣，子し盡忠じんちゅう貞さだ老ろう鶴づる愁。一死依稀酬社稷，三さん魂たましい縹緲ひょうびょう傲王侯こう。如今屈指くっし應おう無む愧，笑殺しょうさつ當年とうねん兒女じじょ儔。」

10 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說せつ韓かん榮さかえ墜城而死，城中じょうちゅう百姓ひゃくしょう開ひらき關せき，迎接げいせつ子こ牙きば人馬じんば進しん汜水關せき。父老ふろう焚香迎接げいせつ武たけ王おう進すすむ帥そち府ふ，眾將官かん懽喜，查點府ふ庫こ錢ぜに糧かて停とま妥，出で榜安民みん。武たけ王命おうめい厚あつ葬そう韓かん榮さかえ父子ふし，子し牙きば傳令でんれい，治ち酒しゅ款待かんたい有功ゆうこう人員じんいん，在ざい關せき上住うえずみ了りょう三さん四よん日にち。

11 鄭てい倫りん捉將... :
且說乾いぬい元山もとやま金光こんこう洞ほら太ふと乙おつ真人しんじん在ざい碧あお遊ゆう床ゆか靜坐せいざ，忽ゆるがせ金きん霞かすみ童わらわ兒じ來報らいほう：「有ゆう白しろ鶴づる童わらわ兒じ至いたり此。」太ふと乙おつ真人しんじん出で洞ほら，見み白しろ鶴づる童わらわ兒じ手しゅ執と玉たま劄降臨こうりん，言げん曰：「請師叔下山げざん，同どう會かい誅仙陣じん。」太ふと乙おつ真ま人望じんぼう崑こん崙謝恩しゃおん畢，白はく鶴つる童子どうじ回かい玉だま虛きょ。不ふ表ひょう。且說太ふと乙おつ真人しんじん分ぶん付づけ：「叫さけべ哪吒來らい。」慌忙來らい至いたり，見み師父しふ行ぎょう禮れい畢，真人しんじん曰：「你如今いま養やしなえ的てき傷痕きずあと全ぜん愈いよいよ，你可先さき下山げざん，我わが隨ずい後ご就來，共きょう破やぶ誅仙陣じん也。」哪吒領りょう師し命いのち，方ぽう欲よく下山げざん，真人しんじん曰：「你且站住。當日とうじつ玉だま虛きょ宮みや掌てのひら教きょう天てん尊みこと也曾贈おく子こ牙きば三さん盃さかずき酒しゅ；你今下山げざん，我わが也贈你三さん盃さかずき如何いか？」哪吒感謝かんしゃ，真人しんじん命いのち金きん霞かすみ童わらわ兒じ斟酒過か來き，贈おく哪吒頭あたま一いち盃さかずき酒しゅ；哪吒謝しゃ過か，一いち飲いん而盡。真人しんじん袖そで內取一枚棗兒遞與哪吒過酒。哪吒連れん飲いん三さん盃さかずき，吃ども了りょう三さん枚まい火ひ棗なつめ。真人しんじん送おく哪吒出で洞ほら府ふ，看み哪吒上うえ了りょう風ふう火ひ輪わ，真人まさと方ほう進すすむ洞ほら去さ。哪吒提ひさげ火ひ尖とんが鎗，方ぽう欲よく駕が土ど遁前行ぎょう，只見ただみ左邊さへん一聲いっせい響ひびき，長ちょう出で一いち隻せき臂ひじ膊來。哪吒大だい驚おどろき曰：「怎的了りょう？」還かえ不ふ曾說得せっとく完かん，右邊うへん也長出で一いち隻せき臂ひじ膊來。哪吒唬得目め睜口呆ほけ。只ただ聽得左右さゆう齊ひとし聲こえ響ひびき，長ちょう出で六ろく隻せき手しゅ來らい，共きょう是ぜ八はち條じょう臂ひじ膊；又また長ちょう出で三さん個こ頭あたま來らい。哪吒著ちょ慌，無む可か奈何いかん，自じ思おもえ：「且回去さ，問もん我わが師父しふ來らい。」只ただ得とく登とう回かい風ふう火ひ輪わ，方ほう至いたる洞門どうもん，只見ただみ太ふとし乙おつ真人しんじん也至門もん首くび，拍はく掌てのひら大だい笑わらい曰：「奇き哉！奇き哉！」有ゆう詩し為ため證しょう：
瓊漿三さん盞透三關さんのせき，火ひ棗なつめ頻しき添壯士し顏がお。八臂已成神妙術，三頭莫作等閒看。須臾しゅゆ變化へんか超凡ちょうぼん聖きよし，頃ころ刻こく風ふう雷かみなり任にん往還おうかん。不ふ是ぜ西にし岐多異こと士し，只ただ因いん天意てんい惡あく奸讒。

12 鄭てい倫りん捉將... :
話はなし說せつ哪吒回かい來見くるみ太たい乙おつ真人しんじん，曰：「弟子でし長ちょう出で這些手しゅ，丫丫叉また叉また，怎好用兵ようへい？」真人しんじん曰：「子こ牙きば行ぎょう營有許多きょた異こと士し，然しか而有雙翼そうよく者しゃ，有ゆう變化へんか者しゃ，有ゆう地行じぎょう者しゃ，有ゆう奇き珍ちん者しゃ，有ゆう異い寶たから者しゃ，今いま著ちょ你現三さん頭とう八はち臂ひじ，不ふ負まけ我わが金光かねみつ洞ほら裏うら所傳しょでん。此去進すすむ五關ごせき，也見周しゅう朝ちょう人物じんぶつ稀まれ奇き，個個ここ俊傑しゅんけつ。這法隱かくれ隱かくれ現げん現げん，但ただし憑你自己じこ心意しんい。」哪吒感謝かんしゃ師し尊みこと恩おん德とく。太ふと乙おつ真人しんじん傳でん哪吒隱かくれ現げん之これ法ほう，哪吒大喜だいぎ，一いち手て執と乾坤けんこん圈けん，一手執混天綾，兩りょう隻手せきしゅ擎兩根火ねび尖とんが鎗，還かえ空そら三さん手て。真人まさと又また將しょう九きゅう龍神りゅうじん火ひ罩，又また取と陰陽いんよう劍けん，共成きょうせい八はち件けん兵器へいき。哪吒拜辭はいじ了りょう師父しふ下山げざん，逕往汜水關せき來らい。正せい是ぜ：
余よ化か刀がたな傷きず歸かえり洞ほら府ふ，今朝けさ變化へんか更さら神通じんずう。

13 鄭てい倫りん捉將... :
且說姜きょう元帥げんすい在ざい汜水關せき計けい點てん軍ぐん將はた，收拾しゅうしゅう界かい牌ぱい關せき，忽ゆるがせ然しか想起そうき師し尊みこと偈げ來らい：「『界さかい牌ぱい關下せきした遇ぐう誅仙』，此事不知ふち有ゆう何なん吉凶きっきょう。且不可ふか妄動もうどう。」又また思おもえ：「若わか不ふ進すすむ兵へい，恐おそれ誤あやま誤あやま了りょう日にち期き。」正せい在ざい殿上てんじょう憂慮ゆうりょ，忽ゆるがせ報ほう：「黃き龍りゅう真人まさと來らい至いたり。」子こ牙きば迎接げいせつ至いたり中堂なかどう，打だ稽首，分ふん賓まろうど主おも坐すわ下した。黃き龍りゅう真人まさと曰：「前ぜん邊あたり就是誅仙陣じん，非ひ可か草くさ率りつ前進ぜんしん。子こ牙きば可分かぶん付づけ門人もんじん，搭起蘆あし篷席殿どの，迎接げいせつ各かく處しょ真人しんじん異こと士し，伺候しこう掌てのひら教師きょうし尊みこと，方ぽう可か前進ぜんしん。」子こ牙きば聽畢，忙せわし令れい南宮なんぐう适、武吉たけよし起おこり蓋ぶた蘆あし篷去了りょう。且說哪吒現げん了りょう三さん首しゅ八はち臂ひじ，登とう風ふう火ひ輪わ，面めん如藍靛，發はつ似に朱しゅ砂すな，丫丫叉また叉また，七なな八はち隻手せきしゅ，走はし進すすむ關せき來らい。軍ぐん校こう不知ふち是ぜ哪吒現げん此化身けしん，著しる忙せわし飛報ひほう子こ牙きば：「稟元帥げんすい：外面がいめん有ゆう一いち個こ三さん頭とう八はち臂ひじ的てき將官しょうかん，要よう進すすむ關せき來らい，請令定てい奪だつ。」子こ牙きば令れい李り靖やすし：「去さ探さがせ來らい。」李り靖やすし出府しゅっぷ，果はて見み三さん頭とう八はち臂ひじ的てき人じん，甚是凶惡きょうあく，李り靖やすし問とい曰：「來者らいしゃ何人なんにん？」哪吒見み是ぜ李り靖やすし，忙せわし叫さけべ：「父親ちちおや，孩兒がいじ是ぜ三さん太子たいし哪吒。」李り靖やすし大だい驚おどろき，問もん曰：「你如何なん得とく此大術じゅつ？」哪吒把わ火ひ棗なつめ之の事こと說せつ了りょう一いち遍へん。李り靖やすし進すすむ殿どの回かい子こ牙きば，備言前ぜん事こと。子こ牙きば大喜だいぎ，傳令でんれい：「令れい來らい。」哪吒進すすむ殿どの，拜見はいけん元帥げんすい。眾將觀かん之の，無む有ゆう不ふ悅えつ，俱來稱しょう賀が。不ふ表ひょう。且見次じ日び南宮なんぐう适來回報かいほう曰：「稟元帥げんすい：蘆あし篷俱已やめ完備かんび。」黃き龍りゅう真人まさと曰：「如今只ただ是ぜ洞ほら府ふ門人もんじん去さ得え，以下いか將官しょうかん一概都去不得。」子こ牙きば傳でん下か令れい來らい：「諸しょ位い官かん將はた保ほ武たけ王おう緊守關せき隘，不ふ得とく擅離。我わが同どう黃き龍りゅう真人まさと與あずか諸しょ門人もんじん弟子でし前まえ去さ蘆あし篷，伺候しこう掌てのひら教師きょうし尊みこと與あずか列れつ位い仙せん長ちょう，會かい誅仙陣じん。如有妄動もうどう者しゃ，定てい按軍法ほう。」眾將領りょう命めいじ去ざ訖。子こ牙きば進しん後ご殿しんがり來見くるみ武たけ王おう，曰：「臣しん先さき去さ取ど關せき，大王だいおう且同眾將住じゅう于此處しょ。俟取了りょう界かい牌ぱい關せき，差さ官かん來らい接せっ聖せい駕が。」武たけ王おう曰：「相あい父ちち前途ぜんと保ほ重じゅう。」子こ牙きば感謝かんしゃ畢，復ふく至いたり前まえ殿どの，與あずか黃き龍りゅう真人まさと同どう眾門弟子でし離はなれ了りょう汜水關せき，行ぎょう有ゆう四よん十じゅう里り，來らい至いたり蘆あし篷。只ただ見み懸がか花はな結ゆい綵，疊じょう錦にしき鋪しき毹。黃き龍りゅう真人まさと同どう子こ牙きば上うえ了りょう蘆あし篷坐下か。少時しょうじ間あいだ，只見ただみ廣ひろ成子しげこ來らい至いたり；赤あか精子せいし隨ずい至いたり。次つぎ日び，懼留孫まご、文殊もんじゅ廣こう法ほう天てん尊みこと、普ひろし賢けん真人しんじん、慈航道人どうじん、玉たま鼎かなえ真人まさと來らい至いたり；隨ずい後ご有ゆう雲くも中子なかご、太ふと乙おつ真人しんじん、清きよし虛きょ道德どうとく真しん君くん、道行みちゆき天てん尊みこと、靈寶れいほう大だい法師ほうし俱陸續りくぞく來らい至いたり。子こ牙きば一いち一いち上下じょうげ迎接げいせつ，俱至蘆あし篷坐下か。少時しょうじ，又また是ぜ陸りく壓あつ道人どうじん來らい至いたり，稽首坐すわ下した。陸りく壓あつ曰：「如今誅仙陣じん一いち會かい，只ただ有ゆう萬まん仙せん陣じん再會さいかい一いち次じ，吾われ等とう劫こう運うん已やめ滿みつる，自じ此歸山きさん，再さい圖ず精進しょうじん，以正道どう果はて。」眾道人じん曰：「師し兄けい之の言げん正せい是ぜ如此。」眾皆默坐もくざ，專せん候こう掌てのひら教師きょうし尊みこと。不ふ一いち時じ，只ただ聽得空中くうちゅう有ゆう環かん佩之聲ごえ，眾仙知道ともみち是ぜ燃もえ燈とう道人どうじん來らい了りょう，眾道人じん起おこり身み，降くだ階かい迎むかえ上じょう篷來，行ぎょう禮れい坐すわ下した。燃もえ燈とう道人どうじん曰：「誅仙陣じん只ただ在ざい前面ぜんめん，諸しょ友とも可か曾見麼？」眾道人じん曰：「前面ぜんめん不ふ見み甚麼いんも光景こうけい。」燃もえ燈とう曰：「那な一派紅氣罩住的便是。」眾道友とも俱起身み，定てい睛觀看み。不ふ表ひょう。

14 鄭てい倫りん捉將... :
且說多た寶たから道人みちひと已やめ知ち闡教門人もんじん來らい了りょう，用よう手しゅ發はつ一聲いっせい掌てのひら心こころ雷かみなり，把わ紅べに氣き展開てんかい，現出げんしゅつ陣じん來らい。蘆あし篷上眾仙正せい看み，只見ただみ紅くれない氣き閃開，陣じん圖ず已やめ現げん，好こう利害りがい：殺氣さっき騰あが騰あが，陰雲いんうん慘むご慘むご，怪かい霧きり盤ばん旋，冷風れいふう習習，或ある隱かくれ或ある現げん，或ある昇のぼ或ある降くだ，上下じょうげ反覆はんぷく不定ふてい。內中有ちゅうう黃き龍りゅう真人まさと曰：「吾われ等とう今いま犯はん殺ころせ戒，該惹紅べに塵ちり，既すんで遇ぐう此陣，也當得とく一いち會かい。」燃もえ燈とう曰：「自じ古こ聖人せいじん云うん：
只ただ觀かん善地ぜんち千せん千せん次じ，莫看人間にんげん殺伐さつばつ臨。」

15 鄭てい倫りん捉將... :
內中有ちゅうう十じゅう二代弟子倒有八九位要去。燃もえ燈とう道人どうじん阻不住じゅう，齊ひとし起おこり身み下か了りょう蘆あし篷，諸しょ門人もんじん也隨著ちょ來らい看み此陣。行くだり至いたり陣じん前まえ，果然かぜん是ぜ驚おどろき心しん駭目，怪かい氣き冷ひや人じん。眾仙俱不肯就回かい，只管ひたすら貪むさぼ看み。不知ふち後事こうじ如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《新しん刻こく鐘がね伯はく敬けい先生せんせい批評ひひょう封ふう神しん演義えんぎ》
URN: ctp:fengshen-yanyi/76