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ソミュア S35

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソミュア S35
性能せいのうしょもと
全長ぜんちょう 5.38 m
全幅ぜんぷく 2.12 m
ぜんこう 2.62 m
重量じゅうりょう 19.5 t
懸架けんか方式ほうしき リーフスプリング、ボギーしき
速度そくど 40.7 km/h整地せいち
32.2 km/h(整地せいち
行動こうどう距離きょり 230 km(路上ろじょう
130 km整地せいち
主砲しゅほう 47 mm 戦車せんしゃほうSA35
ふく武装ぶそう 7.5 mm 機関きかんじゅうM31
装甲そうこう 47 mm最大さいだい
エンジン ソミュア V-8 ガソリン
190 馬力ばりき
乗員じょういん 3 めい
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ソミュア S35SOMUA S35)はだい世界せかい大戦たいせん使つかわれたフランス騎兵きへい戦車せんしゃである。1936ねんから1940ねんにかけ、騎兵きへい機械きかい師団しだん装備そうびとして、430りょう生産せいさんされた。S35はこの時代じだいにおいては快速かいそくかつじゅう装甲そうこうなか戦車せんしゃで、どうクラスのほか戦車せんしゃくら装甲そうこう火力かりょくっていた。フランス陥落かんらく鹵獲ろかくされ枢軸すうじくこくによって使用しようされた。

開発かいはつ[編集へんしゅう]

S35は、1934ねん6がつ26にちづけ改訂かいてい通達つうたつされた騎兵きへい戦車せんしゃ「AMC(Automitrailleuse de Combat戦闘せんとうよう機銃きじゅうしゃ)」の仕様しようもとづいてデザインされた。1931ねんされたAMCのもと仕様しようくらべ、しん仕様しよう対戦たいせんしゃほうへの防御ぼうぎょりょくたかめるためより重量じゅうりょうしていた。通達つうたつ先立さきだち、フランス陸軍りくぐんはすでにシュナイダーしゃ子会社こがいしゃで、サン・カンにあるソミュアしゃ(SOMUA、Société d'Outillage Mécanique et d'Usinage d'Artillerie)に試作しさくしゃ製作せいさくについて接触せっしょくしており、ソミュアしゃも7がつ16にちにこれを了承りょうしょうした。

製作せいさくは1934ねん10がつ12にちはじまり、よく1935ねん4がつ14にち、AC3と名付なづけられた原型げんけい車両しゃりょう完成かんせい。AC3は1935ねん7がつ4にちから8がつ2にちまで評価ひょうか試験しけんきょうされた。さらに改良かいりょうほどこされた試作しさくしゃ、AC4が4りょう製作せいさくされ、これらは1938ねん1がつ27にちまでテストされた。これら試作しさく車両しゃりょうたん砲身ほうしんの 47mm戦車せんしゃほうSA34 きの標準ひょうじゅんがた APX 1 砲塔ほうとう搭載とうさいしていた。APXとはこの砲塔ほうとうピュトー工廠こうしょう(Atelier de Construction de Puteaux, APX)せいであることに由来ゆらいする。

評価ひょうか試験しけんちゅうの1936ねん3がつ25にち、AC4は「Automitrailleuse de Combat modèle 1935 S戦闘せんとうよう機銃きじゅうしゃ1935ねんがた-S、Sはソミュアしゃせいしめす。略称りゃくしょう AMC 1935 S)」の名称めいしょう制式せいしき採用さいようされ、だい1発注はっちゅうとして50りょう生産せいさんめいじられた。この戦車せんしゃは「SOMUA S35」の名称めいしょうられ(Sはソミュアしゃ、35は制式せいしき採用さいようされた1935ねんしめす)、今日きょうではより短縮たんしゅくされた「S35」もしばしば使つかわれる。「S-35」とハイフンきのれいおおいが、これは当時とうじのフランスの資料しりょうではられない。

量産りょうさんしゃではよりちょう砲身ほうしんの 47mm戦車せんしゃほうSA35 が搭載とうさいされた。生産せいさん当初とうしょ合計ごうけいで600りょう計画けいかくされていたが、だい2発注はっちゅう財政ざいせいてき制約せいやくから250りょうらされた。のちになって開戦かいせんまえに200りょうだい3発注はっちゅうおこなわれた。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

ソミュアS35の車体しゃたい砲塔ほうとうは、それぞれ最大さいだい装甲そうこうあつ 47 mm、40 mm の鋳造ちゅうぞうだった。車体しゃたいは4分割ぶんかつで、車体しゃたい下部かぶ左右さゆう上部じょうぶ前後ぜんご分割ぶんかつされており、それぞれがボルト結合けつごうされていた。砲塔ほうとうルノーB1搭載とうさいされた APX 1 砲塔ほうとうのバリエーションで、もとの 1,022 mm にたいして 1,130 mm に砲塔ほうとうリングが拡大かくだいされた APX 1 CE(=chemin élargi)が使つかわれた。これは118はつとおるかぶとだん90はつ榴弾りゅうだん28はつ)の主砲しゅほうだんばこ、2,250はつ機銃きじゅうだんマガジンをくるまちょう装填そうてんするのを無線むせんしゅ補佐ほさしやすいようにあらため設計せっけいされたものだった。とはいえルノーB1同様どうよう操縦そうじゅう指示しじ主砲しゅほう操作そうさ装填そうてんはなおすべしゃちょう役割やくわりで、ただ無線むせん操作そうさべつ乗員じょういんけられただけだった。

無線むせんはS35の標準ひょうじゅん装備そうびひとつと想定そうていされていた。実際じっさいには、しょう隊長たいちょうしゃには部隊ぶたいあいだ通信つうしんようの ER 29(émetteur-récepteur 29=29がた送受信そうじゅしん)が搭載とうさいされたものの、部隊ぶたい内通ないつう信用しんよう短距離たんきょり無線むせん ER 28 の不足ふそくにより、しょう隊長たいちょうしゃのぞ小隊しょうたいほか4りょうには無線むせん搭載とうさいされなかった。それらに無線むせん搭載とうさいする計画けいかくは1940ねんなつまで延期えんきされたので戦争せんそうにはわなかった。

サスペンションは、フランスで最初さいしょ戦車せんしゃであるシュナイダーCA1開発かいはつしたウージェーン・ブリリエ(Eugène Brillié設計せっけいによる。ブリリエはそれまでチェコシュコダしゃはたらいており、サスペンションはかれ手掛てがけたLT-35もとにしたもので、8つのてんを4つのボギーにまとめリーフスプリングでささえ、大型おおがた張力ちょうりょく調整ちょうせいそなえていた。プロトタイプおよび生産せいさん初期しょき車両しゃりょうこまかいピッチのくつたい装着そうちゃくしていたが(75 mm ピッチ/片側かたがわ144まい)、生産せいさんしゃではピッチが拡大かくだいされた(105 mm ピッチ/103まい)。

エンジンは車体しゃたい後部こうぶにあり、両側りょうがわに2つのセルフ・シーリングしき燃料ねんりょうタンク(100リットル/140リットル)をそなえ、エンジンルームは防火ぼうか隔壁かくへき戦闘せんとうしつへだてられていた。(カタログじょうは)200馬力ばりきのエンジンはジャヴィエ-サバン(Javier-Sabin設計せっけいで、燃料ねんりょうちいさいほうのタンクから消費しょうひされ、自動的じどうてきおおきいタンクからそそされる仕組しくみになっていた。そのため経験けいけん不足ふそく乗員じょういん場合ばあいときに、ちいさいほうのタンクだけに燃料ねんりょう補給ほきゅうするというあやまりをおかすことがあった。エンジンとサスペンションはアクセスせいわるく、整備せいびしづらく手間てまがかかった。これは、後期こうき車両しゃりょうでは改良かいりょうされた。

S35には自動じどう消火しょうか装置そうちそなえられていたが、これはブロモメタンにおいメチル)りのボンベすう危険きけん箇所かしょ配置はいちしたものである。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

ドイツぐん戦車せんしゃ部隊ぶたいとしてコンコルド広場ひろばをパレードするS35

イギリスぐんソ連それん赤軍せきぐん同様どうよう、フランスぐん騎兵きへい戦車せんしゃ歩兵ほへい戦車せんしゃをはっきりと区分くわけしていた。フランス陸軍りくぐんきたるべき戦争せんそうでの勝利しょうりへの手段しゅだんとしては防衛ぼうえいせんむねとしていたものの、戦略せんりゃくじょう必要ひつよう局面きょくめんでは攻勢こうせいることもありるとかんがえる程度ていどには現実げんじつてきだった。突破とっぱ浸透しんとう拡大かくだいという攻勢こうせいそうには、それぞれ専用せんよう車両しゃりょう必要ひつようであるとされた。ソミュアS35は後者こうしゃ役割やくわりになうものであった。

S35は良好りょうこう速度そくど適切てきせつ航続こうぞく距離きょり仮想かそうてきであるソ連それんBT-7ナチ・ドイツIIIごう戦車せんしゃ撃破げきは火力かりょくと、それらの砲弾ほうだんえるだけの装甲そうこうそなえていた。したがってS35は、ふかてき進入しんにゅうし、てき予備よび装甲そうこう戦力せんりょく撃破げきはるものとかんがえられていた。これが今日きょう、S35が1930年代ねんだいにおける最良さいりょう戦車せんしゃとしてしばしばげられる理由りゆうとなっている。

一方いっぽう短所たんしょ指摘してきされることがある。おもに、操作そうさじょう戦術せんじゅつじょう戦略せんりゃくじょうの3つの欠点けってんげられることがある。ただし、今日きょうにおいて最大さいだい弱点じゃくてんとしてげられる1人ひとりよう砲塔ほうとうについては当時とうじげられていた欠点けってんのうちにふくまれていない。大型おおがたの3にんよう砲塔ほうとうくらべて、乗員じょういん同士どうし動作どうさわせる必要ひつようがなく、砲塔ほうとう回転かいてん速度そくどはやいことで、くるまちょう負荷ふか軽減けいげんされているとかんがえられていたからである。

操作そうさじょう欠点けってん機械きかいてき信頼しんらいせい欠如けつじょだった。サスペンションはあまりに脆弱ぜいじゃくかつ複雑ふくざつで、鋳造ちゅうぞう装甲そうこうモジュールはサスペンションやエンジンへのアクセスせいわるく、整備せいびには莫大ばくだい労力ろうりょく要求ようきゅうされた。こうした欠点けってんはフランスの戦車せんしゃ開発かいはつ主導しゅどうする機関きかん存在そんざいしないことが原因げんいんだった。陸軍りくぐん各科かっかからされる仕様しよう曖昧あいまいで、細部さいぶ仕様しようはメーカーまかせだった。フランスの機械きかいはしばしば時代遅じだいおくれで、デザインは既存きそん生産せいさん設備せつび制約せいやくをもとに決定けっていされた。たとえばサスペンションの脆弱ぜいじゃくせい解決かいけつとなりクリスティしきサスペンション導入どうにゅうは、徹底的てっていてき工業こうぎょう設備せつび近代きんだいと、品質ひんしつ規格きかく向上こうじょうなしには不可能ふかのうだった。

ドイツぐんにより運用うんようされるS35

戦術せんじゅつじょう欠点けってんはキューポラにハッチがないことである。砲塔ほうとう内部ないぶからも外部がいぶ視認しにん可能かのうであるものの、そと状況じょうきょうをより把握はあくしたい場合ばあい砲塔ほうとう後部こうぶ開閉かいへいこうけてそとした。このAPX 1 砲塔ほうとう搭載とうさい純粋じゅんすい予算よさんじょう制約せいやくによるもので、歩兵ほへい使用しようされたルノーB1bis搭載とうさいされた同系どうけいの APX4 砲塔ほうとうおな批判ひはんけていた。

戦略せんりゃくじょう欠点けってん単価たんかたかいことで、大型おおがた鋳造ちゅうぞう装甲そうこう部品ぶひん生産せいさんりょうかぎられた。おのずと生産せいさん台数だいすうかぎられたものとなり、安価あんか戦車せんしゃかずおぎな必要ひつようがあった。そのために騎兵きへい唯一ゆいいつ入手にゅうしゅできたのがオチキス H35だった。

生産せいさん戦歴せんれき[編集へんしゅう]

S35の先行せんこう量産りょうさんがたにあたる4りょうのAC4は、1936ねん1がつだい4むねかぶと騎兵きへい連隊れんたい4e Cuirassiers)に配備はいびされた。1938ねんなかばには100りょう生産せいさんされており、1939ねん9がつ1にちのドイツによるポーランド侵攻しんこう開始かいしには270りょう生産せいさんみで、うち246りょう供給きょうきゅうみであった。同日どうじつづけで191りょう部隊ぶたい就役しゅうえきしており、51りょう集積しゅうせきしょに、4りょうはオーバーホールのために工場こうじょう返送へんそうされていた。開戦かいせん、4度目どめ発注はっちゅうとして200りょう追加ついかされ、そう発注はっちゅうすうは700りょうとなった。のちに、451号車ごうしゃ以降いこう改良かいりょうがたのS40とすることが決定けっていされた。実際じっさいには、1940ねん6がつまでの生産せいさんりょう試作しさくしゃ先行せんこう量産りょうさんがたふくめて430りょうであった。

1940ねん5がつのドイツによるフランス侵攻しんこう開始かいしやく300りょう一線いっせん部隊ぶたい騎兵きへいの3けい機械きかい師団しだんDivisions Légères Mécaniques=DLM)に配備はいびされていた。かく師団しだんにはかく10りょうのS35をつ8中隊ちゅうたい(squadron)があり、さらに予備よび車両しゃりょう旅団りょだん連隊れんたいちょうしゃ配備はいびされていた。また開戦かいせんに、備蓄びちく車両しゃりょうがいくつかの臨時りんじ編成へんせい部隊ぶたいわたされた。シャルル・ド・ゴール指揮しきだい4機甲きこう師団しだん4ème DCR)には39りょうだい4けい機械きかい師団しだん4ème DLM)に10りょうなどである。

現存げんそん車両しゃりょう[編集へんしゅう]

フランスのソミュール戦車せんしゃ博物館はくぶつかんイギリスボービントン戦車せんしゃ博物館はくぶつかんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアバディーン戦車せんしゃ博物館はくぶつかんロシアクビンカ戦車せんしゃ博物館はくぶつかん実車じっしゃ展示てんじされている。

派生はせいがた[編集へんしゅう]

Somua SAu40
1935ねん騎兵きへい戦車せんしゃSomua S35の開発かいはつ計画けいかくからはしほう開発かいはつする計画けいかく派生はせいした。1937ねん後期こうきには車体しゃたい完成かんせいし、1939ねんにはおくれていたほう試験しけん終了しゅうりょう十分じゅうぶん性能せいのうであるとみとめられSomua SAu 40として採用さいよう、1939ねんの11月には36りょう先行せんこう量産りょうさんがた製造せいぞうされた。車体しゃたい前部ぜんぶ中央ちゅうおうに75 mmほう搭載とうさい
フランスせんの1940ねん先行せんこう量産りょうさんがた撮影さつえいされたが、その行方ゆくえはわかっていない。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

漫画まんが・アニメ[編集へんしゅう]

ガールズ&パンツァー』シリーズ
『ガールズ&パンツァー 最終さいしゅうあきら
BC自由学園じゆうがくえん所有しょゆう車両しゃりょう冬季とうき無限むげん軌道きどうはいいち回戦かいせんでの大洗おおあらい女子じょし学園がくえんとの試合しあいにて、BC自由じゆう部隊ぶたい主力しゅりょくとして4りょう参加さんかにはマジノ女学院じょがくいん使用しよう、こちらも下記かき漫画まんがからぎゃく輸入ゆにゅうかたち隊長たいちょうのエクレールが搭乗とうじょうする。
『ガールズ&パンツァー 激闘げきとう!マジノせんですっ!!』
マジノ女学院じょがくいん所有しょゆう車両しゃりょう大洗おおあらい女子じょし学園がくえん練習れんしゅう試合しあいにて、隊長たいちょうのエクレールとふく隊長たいちょうのフォンデュが搭乗とうじょうする2りょう参加さんか

ゲーム[編集へんしゅう]

R.U.S.E.
フランスなか戦車せんしゃとして登場とうじょう
The Saboteur
War Thunder
フランスなか戦車せんしゃとして登場とうじょう。またSau40も駆逐くちく戦車せんしゃとして使用しよう可能かのう
World of Tanks
フランスちゅう戦車せんしゃおよドイツちゅう戦車せんしゃPz.Kpfw. S35 739(f)として登場とうじょう
トータル・タンク・シミュレーター
フランスの神風かみかぜ戦車せんしゃとして登場とうじょう
パンツァーフロントPanzrfront.ausf B
むしけら戦車せんしゃ
ちいさくなりむしたたかうことになったプレイヤーのドイツへいがフィールドじょうつけると使用しようできる。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]