インゲンマメ

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いんげんまめから転送てんそう
インゲンマメ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
: マメ Fabales
: マメ Fabaceae
ぞく : インゲンマメぞく Phaseolus
たね : インゲンマメ P. vulgaris
学名がくめい
Phaseolus vulgaris L. (1753)[1]
英名えいめい
kidney bean,
snap bean,
common bean
Phaseolus vulgaris”

インゲンマメ隠元豆いんげんまめ[2]まゆまめPhaseolus vulgaris)はマメいちねんくさ別名べつめいサイトウさいまめ[1]サンドマメさんまめ)、ゴガツササゲ(がつ豇豆)[1]

おも西日本にしにほんフジマメふじまめ別名べつめいセンゴクマメ千石せんごくまめ)、アジマメ(藊豆)など)のことを「インゲンマメ」と地域ちいきがあり[3]りょうたね混同こんどうされやすいが、別種べっしゅである。

歴史れきし[編集へんしゅう]

メキシコなど中央ちゅうおうアメリカ南米なんべいアンデス原産げんさんとされる[2]古代こだいからインゲンマメは南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりくでの主要しゅよう作物さくもつとなっており、アステカ帝国ていこくでは乾燥かんそうさせたインゲンをぜい物納ぶつのう品目ひんもくとして徴収ちょうしゅうしていた。コロンブスによるアメリカ大陸あめりかたいりく発見はっけんに、アメリカ全土ぜんどひろがったとされる[2]

ヨーロッパには、コロンブスの度目どめ航海こうかいのちまれたが、当初とうしょはアメリカ原産げんさんであることはられず、カズラ新種しんしゅおもわれていた[4]16世紀せいきにはそだてやすくべやすい作物さくもつとして栽培さいばいされるようになった。とくギリシャなど地中海ちちゅうかい沿岸えんがん地域ちいきでは、ソラマメ中毒ちゅうどくにならない健康けんこうまめとしてれられていた。

フランスはこのまめ利用りよう熱心ねっしんで、様々さまざま料理りょうりつくった。なかでもわかいインゲンをさいかちごと調理ちょうりする料理りょうりアリコ・ヴェルこのまれ、そのためにフラジョレという専用せんよう品種ひんしゅつくった。くにまめ料理りょうりフランス料理りょうりふうでよぶ場合ばあいおおくなり、今日きょうでも英語えいごけんではさいかちごとべる方法ほうほうをフレンチスタイル、フレンチビーンとよぶ[5]

16世紀せいきまつにヨーロッパを経由けいゆして中国ちゅうごくつたわり、17世紀せいき日本にっぽんつたわったといわれている[6]1654ねん江戸えど時代じだいあきらからの帰化きかそう隠元いんげんたかし日本にっぽんんだとされることからこのがついた[2][7][ちゅう 1]実際じっさいにはフジマメふじまめ、フジマメぞく)をかえったというせつもある。このためかどうか不明ふめいだが、上方かみがた関西かんさい)では伝統でんとうてきにフジマメをインゲンマメとび、インゲンマメはフジマメ、サヤインゲンはさんまめぶ。

生態せいたい[編集へんしゅう]

いち年生ねんせい草本そうほん[6]くきつるせい品種ひんしゅとつるなしの品種ひんしゅとがあり、つるせい品種ひんしゅほうがつるなし品種ひんしゅよりも収穫しゅうかく期間きかんながく、収穫しゅうかくりょうおおくなる[6]。つるありしゅは、たかさ1.5 - 3メートルになり、支柱しちゅうてて栽培さいばいする[6]なつに、しろまたはピンク色ぴんくいろはなをつけ、あきながいさやをつける。肥料ひりょうおお必要ひつようとせず、はたけえていなくてもつくりやすい[6]

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

濃厚のうこうなうまみを栄養えいようたか優秀ゆうしゅう食用しょくようしゅとしてられ、原産地げんさんちである中南米ちゅうなんべい以外いがいでも世界せかいてき利用りようされている。マメるいではもっと生産せいさんりょうおおい。完熟かんじゅくしたまめ利用りようする以外いがいにもわかさやごとべることもよくおこなわれ、役所やくしょ統計とうけいじょう前者ぜんしゃ穀物こくもつ後者こうしゃ野菜やさいるいとしてあつかうことがある。栄養えいようめんとしてはタンパク質たんぱくしつ豊富ほうふなこと以外いがいにも、身近みぢか食材しょくざいとしてはもっと食物しょくもつ繊維せんいふく食材しょくざいひとつであり、ちょうない細菌さいきんへの影響えいきょう注目ちゅうもくされている[8]食用しょくようたってはのマメるい同様どうよう加熱かねつによるどくきが必須ひっすで、生食なましょくでは中毒ちゅうどくする(後述こうじゅつ

おも品種ひんしゅ[編集へんしゅう]

  • 金時きんときまめ - 日本にっぽんではもっと一般いっぱんてきなインゲンマメでダイズ、アズキととも小売こうりてんでもほぼかならいてある。アズキ(金時きんとき)と色合いろあいがおなじだから金時きんときまめばれるようになったなど諸説しょせつある。現在げんざい主力しゅりょく品種ひんしゅ北海道ほっかいどう大正たいしょうむら発見はっけんされた大正たいしょう金時きんときかわいろ在来ざいらい品種ひんしゅよりややあかるい。大粒おおつぶあじいが灰汁あくつよじるにエグあじがあり、ひとによってはすうかいでこぼしをおこなう。白色はくしょくけい品種ひんしゅは「白金はっきんまめ」という銘柄めいがらめい総称そうしょうされる。[9]
  • うずらまめ - とり一種いっしゅウズラもしくはそのたまご模様もようていることからの品種ひんしゅめい英語えいごめいpinto bean(モザイク模様もようまめ)。おも煮豆にまめ甘納豆あまなっとう原料げんりょう使つかわれる[10]。「ぶくつぶちゅうちょう(ふくりゅうちゅうなが)」「ぶくうずら」などの品種ひんしゅがあり、大粒おおつぶおさむという特徴とくちょうっている[11]値段ねだん金時きんときまめどう程度ていどおおい。よく外観がいかんしろむらさきクランベリーまめばれるものもある。
  • とらまめ - 白地しろじ黄色おうしょく褐色かっしょくまだら模様もようはいり、トラることからこのがある。おも煮豆にまめ使つかわれる[10]。エグあじすくなく高級こうきゅうまめとしてあつかわれ値段ねだんはややたかめ。
  • だい福豆ふくまめ(おおふくまめ) - 白色はくしょく扁平へんぺい腎臓じんぞうがた品種ひんしゅ。エグあじすくなく高級こうきゅうまめとしてあつかわれ値段ねだんはややたかめ。
  • ほろび(てぼう) - しろ種皮しゅひしょく小粒こつぶしろインゲンまめ銘柄めいがらしゅしろいろかして、おも白餡しろあん材料ざいりょう使つかわれる。「ひめしゅほろび」「ゆきしゅほろび」「きぬてぼう」などの品種ひんしゅ栽培さいばいされている。[12]
  • モロッコインゲン - さいかちべるひらさいかちしゅで、ながさ20 cm以上いじょうになる。さいかち湯通ゆどおしして、もの煮物にものなどに使つかう。[13]
  • 南星なんせいインゲン(ハイブシインゲン) - 沖縄おきなわ作出さくしゅつされたあつさにつよいつるありしゅさいかちまるサヤで、すじがなくやわらかく、あまみがつよ[14]わかさいかちを、おひたしやいたぶつ胡麻和ごまあえ、しるてんぷらなどに使つか[13][14]
  • インゲン(バターインゲン) - さいかちあわ黄色きいろをしているのが特徴とくちょうで、まるサヤとひらサヤがある。わかさいかちべ、クセがなく、でるとうす緑色みどりいろになる。[13]
  • むらさきインゲン - さいかち紫色むらさきいろをしているのが特徴とくちょうで、わかさいかちでると緑色みどりいろになる[13]。「パープル・ホープ」「ドワーフ・ビーン・アメジスト」「パープル・クィーン」「パープルトライアンフ」「パープル・キング」などの品種ひんしゅがある。

毒性どくせい[編集へんしゅう]

なままたは加熱かねつ不十分ふじゅうぶんなインゲンまめ摂取せっしゅすると、はげしい嘔吐おうと下痢げりといった急性きゅうせい中毒ちゅうどく症状しょうじょうしょうじる[15]サラダキャセロールなどのなべ料理りょうりにインゲンまめ使用しようしたときに発生はっせいしやすい[15]あかインゲンまめPhaseolus vulgaris中毒ちゅうどく金時きんときまめ中毒ちゅうどくなどとばれ、豆類まめるい全般ぜんぱんふくまれるレクチン一種いっしゅフィトヘマグルチニン英語えいごばん(Phytohaemagglutinin、PHA)の作用さようである[15]。レクチンは蛋白質たんぱくしつなので加熱かねつすれば変性へんせいし、人体じんたいには無害むがいになる。レクチンを無毒むどくするためには、まめ十分じゅうぶん加熱かねつする必要ひつようがある。80以下いか温度おんど加熱かねつすると、ぎゃく毒性どくせいが5ばい増加ぞうかするとされる[15]とくあかインゲンまめにはしろインゲンまめの3倍量ばいりょうのフィトヘマグルチニンを含有がんゆうし、わずか4-5なままめ摂取せっしゅ発症はっしょうしうる。症状しょうじょうつよ重症じゅうしょうする症例しょうれいもあるが、だい部分ぶぶん数時間すうじかん軽快けいかいする[15]。フィトヘマグルチニンはインゲンまめ以外いがいまめにも少量しょうりょう含有がんゆうされ、たとえばソラマメにはあかインゲンまめの5-10%のフィトヘマグルチニンをふく[15]

2006ねん平成へいせい18ねん)5がつ6にちTBSテレビで放送ほうそうされた『ぴーかんバディ!』で、しろインゲンまめを3分間ふんかんってからこなにして、ごはんにまぶしてべるダイエットほう紹介しょうかいしたところ、はげしい嘔吐おうと下痢げりなどの健康けんこう被害ひがい全国ぜんこく発生はっせいした。

栽培さいばい[編集へんしゅう]

はるたねをまき、初夏しょかから初秋しょしゅうにかけて収穫しゅうかくする。生育せいいく期間きかんみじかいので、なんかいにもけてたねまきできる[16]野菜やさい間作かんさくにもてきしている[16]。またインゲンマメは、1ねんに3かい収穫しゅうかくできることから、関西かんさい地方ちほうでは「さんまめ」ともしょうされる[17]。つるありしゅ、つるなしたねともにつくることができ、4がつから8がつにかけて3かいけてたねをまけば、おなうね支柱しちゅうで7 - 10月の長期間ちょうきかんにわたって収穫しゅうかくすることも可能かのうである[17]

マメるいなかでは高温こうおんこのみ、栽培さいばい適温てきおんは20前後ぜんこうで、25以上いじょう高温こうおんになると花粉かふんみのりせい低下ていかしてがつきにくくなる[18]発芽はつがには20以上いじょう生育せいいくには10以上いじょう地温ちおん気温きおん必要ひつようである[18]しもにはきわめてよわく、はる遅霜おそじもおそれがなくなったころから作付さくづけする[16]土壌どじょう水分すいぶんには比較的ひかくてき敏感びんかんであるので、排水はいすい乾燥かんそうには留意りゅういしたほうがよい[16]。つるありしゅ(つるせい)とつるなしたね矮性わいせい)があり、つるありしゅはつるがびるまえ支柱しちゅうててからませるようにする[16]。つるなしたね放任ほうにん栽培さいばいでよい[16]。マメ植物しょくぶつは、寄生きせいしている根粒こんりゅうきんはたらきによって窒素ちっそ固定こていおこな栄養えいようげんとして利用りようする性質せいしつがあり、肥料ひりょうの3だい要素ようそのひとつである窒素ちっそぶんおおあたえる必要ひつようはない[17]。しかし、インゲンマメでは非常ひじょう生育せいいくはやく、わかざやを利用りようするので、のマメるいにくらべると窒素ちっそぶんふくめて肥料ひりょう不足ふそくになりがちである[17]

たねはたけじきまきする方法ほうほうと、育苗いくびょうして定植ていしょくする方法ほうほうがある。育苗いくびょうポットたねをまいて保温ほおんしてなえ育成いくせいすれば、じきまき栽培さいばいよりも収穫しゅうかくはやまる[16]発芽はつがしてほんはじめたころにあいだをして1ほんのこすようにし、だい2ほんはじめたころがえどきになる[18]はたけけの1かげつまえからよくたがやしておき、2週間しゅうかんまえみぞって元肥もとごえほどこしてから、排水はいすいせいをよくするためうねたかめにつくる[18]なえけるときは、株間かぶま30 cm程度ていど目安めやすける[18]じきまきするときは、うねに1カ所かしょ3つぶずつたねをまきうす覆土ふくどする[18]

インゲンマメには、つるありしゅとつるなしたねがあり、つるありしゅはつるをながばして生長せいちょうし、収量しゅうりょうもつるなしたねよりおさむになる[2]さいかちすじがかたいものがおおかったが、品種ひんしゅ改良かいりょうすじがないものも出回でまわっている[2]。つるありしゅ長期ちょうき収穫しゅうかくするには2.2 m以上いじょうなが支柱しちゅうてて、となり支柱しちゅう途中とちゅう交差こうささせて上方かみがたひらき、さきほうまでとどくようにてておく[19]最初さいしょ追肥ついひ草丈くさたけ20 cmころ、2かい20日はつかおこない、収穫しゅうかくはいってきたら半月はんつきに1くらいで化成かせい肥料ひりょうなどをあたえる[19]。さやがふとってきたら、できるだけはや収穫しゅうかくする[19]最盛さいせい朝夕あさゆう2かい収穫しゅうかくすることができる[19]乾燥かんそう肥料ひりょう不足ふそくになると、受精じゅせいこりやすくなり、がったさやができたり、極端きょくたんみじかいさやができることもある[19]

病虫害びょうちゅうがいは、アブラムシスリップスハダニ発生はっせいしやすい[19]早期そうきつけて、薬剤やくざい散布さんぷして防除ぼうじょする[19]

産地さんち[編集へんしゅう]

完熟かんじゅくまめとしての国内こくない産地さんち圧倒的あっとうてき北海道ほっかいどう全体ぜんたいの9わりたっする。2023年度ねんどれい5年度ねんど)の実績じっせき全国ぜんこく作付さくづけ面積めんせき5,900 haのうち北海道ほっかいどうが5,500 ha、収穫しゅうかくりょう全国ぜんこくやく5,200 t[20]、2006ねん平成へいせい18ねん)の作付さくづけ面積めんせきは8,880 haで収穫しゅうかくりょうは18,000 tとなっており[21]生産せいさんりょうゆるやかに減少げんしょう傾向けいこうにある。

2010年代ねんだい世界せかいてき生産せいさんりょうとしにもよるがやく27,000せんトン程度ていどで、くにべつ最大さいだいインドで6,000せんトン、ブラジルミャンマーがそれぞれ3,000せんトン程度ていどつづく。その生産せいさんりょう上位じょういこく原産地げんさんちである中南米ちゅうなんべいふく南北なんぼくアメリカ大陸あめりかたいりくくに、アフリカ東部とうぶ諸国しょこく中国ちゅうごくなどがおおい。

利用りよう栄養えいよう[編集へんしゅう]

いんげんまめ(ぜんつぶいぬい[22]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 1,393 kJ (333 kcal)
57.8 g
食物しょくもつ繊維せんい 19.3 g
2.2 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.25 g
一価いっか飽和ほうわ 0.19 g
あたい飽和ほうわ 0.79 g
19.9 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(0%)
1 µg
チアミン (B1)
(43%)
0.50 mg
リボフラビン (B2)
(17%)
0.20 mg
ナイアシン (B3)
(13%)
2.0 mg
パントテンさん (B5)
(13%)
0.63 mg
ビタミンB6
(28%)
0.36 mg
葉酸ようさん (B9)
(21%)
85 µg
ビタミンE
(1%)
0.1 mg
ビタミンK
(8%)
8 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(32%)
1500 mg
カルシウム
(13%)
130 mg
マグネシウム
(42%)
150 mg
リン
(57%)
400 mg
鉄分てつぶん
(46%)
6.0 mg
亜鉛あえん
(26%)
2.5 mg
どう
(38%)
0.75 mg
セレン
(1%)
1 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 16.5 g
水溶すいようせい食物しょくもつ繊維せんい 3.3 g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい 16.0 g
ビオチン(B7 9.4 µg

ビタミンEはαあるふぁ-トコフェロールのみをしめした[23]
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
あかインゲンマメ(100gなか)のおも脂肪酸しぼうさん種類しゅるい[24]
項目こうもく 分量ぶんりょう(g)
脂肪しぼう 1.06
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.154
16:0(パルミチンさん 0.136
18:0(ステアリンさん 0.018
一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.082
18:1(オレインさん 0.082
あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.586
18:2(リノールさん 0.228
18:3(αあるふぁ-リノレンさん 0.358

わかいさやをべる軟莢しゅサヤインゲン)と、完熟かんじゅくさせて乾燥かんそうした種子しゅしまめ)をべるたね実用じつようしゅ(インゲンまめ)に大別たいべつできる[2]。サヤインゲンは、さいかちまるいタイプの「まるサヤ」と、さいかちたいらなタイプの「ひらザヤ」の2タイプがある[2]わかさいかちべる品種ひんしゅは、夏場なつば(6 - 9がつ)に食材しょくざいとしてのしゅんむかえる[2]

インゲンまめ安価あんかてい脂肪しぼうこう蛋白たんぱく非常ひじょうすぐれた食品しょくひんで、世界中せかいじゅう主食しゅしょくまたは主要しゅよう蛋白たんぱくげんとして利用りようされる。サヤインゲンは、こう酸化さんか作用さようがあるβべーた-カロテンや、疲労ひろう回復かいふく効果こうかがあるアスパラギンさんリジンなどをふくむため、なつ緑黄色りょくおうしょく野菜やさいとして利用りようできる[2]

サヤインゲンは、せいのままてんぷらにするか、塩茹しおゆでにしてものやおひたしにするか、あるいはバターいためにすることがおおい。調理ちょうりしたごしらえするさいは、すじのかたいものは、でてからヘタのほうからすじをとるとよく、すじもやわらかい品種ひんしゅのものは、でてからヘタのさきるとよいとされる[2]さいかちながいので、べやすいおおきさにったり、うすななりにして料理りょうり使つかわれる[2]

わかさいかち収穫しゅうかくせずに完熟かんじゅくさせると、やがてれてなかまめができる[13]。このまめべるインゲンマメは、金時きんときまめなどが代表だいひょうしゅとしてられる[13][ちゅう 2]成熟せいじゅくした種子しゅし乾燥かんそうさせて貯蔵ちょぞうし、煮豆にまめ甘納豆あまなっとう菓子かしようあんなどにもちいられる。フランス料理りょうりイタリア料理りょうりではしろインゲンまめ煮込にこ料理りょうりこのんで使用しようされる。乾燥かんそう重量じゅうりょうの2わりあまりをタンパク質たんぱくしつめる。アミノ酸あみのさん組成そせいのバランスもアミノ酸あみのさんスコアは100であり、とくリシン豊富ほうふふくみ、リシンが不足ふそくしている主要しゅよう3だい穀物こくもつ小麦こむぎトウモロコシべい)とのわせもい。ラテンアメリカ諸国しょこく重要じゅうよう蛋白たんぱくげんでもある。

インゲンマメのアミノ酸あみのさんスコア[25][26]

インゲンマメをもちいた食品しょくひん料理りょうり[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 隠元いんげんは、インゲンマメのほかにも、スイカレンコンなどを日本にっぽんつたえたとされる[2]
  2. ^ 姿すがたがよくているササゲはマメササゲぞくで、インゲンマメぞくのインゲンマメとはしゅすこことなる[13]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Phaseolus vulgaris L. インゲンマメ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2023ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 猪股いのまた 2012, p. 130.
  3. ^ 青葉あおばだか野菜やさい博物学はくぶつがく ってべればもっとオイシイ!?』講談社こうだんしゃブルーバックス〉、1989ねん4がつ、83ぺーじISBN 4-06-132774-7 
  4. ^ ジョンソン 1999, pp. 114–115.
  5. ^ ジョンソン 1999, pp. 117–118.
  6. ^ a b c d e 金子かねこ & 野口のぐち 2011, p. 70.
  7. ^ インゲンまめをもたらした隠元いんげん禅師ぜんじ - みろくや
  8. ^ 矢部やべ富雄とみお化学かがく物質ぶっしつとしてのとうのふるまい(ヘッドライン:糖類とうるい化学かがく-食品しょくひんからくすりまで-)」『化学かがく教育きょういくだい60かんだい10ごう、2012ねん、418-421ぺーじdoi:10.20665/kakyoshi.60.10_418 
  9. ^ 金時きんときまめ(きんときまめ)”. 日本にっぽん豆類まめるい協会きょうかい. 2023ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  10. ^ a b 猪股いのまた 2012, p. 141.
  11. ^ うずらまめ”. 日本にっぽん豆類まめるい協会きょうかい. 2023ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  12. ^ ほろび(てぼう)”. 日本にっぽん豆類まめるい協会きょうかい. 2023ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  13. ^ a b c d e f g 猪股いのまた 2012, p. 131.
  14. ^ a b 金子かねこ & 野口のぐち 2011, p. 71.
  15. ^ a b c d e f 国立こくりつ医薬品いやくひん食品しょくひん衛生えいせい研究所けんきゅうじょ安全あんぜん情報じょうほう発行はっこう食品しょくひん安全あんぜん情報じょうほう」の米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)によるフィトヘマグルチニン(インゲンレクチン)についての情報じょうほう(060525)より
  16. ^ a b c d e f g 板木はんぎ 2020, p. 98.
  17. ^ a b c d 板木はんぎ 2020, p. 101.
  18. ^ a b c d e f 板木はんぎ 2020, p. 99.
  19. ^ a b c d e f g 板木はんぎ 2020, p. 100.
  20. ^ 農林水産省のうりんすいさんしょう大臣だいじん官房かんぼう統計とうけい生産せいさん流通りゅうつう消費しょうひ統計とうけい へんれい5年産ねんさん大豆だいず小豆しょうず、いんげんおよびらっかせい(乾燥かんそう)の作付さくづけ面積めんせきおよび収穫しゅうかくりょう』。 
  21. ^ 年産ねんさんべつ都道府県とどうふけんべつデータ(平成へいせい18ねん”. 日本にっぽん豆類まめるい協会きょうかい. 2014ねん11月3にち閲覧えつらん
  22. ^ 文部もんぶ科学かがくしょう、「日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶんひょう2015年版ねんばんななてい
  23. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう日本人にっぽんじん食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん(2015年版ねんばん
  24. ^ https://data.nal.usda.gov/dataset/usda-national-nutrient-database-standard-reference-legacy-release
  25. ^ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
  26. ^ タンパク質たんぱくしつアミノ酸あみのさん必要ひつようりょう WHO/FAO/UNU合同ごうどう専門せんもん協議きょうぎかい報告ほうこく日本にっぽんアミノ酸あみのさん学会がっかい監訳かんやく医歯薬出版いしやくしゅっぱん、2009ねん05がつISBN 978-4263705681 邦訳ほうやくもと Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Food poisoning from raw red kidney beans. Noah ND, Bender AE, Reaidi GB, Gilbert RJ. Br Med J. 1980 Jul 19;281(6234):236-7. (PMID:7407532)
  • Toxicity of kidney beans (Phaseolus vulgaris) with particular reference to lectins  Bender, A.E., Reaidi, G.B.  J. Plant Foods.1982 ; 4(1): 15-22.
  • Red kidney bean poisoning in the UK: an analysis of 50 suspected  incidents between 1976 and 1989.  Rodhouse JC, Haugh CA, Roberts D, Gilbert RJ.  Epidemiol Infect. 1990 Dec;105(3):485-91. (PMID:2249712)

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]