ガッシュ

チューブ入いりガッシュと画筆がひつやパレット

ガッシュ（グヮッシュ、Gouache フランス語ふらんすご発音はつおん: [ɡwaʃ]）は、不透明ふとうめいな水彩すいさい絵具えのぐの一種いっしゅで、顔料がんりょうをアラビアガムの水溶液すいようえきで練ねったもの。イタリア語ごのGuazzo（水溜みずたまり、不透明ふとうめい水彩すいさい技法ぎほう）から来きた言葉ことばといわれ、本来ほんらいは絵具えのぐの名前なまえではなく不透明ふとうめい水彩すいさい技法ぎほうを指さした。

歴史れきし

ガッシュを使つかった作品さくひん。ラディスラウス・ベネシュ、1900年ねん

透明とうめい水彩すいさいに対たいし不透明ふとうめい水彩すいさいといわれるが、透明とうめい水彩すいさい技法ぎほうは産業さんぎょう革命かくめい後ごに絵具えのぐが工業こうぎょう的てきに作つくられるようになってイギリスを中心ちゅうしんに発展はってんしたのに対たいし、ガッシュはそれ以前いぜんからヨーロッパ大陸たいりくを中心ちゅうしんに使つかわれていた水彩すいさい技法ぎほう全般ぜんぱんを指さしている。最もっとも知しられているのは中世ちゅうせいの装飾そうしょく本ほんの挿絵さしえの彩色さいしきに使つかわれたものである。産業さんぎょう革命かくめい以前いぜんには屈折くっせつ率りつの低ひくい微粒子びりゅうしの顔料がんりょうが少すくなかったために水彩すいさい絵具えのぐは不透明ふとうめい性せいが高たかかった。

現在げんざいのガッシュは、産業さんぎょう革命かくめい時じに英国えいこくのウィンザー・アンド・ニュートン社しゃが開発かいはつしたグリセリンや新あたらしい顔料がんりょうを応用おうようした水彩すいさい絵具えのぐに負おうところがある。

特徴とくちょう

ガッシュは、水分すいぶんが蒸発じょうはつすることで塗膜とまくが固化こかするので乾燥かんそうは早はやい。ガッシュは、重かさね塗ぬりも可能かのうである。しかしデザイン向むけに作つくられた製品せいひんは複製ふくせいを前提ぜんていとしたデザイン用途ようとを目的もくてきとして鮮あざやかさと隠蔽いんぺい力りょくに重点じゅうてんを置おいて設計せっけいされているために、耐久たいきゅう性せいに欠かける色いろもあり作品さくひんに使つかう場合ばあいには注意ちゅういが必要ひつようである。

ガッシュの品質ひんしつ規格きかくは国内こくないでは特とくにないため各かくメーカーがそれぞれ独自どくじに製造せいぞうしているが、米国べいこくではASTMインターナショナルの画材がざい部会ぶかいD01.57において、専門せんもん家か用ようガッシュ絵具えのぐの品質ひんしつ規格きかく D5724 "Standard Specification for Gouache Paints"が制定せいていされている。

日本にっぽんでは小中学校しょうちゅうがっこうで使用しようされる水彩すいさい絵具えのぐを不透明ふとうめい水彩すいさいということが多おおいが、これは透明とうめい水彩すいさい技法ぎほうは小学生しょうがくせいには難むずかしいが完全かんぜんな不透明ふとうめい水彩すいさいでは絵画かいが的てきな技法ぎほうも限かぎられるためにその中間ちゅうかん的てきな性能せいのうで作つくられたものであり、マット水彩すいさいなどとも呼よばれる。本来ほんらいの不透明ふとうめい水彩すいさいと混同こんどうすべきではない。また学童がくどう用ようのために安価あんかに作つくられているので耐久たいきゅう性せいに欠かける色いろもあり、そのような色いろは長期ちょうき保存ほぞんを前提ぜんていとした美術びじゅつ作品さくひんには使つかうべきではない。ポスターカラーもガッシュの一種いっしゅである。

下地したじについて

水溶すいよう性せいで再さい可溶性かようせいのある、アラビアガム等とうの樹脂じゅし溶液ようえきを用もちいた従来じゅうらいのガッシュの下地したじは、基本きほん的てきに水彩すいさい紙しやケント紙けんとしなどの紙かみが支持しじ体たいであり、紙かみに直じかに描えがく。 色いろのついた紙かみを使つかって描えがくこともある。

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