アメリカ陸軍りくぐん兵器へいき博物館はくぶつかん

アメリカ陸軍りくぐん兵器へいき博物館はくぶつかん（アメリカりくぐんへいきはくぶつかん、英えい: United States Army Ordnance Museum）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくメリーランド州しゅうアバディーンのアバディーン性能せいのう試験場しけんじょう (APG) にある武器ぶき・弾薬だんやくの博物館はくぶつかんである。免税めんぜい非ひ営利えいり法人ほうじんである兵器へいき博物館はくぶつかん財団ざいだんが運営うんえいしている。日本にっぽんではアバディーン戦車せんしゃ博物館はくぶつかんとも呼よばれる。

歴史れきし

1919年ねんに設置せっちされ、捕獲ほかくした敵てき軍ぐんの装備そうび及および軍需ぐんじゅ品ひんを展示てんじするために1924年ねんに市民しみんに公式こうしきに公開こうかいされた。開館かいかん当初とうしょはアバディーン性能せいのう試験場しけんじょうの314号ごう建屋たきのやにあり、1967年ねんまでアメリカ陸軍りくぐんによって運営うんえいされた。APGと敷地しきちを共用きょうようするという立地りっち条件じょうけんは、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後のちに性能せいのう試験しけんのためにAPGに送おくられてくる各種かくしゅ装備そうびに接触せっしょくするのを容易よういなものとした。

1965年ねん、地元じもとの市民しみんは、これらの軍用ぐんよう工業こうぎょう製品せいひんの博物館はくぶつかんを設立せつりつし、管理かんりするためにアメリカ陸軍りくぐんにもアメリカ国防総省こくぼうそうしょうにも属ぞくしない免税めんぜい法人ほうじんである兵器へいき博物館はくぶつかん財団ざいだんを創立そうりつした。財団ざいだんは、1970年ねん代だい初期しょきに現在げんざい博物館はくぶつかんのあるアバディーン性能せいのう試験場しけんじょうの2601号ごう建屋たきのやで博物館はくぶつかんを開館かいかんするとともに運営うんえいを開始かいしし、今日きょうまで兵器へいき博物館はくぶつかんを管理かんり運営うんえいしている。

施設しせつ概要がいよう

アメリカ陸軍りくぐん兵器へいき博物館はくぶつかんの役目やくめは、アメリカ陸軍りくぐん武器ぶき科かの歴史れきしに関連かんれんする歴史れきし的てきに重要じゅうような装備そうび、武器ぶき弾薬だんやく及および軍需ぐんじゅ品ひんを収集しゅうしゅうし、保存ほぞん及および展示てんじすることであり、また、イギリス植民しょくみん地ち時代じだいから今日きょうまで歩あゆんできたアメリカ軍ぐんの兵器へいきの発達はったつと進化しんかを文書ぶんしょ化かし、後世こうせいに残のこすことである。

博物館はくぶつかんは、大おおきく屋内おくない展示てんじと屋外おくがい展示てんじの2つの部分ぶぶんから成なる。屋外おくがい展示てんじには多数たすうの陸上りくじょう軍用ぐんよう装備そうび及および兵器へいきが25 ac（約やく101,000 m²）の広場ひろばにところ狭せましと並ならべられ、屋内おくない展示てんじには世界中せかいじゅうの軍隊ぐんたいで使つかわれていた銃器じゅうきと爆ばく弾だんがそれらの開発かいはつ史しと一緒いっしょに展示てんじされている。

入場にゅうじょう

2019年ねん2月がつ現在げんざい、屋内おくない博物館はくぶつかんは移転いてんは終了しゅうりょうし、閉鎖へいさ中ちゅうである。

屋外おくがい博物館はくぶつかんは大だい部分ぶぶんの連邦れんぽう休日きゅうじつを除のぞき、週しゅう7日にち、午前ごぜん9時じから午後ごご4時じ45分ふんまで一般いっぱんに公開こうかいされている。

入場にゅうじょうにはパスポートなど身分みぶん証明しょうめい書しょの提示ていじが必要ひつようである。

移転いてん

2005年ねんのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく陸軍りくぐん基地きち再編さいへんに伴ともない、バージニア州しゅうのフォートリー基地きちへの移転いてんが決定けっていされた。移転いてんが完了かんりょうしたのは2012年ねんである。

これまで屋外おくがいに展示てんじされていた物ものも屋内おくない展示てんじになり、収集しゅうしゅう物ぶつも増ふえる予定よてい。

博物館はくぶつかん財団ざいだん

兵器へいき博物館はくぶつかん財団ざいだん (Ordnance Museum Foundation Inc.) は、将来しょうらい的てきに300,000 ft²（約やく28,000 m²）の屋内おくない展示てんじ場所ばしょとメンテナンス施設しせつの建設けんせつを通とおして博物館はくぶつかんを拡張かくちょう及および改良かいりょうする計画けいかくとともに設立せつりつされた。財団ざいだんは、税ぜいを免除めんじょされた非ひ営利えいり的てき法人ほうじんとして、1991年ねん 12月にチャリティ8849番ばんとしてメリーランド州しゅうに正式せいしきに受理じゅりされた。この免税めんぜい非ひ営利えいり法人ほうじんとしての地位ちいは、1992年ねん春はるに、501(c)(3)指定してい法人ほうじんとしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく内国ないこく歳入さいにゅう庁ちょうに認可にんかされている。

展示てんじ

屋外おくがいのコレクションは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん前まえの時代じだいからの200両りょう近ちかい多様たような軍事ぐんじ車両しゃりょう、自じ走はし砲ほう、戦車せんしゃ、弾薬だんやく、銃器じゅうき、及および多数たすうの迫撃はくげき砲ほうと大砲たいほうを特徴とくちょうとする。

屋外おくがい展示てんじ

車両しゃりょう

戦車せんしゃをはじめとする車両しゃりょうが非常ひじょうに多おおいため、アバディーン戦車せんしゃ博物館はくぶつかんと呼よばれることもある。車両しゃりょうはアメリカ製せいのものを除のぞくと戦闘せんとう中ちゅうに放棄ほうきされたものや擱座かくざしたものを運はこんできたものが多おおいため、戦闘せんとう中ちゅうに被弾ひだんして破やぶ口くちした装甲そうこうがそのままになっているものや覆くつがえ帯おびやロードホイールが失うしなわれている装そう軌車両しゃりょうも見みられる。国立こくりつアメリカ空軍くうぐん博物館はくぶつかんや国立こくりつ航空こうくう宇宙うちゅう博物館はくぶつかん（スミソニアン博物館はくぶつかん）のような室内しつない展示てんじのうえの万全ばんぜんの保全ほぜん体制たいせいとはいかないため整備せいび状じょう況きょうや保存ほぞん状態じょうたいも良よいとは言いえず、野外やがい展示てんじで風雨ふううにさらされ、破やぶ口くちした部分ぶぶんなどから錆さびが進行しんこうしてしまっているもの、装そう輪わ車両しゃりょうではタイヤがパンクしているものさえある。過去かこにドイツの第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん時じのA7V戦車せんしゃも展示てんじされていたことがあるが、腐食ふしょくが激はげしく廃棄はいきされてしまった。しかし、展示てんじ品ひんのいずれも歴史れきしの証人しょうにんとして歴史れきし的てきに貴重きちょうな資料しりょうになっていることは間違まちがいなく、田宮たみや模型もけいも現地げんちを訪おとずれて製品せいひんを作つくる際さいの参考さんこうにしている。

次つぎに展示てんじ車両しゃりょうの一部いちぶを国くに別べつに列記れっきする。展示てんじ車両しゃりょうが博物館はくぶつかんに来くる前まえに所属しょぞくしていた国くにを示しめしているため、必かならずしも開発かいはつ国こく別べつではないことに注意ちゅうい。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

ドイツ

イギリス

フランス

イタリア

ソビエト連邦れんぽう

日本にっぽん

初期しょき

弾薬だんやく・ミサイル

T12爆ばく弾だん (T12)^{[注ちゅう 1]}
46 cm 砲ほう弾だん（戦艦せんかん大和やまとの主砲しゅほう弾だん）
80 cm 砲ほう弾だん（80cm列車れっしゃ砲ほうの主砲しゅほう弾だん）
914 mm 砲ほう弾だん（リトル・デーヴィッドの砲弾ほうだん）
MGM-31A パーシング I 準じゅん中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル
MIM-3 ナイキ・エイジャックス地ち対空たいくうミサイル
MIM-14 ナイキ・ハーキュリーズ地ち対空たいくうミサイル
S-75 地ち対空たいくうミサイル（SA-2 ガイドライン）

火砲かほう・野砲やほう・迫撃はくげき砲ほう

ドイツのクルップK5列車れっしゃ砲ほう。通称つうしょう「アンツィオ・アニー」のうちの1両りょう「レオポルド」。

M65 280 mm カノン砲ほう通称つうしょう「アトミック・キャノン（原子げんし砲ほう）」（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
M115 203 mm 榴弾りゅうだん砲ほう（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
リトル・デーヴィッド（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
M59 155 mm カノン砲ほうロング・トム（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
Mk.3 16 in 要塞ようさい砲ほう（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
クルップK5 列車れっしゃ砲ほう「レオポルド」（ドイツ）
8.8 cm PaK 43 対たい戦車せんしゃ砲ほう（ドイツ）
8.8 cm PaK 43/41 対たい戦車せんしゃ砲ほう（ドイツ）
15 cm sFH 18 榴弾りゅうだん砲ほう（ドイツ）
15 cm K 18 （ドイツ）
17 cm K 18 （ドイツ）
21 cm Mrs 18 （ドイツ）
GPF 155mm カノン砲ほう（フランス）

対空たいくう砲ほう

M51 75 mm 高射こうしゃ砲ほうスカイスイーパー（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
M2 90 mm 対空たいくう砲ほう (90 mm gun) （アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく）
ボフォース 40 mm 対空たいくう機関きかん砲ほう（スウェーデン）
3.7 cm FlaK 43 (3.7 cm FlaK 43) （ドイツ）
8.8 cm Kw FlaK 高射こうしゃ砲ほう（ドイツ）
8.8 cm FlaK 18 （ドイツ）
8.8 cm FlaK 36 （ドイツ）
12.8 cm FlaK 40 (12.8 cm FlaK 40) （ドイツ）
52K 85 mm 対空たいくう砲ほう (85 mm air defense gun M1939) （ソビエト連邦れんぽう）

屋内おくない展示てんじ

兵器へいき博物館はくぶつかんの屋内おくない部分ぶぶんは銃器じゅうき、砲弾ほうだん、手榴弾しゅりゅうだん、弾倉だんそうの大だい規模きぼなコレクション、及および教育きょういく用よう展示てんじを含ふくむ。多数たすうの古ふるい大砲たいほうと迫撃はくげき砲ほうが展示てんじされている。1942年ねん製せいの初期しょきのジープもある。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ これまでにアメリカで造つくられた最大さいだいの43,800 lb（約やく19,900 kg）通常つうじょう爆ばく弾だんであり^[1]、博物館はくぶつかんへの表玄関おもてげんかんの外そとにまっすぐに立たてられている。

出典しゅってん

^ Baltimore Sun, 02 August 2005, Army Museum Drafted for Move

外部がいぶリンク

アメリカ陸軍りくぐん兵器へいき博物館はくぶつかん公式こうしきウェブサイト（英語えいご）(閉鎖へいさ中ちゅう)
U.S. Army Ordnance Museum Foundation公式こうしきウェブサイト（英語えいご）

外部がいぶフォトギャラリー

US Army Ordinance Museum（英語えいご） - 展示てんじ品ひんリストはここから大だい部分ぶぶん参考さんこうにした。
US APG OM at peachmountain.com（英語えいご）
US APG OM German tanks at axishistory.com（英語えいご）
Ordnance Collection at Aberdeen Proving Grounds（英語えいご）

[2] これまでにアメリカで造つくられた最大さいだいの43,800 lb（約やく19,900 kg）通常つうじょう爆ばく弾だんであり^[1]、博物館はくぶつかんへの表玄関おもてげんかんの外そとにまっすぐに立たてられている。

[1] Baltimore Sun, 02 August 2005, Army Museum Drafted for Move

[注ちゅう 1]

[1]

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国立こくりつ図書館としょかん	アメリカ