共感きょうかん格差かくさ

共感きょうかん格差かくさ（きょうかんかくさ）とは、社会しゃかいからある対象たいしょうに向むけられる同情どうじょうや共感きょうかんに格差かくさが生しょうじていることをあらわす語句ごくである。例たとえば、同おなじマイノリティであっても、集あつまる共感きょうかんや同情どうじょうに大おおきな違ちがいが見みられることが挙あげられる。

概要がいよう

2021年ねん7月がつに行おこなわれた磯野いその真穂まほと與那覇よなは潤じゅんの対談たいだんで述のべられた概念がいねんである。與那覇よなははコロナウイルスの拡大かくだい期きに、医療いりょう関係かんけい者しゃは現場げんばの大変たいへんさをSNSで呟つぶやくと賞賛しょうさんを受うける一方いっぽうで、飲食いんしょく店てんはSNS上じょうでバッシングを受うけいるていたことから、「社会しゃかいにとって不可欠ふかけつのはずでも「誰だれにでもできる」「大たいした仕事しごとじゃない」とレッテルを貼はられてきた職種しょくしゅの人ひとは、排除はいじょされてしまう。それこそ「つらい」と言いうことさえもためらわれる状況じょうきょうは、明あきらかにいびつですよね」と、共感きょうかんの格差かくさに違和感いわかんを訴うったえていた。

また、大藤おおふじヨシヲはアメリカでドナルド・トランプが台頭たいとうした原因げんいんの一ひとつとしてこの共感きょうかん格差かくさを持もち出だしている。

指向しこう性せいを持もつ共感きょうかん

永井ながい陽よう右みぎは朝日新聞あさひしんぶんに寄よせたコラムで、人々ひとびとは無意識むいしきのうちに対象たいしょうに共感きょうかんを与あたえるだけの正当せいとう性せいがあるかどうかを判断はんだんしており、自分じぶんにとって共感きょうかんするだけの正当せいとう性せいが無ない人間にんげんには共感きょうかんが集あつまりにくいと述のべている。

例たとえば、永井ながいが同どうコラム内ないで挙あげている「ギャンブルに失敗しっぱいして全すべてを無なくし、金かねも食料しょくりょうも底そこをついて道端みちばたに力ちからなく座すわり込こむ、今いまにも餓死がししそうな60歳さいの黒人こくじん男性だんせい」と、「内戦ないせんに追おわれて難民なんみんとなり、独ひとりぼっちで食たべるものが無むく服ふくもボロボロで今いまにも餓死がししてしまいそうな10歳さいの白人はくじんの女おんなの子こ」はどちらも人間にんげんとして抱だいている苦痛くつうはまったく同おなじであるが、永井ながいが述のべるには、後者こうしゃのほうに同情どうじょうが集あつまりやすく、さらに自分じぶんと政治せいじ的てきに敵対てきたいするコミュニティーに属ぞくしている人ひととなれば、「いい気味ぎみだ」とすら思おもうかもしれず、結局けっきょくのところ共感きょうかんは「どこまでも個々人ここじんが持もつバイアスに振ふり回まわされることになり、結果けっかとして共感きょうかんはスポットライト的てき性質せいしつとある種しゅの指向しこう性せいを持もつ」という。

永井ながいはそれを踏ふまえ、「だからこそ、共感きょうかんできない・共感きょうかんされにくい人ひとをなおざりにしないために、共感きょうかんに代かわるものが必要ひつようとなる。私わたしはそれこそが「権利けんり」だと思おもうのだ。共感きょうかんできる・できないに一切いっさいの関係かんけいなく、全すべての人ひとには人権じんけんがあり、無条件むじょうけんに尊重そんちょうされなければならない。その射程しゃていは、共感きょうかんの及およぶ範囲はんいをはるかに越こえ、全すべての人ひとが含ふくまれるべきだ。」と結論けつろんづけている。

関連かんれん項目こうもく

• 共感きょうかん
• エモーショナル・インテリジェンス
• オキシトシン
• アドラー心理しんり学がく#共同きょうどう体たい感覚かんかく（独どく：Gemeinschaftsgefühl 英えい：Social interest）
• 情緒じょうちょ